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第7回(平成10年 2月19日)
田原ムチ試し打ち事件
 2/19 1998.

冠号馬名馬の殿堂入り問題について書くと予告していたが、それは一時保留。今回はムチ試し打ち事件についてである。誰ですか、「待ってました」とか言ってる人は。誰も言ってませんか。

あらかじめ断っておくが、私は当然ながらその場にいた人間ではない。だから、事件の真相について知っているわけではない。だから、書く上で前提とするのは、両者がともに認めている事実、報道されている事実についてだけである。

で、本文。純粋アンチ田原の人には悪いが、一連の動きを見ていて思うのは
「スポニチだらしねえな」ってことの方が大きいのである(少なくとも私はね)。
 JRAが中に入ったみたいだから、どんな仲裁がなされたのかは知らないけど、中途半端なところでイモ引くくらいだったら、最初から騒がなきゃいいだろうに。しかも、イモ引いた段階に至ってまだ「納得はいかないが」かなんか言うってのは意味が分からん。
 いっそコメントジャーナリズムの一員として、「なにをされても堪え忍ぶ」の方がよかったんじゃないの? あるいは、紙面の力を利用しないで、可能なところまでは人間対人間の戦いでいくか。いずれにしても、ファンに向けて変な空気を中途半端に振りまいただけで終わったってのは良くないんじゃないかな。始めちゃった以上は全面戦争か、どっちかでしょう。筋道としては。

一方田原先生の方だが、本人の主張を認めた上での公式発表では、「故意でないムチが当たったんだけど、その時謝らなかった」ってことなわけだ。そうですか。故意でなくても謝った方がいいよね、人にモノが当たったら。しかも怪我してた場合はさ。あるいは小島太師の名セリフ、「競馬法には違反していない」を繰り出すとか。それは違うか。

感情論レベルのアンチ田原の人に利用されたくないので、本件に関する私のコメントはこれまで。代わりに、田原騎手引退に際し、ライター田原について私の見解を書いておく。

本来、競馬ライターとしての田原成貴はものすごく可能性があると思うのである。だって、我々が経験しようのない経験を、山ほどしてきたわけだから。新しいジャンルとなりうるくらいの可能性があるといってもいい。それは嘘いつわりでも建前でもなく、本当にそう思う。
 あとは、その可能性を開花させるだけの力量が編集部ないし編集者にあるかだろう。また、田原にそのサジェスチョンを聞く耳があるかどうか。「書いていただく」みたいな接待体質ではダメ。書き手っていうのはそうやって育っていくもんでしょ? どれだけ素養があっても、天然のままで合格ラインを遥かに越えることなど少ないはずだ。仮に越えていたとしても、修練によってもっと上が目指せるわけだし。

ま、現状がどうかについては、関係者がよく考えてみればいいんじゃないかな。別にこれは具体的にどこそこの編集部を批判するとかいう意味で書いてるんじゃないよ。例えば「競馬塾」なんかについては、田原と編集部の関係についてどういう状態なのか知らないし。でも、別な媒体で接待モードになったところがあるのは事実で、その結果つまらない文字データが流通したのも事実である。競合ライターとしては敵(?)がヘボい仕事をしてくれた方が有利ではあるが、社会全体の効用で言うなら、それはやはり勿体ないことだろう。

ここまで丁寧に書いても単なる田原嫌いの文章と読み間違える人がいるので、最後はライター田原を誉めるケースで締めておく。
 いつの号かは覚えていないが「競馬塾」の原稿で、マヤノトップガンで5着に敗れた天皇賞春の後に書いたものがあった。手元に当時の号がある方は読んでみていただきたい。ああいう原稿こそ、私が読みたいというものなのである。騎手経験ライターというからには、世間はああいうものを期待するべきなんじゃないかと思うんだけど。なんか田原ファンの人は持ち上げるポイントがズレてるような気がしてならん。あ、原文転載できないので話が見えない方が多いだろうか。すまん。



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