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 第6章 沖縄県 太平洋上の南大東島(2001年 1月)
     10.那覇07 那覇で出会った食堂とレストランと

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☆これまでの旅☆
三国志で有名な関羽と、論語で有名な孔子に会ったあとは、神社とお寺をぶら
り。そして図書館で資料収集だ。ある日、南大東島から一人の男がやってきた。
南大東島のリアルな情報が手に入った。悪いこともあれば、いいこともある。
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●朝食

 都市部にある民宿のためか、朝食は出ない。だから民宿というよりも、ゲス
トハウスといった感じだ。
 日課の図書館へ向かう途中で朝食を食べよう。ちょっと寄り道をした卸売市
場の近くでみつけた平和食堂。市場で働く人たちが、ちょっと食事によるよう
な感じの小さな店だ。
 食べたのはソーキそば、400円。安い。そしておいしい! ソーキについてい
るあばら骨がとってある。とろりとした肉はとてもおいしい。
 食事をしたついでにほかのメニューを見てみると、チャンプルー類は500円く
らいだった。これは安い。
 図書館のとなりには市民ホールがある。その前で軽トラ屋台でお弁当を売っ
ていた。ジューシーおにぎり2個入り200円と、油味噌のおにぎり1個150円。
 「ジューシー」はかやくご飯(炊き込みご飯)のことだ。油味噌は、味噌と
砂糖、そして魚肉のフレークなどを軽くいためたものだ。沖縄名物ということ
になっているが、鹿児島や宮崎にもある。安いので買って公園で食べた。
 ジューシーおにぎりはひじきが入っていておいしい。油味噌おにぎりは、油
味噌の中に具は入っていないようだ。しかも少ない。
 なぜこのようなお弁当屋が出ているかと言うと、今日は市民ホールで大衆演
劇をやっているからのようだ。

●牧志市場の周辺で夕食

 那覇の中心で食堂をまとめてさがしやすいところ言うと、やはり国際通りで
はないだろうか。
 牧志市場周辺でみつけた、ちょっとおしゃれな食堂。雰囲気からすると観光
客向けだ。だから、値段がちょっと高い。
 注文は観光客らしくゴーヤーチャンプル600円。沖縄で食堂の観光度を見るた
めの指針の一つだ。まったく苦くなければ観光度100。苦くなればなるほど地元
度が高くなる。
 この食堂は見た目は観光客向けだが、沖縄の常識であるご飯付きで、少し期
待させる。
 しかし、肝心のゴーヤーがぜんぜん苦くない。苦味以外についてはとてもお
いしいだけに残念だった。
 苦くないゴーヤー、観光客向けの店なのは確実だ。といっても、沖縄人全て
が苦いゴーヤーを好んで食べるわけではない。苦いゴーヤーがきらいな沖縄人
も大勢いる。

●むじ汁

 それから、定食にはねとねととした汁が付いていた。店の人の話では、ねと
ねととしたのは、ターム(田芋)というサトイモの仲間の茎の部分、つまり芋
茎(ずいき)だ。ムジ汁と言うらしい。みそ汁にタームの芋茎を入れた今がシ
ーズンの沖縄の伝統料理。
 タームは小芋がいっぱいできるので、多産のシンボルで、子供が生まれると
ムジ汁を道行く人に振舞ったという。
 しかし、宅地化で1960(昭和30〜40)年代くらいからつくられなくなり、今
の沖縄人は知らない人も多いらしい。ところが最近、大山町と金武町が町おこ
しとして作り始め、手に入れやすくなったと言う。
 フィリピンでつくった安いものを輸入しているので手には入るが、かたくて
まずい。やはり、沖縄産の方がいいようだ。
 この類の芋はは、イモを食べるものと茎を食べるものがあるが、タームはど
ちらも食べれるようだ。ただ、アクが多いので塩茹でしなければならないらし
い。ぼくが食べたのはアクがなく、サトイモのあっさりしたような味で、香は
キノコのようでおいしかった。

●観光客向けレストラン

 別の日、食事しようと国際通りを歩いていると、店がどんどんしまって行く。
まだ夜の6時すぎだと言うのに。
 そのような状態で入ったのは、国際通りの観光客向けレストラン、琉球料理
 比屋定。立地や外見と同じように内装も観光客むけ、いかにも「沖縄」とい
う感じがする。しかし、シーズンオフのためか、客はぼくだけだ。
 むじ汁ご飯つき682円。むじ汁は数日前似夕食を食べたレストランで話を聞い
てから食べてみたいと思っていたものだ。しかし高い。やはり、観光客向けだ。
 さあ、食べよう。味噌汁にズイキが入ったもの。豆腐も入っている。アクも
無くおいしいのだが、ちょっとあいそがない。おかずにするならもっと味が濃
い方がいい。
 ごはんはちいさいお茶碗だが、大盛り。定食として考えると、可も無く不可
も無くと言う感じだ。ただ、味は完全に観光客向けだろう。ほかはもっと高い
ものばかりだ。
 食事を済ませてから、民宿に向かって商店街をうろついていると定食のある
喫茶店を見つけた。定食ランチが500円。沖縄料理ではないが、安いので明日は
ここにこよう。

●水上店舗

 夕食を食べようと国際通りまで行って水上店舗で夕食。雑居ビルの三階にあ
る紀乃川食堂。
 国際通りに面したところに看板があって、そこに書かれている値段が安かっ
たので入ったのだが、メニューを見ると50円高い。詐欺か、それとも訂正忘れ
か。人のよさそうな夫婦の顔を見ていると、後者のような気がする。まあ、50
円だから怒ることもない。
 座敷とテーブルの小さな店だが、こざっぱりとしていて、小料理屋という感
じだ。おじさんとおばさんの笑顔がいい。
 ふーちゃんぷるー定食550円。「ちゃんぷるー」はいろいろ混ぜる炒め物のこ
と。「ふー」は「麩」だ。ぼくの感覚では、麩はスキヤキやお吸い物などの具
の一つで、それ自体がメインになるようなものというような感覚はない。しか
し、沖縄では、麩も立派におかずのメインを張っている。
 さて、この店のふーちゃんぷるー定食は、ごはん、ふーちゃんぷる、もずく
の酢の物、つけもの、味噌汁、といろいろついている。沖縄の定食は、このよ
うにいろいろついてきて、その上量が多くて値段が安いので好きだ。
 メインの麩はぼろぼろに崩している。菜っ葉も一緒に炒めていて、素朴な味
付けだがおいしい。十分すぎる量で、おなかいっぱいだ。
 その料理屋で食事しているときに見ていたテレビで二ュースキャスターが
「寒いので思わずストーブを買ってしまいました。電気のやつを」といってい
た。
 寒いからストーブを買う。というのもすごいが、この程度の寒さでストーブ
を買うのか、と思ってしまった。ぼくにしてみれば、確かに寒いが、ストーブ
を買うほどのことではない。
 それを聞いて、寒がりのぼくがなんだか寒がりでなくなったような気がした。

●つづく●
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