◎カメを飼うとは
1)野生動物を飼うとは
当たり前の事ですが、動物は自然の中で生きて/進化しているわけで、
周りの環境があって、初めて生きられる訳です。
そこから、動物を持ってくるという事は、完成されたジグソーパズルの
ピース(一片)を取り出したようなもので、飼育する時にはそのピースを
取り除いた周りの形を再現して、そこに持って来たピースを嵌める必要が
あるでしょう。
野生動物に合う飼育環境の設定/模索が飼育の一つの大きなテーマです。
※野生動物と書いてしまいましたが、犬や猫のような長年の飼育を
された種ではないという事で、野生採取の個体のみが対象ではなく
繁殖個体を含めたカメ全般が対象です。
2)爬虫類を飼うとは
私たちは哺乳類なので、爬虫類とは身体の機能や生活が違います。
もっとも違うのは体温の維持です。哺乳類は恒温動物で、体内で発熱し外気に
関わらず常に一定の体温を保とうとします。一方、爬虫類はこうした機構がなく
外の気温で体温を上げ下げします。
哺乳類は常に動ける体制を維持し、常に消化が可能です。活動範囲/時間が
外気温によらないのですが、エネルギーの消費が激しく、常に食べ物を補給
する必要があります。
一方、爬虫類は移動し、日光を浴びたり、日陰にいったりして、
できるだけ体温維持を試みますが、暖かいところなど適切な条件がなければ、
どうにもなりません。活動ばかりでなく消化すらできないので注意です。
そういう意味では爬虫類は「鳴くまで待とう」的な辛抱をします。「カメが
何も言わないからそれでいいのだろう」と思う事は危険ですね。じっと耐えて
いるかも知れません。哺乳類の私からすれば考えられない事ですが、不適切な
環境であれば死ぬまで辛抱したりするみたいです。
3)カメを飼うとは
カメの最大の特徴は甲羅を持つ事です。防御を完璧にする作戦ですね。
自分のペースで生きていける訳です。カメは古い時点でおおよそ進化して
しまったと言われていますが、それは改良する必要がない事を表わすと
思います。つまり、甲羅で防御する戦略がある意味で大変効果的だという事です。
しかしながら、この戦略はデメリットもあります。まず、重い甲羅で
身動きしにくい事。次にこの甲羅を作るため大量のカルシウムが必要な事です。
3−1)カメと水
重い甲羅を背負ったカメは先に述べたように、運動能力が制限されます。
しかし、水中では浮力により運動能力が向上します。魚など他の動物を
捕食する事すら可能です。
その上、乾く事もなく、温度変化も空気中より少ないです。
水はカメにとっては非常に有益です。
多くのカメが水場に住むのも肯けます。
3−2)甲羅
甲羅は基本的には骨と同じです。リン酸カルシウムでできています。
リンもカルシウムも骨の形成を除いても動物の身体にとって大切なものです。
それを大量に貯えられかつ身体を支えたり、防御したりに使えるのですから、
一石二鳥ですね。
ところで、体内のカルシウムのバランスは均衡を保つ必要があり、
多ければ良いというものでもありません。
そのバランスを取る機構に一つにビタミンDの利用があります。簡単に言うと
ビタミンDがあるとカルシウムを吸収します。きのこなど植物にも
ビタミンD2があり、人間は利用できますが、カメは動物しか持たない
ビタミンD3しか働きません。
したがって、ビタミンD3を持つ他の動物を食べるか、自分で作るしか
ありません。幸い、草食のカメでも日光に含まれる紫外線UVBを使って、
甲羅や皮膚で合成する事ができます。
カメは甲羅を作る必要があるため、他の動物より多くのカルシウムが
必要であり、もちろん、そのためにビタミンD3も必要です。
3−3)リクガメを飼うとは
リクガメは水に入りません。つまり、甲羅の重さによる運動能力の制限を
もろに受ける陸上生活しかしないという事です。したがって、動物を日常的に
捕食する事はできません。自然、植物食になります。
動物が食べられないとカルシウムやビタミンD3を直接餌から取るのが
難しいです。また、植物は低栄養で消化が良くないので、大量に食べ、
消化のため体温を十分に上げる必要があります。ビタミンD3合成のためにも
日光浴も多く必要です。生息地はカルシウムの多い土壌であるといわれ、
植物にも多いでしょうし、カルシウムを含んだ土を食べるとまで言われます。
まとめるとリクガメの特徴は
・消化しくく、低栄養な草食性である
・日光が必要=晴れの日が多い地方にすむ=乾燥地が多い
・気温が高くないといけない(冬は寒い場合は冬眠する)
・カルシウムが必要
リクガメは甲羅を背負ったデメリットをまともに受ける生活をしている
カメともいえるでしょうね。
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