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第6章 沖縄県 太平洋上の南大東島(2001年 1月)
21.首里06 重厚な沖縄県立博物館
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☆これまでの旅☆
次から次へと門を抜け、上へ上へと上がっていくと、とうとう到着、きれいで
豪華な正殿が登場。中に入って見学のあとは、城から降りていくだけ。もう一
つの泉を見て、すぐ前が竜譚池。首里城は水に恵まれているのだ。
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●沖縄県立博物館
その竜潭池の横には県立博物館がある。博物館の正門からみると、竜潭池と
首里城を一緒に見ることができる。
ここは歴史博物館と民俗博物館に自然史博物館を兼ねた博物館、つまり総合
博物館だ。
戦禍を免れた「万国律梁(ばんこくしんりょう)の鐘」をはじめ、国や県指
定の文化財など73,000点余りの資料が収蔵されている。
その一部を展示する常設展示室は、歴史、自然史、企画展示、美術工芸、民
俗の5室がある。
博物舘の敷地は、琉球王国時代に次の国王、つまり王子が住んだ中城御殿跡
で、琉球処分で首里域を明け渡してからは、国王も東京に移住するまでここで
暮らした。
戦前まで尚侯爵家首里邸として使われたが、戦禍で多くの宝物や建物が焼失
してしまった。敷地にめぐらされた石垣もほとんど破壊され、竜潭に面する一
部分のみ残っているだけだという。
○沖縄県立博物館
●アメリカから送られたもの
博物舘の前庭には、1697年(尚貞王)に再鋳され戦禍をまぬがれた旧円覚寺
の梵鐘の鐘楼や、沖永良郡島から寄贈された昭和のはじめごろの奄美式の高倉
が展示されている。
ここは、重厚な県立博物館だ。それだけ、沖縄の人々の自分たちの文化に対
する思いが強いのだろう。
博物館の入口にはプレートがかかっている。
そこには日本語で
琉球政府立博物館
アメリカ合衆国より琉球住民へ贈らる
と書かれ、その下に英語で、
GRI MUSEUM
DEDICTED TO THE PEOPLE OF THE RYUKYU ISLAND
BY THE UNITED STATES OF AMERICA
と書かれ、静かに沖縄の現代の歴史を物語っている。
●ロビー展示
博物館の顔ともいえるロビーには、1711年(尚益王)ごろの首里城正殿前の
竜柱と、国重要文化財の万国津梁(ばんこくしんりょう)の鐘が左右に並び、
その奥に首里城正殿の十分の一縮尺模型がある。
万国津梁の鐘は、かつて首里城正殿の前に掛けてあったといわれる銅の鐘。
1458年(尚泰久王)に造られたもので、銘文には流球国が海外諸国に橋を渡す
ように舟を適わせ、貿易を展開し、国には諸外国の財宝が充満している、とい
う意味の言葉が書かれている。
当時の琉球がアジアとさかんに貿易をしていたことの証だ。
●歴史展示室
ここは旧石器時代から現代にいたる沖縄の変遷を時代順に概観できる。
九州や大陸とのつながりを暗示する化石や土器、王国時代の絵図や文書、戦
前・戦後の激動期の史料などから、日本とはちがう歴史が流れる国、琉球の歴
史を見ることができる。
ほかにも、沖縄ではないが、中国福建省にある福州市の琉球墓園についての
展示もあった。琉球国時代、中国と貿易をしていた関係で福州に大勢の琉球人
が渡っていたのだ。そのときの人々の墓だ。
元は五百余りあったが、現在は6基しか残っていないという。福州では、そ
れを文化財として保存していくという話を聞いたことがある。
文書も展示されている。『琉球征伐記』。1609(慶弔4)年の薩摩側から見
た琉球侵攻についての文書だ。
もちろん、太平洋戦争の展示もある。それによると、沖縄戦の死者15万人、
当時の沖縄の人口の30%に相当する。
●自然史展示室
沖縄独特の環境であるサンゴ礁やマングロープ、陸上でも鍾乳洞、河川、山
地などの環境でどんな生物が棲んでいるかを写真やはく製で展示している。
また、珊瑚礁の島と思われる沖縄にも古い地層はある。中生代の化石はヒマ
ラヤやアルプスとの近縁種が産出し、それらを展示している。
●美術工芸展示室
一階からスロープを上がって二階に行くと企画展示室、そして美術館系の展
示室がある。
琉球王国時代の沖縄では数多くの美術工芸品が造られていた。その背景には
王府が殖産事業の一環として工芸の振興をはかったという事情がある。
中国や日本、東南アジア諸国の影響を受けながら独自に発展していった沖縄
の美術工芸品を、絵画、書跡、織物、染物、漆器、陶器に分けて展示している。
●民俗展示室
数多くの民具を通して、沖縄の人々の暮らしの知恵や生活文化に触れられる。
本土の民俗博物館で見られるようなものもあれば、ちがうものも少なくはない。
そして、海に囲まれた沖縄らしく、漁労に関するものの展示が多い。
また、信仰・儀礼のコーナーは充実していた、本土とはちがう文化があるこ
とがよくわかる。
●つづく●
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