◎人工飼料
  私が使った事がある人工飼料は
    新・旧プリティペッツ(スモールトータス)
    爬虫類牧場パウ(草食用)  ポゴナ倶楽部
    トータスフード          スドー
    リクガメフード          Rep-Cal
です。
  プリティペッツ(以下ペッツ)は
    ・乾燥・小粒  水でふやかすか刻んだ葉野菜などに混ぜる
    ・嗜好性良し(フルーツの香り)
    ・穀類などで作る。多分、おからの繊維質+豆腐蛋白質が基本コンセプト
で、これに餌付けておけばビタミン剤や薬などを掛けて与える事が
できるので、重宝します。
  私の使ったペッツの新旧の区別ですが、青紫色の粒があれば新ペッツです。
新ペッツの方が水の吸収が良いです。食べると若干新ペッツの方が甘いです。注)
しかし、最も新しいのは青紫色の粒が無くなっているようなので、これでは
新旧区別できません。最新のものの成分は新ペッツと同じなので、
缶の成分表で判断してください。
  うちの亀吉はショップでも食べていたので、いきなり食べました。しかし、
食べないという個体もいるようです。
  また、着色料が不健康な印象を与えるという飼育者もいますし、悪い匂いでは
ないですが、フルーティな匂いも強いです。

 注)真似しない様に

  爬虫類牧場パウ(草食用)(以下パウ)は
    ・乾燥・粉末  水で練るかそのまま。または葉野菜にかける
    ・嗜好性は悪い
    ・詳しい成分表があり良い。栄養重視。粉末アルファルファが基本コンセプト
  栄養的には良いと思いますがなにせ食べません。慣れないと葉野菜に掛けると
葉野菜ごと口をつけません。
  食べさせるにはまず葉野菜に自分も気づかないほど少しかけ、食べたら、
次の時は微妙に増やして掛け...というのを繰り返すのが結局早いです。
  ある程度、葉野菜にかけて食べるようになると、それだけ小皿に盛っても
食べるようになります。しかし、うちの亀吉は水で練ると嗜好性は落ちます。
  多分、主食にするには無理で、繊維質などの栄養補給に補助的に使う事に
なると思います。

  トータスフードは
    ・乾燥・大粒  水でふやかすかそのまま。他の餌との併用を薦めている
    ・嗜好性は良い
    ・乾燥アルファルファ入りトウモロコシ団子という感じ
  嗜好性もよく、アルファルファ中心なので、栄養も良い気がします。
ただし、食べないという個体もいるようです。
  ふやかす水が足りないと粘って口についたりして、食べにくそうですし、
最初の一回便秘しました。(亀吉は便秘は少ないのですが)
  栄養面では脂肪が多いのではという疑問も提起されており、
注意が必要です。

  リクガメフード(以下Rep-Cal)は          
    ・乾燥・小粒  水でふやかす
    ・嗜好性良し
    ・とうもろこしと大豆が主らしいですが乾燥マンゴー、乾燥パパイアなどの
      フルーツも加えられています
   「完全食」を謳っており、これだけ与えても問題がないとなっています。
また他のビタミン剤などとは併用しないように書いてあります。
   嗜好性も高く、栄養的にも良いように思えます。詳しくは後程するとして
低脂肪、高繊維です。蛋白質はリクガメの餌としては高めに配合されていますが、
これも1つの考え方でしょう。ペッツほど香りも強くないですね。

  与え方ですが、主食級のペッツやトータスフードやRep-Calは水でふやかせて
栄養価の割合を低くするが、正解でしょう。
  
  スドーのトータスフードの場合、4倍の水でふやかすのをお勧めします。
時間がかかります(10-15分)が、小皿で水に浸けておくとこれだけの水を吸います。
もちろん、途中1回裏返した方が吸収が早いです。
  Rep-Calも基本的には同様ですが、水は4倍までは吸いません。2倍の水なら
確実に吸います。おそらく、2倍の吸水が目安かと思います。吸水の速度は高く、
2倍の水なら、5分もあれば十分吸います。もちろんトータスフードのように
裏返す必要もありません。もっとも小粒でそんな事できませんが。

  この状態で適量になるようにします。例えば私は全餌量の目安を
体重の20%としているので、約200gの亀吉は5gのトータスフードを
20gの水でふやかし、他に15gの葉野菜を与えます。
  Rep-Calは専食を薦めているので、それだけ与える方がいいかも知れません。
  なお、パッケージの目安量にある蓋のカップは、シートを除いた状態で
乾燥重量25g入りました。パッケージの目安量はその範囲の上限のカメに
ふやかせた状態で、体重の20%弱食べさせる量のようです。つまり、
それ以下のカメには過剰になりそうなので、「余計に与えても食べ残す
だろうという」という考え方のようです。
  これは10cmのところで検証しました。5-10cmでは1/2カップ=乾燥12.5gです。
これを2倍の水でふやかすと3倍の37.5gになります。甲長約10cmで、
標準体重約210gですから、17.9%になります。

  カルシウムは強化した方が無難です。炭酸カルシウムなどリン酸カルシウム以外で、
ビタミンDを含まないものを添加した方が良いです。

  それとペッツやトータスフードの後は葉野菜の餌食いも落ちますね。

 人工飼料についてデータで考えました。
 どの表も100g中の含有量(=gなら%と同じ)です。

  まずは基本になる葉野菜などの成分は、次の通りです。
-----------------+------+------+------+-----+------+-----+-----+-----+-------
食品名称         | 水分 |蛋白質| 脂質 | 糖質| 繊維 | 灰分|  Ca | リン| Ca/P比
単位             |    g |    g |   g  |   g |    g |   g |  mg |  mg |       
-----------------+------+------+------+-----+------+-----+-----+-----+-------
こまつな         | 91.9 |  2.6 | 0.2  | 2.9 |  0.8 | 1.6 | 290 |  55 | 5.27  
チンゲンツァイ   | 95.2 |  1.5 | 0.1  | 1.6 |  0.6 | 1.0 | 130 |  33 | 3.94  
キャベツ         | 92.4 |  1.4 | 0.1  | 4.9 |  0.6 | 0.6 |  43 |  27 | 1.59  
えだまめ  ゆで   | 71.1 | 11.4 | 6.6  | 7.4 |  1.9 | 1.6 |  70 | 140 | 0.5   
-----------------+------+------+------+-----+------+-----+-----+-----+-------

  一方、人工飼料は、次の通りです。
-----------------+------+------+------+-----+------+-----+-----
人工飼料名称     | 水分 |粗蛋白|粗脂肪| 糖質|粗繊維| 灰分|合計 
単位             |    g | MIN g| MIN g|   g | MAX g|MAX g|
-----------------+------+------+------+-----+------+-----+-----
新プリティペッツ | 10   |  8   | 3    | ?   |13    | 6   | 40
旧プリティペッツ | 10   | 12   | 3    | ?   | 7    | ?   | 32
パウ(草食用)     |  8   | 16   | 4    | ?   |15    | 8   | 51
トータスフード   |  8   | 10   | 5    | ?   | 7.5  | 3   | 33.5
Rep-Cal          | 12*  | 19   | 1    | ?   |18    | ?   | 40
[参考]サラダ牧場 | 15   | 17   | 1    | ?   |30    | ?   | 63
-----------------+------+------+------+-----+------+-----+-----
注) この成分は合計が100%でない。また、MIN(最低値)またはMAX(最高値)である。
    なお、Rep-Calの水分はMAX(最大値)。
    「サラダ牧場」はスドーの乾燥アルファルファです。ただし、葉以外の
    枝も多く、葉のみだと、繊維などは下がるでしょう。ウサギ・モルモットの
    おやつとして売ってます。

  まず、注目は葉野菜に比べて、水分が非常に少ない事ですね。
  乾燥したまま食べさせると、蛋白、脂肪は同量の枝豆を食べさせる
ような感じです。腹一杯食べれば明らかに栄養過多です。

  ただし、水分を補うと葉野菜に近づきます。例えば、旧ペッツでも
水でふやかし、5-8倍(たぶん無理ですが)にできれば、蛋白質は
小松菜やチンゲン菜に近くなります。

  逆に葉野菜から水分を取り、水分10%にすると仮定すると
-----------------+------+------+------+-----+------+-----
仮想食品名称     | 水分 |蛋白質| 脂質 | 糖質| 繊維 | 灰分
単位             |    g |    g |    g |   g |    g |   g 
-----------------+------+------+------+-----+------+-----
こまつな         | 10   | 28.9 | 2.2  |32.2 |  8.9 |17.8 
チンゲンツァイ   | 10   | 28.1 | 1.9  |30.0 | 11.3 |18.8 
キャベツ         | 10   | 16.6 | 1.2  |58.0 |  7.1 | 7.1 
-----------------+------+------+------+-----+------+-----
となり、蛋白質などはとても高くなります。(脂質、繊維は似てますね)

  つまり、人工飼料を葉野菜と同じ量を食べると仮定すると、
その分、別に水分補給させて注1)少量(1/5-1/10)にする注2)か、
水で5倍以上にしないといけないという事でしょう。
  蛋白質は7%以下という目安もあるので、これを上限として、
葉野菜の割合(ただ、葉野菜の量は減ると思います)や、
ふやかす水分を調整する手もありますね。
 注1)蛋白質が多く、水分が少ないのは血中の尿酸値を上げる
     可能性があり、拒食に繋がります。
 注2)嘴の伸び防止に堅い乾燥粒を食べさせたいというニーズもあります。

  旧ペッツは吸水が悪い印象があるので、ふやかせても量を
セーブする必要があるかも知れません。

  Rep-Calを除き、脂肪は高めです。蛋白質より問題指摘が少なく、
太るという意味では体力もつくので、そうしているのだと思いますが、
運動不足になりやすい飼育下で、長期的な影響(内蔵につく等)が心配です。

  また、原料はどれも植物性ではあるもの、穀物なども含まれ、
蛋白質、脂肪の種類やその割合も正しいかどうか疑問です。

  カルシウムも強化すべきですね。蛋白質は多めでもカルシウムを
その分多くすれば、甲羅のボコボコを防止できるという説もあります。
体重が落ちているなどやむを得ない場合はこの考え方を取るのも
一考かとは思います。

  Rep-Calは主な成分については、なかなか良い配合だと思います。
  2倍の水を吸水した(重量は乾燥時の3倍です)成分は下表のようになります。
--------------------+------+------+------+-----+------
飼料名称            | 水分 |粗蛋白|粗脂肪| 糖質|粗繊維
単位                |    g | MIN g| MIN g|   g | MAX g
--------------------+------+------+------+-----+------
Rep-Cal             | 70.6 | 6.3  | 0.3  | ?   |  6   
(2倍の水でふやかす)|      |      |      |     |
[以下参考]          |      |      |      |     |
こまつな            | 91.9 | 2.6  | 0.2  | 2.9 |  0.8 
トータスフード      | 81.6 | 2.0  | 1    | ?   |  1.5 
(4倍の水でふやかす)|      |      |      |     |
--------------------+------+------+------+-----+------

  小松菜より、蛋白質が多く、繊維がずっと高いです。高蛋白質は一般的には
いけませんがそれでも目安の7%には収まっています。葉野菜は野草に比べ、
低繊維、低蛋白質であるといわれているので、おそらくRep−Calは
理想に近いのではないかと思います。水分は少し他から補給した方がいいのかも
知れません。またCa/Pも不明なので、念のため、炭酸カルシウムの
添加はしておいた方がいいでしょう。更に細かい事をいうとRep-Calは
大豆蛋白が主だと思うので、7%を分析した野草の蛋白より質が良く
(消化率が高いなど)、7%以下でも過剰の可能性は多いにありますが。
  また、これらの分析は重量で行っていますが、食べる量はむしろ体積の方が
影響があるように思います。葉野菜に比べ、人工飼料は食べやすく、
体積も少ないと思うので、Rep-Calは葉野菜より蛋白を高めたい場合などに
利用できそうです。
  そういう意味では体重が少なく脂肪を強化したい場合はトータスフードを
使うなどすればいいかと思います。


※ 1999/1/8 Rep-cal関係等につき、加筆修正


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