K氏のガーデニングダイアリー
 


March.29.2001 updated
Posted by a Weekend Gardener

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    Dr.Matumoto庭を訪ねて(1)  お化粧の前…  

 この日桜の開花を宣言した、まるで初夏のような陽射しの鹿児島から、長崎、佐世保にはいった。空港リムジンバスで通りがかったハウステンボスのチューリップは満開。九州各地は京都よりもう1ヶ月以上も早い暦。鹿児島では道路や交差点のアイルランド・ポピーが真っ盛り。佐世保ではユキヤナギが真っ白。南国の柔らかい風に揺れていた。


もうユキヤナギが真っ白に

「バラの季節のほうがいいと思います。いまは例えていえばまだ化粧の前ですから…」
「お化粧前の美人に、ぜひ、お会いしてみたいのですが…」
突然の申し入れにもかかわらず、実現したDr.Matumoto庭の訪問。

 Dr.のサイトに見るバラの館。青い空の下で、バラたちの葉はすでに青々と繁りはじめていた。ガクアジサイも、庭の何もかもがぐんぐんと生長し始めていて、もう春まっただ中にいた。Dr.と庭を歩いたが、あれもこれも参考になることばかり。ほんとうのところ、あまりの情報量の多さにただ圧倒されるだけだった。

 たとえばあの、最盛期の花数の多さに見る人を驚かせたDr.のサイトのモッコウバラのアーチ。もうすでに葉で覆われ始めている。枝をめくると、木製アーチにいくつもの補強の跡。2本のバラが両側からぐんぐん育って、重さにたえかねたアーチが悲鳴を上げたんだそうだ。えっ、そんなことってあるのだろうか。金具でがっちり止められたアーチを見て、初めて、生長具合いのすごさが理解できたくらいだ。壊れたアーチを救うためバラの枝を刈り込んだというが、いまも普通以上に絡み合って青々としている。


刈り込まれたモッコウバラのアーチ
 両側の根本には大きな鉢が土の中に、片一方は半分が埋め込まれている。根が鉢一杯に回ったころ、底を抜いて、根が伸びるようにしてあるという。庭を一巡しながら分かるのだが、庭づくりの豊かな感性から植物とDr.のいい関係がよくわかる。とても大切なことだと思う。

 テレビ番組にも紹介されている。ビデオで花盛りのバラの季節を見たが、実際にその状態を目の前にしたら、美しさだけに圧倒された、その印象だけが強くに残ったに違いない。その最盛期の庭ももちろんみたいと、強く思ったが、この日、案内されたその裏側にある、ガーデニングの基本的部分の秘密の数々を見逃すことになっていたと思う。それだけに化粧の前を見ることができたのは、幸運だった。

 そこでたくさんの収穫を得た。もっとも大きなことは、ガーデニングブームはセカンドステージを迎えたと確信できたことだ。庭には住む人のライフスタイルがそのまま出てくる怖さがある。ブームの大小の波の中で、ごく普通の愛好家が庭の中でごく普通に自然と共生できる、ほんもののガーデニングを育て始めたのである。ブームの延長上に素人ガーデナーが独自の新しい世界観を作り上げた。決して大げさでなく、そうした新しい時代に確かに入った…。



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