はじめに
今井柏浦編になる類題句集シリーズより抽出した、明治・大正期の月斗句は、その内容が、一つは柏浦が選び出した句という点で、また、その原本である新聞雑誌の選択が、やはり柏浦によるものであり、いわば柏浦というフィルター越しでの月斗句である。
このたび、松本
皎氏が、明治期の『俳星』に収載された月斗(兎)の句を書き抜いたものを一覧にされ、『俳星』巻号・掲載順と共に、五十音順に並べ替えた索引をも付されたものを、小生宛ご送付下され、氏のご厚意により、ここに掲載させていただく次第である。
松本
皎氏は、立命館学園創始者の中川小十郎の事績を研究され、『立命館・中川小十郎研究会会報』を発刊、第一号から第十二号(1977.10.15〜1988.2.10)に、その後は『立命館百年史紀要』にご執筆されている。ご研究は、創始者中川小十郎と親交あった天田愚庵、福田把栗(古道人、静処)の事績にも及ばれている。
先の『研究会会報』の第十三号に当たる『蓑笠亭・愚庵・古道人研究』第一号(2007.1.16)は、特集「はりつ俳句聚合」として、子規門下で意外に知られていない把栗の句を、現在可能の限り広範に綿密に聚められたご労作である。小生が明治期の月斗句を探っている様子をHP上にてご覧になって、これをご恵与下さり、その上、把栗研究の資料とされたものから月斗(兎)の句を抽出してくださった。
『俳星』は、明治三十三年三月秋田県能代にて、帰郷した石井露月を擁して島田五空が創刊、かねて交誼ある青木月斗も大いに応援している。前記の今井柏浦による新聞雑誌句の渉猟が、当然この『俳星』に及んでいると思うが、月斗の句で検する限り、その跡が見られないようである。明治期の月斗句の発表に、『俳星』が大きな部分を占めることを思うとき、月斗(兎)自身の意のもとになる『俳星』掲載句を総覧できる資料は、貴重というべきである。松本
皎氏に深く感謝申し上げる。 (松本島春)
松本 皎 編
「俳星」明治版(第一巻〜第一〇巻)
に入集の「月兎・月斗」句
*記述は、「句連番・句(巻号・発行年月日)・表題」の順。「月兎」「月斗」の俳号
は、初出時(〇〇一及び一一五)に朱文字で示し、以下は略した。
*巻ごとに一行あけて、各巻を区分した。
*送り仮名は掲載通り。漢字は常用漢字に改めた。ただし、一部は旧字体のまま。
*印刷不鮮明のため判読できない文字があり(二箇所)、■で表記した。
*前詞・題のあるものは句の前に、句評(同人共選など)は句の後に収録した。
*俳界(後に「東西南北」に変更)欄の「月兎庵」報にある同人句は略した。ただし、
「祝月兎君婚」のみは、同人の祝句を掲げた(句番号は付さず)。
(二〇〇七年五月二〇日 松本 皎)
〇〇一 くれそめて稲のそよきや虫の声 俳号「月兎」(01.08 M33.10.11)俳句
〇〇二 門川や魚はねて秋の水白し (01.08 M33.10.11)俳句
〇〇三 秋の日のなゝめにあかきふすま哉 (01.08 M33.10.11)俳句
〇〇四 朝寒の障子をあけて針仕事 (01巻08 M33.10.11)俳句
〇〇五 毛見の衆のゆゝしく見ゆれ紋所 (01.08 M33.10.11)俳句
〇〇六 毛見の衆の今年優しく済みにけり (01.08 M33.10.11)俳句
〇〇七 残る蚊に雨の日侘し草の宿 (01.08 M33.10.11)俳句
〇〇八 残る蚊の尚も悪くしや雨の窓 (01.08 M33.10.11)俳句
〇〇九 温泉の窓に見ゆる庭木や赤蜻蛉 (01.08 M33.10.11)俳句
〇一〇 温泉の旗の動きや秋日和 (01.08 M33.10.11)俳句
〇一一 朝寒や町出はなれて旭の出づる (01.08 M33.10.11)俳界・大坂満月会
〇一二 美くしき旭のさす庭や朝寒み (01.08 M33.10.11)俳界・大坂満月会
〇一三 冷やかに月さすかきや衣打つ (01.09 M33.11.11)俳界・大坂満月会
〇一四 長雨の今日も暮れけり虫の声 (01.09 M33.11.11)俳句
〇一五 後の月更けてぞ寒き光なり (01.09 M33.11.11)俳句
〇一六 新米や年貢納めて小百姓 (01.09 M33.11.11)俳句
〇一七 長き夜を寝たらず思ふ朝寝かな (01.09 M33.11.11)俳句
〇一八 しこ踏んて稽古角力や力声 (01.09 M33.11.11)俳句
友に送る
〇一九 かりかねの恨長々泣く夜かな (01.09 M33.11.11)俳句
〇二〇 峰入や山先達の鬼話 (01.09 M33.11.11)俳句
〇二一 元日の座敷静かや青畳 (01.11 M33.12.12)俳句(冬季・新年)
〇二二 万歳や御代も栄ゆる歌ばかり (01.11 M33.12.12)俳句(冬季・新年)
〇二三 福寿草みそかの市に求めけり (01.11 M33.12.12)俳句(冬季・新年)
〇二四 宝船よき夢惜しみ語らざり (01.11 M33.12.12)俳句(冬季・新年)
〇二五 太箸の芋逸したる雑煮かな (01.11 M33.12.12)俳句(冬季・新年)
〇二六 年玉や富貴と書きし紙包み (01.11 M33.12.12)俳句(冬季・新年)
祝月兎君婚
鶏頭に萩ぞ目出度契かな 井蛙(01.11 M33.12.12)俳界・大坂満月会
新綿や白きはものゝ目出度かり 鬼史(01.11 M33.12.12)俳界・大坂満月会
御祝の床や新綿松魚 月村(01.11 M33.12.12)俳界・大坂満月会
枝柿の渋きも分つ語ひや 墨水(01.11 M33.12.12)俳界・大坂満月会
妹背中頭巾も深く契るべし 虚明(01.11 M33.12.12)俳界・大坂満月会
初冬の新嫁見たり麻化粧 青々(01.11 M33.12.12)俳界・大坂満月会
〇二七 樽入の友がもて来し新酒哉 (01.11 M33.12.12)俳界・大坂満月会
〇二八 上らざる糸のだるみや凧 (01.12 M34.02.12)俳句
〇二九 匂ひそめて梅の日頃や春の雪 (01.12 M34.02.12)俳句
〇三〇 淡雪や材木つみし家普請 (01.12 M34.02.12)俳句
〇三一 酒のまぬ人を淋しみ暮の春 (01.12 M34.02.12)俳句
〇三二 山吹に雨ふる門の流かな (01.12 M34.02.12)俳句
〇三三 春の宵飯食ひすぎて腹加減 (02.01 M34.03.12)課題募集句・露月選(春の宵・一点之部)
〇三四 はるのよや人語り行く暗の町 (02.01 M34.03.12)課題募集句・牛伴選
〇三五 はるのよの座角力や若いもの (02.01 M34.03.12)課題募集句・牛伴選
〇三六 餅をやく匂する也宵の春 (02.01 M34.03.12)課題募集句・選者名なし(三点之部)
〇三七 水晶の玉灯に光る余寒かな (02.01 M34.03.12)俳界・満月会(大坂)
〇三八 伐り払ふ柳の枝や川に墜 (02.01 M34.03.12)俳界・有声会(大坂)
〇三九 冴えかへるそらの高さや星一つ (02.01 M34.03.12)巻頭・星ならび(五十六句)二十八家
〇四〇 春はまたほしの光りの寒さ哉 (02.01 M34.03.12)巻頭・星ならび(五十六句)二十八家
〇四一 初午や酔顔赤き浜沖士 (02.02 M34.04.12)俳界・大坂満月会
〇四二 眼の上や棚田のあぜの花五形 (02.03 M34.05.12)俳句
〇四三 菜の花に広き眺めや花曇り (02.03 M34.05.12)俳句
〇四四 寝て語る芝生嬉しや花菫 (02.03 M34.05.12)俳句
〇四五 仏壇を昼あけて置く春の風 (02.03 M34.05.12)俳界・踏青会(大坂)
〇四六 薪能已に夜明けし三笠山 (02.03 M34.05.12)課題募集句・選者名なし(朝・三点之部)
〇四七 あさ桜萌黄の空の薄霞 (02.03 M34.05.12)課題募集句・露月選(朝<春>・一点之部)
〇四八 麻刈れば淋しくとびにけり (02.06 M34.08.15)俳句
〇四九 白百合や夏書の尼の美くしき (02.07 M34.09.15)俳界・有声会・涛声会・桐風会(大坂)
…三会連合会を開く
〇五〇 踊子のちんがらもんがらちんば哉 (02.08 M34.10.15)俳界・大坂満月会
〇五一 星の夜や冷かな雨三粒ほど (02.08 M34.10.15)俳界・有声会(大坂)
〇五二 秋風や水のきれたるつり葱 (02.09 M34.11.15)俳界・有声会(大坂)
〇五三 夷講主人忽謡かな (02.10 M34.12.15)俳界・大坂満月会
*原本では「夷請」とあるが、「夷講」(えびすこう)の誤植では?
〇五四 臼取の顔にとびけり餅の汁 (02.11 M35.01.15)俳句
〇五五 飼猫や春待皃の首飾 (02.11 M35.01.15)俳句
〇五六 金銀の珠もつらなり餅の花 (02.11 M35.01.15)俳句
〇五七 春水や京は堀川第一橋 (03.01 M35.03.15)俳句
〇五八 都鳥春の川瀬に浮き流れ (03.01 M35.03.15)俳句
〇五九 春の水王家の庭を繞るなり (03.01 M35.03.15)俳句
〇六〇 四つ橋や流れ合して春の水 (03.01 M35.03.15)俳句
〇六一 野烏のつめたき皃や山桜 (03.01 M35.03.15)俳界・月兎庵二月例会
〇六二 ひなの灯に漸く春の深きかな (03.02 M35.04.15)俳界・月兎庵三月例会
〇六三 桃の花都に近き在所かな (03.03 M35.05.15)俳句
〇六四 芍薬の芽を吹く圃や蜂の声 (03.03 M35.05.15)俳句
〇六五 平安の大路明るし春の月 (03.03 M35.05.15)俳句
〇六六 門の灯の遠き並びや春の月 (03.03 M35.05.15)俳句
〇六七 草の戸に蚤を見る日や花曇 (03.03 M35.05.15)俳句
〇六八 花曇湯に入りし身の疲れかな (03.03 M35.05.15)俳句
〇六九 麻蒔きし畑にふるや春の雨 (03.03 M35.05.15)俳句
〇七〇 橘や麟閣の像古ひたる (03.04 M35.06.15)俳界・有声会(摂津大坂・一簑報)
〇七一 かはほりや納凉の舟の丸行灯 (03.04 M35.06.15)俳界・月兎庵五月例会
〇七二 閑窓に印彫る人や今年竹 (03.05 M35.07.15)俳句(夏)
〇七三 淋しくも曙の色や桐の花 (03.05 M35.07.15)俳句(夏)
〇七四 金持の塀の高さよ桐の花 (03.05 M35.07.15)俳句(夏)
〇七五 時鳥左近の桜実となりぬ (03.05 M35.07.15)俳句(夏)
〇七六 漆掻く人に親しき蜻蛉かな (03.09 M35.11.15)東西南北・有声会(大坂・一簑報)
…*「俳界」を「東西南北」に変更
〇七七 若楓床几に休む鉾の皃 (04.04 M36.06.15)東西南北・有声会(攝津大坂)
〇七八 竹径の寺門に出てぬ花茨 (04.04 M36.06.15)月兎庵小戦…小戦=ママ
〇七九 市中の庭に放つや枝蛙 (04.05 M36.07.15)東西南北・有声会(大坂)
〇八〇 稲妻や湖水を渡る夜の舟 (04.07 M36.09.15)東西南北・有声会(大坂)
〇八一 色濃くも棚の葡萄に西日かな (04.08 M36.10.15)俳句
〇八二 腹稿のなりし夜長の寝覚かな (04.08 M36.10.15)俳句
〇八三 黄に染める檪林や百舌の声 (04.08 M36.10.15)俳句
〇八四 百舌鳴て山辺の狭霧はれにけり (04.08 M36.10.15)俳句 *狭霧=さぎり
〇八五 茸山に朝の煙上りけり (04.08 M36.10.15)俳句
〇八六 海添を旅の小春や徒歩路行く (04.11 M37.01.15)課題募集句「小春」月兎選者吟
〇八七 小春日や竿の先なる手長猿 (04.11 M37.01.15)課題募集句・同前
〇八八 暮早き夕を小春曇りかな (04.11 M37.01.15)課題募集句・同前
〇八九 小春日や池水に浮ぶ鳥遠し (04.11 M37.01.15)課題募集句・同前
〇九〇 腰張の糊かはき行く小春かな (04.11 M37.01.15)課題募集句・同前
〇九一 鶯も春なれにけり小正月 (04.11 M37.01.15)東西南北・白雨会(京都・黒洲報)
〇九二 凩の吹き涸らしたる野川かな (04.11 M37.01.15)東西南北・翠籟庵小集(大阪=ママ)
〇九三 木下やみ宮木を運ぶ車哉 (06.05 M38.08.20)課題募集句「木下闇」(露月月兎北涯共選)月兎選者吟
〇九四 後園の白き陶皷や木下闇 (06.05 M38.08.20)…同前
〇九五 木下闇薬をはたく水車哉 (06.05 M38.08.20)課題募集句(同前共選)…同前
〇九六 した闇や人見て尾する迷ひ犬 (06.05 M38.08.20)…同前
〇九七 木下闇加持する家に待つ車 (06.05 M38.08.20)…同前
〇九八 さみせんを箱に納めぬ時鳥 (06.07 M38.10.13)東西南北・碧吟社
〇九九 答の矢を敵に放しぬ秋の空 (06.07 M38.10.13)俳句
一〇〇 鯛麺の甚旨し新酒腹 (06.07 M38.10.13)俳句
一〇一 新米の取入済みぬ呉服市 (06.07 M38.10.13)俳句
一〇二 穂芒に浪打ち上ぐる磯辺かな (06.07 M38.10.13)俳句
一〇三 夕暮や船頭浴びる秋の潮 (06.07 M38.10.13)俳句
一〇四 潦冬山うつる家の前 (06.10 M39.01.15)俳句(冬)・露月選
*潦(にわたずみ)=雨が降って地上にたまり流れる水
一〇五 麦蒔や小島の影の地を走る (06.10 M39.01.15)俳句(冬)・露月選
一〇六 麦蒔の田舎となりぬ茶の煙 (06.10 M39.01.15)俳句(冬)・露月選
一〇七 袴着や花顔さながら母に似し (06.10 M39.01.15)俳句(冬)・露月選
一〇八 大根引一茶に道を教へけり (06.10 M39.01.15)俳句(冬)・露月選
一〇九 若芝や竹亭にゐて巻を舒ぶ (07.02 M39.05.25)課題募集句「若芝」月兎選者吟
*舒ぶ=のぶ
一一〇 若しばや雲うつす水南す (07.02 M39.05.25)…月兎選者吟
三月十五日、来崎中なりし月兎子を迎へて一夜吟興に耽る(僊堂報)
一一一 雨風も彼岸になりぬ旅の空 (07.03 M39.06.15)東西南北・祭魚会(肥前長崎)
一一二 小波に夕月赤し通し鴨 (07.04 M39.07.10)俳句(夏)
*通し鴨=夏になっても北地へ帰らないで残り、営巣して雛を育てる鴨
一一三 斧振ふ蟷螂の子や青山椒 (07.04 M39.07.10)俳句(夏)
一一四 のみ居ると褄返す妹老ひにけり (07.04 M39.07.10)俳句(夏)
*「月兎」号は以上。
逍遙遊(以下、一四四「竹石や」…まで)
一一五 火事の後家建たぬ地や今年竹 俳号「月斗」(08.01 M40.06.26)
一一六 若竹の蟻ふき落す畳みかな (08.01 M40.06.26)
一一七 若竹や二つ並びし神輿庫 (08.01 M40.06.26)
一一八 杜若雨中の眼明らかに (08.01 M40.06.26)
一一九 杜若煙雨に眠る鴛鴦二つ (08.01 M40.06.26)
一二〇 杜若兵具の庫の前の溝 (08.01 M40.06.26)
一二一 筍や法師が肩に何貫目 (08.01 M40.06.26)
一二二 笋に瞠若たりや蟇 (08.01 M40.06.26) *瞠若=瞠目に同じ
一二三 筍は七賢人に喰はれけり (08.01 M40.06.26)
一二四 誕生日鯛と筍買ひにけり (08.01 M40.06.26)
一二五 筍につまづく夜の径かな (08.01 M40.06.26)
一二六 孔雀の子漸く育つ卯月哉 (08.01 M40.06.26)
一二七 四ん月の蚤に起き出し旅寝哉 (08.01 M40.06.26)
一二八 祭過きて浪たつ麦となりにけり (08.01 M40.06.26)
一二九 麦の出来卯月の冷を案じけり (08.01 M40.06.26)
一三〇 更衣硯に水を潅ぎけり (08.01 M40.06.26)
一三一 聖堂の書生が出でて競渡哉 (08.01 M40.06.26)
* 競渡(きょうど)=屈原が陰暦五月5日汨羅べきらに投身したのをいたみ、
この日競漕をすること。
一三二 蜘の子や袋を出でて風軽き (08.01 M40.06.26)
一三三 蜘の子や夜来八万四千疋 (08.01 M40.06.26)
一三四 蜘の子や妹が軽羅の袖にゐる (08.01 M40.06.26)
*軽羅=けいら。軽いうすもの。うすい絹布
一三五 花摘みの下げ帯の君垣間見し (08.01 M40.06.26)
一三六 竹床几母屋の蚊やりの匂ふ哉 (08.01 M40.06.26)
一三七 人去て残る絵本や竹床几 (08.01 M40.06.26)
一三八 弟子つれて仏師参るや花見堂 (08.01 M40.06.26)
一三九 灌仏やつれなき雨の植木市 (08.01 M40.06.26)
一四〇 鶯の音を入るる寺や仏生会 (08.01 M40.06.26)
一四一 この寺に乞食ゐずなりし残る花 (08.01 M40.06.26)
一四二 麦の中に石竹畠赤き哉 (08.01 M40.06.26)
一四三 虎が雨石竹の花ぬらしけり (08.01 M40.06.26)
一四四 竹石や銅の如露に蝸牛 (08.01 M40.06.26) *石竹の誤植?
一四五 残る花日々夜々に落つる哉 (08.01 M40.06.26)東西南北・満月会(大坂)
南窓追悼会(大坂)
有声会の花形であつた中見南窓君の一周年忌をその檀那寺で催ほした。秋窓、圭岳、
母柳、寂水の諸君は同窓の友であるのも面白いではないか。
それが別々の方面から句をやり出して顔を合したのも更に面白い。亦同じ有声会の
若武者で早世した山根薫雪君の話も仕合ふた事であつた。有声会の主人であつた笠
堂君も久々で出席する、其他一蓑、小刀君等とも数年来で顔を合したのであつた。
(五月十九日、月斗識)
席上の句(*編注…全九句のうち、月斗句のみ)
一四六 乾烏賊に土用の風の匂ひ哉 (08.01 M40.06.26)東西南北・南窓追悼会(大坂)
一四七 一夜く月をまろめる芒かな (08.04 M40.10.16)東西南北・巨口会(大坂)
鬼史挙児(命名、旭)
一四八 天下粉嬉しと打ちめ家内中 (0.04 M40.10.16)東西南北・巨口会小集(大坂)
墨水移居(天下茶屋)
一四九 日夕の帰庵新凉を覚ゆべし (08.04 M40.10.16)東西南北・巨口会小集(大坂)
一五〇 行灯を隣へかしぬ宵の秋 (08.04 M40.10.16)東西南北・満月会(大坂)
香薷散
(飲みきりし旅の日数や) *編注…前詞に括弧が付けられている
一五一 虫干の短冊並べつ竹床几 (08.05 M40.11.16)
一五二 竹牀几古びて虫のつきにけり (08.05 M40.11.16)
一五三 わたましや締りなき戸に明易き (08.05 M40.11.16)
*わたましや=移徙・渡座・転居
一五四 人の腰に落ちかゝりゐる扇かな (08.05 M40.11.16)
一五五 なつ川や斧をかついて渡る人 (08.05 M40.11.16)
一五六 なつの川植木の車渡しけり (08.05 M40.11.16)
六月廿五日久留米櫛原といふ古町に彦影子が実弟竹南子を訪ふ
一五七 櫛原は袋町なる茂りかな (08.05 M40.11.16)
一五八 灯取虫座敷を北へぬけて行く (08.05 M40.11.16) *火取虫=夏の虫=蛾
一五九 幮を出て昨日植ゑし田眺めけり (08.05 M40.11.16)*幮=虫偏=蚊帳
一六〇 舟遊日蔽に来つるとんぼかな (08.05 M40.11.16)
一六一 絵日傘の後ろに丹波太郎かな (08.05 M40.11.16)
一六二 日中の雨にぬたるや青蛙 (08.05 M40.11.16)
一六三 麻頭巾蓮見の戻り背に旭 (08.05 M40.11.16)
七月一日仁涛翁、浅水、田圃の諸子と熊本市外成道テラに遊ぶ
途 上
一六四 火袋のなき灯籠や風薫る (08.05 M40.11.16)
一六五 道端の茂りの中にかたゐかな (08.05 M40.11.16)*乞丐(傍かた居)=乞食
一六六 昔ものゝよき世なりけり葭障子 (08.05 M40.11.16)
一六七 この敷居に合はぬお母屋の葭戸哉 (08.05 M40.11.16)
一六八 よし障子朝日暫く奧へさす (08.05 M40.11.16)
一六九 夏座敷客をのぞけば盧生かな (08.05 M40.11.16)*邯鄲の夢。盧生の夢
一七〇 木の間もる月帷子のしろき人 (08.05 M40.11.16)
一七一 青鷺ハ雨にも日にも立てるかな (08.05 M40.11.16)
一七二 青鷺は夜明けの足の冷ゆる哉 (08.05 M40.11.16)
一七三 蚊の嘴の入らぬ鬼灯青きかな (08.05 M40.11.16)
一七四 遠きよりのぞみ来し山の茂り哉 (08.05 M40.11.16)
廿一代重朝公は隈府に聖堂を設け釈尊を初む漢籍に深く又和歌に堪能なり
一七五 虫払ひ重朝公の一万句 (08.05 M40.11.16)
七月五日肥後山麓にて
一七六 炎天や畑の大豆の葉の光り (08.05 M40.11.16)
一七七 蚊帳買ふて喜ぶ心人知らず (08.05 M40.11.16)
一七八 賢気にも幮たゝむなり女の子 (08.05 M40.11.16)
一七九 打水の水つきにけり蟻の塔 (08.05 M40.11.16)
六月九日夜雨を冒して彦影庵にいたる約束の友来らず二階の椽に藤の椅子置い
て市中の灯を見ながら句を作る
一八〇 子燕は巣から眺めぬ猿廻し (08.05 M40.11.16)
一八一 乾梅雨のあと降る雨や麦の花 (08.05 M40.11.16)
一八二 水無月の茂おそろし■の門 (08.05 M40.11.16)*■人偏の右旁は消えて不読
一八三 鍋ぬいで白き額や遅ざくら (08.05 M40.11.16)*鍋=鏑・兜?
彦影庵即景
一八四 凉しさや円山の灯が真向ふに (08.05 M40.11.16)
丸山の雛妓某に与ふ
一八五 桔梗の硬き蕾や秋隣 (08.05 M40.11.16)
肥前伊万里旅泊
一八六 舟虫と蟹と這ひにけり蚊帳の裾 (08.05 M40.11.16)
一八七 行水や西施を想ふ鏡立 (08.05 M40.11.16)
肥前長崎佐世保伊万里辺は一二年前より盆を新暦になせり芝英庵に遊びし日は
即ち盂蘭盆なりしと
一八八 魂祭家に良妻賢母あり (08.05 M40.11.16)
一八九 家々の深く灯しつ魂祭り (08.05 M40.11.16)
圓通禅寺に大休和尚を訪ふ
一九〇 ハツタイの砂糖に通ふ小蟻まは (08.05 M40.11.16)
漪 園(*編注…印刷不鮮明だが「三水偏に猗」であろう。漪=い=さざなみ)
一九一 枝ためる綱松にあり稲光 (08.05 M40.11.16)
一九二 手紙書く筆の先なり稲光 (08.05 M40.11.16)
七月十七日唐津にて大雷雨に逢ふ
一九三 夕立に五山崩るゝ計りかな (08.05 M40.11.16)
虹の松原
日本三松林の一なり昔時豊公の喧嘩を叱せし以来蝉声を絶ちしと其他太閤にら
みの松等あり海水浴にも賑ふ
一九四 夏の潮一湾の松青きかな (08.05 M40.11.16)
近松寺 巣子の墓あり (*編注…印刷不鮮明=巣か栗か?)
一九五 石竹も供へぬ墓の暑さかな (08.05 M40.11.16)
一九六 松落葉浮べて水の流れけり (08.05 M40.11.16)
一九七 水踏めば早き■魚や雨凉し (08.05 M40.11.16)
一九八 馬車宿の裏は小広き茂りかな (08.05 M40.11.16)
広島繞津公園 (*編注…原本は「廣嶋」)
一九九 山蟻がついて落るや藤落葉 (08.05 M40.11.16)*繞津=にぎつ
二〇〇 茂りより川へつき出ぬ鮎の旗 (08.05 M40.11.16)
二〇一 鮎の宿に水を越えきて昼寝哉 (08.05 M40.11.16)
泉邸一見
二〇二 虫干の役人見えつ倉の口 (08.05 M40.11.16)
帰 庵
二〇三 九洲の暑さを痩せて戻りけり (08.05 M40.11.16)
巨口会(大坂)
天長節は年々いづちにか遊ぶ事の例とはなれり。去年の今日は寒霞渓に紅葉を
賞せしなり。(予は恰も筑後柳川にありて遥かに天長節の巨口会行をしのひた
り)一昨年は三尾に遊びて戻り後れ闇に稲田を踏みにき。一昨々年は八瀬大原
に吟行しき。一昨々々年は琵琶湖上に秋色を味ひ石山寺の石に夕日をさみしみ
たり。その年の一年前即ち三十五年巨口会は成れり。菊の佳節の晴天は五年目
の今日に雨を降らせり。河内を歩く約も空しく、酔来庵による事と成りぬ。(四
十年天長節、月斗)
二〇四 市中に塀して住むや蔦蔓 (08.05 M40.11.16)
聴蛙亭小集(大坂)
泉州高石の浜の松林中に露石氏別業あり。いぬる日、十三夜の佳夏に主人が日
頃親しめる几董が遠忌を修す。来坂中の霽月氏又臨席す。墨水氏葉仙台へ旅中、
素石、荒井蛙の諸氏は事故不来。(十月十七日、月斗)
二〇五 末枯の夕日の丘や鶏の脚 (08.05 M40.11.16)東西南北・聴蛙亭小集(大坂)
*末枯=うらがれ
大坂満月会(大坂)
六月例会を鬼曳庵に開く。折柄来坂の紅緑、由人の両氏來会あり(月斗)
二〇六 二三石今年少なき実梅哉 (08.05 M40.11.16)東西南北・大坂満月会(大坂)
課題募集句「芒散る」月斗選者吟
二〇七 月の鎌に触れて芒の散りにけり (08.07 M41.02.16)
二〇八 散芒冷たくなりし朝日かな (08.07 M41.02.16)
二〇九 淋しくて心細し芒ちる風情 (08.07 M41.02.16)
二一〇 露霜になりて芒のちりにけり (08.07 M41.02.16)
二一一 雨虫に交りて芒飛びにけり (08.07 M41.02.16)*以上=選者吟
大坂満月会(大坂)
十一月例会、会者二十五、午後早々より運座三回、夜半散ず、こゝにはしが一
斑を掲ぐ。(月斗)
正義の士
二一二 例はゞ水仙の花の白き也 (08.07 M41.02.16)東西南北・大坂満月会(大坂)
巨口会(大坂)
牛後庵にての小集、添水に大小の論あり(月斗報)
二一三 山鳥はなれて寝て居る添水かな (08.07 M41.02.16)東西南北・巨口会(大坂)
二一四 月孤ツ冬の入海静かなり (08.08 M41.03.16)俳星闌干 *「俳句」欄を改題
二一五 灯を隠す密漁船や冬の梅 (08.08 M41.03.16)俳星闌干
二一六 ストーブや五六が嶺す停車場 (08.08 M41.03.16)俳星闌干
二一七 長崎で父が買ひ来し毛布かな (08.09 M41.05.16)選者吟一覧「ウラジロ」五ノ四
二一八 蘖に春の電(雷?)あかるけれ (08.09 M41.05.16)*蘖=ひこばえ 電=雷?
同人句評・第四回(三点)
不喚楼(天)。北涯曰。完璧。五工曰。眩されしか知らねと。
二一九 糊食はぬ鶯の舌全けれ (08.09 M41.05.16)同人句評・第四回(二点)
北涯曰。糊食はぬ、態とらしくて意に充たねど。五工曰。之を
知るものは只俳人のみ。
二二〇 石菖に暁のみの振はれぬ (08.11 M42.01.16)俳星(第七回)
二二一 街道の馬車すたれたり百舌の声 (08.12 M42.02.16)
題「百舌」…*秋双・不喚楼・へき・月斗の四人の句
二二二 竹伐るや朝夕晴れて百舌の声 (08.12 M42.02.16)*同前四人の句
二二三 朝の曇り夕の晴れや百舌の声 (08.12 M42.02.16)*同前四人の句
二二四 出水一番にこの野ひたすや草紅葉 (08.12 M42.02.16)
題「草紅葉」…*北渚・月斗の二人の句
二二五 口籠はめて牛は閑なり草紅葉 (08.12 M42.02.16)
題「草紅葉」…*北渚・月斗の二人の句
二二六 竹植て嵐呼びけり春泥舎 (08.12 M42.02.16)俳星会(第八回)
課題募集句「下萌」月斗選者吟
二二七 下萌の野望の頃となりにけり (09.01 M42.03.16)*四月と誤植
二二八 眼薬の注文頻り草もゆる (09.01 M42.03.16)*四月と誤植
二二九 九牛を渡す一夫や冬の川 (09.02 M42.04.16)同人句集(第十一回)
二三〇 廃弾を積み下る船や冬の川 (09.02 M42.04.16)同人句集(第十一回)
二三一 減水の鯉突き岩や冬の川(09.02 M42.04.16)同人句集(第十一回)
二三二 初午や田舎の風呂に昼一人 (09.03 M42.05.16)同人句集(第十二回)
二三三 町外れなりし家町の中うめの花 (09.03 M42.05.16)同人句集(第十二回)
百号記念・「御断まで〜近作二三」
百号に何ぞ趣向して送らう。百の字結びを百句作つて送らう。自分一人で出来
ねば鬼史秋双素石北渚等と四五晩それにかゝつたらなど考へた事もある。…
二三四 暗澹として海辺光り夏夕 (09.04 M42.07.16)「御断まで〜近作二三」
二三五 放牛に群鴉や夏野夕河原 (09.04 M42.07.16)「御断まで〜近作二三」
二三六 夏夕石炭仲士帰る町 (09.04 M42.07.16)「御断まで〜近作二三」
二三七 高汐の湊泳ぐや夏夕 (09.04 M42.07.16)「御断まで〜近作二三」
二三八 柊に化るが茂の樹風薫る (09.04 M42.07.16)「御断まで〜近作二三」
二三九 一時出てこの頃蚊居ぬ明易き (09.04 M42.07.16)「御断まで〜近作二三」
二四〇 句脳麻痺を短夜に落す枕哉 (09.04 M42.07.16)「御断まで〜近作二三」
二四一 漫読の書散乱や明易き (09.04 M42.07.16)「御断まで〜近作二三」
二四二 短夜の句短冊の雲顛す (09.04 M42.07.16)「御断まで〜近作二三」
二四三 雲入りしを漁夫がわめくや明易き (09.04 M42.07.16)「御断まで〜近作二三」
二四四 十二浜は番船出づる囃し哉 (09.04 M42.07.16)明治百人一句(小倉山人選)
課題募集句「残暑」月斗選者吟
二四五 健啖子病むと残暑の音塵に (09.06 M42.10.16)*音塵おんじん=たより
二四六 去年へちま見し家日車にあき暑き (09.06 M42.10.16)*日車ひぐるま=向日葵
二四七 髭剃て油うく顔秋暑き (09.06 M42.10.16)
「雅号の解釈」なる戯文に、月斗「此頃は毎晩寝酒三合用ふる故に月一斗也」。
四明「俳句小説美学時文と四相を悟るが故に四明也」。(09.06 M42.10.16)
課題募集句「寒月」月斗選者吟
二四八 暮笳遠し寒月檐にかゝる時 (09.10 M43.03.16)
*檐=ひさし 暮笳=夕暮れに吹く胡笳の物悲しい音色。唐詩に「暮笳吹寒月」。
二四九 新知より旧知なつかし春の風 (09.11 M43.05.16)同人喁語・無題
*喁語=ぎょうご・ぐご…「偶語」の場合もあり
*(09.12 M43.06.16)課題募集句「四月」が月斗選であるが、選者吟なし
二五〇 朱ケの紐眼奪ふものに竹婦人 (10.01 M43.08.16)月斗俳文「竹婦人」
*竹婦人ちくふじん=夏に涼を取るために抱いて寝る竹籠
二五一 はらからの栄枯の夢や竹婦人 (10.01 M43.08.16)月斗俳文「竹婦人」
二五二 竹婦人雨朝顔に青き朝 (10.01 M43.08.16)月斗俳文「竹婦人」
二五三 蛇籠の名知らずいふ子や竹婦人 (10.01 M43.08.16)月斗俳文「竹婦人」
*蛇籠=丸く細長く粗く編んだ籠の中に、栗石や砕石などを詰めたもの。河川工事
の護岸・水制などに用いる。
二五四 竹婦人廬山を望む庵もがな (10.01 M43.08.16)月斗俳文「竹婦人」
二五五 冬こもり献湯の供物配り来ぬ (10.01 M43.08.16)同人俳句集(第二十回)
同人喁語(テーマ=句を初めし当時の印象+愛玩の器物)
二五六 幾万の句の出し硯春の風 (10.01 M43.08.16)同人喁語
二五七 冬木立不折水鳥は為山の絵 (10.03 M43.10.16)同人句集(第十九回)
二五八 治水工事成る丘月のすゝぎかな (10.03 M43.10.16)子規忌句抄 *ぎ=ママ
*(10.07 M44.06.16)課題募集句「時雨」が月斗選であるが、選者吟なし
(以 上)
付・ 『濱ゆふ』に掲載の月兎句
松本 皎
「濱ゆふ」第9号(明治39年3月1日)
◆募集俳句「冬の山」月兎選…選者吟はなし
◆「雑吟」欄に、月兎4句(「東風」が詠まれているが、題は付いていない)
夕東風や濱の寄塲の縄暖簾
轉宅の荷を積む舟や東風の吹く
大師堂東風吹きそめて旅人かな
朝東風や普請なる橋の渡初め
「濱ゆふ」第13号(明治39年7月15日)
◆「雑吟」欄に、月兎5句(「老鶯」が詠まれているが、題は付いていない)
老鶯に錫杖ならす下山かな
(「老」が「考」と誤植になっている)
老鶯や瀧見に下る谷の路
庵の四囲老鶯の樹立かな
老鶯は萩の茂をこそつかす
老鶯や翠微の中に家建てん
(「微」の真ん中は、「山一口」の字体)
「濱ゆふ」第1期は、明治38年6月9日に第1号が発行され、明治40年10月で廃刊になる。表紙の誌名は当初「はまゆふ」で、第9号から第16号までは把栗の書で「濱ゆふ」となり、第17号から再び「はまゆふ」に戻っている。
今回調べたのは、第8号から第13号までである。 (以上)
付記
福田把栗の研究をなさっている松本皎氏より、和歌山県新宮の俳誌「濱ゆふ」の調査中に目に止まった月兎の句9句のご教示があり、掲載する。
月斗(兎)にとって、『濱ゆふ』は、地域や時期的に、三重県木本の『くぢら』(明治35年12月創刊)を継ぐものといえる。荒木井蛙の関わる『くぢら』は、選を四明、月兎、紅緑らが担当した。主宰誌を持たないこの時期、月兎の句は、先の『俳星』と『くぢら』と、選を担当した『大阪新報』に多くが発表されたと思われる。
紀伊牟婁郡二郷村竹内琴涯宛月兎書簡(明治35年10月13日)には、二伸に、「木の本の紀南新報に荒木井蛙をり候同君は貴地方幾拾の遊俳家中一頭地をぬきんぜし者に候間御交風ありて然るべく存候」云々と、「奈良の新やまとか申す新聞」や『大阪新報』の月兎選にも投稿願いたいと記してある。「大阪俳壇一口に申せば沈める方にて活気乏しく先輩後輩共に寐むれるさまに候」とあるのが興味深い。あたかも、子規の没した直後に相当するからである。(松本島春)
『濱ゆふ』に掲載の月兎句(承前)
松本 皎