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第13回(平成10年 5月 3日)
オリックスの惨状に思う
 5/ 3 1998.

いや、弱いっす、オリックス。意味なくちょっと韻を踏んでみたけど。
 もともとオリックス(阪急)には開幕ダッシュ失敗体質があるのだが、ここまで弱かったのはちょっと記憶にない。さすがに今年は優勝は無理かもしれん。でも、いいんじゃないっすか。これで95・96年からの「にわかファン」を一掃しちゃえば。土井暗黒時代(笑)をも乗り越えてきた我々にとっては、こんな不調くらい屁でもないっすよ。

ただ、ひとつだけ心配なのは、今年例えばBクラスになるとして、それをきっかけにチームに「負けて当然」の空気が染みついてしまうこと。分かりやすく言うと「ダイエー化」(笑)。弱いチームというのは純粋に力量の問題ではなくて、そういう空気が足を引っ張っている部分があると思うのだ。阪急・オリックスだって一時はそうなりかけた時期があった。それを救ってくれたのが「藤井・涙のお立ち台事件」※だったと思うのだが(話がマニアックですまん)、そういうチームリーダーがいないとズルズルいってしまう可能性がある。一旦そうなると、チームの立て直しには10年・20年という時間がかかってしまうのである。
※オリックスが最悪だった時代、ヒーローインタビューで藤井康雄選手が「本当はこんな弱いチームじゃありません!」と絶叫・号泣した事件。確かまだ藤井の背番号が10だった時代の出来事。

一方、マスコミ的にはこれから仰木バッシングが強くなることだろう。山田監督待望論あたりと合わせて。ただ、私としては「いい時は持ち上げ、悪いときは叩く」みたいな真似はしたくないのである。常に惜しいところで終わるチームだったオリックスを優勝に導いてくれたのが仰木監督だったのは紛れもない事実。その恩を忘れてはならないと思う。
 それにもともと、仰木監督の采配はいわゆる「マジック」ではなく、むしろ詰め将棋のような緻密な采配だったのである。今でも印象的なのが対巨人の日本シリーズ最終戦。一塁の藤井を四条に替えるかどうかの局面(手元にスコアブックが無いので大ざっぱな表現になってしまうが)で、仰木監督はいったん待ち、落合を打ち取った時点で四条を入れた。あの細かさは球場にいてしびれたね。投手起用にしても、野村や鈴木平の投入時期は計算され尽くされてたし。それを「マジック」なんて括っていたから、今になって辻褄が合わなくなるのだ。破綻しているのはプレスの方かもしれん。
 仰木監督のそういう緻密な野球は、使える手駒が抱負にいてこそのもの。イチローこそ毎年安定した成績を残しているものの、その他が戦力ダウンしている現状では、結果につながらないのはやむを得ないところだ。そのぶん今年は育成重視の起用も目立つので、せめて来年以降につながる(早くも来年以降の話か)形になればと思う。

もうひとつ、オリックスを揺るがせているのが「ベテラン軽視のツケうんぬん」なわけだが、しょうがないじゃん、金ないんだから(笑)。イチローの給料払ったら、もうナンボも残らないんだよ。これはイチローが悪いってことじゃなく、そんな相場を作ってしまった球界が間違っていたのだ。FAも逆指名も特定球団の利益のために始まったことだが、そういう異常な資本投下をしている球団以外にとってはえらく迷惑なことだ。結果的に野球をつまらなくしている効果も非常に大きいと思うのだが、お茶の間で巨人戦見てる人には関係ないんでしょうな。プロ野球通はげんなりしてると思うんだけど。

長くなってきたんで無理にまとめるが、とりあえずプロ野球はナベツネが死なないと良くならないでしょう。がんばれ癌細胞! どんな結論じゃ(笑)。



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