○法華講夏期講習会指導会より 指導 法華講本部指導教師・八木日照御尊能化
皆さん、こんにちは。第6回法華講夏期講習会に、全国から、皆さん方ようこそ参加をされました。ただ今は御法主日如上人猊下から親しく御書の信行要文につきまして甚深の御指南を賜りまして、いよいよ信心を奮い起こして後半の折伏戦をがんばっていこうという意気込みに燃えていらっしゃること存じます。
本年の年頭に当たり、御法主上人猊下は二つの大事を我々にお諭しくださいました。
その一つは明年、いよいよ宗祖日蓮大聖人様が『立正安国論』の正義を顕揚あそばされてから、実に750年目というたいへん大きな佳節を迎えるに当たってのプレ大会である、本年度全国4会場における地涌倍増大結集推進決起大会の大結集であります。これは本年2月3日の西日本決起大会を皮切りといたしまして、2月24日の九州、4月29日の北海道、そして最後が先般6月15日の東日本決起大会と、いずれも完全勝利をもって盛大に勢いをもって開催され、明年へ向かって弾みのつく、すばらしい結果を見ております。どうか大会参加者全国8万4千余の人たちが立ち上がり、決河之勢いで本年後半戦を勝ち取ってまいりましょう。
7月度の広布唱題会の相におきましても、御法主上人猊下から、「全国4会場での決起大会もすべて大勝利を収めることができた。運営委員をはじめ参加者の絶大な協力の賜物である(趣意)」(大白法745号)とこのように尊い労(ねぎら)いの御言葉を戴き、まことに感激をした次第でございます。
もう一つは、本年度の折伏誓願目標の完全達成でございます。本年の「躍進の年」を迎えるに当たり、それぞれの講中におきまして、また一人ひとりが、「本年はこれだけの折伏をしっかり成就しよう」と、決意し御本尊様にお誓い申し上げた折伏について、全国の各講中が漏れなくその目標を完遂することが大事である、必ず遂げよう、こういう御法主上人猊下の御指南でございます。
さて本年「躍進の年」、折伏を成就していくために宗門といたしまして僧俗が取り組むべき三つの実践項目を、目標として掲げています。
その一つは、「総登山と大結集の推進」であります。これは、明年の『立正安国諭』正義顕揚750年の大佳節に、全国の各講中において一年を通じて記念総登山を行い、講員一人も漏れなく総本山へ、御戒壇様のもとへ、御法主上人猊下のもとへのご登山を推進するということであります。
このことにつきまして6月24日、記念局の常任委員会におきまして、明年は記念大法要や精鋭7万5千の大結集総会をはじめ、正月の初登山会、春秋の二大法要、寛師会、海外信徒総登山などすべてを網羅して、総計50万総登山を実施しようという御指南を賜りました。
つい最近の決定で、啓蒙徹底はこれからですけれども、「明年は50万総登山」と皆で意識を高め合い、講中お互いに励まし合いながら、年間を通じて記念総登山を行う。これを中心として、7月26日の精鋭7万5千の大結集、これらを含めて50万総登山を達成しようということでございます。
また大結集は、今申し上げました明年7月26日に精鋭7万5千が総本山へ大結集することでありますが、頭数だけ7万5千人集まればいいというわけではございません。精鋭とは何か、これは選り抜きの優れたすばらしい力と勢いを持った、そういう人のことを言います。我々の信心の上で言うと、一人ひとりが折伏に育成にそれぞれ精進し、がんばり切った人たちが7万5千集まるということであります。これを本年度におきまして推進していくのであります。来年その場になってあたふたと走り回っているようでは、成果はおぼつきません。本年のうちから、真剣な唱題、地道な一軒一軒の家庭訪問を積み上げて、明年の完全勝利を準備していく。その上に初めて明年の成果がはっきりと現れてくると思います。
二番目が、「真剣な勤行と唱題」であります。勤行と唱題は、我々日蓮正宗の僧俗にとりまして毎日欠かすことのできない大事な基本の修行であります。
朝の五座の勤行、夕方の三座の勤行、そして唱題行。これを欠かすことなく1年間、3年、5年と実際に身に行じて続けていくということは、よほど固い信心を持ち、毎日の生活の中できちんと時間を決めて、家族ぐるみで行っていくという習慣を、打ち立てていかなければ、なかなかできていきません。
真剣という言葉は、物事に対してまじめに本気で一生懸命に取り組むということであります。真剣勝負という言葉もあります。かつて武士の社会におきましては、真剣、つまり竹刀や木刀ではない本当に切れる刀です。その真剣で勝ち負けを争うということは、切られれば自分は死んでしまうわけですから、全神経を集中して命がけでうち向かっていく姿勢が、真剣という言葉に表されます。毎日の勤行や唱題がついつい惰性に流され、ただ何となくやればいいという感じになってしまうようではいけない。もし今朝の勤行が自分の人生最後の勤行になるという場面を迎えた時とすれば、まさに真剣という言葉の意味の重さが判ると思います。
そして三番目が、「不断の折伏と育成」ということでございます。不断というのは、絶えることのない、常にということであります。常に折伏と育成を心がけていく信心です。
「聴聞する時は燃え立つばかり思へども、遠ざかりぬれば捨つる心あり」(御書1206ページ)という大聖人様の御誡めがありますが、一年の中で思い立ったある時期、ある何日かは一生懸命やるけれども、それがなかなか長続きしない、これでは不断にはなりません。絶えることなく常に折伏と育成を心がけていくことが大切であります。
折伏により新たに御本尊様を戴く新入信の同志ができます。その場合に、その方の信心育成を、紹介者はもちろんのこと、住職をはじめ講中の役員あるいは周りの信徒の人たちがお互いに協力し合ってこまめに家庭訪問し手厚く育成をしていく。一緒に勤行をし、一緒に折伏に歩くという育成を心がけていきましょう。
一昨年、宗門として『折伏と育成について』という異体的な方法を細かく定めたパンフレットを作り、皆さん方にこれを徹底していっていただきたいということで頒布したことがございますが、どんなに一生懸命に折伏をして新たな入信者を迎えても、そこに心を込めた育成ということがなければ、地涌倍増は成し遂げられません。入信はしたけれども、一週間、十日経ち、一月経ち、半年・一年経つ間に、あの人は歓びもなくちっともお寺にも会合に出てこなくなった、名簿上だけの人になってしまったというようなことでは、せっかくの折伏も地涌倍増に繋がりません。この育成ということは根気のいることですが、本当に大事なことであります。
住職を先頭に講中の役員の人、それぞれの立場の人たちが協力し合いながら、組織を挙げて新入信者に対する育成を行っていく。あるいは新入信者ばかりでなく、入信して3年、5年、10年経つうちに我見に陥って信心の歓喜を失い、折伏への取り組みも遥かに遠のいているような人たちが講中の中にいないか、そういう人たちを見つけ、新入信者と同じように、やはり育成ということを心がけていかなければならない。これが講中の活性化、そして地涌倍増に繋がっていく大事なことであります。
これもどうかそれぞれ、ご自分の身に当てて、自分は残された半年間でこういうことを毎日・毎日やっていかなければならないという目標をしっかりと見定めて、実践いたしましょう。明年を迎えるためのこの決起大会も成し遂げ、あとは折伏あるのみ。ただ今も御法主上人猊下からこんこんと御指南がございました。どうか皆さん方、この後半戦に向かって多いに精進をしていっていただきたいと思います。
最後にもう一点申し上げます。それは特別御供養の件でございます。『立正安国論』正義顕揚の750年を明年迎えるに当たりまして、数年前から記念局が設置され、様々な記念事業が進められています。中でも総本山の総合整備事業は近来にない大事業です。
そのうち特に、総本山第17世日精上人の時代に、敬台院殿をはじめ全国のご信徒の御供養によってあの立派な御影堂が総本山の中心に建てられましたが、その御影堂の大改修工事が行われております。寛永9(1632)年に建てられた御影堂につきましては、長い歴史の中で、これまでに何度も改修工事は行われてまいりました。明治の中期56世日応上人の時代にも大々的な改修が行われましたけれども、今回はさらに学術的な検討が十分加えられ、抜本的に、全部解体した上で耐震性にも勝れた万全な工事をということで、たいへん年月も費用もかかります。しかし、平成の大改修として永く伝えられることと思います。
また、塔中宿坊の建替え工事も行われております。国内外から総本山に参詣されるご信徒の方々のため、老朽化した従来の宿坊を新たに建て替え、耐震性に勝れ安全で快適な空間を確保しようという御法主上人猊下の深い思し召しの上に、総本山の総合整備事業として進められております。既に昨年4力坊が完成し、さらに本年も来月には、観行坊をはじめとして5力坊が完成する予定です。さらにまた次々と建替え工事が進められてまいります。これらも大きな費用がかかります。
皆さん方には既に、第1回、第2回の特別御供養において、多くの浄財をお寄せいただき、たいへんありがとうございました。第3回目がいよいよ本年末に行われます。どうかこの意義を十分ご理解いただきまして、目下、国内外共に経済的にたいへんな時期ではございますけれども、篤い護法の志をもって、応分の御供養を御本尊様にお供えいただきたいと、このように心からお願いをする次第でございます。
いずれにいたしましても、我々、大聖人様の御遺命である広宣流布を進めていく者といたしましては、何と言っても折伏行が最も肝心であります。自らの罪障を消滅し、宿命を打開し、自他共にすべての人々が、活き活きとすばらしい人生を送っていける仏国士を建設していくという崇高な使命を担う我々であります。
どうかお帰りになりましたらば、この講習会での信行錬磨の功徳をもって、多くの人たちにこのことをお伝えし、共々に立ち上がって、本年後半の折伏戦をしっかりがんばってまいりましょう。