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エーゲ文明


 エーゲ海周辺を中心とする一帯において、エジプト文明やメソポタミア文明の影響を受けて文明化が進んだ。その範囲は、クレタ島、ギリシャ本土、小アジア(アナトリア)などのエーゲ海周辺およびイオニア海に面する地域である。

 この地域は石灰岩の山々が海中に没して入り組んだ複雑な海岸線を形づくり、多くの島々が点在している。陸上は、小さな地域に分断されており、農耕に適する平地が少なく、雨量も少ないことから、オリーブ、ぶどう、イチジクなどの乾燥に強い果樹が代表的な作物となった。陸上交通が不便なため、海上交通が発達して、シリア方面へも達し先進文明と接触した。


【エーゲ文明の発生】
 新石器時代に、エジプト方面、シリア方面、東ヨーロッパ方面などから、それぞれ独自の文化を持った人々がこの地域へやってきたらしい。
 やがて、BC2600年ころ、青銅器時代に入り、エーゲ海地域の全体にほぼ共通の文化が普及した。これをエーゲ文明と呼ぶ。


【エーゲ文明の時代区分】
クレタ文明(ミノア文明)
 まずはじめに、ギリシャ人が南下する以前の先住民によって、クレタ島を中心とするクレタ文明が栄えた。クレタ島はエーゲ海の南側にあり、エジプトやシリアの文明地域に近い位置にあった。BC2600年ころに青銅器時代に入り、海上貿易も発達した。
 BC2000年ころにはクノッソスの宮殿が建てられ、BC1700年ころ以降には、ファイストス、マリア、ザクロにも宮殿が建てられて、宮殿を中心とする都市が発達した。ギリシャの伝説では、クノッソスのミノス王は、強大な海軍を擁してエーゲ海の島々を支配したという。ミノス王の名前から、ミノア文明とも呼ばれる。明るく平和的な海洋文明であったらしい。すでに文字があり、初期の絵文字から、線文字(A種)へと進歩した。
 クレタ文明は、BC1450年ころ、突然に滅びてしまった。(注:BC1400年ころとする文献も多いが、「朝日=タイムズ 世界考古学地図 人類の起源から産業革命まで」に基づき、BC1450年ころとした。)
 ギリシャ本土へ侵入してミケーネ文明のにないてとなっていたギリシャ人によって滅ぼされたとする説と、クレタ島の北30キロにあるテラ島の噴火による地震・津波・火山灰によるものとする説とがある。

ミケーネ文明
 BC2000年ころ、クレタ島での文明が栄えるなか、インド・ヨーロッパ語族の一派であるギリシャ人が大陸側のギリシャ本土へ侵入した。先住民を支配したり、混血したりしながら、クレタ文明の影響を受けて文明化していった。BC1600年ころには、ペロポネソス半島のミケーネをはじめオルコメノス、ティリンスなどに城壁をめぐらせた強固な王宮が建てられた。ミケーネ文明である。
 ミケーネ文明は、クレタ文明に比べて戦闘的で、線文字(A種)を模倣した線文字(B種)を用いた。
 ホメロスの叙事詩「イリアス」と「オデュッセイア」は、このころのトロヤ(トロイ)戦争などについて、口頭伝承されたものをBC800年ころにまとめた英雄伝説である。

ドーリア人の南下
 BC1200年ころ、ギリシャ人の別の一派(ドーリア人)が南下してギリシャ本土へ侵入した。先に定着していたギリシャ人の諸部族を支配したり追い出したりしてギリシャ全体が大混乱する時代となった。
 ミケーネ文明は崩壊し、文字も失われた。BC1200年ころからBC800年ころまでは、文字による史料がなくくわしい歴史がわからないため、ギリシャ史上の暗黒時代 Dark Age とも呼ばれている。
 この暗黒時代の後に、ポリスを中心とする古代民主制の時代が到来する。



【参考ページ】
メソポタミア文明
エジプト文明(初期王朝時代)

クレタ文明
ギリシャのミケーネ文明
ギリシャにドーリア人南下


【LINK】
LINK The Special Projects Server(英語)ClassicsPrehistoric Archaeology of the AegeanLesson1Lesson1 Images
LINK 「Exciteエキサイト:翻訳」による上記サイトの日本語訳
  ≫ Prehistoric Archaeology of the Aegean(和訳)Lesson1(和訳)Lesson1 Images(和訳)





参考文献
「新訂版チャート式シリーズ 新世界史」堀米庸三・前川貞次郎共著、数研出版、1973年
「新制チャート式シリーズ 新世界史B」前川貞次郎・堀越孝一・野田宣雄編著、数研出版、1994年
「朝日=タイムズ 世界考古学地図 人類の起源から産業革命まで」クリス・スカー編集、小川英夫・樺山紘一・鈴木公雄・青柳正規日本語版編集参与、朝日新聞社、1991年
「ヨーロッパの歴史 欧州共通教科書」フレデリック・ドルーシュ総合編集、木村尚三郎監修、花上克己訳、東京書籍、1994年
「カラー世界史百科 増補版」ヘルマン・キンダー、ヴェルナー・ヒルゲマン著、ハラルド・ブコール、ルース・ブコール図版、成瀬治監修、平凡社、1990年
「各国別世界史の整理 第5版」三省堂編集所遍、三省堂、1993年
「文字の歴史」ジョルジュ・ジャン著、高島啓訳、矢島文夫監訳、創元社(知の再発見双書01)、1990年


更新 2003/12/5

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