<4〜8面>
本年、宗門は僧俗一致の盤石なる体勢を構築して、来るベき平成27年・同33年の新たなる目標へ向かって、力強く前進すベき誠に大事な年を迎えました。
今、国内外を見ると、温暖化による地球規模での異常気象、生態系の変化、飢饉や災害、更に戦争や動乱、至る所で起きているテロや暴動、世界的な経済不況、政治への不満と不信、ますます凶悪化する犯罪など、悲惨で不幸な事件が頻発し、混沌とした世相を映し出しています。
こうした人心が極度に混乱した濁悪の世の中を救っていく唯一最善の方途こそ、「仏法は体、世間は影」の原理に随って、末法の御本仏・宗祖日蓮大聖人の正法正義を受持する我等一人ひとりが、地涌の使命を自覚して、一切衆生救済の大願に立ち、一人でも多くの人に妙法を下種し、折伏を行じていくことであることを銘記しなければなりません。
而して、折伏を行ずるに当たって大事なことは種々説かれておりますが、その根本となるものは慈悲であります。
大聖人は『諌暁八幡抄』に、「今日蓮は去ぬる建長五年癸丑四月廿八日より、今年弘安三年太歳庚辰十二月にいたるまで二十八年が間又他事なし。只妙法蓮華経の七字五字を日本国の一切衆生の口に入れんとはげむ計りなり。此即ち母の赤子の口に乳を入れんとはげむ慈悲なり」(御書1539ページ)と仰せであります。
折伏は、この御本仏の広大深遠なる大慈大悲を我が身に移し、一途に相手の幸せを願う一念に徹して励むことが肝要であります。この一念がないと「慈無くして詐(いつわ)り親しむは彼が怨なり」の譏(そし)りを受けることになります。
『法華経安楽行品』には、法を説く者の心得として、「嬾惰の意(こころ) 及び懈怠の想(おもい)を除き,諸の憂悩を離れて 慈心をもって法を説け.昼夜に常に 無上道の教を説け.諸の因縁無量の譬喩を以て 衆生に開示して,威(ことごと)く歓喜せしめよ.衣服臥具 飲食医薬 而も其の中に於て 稀望する所無かれ.但一心に 説法の因縁を念じ 仏道を成じて,衆をして 亦爾ならしめんと願うベし」(法華経390ページ)と説かれています。
即ち、怠慢・横着・無精・懈怠・懶惰の心を除き、憂いと悩みの迷いを離れて、慈悲の心を以て法を説き、昼夜の別なく無上道の教えを説き、諸の因縁と譬喩を限りなく語り聞かせて人々に仏の教えを説き示し、皆を歓喜せしめ、美しい衣服、柔らかな寝具、美味なる飲食、貴重な医薬があってもそれを求めず、ただ一心に法を説く者の因縁をもって、自らも仏道を成じ、人々もまた仏道を成ずるように願うべきである、と仰せられているのであります。この文は四安楽行のうち、口安楽行の一文でありますが、現代においても通用すべき教訓であります。
就中(なかんずく)、「慈心をもって法を説け」との文意をよくよく拝し、折伏を行ずることが最も肝要であります。今、宗門は僧俗挙げて大折伏戦に臨むべき大事な時を迎え、一人ひとりが慈悲の心を持って折伏に励まれますよう心から願うものであります。
『報恩抄』には、「日蓮が慈悲曠大(こうだい)ならは南無妙法蓮華経は万年の外、未来までも流るべし。日本国の一切衆生の盲目をひらける功徳あり。無間地獄の道をふさぎぬ。此の功徳は伝教・天台にも超へ、竜樹・迦葉にもすぐれたり」(御書1036ページ)と仰せであります。
各位には、この御金言を心肝に染め、愈々御精進されますよう心から願い、新年の挨拶といたします。
以上
平成22年・立宗758年の新春、明けましておめでとうございます。
御法主日如上人猊下、並びに御隠尊日顕上人猊下におかせられましては、ますます御健勝にて新年をお迎えあそばされ心からお慶び申し上げます。法華講総講頭・柳沢喜惣次氏、大講頭各位をはじめ、全国の法華講員各位には「広布前進の年」の新春を、新たなる決意を胸に勇躍出陣されたことと存じます。
昨年の「正義顕揚の年」は、年間実践テーマの、全講員が勤行・唱題と折伏の実践を徹底し、50万総登山の達成、そして7万5千名大結集総会を見事に勝利し、宗門史に輝く金字塔を打ち立てることができました。まことにご苦労様でした。
あの7万5千名大結集総会の歓喜の躍動を以て、新たなる御命題である平成27年までに全支部が講員数を50%増加することと、平成33年までに法華講員80万人の体勢を築くことの達成に向けて、大前進を開始いたしました。
御法主上人猊下は、「法華講は今まで、結集の戦いはすべて勝ってきました。しかし、次は折伏の戦いを完全勝利することであります。折伏なくして広宣流布は達成できないからであります」(大白法771号)と本年からの闘いは折伏の一点に尽きることを強く御指南あそばされています。一人ひとりが広布の戦士として実証を示していかなければなりません。
宗門といたしましては新出発に当たり、宗務院に布教部を新設し、強力に布教推進を図る体制を整えました。全国の法華講支部においては指導教師のもと、僧俗一体となって大折伏戦を展開してまいりましょう。本年からの折伏は80万体勢を見据えて講員数の増加を図ることにあります。新入信者の育成を着実に図り、登山の推進をしっかり行い、名実共の法華講員の増加でなければなりません。勤行・唱題を根本にして不断の折伏実践と、総本山参詣による大功徳を全講員が享受できるよう、具体的な計画による組織戦が大切であります。
新たなる御命題を確実に達成すべく、最初の今年、「広布前進の年」を勇猛精進して堂々たる出発をいたしましょう。
立宗758年の新春を迎え、御隠尊日顕上人猊下には御機嫌麗しく新年をお迎えの御事と存じ上げます。また、全国法華講員御一同には、清々しく新春を迎え慶賀の至りに存じます。
○ 総監・八木日照御尊能化