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第7回(平成9年12月23日)
桜庭の優勝に驚愕(12月21日、UFCジャパン)
12/23 1997.

高田が負けた時、このコーナーに覚めた文章を書いた。Uインターはプロレスなんだから仕方ないというようなことも書いた。しかし、それからさして時間もたたないうちにこの「事件」である。
 とりあえず、自分の心境を整理したい。
 嬉しいかといえば、そりゃ嬉しい。Uインターもキングダムもあれだけ見てきた自分だ。Uインター崩壊の後楽園ホールでは、冷静なつもりでいたのに、ボーウィーチョーワイクンが日本語で「さびしいですね」と挨拶した瞬間、不覚にも泣きそうになった。キングダムの客入りが悪いのも見てきた。北尾をぶち倒したハイキックの興奮は過去の思い出にすぎないのかとしみじみしてきた。しかし、やっとここにきてプラス方向のニュース(それも大物)を目にすることができたのだから感慨無量だ。夜中の2時に(昼は府中のイベントがあったのでテレビ観戦)別冊宝島のTさん家に電話しちゃったよ。相手も起きて見てたけど。
 続いて、キングダムという団体がどういう団体なのかを再整理しておかなきゃならないような気がする。高田が負けた時、リアルファイトの人じゃないんだから仕方ないというようなことを書いた。その考えは変わらない。でも、団体丸ごと純然たるプロレスだと思っていた私の認識は間違っていたようだ。高田や安生(安生の方がU風味ではあるが)、昔の宮戸といった「大人」はプロレス寄りで、「若者」はU方向を指向しているんだろう(高山はバリバリにプロレスだが)。桜庭はもともとアマレスの人だし。でも彼はいわゆるプロレスもやってるわけで、そういう意味では「プロレスラーは本当は強いんです」という言葉もあながち嘘ではない。
 桜庭がリング上でインタビューに答えている時、下で高田と安生が安堵と苦笑の入り交じったような笑みを浮かべているシーンがあった。あれが「若者」の成長を認識せざるをえなかった「大人」の状況じゃないのかな。キングダム内の格は、高田欠場のまま崩壊したといっていいだろう。
 次に。この勝利はあくまで桜庭の手柄であり、譲ってもキングダムの手柄までだ。高田にプロレス地盤低下の責任をなすりつけた連中がいたように(ホントは強弱じゃなく、面白さの問題だというのは以前書いた通り)、この勝利にタダ乗りしようというレスラー・団体が必ずあるはずだが、それははっきり言って嘘つきである。インディー連中が言い出す前に釘を差しとく。言い張るなら対柔術とは言わない、桜庭とガチンコでやれ。
 えー、だいぶ混乱してきたが、試合そのものの感想を。まず、言うまでもなく裁定・運営がぐちゃぐちゃ(笑)。で、コナンと2回やって優勝っつうのはどうかという格闘技寄りの人もいると思うのだが、「なんだかんだ言っても勝っといて損はなし」という優勝だと思う。ホイスやコールマンと並列な位置に立ったわけだからね。とりあえず「名」を得たと。「実」はこれからじっくり注入していけばいいんじゃないだろうか。
 そりゃ、技術的レベルのことを言ったらホイスあたりとは比較にならんよ。っていうか、コナンけっこう弱かったし(笑)。でも、いいじゃないの。勝者として名を連ねることに意義があった大会なんだ。安生よりは内容的にもよかったしね。解説の高橋が安生を語る時と桜庭を語る時でだいぶトーンが違うのが印象的だった。
 それにしても、会場に流れたキングダムのテーマ(豆知識:作曲はパッパラー河合)にはちょっとぐっときたね。もしあれがUインターのテーマだったら、ぐっとくるどころか泣いてたよ。


桜庭ミニ情報:彼は普通のプロレスやってもけっこう順応性がある。武道館でやった対大谷晋二郎戦は隠れた名勝負。ビデオになってるかどうか分からないけど、なってたらおすすめだ。



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