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 第6章 沖縄県 太平洋上の南大東島(2001年 1月)
     11.那覇08 那覇の味

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☆これまでの旅☆
日本と中国とインドの神様に会った後は図書館で資料収集。さすが沖縄、南大
東島の資料はたんまり? ある。食う寝るところに住むところ、図書館だけで
はおなかが減ってしまいます。那覇の食堂で沖縄料理を食べました。
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●スーパーのお弁当

 今日も日課となっている図書館通いだ。10時前、宿を出る。雨が降っていて
寒い。これが沖縄の冬だろうか。
 途中、商店街にある小さなスーパーの丸市ミートでお昼ご飯を買う。目につ
いた田芋(たーむー)のてんぷら200円。四角いはんぺん状。
 食べた感じでは、ねっとりとしている。多分田芋をすって蒸したものを四角
く切ってころもをつけて揚げたものではないだろうか。自然な甘さでアクも無
くておいしいが、揚げ物だから4枚も食べるとちょっとしつこい。
 そのてんぷらはおかずで、メインがホーク玉子味噌おにぎり160円。沖縄名物
のポーク玉子と油味噌のおにぎりがあるところが沖縄だ。おいしい。
 それからついつい買ってしまった沖縄名物のお菓子。松原製菓でサーターア
ンダギー。黒糖1個と紅芋1個。どちらも100円。黒糖は黒糖のエグミが無く、
黒糖の風味でおししい。

●沖縄のファーストフード JeF

 ある日の朝食はJef。「ジェフ」と呼ばれる沖縄のハンバーガーチェーン。
沖縄名物のハンバーガーチェーンというとA&W(エンダー)があるが、そち
らはアメリカのフランチャイズ。それに対してJefは沖縄発祥のチェーン店
だ。だから、ここにはゴーヤーバーガーとぬーやるバーガーがある。
 食べたのはゴーヤーバーガー280円。円形のゴーヤの卵とじの下にチーズ。そ
れらをバンズではさみ込んだもの。ソースはマヨネーズ。ほのかなゴーヤーの
苦味と玉子の甘味でおいしいが、個人的にはもっと苦い方がいい。
 別の日にはぬーやるバーガーセットを食べた。514円。「ぬーやる」が何かし
らないが、このバーガーはゴーヤー卵とじにチーズとポークランチョンミート
をプラスしてゴマつきバンズに挟んだもの。
 これに、A&Wと同じようにルートビアL220円をつける。このルートビアL
は本当にでかい。アメリカンサイズだろうか。カップの高さは7センチ。
 味はA&Wのよりも薬のような後味が穏やか。だからA&Wに慣れたぼくに
とっては物足りない。しかし、この薬っぽさがルートビアが敬遠される理由だ
と聞いたことがあるので、Jefの方が人気があるのだろうか。結構人が入っ
ていたので地元密着型という感じだ。

○ジェフ沖縄株式会社ようこそA&Wホームページへ

●今日の夕食はポーク玉子

 今日もみっちり図書館で調べもの。昼休みの休憩、12時前で15℃。寒い。と
はいえ、絶えられないほどではない。
 昼食後、日課となっている図書館でのコピーが終わり、17時ころ一旦民宿へ。
荷物を置いて再出発。夕食だ。といっても、旅先での夕食はただの食事とはち
がう。その土地を知る行為の一つだ。
 食事は国際通り。昨日見つけた喫茶店あかとんぼ。雑居ビルの三階にある。
食べるのはすでに決めていた。ポークたまご500円。沖縄メニューがこれしかな
いのが残念だが、500円定食が並んでいるのでうれしい。これでゴーヤーとかナ
ーベラがあれば言うこと無いのだが。
 ポークたまごは、ポークと卵が別々に出てきた。話に聞いていたのはオムレ
ツ状態だったのだが。まあいい、量は十分だ。
 食べてみるとカリカリのポークはおいしい。YHさんから聞いていた通りだ。
以前料理した時はカリカリにならなかったのだが、あれは失敗なのだろう。
 タマゴの方は2個分くらいはあるだろう。多い。あと、マヨスパ少々とキャ
ベツの千切り、菜っ葉がちょっと入った味噌汁。

●SPAMを食べる

 さて、ポークたまごの「ポーク」とはどのような豚肉なのだろうか。それは、
ただの豚肉ではない。インターネットでe-mailを利用している人にとっては関
係のあるものだ。
 「SPAM(スパム)メール」という言葉を聞いたことがある人は多いと思う。
簡単に説明すると、ときどき、自分の知らないところからわけのわからないメ
ールがやってくることがある。そういったメールが「SPAM」=「迷惑」メール
なのだ。
 「一方的広告メール」などと定義している人もいるが、それだと日本語以外
はSPAMメールでないことになってしまう。広告か何かわからないから。という
ことで、私は本来の意味である勝手に送られてくる「迷惑な」メールという意
味で使っている。
 で、そのSPAMメールの語源となった「SPAM」とは、この沖縄名物のポークた
まごに使われる豚肉のことだ。
 沖縄はアメリカの統治を長い間受けていたので、いろいろとアメリカのもの
が入りこんでいる。それの一つがSPAMだ。もっともこれは商品名で、ポークラ
ンチョンミート、早い話が、コーンビーフの豚肉版だ。
 沖縄ではよく消費されるようで、このアメリカ製のSPAM以外にもデンマーク
のTULIPというのがあり、沖縄のスーパーの店頭ではSPAMと二分している。ちな
みに、このTULIPは、その最大の輸出先が日本、つまり、沖縄らしい。

○SPAM沖縄仕様
SPAM沖縄仕様WWW.SPAM.COM(英語)
 SPAMをつくっているホーメル社のサイト。

○TULIP FOOD COMPANY(英語)
 TULIPのサイト。

●ポークランチョンミート

 もともと、豚肉をよく食べる沖縄なので、このポークランチョンミートも抵
抗無く浸透したようだ。もちろん、その背景には、戦後の動物性蛋白不足も深
く関係しているのだろう。本土では鯨の肉が使われていたところが、沖縄では
缶詰の豚肉になったのかもしれない。
 このポークランチョンミートは、薄くスライスして、フライパンで表面がカ
リカリになるまで焼いて食べるとおいしい。このとき、できるかぎり薄く切る
のがポイントだ。
 ポークたまごもそういう料理だ。カリカリに焼いたランチョンミートとオム
レツとご飯と味噌汁というのが一般的なパターン。
 ぼくが食べたものはオムレツ状のたまごだったが、ランチョンミートと一緒
にスクランブルエッグというパターンもあるらしい。
 たしかに、観光旅行者が食べるような「お上品」な味ではないが、おいしい。
それに、沖縄の飯屋では、普通大盛りやおかわりには追加料金がとられないの
で、ご飯大盛りにしても500円から600円くらいで安い。
 ポークランチョンミートはこのポークたまご以外にも「チャンプル」と呼ば
れる沖縄の炒め物にはよく使われている。もちろん有名なゴーヤーチャンプル
にも。

●沖縄と豚

 遊牧民でも、肉食するのは特別なときだ。日本の田舎でも特別なときにつぶ
すのはニワトリで、ブタをつぶすのは本当に特別なときのようだ。たとえるな
ら、盆や正月に食べるのはニワトリで、結婚式のときに食べるのがブタ。
 これが、土地が荒れていて水も少ない沖縄では植物を動物に食べさせるほど
の余裕はなかったのかもしれない。だから植物の選り好みをしないヤギと、雑
食で人間の食べ残しを食べるブタを食べるようになったのかもしれない。
 そのためだろうか、本土では一般的に穢れた行為とされていた屠畜は、沖縄
では祭りには欠かせない行為で、むしろ神聖な行いとされていたという。
 さらに、人間の糞尿は豚のえさになったらしい。これは、東アジアではよく
みかけることだ。トイレを琉球語では「ふーるー」というが、これは豚小屋と
同意だ。それだけ、人と豚が接近しているのだろう。

●つづく●
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