<5〜8面>
我々が唱え奉る南無妙法蓮華経は、申すまでもなく大聖人様が、「日蓮がたましひをすみにそめながしてかきて候ぞ」(御書685ページ)と仰せあそばされたところの本門戒壇の大御本尊様、そして、その本義を受けて御歴代上人が衆生化導のために御書写申し上げたところの御本尊様の御当体、すなわち「南無妙法蓮華経 日蓮」の御当体、御名がそのまま南無妙法蓮華経であります。つまり、日蓮大聖人様の下種本仏としてのお悟りの一切が、この題目に篭められておるのであります。ですから、我々が御本尊様を拝することにおいて初めて南無妙法蓮華経の法体、そして実体が明らかに拝せられるのであります。
邪宗教では過去帳を拝んだり、ただお題目を唱えればよいというような考えから、末法の上の成仏の法体を知らず、空虚な題目になっております。ですから、根本の法体をはっきりするということは、正法正義の所以を拝して本尊を簡(えら)び、正しい御本尊に向かって唱題をすることが最も大切であります。いわゆる妙法蓮華経の大きな法の当体、そして功徳はことごとく日蓮大聖人様の御所持の妙法であるということの上から我々が拝するときに、我々が仏様の功徳をそのまま受けることができるのであります。
また、さらに妙法の当体として示されるのは一切衆生であります。実は、法の上においてはあらゆるものが妙法蓮華経の尊い当体であります。しかしながら、妙法の本義を信じて題目を唱える人以外は自らの尊さを全く知りません。特に煩悩によるところの様々な心の用きの存在する有情は、それがすっかり隠れてしまって、妙法蓮華経の当体であることを自覚していないのであります。しかし、草木はそのままの姿になかにおいて無作三身、妙法の当体として存しております。けれども、ただいまも申したとおり、有情はその心の用きのなかに色々な迷いがありまして、個我に執われるところに妙法の当体を自ら見失っておるのであります。したがって衆生は、本当は妙法の当体であるけれどもそれを知らないのです。
もう一つ大事なことは、心という問題であります。どのような有情も、すなわち犬にも猫にもその他の動物にも、あらゆるものに心が存しております。まして人間においては「万物の霊長」と言われるように、もちろん心が具わっておりますけれども、実はその心が伸縮自在でないのであります。縮んだら縮みっぱなしで、あるところに執われ、あるいは伸びたら伸びっぱなしで、人生をすっかり忘れたような状態になっておる人がいるのです。例えば、ここにもお年寄りの方がいらっしゃいますが、年を取って定年になって、それまでの仕事がすっかりなくなってしまい、何をやってよいか判らない。すると、年を追うなかでまず心が老いぼれてしまうのです。それが、伸びきったままで緊張がない状態であります。しかし、今度は緊張がありすぎると、あちらを見、こちらを見、怒ったり苦しんだりするところの縮んでいる形が存するのです。
しかしながら、その両方とも誤った形なのであり、実は心は伸縮自在なものなのであります。その自在な境界をさらに正しく処理していくところに妙法の用きが存するのです。これは皆さんも既に体験が多々、おありになることと思います。このことは経文にも、「衆生既信伏・質直意柔軟・一心欲見仏・不自惜身命[衆生既に信伏し、質直にして意(こころ)柔軟(にゅうなん)に、一心に仏を見たてまつらんと欲して、自ら身命を惜しまず]」(法華経439ページ)という有名な御文としてお示しであります。皆様方も自我偈のなかのこの御文は、御信心の上からも心掛けの上からもはっきり知っておく必要があると思います。
この「質直にして意柔軟」の「質直」とは、本来の妙法の当体の質をそのまま明らかにしていくという意味で、いわゆる「正直」ということであります。正直ということは、我々の生活のなかにおけるあらゆる問題について、逃げないで、正しく対処していこうという気持ち、自分の命そのものを本当に正しく顕していこうという気持ちが根本的な意味であります。たしかに様々な問題があります。困難な問題もあります。それらの問題を正しく正直に徹底して処置していこうという心が「質直」であります。それが質直ではありますけれども、あまり正直過ぎて、先程申しましたように、心が部分的なところに執われて融通が利かなくなる。そうすると、そこに一つの執われが生じ、色々な意味での悩み、苦しみ、不幸も生じてくるのであります。
次に「質直意柔軟」の「柔軟」ということは、心が常に柔らかいということであります。ですから、どのようなことがあっても、そこに心の大きな温かさ、柔らかさをもってすべてを対処していく、しかもそれに執われず、穏やかに、また柔らかに、その筋道に沿った形での心の用きを保っていくという意味であります。
そして、その次に「一心欲見仏・不自惜身命」すなわち「一心に仏を見たてまつらんと欲して、自ら身命を惜しまず」とあります。大聖人様はこの御文に関連して、「日蓮が己心の仏果を此の文に依って顕はすなり。其の故は寿量品の事の一念三千の三大秘法を成就せる事此の経文なり」(御書669ページ)と、たいへん深い、仏法の根本とも言うべき大事な御指南をされておりますが、我々も「一心に仏を見たてまつらんと欲する」というところに、我々の心が質直であると同時に、柔らかくなるのです。すなわち、大聖人様のお心を信心の一念をもって拝するところに、我々の心が本当に柔らかな状態にもなるし、また物事に対していい加減な考えで放っておかないで、正しくけじめをつけ、正しく処理していくことができるのであります。
今、民主主義の社会の上から、世の中では「自由・平等・尊厳」ということがよく言われております。しかし、本当の意味で自由を持っている人がはたしてあるでしょうか。また、平等の境界を本当に掴んでいる人がどれだけいましょうか。さらに、侵すべからざる生命の尊さをそのまま顕しておる人々がどこにおりましょうか。私はここに、大聖人様の下種仏法を信じ、妙法を唱えておる人以外に、この3つの内容が生活の上に、心の上にはっきり顕れている方は絶対にないと断言いたします。
先程申しました「質直」という境界は、自ら行うことをなんら滞りなく処理していくという意味において、「自由」の意義があります。また「柔軟」ということは、あらゆるものに執われないところの意味から、「平等」の境界を真に得ることになると思います。そして「一心欲見仏」すなわち、「一心に仏を見る」(同ページ)「心を一にして仏を見る」(同ページ)ときに、「一心を見れば仏なり」(同ページ)とお示しのとおり、皆さん方の一人ひとりのお心がそのまま仏であるということが、妙法の功徳がそのまま顕れた姿と思われます。その意味において「一心欲見仏・不自惜身命」がそのまま尊い姿、すなわち「尊厳」の意義をはっきりと表すのであります。いわゆる「自由・平等・尊厳」も、妙法を唱えることにおいてのみ、本当にはっきりと顕れ、他をもこれによって導いていく上から、真の民主主義の根本は妙法の受持信行に存すると言えるのであります。
もう一つ加えますと、大聖人様が『当体義抄』のなかで、「正直に方便を捨て但(ただ)法華経を信じ、南無妙法蓮華経と唱ふる人は・・・三観三諦即一身に顕はる」(同694ページ)ということを仰せになっております。いわゆる「三観」というのは空観・仮観・中観であり、また「三諦」とは空諦・仮諦・中諦であります。実はこれ以外に仏法はないのです。一代仏教がたくさんあり、また外道の教えもたくさんありますが、すべてがこの「三観・三諦」のなかに入っておるのです。空諦・仮諦・中諦という3つの大真理は、あらゆるものを包含しております。それがそのまま、妙法を唱えるところの我々の「一心に顕はる」というのですから、これは本当に尊く、有り難いことであります。
この「空諦」ということは、一切に執われない自由自在な境界を示すのでありますから「平等」の意義があります。また「仮諦」は、あらゆる因縁の姿から我々が存しておりますが、その現在の命のなかにおいて、また生活のなかにおいてあらゆる問題に対処しております。例えば、ある人が悪いことをして夜逃げしようとしておるとします。しかし夜逃げしてはいけないのです。悪いことをすることによって窮地に落ち込んだならば、題目を唱えてその悪いことに正しく対処することが、この人の例における質直の在り方であります。いわゆる仮諦の意義を正しく行っていくところに、自ら正しい仏性の上の顕れとしての「自由」が存するのであります。さらに「中諦」ということがありますが、これは空に非ず仮に非ず、しかも空のところから仮を照らし、仮のところから空を照らして、その中庸のところにおいてあらゆる用きと功徳を成就していくという意味であります。これは大変に難しく、論ずれば長くなりますが、中諦はそのまま「尊厳」の意味があります。つまり、尊さが本当にその人の命の上に顕れる、これもことごとく妙法蓮華経の受持にあります。
On Tuesday, March 30, this year's Ceremony of Entrance to the Buddhist priesthood was held from 10 a.m. at the Mutsubo Hall of the Head Temple Taisekiji. At the "Ni setsu ge gon" of Jyuryo-hon Chapter, the recitation stopped, and his highness called each one passed the examination and cut the leaves of shikimi on his head representing the hair. Aftre the ceremony of tonsure, his highness gave a name for each of 19 new Nichiren Shoshu priest wearing brand new clothes.
前日に剃髪(ていはつ)を済ませた新発意(しんぼつち)の得度者が真新しい白衣に身を包み、式の開始を待つ中、午前10時に御法主上人猊下が六壼に御出仕あそばされ、式は開始された。『方便品』『寿量品』と読経が進められ、「而説偈言」で磬が入り、剃髪の儀に移った。小林道剛御仲居(おなかい)より出身地と名前を読み上げられた得度者が、一人ずつ御宝前中央の御法主上人猊下の御前に進み出て端座すると、御法主上人猊下は髪になぞらえた樒(しきみ)の三ツ葉を剃刀(かみそり)で剃り落とされた。続いて御法主上人猊下は、これまでの名前を改めて出家者としての「道号」を読み上げられた。そして少年得度者19名の新発意が出家したことを御宝前に奉告され、『出家功徳御書』を奉読されたあと磬が打たれ、『自我偈』の読経、唱題と進められた。
このあと御法主上人猊下は、得度者の一人ひとりに対して念珠と経本を授与され、「僧道を全うするよう勤めなさい」と御言葉をかけられ、さらに念珠のかけ方、合掌の姿勢、正座の仕方、御本尊の拝し方などの御指南をされた。そして午前11時前、得度式は終了した。
引き続き大書院に移動し、御法主上人猊下御臨席のもと、平成16年度総本山大坊在勤式が執り行われた。これには、先の得度式に参列した僧俗が参列した。この在勤式は、富士学林大学科を卒業し、非教師としての最後の修行のために1年間の大坊在勤が許された所化さんと、先に得度式を挙げた新発意が正式に大坊に在勤を許される儀式である。はじめに御法主上人猊下より御言葉を賜り、続いて藤本総監、八木主任理事から祝辞が述べられた。さらに小林御仲居の挨拶のあと、新在勤者を代表して1年在勤の安沢良永さんより、御法主上人猊下の御指南を身に体して進む旨の宣誓がなされ、続いて中学2年生の岩井行節さんから新得度者を迎えての歓迎の言葉が述べられた。最後に全員で奉安堂を遥拝し、在勤式は正午前に終了した。
法華講連合会第41回総会実行委員会として、皆様に御礼を兼ねてご報告を申し上げます。まず3万名の動員について申し上げます。過去数年にわたり3万名の目標が達成できませんでしたが、今年は申し込みで3万0655名でした。これは地方部・支部の心ある方々が、最後の最後まで結集に努めてくださった成果です。全国の法華講の皆様に感謝申し上げます。しかし残念なことに当日は2万9819名の御登山でした。委員長からは、3万人を1人でも欠ければ目標達成にならないと厳しく言われ、このことは深く反省しております。
未来に向かって、特に平成21年に向かい、法華講が大きく発展する礎として今後1回1回の総会を結集し、全国の方と共にすばらしい総会にしていきたいと思っております。
【会場計画】
総会会場について、昨年までの反省で、「メイン会場の広布坊は盛り上がるけれども、他の会場がどうしてもサブ会場的な印象で終わってしまう」ということがありました。このことを柳沢委員長は、「すべての会場がメイン会場である」と厳しく話されまして、御法主上人猊下がすべての会場で皆さんお一人おひとりの前にお出ましになられているという自覚を皆さんにお願いいたしました。その結果、各会場とも御法主上人猊下のお出ましの前から正座をされてこの総会を迎えられたと伺っております。「常に御法主上人猊下がいらっしゃる」ことを意識していく、このことは法華講が未来何十万人、何百万人になろうとも、大きく影響していくと感じております。
また、各会場に会場責任者、音響責任者、大石寺従業員の方が詰めて、いかなる事態にも対処できるように準備してくださっておりました。ほとんどの会場で音声もきちんと聞こえ、映像は1カ所を除き、全体的によく拝することができたと伺っております。
『大白法』2月16日号でお伝えしましたが、例年、総会の前と後の時間帯は総本山周辺の道路が大渋滞となり、そのために総会に間に合わない人が出ておりました。このことを真剣に考え、総本山からも細かい御指導をいただきながら、バスルートと自家用車ルートを分けるなど、綿密に計画いたしました。また、東名富士並びに西富士道路の料金所のゲートを全部開けていただくことを道路公団にあらかじめお願いし、富士宮警察へも主な交差点にて交通整理をお願いして、ご協力いただきました。このことも感謝申し上げております。
当日、バス410台、自家用車2千650台が順調に通過できるよう、輸送・整理・救護班が数ヵ月前から、自前で進行方向を示す地図や看板を作るなどの工夫をしてくれました。また、自家用車の方は早めの着山を心がけ、大方が8時頃までに着山され、今年は自家用車の渋滞はほとんどなかったと聞いております。
バスの一部には、料金所手前より渋滞が発生しました。これは同じ時間帯に集中することが原因ですので、今後、時差を作るために総本山に近い地方部に、30分でも早く出発していただくなどのご協力をお願いしていきたいと思っております。
さらに、自家用車利用を減らす要請にご協力いただいたことについて申し上げます。連合会発足当初より総登山会は、支部でまとまって登山しておりました。近年は自家用車を利用する傾向があり、今回も当初は4千台以上もの自家用車使用の申請がありました。しかし、駐車場にはどんなに工夫しても、最大2千750台しか駐車できません。車があふれて付近の道端に車を止めたりしたら、総本山や周囲の住民の方々に迷惑をかけることとなり、これでは法華講の信心ではありません。また、大石寺の目前まで来ていながら、車が置けずに総会に参加できないというような事態も避けなければなりません。そこで、自家用車を1千300台以上減らしていただきました。この結果、短時間でスムーズに着山できたことは非常に感謝申し上げております。
自家用車を減らした分、地方部・支部でバスを新たに仕立てたり、ワゴン車で数軒立ち寄りながら乗り合わせるなどして対応していただきました。このことは非常に大事なことだと思います。昔から法華講は、支部ごとに、または地方部でまとまってバスや列車で登山しました。その道中で信心の話をして、互いの信心の向上を図ってきたのです。このことの大切さを、今回改めて学んだ、との声も聞いております。
【鼓笛隊・ブラスバンドの演奏】
この総会で多くの鼓笛隊にパレード演奏していただき総会を盛り上げたいと、全国に問いかけたところ、17地方部18隊から参加の希望がありました。ただ、総会当日に18隊ものパレードをどのような時間帯で行えばよいか検討していく中、総会前に半分、後に半分という、今までにない計画をさせていただきました。不備な点もありましたが、鼓笛隊員・ブラスバンド・スタッフ合わせて958名の方が集まって、パレードと総会ですばらしい演奏をしていただきました。
総会に集った登山者一人ひとりを元気づけ、総会を盛り上げてくれ、全国より集われた法華講の皆さんからもたいへんすばらしかったとの反響です。どうもありがとうございました。
昨年より新たに始まった法華講夏期講習会。本年第2回目の法華講夏期講習会は、5月29日・30日を皮切りに全10期にわたって行われる。
講習会概要
□夏期講習会は1泊2日で行われ、対象者は中学生以上となります。
□1日目は御開扉の後、「御書要文講義」「教学」「信仰実践演習」を受講します。
□2日目は御法主上人猊下の御講義を戴いた後、挨拶があり、夏期講習会が終了となります。
□各期ごとの連合会締切日、2日間のスケジュール等は次号で掲載いたします。
四月度広布唱題会の砌
皆さん、おはようございます。本日は4月度の第一日曜における広布唱題会を総本山において執り行いました。この広布唱題会は、全国5百数十ヵ寺の寺院においても、本日の9時から一斉に行っておる次第であります。本日は、いつも御参詣になる方以外に、支部総登山で登山の方もおられるようでありまして、この客殿の信徒席も一杯で、まことに盛大に唱題行を行ずることができまして、たいへん有り難く思っております。
厳粛に得度式・大坊在勤式
少年得度第45期生の得度式が、3月30日午前10時より総本山大石寺の六壺において、御法主日顕上人猊下大導師のもと厳粛に執り行われた。これには、総監・藤本日潤御尊能化、教学部長・大村日統御尊能化、庶務部長・早瀬日如御尊能化、大石寺主任理事・八木日照御尊能化、宗会議長・土居崎慈成御尊師、宗務院各部の部長・副部長をはじめ、塔中・山内及び得度者有縁の御僧侶方が多数御列席。また得度者の両親や親族、有縁の方々が多数参列した。
連合会企画部長・井出國弘
「破邪顕正の年」の春季総登山会を3月27・28日、晴天に恵まれて無事に終えることができました。その中で行われた第41回総会がたいへんすばらしかったとの声が、たくさん聞こえてきております。また、御法主上人猊下がこのたびの春季総登山会・第41回総会をたいへんお喜び下さっていたと総講頭・柳沢委員長より伺い、何とも言えぬ思いです。ひとえに全国の法華講の皆様の団結した努力のおかげであります。
【着下山・整理誘導】
以上、概略申し上げ、ご報告といたします。実行委員会としましては、本年の成果と反省をいかして明年の糧として活かしてまいる所存です。全国の法華講の皆様、本当にありがとうございました。
平成16年度(第2回)
期別 日程 期別 日程 第1期 5月29日(土)30日(日)
第2期 6月5日(土)6日(日) 第3期 6月11日(金)12日(土)
第4期 6月19日(土)20日(日) 第5期 6月26日(土)27日(日)
第6期 7月3日(土)4日(日) 第7期 7月9日(金)10日(土)
第8期 7月17日(土)18日(日) 第9期 7月24日(土)25日(日)
第10期 7月28日(水)29日(木)
□全員が同じ内容を受講します。
□受講には『講習会テキスト』を使用し、着山した当日の受付時に配布することとなっています。
申し込み
□申し込み受付後、宿泊可能人数以上の期について、調整をさせていただく場合があります。