所在地:名古屋市千種区宮の腰町
竣 工:大正3年3月
設 計:丹羽重光
鍋屋上野浄水場は、名古屋で最初に造られた近代水道施設のうちのひとつです。W.K.バートン氏と上田敏郎氏の調査結果に基づいて、明治43年5月に着工、大正3年9月に給水開始し、現在も名古屋のおいしい水を送り続けています。
第一ポンプ所は、英国から輸入したと言われる煉瓦造りで、古典主義建築様式を基調としていますが、正面の中央入口上部の窓にはイオニア式のオーダー(柱頭)を持つ柱が配されるなど、様式にとらわれない意匠を凝らした名建築であり、昭和60年「近代水道百選」に選ばれ、平成4年まで稼働していました。
正門脇の歩道橋を渡ると鳥居松沈殿池で70年間使用されていた仕切弁(明治44年、英国製 有効径 760mm)があり、水の小径公園をしばらく歩くと昭和6年から鳥居松沈殿池で使用されていたY字管(有効径 1100mm x 1100mm)もあります。
同じW.K.バートンが手掛けた下水道の方は下水道博物館によって啓蒙活動が実現しています。上水道の方は年に3回しか見られない東山給水塔の展示資料だけで充分とは思えません。この第一ポンプ所を水道資料館にするという計画がかつてあったらしいのですが、未だに実現していないところを見ると、挫折したのでしょうか?
名古屋市水道通水80周年記念として浄水場の一角が整備され、平成6年9月に水道公園「水の丘」が完成しました。以前よりは第一ポンプ所がよく見えるようになり、敷地内に入らなくても同じような写真が撮れるようになりました(^^)。しかし、残念ながら東側の壁には赤いペンキと思われるものが塗られ、醜く変貌していました(;.;)。
(英国から輸入した煉瓦を使用したと言われていますが、国内でも煉瓦の量産が定着している大正3年にわざわざ輸入したとは思えません。真相をご存知の方は教えて下さい。)
この写真は鍋屋上野浄水場の許可を得て撮影し、名古屋市水道局経営企画課広報係(当時)の許可を得て掲載しています。「自分も同じアングルで撮ろう」と不法侵入することのないようお願いします。
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