碇ユイは、エヴァンゲリオンの起動実験中に、その姿を消した。(この機体はエヴァンゲリオン初号機であろう)それも、碇シンジの目の前でだ。この実験には、赤木ナオコ博士、冬月教授(当時の階級が不明)碇ゲンドウ、そして碇ユイが、関わっている。
赤木博士は、このとき碇ゲンドウと、関係があり確かに、ゲンドウの奥さんであるユイに消えてもらいたかったのだろう、 しかしこのことを、起こしたのが、赤木博士だとは、思えない。ただ、その状況になった事を、悲しまなかっただけだろう。
REBIRTH編 冬月の「人は生きていこうとするところに、その存在がある。それが自らエヴァに残った彼女の願いだからな。」というセリフ
THE END OF EVANGELIONのラスト近く、
冬月と、ユイの会話「人は、この星でしか生きられません、でもエヴァは無限に生きていられます。その中に宿る人の心とともに」「たとえ50億年立って、この地球も、月も太陽すらなくても、残りますわ、たった一人でも生きて行けたなら」
冬月「人の生きた証は、永遠に残るか。」
この2つのシーンから、彼女は、自分の意志でエヴァに取り込まれたのだと推測できる。ユイが何を目指していたのか、それを、一番知っていたのは、ゲンドウではなくて冬月なのかもしれない
ユイが、学生時代に冬月に提出した論文も、こういった、人のあり方についてのテーマが書かれていたのではないか。
エヴァンゲリオンの中では、ほとんど扱われない”ファーストインパクト”これは、当時地球上での主だった、”恐竜族”が、滅びた事象についても、巨大隕石の話がでてくる。”直径が何キロにも及ぶ巨大隕石が地球に衝突し、その衝突によって吹き上げられた塵と破片が、天を覆う。太陽が隠れまさに暗黒の世界の中、光合成が不可能になった植物を滅ぼし、そして動物も滅びたのだ。”このことについては、論議が醸し出され結論はでていない。しかしこの”巨大隕石が落ちた可能性が、エヴァの世界には多分にある。そう”ジオフロント”だ。
このときジオフロントの中にはアダムがいて、アダムというオリジナルから16人の司徒が分裂した。このとき司徒の中の”リリス”に、異変が起こり群生体である”ヒト”が誕生した。
18番目の司徒と定義づけられたヒトは、イレギュラーな存在であり、不完全な状態だった。それを完全体にするのが、ユイの提唱したエヴァ計画なのだろう。
”ゼーレ”は、この碇ユイに興味を持ちゼーレの幹部としたのではないか。”ゼーレ”と、碇ユイの考えは不完全なこの群生体を、新たなる展開を与えると言うことで一致していたのだろう。新世紀を迎えられる”生命体”は、一つしかない。ヒトが新世紀を迎えるには、アダムから生まれしものを、倒さなければならない。エヴァンゲリオンは、アダムから生まれしリリスの生み出した存在である”ヒト”のつくりだしたもの。碇ユイは、この忌むべき存在だがヒトの作り出した物に、残ることによって新たなる世界にもヒトの存在を残そうとしたのでは、ないだろうか。
そして、
自分の作り出したLCLの世界から、戻ろうとするシンジに
「もう、いいのね。」と語りかける。
現実の世界に戻るシンジと、ギリシャ神話のように
ヒトの行く末を見つめる”星”になったユイ。
世界を、原始の状態に戻した息子と、
永遠に生き続け、新たなる歴史を見つめ続ける母。正に神話のレベルといえる。