1999年11月4日(続き)
キュランダ駅に入線するGSPE
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GSPEのロゴマーク
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16時を過ぎるとキュランダの駅に「GSPE」の乗客達が集まりだし、再びにぎわいが戻ってきた。駅に戻ってきたガイドのHさんに発車時刻の確認をすると、今朝ブリスベーンから到着した「GSPE」は2時間遅れだったそうで、出発が30分程遅れる見込みとのこと。
「カシオペア」のように1編成しかない上、展望車の方向転換作業を約1時間程西に進んだ距離にあるマリーバで行っているためとのことであった。計算すると折り返し作業に要する時間はわずか2時間20分しかないので、多少の遅れが生じるのはやむを得ないところである。
しかし、キュランダ〜ケアンズ間随一の見所、ストーニー・クリーク橋を通るころには日が暮れてしまいそうである。
突然、構内にフルートのメロディが流れる。背の高いすらりとした青年がフルートを奏でているのであった。Hさんの話によると「GSPE」の発車前に必ず見かけるそうとのこと。いかなる人物かと思ったが、あとでGSPEの旅を演出するスタッフであることが判明した。
ホームでは、アボリジニーの衣装をまといディジェリドゥ(長笛のようなアボリジニーの楽器)を演奏する男性と、フルートの青年がハーモニーを奏で始める。弾き終わると列車の到着を待っている乗客から拍手喝采を浴びる。アボリジニーの男性も、列車の旅を演出するスタッフの1人らしい。
17:20頃、ディーゼルエンジンの音が響いてくた。GSPEの登場である。2両のディーゼル機関車に引かれ、ゆっくりと入ってきたが、編成が長い。先頭の機関車と最後尾の客車3両はホームの端から外れていた。客車だけで18両もつないでいるから当然ではある。
先頭の荷物車には、乗客の荷物を積み込むため、発車までしばらく時間がある。発車までのしばしの時間は、クルーとの記念撮影、客車をバックにと、撮影タイムとなる。乗客の中に1人、立派なカメラを持ち写真を撮りまくる男性が1人いる。同類かと思ったが、後ほど、ドイツから取材に来たカメラマンと判明した。我々も何枚か写真を撮られているかもしれず、記事に「世界に股を掛ける日本の鉄ちゃん」などと紹介される事もあるかな?(笑)。
豪華な通路
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発車時刻が過ぎているが、慌ただしく乗り込むこともなく約50分遅れの17:50頃、ようやく発車となる。我々の部屋は”C−3”。車両No.Cの3号室である。C号車には個室が4部屋あり、中央2部屋がシングルベッドを2台並べた「ステイトキャビン」、両端が上下二段寝台の「ブルマンキャビン」と呼ばれる個室が配置されている。各部屋にはシャワー、トイレ、洗面所が備えられている。
この他にG号車に2部屋「コミッショナーズスイート」と呼ばれるダブルベッドを配置した車両を1両連結し、定員が合計76名という豪華編成となっている。そして、客車2両に1名のスチュワードが配置され、ブリスベーン到着までお世話になる。我々を担当するスチュワードはミス・ヒルダというニューカレドニア出身の女性であった。今回が初めての乗務とのことである。
室内はオーストラリア産の赤ヒマラヤ杉やタスマニア産のオークを使用しているそうで木目が美しい。しかし、きらびやかではあるが、派手ではなく落ち着いた雰囲気がある。
世界で最新の豪華列車と云われる所以である。天井を見上げると、ダブルルーフと呼ばれる二重屋根で、明かりとりのステンドグラスもさりげなくおしゃれである。全般的にみてコンパクトながらも実に機能的にできていたので感心する。
同じゲージ幅の日本の「カシオペア」のスィートよりも断然よい出来であった。日本はどうしても詰め込みに走るからねぇ(^_^;;。
なお、部屋の鍵は中から掛けられるが、外からは掛けられない。ミス・ヒルダに尋ねたところ、申し出れば鍵を掛けるが普段は掛けていないとのこと。乗客の素性がハッキリしているし、せこいマネをする人間はいないと踏んでいると思われる。
また、列車内はすべて禁煙で、喫煙は編成最後尾の展望車の展望デッキ1カ所だけ。幸い、私は煙草は吸わないが、煙草を吸う人にとっては苦難の旅になるようである(^_^;;。
サブのレストランカー
展望車
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サロンカーでの生演奏
ベッドメークされた室内
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列車は暗闇迫る中、時速30km/hほどのノロノロした速度でケアンズへ向かう。このあたりの風景は絶景らしいのだが、よく見えないのが惜しい。鉄道建設の歴史は困難を極めたそうだ。しかし、その厳しい線路条件の上を豪華な客車が走るアンバランスも愉快であるが、さすがによく揺れ、通路を歩くのも大変であった。
ドアがノックされ、お菓子とウエルカムドリンクが差し出される。ディナーの前だと云うのにボリュームがある。しかし、揺れる車内を運ぶのは大変だなぁ。続いて本日のディナーの案内が来る。今日は20時から開始とのことであった。
列車は闇へ向かい走り、キュランダを出て約1時間50後にケアンズ駅に到着。昨日、三脚を紛失した苦々しい駅である(苦笑)。
後から聞いた話によると、ケアンズ駅で機関車を1両切り離し作業を行っていたそうである。ケアンズを出ると路盤も良くなったようで時速も70km/h程にアップ。安定した走行になった。
ケアンズ駅のホームに停車している間にディナータイムになった。ディナーでは正装を要求されているので、いそいそと背広に着替えレストランカーに出むく。
C号車と同じ構造のD,E号車を抜けF号車に来ると様子が違う。日本のシングルデラックスのような個室が7室配置されていた。シングル客用かとも思ったが、乗務員が休む部屋であった。続いて、ピアノとラウンジ、カウンターがある「サロンカー」、GSPEグッツを販売するブティックが併設されたレストランカー、厨房だけのキッチンカーと続き、ようやくレストランカーに到着する。
スタッフの出迎えを受け、座席に案内されれば、日本人の新婚カップルと同席になる。彼らは奈良からの参加だそうである。この列車に乗車している日本人は3組6人ということになる。この新婚カップルは今朝ほど我々が宿泊していたホテルで見かけたカップルである。乗車受け付けが行われたフレッシュウォーター駅では見かけなかったのだが、近ツリの「ホリデー」ツアーに参加したそうである。
ワインを傾けながら、料理を味わう。普段の食生活からは想像できない、おしゃれなディナーである。ワイングラスで乾杯をした時のグラス音が心地よく、エレガントなムードを出している。料理は思った以上にボリュームがあり、素材も良いものを使っていると思われるが、味付けは日本人好みでなく、全体的に甘酸っぱかった。
べっこう飴が添えられた思い切り甘いデザートが出てきてたのは、夜10時近く・・。2時間も食べ続けていたからか満腹である。デザートも食べ終わった頃、今度は「チーズはどうですか?」と進められる。食前ならいざ知らず、食後にチーズとは・・・・。さすがにもう、食べられなかった。
部屋に戻る途中に、ブティックカーで、GSPEグッツを品定めをする。値段は結構高いが、乗車記念として是非欲しい。カーンと音色が響くGSPEロゴ入りのクリスタルグラスは是非とも欲しい。ただし、部屋に置くと荷物になりそうなので、購入は明日に回す。
サロンカーへと移る。サロンカーではピアノとフルートの生演奏が行われていた。フルートを吹いている青年は、キュランダの駅でフルートを演奏していた青年と同一人物であった。サロンカーでくつろいでいる観客は2〜3人。折角なので、しばらく演奏に耳を傾ける。ピアノの演奏は「夢空間」でも行われているが、あちらは自動演奏なので、生演奏には敵わない。
しばらくすると、観客は我々二人だけになった。カクテルを傾けながらの生演奏は優雅であったが、食事が終わったのが22時過ぎだったので、あっという間に23時を過ぎる。このサロンは営業時間は、乗客がいなくなるまでとのことなので、長居するのも悪い。曲が終わったタイミングを見計らい、部屋に戻る。
すでに、ベッドメーキングも完了し、シングルベッドが2つ並んで配置されていた。さすがに部屋は狭くなったが、1台はソファーを倒すことで、もう一台は壁掛けチェアーを倒すことでベッドメークされるのである。
さて、忘れ物の想い出が残るケアンズであるが、もう1品忘れ物をしている事に気がついた。ホテルにコンタクトレンズのケースを忘れてきたのである。つくづく、相性の悪い土地だ。仕方ないので、フィルムケースにしまうことに・・・。
列車の揺れは、気になる人はいるであろうが、我々には関係ない。寝心地もよく、布団にはいるとすぐに眠りに落ちていった。
1999年11月5日
展望車から流れ去る線路
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ボリューム満点な朝食
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展望車からから前方をのぞむ
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目を覚ますと、列車は草原の中を走っていた。沿線はサトウキビの産地らしく、ナローゲージのサトウキビ列車が至る所に止まっており、見ているだけでワクワクする。
7時30分に、ミス・ヒルダがベッドを片づけにやって来た。解体作業を見ていたが、実に機能的に設計されているので感心した。狭い列車の中で、限られたスペースに機能を盛り込むと同時に、高級感も出さなければ行けないので、設計も大変だったろうと思う。
片づけが終了すると、今度は朝食が運ばれる。昨夜のディナーがまだ腹に残っているが、ペロリと平らげる。
こういう食事ばかりしていては、おなかが出てきそうだな(笑)。
運動を兼ねて展望車に行ってみる。昨夜、寄ったときは暗闇で何も見えなかったが、今朝は天気も良く穏やかな気候である。
展望車にもサロンがあり、コーヒー/紅茶はカプチーノ、エスプレッソを除き無料で飲むことができる。お酒は有料だが、飲むことはできる。展望デッキで心地よい風に吹かれながら、一息つくのは最上の贅沢である。
スケジュールでは、プロサパインに10:45に到着することになっている。昨日はキュランダ出発が50分遅れたので、どうなることだろうと思ったていたのだが、プロサパインには定刻に到着した。キュランダ〜プロサパインの距離は645km。東京〜姫路間の距離に相当する。ダイヤ的には随分余裕があるのだろう。
GSPEの編成(1999/11/4〜11/6)
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| | 機関車 | キュランダ→ケアンズ間:ディーゼル機関車2両 ケアンズ→ロックハンプトン間:ディーゼル機関車1両 ロックハンプトン→ブリスベーン:電気機関車1両 |
| 1832 | 荷物/電源車 |
| 1860 | K ステイト/ブルマンキャビン(定員:8人) |
| 1847 | J ステイト/ブルマンキャビン(定員:8人) |
| 1841 | H ステイト/ブルマンキャビン(定員:8人) |
| 1831 | G コミッショナーズスィート(定員:4人) |
| 1854 | スタッフ |
| 1852 | レストラン |
| 1836 | キッチン(厨房) |
| 1838 | レストラン/ブティック |
| 1839 | サロン |
| 1853 | スタッフ |
| 1861 | F ステイト/ブルマンキャビン(定員:8人) |
| 1826 | E ステイト/ブルマンキャビン(定員:8人) |
| 1859 | D ステイト/ブルマンキャビン(定員:8人) |
| 1834 | C ステイト/ブルマンキャビン(定員:8人) 3号室が我々の居室 |
| 1855 | B ステイト/ブルマンキャビン(定員:8人) |
| 1850 | A ステイト/ブルマンキャビン(定員:8人) |
| 1830 | オブザベーションカー(展望車) |