大白法

平成15年1月1日号


主な記事

<1〜5面>

<6〜8面>


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第67世御法主日顕上人猊下 新年の辞


日顕上人 輝かしき立宗751年の新春、おめでとうございます。全国法華講の皆様には「是好 良薬」の妙法が身心に充ち満ちる勇気凛々の境涯をもってこの新年をお迎えのことと 存じます。

顧みれば立宗750年の大佳節は、下種三宝尊の御照覧と御加護の下、3月28日の 慶祝記念開宣大法要、4月27・28日の同特別大法要、続いて60回に渉る30万 総登山大法要、そして10月8日の奉安堂竣工式に始まり、10日の本門戒壇の大御 本尊御遷座式、同12日の奉安堂落慶大法要、13日より22日まで10日間の落慶 記念大法要、更に10月26日より3会に渉る海外信徒総登山大法要に至るまで、1 年間の大半を通じての大浄行が何の支障もなく、大成功裡に成就致しました。茲(こ こ)に全国法華講の皆様と共に無量の感激と悦びの念を以て慶祝の意義を讃するもの であります。

特に奉安堂落慶大法要の中心たる10月12・13日の両日、48時間中に満天下一 点の雲もない快晴に恵まれたことは、実に不思議と申す外ありません。これまことに 仏祖三宝の絶大な御加護と諸天善神の計らいによるとの確信を深めるものでありま す。これら大功徳を以て現当を観ずるとき、まさに真実の妙法広布の時が、立宗75 0年より未来に向かって集中していることをひしひしと感じます。

即ち世界に於ける人を救うべき宗教が、次々と表してくる不祥事と闘争による果てし ない現実相、又あらゆる社会層の混迷や不幸が貪瞋癡の三毒を根本として現れている ことよりして、物心両面に於いて衆生を救済する真実の仏法を今日の時代が求めてい ることは明らかであります。

従って絶大な功徳を以て荘厳された立宗750年の行蹟を受け継ぐ年、即ち751年 こそ未来に向かっての雄大にして確信に充ちた広布の第一歩を踏み出す年でありま す。吾ら宗門の僧俗は何よりも、あの大慈大悲宗祖日蓮大聖人の広大なる恩徳を常に 拝すべきであります、『諸法実相抄』に、鳥と虫とはなけどもなみだをちず、日蓮 はなかねどもなみだひまなし、此のなみだ世間の事には非ず、但偏に法華経の故な り」(御書667ページ)と仰せられました。これ衆生救済の唯一の教法たる下種の 法華経を信ぜず、謗って地獄へ堕ちて行く衆生への大慈悲の涙であります。

故に本仏大聖人の御教示をあくまで正しく受け継ぐ唯一の宗団たる本宗に於いて、ひ たすら広布への前進こそ忘るべからざる命題であります。「広布大願」それは具体的 には広布への前進にあります。広布への前進、これを常に僧も俗も心に体して忘れ ず、日々夜々造次(※ぞうじ)にも顛沛(※※てんぱい)にもその実行を心にかける 処に真 の価値ある人生があり、本仏大聖人様が深く御悦びになることが確実であると信じま す。

広布への前進は自行化他の題目、即ち唱題と折伏にあります。真剣な唱題によって自 ずから折伏の心が生じ、また折伏の縁を鑑照することができるのであります。諸願満 足、艱難不屈の題目を唱えて6年後の『立正安国論』正義顕揚の佳節を目指し、しっ かり精進して参りましょう。

さて、新年に当たり、唱題と折伏に関する歌が心に浮かびましたので、4首ほど皆様 に御披露申し上げます。

  • 唱題は 何のためぞと 人問はば 無量の徳ぞ 現当のため
  • 唱題は 下種の即身成仏と 聞きて命の 奥ぞ尊き
  • 唱題は 最上にして 最善の 心と身との 鍛(きた)へなりけり
  • 真実の 御法(みのり)をかたく 信じつゝ いざ打ち込まん 折伏の行

いよいよ皆様の信行倍増と御健祥をお祈りいたします。

※造次=ほんのわずかの時間
※※顛沛=つかの間




広布僧俗指導会より 新体制の要点
宗務院庶務部副部長・阿部信彰御尊師


平成15年からの新体制とは、7年間の闘いの中心的役割を果たす布教区別広布推進会の活動、中央協議会、地方協議会の新設、及び全国の寺院における毎月第2日曜日の宗祖日蓮大聖人御報恩御講の奉修と、第1日曜日午前9時からの「広布唱題会」の実施等であります。この広布推進会等は、布教区の活動として実行されるものでありますが、ここに大きな意義が存在すると申さねばなりません。

日蓮正宗は本門戒壇の大御本尊を信仰の根本と拝し奉り、血脈法水の御法主上人猊下に信伏随従し奉って、寺院住職のもと、僧俗一致して信行に励む、その和合僧団が日蓮正宗であり、そこに宗開両祖以来の厳格な師弟相対の姿があるのでございます。

その日蓮正宗の全国寺院を、地域によって分割し、組織化したものが布教区でございまして、したがって布教区には、寺院と、指導教師の住職、及び寺院所属の法華講員とが含まれるのであります。しかるに、日蓮正宗の長い歴史におきましては、各寺院単位の活動を主といたしてまいりました関係で、近代に入り、布教区体制がとられました後も、今日まで布教区としての一体的な活動は、ほとんど見られなかったのであります。

これに対しまして、本宗のもう一つの組織に法華講連合会がございます。法華講連合会は、昭和37年7月、総本山第66世・御先師日達上人の御指南により、結成大会を開催し発足いたしました。この連合会は、本年40周年を迎えるに当たり、奇しくも、平成2年大石寺開創700年の年以来、謗法団体へと転落した創価学会と入れ代わるかのごとく、平成2年・三万総会を皮切りに、地涌六万大総会、客殿落慶十万総登山、そして平成14年の法華講三十万総登山と、4年毎を節目に、この12年間で10倍という大前進を遂げた次第であります。

御法主上人猊下はには、この宗門における布教区と法華講連合会各地方部との関係を、布の縦糸と横糸の関係に擬えて御指南あそばされております。平成15年から発足する「広布推進会」、および「中央協議会」「地方協議会」の活動は、まさにこの縦糸と横糸が固く織り成されるように、本宗の縦と横の組織の接点としての意義をもつ、画期的な活動なのであります。

すなわち、この「広布推進会」は、布教区としての各支部指導教師、及び所属信徒代表の他に、地方部の理事、幹事の方々にも御出席をいただき、また「中央協議会」「地方協議会」においては、それぞれの宗務院と法華講連合会、宗務支院と法華講連合会地方部とが、縦横双方の組織の相互理解と協力を計り、御法主上人猊下の御教導を根本に、この7年間の活動を展開いたすところに、その大きな意義がありますことを、是非ご理解いただきたいと存じます。

すなわち、真の末法広宣流布とは、僧俗異体同心の団結以外には存在せず、「前車の覆(くつがえ)るは後車の戒め」、二度と再び僧俗和合を転覆し、広宣流布を阻む魔の跳梁を許してはならないとの固い信念のもとに、未来永遠の広宣流布の礎たる堅固な僧俗異体同心の基盤を築いてまいるべきであると存じますが、皆様、いかがでございましょう。

次に、この「広布推進会」は、年間を4期に分け、3ヶ月に1回開催され、各回毎に全国統一の期間テーマに基づき3ヶ月間の支部活動を推進することになります。明年第1期のテーマは、広布大願の使命達成に向けて、

  1. 下種先の拡大と折伏の実践
  2. 御報恩御講・広布唱題会参加の徹底

の2つでございます。日蓮正宗の全ての支部が、1月から3月までの活動を、この期間テーマのもとに、統一した闘いをすることが大切であります。宗門全体が共通の意識と行動をとり、異体同心の団結を生み、大きな力となって大前進をいただくためにも、決してこの期間テーマ以外の勝手な活動を支部で展開して、全国一丸の広布大願の使命達成に向けての足並みを乱すことのないように、くれぐれもご協力をお願いいたします。

なお、青年部・少年部に対する育成の強化を計るため、青年部対象の広布推進会を2月に開催し、また少年部広布推進担当者会を年2回開催して、少年部大会の充実など、少年部の育成を計る事になっているおりますので、この点もよろしくお願いいたします。

また、宗祖日蓮大聖人御報恩御講につきましては、毎月第2日曜日に全国の寺院において、統一して奉修されることにより、全国が様々な面で、一体の活動を展開できるようになりますことは、まことに時に適った在り方であると存じます。

さらに、第1日曜日午前9時から広布唱題会は、今さら申し上げるまでもなく、「一切を開く鍵は唱題行にある」の御指南を体し、当月の活動をこの唱題会をもって開始するものでございます。去る、12月5日、総本山にて全国教師講習会において、御法主日顕上人猊下には、この広布唱題会につき、総本山においても御自らが率先して、毎月奉修されることを御指南あそばされました。

このように明年からの活動は、7年間を、御法主上人猊下のもと、日蓮正宗全僧俗が一致団結して、唱題を根本に、『立正安国論』正義顕揚750年の佳節における、地涌の友の倍増乃至、それ以上の輩出を目指し、全力で折伏と育成の活動を展開するところに重大な意義がありますことをご認識いただきたいと思います。


※この原稿は大白法掲載記事からの抜粋です。



論苑 『竜駒鳳雛の輩出を願う』
大宣寺住職・菅野日龍御尊能化


一天の慈光は閻浮の闇を破り、霊峰富士を神々しく照らせば、白銀の嶺は黄金に輝き、瑞雲は大日蓮華山に集まって清気は全山に漲ります。かくして立宗751年「広布大願の年」の新春は穏やかに明けました。当代御法主日顕上人猊下にはご機嫌麗しく、心身お健やかに新年をお迎えになられ、心よりお慶び奉ります。

思い返せば、昨平成14年・宗旨建立750年を慶祝申し上げる諸法要は、些かの滞りもなく順調に奉修せられ、記念の諸事業も障りなく所期の目的が達せられました。僧俗一同の和衷協力によって磐石に築かれた広布への礎は、決して揺るぐことのない、堅固なものであります。燦然と光を放って永遠に宗旨に刻まれるであろう法要並びに事業が十全できたのも、ひとえに御法主上人の御慈徳の賜と拝するものであります。一連の大法要に当たり、一切の大導師をお勤めになられた御法主上人の御威容を拝し奉り、心から敬服申し上げるものであります。

30万総登山並びに奉安堂落慶の歓喜と感動は、今なお我が胸に息づいています。しかし、宗内僧俗には、御法主上人猊下より新たに賜った「平成21年『立正安国論正義顕揚750年」の佳節における、「地涌の友の倍増乃至、それ以上の輩出と大結集」(大白法608号)との御命題があり、その達成に向かって助走を始めているのですから、いつまでも安閑とはしていられません。

平成6年から昨年にかけて宗務院の指導のもと、各支部が僧俗一丸となって応分の努力と精進がなされ、大きな結果を得ることができました。自分たちにもできる、という自信と確信を持つことができたと思います。しかしながら、6年後を見据えた弘通は、これまで以上の内容と実践をもって事に当たらなければ、御命題の達成成就はできますまい。

昔、ある人が大きな池の周りを散策していると、人々が鯉に麩(ふ)をやっているのが目に付き、自らも麩を求めて鯉にやることにしました。その人は麩を千切(ちぎ)らず丸ごど棒のまま池に投げ入れました、3尺豊かな鯉が棒のままの麩に群がる様子はさぞかし偉観であろう、と思ったのです。しかし、予想に反して、その麩には1尾の鯉も近寄らず、周りの人が投げ入れた千切った麩にのみ群がります。試しに手元の小枝で棒の麩を崩してみると、見る見るうちに多くの鯉が寄ってきました。それを見て、「小さいもので育った者は、大きなものが見えない」とつくづく感じたそうです。

大きな目標を頂戴した我々は、小事に囚われず、しっかりとした足取りのもと、綿密なる計画を立て、各講中の性格を分析して現実を直視することを、まずもってしていかなければならないと思います。そしてそこに旺盛なる求道心が具われば、必ずや昨年以上の結果を得られるのではないでしょうか。

このたびの御命題は、『立正安国論』の正義顕揚ということが旗印となっているのですから、昨年の慶祝ムードとは異なり、日本乃至全世界の恒久平和と、大法広布・一切衆生救済の浄業という、世間に向けたより実践的な活動が求められます。ここは何はさておき、立正安国の精神を心肝に染め骨髄にまで浸透させ、折伏に全力を投入して、もって着実に同行の増加を図ることが専一です。各々の立場を活かし、持てる力を十二分に発揮して、濁悪の世に正義を顕揚していくべき時なのです。

さて、今年の法華講連合会実践項目の3点目に、「広布を担う少年部・青年部の育成」ということが謳われております。折伏と同時に将来を担う次世代の育成が急務であり、青少年の層を強固にすべく、常に手を入れ育んでいかなくてはなりません。

私は、宮城の妙教寺に在勤していた昭和27年頃、農村の子弟を対象にして青年学級を開設し、2年ほど青少年に読み書きなどを教えたことがありました。皆真剣に授業に臨む姿を見ながら、いろいろなことを吸収する多感な青年期における育成の大切さを、つくづく感じたものでした。

壮年・婦人の各部が、その経験と確信をもって信心の筋道を明確に指し示し、青少年はその心を真摯に受け止めて信行を磨くという、支部挙(こぞ)っての育成をめざしたいものです。未来の宗門を背負って立つ竜象の成長と、外護の任を全うする竜駒鳳雛の輩出を切に願って止みません。



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