お猿さんの親知らずに続く

 

乳歯は保守派、永久歯は革新派。

動物の種類によって、歯の形はさまざまです。永久歯の特徴がかなり大きく違っている集団でも、乳歯がよく似ておれば、同じ系統と考えます。

 その系統の近遠関係では、永久歯が互いに似ている集団は、乳歯だけが似ている集団よりも近い関係とみなせます。永久歯のほうが変わりやすいのです。(6523)

 

鹿は爬虫類?

 ウシの角は骨性で、頭骨から直接突き出ていますが、シカの角は、皮膚の変形であり、頭骨とはつながっていませんので、容易に脱落します

 哺乳類の歯は、顎骨の歯槽の中に入りこみ、保持されています。爬虫類では、原則として、歯槽がなく、顎骨に乗っているだけです。生え変わるときは簡単に落ちます。(6523)

 

ゴリラもヒトも猿のうち

 ヒトは、脊椎動物門・哺乳綱・霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒト種に分類されます。もっと詳しくは、霊長目・真猿亜目・狭鼻下目・ヒト上科・ヒト科・ヒト亜科のヒト属・ヒト種Homo sapiensです。

 普通の猿の仲間である真猿類のうち、新大陸にすむ広鼻類とは、鼻の穴が外側に向き、旧大陸にすむ狭鼻類は、ゴリラやヒトのように、左右の鼻の穴が平行して前を向くものです。(6523)

 

たくましい犬歯はお好き?

 類人猿では、犬歯が大きくなる方向に進化し、ヒトでは、小さくなる方向に進化しました。犬歯の必要度や使い方の違いでしょう。下あごの第一小臼歯も同様です。

 ヒトは、類人猿のように犬歯を威嚇や性的アッピールには使いません。切歯とともに、食物をかみ切ることに使い、小臼歯は、すりつぶしに使うのです。(6523)

 

「猩々」の毛はなぜ赤い。

 中国の「猩」は、オランウータンだからです。「猿」は、ニホンザルやタイワンザルの仲間です。「狒」は、ヒヒで、「猴」は、テナガザルを意味します。

進化の系統樹で、ヒトの仲間と、「猿」と「狒」は2500万年前に岐れ、「猴」とは1000万年前に岐れました。「猩」と岐れたのは800万年前と考えられています。(6523)

 

スリムな犬歯と放物線の歯列

人類の進化の場合、顔が小さくなってきたため、突顎が弱くなり、結果として顔が引っ込んできました。そのため、U字型の歯列が横に広がり、放物線状の形をとります。

食物の軟化・生態の変化→歯と顎骨の縮小→顔の縮小→放物線型の歯列弓。さらに歯と顎骨の縮小は脳の大型化につながり、その総合が、ヒトへの進化となりました。(6523)

 

猿人の寿命は?

375万年から100万年前の猿人達は、何歳まで生きていたでしょうか。いまや長寿社会に入り、さまざまな施策が取られていますが、当時の生存環境は厳しいものが想像されます。

年齢の推定には、歯の咬耗状態を用いますが、現代人とは当然違ってきます。補正しての推定は、種により18歳、23歳の値が出ています。現代の類人猿の寿命は約30〜40歳です。(6523)

 

その中身が問題

猿人以来、脳の進化は、先ず大型化の方向に進みましたが、旧人になると、サイズの変化は止まり、その後は形の変化、つまり球形化してきました。内部充実です。

新人以後、現在も、脳の形が前後に短く、その代わり高さが増してくる、短頭化現象は続いています。これによって、脳全体に占める前頭葉の割合が急増しました。(6523)

 

退化はススンでる!

新人で歯と顎骨の退化が急速に進みましたが、サイズや形だけでなく、歯の数にも及んできます。先天的な歯の欠如は、第三大臼歯に見られます。上顎側切歯と第二小臼歯にも見られます。

欠如の率には人種差があり、日本人で親知らずが一本でも欠如しているものは40%ほどといわれ、欧州人では30%前後と報告されています。(6523)

 

小さく簡単に、そして…なくなった

歯の萌出時期の相対的な遅れが歯の縮小につながり、その極端な形が先天的欠如となるようです。萌出順位の変化もこれに関係があるでしょう。

また歯の矮小化が、第三大臼歯や上顎側切歯に見られます。さらに歯冠の形の単純化、つまり咬頭や隆線の数が少なくなります。萌出順位の変化、形の単純化、小型化、欠如と進みます。(6523)

 

お尻が青いのと

いくつかの歯冠形質がセットとして特定の人種に多く現れます。アジア系人種の歯冠形質群は、切歯のシャベル形、下顎第一大臼歯の第6咬頭、第7咬頭、屈曲隆線、プロトスタイリッドです。

シャベル形とは、切歯の舌側のくぼんだ形、あとは下顎第一大臼歯の咬合面、頬側面の結節様のもの。なお上顎第一大臼歯の舌側面のカラベリー結節は、欧州人種に多い形質です。(6523)

 

日本人の顔の変化 

日本人の顔の形質の変化は、二つの加速の時期があります。一つは弥生時代で、丸顔で眉間隆起とくに鼻の付け根から鼻背の隆起の強い縄文時代人から、高まりが弱くなった古墳時代人へと大きく変化しました。

次に、明治以来今日まで、日本人は、身長の増大、短頭化、狭頭化が進行し、縄文時代以来かって見られなかったほどの鼻根、鼻背の隆起の増大を見るに至りました。(3363)

 

家畜的な進化

野生動物の進化に比べ、人類の進化は急速です。これは家畜に比較されます。人為的環境の元に飼育して、オオカミはイヌに、イノシシはブタに形質を変えました。

第3紀の野生のヒトは、第4紀はじめに文化を持ち、時代の経過に伴う文化の発達は、ヒト自らの飼育化の強化を招く結果となったとみなすことが出来ます。(3363)

 

ヒト的な顔とは

サルと比べて、額に丸みがあること。眼窩上突起がないこと。額から鼻や顎を連ねる線が傾斜を示さないこと。オトガイ部がやや前突すること。

直立姿勢をとり、手を習熟して使用するため、外後頭隆起の位置が下方へ下がっていること。後頭骨頂稜の消失。大後頭孔の位置が中央にあること。歯の小型化、とりわけ犬歯の縮小。(6334) 

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