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No.228 中国山東省2003―57.中国考16 ビニールとお湯の沸かし方
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●ビニール暖簾
冬の中国北部に行ったことがある人は、商店などの出入りのときになじみの
ものがあるだろう。
それは、「ビニール暖簾」だ。見たことのある人はこれで何か分かるだろう
が、見たことのない人はわからないだろう。
中国の黄河あたりから北、華北や東北地方は冬が寒い。もちろ、建物の中は
暖房するが、商店などは客の出入りで大切な暖気が逃げてしまう。そこで、透
明な軟質塩化ビニルを数十センチの幅にきったものを上から吊り下げる。
すると、人の出入りがあってもその数十センチの隙間だけで暖気が逃げにく
くなる。
ただ、不器用な人だと適当にビニールを除けることができず、体にまとわり
ついたり顔に当たったりするだろう。
中国は遅れえていて貧しくて不潔でなければならないと思っている日本人は、
これを中国独自な不潔なものと決め付けているが、まったく同じものは日本に
もある。ただし、主に倉庫に。
暖房がない倉庫で冬場に使われることがよくある。これがあるだけで少なく
とも風は入ってこないし、頻繁な人の出入りでも扉を開け閉めするような手間
も必要ない。それで使われているようだ。夏場では、冷凍倉庫に使われること
が多いようだ。
ただ、中国のように一般の人が出入りするようなところ、たとえば商店とか
レストランなどでは見かけたことがない。
日本の真冬日がない、または少ない地域の商店の場合は、出入り口の扉を二
重にして対応しているようだ。これは、冬の寒さだけでなく、夏の冷房効率を
上げるためでもあるのだと思う。
ただ、二重扉にすると、出入り口前のスペースか、店内のスペースが減る。
そのため中国の一般のレストランや商店ではビニール暖簾方式が取られるので
はないだろうか。
中国でも、大型ショッピングセンターでは、二重扉方式のところも見かける
から。
●ビニールハウス
ビニールつながりで、今度はビニールハウスの話だ。
外気から遮断しつつ太陽光を取り入れ暖かくして植物を育てるあれだ。農業
の立派な産業である中国でも盛んに使われている。といっても、それは日本の
ものとは少々様子がちがう。
列車で移動しているとき、山東省の中央*[シ畄]博でよく見かけた。列車の窓
からはじめて見たときは、「一体なんなんだ?」と思った。なにしろせ一面に
並んできらきらしているのだから。
*臨[シ畄]では、遺跡などを回るときにすぐ横を歩いたが、結構大きい。柱と
フレームで支えてかまぼこ状の日本のものとちがい、飛行機の翼を半分にした
ような形で、もちろん南を向いている。
南面はなだらかな傾斜にで全面ビニールに覆われ、東西面はスパッと切られ
たように、まっすぐな土壁、北面も土壁だ。
近くでよく見ると、土壁のように見えていたのだが、レンガなどを積み重ね
た上に泥が塗られているところもあった。
高さは人間の身長くらいあったので、泥だけでそれだけの壁を作るのは難し
いだろう。
大きいのでハウスの中にはところどころにコンクリートの柱が立てられ、そ
こに梁を渡しようにして、その上に透明のフィルムを渡している。
大抵が周辺で手に入るものでつくられているのが、さすが中国だ。壊れやす
いだろうが、修理も簡単だ。もっとも、数が多いから、全体を手入れするのは
大変だろうが。
*[シ畄]: *臨:
●お湯の用意
次は湯沸かし器の話だ。今回の山東省では、だいたい100〜200元のホテルに
泊まったのだが、それぞれ、ステンレスの保温ポット(日本のものとちがい、
注ぎ口が小さくその下でくびれているので通商「アヒルポット」と呼ばれてい
る)、日本のビジネスホテルにもある小さな湯沸かし器、給水ポッドの3種が
あった。
湯沸かし器は750mlくらいの小さなやつで、保温機能がついていないだけでな
く、保温材も使われていないので、すぐ湯冷ましになるので便利といえば便利、
不便といえば不便。
給水ポッドは、最近日本でもときどき目にするようになってたもので、数十
リットル入るタンクをさかさまに上部につけ、下の台についているコックをひ
ねって適当な量の水を取り出すものだ。
そしてこのポッドは、コックがふたつついていて、もうひとつはお湯が出て
くるようになっている。もちろん、コンセントをさしてヒーターに通電させな
ければならないが。
これは便利なようで、小さな事務所とか、招待所などでも廊下に数箇所給水
ポットが設置されていた。町を歩いていても、新しいタンクを運んで切るバイ
クや、売っている店をよく見かけたので、一般家庭でも使っているのだろう。
そして、保温ポットは今までの中国のホテルではおなじみのものだ。大抵各
階に湯沸し用の大きなボイラーがあり、そこからお湯を移すのだ。
個人的には、ボイラーから勝手にステンポットに移すのがいい。結構保温で
きるし、さめればいつでも沸きたての熱いものをもらえる。
このポット、都市部ではステンレスのものをよく見かけるが、地方の安ホテ
ルだと外側がプラスチックのものも少なくない。
○保温ポット解説
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┃ ▼ このように蓋をあけて使うが、蓋がないものもある。
_______ 中には栓がついていてさめにくくなっている。
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┃ ┃
┃ ┃ 本体は、昔のポットのようにガラスを使った真空保温層にな
┃ ┃ っている。
┃ ┃ 今の日本のようなダブルステンタイプは見たことがない。
┃ ┃
┃ ┃
┃ ┃
┃ ┃
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○給水ポッド
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┃ ┃ このようにタンクを逆さにセットして使う。
▼ ┃ ペットボトル数本分の値段ででタンク
┏━━━━┓ ┏┓ 1個分。
┃〜〜〜〜┃ ┏┻┻┓ したがって、かなり割安。
┃ ┃ / 〜〜 \
┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃
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┃ ┃ ┃ ┃
┃ 〔〕〔〕 ┃ ┃ ┃
┃ ┌──┐ ┃ ┗━━━━┛
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┃ │ │ ┃
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●お湯の沸かし方
この給水ポッドは、まだ完全に普及しているわけではないようだ。烟台大学
の職員寮に行ったときも、保温ポットを使っている人がいた。
なぜ寮のみんながそれを使うことを知っているかというと、共同の洗い場で
お湯を沸かしているからだ。
電器コードの先に発熱体がついているだけ、というやつをポットの上からつ
きさして湯を沸かしている。簡単に言うと、海外旅行の携帯湯沸かし器の大き
なやつだ。
この湯沸かし器は、ポットの口にぴたりとはまり、上にはコードと細い棒が
出ている。中の水が沸騰すると、その棒から蒸気が出て蒸気抜きの役割と、
「ピー」と鳴って沸いたことを知らせてくれる。
それで、どうしてみんながパブリックスペースでお湯を沸かしているかとい
うと、自分の部屋で沸かすと、電器代がかかるとか。まあ、会社のコピー機で
個人的なものをコピーするとか、会社のコンピュータで個人的なメールを送受
信するとかみたいなものだろう。
そういうひとは「だから中国は……」といわないほうがいいだろう。目くそ
が鼻くそを笑っているに過ぎないから。
それ以外では、やかんに電熱器がついているものもあった。多分、これはコ
ンロにはかけられないだろうが。
●湯沸し棒
この湯沸し棒、スーパーで売っていたが、チラッと見た感じでは、ヒューズ
はもちろん、サーモスタットもついていない単純なつくりのようだ。
中国の中型以上の規模のスーパーを見ていると、調理器具は電気製品ばかり
が目立つ。というか、ガス器具をスーパーでは見たことがない。それどころか、
電器鍋の種類の多いこと多いこと。
何かの規制があってスーパーではガス製品を売ることができないのかもしれ
ないが、中国はガスのインフラがそれほど整っていないのかな、などと考えて
いた。
もちろん、いくらなんでも烟台のような都市でガスがないとは思っていない
し、町の荒物屋のようなところでは簡単なガスコンロ売っていた。もちろん、
スーパーでは鍋釜のような調理器具は売っているし、プロパンは売っていた。
だから、プロパン配達は行われているのは何度も目撃しているが、海外に開
けた港町の車で30分も離れていないところでもボンベの配達をしているという
ことは、配管が通っていないのかな、つまり、配管のインフラが整っていない
のかな、と思ったわけだ。
人家がまばらな農村部だと、配管を通すのは効率が悪いと思うが、都市部で
はやはりインフラが整っていないのでは、と思う。
○保温ポットと湯沸し棒の関係
↓ ここの先に発熱体がある。
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┃ ┃ □ ←このプラグをコンセントに挿す。
┃ ┃ Π
┃ ┃
┃ ┃
┃ ┃
┃ ┃
┗━━━┛
●つづく●
Copyright(C), Fieldnotes. 2004
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