ふきのとうの世界

「銀色の世界」1984年11月21日リリース
 もうあれから14年。当時僕は20歳。
 この曲を久しぶりに聴くと、懐かしさと今の自分、あの頃想像してた10年後の自分が、一遍に頭の中に広がり消える。
 銀杏の葉が舞い落ちる並木道。どこの・・・って言う記憶はないから、多分テレビか写真だろう。
10年前の自分が、その時付き合っていた彼女と別れて何年目かの秋を、一人で歩きながら感じている。当時、別れるはず
はないと思いつつ、この歌の風景に自分を置いていた。そんな記憶を思い出しつつ、別れてしまった現状が重なる。
 歌は静かな曲調で、ふきのとうらしくさわやかに季節の移り変わりを歌っている。れんげ畑を車窓に見ながらの電車の
旅。当時、九州から来てもらったり、行ったりしてた遠距離恋愛。れんげの季節に電車に乗ったのは、マリンライナーだ
ったか、日豊本線の各駅停車の列車だったか。街を歩くと学生達の華やかな会話の中を、少し照れながら腕を組んで歩い
た思い出。ちょっと、高松の丸亀町商店街かな、この辺は。
 歌の中では、地下鉄があったり、完全に電車なんだけど、汽車育ちの僕にも歌詞の風景にあてはめて描くことが出来る。
そんな何気ない身近な歌の世界が、僕の心を未だにとらえ続けているに違いない。
やがて歌詞の終わりで、雪が町を包むことを知らせている。この辺のくだりは北国らしい雰囲気だ。しかし決して重たく
はない。あくまでもソフトに確実に冬の訪れを告げている。美しい歌だ。流れでいけば、
白い冬」(デビュー曲.1974年9/21リリース)が来て、「ひとりの冬なら来るな」(1982年10/21リリース)と
言いたくなってしまう。
と、書くと「ふきのとうはやはり暗い」と思われがちだが、「冬銀河」(1980年10/1リリース)と言うすてきな歌も
ある。いずれご紹介することになるでしょう。
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