☆歴史のトップページに戻る
過去ログ7501〜7600>>>

#7700 
elevater 2007/07/07 17:47
一番の必殺武器は

なんの本に書いてあったのか忘れましたが、時代は室町のころので
戦で死亡した原因で、病死いがいの純粋に戦闘で死亡した人員の
死因を統計したものがあったのですが、総合てきに戦傷死するのが
一番多かったのは突き傷、槍によるものが多かった、です。
単純に考えても広い戦場、野戦においては長い槍を使うことが多かったのでは
ないかなと。実戦では、あんがい槍が一番よく使われるのは日本に
限ったことではないでしょうが
室町末期での有名なつわものをみても本多忠勝にしろ可児才蔵にしろ
槍の名手が多いですね
もっとも室町期でも鉄砲が普及すると鉄砲による戦死数が増大し
その統計からも鉄砲は、じっさいに日本で戦術に多大な影響を及ぼした
ことは間違いなさそうです。



#7699 
マルクスの恋人 2007/07/07 17:36
ドーブレック代議士もビックリ!

ド・ビルパン前首相宅に予審判事の家宅捜索だそうで、しかも嫌疑は職権乱用の謀略・権力犯罪というからおだやかじゃない。
「最悪の政治家というのは決められない。こいつこそ最悪と思った途端にもっと悪いのが現れる」とはクレマンソーの言葉らしいが、仮に別人の発言としても普遍的真実ですな。日本もどんどんそうなってる。
そうそう、フランスの首相は第3・4共和制ではpresident du conseil des ministres第5共和制ではPrimier ministreと言うんだそうです。最高権力者だと「閣僚評議会議長」そうじゃない(大統領のほうに権力がある)と「首席閣僚」になるのは一種の法則でしょうか? 今もイタリアの首相は「閣僚評議会議長」らしいから。

前項はenterキーを押し間違えた書きかけ投稿です。ご混乱なきよう。



#7698 
マルクスの恋人 2007/07/07 17:26
度/

手入れなんだろ おどおどするなよ
予審判事には 気をつけろ
俺はここだぜ 7区のマチニョン
追われて今では市内の メゾンさ

疑惑疑惑って何だ 認めたくないことさ
サルコって何だ いけすかないやつさ

ビルパン! あばよエリゼ
ビルパン! よろしくサンテ
ドミニク・ガゾー・ドォ〜、ビールパァァン!!!



#7697 
天軍 2007/07/07 17:15
鎧と当身

作家の安倍譲二さんが「現役」の頃、先輩に剣道の達人の方がいたそうです。何でも全国大会でベスト8までいったとか、拳銃を持った相手と二回対戦して二回とも叩き斬ったとか。で、その先輩は素手でも無茶苦茶強かったそうです。安部譲二さんの言うには「小具足術」をやっていたらしいとか。突き蹴りや肘膝などの打撃なども使ったのかと言う質問に対し「肘でも何でも使った。とにかく強かった。」との事で。
肘と言えば古武道に諸賞流と言う流派があります。昔、九州の南部藩で鎧着用の組打ち試合をした際、柱にくくり付けた鎧を肘で試し打ちした所、鎧の表面は何とも無かったが内側を見たら爆発したように弾けていたそうです。
それでこれは危険だ、という事で「本日の試合には出場禁止。今後の他流試合も禁止。藩外に技術を伝えるのも禁止。」ってなったそうです。要するに「御留め武術」になった訳ですね。
ちなみに私も学生時代、某武道をやってまして、胴体に着用する打撃用の防具を付けて打ったり打たせたり、と言う稽古を良くやっていました。で、同輩に突きの威力が無茶苦茶ある奴がいまして…彼が飛び込みざまに全体重を乗せた突きを受けると防具を着用していても耐えられませんでした。インパクトの瞬間後ろに下がって衝撃を逃がさないと肋骨が折れる可能性があったと思います。当時私は身長180近く、体重も80キロ代後半で筋肉質の体格でした。(自分で言うのも何ですが)その同輩の方はバネはありましたが体重は70キロ未満。私より二まわりほど小さかったんです。それでも防具を付けていなければ普通に人間を殺せる打撃を打てたんですよ。
訓練された人間の体重を乗せた打撃に対しては、皮や鉄板で作られた鎧では耐え切れないと言うことですね。
「薄くて堅い構造」の対斬撃用の鎧は矛やハンマーなどの重い鈍器による打撃を防ぐには不向きと言う事でしょうか。むしろ「分厚くて柔らかい衝撃を吸収する構造」の防具の方が効果的です。(ただし、逆に刺されたり斬られたりするとマズイですが)思いっきり殴ったり蹴ったりして、それがもろに直撃すれば鎧を付けていても大きなダメージを受ける、と言う事ですね。別に「発勁」だの「徹し」だのを持ち出すまでもないようです。



#7696 
徹夜城(今日付けで携帯を機種変更した管理人) 2007/07/06 23:19
殿下とは一度話してみたいもんだ

 今度皇太子さんがモンゴル初訪問ということで記者会見してたんですが、その全文がなかなか面白い。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070707k0000m040104000c.html

 まぁ事前にちゃんと調べた「模範解答」的なものでもあるんですけど、モンゴルに関して自分の専門分野にしっかりからめてるあたりはなかなか…モンゴルと言うより「元」の話なんですが、襲来後も日元交流が盛んだったという話は専門でやってないとなかなか語れないもので、「自分とやってる分野がかぶってる史学科出身者」という印象を新たにしたもんです。「モンゴル初体験」が絵本「スーホの白い馬」ってところまでおんなじでした(笑)。
 ただ「蒙古」という表現については最近モンゴル人側から「中国の当て字で差別的意味合いをふくむのでやめてくれ」という声が上がってもおりまして…。


>天軍さん
 「米国」のお話ですね(笑)。しかし17世紀からすでに米国米作のルーツがあったとはしらなんだ…そしてヨーロッパ輸出品だったというのも面白いです。
 米の輸出といえば日本から中国への米輸出が行われている(高級品として)というのも長年社会科講師をやってる身からするとえらく新鮮な感じがします。


>elevaterさん
 日本刀は切れ味が良すぎて痛いかどうかも分からず死んでる…という気もしますが、斬られて死んだことはないので分かりません(笑)。とにかく世界的に見てもやたら切れ味がいいのは確かなようです。美術工芸品としての評価はイスラム圏のどこだかの剣といい勝負になるんだったかな。
 今回の「史点」のある部分の執筆のためにイギリスに行ったときに大英博物館で買ってきた「大英博物館のAからZまで」を読んでいたんですが、その中で展示物に含まれる日本刀についてやはり高い評価をしており、また日本では刀匠の地位が非常に高かった、という解説をしています。実際にそんなに高かったかは分かりませんが、その解説にあるように刀に「作者」の銘を入れておくという習慣があるのは日本ぐらいかもしれません。



#7695 
elevater 2007/07/06 20:27
刀剣といえば

日本刀は、たしかに切られたら最高に痛いだろうなと世界でも屈指の切れ味と
思いますが怖い顔した鎧着た仏像がよく、くねくね曲がった大きな刀を振りかざしている肖像がよくありますが、あの手の刀剣、想像の産物なのかと思ったら
ククリソードとかグルカソードとかいう実際に南アジアで使われていた武器らしい
ですね、あれも痛そうな武器



#7694 
天軍 2007/07/05 23:41
アメリカにおける稲作A

欧米の米を食材に使った料理と言えばイギリスにはライスプディング、ドイツにはミルヒライスなどがありますし、スペインやイタリアなどの南欧の米料理は有名ですよね。まあ、一般的には主食としてではなく野菜扱いで、メイン料理の付け合せなんかに出されてたようなんですけど。これは推測なんですけれど、米のポリッジ(粥)やグリッツ(粥より粘度高い。おじや?)、グレーヴィー(ソースの一種だけど事実上粥)なんかも結構、食卓にあがってたんじゃないでしょうか。何か西洋食=パン食ってイメージがありますけど、オートミールなどに代表される「粥」も一般的な庶民料理ですしね。

アメリカ南部の「首都」ニューオリンズは米の販売産業や精米産業が発展し、19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ南部の米産業の中心地となっていきました。ニューオリンズに最初に最初に出来た精米所オールドオリンズ・ミルの名は現在も地名となって残されています。他にもスーアンド・ライスミル、ソコロ・ライスミル、レビー・ライスミイリング、プランターズ・ライスミイリングなどの名が今も地名に見られるそうです。

もっとも稲作の生産高はアメリカ農業生産額全体から見れば微々たるものでして。ちなみに1940年における稲作のそれは僅か0.3%。農業経営者数における割合は0.2%。生産高が全米一のルイジアナ州においてさえ、その経営者数は州全体の約4%。どう見ても超マイナーなジャンルですね。また生産農家自体の自家消費分、特に米食の割合についてですが…1940年代の統計によれば出荷分を差し引いた自家消費分の内容は70%が種子(種籾ですね)16%が家畜飼料、14%が食用…同時期の日本のそれは73%が食用、27%が種子ですから全く逆の内容になってますね。日本的な感覚から言えば米が一番「高級」で、それより多少落ちて小麦、大麦、蕎麦、エンバク…後は粟、ヒエなどの雑穀類と言ったランキングなんですが…海の向こうじゃ家畜の飼料になってますね…大豆やトウモロコシと同じレベルです。

そういう訳でアメリカの一般消費者から見ても「ライスって何?」レベルの状態が近年まで続いていたそうで。1910年代頃に北部や中西部辺りで一般家庭向けに米を販売しようとしても全然駄目だったそうです。それどころかアメリカ国内で稲作を行なっている事自体ほとんど知られていなかったようで。市場でたまに見かける米なんかも中国産だと思っていたとか。1929−1944年のアメリカ人一人当たりの1年間の穀物の平均消費量はおよそ200ポンド弱(1ポンドで約三合ほど約450g)。その割合は小麦80%、トウモロコシ12.5%、米3%、蕎麦2.5%、ライ麦、大麦合わせて1%。やっぱり小麦がメインです。その後にアメリカ人の有名なソウルフード、コーンブレッドの材料のトウモロコシが続いています。蛇足ですがコーンブレッドと言っても100%トウモロコシ粉を使用する訳ではありません。必ず半分以上小麦粉とブレンドするそうです。(そうしないと食感がボソボソになって食べられた物じゃないそうだとか)それを考えるとトウモロコシの主食としての感覚的な割合はもう少し高くなりそうです。結論としては米は日本食における芋類や小麦、蕎麦などよりもさらに低い地位にあったようですね。

販売する側も長粒種や短粒種、さらに砕米までごっちゃ混ぜになったのをバラ売りしてた状態だったとか。だいたい1960年代までこんな感じだったそうで。ちなみに1975年のアメリカにおける一人当たりの1年間の米消費量は僅か3.8kg。これでも1950年代より2倍ほど増えていたとか。南部辺りではクレオール料理や、いわゆるソウルフードなんかでけっこう米を食材として使ってたようなんですが、アメリカ全体ではこんなものです。まあ、その後アジア系など米食文化圏からの移民の増大や、いわゆる健康食ブームがやってきて徐々にメジャーになっていくんですが。



#7693 
天軍 2007/07/05 23:38
アメリカにおける稲作@

アメリカで稲作が本格的に始まったのって結構昔なんですよね。どれくらい昔かと言うとイギリス植民地時代。建国前からです。記録によると1662年にチャールストンへ貴族領主から送られた物品の中の一つに、樽に詰められた米があったそうです。この年が事実上、アメリカでの稲作の始まりとされています。もっともそれ以前にヴァージニアのバークレー知事が1647年に試験的に稲作を行なったと言う説もありますが。
また、ロンドンで1666年に発行されたカロライナへの移民募集の小冊子には「草原はイネ、ナタネ、亜麻仁などに適し、これらを僅かな費用で好きなだけ作れる」と言う説明が載っていました。
サウスカロライナ州に置ける稲作のの開始は1669年頃とされ、その形態は初期は陸稲栽培。そして沼沢地での水稲栽培へと移行していったそうです。このようにアメリカでの本格的な稲作の開始は、サウスカロライナのチャールストンを中心にだいたい1685年以降と推定されています。その後稲作はノースカロライナ、ジョージアとアメリカ南部一帯に広がっていきました。

ちなみにアメリカ南部の主要都市ニューオリンズの年間平均気温は20.7℃。鹿児島のそれは16.6℃。同様にニューオリンズの年間平均降水量は1203ミリ。鹿児島は2180ミリ。緯度はニューオリンズが29.5度。鹿児島が31.3度で少し高いんですが稲作には最適な平均気温です。平均降水量がやや少なめなんですが(日本平均2000ミリ以上)、広大なミシシッピ水系を利用した灌漑で十分フォローできますし。実際、初期の稲作では潮汐沼沢地で潮汐による河口水位の変化を利用した灌漑が広く行なわれていたそうです。(日本でも有明海沿岸でこの方式が行なわれていました。)また19世紀末から20世紀初頭にかけては蒸気ポンプを利用した灌漑会社が連立し、ミシシッピ水系を利用した灌漑が広範囲に及ぶようになりました。

初期の稲作の形態は小規模な家族労働、それが小作人の雇用などによって規模を拡大し、やがて有名な奴隷制プランテーションへと発展していきます。南部で有名な商品作物である綿花栽培は、独立戦争後になるまでそれほど盛んではなかったそうです。1790年におけるアメリカの主要輸出品はタバコ、小麦粉及びトウモロコシ粉、乾魚、米、インディゴで綿花は自給用に僅かに生産されていただけでした。
その後南部から西へと生産地が拡大し、1912年頃にはカリフォルニアにまで広がりました。

栽培方式は日本におけるそれとほとんど変わりません。畦で区切られた水田に苗床に捲種して育成した苗を植え、除草と灌漑、収穫期には鎌で刈り取り、唐竿や足踏みによる脱穀、乾燥。そしてキネと臼、トウミなどによる精白。稲作は他作物に比べ多くの労働力を必要としたため、大量の奴隷労働者を抱える奴隷制プランテーションは最適の形態でした。産業革命以降、灌漑、脱穀などの過程に蒸気機関が導入されるようになるまで稲作は多くの人手を必要としたのです。
1850年代のジョージアのある稲作プランテーションを見てみると、その総面積は1800エーカー」(1エーカーは約4046m² 一辺 63.61メートルの正方形の面積に等しい)600人ほどのアフリカ系の奴隷労働者を抱えてたようです。農地の1500エーカーに溝渠が整えられ、その約3分の2で稲作が、残りでエンバク、トウモロコシ、サツマイモが栽培され、200エーカーが高地になっていて農場事務所、製粉所があり、また野菜類の栽培が行なわれていたそうです。

アメリカでの稲作は国内向けでは無くヨーロッパ向けの商品作物として生産されてたんですね。まあ穀物ってのはちゃんと脱穀して乾燥させれば長期保存に耐えますし、陸路を荷駄用の家畜で、河川を小型船で運ぶよりも海路で大型の外洋船を使う方が大量輸送に向いてますしね。
まあ実際貿易品として盛んに輸出されていた訳ですからコスト的にも十分ペイしたんでしょう。食物である以上、どこの市場でも常に潜在的な需要がありますから。イギリス植民地時代の18世紀前半の主な輸出先はオランダ、ドイツで、スペイン、ポルトガルなどの南部ヨーロッパはエジプト産米やイタリア産米との競争が激しく、輸出高はあまり伸びなかったそうです。



#7692 
NF 2007/07/05 23:05


>徹夜城様
レスありがとうございます。仰るとおり、「伝統」なんでしょうね。塩鉄論は漢文で読んだ気がしますし、黄巣の乱辺りは教科書にも塩賊としてのっていました。僕がマフィア云々といったのも、そうした「伝統」が念頭にあったからで。しかし、倭寇とも関係があったのは初耳でした。考えてみれば、沿岸に勢力を持ち、金になる資源があれば確かに手を出しますよね。



#7691 
徹夜城(久々に劇場で映画を見た管理人) 2007/07/05 22:37
マヤ版ダイ・ハード

 「ダイ・ハード4.0」を後回しにしてメル=ギブソンのマヤ文明映画「アポカリプト」を見てきたんですが、なんだかこっちも「ダイ・ハード」みたいでした(笑)。これ、素材はともかくとして純然たるアクション映画ですね。とくに後半の展開が集団相手に追いつ追われつ、たった一人で次々とアイデアを出して敵を倒していくというもので…と、気がついたら主人公が敵の一人に「死にぞこない」ってあだ名をつけられるんですよねぇ…もしかしてワザとやっとらんか?
 マヤ文明滅亡の最新有力学説も取り込んで文明批判な部分もあるんですが、ハリウッド的アクション映画ととらえるべきでしょうね。見てないけど「300」もそんなようなもんか。
 この映画についてはあとでネタばれのところにも書いておこう…どうしてもツッコミ入れたい箇所があるので。


>NFさん
 中国の「官製食塩」の話を読んでて思ったのは、「これも昔からの伝統かも」というものでした(笑)。中国では漢代いらい「塩」は国家が専売するものでありまして、古来それをかいくぐった塩密売がアウトローたちによって行われておりまして、こうした「塩徒」たちが売る「闇塩」のほうが価格的にも良心的だったという話もあります。「水滸伝」自体はフィクションですが、モデルとなった宋江らの集団もまた塩徒であった可能性が高いです。まぁそんなような集団だと思ってください。
 実は現在ひそかに執筆再開している「海上史事件簿」の次の回で解説するんですが、「後期倭寇」にもある段階からかなりの数の「塩徒」が参加しています。また一方で、今度「歴史映像名画座」に入れた「新忠烈図」の主人公・曹頂のように官軍に協力して倭寇と戦った塩徒もいるから、ことは単純ではありません。
 ついでにいえば王直も塩商人出身だったといい(密売ではなかったようですがそれで失敗してアウトローに走った)、「塩徒」同様に倭寇および官軍に戦力として参加した「竈戸」とか「沙民」たちも製塩をなりわいとしています。というわけで倭寇と塩は切っても切れない関係だったりもしまして…。


>景虎さん
 日中の殺陣、という話題で思い出すのが中井貴一が出演した「ヘブン・アンド・アース(天地英雄)」という中国映画。唐の時代の西域を舞台に遣唐使で唐に来て皇帝の刺客をやってる日本人を中井貴一が演じてるんですが、中井貴一本人の提案で彼の殺陣だけは「日本風」になっているのだそうです。バッサバッサと大勢の敵を切り倒して、スッとカッコよくサヤにおさめる…といったアクションは確かに日本独自のものかも。



#7690 
景虎 2007/07/04 03:00
殺陣と考証

中国や日本の殺陣については、以外と考証的に悪くないかも?と思う事が、結構あったりします。

中国拳法の多くは清代後期の成立ですが、全てが清代に登場した訳でもありません。
明代末期の「紀効新書」に、「宋太祖三十二勢長拳」、「八閃番」などと書かれていますが、これらは現存しています。

特に面白いのは、「三十二勢長拳」は宋太祖、つまり「趙匡胤」が創始したという伝説があります。本当かどうか分かりませんが、明末にそのような伝説が成立していたという事が重要です。

日本の場合も、「平家物語」などの軍記物に後世の流儀と共通する技法名が登場します。
恐らく、それらの技術は後世の完成された技術の原型であり、まったく同じではないでしょうが、先祖であると考えていいでしょう。

世の中には面白い事をする人がいるもので、武術研究家の中に「フツノミタマの剣」を木刀で再現し、技法実験をやった人がいるそうです。

現在鹿島神宮に奉納されている「フツノミタマ剣」は、後世の作であり直刀ですが、石上神宮にある本物は、内反り(後世の日本刀とは反りの方向が逆)とされています。
同じような刀は古墳からいくつか発見されていますから、恐らく「フツノミタマ剣」も古墳時代のものなのでしょう。

この内反りについては、長年地中にあった為そうなってしまったという説と、最初から反っていたという説があるようですが、この研究家は最初から反っていたと考えて、内反り木刀を自作して実験したとか。

鹿島、香取神宮は武神を祭っている為か、古くから武術が行われていたとされています。それらが流儀として成立するのは、室町時代だと言われているのですが、この実験では、鹿島、香取系流儀の技法を試しています。

何故、鹿島、香取系かと言えば、「フツノミタマ剣」は鹿島の「タケミカズチ神」の愛刀、香取の「フツヌシ神」は、「タケミカズチ神」と国譲り神話でコンビを組んでいたからですね。

さて、その結果ですが、香取神道流などに観られる一部の技術は、後世の日本刀よりも使いやすかったとか。
断片的にではありますが、神道流における一部の技術は、古墳時代まで遡るかもしれません。

中国武術でも日本武術でも、殺陣と本物の武術は違いますから混同してはいけませんが、殺陣が武術を完全に無視しているわけではない事もまた事実です。
カンフーアクションには中国色がありますし、日本の殺陣も日本的な風格があります。

そう考えてみると、荒唐無稽に観える映画の戦闘シーンは、実際に荒唐無稽な部分もありますが、意外と正しい部分もあるのかもしれませんね。



#7689 
NF 2007/07/04 00:07
閑話休題

最近、中国産食品の安全性についての問題があちこちでニュースになるようですが、政府公認の「食塩」が有毒の工業塩だったという話が以前あったような。2ちゃんでも当然話題になってましたが、政府公認「だから」危ないんじゃないか、という点に言及している人は少なかったような。…たぶん向こうの富裕層はマフィアから良質で高価な闇塩を買ってるんだろうな。昔はせいぜいが砂がたっぷり混じった代物をぼったくってた程度なのに、今では「毒入り危険、食べたら死ぬで」(3gが致死量という話も)な製品を売りつける訳で食の安全と言う意味では(日本も人のことは言えませんが)寧ろ後退しているのかも知れませんなあ。



#7688 
NF 2007/07/03 23:49


>久間前防衛相
何言ってるの、というだけじゃなくて、脇が甘い、と言われても仕方ないでしょうねえ。発言内容の是非以前に、大臣の発言は政府公式見解と取られても仕方ないのだから、自分の私見を披露する場じゃないと言う事は弁えて欲しいもんですが。…そうでなくとも政治家、特に大臣クラスは周りが揚げ足を取って攻撃しようと言質取りに懸命なんですから。南北朝マニアとして言うと、十年以上前の(たぶん本人もよく覚えてなかった)発言内容を槍玉に挙げられて辞職に追いやられた前例だってある位ですし。

>熊野古道
地元に縁がある人間として一言。日本史上、と言う視点では物凄く大事なところではあるんですけどね。「日本的信仰」の典型ではあるし、日本神話とも縁が深いし歴史の転換期にはしばしば姿を見せる地域だし。ただ、世界的普遍性といわれると確かに苦しいかも。自然崇拝が一般宗教と融合した典型的一例と強弁してみるかな。山岳信仰、海洋・河川(合流地点)信仰、巨岩信仰、漁民の海辺標章としての聖地といった自然崇拝のパターンがかなり出揃っているとは思うので(あ、火山信仰がない)。
>林業関係者では損害
奈良や京都などの古い町並みが文化財に指定されたがために逆に改築できなくなったりするなど、文化財指定される事で現地民が困る事もあるわけで。…特にあの辺りは漁業と林業が主要産業だから困った問題ですね。
>肝心の「古道」が昔の面影をなくしてしまう
まあ、リアルタイムで熊野詣が行われた時代に近くなる、と言えなくもないわけですが、保存されていた森林などが破壊されてしまうのはなあ。あと、「国道42号線が通って綺麗に舗装されてしまい遺産と呼ぼうにも当時の面影なしな沿岸の街道」もよろしく(泣)。
ま、クローズアップされるのは嬉しいけど、地元の活性化効果は微妙だしゴミ問題も生じたりで何だか複雑な気分だったりします。
>聖堂とゲーム
因みに国内のネット世論としては、怒るのも抗議するのも理解できるけどお布施要求への反発が強い、というところのようです。…そういえば、OVAで原作に忠実に「ヘルシング」が作成されているけど、海外に出せるんだろうか(汗)。
>殺陣
まあ、歴史物とはいえ娯楽作品としての性格もあるのである程度は仕方ないと思ってます。極端な話をすれば、戦国合戦シーンで騎兵がサラブレッドじゃなくてポニーに乗って戦闘直前に下馬して突入とか、統制が今ひとつでバラバラな隊列とか、切り合いじゃなくて槍や太刀での殴りあいとか、首狩り・略奪・奴隷狩りに狂奔する雑兵とかばっかりだと嫌がる人が多そうですし(笑)。…直江さんの次の大河には「雑兵物語・おあむ物語」なんてのも面白いかもしれない。有名どころは出してもいいけど、徹底して無名の一兵士の視点からリアリズムを貫いて見た戦国もの。長谷川「ナポレオン」で言えばビクトルの視点でのドラマ。



#7687 
EN 2007/07/03 16:58
久間前大臣は閣僚から消えた

久しぶりに書き込みさせていただきます。久間防衛大臣、辞任ですか。問題発言から数日で本当にあっさりですね。僕もあの発言は非常に誤解を与えるもので、被爆者に謝罪して、引責とれと思ってました。バカな大臣ですね。安部総理もかばらないでさっさとやめさせたらよかったです。後任に小池補佐官が決まりましたが、この人もどうか。駄文、失礼しました。



#7686 
徹夜城(日中ヒマでTVを見ていることが多い管理人) 2007/07/03 13:26
ゆけゆけキュウマ、どんと逝け

 あらら、久間初代防衛大臣、あっさり辞任へ。
 野党の辞任要求に「よくあることです」と昨日の段階では余裕を見せてまして、今日の午前中でも辞任なんて問題外な話をしておりましたが、先ほど辞任の速報が。
 自民党の参院選改選組、および公明党から突っつかれたのが効いたようですな。どっちにしてももう手遅れかと。爆弾発言ってよりも自爆テロに近い気もします(不謹慎ですが)。



#7685 
徹夜城(史点がなかなか書けない時に限ってネタがドンドン出てきて困る管理人) 2007/07/03 00:04
爆弾発言

↑こういうギャグすらも不謹慎に見えてしまうところですが…
 久間防衛大臣は先にはイラク戦争発言でアメリカの怒りを買っちゃったりして僕が「キューマ危機」とからかったもんですが、今度は自分のいる内閣にまで「キューマ危機」をもたらすとは。
 選挙結果を見るまでは何ともいえませんが、「安倍政権を終わらせるにはしょうがなかった」というオチになったりするかも(笑)。


>elevaterさん
 富士山の登録作戦も相変わらず推進されてるようですよ。自然遺産じゃなくて文化遺産という線を狙うのがどうかという気もしますが。
 PS2のゲームでイギリスの聖堂が舞台となって問題化した件ですが、やはりいま現実に宗教施設として使われているところが銃撃戦の舞台になったりしたら、それがアジアの施設だろうと問題にはなったでしょう。インディ・ジョーンズやトゥームレイダーのは「遺跡」なのだと思いますが…?
 連想ばなしをすると、ゴジラが京都を襲った際(「ゴジラVSメカゴジラ」)には京都タワーは容赦なく破壊されましたが、清水寺は前を通り過ぎるだけで破壊はしなかったような。


>十一郎さん
 その漫画賞受賞作に対する麻生大臣のコメントが「池上遼一に似ている(影響がある、だったか?)」というものだったんですが、改めて「通」ぶりを見せてしまった形です。それとも誰かが吹き込んでるのかなあ?
 「世界遺産反対」を木に書き付けたというのは、「熊野古道」の話だと思います。世界遺産にされて保護の必要が出来たために林業関係者では損害を受けるケースもあったようです。また、観光地化することで肝心の「古道」が昔の面影をなくしてしまうという本末転倒な問題も起きている模様。
 「つくる会」その後の仁義無き戦いは、「アエラ」が続報を報じているらしいですね。まだ読んではいないんですが、この件、追いかけるマスコミも少ないもので…今は「つくる会」側が扶桑社に「似た教科書を作るな」と警告を発し、「教育再生機構」側が「大同団結を」と呼びかける妙な抗争になってます(笑)。前者は教科書を出す手がなく、後者は組織力に欠ける、というところはあるようですね。一見どっちもどっちな連中ですが、ネット上で見てると「つくる会」残留組のほうが「狂信度」が高いので、こういう抗争では狂は強に通ずる結果になりそうだな、と思ってます。
 中国での子どもを拉致してきて奴隷的労働を強いていた、って話には産業革命初期のイギリスの話を思い出しちゃいましたね(汗)。中国はこれから資本主義の問題があらわとなって社会主義運動が始まるような気もします(笑)。


>孟きょうさん
 「敦煌」、その年の日本アカデミー賞もとってるのですが、映画評論家や歴史家には概して評判が悪いのです。海外公開もしてるんですが、英語の映画データベースでもあまり高い評価はしてなかったです。騎馬戦シーンなんか「コミックブック風」などと評されてました。
 ただ、不思議と僕は公開時から好きな映画でして…殺陣ウンヌンはあまり意識してないんですが、言われてるほど悪くないんじゃない?という思いを当時から持ってます。日本人が日本語で西域史劇を演じたことに違和感を抱く人も多いようですが、ハリウッド史劇のアカデミー賞受賞の「名作」の数々なんてみんなそんな調子ですから。史実の改変なんてあっちのほうがもっと酷いですし。
 もちろん「敦煌」もいろいろ言いたいこと、「ここはオレならこうしたな」とかいろいろあるんですが、水準以上のものはあると思ってます。原作にない映画版の強調部分として「名無しの死体にはなりたくない」「俺達の碑の代わりはそれでいい」「歴史に名を残すのは、お前じゃない…」といった台詞は結構好きです。



#7684 
孟きょう 2007/07/02 22:29



 >徹夜城様
 わお、南北朝ものでそういうものも作られていたのですね。塩治判官のエピソードは南北朝時代で私もかなり好きなんですけど、「忠臣蔵」の表向き時代設定にされていた時期があったとはいえ、映像化されていたとは・・高師直とかのキャラって、昭和の日本人に好まれていたのかな?・・
 
 殺陣の考証なんですが、そういえば「マンドハイ」にも合戦中、得体のしれない拳法シーンがあったような・・制作陣も、ついついやっちゃうんですかねえ。
 そうなんですよ、私も、時代劇のチャンバラシーンは割り切って楽しく見れるのですが、「歴史もの」と銘うたれると、日本史ものでも中国史ものでも「江戸チャンバラ」や「ワイヤーや、飛んだり跳ねたりグルグル回転、京劇カンフー」を見るのが苦痛というか、大嫌いでして。江戸時代以降、清以降の両国人の好みを押し付けられているというか・・興ざめしちゃうんですよねえ・・。殺陣となるともう歴史考証とかおかまいなく、双方の国々の拳法武術系の殺陣集団の権益保護がかかわってくるんでしょうか・・
 
 そういう意味では「墨攻」て個人的には殺陣の面ではかなり私も好きというか、日本人好みですよね〜。見てビックリしましたよ。

 それで徹夜城様、私いつもいつも言いそびれてきたのですが、日本史も含めたアジアの歴史映画、映像の中で私が一番気に入っていて大好きな映画は「敦煌」なんですよ。合戦はもとより、アクション、殺陣が私好みというか何というか。日本のチャンバラでもない、中国のグルグルカンフー武術でも無い、不思議でナチュラルでリアルな「チンピラ剣術、武術」といいましょうか。かなり好きなんですよね。ラストの敦煌炎上シーンで半狂乱の田村氏と行徳役の佐藤氏が剣を交えるシーンやウジコウとのやりとり、西田氏の朱王礼等、殺陣が無難な感じがするんですよ。ですから今後アジアで歴史映画が作られる場合、なるべく殺陣は「敦煌」「墨攻」的にしてほしいんですよね〜




#7683 
十一郎 2007/07/01 08:05
久しぶりです

ニュースをいくつか。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007070102028653.html
久間防衛大臣が原爆投下を「(ソ連参戦をはばむためには)しょうがない」と発言。
太平洋戦争末期では、米はいろいろソ連を牽制する姿勢こそ見せていましたが、一応はソ連参戦を求める立場だったんですが。
何より長崎出身大臣の発言として不見識にすぎるというか、発言が出てくること自体が不思議というか。

http://animeanime.jp/news/archives/2007/06/1629.html
麻生大臣きもいりの国際漫画賞で、中国の漫画が第一回受賞とのこと。
孫子の生涯を題材とした作品だそうです。タイトルからして『孫子兵法』ですし。

>石見銀山
世界遺産でもう一つ。
1ヶ月ほど前の朝日系テレビ番組で、白神山地だかの樹木に落書きされていた様子が映っていたのですが、その文章が「世界遺産反対」というもの。実は番組宣伝のCMを見かけただけで、実際の番組は見ていないのですが、以前の史点が記憶にあったので印象に残りました。

>ニュースな史点
>松岡農相自殺
搬送時に顔に布をかぶせていた(呼吸を考慮するとしないはず)、蝶番は首をくくるに低すぎる(余裕で足が付く)、といった話が飛び交っていますね。
もっとも、実際には死亡が確実と見られていても救急車が行って何もしないと問題なので形だけ心配蘇生を試みる事はあり、首吊りにしてももっと低い位置で自殺するケースがあるので、まあトリック殺人ではというのは陰謀論かなと思います。

>その後の「仁義なき戦い」
自分も、サンケイが八木側についた辺りで興味をほとんど失っていました(笑)。おそらく旧つくる会は表舞台にしばらく立てないだろうなあ、と思ったので。さすがに新風社や文芸社から教科書を出すわけにもいかないでしょうし(苦笑)。

>「一人っ子政策」で大暴動
先月(いや先先月?)の史点ですが、この後に子供を奴隷として働かせていた工場の存在も判明しましたね。
親が動画を撮影してマスコミに公表し、ようやく中国政府が動いたという流れは(一応はマスコミがマスコミらしいことをしている感じで)興味深かったですが、何ともひどい話です。



#7682 
elevater 2007/06/30 17:45
富士山を世界遺産よりは、ましでしょう

石見銀山が決まったら富士山は遠のいたんですかね
遺跡かんけいの話題といえば、アクションゲームで大聖堂の銃撃シーンが
猛反発くらっとりますが、でも、そうなると古くはインディジョーンズ
最近ではトゥームレイダーがアジアの遺跡を破壊するシーンが多くあるけど
欧州のはだめでアジアのはいいってのもね〜



#7681 
徹夜城(報道を見てすかさず書き込む管理人) 2007/06/28 13:57
史点ネタその後

 石見銀山、逆転で世界遺産登録確定の運びだそうで。
 まずは関連する倭寇の研究をやってる人間としてはお喜び申し上げます、なんですが、正直なところこれ以上やたらに世界遺産を増やしても…と思うところでもあります。

 史点更新はまだですが、エジプトのハトシェプスト女王のミイラがDNA鑑定で確定ってニュースも凄い話ですよねぇ。それこそ神武天皇のY染色体(爆)より古い話なんですよ。
 日本の古墳は発掘したところでDNA鑑定の素材が得られるものなのか、どうか。宮内庁なんかうっかり調べたくないと思ってそうですが。



#7680 
徹夜城(このところ集中的にDVDを見てる管理人) 2007/06/28 12:59
歴史映像名画座更新

 昨日の夜のうちにこっそりアップしてたんですが(笑)。今回はなんと一挙に12本も追加されてます。
 一挙に増えた原因は今まで入れるのを怠っていた中国前近代史作品群を一挙に入れたため。特に「水滸伝」が4本に急増しちゃいましたからね。
 「水滸伝」が「歴史もの」なのかどうかは意見が分かれるでしょうが、あの「名画座」ではこれまでにも微妙な作品を結構入れちゃってますからねぇ。今回入れた「女帝」にしたって五代の舞台設定とはいえ「ハムレット」の翻案ですが、すでに黒澤明の「蜘蛛巣城」「乱」や「七人の侍」まで入れちゃってましたから。
 さすがに「西遊記」まで来ると迷いますけどね(入れようかな〜と考えなくもないですが)。あれはファンタジーというべきでしょうし…とか言いつつ、じゃあ聖書ネタ映画や「日本誕生」はどうして入ってるんだ、とツッコまれそうだ(汗)。

 今回入れたものに数少ない日本南北朝ファン注目のものがあります。新藤兼人監督の白黒作品「悪党」です。以前から存在は知っていたんですが、近所のツタヤがDVDを置いており、初めて見ることが出来ました。
 原作は谷崎潤一郎の戯曲「顔世」ですが、元ネタは「太平記」に出てくる高師直の塩冶判官の妻に対する横恋慕ばなし。「仮名手本忠臣蔵」に流用されたことでも有名ですね。大河ドラマ「太平記」でも軽くではありますがきっちり映像化されたエピソードです。
 映画の冒頭で南北朝という時代がどのような時代であったかをサラリと解説してます。後醍醐天皇や楠木正成の肖像画も映り、下克上新興勢力の「悪党」(これをかなり広義で使ってますね)たちが古い貴族社会を破壊していった時代、というとらえ方をしていました。そして高師直をそうした「悪党」の代表的存在としてクローズアップ、「王が必要なら木か金物で作ればよい」というおなじみの発言も引用して物語に入っていきます。ストーリー自体は「太平記」にあるエピソードをそのまんまなぞっていくもので、師直の風呂場覗き、兼好法師の恋文代筆作戦、塩冶高貞に謀反の嫌疑がかけられ桃井直常らの軍勢によって全滅…という結末までが2時間かけてじっくり描かれます。鑑賞後の感想は「なんだかシェークスピア悲劇みたい」というものでした。
 配役は、高師直=小沢栄太郎、顔世=岸田今日子、侍従(師直と顔世をとりもとうとする)=乙羽信子、塩冶高貞=木村功、兼好=宇野重吉といった布陣。宇野重吉の兼好の少しとぼけた味もなかなかいいのですが、やはり小沢栄太郎の田舎者ワルっぷりもさることながら、乱世に生きる女の哀しさも漂わせた乙羽信子の怪演っぷりが見ものでした。
 珍しい南北朝もの映画というわけですが、あくまで時代の1エピソードの映画化。ラストにそこそこの合戦がありますが、歴史スペクタクルといったものではない。いっぺん「太平記」世界の超大作映画を見てみたいもんだなぁ、とも思います。
 …それはむかし角川春樹氏が企画して(森村誠一の小説を原作に)、角川騒動でお流れになったわけなんですけどね…まだ企画実現の野望はあるのかな?


>孟きょうさん
 確かに中国史もの映画では娯楽作だけでなく重厚な史劇でもアクションがカンフーまがいかワイヤーによる「飛んだり跳ねたりチャンバラ」で、日本人としては慣れないと拒絶反応すら起こすのですが、日本の大半の時代劇チャンバラだって「リアル」かどうかは別問題ですよね。あれだって他の国から見ると「舞踊」とすら見えるかと。
 おっしゃるとおり、「墨攻」のアクションは中国映画としては異端でしたね。あれはスタッフ・キャストに日本人・韓国人が入ってることも一因かもしれません。



#7679 
孟きょう 2007/06/27 23:59



 中国史で面白い時代と言えば色々ありますが、南北朝時代も面白いですね。その中で華南の六朝の梁もなかなかなのでは・・。伊原弘氏の『蘇州』でのコメントに日本の有史以来の上層部が「政治制度こそ華北の王朝の中で熟成された律令制度を強く取り入れていくが、文化の本質は江南の影響を強く受けていたのである」とありますが、平安朝にもてはやされた六朝、江南の文学、天武朝で行われた曲水の宴、日本の貴族のイメージを代表する「顔を白粉で白く塗り、牛車で移動する」姿、生活風俗の原点が晋、宋、斉、梁の六朝にはありまして、それだけに日本人にとり親近感のある、欠かせない時代なのではと・・。上流階級に生まれた育ちの良さを持った梁の武帝が仏教天子と呼ばれ、息子のこれまた日本に大きく影響を与えた「文選」の昭明太子と共に六朝文化の最盛期を体現し40年以上の統治を保つも、自身のあまりもの長寿と情勢の変化からくる候景の乱による崩壊のドラマチックさ。雅で平和なイメージとはあまりにかけはなれた、北魏をはじめとする華北の政権との国境沿いにおける血みどろの攻防。北朝南朝ともに敵対国への逃亡者は出るし、淮水と長江の間では梁の名将、韋叡等が率いる梁軍が湿地帯をいかした戦で善戦して一進一退の攻防が続き、堤は決壊するわ六鎮の乱による華北のどさくさにまぎれ梁の将軍の陳慶之が洛陽を占領する壮挙を果たすも、すぐに爾朱栄らの軍にコテンパにやられて僧に身をやつして逃亡という波乱が続出でして。日本の平安貴族の姿を見ると、ついつい連想して思いにふけってしまう時代なんですよねえ。

 後はやはり元末の動乱時代が面白いですね。一人の英雄が王朝を作り、まるで漫画のように駆け上がっていくまれに見るメークドラマ、サクセスストーリーは、たとえモンゴル贔屓の人が激怒の声をあげたとしても、歴史ものとして、こたえられない面白さがあると思います(歴史的意義とか、また色々難しい考えをするとまたアレなんですが)。そもそも流民の家に生まれた乞食坊主が在郷の仲間と力を合わせて群雄を打破して巨大な王朝を樹立、あの、大モンゴル帝国の本部、クビライ王朝を北の地ブイル・ノールにて撃破し滅亡させるという顛末それ自体があまりにもドラマチックすぎると思うんですよ。その後の粛清でイメージと評価は大暴落ですけど(泣)



#7678 
孟きょう 2007/06/27 22:01
清朝、中国史関連で・・・


 そうですね、やはり清朝の後世、現代に与えた影響は魅力と存在感、意義供に大きいと思いますね。経済も文化も様々な制約の中でやたら集大成的な爛熟を感じさせますし。歴代皇帝も康熙帝のように一部の研究者が大絶賛し「ここに究極の皇帝が誕生したのだ!」といわんばかりの、名君が登場していますし。

 それで感じたのは、やはり、中国人にとって清朝(広い意味では明代もか?)、日本人にとっては江戸時代、と、この二つの時代はそれぞれにはかり知れないほど大きな影響を与えているんだなあという事ですね。時代が近いからというのがあるのですが、それはもう、好き嫌いとか関係無く双方の血肉になってしまっているというか・・現在に引き継がれる価値観とか情緒というか、好みというか嗜好源流とといいましょうか。私を含め20世紀以降の日中双方に生きる人間というのはつくづく、清朝、江戸時代以降の時代に産まれた人間なんだなぁと当たり前の認識を感じてしまいました。

 現存している建築物、史跡、様式、衣類、資料の圧倒的な豊富さも時代が近い事から来る両政権の存在感をアピールしていますが、映画や歴史小説や漫画等時代劇でも制作サイドや視聴サイドの好みというか嗜好というかニーズというか「どんな時代であってもこうあって欲しい、こうあらねばならない」という思いが画面の世界、殺陣の演出にも感じるのですよ。中国側はそれこそ紀元前の司馬遷であろうと三国志の時代であろうととにかく娯楽として京劇的な動きやカンフーアクション的な動きを多用させなければ気が済まないし(そういう動きが少ない最近の「墨攻」てリアルなんだけど異端だよなぁ・・。でも日本人好みかも)、日本側もとにかく何が何でも江戸剣術を強烈に意識したチャンバラアクションの雨あられですし。  そういう娯楽、嗜好の風景からも21世紀における時代的距離の近さを両政権から当たり前に感じてしまいました。 

 ですからまぁ、私も清以前、江戸時代以前の歴史を見る場合、この両政権があたえた嗜好、価値観を以前の時代に投影しないように一回一回面倒でも自分の脳からこの二つの時代を削り、それから新鮮に見ていこうかと思っているのですが、中々自分の脳がこの二つの政権の存在の大きさに抗いきれないのが現実でして・・



#7677 
徹夜城(配役マニアでもある管理人) 2007/06/25 23:12
歴史映画オタクは配役オタク

 ふと気づいたら今夜のNHK衛星でイギリス制作のTVドラマ「エリザベス1世」を放送してるじゃないですか!慌てて録画しつつ見ました。今日が前編で明日が後編です。
 エリザベス1世を演じてるのはヘレン=ミレン。そう、先ごろ「クイーン」で現英国女王を演じた女優さんです。エリザベスを2代とも演じちゃった人は今のところこの人ぐらいじゃないでしょうか。ジュディ=デンチがエリザベス1世とビクトリア女王を演じたことがある例はありますが…「英国女王役者は米アカデミー賞をとりやすい」というのもすっかりジンクスになっております。

 ドラマの前編はエリザベスと愛人ロバート=ダドリー(おお、ジェレミ=アイアンズか!)とのくっついたり離れたりのラブコメ的展開(笑)が主軸になってます。アンジュー公と結婚しそうになるくだりはケイト=ブランシェット主演の映画「エリザベス」でも描かれてまして(この映画でのダドリー役は最近見ないジョセフ=ファインズ)、当たり前ながら展開は瓜二つ。ただドラマのほうがダドリーのヤキモチっぷりが顕著でした。
 ドレークも登場しアルマダの海戦の展開もありますがかなりアッサリ。まぁあくまでエリザベスの目線から描くドラマですし、そもそも海戦シーンやってるカネもないし(笑)。でも海賊ファンとしてはやっぱり残念なのでありました。

 さて昨日は昨日でレンタルしてきた中国ドラマ「孫子」(原題は「孫武」)の第一話を鑑賞してました。主人公・孫武を演じるのは孫彦軍。そう、超大作ドラマ「三国演義」で主役・劉備を演じた方で、このドラマではプロデューサーと演出まで担当しちゃってます。ややこしいことに関羽を演じてた陸樹銘が伍子胥役、張飛を演じてた李靖飛も呉の王族役で出演しており、三人がそろうカットなどは三国演義ファンにはサービスカットのような(笑)。2巻以後の登場のようですが、諸葛孔明を演じた唐国強さんも重要な役で出るようで。
 洋の東西をとわず時代劇・歴史劇に使える俳優さんって限られるんですよね。そのため歴史映画マニアは「あの人が今度はこの歴史人物を」という配役マニア化してしまうわけです。


>天軍さん
 しかし凄い本が出てきましたね(笑)。
 たしか「贅沢は敵だ」「欲しがりません勝つまでは」といった戦時スローガンは第一次大戦時のドイツで作られたもので、実は日本のはその輸入だったかと。それにしてもドイツ人といえばビール、ってのも(笑)。
 前にこの伝言板で紹介したことですが、僕が古本屋でなんとなく買っちゃった武藤貞一著「世界戦争はもう始まってゐる」(昭和12年刊)の巻末にあった伝記シリーズの広告に「独裁王ヒットラァ」があり、「この巨人を見よ!」という宣伝文句が踊ってました。



#7676 
天軍 2007/06/25 21:23
少し黒いネタをひとつ 

実家から持ってきたダンボール箱の底から一冊の本が発見されましたので紹介します。
題名は「学べ!独逸国民生活」著者は森崎善一。前内閣情報部嘱託と言う肩書きの人です。序文は前内閣情報部長の横溝光暉。昭和13年7月7日支那事変一周年記念の日と書かれています。
ちなみに表紙はどこかで見た感じのチョビ髭の人の写真です。はい、そうです。アドルフ・ヒトラー総統その人です。何か半ズボン姿でどこかの山荘の軒下に腰掛けています。太腿がなかなかセクシーですね。
序文では「今日の輝く新興独逸建設を成就されたヒットラー総統の偉業は。真に世紀の驚異であり、全世界人の賛嘆惜く能はざる所である…」もうベタ褒めです。ちなみに発行年は昭和15年85版…かなり売れていたようです。初版発行は昭和13年ですね。
内容はお察しの通りです。はい、要するに「独逸に学んで倹約&節約せよ!」です。カバーの折り返しでいきなり「贅沢は敵だ」 最初から飛ばしまくってます。
各章のタイトルはと言うと…独逸国民と電燈、独逸国民と紙片、独逸国民と鉛筆、独逸人と靴、独逸人とお茶、独逸人とマッチ、独逸人と服装…もう全編こんな感じです。内容は言わずもがなですね。
中には独逸人とバナナの皮とか言うのもあります…「栄養はむしろ皮にある。独逸ではリンゴ、梨の皮や芯も捨てない」だそうです。バナナの皮やリンゴ、梨の皮や芯も捨てないでムシャムシャ食べましょう。栄養があるそうです。
独逸国民とビール、と言うのもあります。「独逸はビールの本場。良く飲む独逸人。ビールはサイダーの概念。酔っても礼儀を忘れず…」とあります。ああ、これはぜひ独逸国民生活に学びたいですね。サイダー代わりにグビグビです。何かあまり倹約&節約していないような気がしますが、たまには良いでしょう。「水なら水道代だけだよ。」なんて言ったら駄目です。
また、独逸の下女と言うのもあります。下女です。なかなかステキな表現ですね。現代では滅多にお目にかかれません。「下女の働き、合理的な家事、下女の人格を尊重する主婦、夜間は民衆大学へ」だそうです。
もう下女、下女、下女です。差別的な表現だとか人権だとか言っては駄目です。当時はそんな事はあまり気にしない実におおらかな時代だったようです。某巨大掲示板の中の人たちなんかにも好感を持ってもらえるのではないでしょうか。美しい日本の伝統ですね。
ところで、やっぱりと言うかなんと言うかこの本、真っ茶色に変色していて読みづらいんですよ。当然、紙質は最悪です。しかも紙を良く見てみると何か木の繊維らしき物が混じっている。
そうなんです。藁半紙なんですよ、ページが。小学校や中学校の時に作った文集以来じゃないでしょうか。藁半紙で綴じた本なんて見たのは。昭和15年。日米開戦前ですでにこれです。先が思いやられますね。これも独逸国民生活に学んだのでしょうか。




#7675 
elevater 2007/06/22 21:03
おたから売りたしフロム・ピョンヤン

さいきん北朝鮮の博物館が、ものすごい古い箱を売りたいと唐突に打診してきた
そうですが言い値が何千万円と、鑑定したら本物らしく、漢の楽浪郡のころのものと
いうからはんぱじゃない、なぜ、日本側で、これを鑑定できるか、というと
この漢代の箱を発掘したのは日本人の学者で箱の写真を撮って何とか日本に持ち帰り
いまも写真は日本側が保管してるからということで
そういう文化遺産級のものを さくっと売ろうと言い出すのは外貨獲得に手段を
選ばない国なのもありますが、漢の箱だし楽浪郡という中華の支配下だったような
歴史の遺産などもっていたくないという言い分らしいとか



#7674 
NF 2007/06/22 00:50
明治天皇宇宙の旅

>景虎様、徹夜城様
「愛国戦隊大日本」にも言える事ですが、この手のは左右両方を公平に(笑)コケにしているのがポイントなんでしょうね。というか、後半に登場した侵略者の宇宙船シーン…。「あのBGM」と彼らの戦争目的、いいんでしょうか、あれ(汗)。



#7673 
NF(忙しくて李舜臣の文献チェックがなかなかできない) 2007/06/22 00:39
清の文化的底力(?)

>tomohiro様
清の面白さの一つとして、文化的爛熟具合というのが挙げられると思います。
以前にもここで述べた覚えがあるので詳細を記すのは避けて、宣伝も兼ねて。
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/kouroumu.html
…人間って奴は、古今東西問わず味な事をやってくれます。

もっとも、僕は中国史では三国志好きのレベルから余り抜けられてないかな…。歴史としてみるように心がけては居ますけど。っつーか、それ以前に「僕は泳げない」とばかりにこの島国に閉じこもってチマチマやってるからなあ(涙)。



#7672 
徹夜城(暑くなってきて早くもバテはじめてる管理人) 2007/06/21 22:19
BBC製作「家康」

 ちょっと留守の間に話題がますます多岐にわたっていて、嬉しい反面反応しきれないのが悔しい(笑)。天軍さん、話題は毎度面白いので、少し小出しにしましょうよ(笑)。僕もあれこれネタを放り込むクチですが、これでも抑えているんです(笑)。

 ってなわけで、ちょこっと歴史映像ネタを。
「英BBCが時代劇制作 家康の策謀描いた「SHOGUN」」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2007062002025588.html

 「世界の戦士」シリーズだそうで…じつはつい先日、秋葉原のDVD売り場でBBC制作の「チンギス・ハーン」なるDVDを見つけて「へぇ」と驚いていたのですが、どうもこのシリーズの一本だったみたいですね。
 徳川家康を選択したのは、タイトルからするとやっぱりあのTVドラマ「将軍」の影響が大きすぎるのではないでしょうか。あれはあくまで家康がモデルの「トラナガ」なのでありますけど、欧米では有名な三船の出演のせいもあって「トラナガ」を実在人物の家康と混同しているケースも多いようです。
 家康とイギリスといえば、ロンドン塔内の資料館でジェームズ1世に徳川秀忠が贈ったという日本甲冑が展示してあったんですが、画像資料がなかったのか家康の肖像画が説明板に掲載されてました。いちおう「その秀忠の父・家康」という説明が書いてあった記憶がありますが、もしかすると間違えて掲載し指摘されたらそれだけつけてごまかした、ってことかもしれません(笑)。
 このBBCの番組ではリチャード=サイトウさんなる方が家康役。勝野洋さんが鳥居元忠役とは、時代劇ファン的に嬉しい配役ですね。勝野さんと家康のカラミでは大河「徳川家康」で秀忠役、やはり大河「葵・徳川三代」では井伊直政役で出てました。他にもいっぱい出てるだろうから、いちいちチェックしきれませんけどね。「太平記」ファンには何といっても悲劇の執権・赤橋守時が忘れられません。


>天軍さん
 まずオランダの話からですが、拝読していて思い出すのがシーボルトの来日時のエピソード。シーボルトのオランダ語に訛りがある(そりゃそうだ)のに気づいた長崎通事たちをごまかすためにシーボルトは「オランダ山岳地帯(高地)出身」と言ったというんですね。「風雲児たち」で知った逸話ですが、シーボルト一流のギャグであろうという解釈もあるようで(笑)。

 モースが帰国の後はあまり評価が高くない(というか日本にいた時の「功績」ばかりが日本で有名ということなんですが)というのは聞いてましたが、「火星の運河」のほうに結びついていくとは知らなかったなぁ…面白い「つながり」ですよね。
 まぁあの時点では「火星人」「金星人」のたぐいもそれなりに本気にされていたわけで、当時はそう無茶な研究とは思われなかったかも。ルパンの生みの親ルブランのSFミステリー「三つの眼」でも金星人が登場してます(もっとも地球に来るってわけでもないのですが)。

 ウェルズの「宇宙戦争」における「火星人」が未来の地球人類の姿を想定したものというのは読んでいても伝わってきますね。ホントに読み返せば読み返すほどよく出来たSFと思います。「タイムマシン」もそうですが、ウェルズの先見性にはいちいち驚かされます。地球の動きを止めるアイデアの短編なんかも、この時点でここまで考えたか!って驚きましたもんね。
 ウェルズはSFだけでなく「世界史概観」の執筆により歴史家としての評価も高いです。図書館で借りてざっと読んだことがありますが、見事な世界史概説書のひとつと評していいでしょう。もっとも第二次大戦をはさんでの追加・改変があって、晩年のウェルズが人類の行く末にかなり悲観的になっていたこともうかがえるのですけどね。


>mozawaさん
 「風林火山」のその回、珍しく見てたんですが(ガクトの謙信と、真田太平記エピソード1みたさに(笑))、「慙愧の念」は見落としました。ちょっと離れた間に言われちゃったようですね。


>景虎さん
 ご紹介の「明治天皇宇宙の旅」、見ました(笑)。皇室崇拝にみせかけてかなりの不敬モンですな(笑)。もちろんギャグで作ってるわけですが…新東宝の明治天皇もの映画が今みるとギャグに見てる、というのを同人でSFにしてやってみちゃった、というところでしょうか。しかし明治天皇はともかく乃木は「ダルマ宰相」こと高橋是清に見えます(笑)。


>あがたしさん
 メタンがどうのと話題にしていたら都内で爆発事故が起こってしまいました。以前「いわし博物館」爆発で知ったことですが、南関東地下には天然ガス田があるんですねぇ…
 もったいないなぁ、なんかに使えないのか、と思うんですが、茂原あたりでは地上に噴出してるところもあって一般家庭で使ってるケースも実際にあるんですね。


>tomohiroさん
 清朝といえば、最近新聞で読みましたが、中国の満州族(満族)の間では清朝を現在の中国のルーツとして高く評価し、満州語の再習得など「民族教育」も盛り上がってきている、といった話がありました。
 現代の中国でも清朝ってのは現在の中国に直結する母体となっているわけで、時代劇でも清代を舞台にするものが多いですし、康熙帝・雍正帝といった名君たちを描いたドラマはいずれも大ヒットしています。日本における江戸時代みたいなもんなんだろうと僕は解釈しています。
 僕自身は中国史のどこが好き、と聞かれるとかなり困るんですが(笑)、三国志から入ったもののヒネクレ体質からメジャー以外の時代に飛んで、気がついたら明代の海賊どもを専門にしてしまいました。それでいて明代が好きかと言われると「陸の上のことは知らん」と逃げてしまう始末(笑)。
 日本の中国史好きは相変わらずですが、どうも古代以来、唐以前にばかり集中するのが困りもの。もっと広く眼を向けてくれないかなぁ、と思うんですけどね。大型書店の中国史コーナー行っても、三国まではやたらに本が多いのにその隣に唐、さらに隣に清とそれ以降、というケースが目に付きます。ま、日本史コーナーの中世史も鎌倉の次にぱっと戦国に飛んだりしてますけどね(笑)



#7671 
tomohiro 2007/06/20 17:13
清朝がおもしろいね。

皆さんは中国の時代ではどの時代が好きですか。
かつては三国志の時代が興味があったのですが、
(漫画・小説・三国志のフィルム群の影響.)
今はなんだか物足りません。
今一番好きな時代は清朝です。
元々異民族なのに、漢民族に同化してしまった彼らは
今の中華人民共和国や台湾でも評価が高いように思います。
現在、中国や台湾に残る伝統的な中国建築は清朝様式が多くて、
有る意味肯定的にも否定的にも中華圏の人々の心を支配している
時代というか王朝なのではないかと思っております。
実に異民族にしては見事なtopの人々も私も評価が高いです。




#7670 
天軍 2007/06/18 21:57
クラートゥとタコ人間とイカ人間と

何かモースをボロクソに扱ったので(笑)フォローをひとつ。ついでにローウェルの分も含めて。
結局、時代の制約から逃れられないんですよね。当時主流であった科学、イデオロギー、宗教…当時は火星に生物がいる可能性がある、と言う学説が否定されていませんでしたから。
1950年代に作られた有名なSF映画に「地球の静止する日」という作品があります。ここで登場するクラートゥと言う異星人は人間とまったく同じ外見でした。キリスト教の影響もあるんでしょうね。「神は自らの姿に似せて人間を創った…」高度に進化した生物は人間と同じようになる、と言う考え方が当時の主流だったようです。まあ、予算の都合のせいもあるのでしょうが。少なくとも世間には問題なく受け入れられたと言う事ですね。
もっとも同時期に製作された「空飛ぶ円盤地球を襲撃す」ではヒューマノイド型のトカゲのようなエイリアンが出てきましたが。

しかし、時代の制約に縛られない人物もいました。H・G・ウエルズ。あのタコみたいな火星人ですね。SFファンの間じゃ常識なんですけど、あれ、元々火星人じゃないんですよ。ウエルズの自筆ノートに描かれた「未来人」の想像図。頭部は発達して肥大し、顎は退化してタコのような口になる。胴体や手足も同様に退化して小さくなり、巨大な頭部から小さな手足が直接生えているかのような外見となる…退化した手足の変わりに「タコの脚」を付ければ、まんま「火星人」なんですよ。人間より高度に進化した生物のモデルとして「高度に進化した(退化?)未来の人間(の想像図)」を持ってきたんですよね、ウエルズは。当時としては慧眼です。

しかしウエルズもまた時代の制約から完全には逃れられませんでした。地質学者でサイエンスライターでもあるドゥーガル・ディクソン。彼の著作には「アフターマン」「マン・アフターマン」「フューチャーイズワイルド」などがあります。その中でディクソンは数百万年後から2億年後までの生物の進化をシュミレートし、その予想図を描きました。その中に2億年後の世界で高度に進化した頭足類、つまりイカの一種が描かれています。タコやイカなどの頭足類って知能が高いんですよね。そして2億年もの期間があれば海洋生物が陸上生物へ進化するには十分です。陸上に進出した高度な知性を備えたイカの一種。人間並みか、それ以上に進化した生物の姿。それは「人間の進化した姿の想像図」とは必ずしも似ているとは限りません。あくまでも「人間以外の種類の生物が進化した姿」なのです。「未来人の想像図」なんて、実はあまり参考にならなかったんですね。脳が発達しているから頭部が肥大しているだろう…とか。人間のイメージする「頭部」なんて、生物の種類によっては全然当てはまりませんし。例えばですが、カンブリア期に絶滅したアノマロカリスなどの生物群の一種が、進化して文明を築くまでになっていたとしたらどのような姿になっていたでしょうか。おそらくヒューマノイド型とは遠くかけ離れた、想像を絶する姿になっていたでしょうね。



#7669 
あがたし 2007/06/18 13:54
ネタニマジレスカコワルイ,けど

>南「いや、実はオナラにはメタンが含まれてる場合があるから、大いにやって資源にするという手も」
>伯「おお、それこそバイオガスだ!」

メタンCH4は強烈な温暖化ガスですな. 現時点ではCO2のほうがメタンにくらべて絶対量が圧倒的で,メタンがすぐ問題というわけではないんですけど,単位量あたりではなかなかスゴいガスです.

ただし現在のメジャーな排出元は水田耕作(不耕起農法をしない場合かな)と反芻動物のいわゆるGEPPUだったりしますが.

でもG8からもれてくる気体はもっと臭そうな気もしますね,・・・って下品で申し訳ありませんです.

ところでプーチンさんは,シベリアの凍土に守られたメタン層が,温暖化に伴って一気に放出される→温暖化促進,かも?,という学説はどう考えているんでしょうか.




#7668 
景虎 2007/06/18 10:11
明治天皇宇宙の旅

暇つぶしに動画を観ていたら、「明治天皇宇宙の旅」という作品を、発見してしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=KG3mMFEnfHw
http://www.youtube.com/watch?v=NOQLep8vHkY&mode=related&search=

こんなの作って大丈夫なのかな?とも思いますが、個人的には大金をかけた最近のハリウッド映画などよりも、楽しめました。

この調子で、「後醍醐天皇宇宙の旅」を作ってくれないものでしょうかねえ?



#7667 
天軍 2007/06/17 22:36
モースとローウェルとクラークと

今回はエドワード・S・モースの話題です。はい、明治時代に来日し、東京大学で生物学を教えたり、大森貝塚を発見したりしたあのモースです。日本における彼の業績はとても大きいです。まさに明治期の学問の父と言える存在ですね。そのモースのちょっとアレな話題をひとつ。
モースは日本からアメリカへ帰ってくると、あのローウェルと親しくなって彼の天文台へ招かれたりしたそうです。
パーシヴァル・ローウェル。「火星の運河」で有名な“あの”ローウェルです。モースはローウェルの研究に興味を持ち(持っちゃ駄目だ!)自分でも「火星の運河」を見つけてみようと思いました…止めたほうが良いです…
モースは望遠鏡で火星の観察を始めました。ところがいくら観察を続けてもローウェルの見た「火星の運河」はサッパリ見つかりません…当たり前だって…
しかしさらに観測を続けた結果、モースはついに「火星の運河らしき模様」を確認したのです。だが、モースはあくまでも冷静でした。この「火星の運河らしき模様」が人工のものであるか、自然の地形であるかまだ判断出来ない…
モースは様々な資料を集めました。地図や運河図、鉄道図、そして陶器やアスファルト、乾いた泥のひび割れなども参考にしました。自然に起因するものであるか、あるいは人工のものであるか、これらの資料と照らし合わせて判別しようとしたのです。
モースは「火星の運河らしき模様」を詳細に観察し、分類しました。「自然の地形と思われるもの」「火星人の作った運河と思われるもの」「火星人の作った道路と思われるもの」「火星人の作った鉄道と思われるもの」…うあー
そしてモースはその結果をまとめ、「Mars and its Mystery」(火星とその謎)と言う本を出版したのです…あーあ、やっちゃったよ…
さて話題は変わってクラークの話です。ハイ、そうです。「青年よ、大志を抱け」のクラーク博士…じゃなくてSF作家のアーサー・C・クラークの方です。
アーサー・C・クラークは次のような実験を行いました。火星の表面図を正確に記した「火星儀」を製作し、それをある程度離れた距離から複数の人間にスケッチさせたのです。結果は…はい、ご想像の通りです。
同じような「火星の表面図」を描いた人間は一人としていませんでした。もう、てんでバラバラ。ま、要するにそういう事だったんですね。
幸い、モースの「黒歴史」は日本じゃほとんど知られていません…ローウェルの残した「業績」の方は広く知られていますけどね…



#7666 
mozawa 2007/06/17 20:22
慙愧の念

が、「風林火山」で正しく使われていました。
「恥ずかしい、面目無い」という意味で。2回繰り返しているものだから、首相へのあてつけかと思ってしまいました。



#7665 
天軍 2007/06/17 00:53
オランダとハールレムの少年と「オランダのアルプス」と

さて週刊朝日百科「世界の地理」ピープルズヒーロー、中北ヨーロッパ編です。ざっと紹介していきます。
・イギリス1 ザ・ビートルズ ・イギリス2 ウィンストン・チャーチル ・西ドイツ1 ファウスト ・西ドイツ2 リリーマルレーン ・オランダ ハールレムの少年 ・ベルギー ルクセンブルク 小便小僧(笑) ・スイス オーストリア ウィルヘルム・テル ・デンマーク ノルウェー アイスランド ペール・ギュント  ・スウェーデン フィンランド パーボ・ヌルミ(有名な長距離走者ですね。) 巻末の特集「世界の言語」 アッティラ大王(何で?)
何かひとまとめにされている国々がありますね(笑)さて有名所は置いといてググっても出てこなさそうな所を紹介します。
オランダ、ハールレム近郊。堤防に穴が空いて水が漏れている。一人の少年がその穴に手を突っ込んで塞いだ。少年は助けを求めるが既に辺りは暗くなり、誰も少年の声に応じる者はいなかった…少年は翌朝、手で穴を塞いだまま気を失っている所を発見された…
あまりにも有名な話ですね。オランダの小さな英雄のエピソードです。オランダ、ハーレルムの北効スパールンダムとフリースラント州ハルリンゲンにこの少年の像が立っています。スパールンダムの碑文には「オランダとの水との戦いを象徴する少年。わが国の青少年に捧げる。」と記されています。しかし、この少年は実在しません。
メアリー・メイプス・ドッジ夫人が書いた「ハンス・ブリンガー」(1865年刊行)の中の1エピソード「ハールレムの少年」これが元ネタです。ちなみに作中では少年の名は語られていません。作品の名から「ハンス少年」とされる事が多いそうです。夫人はオランダ系アメリカ人。当時ニューヨークに住んでました。そういやニューヨークって元オランダ植民地(ニューアムステルダム)でしたよね。若草物語のルイザ・メイ・ オルコットなんかもサロン仲間にいたそうです。蛇足ながら同年には「不思議の国のアリス」が出版されてます。
ところでネーデルラント(低い土地)と言う名の通り、オランダは国土の約4分の1が海抜0m以下です。オランダの歴史はポルダー(干拓地)の歴史と良く言われます。1932年旧ゾイデル海を30kmに及ぶ堤防で外海と遮断し、アイセル湖に変えた話など有名ですね。
しかし「オランダのアルプス」と呼ばれている土地があるんですよ。それはリンブルフ州の丘陵地帯。そこにはオランダにおける最高地点があります。ベルギー、ドイツと国境を接するため、ドリーランデンプント(三国点地帯)と呼ばれている土地です。
その標高は何と322.5m。東京タワー(332.6m)やエッフェル塔(324m)に匹敵する高さですね。いやー高い。見上げるような高さだ!…うーん、やっぱりフォロー出来ませんね(笑)



#7664 
孟きょう 2007/06/17 00:50



 >徹夜城様
 
 前期倭寇についてなのですが、李領さんの意見はまあ置いといて(李領さんも気持ちのゆとりがまだまだなさそうですし)、やはり面白いテーマですね。 それでこれは徹夜城様も田中氏も指摘されていた事なのですが、私もやはり倭寇の発進基地、集結地、もしくは集団発生地の一つに済洲島があると思うのですよ。李成桂が「アキバツ」らの倭寇集団を撃破した有名な戦でも、捕獲した軍馬が千六百頭とありますし、成桂最大の武功話の一つゆえ誇張もありましょうが、あえてこの数字を鵜呑みにする危険な冒険を冒せば、大破される以前の交戦による消耗、死傷した軍馬の数の想像から考えても(あくまで千六百頭が本当と仮定して)、この時に南原で交戦した倭寇集団は2千から2千5百頭くらいの馬を保有していた事になるわけで(滅茶苦茶多くないですか?私などはビックリです、スゴイな〜)。そうなるとこれらの馬の出所は 1、高麗王朝各地の官営牧場から集めた  2、各地に点在していた倭寇集団の何割かが集結してこんな数になった。  3、高麗、朝鮮王朝を通じてもダントツの軍馬、蓄馬保有量をほこっていた済洲島。
 4、九州や対馬。などの候補が出てくると思うのですよ。 そうくると、元々は独立国であり、その後もモンゴル人や数多くの民族集団が雑居し、半島の政権への反感も強かった済洲島もけっこうありだと思うのですよ。半島の中央政権との前世紀の虐殺事件にも至る複雑な潜在的軋轢意識もあって現在では「ばっくれる」しかない、タブーというか、島の方々にとっても政治的にも危険な容疑だとは思うのですが。

 もちろん今川氏を始めとする当時の足利政権も倭寇の正体の何割かは把握していたでしょうし、対馬追討もそこに関係してるのでしょうし。 つまりこれは根拠の無い憶測なのですが、「朝鮮半島を中心に20、30の倭寇集団が存在し、それらは連絡を取り合うのもいれば、まったく連絡も取らず、言語も人種も違う集団もあり、混在している集団もあり、合流する集団、しない集団があり、それらの発生場所は、半島南部、対馬、松浦半島、壱岐など様々であり、済洲島もその発生場所の1つだった」という事なのでしょうか?  済洲島一つのサイズなら反乱軍というか、軍閥1つくらい誕生できそうな気もするし。  でもまあよく分からないし。実際どうだったんでしょうねぇ〜?(泣)

 後は、中国史によく見られる、「王朝末期における各地での反乱続発」の要素というか観点を朝鮮半島にも置き換えてみる必要が少しだけ、少しだけあるのかも。
 
 
 



#7663 
徹夜城(他コーナーへ客を誘導しようと企む管理人) 2007/06/16 23:27
「続813」

 開き直ってこっちで宣伝(笑)。「怪盗ルパンの館」コーナーで今日付けで「続813」の「ネタばれ雑談」をアップしました。あくまでネタばれ専用ですので、小説未読の方は読むのをお控えください(813はとくにそうなんだよなぁ)。南洋一郎による児童向け「ルパン全集」のみ読んでるという方もOK(笑)。というか、そういう方にこそ読んでいただきたい、という思いもあります。「813」ってこんな話だったのか!って驚く人も多いですから。
 ここで宣伝するのは先日も書きましたように『続813』ってフランス・ドイツ近代史そのものが背景になってるんですよね。ルパンシリーズで実在人物が登場しちゃうのも本作だけ。「奇岩城」がフランス通史なら、「813」は第一次大戦前夜の仏独関係史。発表当時は今風にいうなら「007」シリーズとかジャック・ライアンもののノリに近かったのではないかと。


>海外小説におけるゴダイゴ
 ちょうど先ほど網野善彦の「異形の王権」なんぞ読んでおりましたが、仮想歴史とはいえ後醍醐という人がホントにそういうことをしそうな人でもあり、わかっててやってるとすれば凄い人選です。もちろん日本史の本をアンチョコにして書いてるんだとは思いますが。
 ただ、イギリスではあの「ゴダイゴ」がひところ結構有名だったというのも原因かもしれません(笑)。


>天軍さん
 へぇ、「送り狼」が学名になってるとはちょっとビックリ。世の中トリビアの種は尽きませんね。


>民本主義者さん
 ふうむ、中国人海賊は問題になってしまいましたか。映画の方は見てないんですが、ご紹介のところの解説をざっと読んでなんとなくここが問題とされたか?というところは分かりました。笑って済ませる余裕もほしいな、とも思いますがね。
 連想したのが「ドリトル先生」に出てくる黒人の王子が「眠れる森の美女」を本気にして…という話。他愛もないといえば他愛もない話なのですが、やはり黒人側からすると問題ありかと。映画になったらドリトル先生をエディ=マーフィが演じてたというのはそういうイメージを払拭する必要もあったからなんでしょうね。

>孟きょうさん
 お読みいただき、どうも。そのエネルギーをここ数日はルパンのほうに回してますので、よろしかったらそちらもどうぞ(←また宣伝かい)。



#7662 
天軍 2007/06/16 21:49
tomohiroさんとネッド・ケリーとピープルズヒーローと

>tomohiroさん

勝手にタイトルにしてすいません。m(__)m ネッド・ケリー。どこかで聞いた話だと思ったらあれなんですよ!(何がだ)実家から持ってきた週刊朝日百科「世界の地理」全12巻のコラムに「ピープルズヒーロー」ってのがあったんです。各国の章ごとにその国の「ピープルズヒーロー」を紹介すると言うヤツでして。そのオーストラリアの所に載ってたんですよ。いやー懐かしい。思わず読み直しましたよ。父が集めてバインダーに閉じてた物です。子供の頃好きで良く読んでました。ちなみに1985年刊。ソ連や東欧諸国がまんま掲載されている。いやー歴史を感じさせてくれます。ちなみに映画「渚にて」の主題歌「ワルツィング・マチルダ」(なんとオーストラリアの新国歌の有力候補にもなったそうです。)この中にもブッシュレインジャーを歌った部分があるそうです。オーストラリアの人にとっては、まさにアメリカにおける西部劇のヒーローのような位置にあるんですね。
ちなみに4、5、6巻が日本。そして日本の「ピープルズヒーロー」は天…いや、なんでもないです…なぜかこのコラムは日本だけありませんでした(笑)
史劇的伝言板的に見ても面白そうなネタがゴロゴロしてるんでいずれ紹介してこうと思います。



#7661 
NF 2007/06/16 17:53


>鎮西大将軍様
お忙しいところ、こちらの妙な目論見にお付き合いしていただく格好になり申し訳ありません。本当にありがとうございました。柳成龍「懲録」はネット古書店で見つかりましたので購入する事にしました。それと「乱中日記」あたりを見つけて調べてみたいと思います。「乱中日記草」は懐具合と相談して断念しましたが(涙)。浪人時代の動静については確かに想像の膨らむところではあります。
しかし、遅咲きの将軍で、要人になっていた友人により引き立てられ、国家の危機に颯爽と登場して活躍、味方を勝利に導くも自身は戦死という辺りが何だかエパメイノンダスみたいでもあります。



#7660 
孟きょう 2007/06/16 10:11
史点読ませていただきました


 >徹夜城様
 衝撃的なニュースが相次いだためか、「史点」更新のピッチがもの凄いですね。たくさん読めるから嬉しいんですが、すごいエネルギーですね・・(驚)

 それで大臣の遺書によってやや話題になったこの国の権力構造の件なんですが。つまり某満州官僚の御子孫がたの事といいますか。つくづく思うのは、戦前戦中に「この国はこうあるべきだ」「国民はこうあるべきだ」と考え政策経営を実行し(戦後もだけど)国政のトップに立ち続けた血脈が戦後60年たち、その子孫がまたトップになって「この国はこうあるべきだ」「国は美しくあるべきだ」と政策、思いつきやら、悲願等を叫び続け、経営、運営している姿、図式ってのはどんなものなんでしょ。変わってはいない現実というか。私自身は代々平凡な臣民なもので、時々深刻に「なんだろなぁ」て考え込む時があるんですよ。(いや、こんな事をいちいち気にするのは日本人として「野暮ったい」行為というのはわかっているのですが)・・ですからまぁ・・・無念ですね・・



#7659 
民本主義者 2007/06/15 23:25
海賊と映画で史劇的二乗倍

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070615-00000129-jij-int
「チョウ・ユンファの場面、半分カット=映画「パイレーツ」の海賊役−中国
【北京15日時事】ディズニー映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」の一般公開が中国でも始まったが、中国海賊船の船長を演じる香港映画スター、チョウ・ユンファの登場場面が半分にカットされていることが分かった。新華社が15日報じた。
 カットされたのは、海賊船長が一目ぼれしたヒロイン相手に中国の詩を吟じる場面など。計20分間あったチョウ・ユンファの登場が10分間に削減された。
 新華社電はカットの理由について、「船長ははげ頭、傷跡だらけの顔に長いひげを生やしており、ハリウッドに古くからある悪魔的な中国人のイメージに沿ったものだ」とする中国映画誌の記事を引用。当局が中国人悪役イメージに反発したとの見方を示した。」(引用終了)

「ハリウッドに古くからある悪魔的な中国人のイメージ」ってフーマンチュウとか?
http://images.google.co.jp/images?svnum=10&hl=ja&gbv=2&q=Fu+Manchu+

こっちを見ると、結構カッコ良いけど。
http://t.pia.co.jp/cinema_spe/070511/pirates.html

こちらにあらすじがあります。ネタバレを避けるため引用はしませんが。
カットした理由が推測できます。
http://tonyleungcw.com/nancix/log/eid2.html



#7658 
天軍 2007/06/15 22:03
訂正します

訂正します。

ライデン博物館はオランダにあります。ドイツではありません…シーボルトがドイツ人なんで勘違いしました。ウィキペディアその他の資料もちゃんと見てたつもりだったんですけど…あうー

後、書き忘れていて誤解を招く部分がありました。シーボルトがライデン博物館に送った「ヤマイヌ」の毛皮についてなんですが…剥製にされたとされる物ですね。シーボルトは毛皮と共に頭骨と身体の骨を幾つか送っています。あれでは「毛皮のみ」送ったように読み取れる内容でした。訂正します。

また、日本狼はタイリクオオカミの亜種(Canis lupus hodophilax)とする説と日本固有の独立種(Canis hodophilax)とする説の二つがありますが、前述のコメントでは後者(テミンクの判断)で統一しました。

また、誤字、脱字、明らかな間違い等にお気づきでしたら容赦なく突っ込んでください…(^^)

ちなみに日本狼に関するサイトならこちらがおすすめです。
http://www6.ocn.ne.jp/~kanpanda/index.html

豊富な資料に裏打ちされた論理的な内容。しかもそのボリュームたるや…!
はっきり言って掛け値なしに「神」レベルですよ!
いや凄すぎる。まさに「神」!「大神様」(オオカミ様)です!へへー!m(__)m 

で、私のコメントの内容は基本的に山根一眞氏サイドなんですよね。だから「大神様」のそれとは異なる点があるわけでして。
まあ、あえて山根一眞氏サイドの主張で統一したわけで、(後、個人的な願望含むw)とりあえず参考程度にしてください。ハイ。
何か大ポカやらかしてる所もありますし…(^^)
また、山根一眞氏のスタンスは「もしかしたら二種類いたかもしれない。」で、「大神様」のスタンスは「一種類だけだよ。夢見てんじゃないって。」なんですよね。
で、私のスタンスはと言うと…まあ言わずもがなですね…(^^) すいません「大神様」、夢見さしてください…

>徹夜城様

蛇足ですが、私が念頭に置いてた「それらしき物の写真」は、八木博さんと言うアマチュアの日本狼研究家の方が1996年に奥秩父で撮影したものなんです。10年以上前は「最近」じゃないですね(^^) 舌ったらずでした。
この八木博さんは19歳の時に日本狼らしき物の遠吠えを聞いて以来、各地で日本狼の探索をされてきた方なんです。あちこちの日本狼の資料や標本の調査なども地道に行なわれており、1997年にはドイツのフンボルト大学にある、日本では未確認の毛皮や骨格標本の調査に行かれたそうです。実際、こういう地道な活動の方をメインにされてた方なんですよ。いわゆるビリーバーとは対極に位置する方ですね。
八木さんが奥秩父で撮影した「野生犬」は「ヤマイヌ」らしい外見でした。脚は細めで短く、毛並みは薄茶色で背中にかけて黒の斑になっている。顔はイエイヌ(和犬)に良く似ている…
もちろん八木さんは糞や体毛を採取しないと何とも言えない、と判断を保留されています。
八木さんは詳しい撮影場所を秘密にされたので批判や疑惑を向けられましたが、悪質なアマチュアやビリーバーの事を考えれば妥当な対応だったと思います。
実際、真面目に「未知動物学」に取り組もうとしたら、興味本位のマスメディアや悪質なアマチュアは障害になりますからね。個人的にはむしろマスメディアに写真を公表すべきじゃなかったとさえ思います。

トリビア

ちなみに日本狼の学名、ホドフィラクス(hodophilax)は「小径をついていくもの」と言う意味です。ハイ、そうです。「送り狼」から来ているんですね。シーボルトか、あるいは助手たちの誰かによってこの俗説&諺がテミンクにもたらされたようです。あるいはそれ以前かもしれませんね。鎖国って言ってもちゃんと外国と交易してましたし。
シーボルトみたいに身元をごまかして密入国した例もありますしね。



#7657 
tomohiro 2007/06/15 08:47
ネッド・ケリーの話題です。

ネッド・ケリーを御存知でしょうか?
アメリカでビリー・ザ・キッドが暴れてるのと
同じくらいの時代に活躍したaustraliaの無法者です。
アイルランド系の両親の元に生まれて、
14歳で初めて指名手配を受け、1876年に馬を盗んだのを契機に、家畜強盗として大規模に活動するようになるのです。
彼が義賊に祭り上げられるのは、
彼の母と弟が巡査を射殺しようとしたのが、切欠です。
そして、1880年に逮捕されて、その年の11月に処刑されました。
この漢の資料を読みながら、日本の国定忠次や前述の
ビリー・ザ・キッドが義賊と祭り上げられながら、
可成り悪毒い強盗を繰り広げられたのと同じで
彼も、義賊とは縁遠い人間ではなかったのかと思います。
当時のaustraliaもアメリカと同様開拓の時代だったので、
噂が演劇や娯楽の要素があったのではと思っております。



#7656 
中西豪(同人誌原稿に追われる鎮西大将軍) 2007/06/15 07:17
表は開店休業中

NFさん>

 すいません、ここ数年某SNSに沈潜して表のHPは放置状態で連絡が付きませんで。

 柳成龍『懲録』は日本語訳が平凡社東洋文庫に入っていますので、さほど苦労することなく手にして読めると思います、公立図書館などで。

 李舜臣の家系は累代硬骨の諌奏官や学者を出していて、その中で武官を志したというのも不思議です。並々ならぬ文才を備えていたことは『乱中日記』『壬辰状草』などからも明らかで、武科挙の口頭試問で試験官が武官にするには惜しいと嘆声を上げたとか。

 李舜臣といえば水軍の名将という先入観があるでしょうが、1591年春に全羅左道水軍節度使に任じられるまで、水軍将校の職にあったのはほんの僅かで、ほとんど北辺防備の最前線に就いて女真族との小規模戦闘も何度か経験しています。だから『天軍』の情報を得た当初は、北辺防備の下級将校という史実には一応準拠し、ヘタレに描いているものだとばかり思っていたのですが、ホントに単なるコソ泥ですかw

 いや、浪人時代に北辺を放浪していた知られざる履歴があるのかもしれない(大マジ)。



#7655 
NF 2007/06/14 02:15


>徹夜城様
何から何まで、本当にありがとうございます。僕が自分で聞かんといかんところなのに…(汗)。後は、御教示いただいた資料を何とか探して作成するのみ。…それに時間が掛かりそうではありますが。頑張ります!

>Romanitas
何だか、海の向こうの小説で後醍醐天皇が凄い事になってますね。確かに、彼の辺りが日本のターニングポイントと言えばそうなんですが、目の付け所が渋いと言うか鋭いというべきか。



#7654 
徹夜城(英語サイトをずっと見てると目が疲れる管理人) 2007/06/14 00:36
世の中は驚きに満ちている

>天軍さん
 いやあ〜非常に面白いお話を読ませていただきました。「史劇的伝言板」はこーでなくっちゃ、という話題かと。こういうネタの多様ぶり、長文化傾向がこの伝言板の昔からのカラーなのであります。今後ともネタをよろしく(^^)。
 そういや確かに山梨県でしたっけ、「ニホンオオカミの写真」なるものを撮った人がいたような…しかしその人自身がずっとニホンオオカミを探してる人でもあり、はなはだ怪しいと思われたかその後一切続報が報じられてませんよね。


>NFさん
 機械翻訳で「フリーター」と訳したと思えるんですが、それだけでも面白い。しかしよく読んでみるとフリーターというほど仕事をしているようには見えず、ニートといった方が適切なのではないかと思えてきます。
 で、先ほど鎮西大将軍閣下に連絡を取って質問の回答をいただきました。李舜臣の落馬による武科挙落第のエピソードは李舜臣伝記のどれにも載るほど有名ですが、初出は李舜臣の幼馴染で最大の理解者でもあり、いわば「首相」の立場で秀吉との戦争を戦った柳成龍の「懲ヒ録(ちょうひろく)」でしょう、とのお話でした。


>で、何に驚いてるのかといえば。
 先ほどなんとなくウィキペディアで「足利尊氏」の項目記事を読み、その英語版に飛んでそっちを読んでいたんです。こうして英語で読む日本史もなにやら新鮮だなと思いつつ(「幕府」って「Shogunate」なのね)、「後醍醐天皇(Emperor Go-Daigo)」に飛んでそっちも読んでみたら、「ソフィア=マクドゥガルの仮想歴史小説『Romanitas』に登場する」との文が目に入ってきました。「何よそれ?」と思い「Romanitasu」の項目に飛び、さらにその公式サイトまで行って読んできました。
 …こ、こんな小説があるとは…んで、そこに後醍醐が重要な役で出てくるという事実を知ってビックリ。

 この「Romanitas」って小説はイギリスで2005年に出たものだそうです。ストーリーはいろいろ読んでみたんですが、要するに「ローマ帝国がそのまま現代まで続いちゃう歴史」を書いたお話、らしい(ざっとしかチェックしてないもんで)。奴隷制・帝政はそのままに火器や電気器具など科学技術も進歩させたまま世界をどんどん征服してゆき、我々が生きている歴史での2004年までが描かれる、とまぁそういうお話のようです。

公式サイトにその小説の「歴史年表」が載ってます。
http://www.romanitas.com/text/history.htm

 さあ、注目は本来の歴史での14世紀。ローマ帝国はモンゴルを撃破して宋王朝を救って中国にも影響力を持つようになってるようですが、その海の向こうにある「Nihonia」にはさしたる関心を持たず放置します。ところがその「ニホニア」の「Emperor Go-Daido」がなんとローマを訪れ(おお!)、ローマの発展と征服の模様を知り、ひそかに銃火器(gunpowder)の技術を盗み出してニホニアに帰ってしまいます。そしてゴダイゴは銃火器の力により北条政権を打倒、「Kemmu Restoration」を実現しちゃうのであります(わぁあ!)。さらには仲間であったAsikaga Takaujiの反乱も押さえ込み(?)、ゴダイゴは強力なエンペラー権力を回復してニホニアを統一しちゃったのであります(ひええ!)。
 で、そのあとは面倒なんで飛ばし飛ばしでしか読んでませんが、どうもその後ニホニアは南方諸島・大陸へ進出して領土を拡大(「Gosyu」と名づける、とあったけどもしかして「豪州」?)、やがてローマ帝国の脅威となるのであった…ってな話らしい。
 なんとなくですけど、アシモフの「銀河帝国」を実際の地球の上でやっちゃったような…



#7653 
NF 2007/06/13 23:02
フリーターではあったのか(苦笑)…

>徹夜城様
どうもありがとうございます。紹介先のブログ、参照させていただきました。なるほど、裏が取れれば使えそうな感じですね(厳密には「引きこもりニート」とはいえなさそうですが)。早速、自分でも探してみます。鎮西大将軍様にもお伺いを立てさせていただこうかとは思ってますが、どうやらサイト(掲示板・ブログ含め)が止まっているようで…。

ところで、熊沢天皇にそんな話題があったんですか。南北朝関連とフリーメイソンが絡んだのはこれで二回目(笑)。



#7652 
天軍 2007/06/13 22:43
貧弱、貧弱ゥ!!

う、改行ミスった所が有りました…読みづらくてすいません。

まとめるとこうです。

・ライデン博物館には@全身骨格+頭骨A頭骨B全身の毛皮(剥製)+頭骨の3点の標本がある。
専門家によれば3種類の別々の動物が混在しているとの事。
・標本@ABはライデン博物館ではどれが「オオカミ」でどれが「ヤマイヌ」だが判別されなかった。
・シーボルトは日本で「オオカミ」と「ヤマイヌ」の生体を購入し、標本として本国へ送った。
・「シーボルト事件」の混乱で一部紛失。1834年に助手のビュルガーが送った標本の中には無かった。しかしシーボルトは「ヤマイヌ」の毛皮(ライデン博物館の日本狼の剥製とされる)と「オオカミ」の完全標本(毛皮+全身骨格+頭骨)を送ったらしい。
・しかしライデン博物館側では2回送られてきた標本を両方とも「ヤマイヌ」としている。
・標本@ABの中のどれがシーボルトが送った「オオカミ」と「ヤマイヌ」なのか正確に区別がつかない上にごっちゃになってツジツマが合っていない…
・1839年テミンクにより「ヤマイヌ」はカニス・ホドフィラクス(日本狼)と分類され、「オオカミ」は「ヤマイヌ」と同一種であるとされた。それが正式なものとして現在に至っている。
・しかしシーボルトは購入した「ヤマイヌ」と「オオカミ」はイエイヌではなく、さらに両方とも異なった種類のイヌ科の動物だと記述している。
・またシーボルトの残した「ヤマイヌ」と「オオカミ」のスケッチを見る限り、明らかに外見が異なっている。
・シーボルトの記述が事実だとすると、日本には日本狼(ヤマイヌ)ともイエイヌとも異なる「オオカミ」と呼ばれていた未知のイヌ科の動物が存在していた事になる。(タイリクオオカミの亜種?)
・その「オオカミ」と呼ばれていた未知のイヌ科の動物は日本狼同様、現代では絶滅したらしい…いや、もしかするとまだこの日本に…

ところで日本狼の標本って、あまり残ってないんですよね。今の所、学術的にカニス・ホドフィラクスとされる剥製標本は世界中で5体、(日本に3体、ドイツ、ライデン博物館に1体、イギリス、大英博物館に1体)全身骨格が2体(共に日本、ライデン博物館のアレはw)…世界中で毛皮が4例(日本に2例イギリス、大英博物館に1例 ドイツ、ベルリン自然史博物館に1例)…後は毛皮や骨格、ミイラ化した体などの一部のみとか、そんな感じです。研究資料としてはあまりにも貧弱、貧弱ゥ!! なんですよね、これが。DNA鑑定とかするにしても、標本の一部を切り取らなきゃいけない訳ですから…
しかも出所が不明な物が多くて、「ヤマイヌ」とされていた物か「オオカミ」とされていた物かの判断なんてとてもとても…
だから「オオカミ」なる動物と「ヤマイヌ」なる動物の比較は難しいんですよね。もう一度、別の個体同士で「オオカミ」とされる物と「ヤマイヌ」とされる物を比較するなんてのは。
いや、もう事実上不可能ですね。今となっては。ライデン博物館では「ヤマイヌ」=「オオカミ」とされたんですが…

もしシーボルトの記述が正しかったら。この日本に日本狼やイエイヌでない、かつて「オオカミ」と呼ばれていた「未知のイヌ科の動物」が存在していたとしたら…そして日本狼が絶滅したのと同時期くらいまで生存していたとしたら。いや、もしかすると、現在も…

ま、たまに「それらしきもの」の写真が撮られたりするんですが…「日本狼の生き残り?」とか。つい最近もありましたよね。だけど、いかんせん写真だけじゃ弱いんですよね。イエイヌとかが個体差で「似た外見」になる可能性がいくらでもありますから。あるいは、かの有名なパターソンフィルムみたいに「着ぐるみ」だったりして(笑)

実際の所、現在では日本狼=「オオカミ」=「ヤマイヌ」が通説になっていますしね。
まあ、でもロマンがありますよね。こういう話は。個人的には大好きですよ。
えーと、ま、一応シーボルト関連のお話なので、歴史の話題と言うことで(笑)
次回作?のタイトルは「鄭和とシーサーペントとニューネッシーと」です。
鄭和艦隊が航海中に捕獲した謎の海洋生物の正体は!?乞うご期待!←ウソです(笑)





#7651 
天軍 2007/06/13 22:39
「むう、これはまさしく日本の固有種…!」「な、何ぃー! 知ってるのかライデン!」


間違えました(笑)ライデンは博物館の名前です。館長の名前はテミンクですね。

ライデン博物館の館長テミンクはシーボルトから受け取った標本を全て「ヤマイヌ」(Jamainu)と認識し、1839年に日本の固有種の狼と分類してCanis hodopylax(カニス・ホドフィラクス)と言う学名を付けました。

ここでさらにややこしい事になるんですよ。「ヤマイヌ」にカニス・ホドフィラクスという学名を付け、それを日本の研究者が「日本狼」と和訳しちゃったもんですから。(初期はちゃんとヤマイヌと呼んでいたんですが)
本来の和名「ヤマイヌ」+「日本狼」と言う二重の呼び名が付いてしまったわけです。カニス・ホドフィラクスに。
で、ライデン博物館にある「日本狼」カニス・ホドフィラクスの剥製(シーボルトの送った「ヤマイヌ」)には「Jamainu」(ヤマイヌ)と名前が付いている。しかも、あまり狼らしくない「容貌」ですから。
まあ、それで良く「あれは日本狼じゃない!『ヤマイヌ』って記載されてるぞ!」って誤解されるようで。
これが日本狼と「ヤマイヌ」と「オオカミ」の区別をさらに混乱させる結果になっているんですよね。

で、テミンクは「オオカミ」(Ookame)と「ヤマイヌ」(Jamainu)は同一種である、と結論づけたんですが…シーボルトの主張と真っ向から対立しますよね、これは。
それでライデン博物館の3体の標本なんですが…専門家によれば明らかに3種類の別々の動物の物とされているんですよ、これが。

@全身骨格+頭骨A                              イエイヌの可能性がある。
A頭骨B                                   日本にも標本がある日本狼の頭骨と酷似。
B全身の毛皮(剥製)+頭骨(台座にJamainuと記されている)           シーボルトが送った物とされる。

これら全てをテミンクは同一の種、カニス・ホドフィラクスと分類したんですよね。そしてこれらの中のどれが「ヤマイヌ」でどれが「オオカミ」であるか正確には判らない。
それにシーボルトが送った「ヤマイヌ」の毛皮と「オオカミ」の完全標本、毛皮、全身骨格、頭骨がどれなのかも、やはり正確には判らない…
おまけにシーボルトが送ったのは2体。1体分の頭骨の出所が不明だ。
しかも毛皮は2体分送ったはずだ…
以下次号。




#7650 
天軍 2007/06/13 22:37
シーボルトと「オオカミ」と「ヤマイヌ」と

今回はちゃんとした歴史の話題をひとつ。ご存じシーボルトのお話です。
その前に少し。
ちょっとややこしいのですが、古来日本には「オオカミ」「ヤマイヌ」「イヌ」の3種類のイヌ科の動物が存在していたと伝えられています。
「イヌ」は要するに飼い犬、イエイヌの事ですね。で、問題は残りの2つで…かの「本草綱目」に記載されている「豺」(ヤマイヌ)と「狼」(オオカミ)ですね。で、日本狼はどれかと言うと…

・日本狼を「オオカミ」と「ヤマイヌ」の二通りの名で呼んでいた。
・日本狼を「オオカミ」と呼んでいた。
「ヤマイヌ」は野生化したイエイヌ=野良犬。
      ・イエイヌと日本狼の混血。
・イエイヌと違う別種のイヌ科の動物。
      ・想像上の動物。
・日本狼を「ヤマイヌ」と呼んでいた。
「オオカミ」はイエイヌと日本狼の混血。
      ・イエイヌと違う別種のイヌ科の動物。
      ・想像上の動物。

まあだいたいこんな風に解釈が分かれますね。もっとも日本狼を「オオカミ」「ヤマイヌ」の二通りの名で呼んでいたってのが通説なんですけど。

さてシーボルトの話に戻ります。今は廃刊になっていますが、新潮社から発刊されていた「SINRA」と言うネイチャー系の雑誌があったんです。その1996年1月号から1997年7月号まで山根一眞氏が日本狼について連載していました。
その中にシーボルトが「オオカミ」と「ヤマイヌ」を標本として本国へ送ったエピソードがあります。

ドイツのライデン博物館には3体の日本狼の標本があります。1体は剥製+頭骨。もう1体は頭骨のみ。最後の1体は全身骨格+頭骨。この中の剥製+頭骨がシーボルトが送った物とされています。

ライデン博物館にあるシーボルトの自筆ノートには、大阪でヤマイヌを購入。数年飼育。(毛皮はライデンに有り) 京都でオオカミを購入。殺して毛皮を得る。(難破事故で紛失) 大阪でオオカミを購入。1828年まで出島で飼育。という趣旨の内容が記載されてます。
このようにシーボルトは在日中に「ヤマイヌ」1頭に「オオカミ」2頭を入手したわけです。そして明らかに「オオカミ」
と「ヤマイヌ」は違う種類だと判断しているんですよ。シーボルトの助手で画家のド・ヴィルヌーヴによって描かれたこの2種のスケッチが残されているんですが、明らかに頭部の形状が違うんですね。「オオカミ」の方は口の尖った面長で一般的な狼と同じような外見なんですが、「ヤマイヌ」の方はもっと口が短くて一見、狼と言うよりもイエイヌみたいな外見なんですよ。つまりこれが日本狼らしいんです。ライデン博物館にある日本狼の剥製もこちらに良く似ているんですよ。

そしてこれらを帰国時に標本として持ち帰ろうとするんですが…ご存じシーボルト事件が起こって大混乱になってしまいます。で、助手のビュルガーがシーボルトが日本から追放された後、残された資料や標本を整理して1834年に出島から本国へ送るんですが…この時の送付リストに無かったんですよね。「オオカミ」と「ヤマイヌ」の標本が。つまり混乱の中で紛失しちゃったようで。

ところがライデン博物館には3体の標本がある。少なくともその中の1体の標本(剥製+頭骨)がシーボルトが「毛皮はライデンに有り」と記述した「ヤマイヌ」のもの。つまりシーボルト事件の前に送っていた物だとされています。
そして1828年、やはりシーボルト事件の前に「オオカミ」1体分の完全標本(毛皮+完全骨格+頭骨)を送っていたらしい。これは1828年まで出島で飼育していた物と思われます。大阪で購入したヤツですね。つまり最初に「ヤマイヌ」の毛皮を。そして2回目に「オオカミ」の完全標本を送ったらしいんですよ。

ところがライデン博物館の方では「ヤマイヌ」の標本を2回を受け取ったと記録されてるんです。
1回目はシーボルトが送った「ヤマイヌ」の毛皮。
そして問題の2回目なんですが…ライデン博物館の館長のテミンクは「当博物館がビュルガー氏の世話で受け取り、ヤマイヌと言う名で送られてきた一つの完全な遺体」と記述してるんです。どうもこれが1828年にシーボルトが送ったとされる「オオカミ」の完全標本らしいんですよ。シーボルトが「ヤマイヌ」を2体購入した記録は無い。
どうやら「オオカミ」を「ヤマイヌ」と誤認したようなんです。
長くなるので以下次号。




#7649 
天軍 2007/06/13 22:27
おー面白そうですね。ご紹介ありがとうございます。

はじめましてモーグリさん。
はい「天軍」はハンドルネームです。わかりづらくてすいませんでした。
なるほど「浮かぶレーダー基地」ですか。確かにその発想は斬新ですね。後、大勢は変えられないのはわかっているが、少しでも“より良い方向”へ持っていこう、と言うのも良いですよね。
まあ私もありがちな「弱い物イジメ系」に辟易していただけでして。決してそうではない「きちんと作られた」作品を無視している訳じゃないんですよ。
半村良先生の「元祖架空戦記」戦国自衛隊は私のバイブルですし(笑)
占領地のインフラを整備しつつ勢力を拡大していく所をちゃんと描写してますしね。あの作品は。むしろ戦闘描写よりもそちらの方が印象に残りましたね。



#7648 
徹夜城(神保町を歩いてきた管理人) 2007/06/13 21:03
馬から落ちて試験に落ちて

 お、CGIは無事に動いてるようですね。移行したら障害が起こる可能性もあるとか言われてたんだけど、とりあえずサイト内の全CGIは無事に作動中。

>NFさん
 李舜臣が落馬で武科挙に落ちたという話はよく目にはするんですが、出典は知らなくって。彼が28歳(数えの)の時の武科挙のときのことだそうで、朝鮮王朝の武科挙のシステムはよく知りませんがこの時点でかなり遅いような気もします。騎射の科目の際に木に近づきすぎたために落馬し、足を折ってしまったという話です。もっともすぐに木の皮をはいで折れた足に巻きつけて試験を続行したという美談にもなってるんですが、この美談部分はあとからの創作かもしれんなぁ…と疑ってもいるんですが。結局その後32歳の時に合格しているそうですが、どちらにても「遅咲き」な人だったのは間違いないでしょう。
 よその国の話ですが、倭寇と戦った兪太猷とか戚継光ら明の武将たちも武科挙合格で軍人になるんですが、もそっと早かったはず。もっとも明の場合軍人は世襲職で「武科挙」もよほどのことがない限り受かるものだったという話もありますけどね。

 ちょいと検索で探してみたら、以下のようなブログを発見。

http://han533.enjoykorea.jp/tbbs/read.php?board_id=phistory&page=5&nid=81751

 ただしこれは韓国語を機械翻訳した文なのでところどころ誤訳してます。分かりやすいところで「馬(マル)」と「言葉(マル)」が以下のようにゴッチャに訳されたりしてます。

>不運にも馬に乗って走る試験で彼が乗って走った言葉が
>急に倒れるせいで落馬してしまった. 言葉によく乗る人
>でも仕方なく落馬する場合は多いが李舜臣は運輸荒しくも
>落馬しながらつい左側ダリビョが折れてしまった.

 まぁ、でもだいたいの話は分かると思いますよ。
 ここの文では李舜臣がなぜ武科挙を受けて軍人になったのかという推測もしてるんですが、武科挙を受けたのは結婚後で、妻の父、つまり「しゅうと」の薦めがあったんじゃないかという話を書いてます(あくまで推測ですが)。そこで

>20歳が以上過去も見ないでフリーターに過ごす壻李舜臣に
>かえって武科を見なさいと勧めたと見当をつけにくくない

 これ機械翻訳なんでしょうかねぇ…なんか「フリーター」ってあたりとかなぜかグサッと来るんですけど(爆)。
 「引きこもりニート」はともかくとして、その線で題材にすることは可能なんじゃないでしょうか(笑)。

 李舜臣ばなしの出典については鎮西大将軍さんに聞いたほうが早いかな。


>本日の神保町ウロウロ
 ルパン関係ではいろいろと収穫があったわけですが、資金面の問題から歴史関係は立ち読みのみにとどめました。前にもチラッとチェックした熊沢天皇ばなしにフリーメーソンが絡んでくる本とか、楠木正成・正行生存説の本とか(笑)。とくに後者はネタにできそうな気もしますねぇ。

 そうそう、原田実さんの「トンデモ日本史の真相・と学会的偽史学講座」はちゃんと買いました(笑)。




#7647 
モーグリ 2007/06/13 20:27
タイムスリップ物

天軍さんへ
モーグリといいます。名前は「天軍」さんでいいんでしょうか?

>“過去の世界に近代兵器を持ち込んで活躍する”パターンの作品
こういう作品は結構あります。変なのもありますが。
この手の作品は主人公や読者が歴史を知っているためにその後の展開が予想でき、過去での大きなアドバンテージになります。

>強力な現代火器でもって刀槍や弓矢で向かってくる敵をバタバタとなぎ倒すって言う弱い者イジメ的な構図なんですよ。
かならずしもそんな都合のいい展開のタイムスリップ物ばっかりじゃないですよ。

内田弘樹氏の「蒼空の盾」という作品はよくある「自衛隊のイージス艦1隻が太平洋戦争にタイムスリップする」という内容なのですが、タイムスリップした先は敗戦間近の1944年末の日本。しかも切り札の未来兵器「スタンダードミサイル」は最初のB29との交戦で全部使用してしまい、それ以後イージス艦の対空能力はゼロになってしまいます。最後はイージス艦を浮かぶ巨大レーダー基地にして航空管制で旧日本軍機を援護して東京大空襲を阻止する・・・という話です。
タイムスリップしても歴史が多少変わる程度(日本が局地的に善戦するだけ)で戦争の大まかな展開や日本の敗北は変わらないという設定ですし、後半で活躍するのはもっぱら旧日本軍の兵器です。既存のタイムスリップ物へのアンチテーゼ的な作品です。
過去の人間との連携も必ずしもスムーズではありません。日本本土を防衛する海軍航空隊と陸軍航空隊は主人公たちがいくら助言しても組織的な対立や面子にこだわって全然連携が取れません。自衛隊が「国民を守る組織」のに対して過去の旧日本軍が「天皇制を守るための組織(平気で民間人を犠牲にする戦法をやる)」である矛盾に主人公たちが悩むシーンは秀逸です。

軍事マニアにありがちな日本の兵器に対する軽蔑もありませんし、面白い作品です。ただ筆者が左翼を嫌っており(作中に中国や朝日新聞や左翼を酷評する場面がある)ここの掲示板では意見が分かれる可能性がありますが。



#7646 
徹夜城(管理人としては結構手抜きな管理人) 2007/06/12 23:02
あと1時間でというのもナンですが。

 こういうお知らせは早くやらなくちゃいけないんですけどね。今から書きこんでもどうかとも思ったのですが、いまこの瞬間に書き込みを始める人がいないとも限らない。いや、実は日の変わり目のアクセスが多いという事実もありますので。

 実はBIGLOBEのサーバーのメンテナンスの関係で、明日の0時から午後4時まで、我がサイト全体がアクセス不能になります。
 0時に間に合わないような書き込みをする方は、明日の夕方以降にしてください。

>NFさん
 毎度の感想どうもです。レスを細かく書いてると0時を過ぎちゃうから、挨拶のみ(笑)。



#7645 
NF 2007/06/12 22:40
その他感想

>「天軍」
李舜臣の描写を聞いていると、良い意味での韓国の変化の兆しを信じたくなりますね。しかし、李舜臣のダメ男時代について裏が取れる資料があれば御教示いただけないでしょうか。…「引きこもりニート列伝」のネタが(未発表の分を書き溜めてはいますが)尽きてきたので。でも彼の場合は単なる浪人だから当てはまらないか、残念。
>倭寇
要は、国家が政治的に混乱すると沿岸の人びとを把握し押さえる力がなくなるので政治的空白に乗じて沿岸の民が活発化し暴徒化する頻度も上昇する、というだけの話で日本・朝鮮関係ないと思ってたのですが。実際、新羅が衰退した9世紀には新羅沿岸の民が九州を襲撃して北九州・山陰・北陸が厳戒態勢をとったりしてましたし。最後の遣唐使(菅原道真によって中止になったアレです)はこうした動きに対して唐から外交的圧力をかけてもらえないか打診する目的もあったという説もあるようで。14世紀には日本が混乱していたのでかつて朝鮮>日本だった海民の流れが日本>朝鮮になった、でどちらも現地民に(商売で提携している)協力者がいたとするのが自然、と思うわけなんですが。李領氏が新羅末期の海賊などについてどう述べてるかは興味あるところです。
しかし、ネット右翼の動きも、戦前右翼と正反対なのが興味深いですね。海外拡張型だったのに対してどちらかと言えば自己完結志向。徳川期の「寛政三奇人」とそういう意味では近いかもしれませんね。愛国心を披露したり国防談義をしたり政府批判したり…。
>ローゼン閣下
>どーもキャラを作ってる気がして
これは同感です。ローゼンメイデン云々もどうやら噂を否定しなかっただけな感じが。しかしまあ、以前にも書きましたが政治家の大事な役目の一つは国民にビジョンを示して希望を与える事であり、これに関しては現在の政治家としてはやり手ではないかと。少なくとも「3つのJ」で日本イメージ改善というのは「美しい国」より余程具体的で魅力的だと思う次第で。「漫画・アニメなどの分野で日本のイメージアップの外交攻勢」は僕も大賛成です(麻生氏に期待する所以です。ただ、「良い文化」と「悪い文化」の区分がされるかもと言う心配はありますが)。僕は「現在オタク文化は日本伝統文化の正統な後継者」という主張を長らくしています。徹夜城様、時期が至れば共闘しませんか、なんて言ってみたりして(笑)。

>民本主義者様
お褒めに預かり、面映いです。今後もよろしくお願いいたします。

ところで、西欧風の人名由来の命名と日本風の地名や天候などの命名を止揚するとこうなるのかも。
http://www10.plala.or.jp/haruna/haruna/nayuki/nayuki.htm
元ネタが分かる人はどの位いるやら(苦笑)。

…それにしても、我ながらたまにはまともに締められないものか(苦笑)。



#7644 
NF 2007/06/12 22:12
史点感想をば。

>松岡前農相
安倍首相周辺って、確かに昔の摂関家みたいな感じですねえ。で、松岡さんがこれに使えてようやっと参議の地位を手に入れたばかりの成り上がり貴族、と。しかし、摂関家は皇室あってのものだったことを考えると万歳の「誤用」はやっぱり不味い気がします。

>義賊
考えようによっては、三国志の劉備主従や我らが「大楠公」だってその範疇な気がするわけで。国家権力の束縛から外れた「自由」な存在への憧れやにっくき(笑)国家権力を翻弄する様子に痛快さを覚えるのが「義賊」贔屓の根本にあるんでしょうね。そう考えると、一昔前のヤンキー漫画なんかもその系譜を引いているんでしょうなあ。で、彼らがただの悪人ではヒーローとして都合が悪いので彼らなりの「仁義」を弁えた人物とした、と。それが忠義であったり愛国心であったりすると劉備や正成、そして鄭成功やルパンだったりすると。
>仁義なき戦い
「もう、勝手にやって…(泣)」というのが保守の一人としては感想になりますかねえ。
>サミット
すっかり面子が増えましたねえ。「連合国」だった国連に旧同盟国が組み込まれ、西側首脳の集まりであったサミットに旧東側が組み込まれ…。こういうのを見ていると、世界は一つにまとまりつつあるのかな、と思ったりしますが日常のニュースを見ているとまだまだですなあ。



#7643 
徹夜城(レスのために睡眠時間を削るかのような管理人) 2007/06/12 00:30
いろいろレスその2

>天軍さん
 はじめまして!「天軍」さん…でよろしいのでしょうか?最初は投稿タイトルの書き間違えかな?とも思ったのですが、先ほどの書き込みを見るとやはりハンドルネームということでよろしいようですね。なお、元ネタとなった資料中の「天軍」というのは明の軍隊だったんじゃないかというのが通説のようです。
 「天軍」はいろいろな意味で僕も面白く鑑賞しました。オープニングで金大中・金正日会談の映像を見ているアメリカ政府関係者(CIAみたいにも見える)が「クソッ!」って机を叩いたりするでしょ。ああいうところに現在の韓国人の多くが持つであろう反米意識がにじみ出てますね。「グエムル」も怪物発生の原因が米軍基地にあったりしましたっけ。
 南北共同で極秘に核開発、しかもそれを持つことで「民族の苦難の歴史が終わる」とまで言い切る姿勢(「イスラエルがなぜ中東で存在できるか?それは核があるからだ」と言いますもんね)は日本人にはかなり抵抗がありますが、まぁ心理的にはわからないではない。歴史を見るとよそから攻められっぱなし、しかも現在分断状態なわけで。それでもさすがに映画中で核使用はしませんでしたね。

 そうした民族的感情とは別に、李舜臣がはじめ「ダメ男」で登場するのには韓国もスレてきたな、と思わされたものです。戦前において楠木正成を武田鉄矢に演じさせるぐらいの冒険でしょ(爆)。でも確かに史実においては落馬で武科挙に落ちるという大挫折をした人なんですよね。
 このダメ男が名将になってくれないと困る、と韓国軍人たちがビシビシ彼を訓練するシーンには大うけ(笑)。そのシゴキの前にちゃっかりメモ帳に名前を書かせ芸能人のサインをもらったかのごとくニヤける軍人さんにも大笑い。「長生きの秘訣を教えてあげましょう、露梁でね…」と言い出した次の瞬間何が起こるかもうわかりますし。
 あと、韓国軍人と朝鮮軍人の間で李舜臣像に微妙な差があることも注目です。北朝鮮の軍人が李舜臣について「あれは韓国の軍事政権が持ち上げたものだろ」というようなことを言いますが、実はかなり事実。それが「韓国映画」で出てきたことにも注目すべきなんですね。

 僕が見た李舜臣もの映像はTVドラマ「壬辰倭乱」ぐらいしかなくって…これの露梁海戦のクライマックスは泣けますよ!夜間の海戦で流れ弾が当たっても周りに「知らせるな」と言って剣を杖に座ったままゆっくりと目をつぶっていく李舜臣。日本軍を追い討ち撃破し、大勝利に沸く兵士たちがふと振り返ると、李舜臣はすでに冷たくなっていた。「将軍!」と泣き崩れる兵士たち。そこへ朝日が昇ってきて、哀しみのなか軍船は海を行く…なお、有名な亀甲船は最初のうちしか使ってなかったようで、そのドラマでも前半でしか登場しませんでした。


>ENさん
 素早くお読みいただきありがとうございます。松岡前農相、やはり死んだことでそれ以上の追及は結局出来なくなっちゃってますね。そういや「死人に口なしってことになってしまいますね」と厚生労働相が言っちゃってたような。


>viking0.5さん
 国定忠治といえば、前に「史点」ネタにした清水の次郎長の命日が明日とかで、例の「清水一家」のネックがあるため昨年やった次郎長イベントは中止になったと夕方の民放ニュースでとりあげられてました。
 国定忠治にしても次郎長にしても、はたまたネズミ小僧にしましても、実態を離れて「庶民のヒーロー」化する例は多いですね。こうした事例は日本だけでなく世界中に見られ、いわゆる「義賊伝説」の系譜があるのです。考えようによっちゃゲバラだってそんなもんかもしれません。ここで注目すべきは「実態は違ってた」という指摘もさることながら「ではなぜ彼らは史実を変えてまでヒーローとしてもてはやされたのか?」ということなんです。
 ちょうど昨日、録画でサム=ペキンパー監督「ビリー・ザ・キッド21歳の生涯」という映画を見まして。西部劇時代に名高い実在のギャングを主人公にしたものですが、このビリー・ザ・キッドも実像を離れて義賊伝説が一人歩きしたクチです。この映画は原題は「パット=ギャレットとビリー・ザ・キッド」であってあくまでこのもと友人の保安官と悪漢の追いかけっこが軸になってますが(むしろジェームズ=コバーン演じるギャレットの方が主役)、やはりビリーの「義賊伝説」発生の背景を説明しようという意図があったりします。


>小覇王さん
 吉田茂の孫もすっかりその気のようで(笑)、最近さかんに著書が出てますねぇ(笑)。宗教くさい「美しい」よりは「とてつもない」ぐらいのほうが分かりやすくて安心するのは確か。ただ麻生さんのオタクネタはどこまで本物なのか半信半疑でもあるんですが(どーもキャラを作ってる気がして)…それはともかく漫画・アニメなどの分野で日本のイメージアップの外交攻勢、ってのは実は僕も以前から似たようなことを思ってまして、この件に関しては僕にしては珍しく政治家の意見に賛同します(笑)。



#7642 
徹夜城(今日一日眠かった管理人) 2007/06/11 23:48
いろいろレスその1

 ここ3日ほど超多忙で…それでいてこっそり「史点」はアップしてましたが、あれは最後のネタ以外は全部とっくに書いてありまして、昨日帰宅後に即興で贋作サミットやってアップ後、バタンキューと寝てしまったものです。今日一日そんなわけでグッタリしており、レスが遅れてしまいました。多いので分割していきます。

>原田実さん
 情報あらためてありがとうございます。そうですか、さすがにチョウ=ユンファを押しのけるほどではさすがになかったですか。チョウ=ユンファは「赤壁の戦い」の周瑜役を「北京語の台詞練習が間に合わない」等を理由にドタキャンしたらしいのですが(まぁ真の理由は他にありそうな)、「亜州影帝」には、も少し役を選んでいただきたい気もしてます。
 「海賊選挙」の場面が「ワンピース」から拝借と言うかパクったというかの件は「アトランティス」の前例もあるからありえますね。

 選挙ではないのですが、実際の海賊たちもリーダーを決めるにあたっては意外に「民主的」手続きをしていた可能性はあると思ってます。やっぱり板子一枚下は地獄、の世界でリーダーには命を預けなきゃなりませんから、選ぶのは部下達、というところはかなりあったと思います。ま、陸の上の戦国武将なんかもある意味そうだったんですが。
 「国姓爺こと鄭成功の父親」と説明するのが僕としては歯がゆい鄭芝竜(僕に言わせると親父の方が凄い奴と思ってまして)が親分の海賊集団を引き継いで首領になったときにこんなエピソードがあります。親分がいなくなったとき同じぐらいのキャリアをもつ者が二十人ぐらいいたので、次のリーダー選びは「各自が瓶(かめ)を海の中に投げ込み、沈まなかったものを新首領とする」というやり方で決めることにしたんだそうです。やってみたら鄭芝竜の投げた瓶だけが沈まず、一同納得のもと彼が新首領に選ばれた、という逸話です。史実かどうかはともかくそういう逸話を書いている史料が存在します。
 なんか我が国の「くじ引き将軍」の話を連想しますが…ま、あれも実は「出来レース」だったんだろうと見る研究者が多いみたいです。


>viking0,5さん
 どこの海賊でも当然みんな船乗りでもあるわけで。同じ船に乗る以上一蓮托生、一致団結した集団行動が必須です。全く自由ではなくリーダーのもとに厳格な規律に縛られていたのが実態と思いますよ。そうじゃないのはやっぱり早く自滅したろうと思います。僕が調べてる後期倭寇も一隻に乗る数十〜100人ぐらいの集団でそのまま上陸して活動してまして、やはりかなり規律ある集団行動が見受けられます。
 「海賊」コーナーにもありますが、五島・福江島に旅したら地元の教育委員会が立てた「倭寇像」に、その集団行動を称えて子ども達に教えようとするかのような文章がついてて苦笑したものです(笑)。


>民本主義者さん
 いやぁ、凄いものをお知らせいただきありがとうございます(^^)。
 その本の著者・李領さんの本は大学院の単位のために書評させていただいたことがありまして…念のため書いておきますが、李領さんご自身は韓国から飛び出して台湾や日本で研究を進め、日本語で論文集一冊出したぐらいかなり優秀な方でありまして、研究姿勢自体は綿密かつ実証性を貫いている方です。書評で僕は批判はしましたが、うっかり気安く批判するのは難しい人ですね。こちらもかなり理論武装しないといけないタイプです。
 「俺たちゃ海賊!」の論文コーナーにアップしてある「研究ノート」のほうでこの方の研究とのカラミが少しあるんですが、僕はあくまで後期倭寇、中国大陸に向かった倭寇の事例を調べる立場から「多民族性があるほうが自然じゃない?」という意見を述べています。朝鮮半島に向かった前期倭寇については事例・史料にはまだまだ深入りしていないので直接的批判からは逃げたわけなんですけどね。
 ただ、あそこでも書いたように李氏の見解には最初っから「多民族性」そのものを否定してしまいたい、その目的のために論証をしている、という気配を強く感じてしまったのです。李氏の論文集は倭寇に限らず平安末からの日本と朝鮮半島の交流について論じてますが、日宋関係ばかりに目がいく貿易活動が実は高麗と日本の間でも盛んだったことを実証して両者の交流がかなり深かったことを描き出すんですが、こと「倭寇」になると途端に両者を隔絶してしまう。これは僕に言わせるとかなり不自然なことなんです。

 その記事でも出てきますが、「倭人」と書いてあるから日本人…という議論は日本ではもう通用しませんね。「倭」って何よ?ということを僕は16世紀倭寇史料で調べてみたんですが、かなり曖昧なもんだというしかありません。極端な話、海の向こう、日本がある方向からやってくればみんな「倭人」だという感じで。
 「高麗史」「朝鮮王朝実録」への不信感が…と言う話が記事中に出てきますが、日本の研究者の多くはそもそも「官製」の歴史史料というのは為政者側の政治的意図をたぶんに含むものと叩き込まれてまして、多少なりとも色眼鏡をかけて読むものです。そこいくとどうも韓国の研究者は書いてあることをそのまんま、しかも現代的感覚を交えて読んじゃう悪い癖が目立つ気がします。で、「倭寇」に済州島人や被差別階級などが加わっていたという話も(確かに事例は多くないとはいえ)その官製史料に出てくるわけですが、李氏はそれはごくごく例外としちゃうんですよね。
 あと「やっぱりそれを言うか」と思っちゃうのが日本の倭寇研究者の「多民族説」を「隠蔽したい心理」ととらえちゃってるところ。他の件で知人の研究者に聞いたことがありますが、この手の話をすると韓国側が何かと「勘ぐる」ことがよくあるんですよ。日本の研究史から言うとむしろ戦前とか、右翼系の方々の方が「倭寇」を純日本人集団ととらえて日本人の海外雄飛みたいに言ってた過去もあって、多民族説は民族主義へのアンチテーゼという面が強いんですけどね。もっとも僕がアップしてる倭寇ばなしをネットウヨ連中が引き合いに出して何か勘違いしてるのも見かけるからなぁ…

 民本主義者さんも「必見」とおっしゃるように、その「倭寇」のイラストはないですわなぁ…(笑)。単に日本の同時期の武者鎧をそのまんま描いただけじゃん(笑)。ま、中国の倭寇研究本でもそのレベルのことはままあり、先日見た「新忠烈図」の倭寇の親分もそんな感じでした。実際の「倭寇」を描いた絵画史料なんて「倭寇図巻」ぐらいしかないでしょうし、あれも目撃者が描いたわけじゃなさそうですし…
 ところで記事中に李領氏が倭寇の戦法が日本の南北朝時代の武士の戦法だ、って言ってる箇所がありますね。これ、実は楠木正成を代表とする「悪党」の戦法だ、って主張なんですよ。しかし「悪党の戦法」と言われてもありゃ要するに「ゲリラ戦」なわけで、僕に言わせりゃ「正規の武士」の戦法じゃないし、海賊である倭寇と似てくるのは当たり前、ととってます。まぁ深いところまで考察すれば、悪党や海賊らは根っこではつながっていて、だいたい南朝支持者ということは言えますが。しかし李領さんの描く倭寇像ってゲリラではなく本格的な日本武士の「戦争」というイメージなんですよね。

 ただ、前期倭寇の大発生の契機が南北朝動乱、それも特に混乱が拡大する「観応の擾乱」にあっただろうという見解は李氏に限らず日韓双方でほぼ共有されていると思います。とくに観応の擾乱をきっかけとして九州の動乱があり、兵糧米の調達の必要があって半島への略奪活動につながった、ということは真相と認めていいんじゃないかと。ただしそこから、実際に「倭寇」活動をやったのがどういう勢力であったのかは見解が分かれてくるわけです。



#7641 
天軍 2007/06/11 23:24
朝鮮王朝実録のあの部分

しつこく天軍ネタで恐縮です(笑)
作中で北朝鮮将校を演じていたキム・スンウさんのファンの方のサイトに、朝鮮王朝実録の例の箇所が掲載されていました。とっくにご存じかもしれませんが一応。
http://park16.wakwak.com/~hotaru/top.htm
Web翻訳ですが大意は何とか読み取れます。読み取ってください(笑)

「ミンズンギ 監督は “外敵大将 ピョングスがは 無理を 導いて 宗廟で 入って行ったが 夜ごと ‘身柄(神兵)’が 現われて 攻撃する せいで 敵方は 驚いて お互いに 刀で 打ってから 視力を 失った 自家 多かったし 死んだ 子道 多かった”と 書かれて ある 朝鮮王朝実録に」

まあこの文章が朝鮮王朝実録の原文をそのまま現代語訳したものか、あるいはその内容を要約したものか判断出来ませんが、一応額面通りに受け取っておきます。
この朝鮮王朝実録の記述が“ある程度の事実”を含んでいるとしたら以下のような解釈が出来ます。

・女真族の戦闘部隊に継続的に夜襲をかけた武装集団が存在した。
・夜襲の効果は高く、女真族の戦闘部隊はパニックに陥って同士討ちをするなどして  多数の死傷者が生じた。
・その武装集団は夜襲を主に行なった点から判断すると少数兵力だったと思われる。
 (少なくとも昼間、正攻法で戦いを挑めるだけの兵力を有してない。)

さて、問題の「武装集団」の正体ですが…まあ、明軍とされているにせよ、以上の点から判断すると女真族と比べて極めて小数兵力だったと推測できます。
と、なると明軍ではなく「地元の有志」が集って結成された可能性もあるわけで。
また、可能性は極めて低いと思われますが未来からタイムスリップして来た南北コリアの特殊部(以下略)

後、刀槍や弓矢などの武器しか装備していなくても、夜間戦闘においては“同士討ち”が多発するものなんですね。
まあ考えてみれば「暗くて敵味方の判別が難しい」と言う状況ですから。当たり前と言えば当たり前の話なんですけど。
グサッ!「ぐわー!」「ん!? あ、やべっ こいつ味方じゃん!」ドスッ!「うげッ! お、おい…俺、味方だって…」バタッ… 
まあこんな感じでしょうか(笑)



#7640 
小覇王 2007/06/11 20:51
今太閤も今は昔・・・

 史点、読ませていただきました。松岡農水相の自殺でただでさえ、文句の多かった、赤坂の議員宿舎は完全にけちがつきましたね。ただ、部屋割りは議員の希望が通らないそうで、後になると自殺現場の部屋が割り当てられる可能性が高くなる、とやらで逆に入居を急ぐ議員が増えているとかいないとか。
 まあ、もう僕の中では安倍総理はおわっているので、じゃあ次はということになると世間では麻生氏ということになっているようですが、この人、オタクに理解があるとかで人気があるし僕も、決して嫌いではないのですが家柄だけなら安倍さんよりもすごいんですよね。吉田茂の孫、と紹介されることが多いけど、大久保利通の子孫でもある。んでもって、安倍さんとも実は遠縁になる。なんか平安時代の摂関政治を思いだいますね。21世紀なのに・・・松岡農水相の死も時代だったら祟り神になるような。小泉院政とかとても民主主義の国とは思えませんな。とはいえ、民主主義の総本山アメリカもブッシュ家とクリントン家で大統領の椅子を占有してるような状態ですからね。

 国定忠治のことは良く知らなかったのですが、子孫の遺恨が現代まで続く、というのは徹夜城さんも例に出してましたが、やはり僕としては会津と長州を思い出してしまいます。でも前にも書きましたが、仲良くするばかりが町おこしではないので(というよりここまできたら後には引けないでしょう)このまま互いに敵対しつつ、発展していってほしいものです。ちなみに会津で最近起きた事件について戊辰戦争との絡みで唐沢俊一氏と村崎百郎氏がこんなことを、ほぼ、僕の言いたいことを言われてしまいました。

http://www.shakaihakun.com/date/vol065/main03.html



#7638 
viking0.5 2007/06/11 12:26
国定忠治は

国定忠治は義侠ではないと思います、この前、北野たけし監督の座頭市
という映画がやっていましたが、あそこで出てくる冷酷無比の
女衒と盗賊と博徒の元締め、あんな印象が一番ちかいのじゃないかと思います。
ちょっと前にNHKの元・会長が辞めるときの捨てセリフに国定忠治の
劇セリフを引用して、なんか、あたかも偉人みたいにいってましたが
史実の国定忠治の行動跡は、関東北部一帯を荒らしまわった盗賊頭
といった感じで、じっさい彼の関与で殺害された人数の多さは虐殺規模で
押し込み強盗で全員殺された村もあったとか
たぶん比較的、治安が良かった江戸時代において彼は最多殺人数の
犯罪者ではないかと思います。
なぜ、こうゆう殺人鬼のような人物がいまでも人気があるのか
よく分かりませんね。ネズミ小僧みたいに貧民に恵んでやっていた
わけでもなかったし(ネズミ小僧も実際は小判ばらまきはしてなかった)




#7637 
EN 2007/06/11 10:09
松岡農水前大臣自殺の波紋

史点早速読みました。松岡前大臣の件ですが、遺書に書かれてあった「安部総理 日本国万歳」はたしかに安部総理を皇族に例えているような気がしました。これを本当の侍だという人がいるようですが、疑惑だらけの人物を侍にするというのはちょっとどうかです。



#7636 
天軍 2007/06/10 14:04


はじめまして
歴史 映画でググって管理人さんのブログに辿り着きました。はるか大昔の話題で恐縮なんですが(笑)“韓国版戦国自衛隊”「天軍」の件です。
つい最近レンタルしたんですよね。たまたまレンタル屋で目にとまって。
あーそういや、かなり前に公開されてたよな。何か南北朝鮮の特殊部隊がタイムスリップしたどーたらこーたらとか言う…まあそんな感じでレンタルしてみたら見事にツボにはまったんですよ(笑)
新旧二作の戦国自衛隊や一連の火葬戦記ものなど“過去の世界に近代兵器を持ち込んで活躍する”パターンの作品は映画、小説を問わず結構あるんですが、結局これってスーパーヒーローものなんですよね。要するに超能力などの「物凄く大きなアドバンテージ」を持って戦いに挑むって奴で。
強力な現代火器でもって刀槍や弓矢で向かってくる敵をバタバタとなぎ倒すって言う弱い者イジメ的な構図なんですよ。
あるいはファイナルカウントダウンみたいにジェット戦闘機VSレシプロ機とか。
まあ天軍も同じ構図だと言えばそうなんですけど。ただ、決定的に違い、そして個人的にツボにはまった点が「自己犠牲の精神」と言う要素なんですよね。
侵略の犠牲になっている民衆の為に、現代へ帰れるチャンスに背を向けて過去に残る。
クライマックスの女真族との決戦で、敵の大群の前に弾薬が尽き、「超能力を失ったスーパーヒーロー」になってしまうんですが、「だからどーした、ここが俺たちの死に場所だ!」と、ばかりに弾切れの自動小銃に銃剣を装着して突撃する。
これが戦国自衛隊なんかだと「やべーよ、弾切れだよ、うわーまだ敵があんなにいるよ!」ってなりますから(笑)
李舜臣を守り、祖国を侵略から守る為に自分を犠牲にするって所がやっぱりカッコ良いんですよ、これが。
しかも、南北の政治体制の違いを超え、同じ民族同士団結して、と言うシチュエーションまで加わってるからもうたまらない(笑)
「愛国心モード全開」な構図なんですけど、やはりこの「自己犠牲の精神」と言う要素を前面に押し出す事によって普遍的なエンターティメントになってるんですよね。実際、「他国民」である私も無茶苦茶燃えましたし(笑)
おかげで強引な設定や、あまりにもお約束のパターンの展開もそんなに気になりませんでしたよ(笑)
そういえば「七人の侍」と同じような構図ですね、これ。一般人に協力して共に敵に立ち向かう戦士って所とか。
ところで鳴梁海戦って実際の所、どうだったんでしょうね。ウィキペディアでは映画で描かれているような解釈はあまりにも誇張しすぎている、という趣旨の内容でしたが。
まあ、この映画を見るまでは「李舜臣=亀甲船とかいう軍艦に乗って秀吉と戦った朝鮮の将軍」(笑)レベルの知識しかありませんでしたので…
後、確かに日本サイドから見ると時期的にヤバイ設定でしたよね…南北共同でこっそりと核開発。あ、やべ、バレちゃった!ってのは(笑)



#7635 
民本主義者 2007/06/10 01:20
速報!長文失礼

韓国の新聞・朝鮮日報の書評記事です
http://www.chosunonline.com/article/20070609000040
「「倭寇は日本版アルカーイダ」(上)
【新刊】李領著『忘れられた戦争・倭寇』(エピステメ)」
「「倭寇が貧しい漁民や商人出身の人々で構成されていたという見方は間違っている。彼らは非常に専門的な武士集団であり、現代のアルカーイダとよく似たテロ組織だった」
「韓国放送大の李領(イ・ヨン)教授(日本中世史専攻)が最近著した単行本『忘れられた戦争・倭寇』(エピステメ)は、倭寇を専門的に取り上げた韓国初の研究書だ。われわれは倭寇を「高麗時代と朝鮮時代に数多く出没した日本の海賊集団」と認識しているが、韓国学会の関心は相対的に低かった。それはなぜだろうか。
 李領教授は、その理由を「倭寇は根本的に日本史の産物であるため、被害者側の韓国や中国では忘れられた存在となった。そして、その一方で、加害者である日本が倭寇研究を主導することになった」と説明した。
 しかし、日本の研究結果は、われわれの立場からすると相当意外な感を受けるものだ。1980年代中盤以降、田中健夫、高橋公明などの研究者らは、14世紀から15世紀の「前期倭寇」について、「日本人・高麗人・中国人をはじめとした多国籍の民で構成された海賊集団」との解釈を打ち出している。
 こうした説について、李領教授は「自分たちの祖先が海賊行為をしたという事実を隠ぺいしようとする心理や、『高麗史』『朝鮮王朝実録』などの韓国側史料に対する不信に加え、“国籍と民族の枠を超えて歴史を眺めよう”という当時の西洋史学界の風潮が重なった結果、このような解釈が生まれた」と説明した。
 しかし、「倭寇の構成員が日本人であったというのは疑いようのない事実だ」というのが李領教授の見解だ。教授の説明によれば、日本側の主張は、禾尺・才人など高麗の賤民らが“偽装倭寇”として振る舞った記録を根拠としているが、それは例外的な事件に過ぎず、当時のあらゆる正史と文集には倭寇は「倭人」と記録されているという。」

http://www.chosunonline.com/article/20070609000041
「「倭寇は日本版アルカーイダ」(下)
【新刊】李領著『忘れられた戦争・倭寇』(エピステメ)」
「李領教授は、倭寇を(1)1223年から1265年の「13世紀倭寇」、(2)1350年から1391年の「庚寅年以降の倭寇」、(3)1392年から1555年の「朝鮮時代倭寇」の3つの時期に分類した。このうち、(1)と(3)の時期は襲来の頻度が低いが、(2)の時期には40年間に何と591回もの侵略記録が残されている。なぜ、この時期にこれほど倭寇の襲来が多かったのだろうか。
 それは同時期の日本が南北朝時代の戦乱期にあったためだ。特に九州地方は、土豪勢力の少弐頼尚と移住してきた武士勢力との間に軍事的対立が発生し、少弐配下の軍兵が軍糧米や物資を得るため高麗に侵攻した。この「熟練武士集団」がまさに倭寇の実態だったというわけだ。
 当時倭寇は、およそ数十人から数百人で構成された複数の集団が地方に上陸した後、内陸に迅速に移動し、略奪を終えると討伐隊が到着する前に撤収したとされている。倭寇が「三面を絶壁に囲まれた場所で、刀や長槍をハリネズミの毛のように立てて抵抗した」という記録があるが、これは南北朝時代の侍たちの戦術と同様のものだ。そのため、「高麗朝廷が漁民や商人で構成された海賊集団すら防ぐことができないほど無能だった」という見方は間違ったものだと李領教授は主張している。
 また、李領教授は「1380年の李成桂(イ・ソンゲ)の荒山大捷は、重装甲騎兵らで構成された倭寇を相手に決定的打撃を与えた非常に重要な戦闘だった。記録や現場を綿密に分析した結果、“孫子の兵法”の内容がそのまま応用された卓越した戦闘だったことを確認した」と説明した。」
(引用終了)

いや〜高く評価していただいてありがたい、と言うべきか。
「下」には当時の倭寇の装束が紹介されており、必見です。
どう考えてもこれは倭寇ではないだろう。こんなデカい金のクワガタは船の中で邪魔になるだけだぞ!

「倭寇の構成員が日本人であったというのは疑いようのない事実だ」
「当時のあらゆる正史と文集には倭寇は「倭人」と記録されているという」
このサイトに喧嘩を吹っかけているみたい(笑)



#7634 
民本主義者 2007/06/10 00:01
蒋介石は自国でやってただけまだマシか

NF様へ
「蒋介石本紀」結びを拝読したしました。私の酔狂にお付き合いいただき恐縮です。司馬遷は意外にあちこちをフィールドワークした上で『史記』を書いているという歴史学的事実と、ご自身の旅行体験をからませるとは見事です。

唐突ですが、私はゲバラ関係の本も映画も見たことがありません。
いまいち嫌いなんですよ、ゲバラって。彼はキューバ革命の英雄ですが、本人はアルゼンチン人でしょう。つまりゲバラは「押しかけ革命家」なんですよ。世の中には色々とはた迷惑な人は多くいますが、「押しかけ革命家」くらいはた迷惑な存在っていないと思います。近代日本が朝鮮や中国に多くの「押しかけ革命家」を輩出し、大東亜戦争もまた、大迷惑をかけた「押しかけ革命」だったという点を、ゲバラ賛美派日本人は忘却しているように思います。



#7633 
viking0,5 2007/06/09 09:06
カリブの海賊は

創作で、けっこう開放感のある活劇ふうな面々に描かれることが多いですが
新大陸の海賊は、戒律の厳しい厳格な階層だったとか、それと
英国など取り締まる側も海賊は全て死刑、と海賊という稼業が決して
気楽な仕事ではなかったようです。
むかしの軍隊みたいに女人禁制でもあったようですが
それでも史実にカリブの女海賊はいたそうで、アン・ボニ−と
メアリ・リ−ド
この2人も最後は当局に逮捕され死刑判決になりましたが
妊娠していたので刑の執行が延期され獄中で病死したそうです。



#7632 
原田 実 2007/06/09 08:57
海賊王誕生

ええ、某所にて誤解を与えてしまったようで・・・
サオ・フェンは前半、重要な役どころで出番も多いですな。
チン夫人は海賊会議でけっこう目立ってはいますが、セリフも少なく
中国海賊ファン以外には印象に残らないかも・・・

海賊会議に集まる親分どもは一目で縄張りがどの辺かわかるような装束
(こいつはスペイン沖、こいつはマダガスカルあたり、こいつは南インドという具合)。それぞれのバックグランドを想像する楽しみはありますね。

で、懐疑の行きがかり上始まるのは海賊王選挙。
へー、海賊王は選挙で決まるのか・・・
ディズニーのスタッフ、日本のコミックを参考にしていそうですね。


http://www8.ocn.ne.jp/~douji/


#7631 
徹夜城(また贋作サミットを書かなきゃいけない管理人) 2007/06/08 22:44
海賊大集合

>あがたしさん
 その「筆洗」はすでに読んでたんですが、まさか自分に執筆者疑惑がかかろうとは(汗)。「筆洗」書かせてもらえるなら「史点」なんてヒマなことはしてません(笑)。
 自分とこで書いたことで「パクられた!」と確信したのは歴史映画を集めたのとある本のとある部分でありましたね。まぁ僕も史点その他であっちゃこっちゃからパクりまくってるわけですが(笑)。それでも多少「料理」はしてるつもりです。

 「パイレーツ・オブ・カリビアン」は海賊史専攻としては気にはなりつつ一本も見てないんですが(あくまでディズニーランドの「カリブの海賊」がネタだからなぁ)、今回の世界の海賊大集合だけは気になりましてね。チョウ=ユンファも南シナ海の海賊役で出てるでしょ。もっとも聞いたところではチョウ=ユンファよりも「チン」という広東の中年女海賊のほうが出番が多いそうで…これって、以前ここで話題にした「鄭一嫂」がモデルだと思うんですけどね。ヨーロッパじゃ結構有名のようです。
 「筆洗」も言うようにそれなら日本海族も…と思いたいとこなんですが(筆洗記者も「倭寇」と言わないところはわかっているようですね)、近い時代で有名どころがいないんですよね。倭寇にしても有名どころは中国人ばっかりで、日本人は助っ人かせいぜい副将でしか確認できない。そういうところには何となく日本人の「個人より集団」な性格が…とか書くと新聞コラムっぽくなってくるでしょ(笑)。一見関係のない話に関連を見つけるとコラムが一つ出来上がります。

 気候変動と海賊の数…って、そもそも世界の人口自体がその時期急激に増えてますしねぇ。その件はジョニー=デップさんのほうに聞いてみてくださいな(笑)。

 訪問客が少ないんで、以下宣伝(笑)。
 怪盗ルパンコーナーで「813」解説コーナーを一昨日アップしてます。あくまで「813」の前半のみなんですけどね。これが後半になりますとドイツ皇帝ウィルヘルム2世が登場して一気に「世界史の中のルパン」な話になっていきます。
 おっと、あくまでネタバレ解説コーナーですので、未読の方は小説の方を読んでからにしてください。



#7630 
あがたし 2007/06/08 10:07
世界の果ての日本人海賊?

東京新聞のコラム「筆洗」(2007.06.07)に,さきほど公開されたパイレーツ・オヴ・カリビアン3のことが出てきていまして,

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2007060702022329.html

>映画ファンとして寂しいのは、この大航海時代に
>活躍する伝説の海賊たちの中に、日本人が
>含まれていないこと

だなんて,まるで徹夜城さんが書いたんじゃないか(笑)という内容がありました.そしてさらに,このコラム自体が(贋作じゃないけど)サミットのことを扱ったものであり,とどめとして文末には

>島根県の石見銀山がことし、世界遺産登録から漏れたのはそのせいかも

と,「筆者は”史点”を読んでいたんじゃないか?」と思えなくもない(ないか)文でコラムを締めていることから,徹夜城さん筆者説がわたくしの頭の中では急上昇中です(笑). 

また海賊といえば,1820年以降,地球の平均気温と世界の海賊の総人数が見事な相関(逆相関)を示しているという(その道では)有名なグラフがありまして
http://www.venganza.org/about/open-letter/
過去の海賊世界に通じている徹夜城さんは,ジョニー・デップとならんで,地球の気候変動について何か重要な鍵をお持ちではないかと疑っている次第であります(笑)

なお,このコラムは2ちゃんねるのまとめサイトにも出てきていました:
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/985635.html




#7629 
NF 2007/06/08 01:23
「蒋介石本紀」結び

「NF曰く。十年以上前、台北の記念堂を訪れた事がある。案内人がこの巨大建造物は蒋のエゴの産物に過ぎないと吐き捨てていたのが印象的であった。思えば、蒋介石は未曾有の危機の時代において内には兵乱を平らげ外には夷を以って夷を制する事で国を守り抜いた。創業の君主としては文句の付きようのない業績といえるし、真に一代の英傑である。しかしながら、長きに渡る兵乱で国家を疲弊させ人心を失い晩年には劣勢を跳ね返そうとの焦りからか強権を振るい、暴君として汚名を残した事は惜しまれる。好敵手であった毛沢東ともども、英雄が終わりを全うし得ないのは悲しむべき事である。」
こんなところでいかがでしょうか。

>マルクスの恋人様
>ゲバラ
個人的には、SNKのあの名作ゲームをハードは何でもいいですし下手なリメイクもいらないのでまた出して欲しい。あと、ゲーム音楽のサウンドトラックもあると嬉しいですが。
あ、でもKOEI辺りが「キューバ無双」でも作るのならリメイクも悪くないかも。
>「ベルサイユのげばら」
すみません、長谷川哲夫先生の画でしか想像できなくなってしまった馬鹿がここにおります(汗)。やっぱりゲバラはサングラスかけてるんだろうか。

>坂東α様・徹夜城様
そこです、僕が見たサイトは。ネタとしては純粋に面白かったので細かい問題はすっ飛ばして読んでいたのですが…。やっぱり思想関連は分かってるようで分かってないなあ、私は(汗)。この人の著作を見ている限り、「社会に抑圧された人びとが如何に救済されうるか」という命題に取り組んでいる感じはするので(性愛関係に絞って話を単純化し過ぎているところやネット社会への過大評価など気になるところはありますが)、マルクス思想などとも割に相性がいいんじゃないかと思ったんですが。



#7628 
徹夜城(メンズデーを利用して映画をよくみる管理人) 2007/06/07 23:56
ゲバラ焼肉のたれ

>マルクスの恋人さん
 こいつはやられました(笑)。確かに「ゲバラ」って名前が怪獣みたいであります。なお、その映画「ゲバラ!」はビデオカセット版およびDVDでは「革命戦士ゲバラ!」というタイトルになってまして、ガンダムみたいでもあります(笑)。
 以前「ゴジラマガジン」で「ゴジラ対メカ若大将」って漫画があったなぁ(笑)。

>坂東αさん
 ご紹介のサイト、そういえば以前検索でひっかかって読んだような覚えが…ただざっと読んでみてマルクス主義と史観の説明について少々ひっかかりも感じましたけどね。
 僕もマルクスは「資本論」なぞまともには読んでおらず、各種の文献から間接的かつ大雑把に理解してる程度ですが、聖書知らずのキリスト教徒がいっぱいいるのと同じで、実はよく理解もしないで「マルクス主義者」を称してた連中はいっぱいいました。そもそもマルクスにしてみれば資本主義化したかどうかすら怪しいロシアや中国ましてや北朝鮮で「社会主義国」ができるなんて想定もしてなかったでしょう(革命をやっちゃったレーニンですらそうだったみたいですが)。そもそも彼が考えた理論もアジアにおいては適用されないようなことをどっかで言ってたような記憶が。中国見てるとこれから資本主義化して、そのあと矛盾の蓄積によりホントに社会主義革命になったりするのかも(笑)。

 白土三平は父親がプロレタリア画家でしたし唯物史観・階級闘争史観には早くからなじみがあったとは思いますが、それを教条的に唱えるのではなくあくまでエンターテイメントに昇華させたところが凄いんですよね。また、そのむかしの社会主義思考では「偉大な人間が自然を克服する」と考え自然改造なんかを実行する傾向が強いのですが、白土氏は少年時代から自然愛好タイプだったようで、そのことが作品中でも人間をあくまで大自然の中の動物の一種として見立てる語り口を生み出し、単純なマルクス史観とも異なる独特の境地を開いていたと思ってます。
 それにしても…「カムイ伝」はやっぱり「未完の超大作」のままなのでありましょうか…最近「全集」が出たから「第二部」をようやく読み通したんですけど、あれからもう何年も放置状態。それでいてインタビューを読むとまだやる気はあるらしんですけどね。ご兄弟そろってすでに高齢なので難しくなってきてるとは思いますが。


>本日の映画。
 今日は劇場で「女帝エンペラー」を見てきました(原題は「THE BANQUET」。「女帝」なのに「エンペラー」って…)。チャン・ツィイー主演の時代アクション。まぁ「グリーンディスティニー」とか「LOVERS」「HERO」の路線でありまして、「歴史映画」としてはそれほど期待してませんでした。そもそもシェークスピアの「ハムレット」の翻案です。黒澤明の「蜘蛛巣城」「乱」あたりを念頭に置いてる気もしました。前皇帝の着ていた鎧がそのまんま日本の戦国甲冑だったりしますし。
 ただ時代設定が「五代十国」であるのは異例です。唐が滅んで中央で王朝交代が激しく行われたこの時代が「ハムレット」移植には都合よかった…のかな?登場はしませんが北方の隣国「契丹」と交渉しているくだりもあります。
 映画としてはとにかく綺麗きれいキレイ…と淀川長治氏のように連呼してしまうような出来。ユエン=ウーピンが監督した剣戟シーンはワイヤーアクションの極地に達し、ほとんどバレエのよう。重力無視で宙を舞う姿に「そんなバカな!」とツッコミを入れてはいけません(笑)。



#7627 
坂東α 2007/06/07 14:33
真のマルクス主義漫画は、これだ!

本田透師の白土三平評はこれですね
http://ya.sakura.ne.jp/~otsukimi/hondat/view/maru.htm
確かに、22世紀なら共産主義でもいけるかもしれん(笑)天気まで操作出来るし。





#7626 
マルクスの恋人 2007/06/07 06:33
ゲバラ対メカゲバラ

地球征服をあきらめない陰謀集団「ネオコン」の執念は、ついに破壊ロボット兵器メカゲバラを造り上げた!
地球を襲うかつてない最大の危機に、もう一度立ち上がれ! そして闘え! ぼくらのチェ・ゲバラ!!
同時上映「ベルサイユのげばら」


観てみたいよー、誰か創ってくれー。



#7625 
徹夜城(明日は劇場まで映画を見に行く予定の管理人) 2007/06/07 00:21
チェ!

 いきなりそのタイトルはなんだ、という話ですが、かねて見たいと思っていたオマー=シャリフ主演の米映画「ゲバラ!」(原題「CHE!」)を見ることが出来たんです。つい先日秋葉原によったらDVDを発見、つい最近60〜70年代シリーズの一本として初のDVD化となっていたようです。

 公開年は1969年。チェ=ゲバラ本人の死後わずか3年というスピードで製作されたわけです。映画はゲバラの死後、彼についての目撃談・回想を関係者が証言していくというドキュメンタリー・タッチ形式になってますが、もちろん全て俳優による演技です(「レッズ」もそういうつくりでした)。ゲバラの生涯はいきなりキューバ上陸から語られ始め、キューバ革命の成功、キューバ危機、そしてボリビアでのゲリラ活動とその最期までをかなり淡々と描いていきます。
 ボリビアで理念と現実とのギャップで精神的にも肉体的にも追い詰められていくゲバラの描写が実に丹念に描かれていて見所なのですが、キューバ革命に至る過程がカット、革命を描く前半がやたら駆け足のためバランスが悪い気もします。まぁこれはゲバラ人気にあやかって20世紀フォックスが作っちゃったけど、政治事情もあってあまり反米的にとられそうなところは避けて通ろう、という空気も見受けられます(むしろゲバラの反ソ的要素を大きくしてるような)。

 ゲバラを演じたのはエジプト出身、ロシア人でもドイツ人でもモンゴル人でもなんでもござれ(笑)のオマー=シャリフでありますが、メイクでそこそこ似せております。ま、少なくともロシア人よりはサマになっているかと。しばしば起こす喘息発作の演技などは僕も喘息もちなので見ていて辛かったりして(汗)。
 先日映像が出て健在をアピールしたばかりのカストロを演じているのはジャック=パランス。代表作はやはり「シェーン」のカタキ役ということになりますか。意外に良く似せてまして、若いころのカストロの雰囲気はよく出ています。カストロとゲバラの別れのシーンなんかは史実としては当人のみぞ知る現代史の謎の名場面だったりするので全くの創作になってますが、結構泣かせるシーンです。
 時間が短い(96分)せいもあるんですが、ゲバラが冷徹・強硬な自滅ゲリラ指導者だけにしか見えない。それ以外の要素も入れようとしているしオープニングも含めて「革命児サパタ」チックな線を狙おうとしたフシもありますが、やはり時代が近すぎたのがネックになってるような。
 ゲバラの青春時代を描いた「モーターサイクルダイアリーズ」はまだ見てない…。そして先ごろ二部作の大作として「ゲバラ」映画化が報じられてますが、ゲバラって世界史において一番近い時代の「英雄伝説」になっちゃった感もあります。


>NFさん
 たくさんの史点へのレス、どうもです。とりあえず話を絞りましてレスへのレスを。

>つまり、国家の成熟度としては「大日本帝国」レベルからまだ抜け切れて
>ないわけですな。
「大日本帝国」なき今(無いんでしょう、一応。前農相も「日本国」だったし)、国名に「大」を冠してるのは「大韓民国」だけだったりしますし(笑)。「大韓帝国」としたときは「大日本帝国」「大清帝国」が存在していたのでバランス上問題なかったわけですが、なんとなく流れで使い続けてしまってるような…なお、中国で日本を「小日本」と蔑称することがありますが、これも案外「大日本」を念頭に置いてる気がします。

 白土三平氏に関してですが、「カムイ伝」やってるあたりから内容的にも単純な唯物論・マルクス思想からは離れていってますね。それもまた時代の変化と連動したものでしょう。
 「史点」では長くなるんで引用を避けたんですが、「カムイ外伝」の第1話「雀落とし」のラストで「新中国ではこの方法で一年間に11億6千羽のスズメを駆除した」というくだりがあります。これ、まさに毛沢東の「大躍進政策」で行ったもので、白土三平はサラッとではありますが肯定的にそれを書いています。しかし映画「覇王別姫」で知られる陳凱歌監督はこの駆除作戦を子ども時代に体験して非常に批判的に回想しているそうで、四方田犬彦氏は「白土三平論」でこの話を「新中国」が日本の多くの人に希望の星となっていた時代(具体的には文革激化前)のエピソードとしてさりげなく記していました。

 毛沢東の革命戦略はおよそ「マルクス・レーニン」的ではないんですよね。長征のあいだもソ連派の連中とずいぶん路線論争をやってましたが、結局は毛沢東のやり方が「成功」した形になります。毛沢東のマルクス主義理解もかなり「伝統中国的」なものだったという話も大学の近代史ゼミで議論したことがあります。
 毛沢東は天下をとると歴史上の農民反乱のたぐいを全て「起義」として高く評価する大逆転を行ってます。だから中国で作ったドラマ「三国演義」は黄巾の乱をあくまで「起義」として描き、原典にあるような「邪教の反乱」めいた表現はいっさいカットしてるわけです。しかし最近では法輪功とかその他の宗教団体がまた似たような動きをしているわけで、まぁ歴史は繰り返してるな、と思うわけです。



#7624 
NF 2007/06/04 00:50


>民本主義者様
お気に召したようで、何よりです。「太史公曰く」以下ですか。うーむ、やってみたいのですが手元に「史記」がないものですぐと言う訳にはいきませんが、いずれはと思ってます。…僕自身の史眼が問われそうで少し怖いですけどね。



#7623 
NF 2007/06/04 00:38
続きです

>ついでに言えば大昔からそうなので、僕などはそれで特にこの国が危ないとも感じない
現代中国に危機の兆しを読み取るとしたら、別のところでしょうねえ。近代に入って伝統的価値観が否定され、代わりに導入されたマルクス主義も骨抜きになって代わりのイデオロギーが存在せず価値観の軸が見つからないままに急激な経済成長をしてしまったもので、物質主義・資本主義にブレーキをかけることができず無原則に暴走している。で、環境や伝統的民俗文化・生活体系にひびが入り始めている。大都市に富や人間が集中し地方は急速に寂れていく。拠り所となる価値観を失っての迷走が寧ろ危険じゃないでしょうか。…中国ほど顕著じゃありませんが、日本にも言えることですが。因みに僕は日本の文化伝統や国土はこよなく愛しています(「天皇」という伝統を含め)が、それを支配する国家権力「日本国」はさほど愛していない、しかし日本の国土を守るには現状では「日本国」が必要と考えて渋々(消極的に)支持している。中国にも似たような人は多いんでしょうなあ。格差社会が急速に進行しているのも深刻で(これも日本と共通)、「史点」でも述べられているようにそれこそ「共産革命」が起きても不思議じゃない。
>白土三平
確か本田透(「喪男の哲学史」は読む人を選びそうですが結構面白かった)氏だったと思いますが、マルクス主義というより農村に基礎を置いている辺り寧ろ毛沢東主義に近いんじゃないかという指摘をしているのを見た事があります。マルクスは都市文明と近代科学技術の発展を前提にしているので少し違うのでないか、と言っていたような。
>「今の共産党は昔の国民党よりひどい」
まあ、「党」というのが政治闘争における党派を表すに過ぎないのでそもそもが一般庶民にとっては本質的に否定的な意味合いになる、と貝塚茂樹氏が述べていたような。
>「民族英雄」としてもてはやされるようになるのは近代、それもつい最近
つまり、国家の成熟度としては「大日本帝国」レベルからまだ抜け切れてないわけですな。少し様子が変わりつつあると言う話も聞きますので、それを信じたいですが。
>一方日本ではおよそこういった習慣がない。
荒巻義雄氏の「旭日の艦隊」シリーズだったと思いますが、武将の名前を艦船につけていたような(「信長」「信玄」など)。「尊氏」も存在し(実際には逆賊なんで無理でしょうが)、「銀英伝」の「ユリシーズ」みたいな強運の艦船になりそうだなあ、と思った覚えがあります(しかし撃沈されたようですが)。
>鬼太郎や子泣きじじいの像が破壊
同じ鳥取出身の漫画家で言えば、コナン像もペンキをかけられたりしていたような。困ったものです。

>徹夜城様
>暗黙のうちに「死ね」という圧力がかかってしまうというのが日本の風土
だからこそ、人間関係をリセットした匿名世界(落書だったり巨大掲示板だったり)が好まれるんでしょうか(「氏ね」と字を変えたりしているのも圧力を弱める工夫だったりして)。まあ、匿名世界愛好は日本だけじゃないようですが。
>横溝正史の岡山偏並み
「孫」といえば、その世界の名探偵の「孫」(そういや、権利関係はどうなったんだろう)も大概濃密な人間関係の事件に巻き込まれてるような(爆)。…やっぱり伝統かなあ。

>折田先生像
僕が入学する少し前に、「老朽化がひどくなった」という理由で撤去され大学管理で屋内保存されているんですよ。だから、残念ながら既に「伝説」になってしまってます。ただ、その「精神」はまだ生きている、と思いますし思いたい。



#7622 
民本主義者 2007/06/04 00:35
NF様へ

大笑いさせていただきました。
続けて「太史公曰く…」の文章が読みたくなりました(笑)

なにもこんな碑を皇大神宮に立てなくても、と見たときは思いましたね。
中華街の近くである、という点に、政治的理由があるのかもしれません。



#7621 
NF 2007/06/04 00:07
史点更新に今頃気が付いた(大汗)

>EU諸国からは表には出さないが本音のところ煙たがる空気がある
まあ、元来は仏・独・北部伊といった大陸経済の中枢地域が連合しようとしたものらしいですしね。色んな意味でややこしくなりそうですし分からなくはないです。個人的にはトルコはヨーロッパと考えた方がしっくり来る気はするのですが(ビザンツの後継者としての性格は相当にある訳ですし)。
>産経
やれやれ。産経は、日本の偉大さを呼号する割りに他国を異様に美化して屈従的な態度をとったりするのが何だかなあ。「国家」を至高の存在とするけれど実際問題としてその国家が他国に屈服している(そしてそれによって守られている)からこうした歪みが出てくる訳なんですが。それにしても、右派も左派(反政府+他国への屈従は敵国への利敵行為に繋がりかねないので厄介)も他国に屈従した態度を取っているこの現状は何なんですか(泣)。…蒋介石に話を戻すと、彼について中国史の伝統を踏まえて記述するとこうなるのではないかと。「蒋介石は、周辺異民族より狙われているにもかかわらず群雄割拠して乱れた中国を憂い、主君孫文の遺志を継いで南方で義兵を挙げられました。そしてその英雄的活躍により中国は統一を回復し、蒋介石は帝王として君臨し中国再建に取り組まれました。彼の治世の下、経済や教育は格段に向上したと言われています。また、北方より倭人が長城を越えて侵入し、一時は国都を失陥すると言う大事件もありましたが、他の周辺民族を懐柔し国内の流賊をも召平して抗戦されついに東夷を撃退されました。しかし平和を回復した後も、倭人の罪を許し以前の王を引き続き国王として封じられました。時に利あらずして流賊に敗れ南方に蒙塵なされる悲運にあわれましたが、我々倭人はその徳を忘れずその政府こそ正統な中華であると認定し朝貢致します」…うん、全ての政治勢力を敵にまわす素敵な文面が完成しました(汗)。民本主義者様が御紹介された碑文が政治的苦心の産物である事がよく分かります(笑)。

…長くなりましたので、一旦切ります。



#7620 
徹夜城(テスト採点のバイトに追われる管理人) 2007/06/03 23:27
こんな南北朝小説

 前から気にはなってたけど、ようやく図書館から借り出して読み始めました。黒須紀一郎著『婆裟羅太平記』全6巻。タイトルからすると佐々木道誉が主人公っぽく思えますが、実はこれ、怪僧・文観が主人公なのであります。
 貧農の子に生まれ、律宗から真言宗、その中でも邪教とされる「立川流」を会得し、後醍醐天皇に接近してその腹心となり、赤松円心や楠木正成らを後醍醐に結びつけ、幕府調伏の祈祷をした、という人物。近年ますます注目されてきて、どうも建武政権成立の影の立役者との見方もされるほど。一度鬼界ヶ島に流されて建武政権成立でこの世の春を迎えましたが、その崩壊とともに南朝につきあい、河内でこの世を去ってます。確かにこれだけ波乱な人ですから主人公にしてみたくなるのは分かりますね。これまで南北朝ものの小説では必ず登場してるんですが、さすがに主役はなかったはず。

 大河ドラマ「太平記」ですと出番の回数こそ少ない(記憶にある限りで5回ぐらいしか出てこない)ものの、麿赤児さんが演じているためにやたらに強烈な印象を残します。勾当内侍にセクハラするシーンとかあったなぁ(笑)。で、内侍が外に逃げると新田義貞と激突して恋が芽生えちまうわけで、実は文観がキューピット役だったりする。さすがは立川流…ってなんか違うぞ(爆)。
 最後の出番は吉野で足利直義から降伏の手紙が来たと大騒ぎして北畠親房に笑われるというシーンでした。

 なお、この黒須紀一郎さんは『日本国王抹殺』という足利義満ものの小説も書かれていて、今回これも借りてきて読んでます。

 南北朝といえば、先日皇居に侵入して「ここは私の家」と意味不明のことを言った元自衛官(教官だそうですね)がいましたが、最初に報道の見出しを見た僕などは「後南朝の子孫かな」と(笑)。そしたらこの人、「奈良」の自衛隊学校で教えてたみたいなんですよね。もしかして…(笑)。


>民本主義者さん
 ご紹介どうもです。その記念碑は蒋介石生誕100年で建てたということは1987年建立ということのようですね。そのころだとまだ冷戦も終わってなかったし、蒋介石はまだ「反共の星」だったんでしょうなぁ。しかしそこまで褒められると蒋介石も地下で苦笑してそう(笑)。近年確認された蒋介石の日記でも彼が満州事変以降の日本に対してかなりの憎悪を抱いていたことは分かってるんですけどね。そこはもちろん政治家ですから状況に応じた言動をしていたというだけで。


>ぬえさん
 へぇ、三浦朱門氏でそんなのが…ちょっと意外な組み合わせのような。
 林鳳は明代海賊の中では有名と言えば有名なほうですが、メジャーではないのは確かですね。やはりスペイン軍相手に戦っちゃったからヨーロッパでもある程度知名度はあるようです。フィリピンにおける歴史研究動向は分からないのですが…
 「鳳」、構想ばかりでなかなか進まなくてすいません。時々資料の整理をつけつつ(結構あるんで大変なんです)チビチビ書いてはおります。まぁ気長にお待ちください。


>ひろさわさん
 お久しぶりです。「花の乱」は僕も総集編でしか見てないのですが…全編見ていた知人に聞いたところでは伏線を張り巡らしたシナリオの妙は途中から見たり総集編などでは分からないが、それなりに良く出来ている、とのことでした。確かに「太平記」「ムロタイ」の子孫達がよく出てきますよねぇ。「北条時宗」が「太平記」の先祖たちの話であったように。


>孟きょうさん
 「闇」の話ですが、とくに構造汚職の捜査過程で途中で誰かが死ぬのって、誰かに直接的に殺されるというよりも、暗黙のうちに「死ね」という圧力がかかってしまうというのが日本の風土なんじゃないかなぁ。濃密な人間関係の村社会構造のためといいましょうか。
 後継の農相だって安倍首相の祖父・岸内閣の閣僚の孫ですもんね。そして後釜を虎視眈々と狙ってる(としか思えない)のが吉田茂の孫なわけで、「永田町村」の人間関係濃密度は横溝正史の岡山偏並みですよ(笑)。


>あがたしさん
 リンク先、大爆笑。これはもう学内の伝統として受け継がれていくのではないでしょうか。



#7619 
あがたし 2007/06/03 06:03
喜劇的像の物見櫓

>一方の日本では鬼太郎や子泣きじじいの像が破壊される事件が起こっているが…

昔住んでいた東京都調布市(駅前商店街)の出来事ですね.こちらも何度か被害に遭っているらしいですが,境港のほうは大丈夫なんでしょうか? ちなみに調布市の広報で水木さんの墓所(もう作ってあるそうで)の記事を読んだ記憶があります.

本家人魚姫の,物理的破壊持ち去りを含む受難の記事を読むと,京大の折田先生像の話が実にカワイク思えてきます.
http://freedomorita.web.fc2.com/
http://web.archive.org/web/19990424065153/www.i.h.kyoto-u.ac.jp/ihs/orita2.html (エンコーディングはISO-2022-JPで)




#7618 
孟きょう 2007/06/02 13:04



 >徹夜城様
 そうなんですよね・・闇は確かに存在すると思うんですよ・・。陰湿に、かつ効率的かつ巧妙に・・というか、そういうノウハウができちゃってるといいますか、「証拠は無いし、バレなきゃいいじゃん。そういう事にしときましょ」のような空気といいましょうか、サブリミナルに結構な数の方々は感じているかと思いますが、かと言ってどうする事も出来ないのが現実なわけで。ドラマの言葉を借りれば、前回も紹介していただきました「ドラマ版、北条時宗」の渡部版北条時輔のつぶやく「・・鬼は、まだ退治されていない・・」といいましょうか・・。
 こういった事もまた、千古の疑案になっていくのでしょうけど、こういった空気を容認、あるいは黙認かつ利用している大人達が「教育」を唱えているのがおぞましい現状なわけで・・・



#7617 
ひろさわ 2007/06/01 21:15
あと12時間(汗

ぎりぎりになって書き込むのもどうかと思うのですが、「花の乱」の再(々)放送が、時代劇専門チャンネルで明日(!)6月2日の朝10時から始まります。毎週土曜日・10時から14時・4話連続です。

「北条時宗」なみに史実にアレンジが入っている(死因変更・享年ずらし等)こともあって、なかなか難易度が高いドラマですが、歴史書を片手に、メモを取りながら視聴すると、それだけの手ごたえが返ってくるドラマになっています。
「太平記」「ムロタイ」を見てから花の乱を見ると、
「あの人の子孫がこんなことに!」
と、楽しめます。というわけで、管理人様にもお勧め〜なのですが、もう契約が間に合わないかもしれません。
普通なら途中からでもご覧下さい、とお勧めするのですが、これは、第1話から連続で見ないと(見ても?)話がわからなくなるかもしれません・・・

というわけで、数年ぶりの書き込みでした。


http://blogs.dion.ne.jp/hirosawa_s/


#7616 
ぬえ 2007/05/31 15:08
「東南アジアから見た日本」

三浦朱門氏による同書を手に取って見たら、倭寇に関する一節があって、林鳳についても紹介されておりました。「鳳」を愉しみにしておりますので(笑)、明清時代史も詳しく調べてはおりませんが、紙文献で見かけたのは初めてであるような気もします。ともあれ、海上史は素人にはとっつき難い分野である印象もってますが、ともあれ「鳳」は気長に愉しみにしております。



#7615 
民本主義者 2007/05/31 01:50
蒋介石の記念碑

私の地元・横浜にある伊勢山皇大神宮には「蒋公頌徳碑」があります。写真が以下のサイトにあります。文章を引用します。
http://hamasanpo.exblog.jp/72530
「以徳報怨碑 由来

蒋介石氏は明治20年中国浙江省に生れ、日本の陸軍振武学校に学び、高田の連隊に勤務中、孫文先生の辛亥革命が起り、急遽帰国してこれに参畫し、中華民国の平定と確立に努力され、中国の最高指導者となられました。
昭和6年以来日本とは不望の干戈を交えることとなりましたが、同20年終戦となるや逸早く「以徳報怨」(怨に報いるに徳を以ってせよの意)の布告を出され、自らそれを実行なさいました。それは
我が国の天皇制を擁護し、 国体の護持に努めてくれました。
我が国の分割占領に反対し、分断国家となることを防いでくれました。
膨大なる賠償金を免除してくれました。
中国にあった我が国の将兵や在留同胞の安全と迅速なる帰還に尽力してくれました。かくて今日の日本が存在し発展がある訳でありますが、これらの恩顧は、私たち日本国民にとって修正且永遠に忘れることは出来ません。殊に氏の「以徳報怨」の思想は中国の儒学思想に基づくものであり、東洋道徳の根幹となるものでありますが、これを実践した氏の遺徳は我々日本人がたたうべき道徳の鑑であり子孫への教訓ともすべきものであります。
折しも、蒋公生誕100年にあたり、ここに県民有志のご協力を戴き、蒋公が守護なさいました天皇のご先祖を奉祀する伊勢山の地に、第五代宮司龍山庸道氏の御好意を得て、顕徳碑を建立、以って蒋公の遺徳を顕彰し、且は報恩の志を永く後世に伝えんとするものであります。

神奈川県日華親善協会理事長
聖心女子大学名誉教授 助野健太郎 撰」

苦しい部分が当然あります。




#7614 
徹夜城(最近の史点は文が長すぎると反省している管理人) 2007/05/30 23:17
松岡<前>農相ネタは次回に

 松岡さんの話題は次の史点で書くことになろうかと思います。そこでも触れることになると思いますが、「現職閣僚」の自殺としては、敗戦時の阿南惟幾陸相の切腹以来と言うことになるそうで。遺書の文面はどっか似てなくもないですが、その原因の落差が…いや、もしかしてこちらも敗戦並みの大ゴトだったりしたのかもしれません。少なくとも松岡さんにとっては。
 NFさんがお書きのようなことは僕も思いまして…「安倍総理 日本国万歳」って末文には何やら薄ら寒い思いすらしまして。「天皇陛下」の代わりが安倍総理なのかしら、などと(汗)。国民向けの遺書の中にもそれがあるんだもんなぁ、もしかして全部の遺書にあったのか?

 戦後政治史における大物政治家の自殺として一番印象的なのは、自民党総裁選に敗れたあとの中川一郎の自殺でしょうね。これも動機がハッキリしないし彼の周辺のあれやこれやがあって謀殺説も根強くある。この人の息子が中川昭一現自民党政調会長、秘書が鈴木宗男現新党大地代表というだけでかなり濃い世界だと分かります(笑)。

 それにしても今度の相次ぐ自殺にはまた、なんと言いますか、「日本の闇」が見え隠れする…と思っちゃうのはこちらの深読みだといいんですけどね。そういやライブドア事件でも沖縄で副社長が不審な自殺というのがありましたっけ。


>手彫りガンダム
 僕もその記事見ました。ついこないだプラチナ製ガンダムが展示されたと思ったら今度は木彫りですか(笑)。
 なんかそのうちマジで「モビルスーツ大仏」を建造する国家事業が実行されそうな気がします。



#7613 
NF 2007/05/29 23:53


随分とご無沙汰しております。

>松岡前農相
かなり昔にも元農相が総裁選後か何かで自殺していたような。しかし、緑資源機構の理事も自殺したようだし、かなり内部には色々ありそうですね。
死者に鞭打つなとは言うけど、一ヶ所だけ突っ込んでおくと、遺書に「安倍総理 日本国万歳」とあったそうですが、本来「万歳」は天皇陛下にしか使ってはいかん筈では…。お隣の例を出せば、あの魏忠賢でさえ「九千歳」だったんだから。…どうでもよいですね、すみません。

ところで話は変わりますが、
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007052900766
「プレゼントは集団暴走=逃走中に転落、一網打尽−少年ら43人・大阪府警」
とんだ誕生プレゼントがあったものですが、倶梨伽羅峠合戦の平家軍はこんな感じで大惨事になったのかな、なんてしょうもない事を考える僕がいます。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0705/28/news067.html
「仏師が手彫り 木製ガンダム」
何処から突っ込んだら良いのやら。無駄に精巧な出来なのが何とも。仏師も最近は生計を立てるのが大変だと言うことでしょうかねえ。仏像の顔立ちなどで仏師も流行に左右されてはいたけれど、これは流石に違う気がする。

…以上、駄弁失礼。



#7612 
EN 2007/05/29 17:47
本当にすみません

ちょっと急いでいたもので、タイトル書き忘れてしまいました。申し訳ございません。



#7611 
EN 2007/05/29 17:45


戦後の政治家の在職中の死は全員病死だったと思うんですが。まあそれにしろ、大臣の自殺となるとマスコミが騒ぐのは当然ですね。当の本人は緑資源機構の談合事件にも絡んでいたんですし。この影響で安部政権は今後どうなるんでしょう。歴史に関係ない駄文失礼しました。



#7610 
ぬえ 2007/05/29 13:16
歴史上の不審死

「戦後初」報道は確かにそうであるとしても、何だかメディアは歴史的視点が欠けてるなぁとも感じます。日本史上だけでもこういった怪死・不審死事件なんて幾らでも例がありますし、大臣クラスの自殺は初めてであっても、類似した不審死は戦後だけでもかなりあるだろうと想像が付きそうなものですが。



#7609 
徹夜城(国会図書館に出かけていた管理人) 2007/05/28 23:15
永田町を歩いてました。

 もちろん国会図書館に出かけてただけで単なる偶然なんですが、今日は国会議事堂周辺から自民党本部前などを散策しておりました。2時過ぎに図書館を出たら上空をヘリが飛んでおり、「なんかあったかな」と思いつつ携帯で速報を見たら知った次第で。表面的には平穏そのものの永田町界隈でしたが、建物の中では大騒ぎだったことでしょう。
 戦後初の現職大臣自殺というわけですが、この人「史点」で書いたことあったっけ、とさっきグーグルで検索してみたら、ちゃんと一度登場していました(2002年11月)。当時はいわゆる「抵抗勢力」ということで亀井静香さんらともども反小泉陣営と位置づけられていたようですが。その後安倍政権誕生に尽力したことで「論功行賞」で大尽の座を射止めたことになり、立ち回りの上手そうな人だったんですが、こういう最期になるとはなぁ…
 お約束の「秘書自殺」(正確には地元の腹心)もつい先日ありましたし、逃げ切るかなと思ってましてその意味でも意外。ということはもしかして彼より上に累が及ぶ可能性があったのかな…


>あがたしさん
 そうやってデータ付で聞くと日本って確かに「黄金の島」だったわけですね。素人の耳学問ですが、火山帯であることも金銀その他の鉱脈が豊富な一因と考えられるとか。しかし狭い国だけにさっさと掘りつくしちゃったようです。
 携帯電話の普及のずっと前にも、「パソコンから金がとれる」とゴミ処理場をほっくりかえす漫画が80年代の「少年マガジン」にあったのを見ています。


>南北朝ばなし
 このところ人物叢書「新田義貞」とか新人物往来社「後醍醐天皇のすべて」とか買い込んで南北朝マニア再確認モードに入ってます(笑)。まだまだ知らん話はあるものだなぁ。
 特に「後醍醐天皇のすべて」に出ていた彼の中宮・禧子の話は改めて凄いと思いました。この禧子というのは西園寺家のお姫様で、皇太子時代の後醍醐が誘拐して妃にしちゃったというエピソードがあるんです。これ自体は知ってましたが、そのときの禧子の御年が「11歳」と聞くと、「そりゃ犯罪だろ!」と(笑)。いや、誘拐時点ですでに犯罪なわけですけど、「源氏物語」的世界と思えば雅でもありますが…
 しかもこの誘拐は秋(八月ごろ)のことで、翌年年明けに発覚するのですが、その時には懐妊五ヶ月って聞くと…ますます大犯罪の匂い(汗)。しかもその意図が鎌倉幕府と関係の深い西園寺家と結びつくことで皇位を確たるものにしようという二十歳の若き日の後醍醐の凄まじい政治的意図も見えるのであります。
 なお、この禧子についていた侍女があの阿野廉子でこちらが寵愛を奪う形になります。禧子は建武政権誕生を見て30代で亡くなるのですが、その後の後醍醐没落を見ずに死んだのは幸いだったのか、それとも…



#7608 
あがたし 2007/05/26 20:46
日本はいまも黄金の島?(一部は)

来週駅売りに並ぶ日経ビジネスに,鹿児島の菱刈金山の話がでていますね(住友金属鉱山の話題で).それによると,佐渡金山から歴代(400年間)に掘られた金は82.9トン,これ自体すさまじい量ではありますが,実は菱刈で20年強に掘られた金がなんと157トンなんだそうです.記事中には出てきませんが,日本でこれまでに掘られた金はおおよそ1000トン,世界の金の1%くらいなはずです.

世界の金鉱山では,鉱石1トンあたり10gの金が含まれていればかなり優良なほう(高品位)で,普通はトンあたり数グラムなのですが,菱刈は品位の低いところも含めて平均しても40gをこえています.なんという宝の山!鴻之舞と佐渡と串木野を全部合わせた以上の金が埋まっているのです.

ところでこれ以上の「鉱山」を僕らは知っています.携帯電話を1トン集めてくると,そこには200g以上の金が含まれているそうで・・・(本当かどうかは検証していませんが).携帯だけではないけれどアーバン・マイン(都市鉱山)という言葉がありまして,まさに文字通り,よく言ったものです.

携帯電話など金を含む製品がどこかに膨大な量捨てられて,それが将来歴史に残る「大鉱山」として掘られる・・・なんて話,SFですけれどもどこかで誰かが書いているかもしれませんね.

そういえば昔「史点」で書かれていた埋蔵金探しの話もふと思い出してしまいました.



#7607 
EN 2007/05/25 16:00
書き込みの返事

徹夜城様、金産出はやっぱり多かったんですね。「黄金の島ジバング」とはよくいったものです(笑)



#7606 
徹夜城(久々に?歴史映画ばなしをする管理人) 2007/05/24 22:42
岡本喜八の幕末映画

 また映画の話かよ、と思われましょうが、やはり「ああ、これは歴史だなぁ…」とつくづく見終えて思ったもので。岡本喜八監督・三船敏郎主演の映画「赤毛」をつい先ほど鑑賞してたんです。
 時は戊辰戦争のさなか。官軍の先鋒をつとめる赤報隊の隊士、といっても水のみ百姓あがりの権三が、自分の生まれ故郷の宿場にさきがけで一人で乗り込み、わずか三日間だけ「世直し(革命)」を起こしてしまう。しかし…というような内容。
 ネタバレは書きませんが、赤報隊という時点で知ってる方は結末の予想はつくかと。なお相楽総三は田村高広が演じてますが、冒頭にちょっと出てくるだけの特別出演。次に出てくる時は…

 劇中出てくる浪人風だけど実は旗本の剣客を高橋悦史(「太平記」マニアには桃井直常役者として強烈に印象に残ってます)が実にカッコよく演じてるのでありますが、「革命」におおはしゃぎする主人公たちに「葵の御紋が菊の御紋に変わるだけさ」と冷笑してみせる台詞にこの映画のテーマが集約されてます。
 岡本監督の作品には戦争ものだけでなく幕末〜戊辰戦争ものがかなり多いのですが、これまでに見た「吶喊」(会津戦争が描かれる)「ジャズ大名」(架空の藩を舞台に幕末維新を描く異色音楽コメディ)、どれにも相通じるものがありますね。ラストの怒りの爆発は「肉弾」を連想したところ。


>ENさん
 「黄金の島ジパング」の話はともかく、日本は平安期ごろから東北を中心に金産出はかなり多かったんじゃないでしょうか。平泉の奥州藤原氏の栄華はそれによる、というぐらいで。そういやこっちは世界遺産にほぼ内定らしい。
 ただ銀は?となると…室町期にはむしろ銀は輸入品だったようです。今回の「史点」の石見銀山の話でも書いてますが、16世紀初めまで日本は朝鮮から銀を輸入していました。それが1530年代ごろに銀の精錬技術が輸入され、石見銀山の開発とあいまって急速に世界的な銀輸出国に変貌していったのです。
 銀閣の話ですが、「銀閣」ってのはあくまで「金閣」に対置する「あだ名」であって、もともと銀を塗る予定はなかったという見方の方が強いと思います。


>tomohiroさん
 家康にしてもオクタヴィアヌスにしても、果ては劉邦や源頼朝にしても、実は天下をとったやつ、さらには殺されずに布団(ベッド)で死んだやつって洋の東西でだいたい不人気です(笑)。そして判官びいきってのもやはり洋の東西ある現象でして。



#7605 
tomohiro 2007/05/24 16:08
徳川家康とオクタヴィアヌス

かたや、徳川王朝の創始者、
かたや、ローマ帝国の創始者。
彼らが打ち立てた王朝は比較的長い間持ったし、
そして、歴史の貢献度は大きいと思われる。
それなのに、両人とも割合不人気な傾向がある。
ジュリアス・シーザーが信長と秀吉を足して2で割った男で
クレオパトラが淀殿みたいな人間のように映りますね。
意外と不人気と指を指された汚れ仕事をする人間が
歴史を作る良いサンプルにも映ります。
人間とはきれい事では生きられないのかもしれない。



#7604 
EN 2007/05/24 15:51
富士山のゴミ問題(ついでに金と銀の質問)

尾鳩さん、そうだったんですか。富士山のゴミ問題。登山家の野口さんが富士山の清掃活動をやっているとは聞いてましたが、解決していっているとは知りませんでした。あ、ここは歴史の掲示板でしたね。話題を変えますが、金閣寺に張られている金はその当時も豊富だったんですか?それから銀閣寺の銀は作れなかったそうですが、銀は当時あまり採れなかったんでしょうか。偶然足利家の本を読んで、そう感じてしまいました。



#7603 
徹夜城(むかし太平記現代語訳に挑んだこともある管理人) 2007/05/23 21:46
完訳「太平記」出てたんですね。

 昨日書店にいきまして歴史トンデモ本など仕入れておりましたら(笑)、古典コーナーに『完訳「太平記」』全4巻なんてのが並んでるじゃありませんか。いつの間にこんなもんが、と思ったら今年の3月末の発売になってました。全4巻構成で、ちゃんと細川頼之登板まで描いた、まさに完全版。
 過去にも「太平記」の現代語訳に挑んだケースはあったと思いますが、最後までちゃんと仕上げたものはなかったんじゃないかと。これは偉業ですね。一冊3000円で4巻ってぇのがちとお高いのですが…いや、こういうのにしては安いほうというべきかな。
 ただなにぶん「完訳」なので、読みにくさは保証します(爆)。「太平記」はきっちり訳すとかなり「くどい」小説なので、かえって現代語訳するとくどさがよけいに出るんですよね。
 ともあれ、「完訳」であるために南北朝強度マニアしか目がいかない南北朝後半戦も現代語で読めるということで「ムロタイ」の元ネタが知りたい方にはお薦めです(笑)。佐々木道誉と楠木正儀のエピソード、細川清氏VS細川頼之の対決など名場面はいっぱいありまっせ!

さてレスをためこんでしまってますが。

>世界遺産
 すでに何人かの方が書いておられますが、ひとくちに「世界遺産」といっても「自然遺産」と「文化遺産」があるわけです。最近登録された北海道の「知床」は自然遺産なわけです。
 ところが「富士山」に関してはどうも「文化遺産」のほうでの登録を目指すつもりみたいなんですが…もっとも「自然遺産」のほうでも他にそういった山岳を登録した例があるのか気になるところです。基本的には人間の手がついてない自然を「遺産」として保存する趣旨なので、大勢が登山してる山は自然遺産では無理と判断したのか…?
 国内の「候補地」がこんなにあるのか、と「史点」を書くために調べてむしろビックリしたわけなんですが、さすがにユネスコもそうむやみに登録するのは控える方向なんじゃないですかね。全世界に900個近くあって収拾がつかない感じですし。


>十一郎さん
 ご紹介の記事、読ませていただきました。う〜む、こんな面白い人が「泡沫」とはモッタイない。しかし言ってることは正論だよなぁ。それでも民主党候補も当選ラインにいる人はむやみにアメリカが間違ったことをしたとか、世界のことには首を突っ込まないとか認めてはいけないようですね。

>あがたしさん
 こちらもまた凄い話を…森小弁の話でも後藤象二郎がちょっと絡んでるんですが、そんなことまであったとは。

>景虎さん
 日本の城郭は確かにもったいないことをしたものです。と今となっては言いますが、明治はじめの当時は「捨て去るべき旧時代の遺物」そのものだったんでしょうねぇ。また同時に士族反乱などで軍事的に使われることを恐れた可能性もあるんでしょうか。熊本城なんかは取り壊す予定が西南戦争勃発で「実用」することになっちゃった、なんて話も聞いたことがあるんですが。
 城に限らず、明治初期にはむやみに江戸時代以前のものを否定しまくる風潮も強かったらしいですね。欧米人が浮世絵だの源氏物語だのをもてはやすと日本人のほうが眉をひそめ恥ずかしがったらしいです。

>tomohiroさん
 広東海賊といえば、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の新作でチョウ=ユンファが演じる南シナ海の中国人海賊が出てくるんですよね。あれは、なんかモデルがあるのかな…と気になってるんですが、見に行ったもんかどうか。

>尾鳩さん
 ご無沙汰しております〜スパイ話好きの僕としては諜報員でなくまっとうな(?)仕事をされてる尾鳩氏にはちょっとガッカリしたりして(笑)。またそのうちお会いしましょう。



#7602 
tomohiro 2007/05/23 16:46
空気読んでいないなと言われますが。

tomohiroです。
皆さんが世界遺産の話題をしているときに台湾の話題を持ち出して空気を読んでいない
と言われますが、私も世界遺産の話をしましょうか。
実を言うと国東半島が世界遺産になるらしいのですが、
地元の人の話では、世界遺産になることが果たして正しいのかと
喧喧諤諤の論議があったようです。
御存知のとおり国東半島は神仏分離前の信仰が色濃く残っている場所ですが、
そこが世界遺産になると保存という名の自然破壊のようなケースになるので
やめて欲しいと言う意見がありました。
私も一回行ったことがあるのですが、なんとも微妙な意見ですね。



#7601 
景虎 2007/05/23 16:11
おや?

何だか読みにくくなっているので、もう一度書き直しておきます。

>elevaterさん
いや、一国一城令はあまり関係ないでしょう。
一国に一城(厳密にはそうでもないようですが)であれば、相当な数の城があった訳です。
城郭都市は、大名の拠点に人を集中させたからこそ、誕生したという部分もあったでしょうし、城の維持は経済的な負担も大きいですから、平和が続けば一国一城令がなくとも、城の数は減ったでしょう。

それからこれは説明不足でしたが、私が問題にしているのは、江戸時代の大名の拠点としての城です。
単なる軍事施設としての砦のような城は、世界遺産とするには難しいでしょうし。
明治維新の文化破壊は他分野でも相当な事があった訳ですから、城郭の破壊もその一環ではないかと。

まあ、西洋化、富国強兵の為には、ある程度仕方が無かったともいえそうですが。

>高岡城
こちらや、
http://www.asahi-net.or.jp/~qb2t-nkns/takaoka.htm
この辺り
http://www.e-tmm.info/siro.htm
を読むと、

>建物は取り壊された

>豊臣氏滅亡後の元和元年(1615)に徳川幕府は「一国一城令」を発し、高岡城も廃城となってしまいました(寛永15年(1638)説もある)ので、当時の築造物は現存していません

>利長居館や家臣の屋敷(二の丸には鈴木権之助邸、三の丸には今枝民部邸)などは建っていた(門・櫓、塁などは一部のみ)と考えられますが、天守閣は未だなかったと思われます。

と書かれています。
軍事力を失っていないというのは正しそうですが、これらのサイトの内容が正しいとすると、天守だけ壊したという事ではなさそうです。

また、建物以外の防御施設が残っていればよいというのであれば、戦国時代の山城址の多くがこれに相当しますね。
もっとも、戦国期の山城は完全廃城であるのに対して、高岡城は廃城とはいえ一応加賀藩が管理していたという違いがありますが。

>世界遺産
>文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の 脅威から保護し、保存することが重要であるとの観点から、国際的な協力及び 援助の体制を確立すること。

だそうですから、自然物でも問題ないようです。



☆歴史のトップページに戻る
過去ログ7501〜7600>>>