1999年11月4日
昨日のツアーの説明だと1日ガイドがつくそうである。11時にホテルのロビーで待ち合わせであり、時間もあるので、昨日見かけたケアンズ博物館に出かける。先住民族アボリジニーに関する展示品ははほとんどなく、開拓によって導入された産業機器の展示がメインとなっていた。
昔のケアンズの街並みの写真も多数展示されており、貨物列車が主力として活躍していたころのケアンズ駅の写真もある。今の駅の様子からは当時の様子を偲ぶべくもない。
ひととおり見学した後ホテルに戻り、ツアーガイドのHさんと合流。今回のGSPE乗車コースには他の参加者はいないので、我々二人だけで貸切である。マイクロバスに乗車し、ケアンズの中心部から10キロほど離れた「フレッシュウォーター駅」へと向かう。フレッシュウォーター駅がGSPEの旅の始まりなのである。
15分ほどで到着したフレッシュウォーター駅は、簡素な木造吹き抜け構造の駅で、引き込み線跡には、昔の1等車を改造したというレストランも併設されていた。国道1号線脇にあるので、駅というよりは、ドライブインのような感じもする。駅への入口脇にはトロッコのようなモニュメントが飾ってある。
ひと月に5便ほどしか使用しないからか、チェックインを行うカウンターは持ち運びできるよう取って付けたものである。なお、ブリスベーンでのチェックインは超高級ホテルでおこなうそうである。
フレッシュウォーター駅の旧型客車
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予約チケットを見せ、チェックインを済ませる。ここで乗客は荷物を預け身軽になり、キュランダ観光へ向かう。キュランダ観光もGSPE乗車のイベントのひとつで、キュランダまでの交通費はGSPEの料金に含まれている。
なお、預けた荷物は車でGSPEの始発駅であるキュランダ駅まで運び、大型トランク類は荷物車に保管、その他の荷物は室内持ち込みで、乗客の個室まで運んでくれるシステムになっている。いたれりつくせりの豪華列車である。なお、我々2人の荷物はすべて室内持ち込みでお願いした。
チェックインが完了した乗客は、胸にGSPEのシールを貼り、スカイレールのチケットを片手に送迎バスに乗り込む。ここからは、GSPEの乗車コースとなるのだが、ガイドのHさんがGSPE乗車まで案内してくれるとのこと。
日本と同じ右ハンドルの大型観光バスに乗車し、約10分ほどでスカイレールの始発駅「カラヴォニカ・レイクス」に到着。日本語の案内ガイドをもらい速攻で乗車する。
スカイレールと云うと鉄ちゃんは、広島県の瀬野にある「ロープ駆動式懸垂型交通システム」を思い浮かべるが、ここのスカイレールはスキー場で見かけるゴンドラリフト(索道)と同じである。全長7.5キロ、世界最長の索道で、キュランダ観光の足として新しい観光名所となっているそうである。
スカイレール
バロンフォール
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ゴンドラ内では、兵庫県・西宮市から来られた日本人御夫婦と一緒になる。結婚25周年の記念旅行で来られたとのことであった。この御夫婦もGSPEの乗客で、ツアー参加を検討したものの、旦那さまの仕事の都合で個人手配されたとのことであった。この御夫婦とは、このあと列車内でよくお会いすることになる。
御夫婦の話によれば、GSPEのチケットは、東京の「オリエント・エクスプレス・ホテルズ・ジャパン」で手配したとのことであった。
「オリエント・エクスプレス・ホテルズ・ジャパン」は、ヨーロッパやマレー鉄道でオリエント急行を運行していることで名高いVSOE(Venice Simplon Orient Express)社の日本法人である。
参考までに、我々が乗車したケアンズ−ブリスベーン間の料金は21万2千円/人であった。
スカイレールは国立公園の中を走行するため、建設にあたり様々な苦労があったそうである。工事用の道路を設置するわけにもいかないので、資材/機材はすべてヘリコプターで搬入して建設したそうである。現在、我々が快適にすばらしい自然を堪能できるのも、その苦労によるものでもある。
ゴンドラ乗り場は晴れていたが、キュランダ高原は雨であった。ケアンズは亜熱帯雨林の地域に属し、この時期は乾季にあたるので、雨が降るのは珍しいとのことであった。
ゴンドラは約10分でレッドピークに到着。ここでゴンドラを乗り継ぐのだが、折角なので周辺の観光道を散歩する。生い茂った亜熱帯雨林の樹木の中を歩くのに、雨は風情があり、なかなか良かった。
乗り継いだゴンドラで最終目的地のキュランダまで一気に行けるが、途中バロンフォールズでも下車できる。スカイレールのチケットが3枚綴りになっているのは、途中下車時にチェックする(チケットに破り目を入れる)ためと思われるが、係員がいたにも関わらず、途中駅でのチケットのチェックは無かった。胸にGSPEのシールをつけていたので、フリーになったのかもしれない。
バロンフォールズはその名の通り、渓谷が見渡せるポイントである。目の前に大きな滝が広がっており、まるでダムのようであった。ただし、乾季なので流れ落ちる水の量はチョロチョロとで迫力はない。雨期に訪れるともの凄い水量なのだろうなぁ・・・。
ゴンドラに戻りキュランダの集落へ向かう。途中、谷にへばりついて敷設された線路が見える。これがキュランダ高原列車が走る線路である。
山の間のわずかな平地にそって線路が続き、日本の黒部渓谷鉄道のような雰囲気もある。こんな山の中に線路を建設するのも大変だったろう。キュランダ駅で入手した資料によると建設に際し様々な苦労があったそうだ。
この区間を走る列車は定期では1日2往復の高原列車のみである。キュランダに訪れた際には是非利用したいものである。我々も後ほどGSPEで通る予定である。
スカイレールは高原鉄道をオーバクロスしてターミナルに到着。高原鉄道のターミナルと隣り合っており、ホームには、ケアンズ行きの2本の列車(14:00発,15:30発)が停車しているのが見えた。
ここで、16時まで自由行動となる。まもなく14時の列車が出発するが先に市内探索にでかける。幸い、雨もあがってきた。
キュランダは小さな街で、ものの30分で市内は歩ける。フリーマーケットが名物らしいが、お互い余り興味ないので、当てもなくぶらぶらと散歩する。
歩き回れば、何らか見つかるモノで、中心部のアーケード街に「TRAIN LAND」の看板を見つけた。"MODEL TRAIN DISPLAY"の文字があるので、模型屋のようである。もちろん寄ってみた。
舗道上に線路の形をした白い線が引かれ、これをたどれば店に行けるようになっていたが、この店は、商店街からは隔離された感じの薄暗い半地下空間にあった。訪れるお客も少ないのか、商品は埃をかぶっていて、店と云うよりはボロアパートの玄関に店を強引に出したようにも見える。
カウンターには、お兄さんが一人暇そうに店番をしていた。奥の部屋には、鉄道模型のジオラマがあり、いくらか払うと運転させてくれるらしいが、あまりにも怪しい店なので、オーストラリアの鉄道モノの絵はがきを購入するだけにしておく。しかし、この店は商売になるのであろうか?。
昼食もまだだったので、オージー風のレストランでビールを片手に食事をする。妻はベジマイトのサンドイッチを頼んだが、不味かった。よくこんな木の実みたいなモノ食えるものである。
高原列車とキュランダ駅
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最終の高原列車が出発する15時30分が近づいてきたので、キュランダ駅へ戻る。高原列車は、10両以上つないだ長い編成であるが、製造後かなりの年月がたっていると思われる古い客車で、暗い車内、硬そうな椅子であった。高原列車と云うよりはトロッコ列車と呼べそうである
車内をのぞき込むと乗車率は70%位。乗客は日本の団体客が大半を占めていた。キュランダの高原列車はお薦めらしいが、こう日本人ばかりでは面白味に欠けるかもしれない
2両のディーゼルカーに引かれて高原列車が行ってしまうと駅は急に静かになる。数分前まであいていたホームの売店もシャッターがおり店じまい。誰もいなくなってしまう。ガイドさんの説明によると、「最終の高原列車が出発すると一日が終わったみたいになる」と言っていたが、まさにその通りであった
しかし、我々にとっては駅構内を見て回る絶好の時間である(笑)
ホーム中程にある小屋をのぞき込むと、日本ではほとんど見られなくなった手動のテコがあり、出発信号は腕木式信号機である。日本でも昔は当たり前の光景だったが、近代化が進むと同時に消え、今となっては珍しい光景である。1日に発着する列車が2往復ではこれ以上金を掛けてもしょうがないのであろう