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#8200 
徹夜城(最近南北朝本漁りをしている管理人) 2008/06/17 23:52
「足利義持」買いました。

>黒駒さん
 あら、改名されたんですね。
 黒駒さんの投稿で初めて情報を知りまして、さっそく買ってきちゃいました、人物叢書「足利義持」。集英社版「日本の歴史」の「南北朝の動乱」や「南北朝動乱と王権」などの著作がある伊藤喜良先生が執筆されたんですね。
 まえがきで伊藤先生も書いてるんですが、なぜ「義持」なのか(笑)。確かにその前の義満、その後の義教と強烈なキャラクターに挟まれていたって目立たない人ですもんね。その治世も上杉禅秀の乱ぐらいしか波乱もない。外交面では応永の外寇があるにはありますがこれだって特に大ごとには至りませんでした。
 しかし伊藤先生はそこであえて「義持」を持ってくる。ご自身も「人物叢書でとりあげるのはどうかと疑問も感じた」と書かれてます。しかし義満とその時代を室町時代の典型とする一般的な見方に対して疑問を呈し、義持こそが室町将軍の典型スタイルというべきなのではないか…というのが、僕が大雑把にまとめたこの本の趣旨です。

 細かいところは飛ばしてざっと読んだのですが、基本的に平穏な時代なので(中世をとおしてもっとも平穏な時代、との声がありますな)ドラマチックな展開をお望みの向きには向かない伝記本でしょう。しかし僕も「ムロタイ」やってたときに義満時代を本当に把握するためにはそれをひっくり返した義持時代を知らなければならない、とは思っておりまして、その意味ではこちらの欲求にこたえてくれた本だと思います。
 推理小説じゃありませんからネタばれしますと、結論からいえば義持の政治運営、公武両輪の体制、守護大名らとの合議制といった穏やかな共存権力構造こそが室町時代ひいては日本中世の基本形であると。専制・権力集中という状態は後醍醐天皇の建武政権の3年間と足利義満の14〜15年間の合計18年間、全中世をとおしてそれだけしかない特殊な状態なのだというわけです。僕も以前から感じてた、後醍醐天皇と足利義満の共通性がここにも浮かび上がってきます。
 伊藤氏も言うようにじゃあなんでそういう特殊な専制型政権ができたのかが問題になるわけですが、その答えはとりあえず示されず、やはりそういった特殊な例はたちまち消されて「本来の日本的権力構造」に舞い戻る、ということになるようです。まぁ読んでみた感想としてはそんなところですね。


>いしいひさいち
 いしいさんの作品はいろんなバージョンがあるので収録作の確認が大変です。
 とりあえず我が家にあったものでは「新忍者無芸帖・101匹忍者大行進2」に「稲村ジェーン」のものが入ってました。その隣のページには同じ号の「歴史読本」に載っていた「桜井の別れ」のパロディがあります。
 こちらにもすぐ続けて「烏合の衆」ネタの作品が載ってましたが、これは戦国時代を想定してるんじゃないでしょうか。やはり南北朝特集の号だけに南北朝ネタを書いたのではないかと。



#8199 
黒駒(ぬえ改め) 2008/06/16 11:02
いしいひさいちの4コマ

「稲村ジェーン」のネタは、「忍者無芸帳 大食の巻」に収録されているのですが、前後にある「強風で敵兵が倒れる」とか「敵は烏合の衆でしかもたった三百」というネタも南北朝関係なのでしょうか?これって説明が無いと良くわからないような。

ところで、今月は吉川弘文館から人物叢書「足利義持」が出ます。これは南北朝関係書でしょうかねぇ。



#8198 
徹夜城(多忙で昨日は頭痛が痛くなった管理人) 2008/06/15 20:21
祖先の地で大地震

 しばし多忙のため、書き込みストップしてました。
 さて栗駒方面で大地震が発生しましたが、実は栗原市は我が父方の祖先の地なのであります。もっとも栗原市は10町村が合併した巨大市でありまして、そのうちの一迫(いちはざま)町というのが先祖の地なんですが。先日景虎さんが話題に出した「炎立つ」でも「一迫川」が出てきますし、まさに前九年の役古戦場でもある土地です。
 先日書いた姓の由来である「城」もそこにある山城なんですね。電話で親せきらとは確認がとれ、山城ともども無事であるようです。それにしても宮城から出てきて茨城に在住するとは、わが一族もつくづく「城」に縁があるようです。高校も城跡に建ってたからなぁ(笑)。


>城の話
 一連の話題の中で都市ごと「城」にしてたのは鎌倉ぐらいじゃないか?という話が出たのですけど、調べてみたら鎌倉時代の鎌倉は周囲の山々にちゃんと城壁(といっても中国のそれみたいではなく「塀」に近いみたいですが)がめぐらされており、当時の文献にも「鎌倉城」という表現が出てくるのだそうです。街ぐるみの要塞化、ということでは日本史上初なのでは、ということもその本では書かれてました。


>かどきちさん
 いいですね〜南北朝ゆかりの地に素早く行けるという環境は(^^)。まして南北朝キャラたちの直筆などの遺品を直接見れるというのはうらやましい。
 もう十数年も前になりますが、近畿地方各地を旅行した折に吉野へは行ったことがあります。蔵王堂や後醍醐天皇陵もちゃんと見物してきましたが、駆け足旅行だったもんでいまいち物足りなかったです。それっきりあちら方面には足を運んでないもんで…
 僕の住む茨城なら北畠親房関連で小田城・大宝城・関城あたりがありますが、行ってもなんにもないところみたいですし…鎌倉行くのが一番てっとり早いんですが、こちらも小学校の修学旅行以来行ってないような(汗)



#8196 
かどきち 2008/06/12 21:36


皆様の大変参考になる書き込み、ありがとうございます。
勉強になります(^_^)
「柵」は、初めて存在を知りました。
だいたいイメージとしては、昔の中国の戦争で出てくる、最前線基地のように周りを柵で囲み、出入り口の近くに物見櫓があるようなものでしょうか?
徹夜城様の城を「き」と読む話、茨城県がその名残を残した地名だったとは・・・ということは、書き込みにもあったように宮城県もですね。
さて、南北朝ネタですが、この春に信貴山と吉野山に登ってきました。
当方は、大阪の河内に住んでますので、信貴山はすぐに行けます。
現在の建物の配置が、当時と同じかどうかは分かりませんが、だいたい同じとすれば、たしかにお寺と言うよりは、山の上の要塞・城塞、と言うほうが似合ってるように思いました。
また先月、京都の東寺に行って、尊氏や直義直筆の御教書を見ては、感動してました。
いや〜、肖像や想像の中で膨らむイメージでしかしらない人物が書いたものが、650年たっても残っているって、不思議と言うか、嬉しい限りですわ(*^_^*)
千早・赤坂城趾はまだ足を踏み入れてないので、いつか行きたいと思っております。



#8195 
EN 2008/06/09 17:36
改行ミスです

前もやったと思いますが、改行ミスをしてしまいました。すみません。



#8194 
EN 2008/06/09 17:33
街も大手をふって歩けない

日本の城の歴史が話題になっていますが、古代の城が防衛拠点だった事は僕も知っています。城の役割も時代とともに変化するなかで、壊された城跡は日本にどれぐらいあるんでしょうね。                                話題をかえますが、昨日秋葉原でまたしても通り魔が起きました。七人死亡という事で、当然犯人には死刑が下るだろうと思いますが、街中で自分がいつ狙われるか分からない時代になってしまったなと思います。犯人も一体何がしたかったのでしょう。



#8193 
景虎 2008/06/08 23:40
奥州と北九州と城

みなさんの書き込みを読んでいると、日本の城について考察する場合、奥州と北九州、特に奥州が重要なのでは?と考えてしまいました。具体的には大河ドラマ『炎立つ』の時代ですね。

奈良〜平安にかけて奥州に軍事拠点が造られていますが、これらには柵(さく)と城の二種類があるようです。
柵には、玉造柵、新田柵等があり、城には、多賀城、胆沢城等があります。柵と城の違いは曖昧な部分もあるようですが、単なる軍事拠点が柵、政庁としての意味合いが強い物が城となっているようです。

多賀城の復元図などをみると、周囲を城壁で囲んでいます。この内側に、政庁と下級兵士の宿舎としての竪穴式住居があったらしいですね。
奈良〜平安初期の奥州合戦は、蝦夷対倭人の戦いですから、異民族との戦いだったという事も重要ではないかと思います。

平安後期に官軍(源氏)と戦った安倍氏の場合、安倍側の拠点は衣川柵、厨川柵などの柵であって城ではありません。それに対して、官軍の本拠は陸奥国府の多賀城です。この辺りにも、日本における城の謎を解く鍵がありそうですね。

北九州の場合、政庁である大宰府防衛の為に朝鮮式山城を造営していますが、こちらでは大野城、基肄城などの城なんですよね。
奥州、北九州ともに帰化人が関わっていたとされていますが、軍事拠点の名称に違いがあります。この辺りも謎ですね。

源平合戦の頃になると、山に造られた屋敷程度の物を城とよんでいたようですが、朝廷の衰退によってまともな城は造れなくなっていたという事でしょうか?(そういう意味では文明の後退?)
その後、南北朝時代くらいから山城が多少は複雑化し、戦国時代の山城につながったと考えられますね。
それ以降は、徹夜城さんやNFさんが説明されている通りなのでしょうね。

>太平記完全版
『炎立つ』が発売されたので、もしや?と思っていたら、やっぱり発売されるんですね。

そういえば、太平記の時代にも多賀城は出てきますね。建武の中興やってた人達は、当時ある程度残っていた古代の城と、千早城などの最新?の城をどう考えていたんでしょうね。



#8192 
ヒットラン 2008/06/08 12:26
五百発五百中

どぉぉもです。
じつは何かの すれっと で史上最強の狙撃手は誰だ?
というのをやったら、いろんな人物が出てきて、しかも時代もさまざまで
雑賀孫市や明智光秀、イワン雷帝、ナポレオンと?な人物も
あげられましたが、一応、射殺数を確認できて、ちょっと
撃ち殺し過ぎ?と驚きの経歴の人がトップと、その すれっと で
認定されたのは、フィンランド兵士・シモ=ヘイヘ
彼が恐ろしいほど戦場で活躍したのはソ連フィンランド戦争で
圧倒的戦力量のソ連軍の進撃を彼は待ち伏せ射撃で
迎撃し、このような史上まれにみる虐殺なみの戦果を1人で
なしたそうです、500数十名のソ連兵を
ボルトアクションのライフルで撃ち倒したとのことです。
彼は元・猟師で当時から狙撃には望遠鏡装備を付けるのが
軍用狙撃では一般的だったのを 彼は持ち前の猟師の資質と
望遠装備をライフルに付けたら邪魔くさいと豪語し
戦場では全て肉眼裸視で事を行っていたそうです。
しかも、この500なんぼの射殺数は入ってないのは
彼が30何名のフィンランド兵士を率いて
攻めてくる約4000人のソ連軍を拠点死守した
キラ−ヒル攻防戦、これは主にサブマシンガンを使った
そうで、これで倒した敵兵も入れたら彼のスコアは
ドイツの戦犯なみの数になるとの説も。
じじつ終戦後、ソ連は彼を戦犯として引き渡せと
フィンランド政府にいってきたそうですが
ときのフィンランドの軍人出身の元首がつっぱねたそうです。



#8191 
モーグリ 2008/06/06 18:54
訳者によって変わります

久しぶりにのぞいてみたら質問している人がいたので回答します。

ヨハネスさんへ
>ヒトラーの階級
ヒトラーの階級はゲフライター(Gefreiter)といいます。これは帝政ドイツ軍の兵卒の中では一番上の階級ですが日本軍の階級にはありません。そのため、和訳によって階級が変わってしまうのです。
・日本軍の伍長に近い権限だから「伍長」と訳すか、
・日本軍では伍長以上は下士官だから「上等兵」「兵長」と訳すか、
それによってヒトラーの階級の和訳は一定しないんです。ヨハネスさんが疑問に思ったのはそのせいかと。意味的には「下士官に近いベテラン兵卒」だと思っておけばOKです。

これは覚えておいて欲しいのですが、階級の種類は国によっても時代によっても違います。またどの階級が下士官なのかも違います。訳者によっても階級呼称は一定しません。

冷静に考えるとヒトラーの階級は不思議です。ヒトラーは志願して大戦初期に入隊し、終戦時までフルに戦い抜いてます。大戦中は戦死率が高いので生き残ればすぐ昇進します。ですから普通なら下士官に出世してなければおかしいんです。
よく戦争作品でドイツの将軍がヒトラーを「伍長閣下」とバカにするシーンがありますが、これは「第一次大戦を戦い抜いて下士官にもなれなかった奴」というものすごい侮蔑が入ったニュアンスなんです。

>伍長勤務上等兵
昔の日本軍の階級で上等兵と伍長の中間です。後に兵長に改称されます。



#8190 
mozawa 2008/06/06 17:07
歴史物の少女漫画

 歴史物の少女漫画の需要の一つとして、「適齢期が低い」ことがあるかと思います。
 ティーンエイジャー(死語ですか?)の結婚話や悲恋が、切実に現実感を持って語れるため、読者が感情移入しやすいのではないでしょうか?
 あと、平安〜戦国は髪型が描きやすいのでしょうね。女性はストレートロング、男性は烏帽子や冠を被せればOK。それに比べると江戸時代の日本髪、月代は難しそうです。

 源平時代を舞台にした「リョウ」という漫画があります。女子高生が実は現代にタイムスリップさせられた義経で弁慶と恋仲なんだけど、維盛からも頼朝からも迫られてしまう、てな話です。
 この漫画の男性陣も、弁慶がザンバラな以外は烏帽子(除:後白河法皇)でした。
 
 
 



#8189 
NF 2008/06/06 01:17


>徹夜城様
>昨日付けですべて自宅に届いております(笑)。
あ、やっぱり(笑)。第二段の準備にかかっておられるというお話があったんで(現在の集英社版など)メジャーどころはもう押さえておられるだろうな、とは思ったのですが。
「シミュレータ」のマンガって、全体で一つの話になってたんですね。勘違いしてました。…しかし、古本屋で見つかるかなあ…。少女漫画の方が歴史漫画の傑作が多いとは思ってはいたんですが、余り読まないもので南北朝ものも存在するとは正直知らなかったです。以前お話した「雪紅皇子」は後南朝だから厳密には室町ですし。
ところで、古代に防衛施設が「城」と呼ばれたのって、やっぱり都市らしい都市がなかったからでしょうね、これも。都からして無理して背伸びして作った観が無きにしも非ずですし。あと、「異民族との戦いでないから大虐殺の心配がなかった」という面も、確かにあるんでしょうね。いくら事情から城郭化できないからといって、異民族との戦いならそのままにしておくはずないですものね。



#8188 
徹夜城(←よく「不夜城」と間違えられた管理人) 2008/06/05 23:29
再来年の大河も決まり

>ENさん
 ほぼ同時に情報をキャッチしてたようで、僕がよそにこの件書き込んでからこっちに戻ってきたら書き込まれた後でした(笑)。
 まぁ、「龍馬」も大河で主役は二度目といえば二度目ですが、大河「竜馬がゆく」は白黒時代の大昔で、視聴率は最悪、途中で演出が代わって猛スピード処理になり、あげくに映像自体が「脱藩」の1回しか残っていないという作品なので、あまりリメイク感はないんですよねぇ。今回は岩崎弥太郎の目から見るというオリジナル作品になるそうなので、「決定版」化している司馬遼太郎「竜馬」からどれだけ脱却できるかが注目でしょう。
 それにしてもわずか1年おきで幕末ものというのは意外でした。「坂の上の雲」とぶつかって予算的に厳しいから無難に江戸時代で来るだろうとは思ってたんですが、幕末とは…
 主役については「大人の役者」とだけしか公表してませんが、脚本家の書いたドラマを見渡せば、ほぼ確定じゃないの?というのがネット上でみる多くの反応です。

 それにしても南北朝大河が次につくられるのはいつになることやら。
 「マンガで南北朝!」や他の予定コーナーのために南北朝関連本をあたっていきますとその多くが大河ドラマ放映時に集中してるのは明らかで、影響は多大なんですよね。そしてその後ほとんど見向きもされなくなるわけですが(笑)。
 「その時歴史が動いた」でも南北朝関連は3回(うち一つは義満なので実質室町時代)しかやってませんもんねぇ。


>mozawaさん
 どうも…「可愛い」などと言われてしまうとこっ恥ずかしいものがあります(^^;)。
 湯口さん以外でも長岡良子さんの短編「天人羽衣」というものも先日読みまして…こちらはなんと佐々木道誉が重要キャラで出てきます。もっとも主役は世阿弥と同時代の猿楽師・犬王で、彼のパトロンとして道誉が出てくるんですが。
 少女漫画は実は少年漫画より歴史ネタの宝庫、という認識を新たにしました。以前から古代史ものは多いなと察していたのですけど、中世ネタもあるにはあるんですね。また歴史もの以外でも、少女漫画誌「ネムキ」にアルセーヌ・ルパンの「八点鐘」の漫画版(JET作)が連載されいて、そのチェックのために少女漫画ワールドに首を突っ込みつつある昨今だったりします(笑)。
 あ、常盤貴子さんの「太平記」出演の件の記事は基本的にはNHK側が資料として配ったんだと思いますよ。気になった一部の記者がネットで漁った可能性も否定はしませんが(笑)。


>NFさん
 「マンガで南北朝」ごらんいただきありがとうございます。8作は見ているとはさすが…(^^;)
 ご紹介いただいた3冊ですが、実は昨日付けですべて自宅に届いております(笑)。森藤さんが「日本の歴史」やってるのは知ってましたが、「太平記」までやってたというのはあのコーナー公開後に知ったことでした。
 「4コマ」とおっしゃるのは「シミュレイター」誌掲載のゲーム紹介漫画のことと思いますが、あれはあくまで一部を掲載したもので、4コマ構成の漫画ではありませんので、念のため。「4コマ」で思い出しましたが、「歴史読本」にいしいひさいち氏が連載していた4コマ漫画に南北朝ネタがありますので、それも紹介しちゃおうかなと考えてます。「太平記大全」でも触れた、「稲村ジェーンを呼ぶ新田義貞」のやつです(笑)。

 ご指摘を受けて思い出しましたが、「都城」という表現は古代ではやってましたね。ここでの使用法は確かに「まち」の意味合いでしょう。平城京ともども直輸入といっていい使い方と思えます。
 一方で古代には防衛拠点を「城(き)」と表現する用法も見られますよね。なんでも「しろ」という読みはだいぶあとからできたものらしく、ほんらいは「き」なのだそうです。白村江の敗戦のあと西日本各地に「水城(みずき)」を作ってますし、僕の住む「茨城」も由来は古代伝承にある「いばらで作った<き>」であります(なお「いばらぎ」と読む人がすご〜く多いのですが、「いばらき」が正しい)。
 そして…知ってる人は知ってるんですが、実は僕の本名の姓にも「城(き)」が入ってます。一応由来はありまして祖先の地である宮城の栗原方面に先祖が住んでたという山城がそれです。もっとも現地ではこれは「たて」と呼んでたそうですが。
 そんなわけでハンドルネームも「徹夜城」と「城」入りになってるんですが、トップページにありますようにあくまで「しろ」のイメージです。まぁいずれは「都市」なみに成長してくれという野心もちょっとあったりして。よく間違えられる「不夜城」も中国語的には「夜のない街」ということですよね。



#8186 
かどきち 2008/06/05 23:10
奥が深い「城」

徹夜城様
城郭の意味、初めて知りました!
横山光輝の「三国志」では、城壁のことを城と表現してたので、それで何となくはそういうことだろうなと思っていましたし、「城」そのものが「都市」を意味するというのも、どこかで読んだことがあるので、そうだろうなとは思っていましたが、「城」と「郭」でそんな意味があったとは!
奥が深いです。。。
昔は草原や何もないところに、いきなり城壁がそびえ立っていたのかなと、想像を膨らませています。
ふと時間が余ったときに、昔買った「中国の地球の歩き方」を開いて、中に載ってる地図に城壁のマークがないか探したりもしています^^;
また、職業柄、高齢者と接する機会が多く、戦時中南京や北京、旧満州に行ってた方々から、当時の情景(当然城壁)を聞いたりもしています。
でも、南京以外の地では、あまり城壁の話を聞きませんが・・・。

阿祥様
平遥古城、僕も是非行ってみたい場所のひとつなんですよ!
場内は、時代村というか、古い町並みがあるらしいですね。
一度体験として、梯子で城壁を登ってみたいです(*^_^*)
そして城壁の上からは、弓を構えるとか、石を落とす振りをするとか・・・怖いやろうな(~_~;)
あと、同じ民族同士なので大量虐殺が行われなかった、とする説明、なるほどと納得しました。
確かに大陸とは、訳が違いますもんね。

影虎さま
見事なCGのサイトのご紹介、ありがとうございます。
本当に水上要塞ですね。
もしあの風景が現存していたら、間違いなく世界遺産ですね!
そんなことはさておき、王朝や時代が変わるときは、必ずと言って良いほど古いものが壊されますが、岡山城の説明を読むと残念でなりません。
でも、それが歴史であり、破壊と創造の繰り返しなんですよね。
また、たまに電車で郡山城を石垣を見るんですが、見入ってしまいますね。

ここでアホみたいなお話を一つ。
ソウルの南大門や北京の前門、回りはロータリーや何もないのに、なぜ門があるのかな?と思っていました。
わざわざ城門の小さなトンネルとくぐらなくても、ちょっとまわって門の横から行けるやん、とずっと不思議だったんですが、門の両側から城壁が延びていたんですね・・・(^_^;)




#8185 
EN 2008/06/05 17:49
すみません

さっきの書き込みの中で、「やる」という字が「ゆる」にになってしまいました。お詫びします。



#8184 
EN 2008/06/05 17:42
2010年の大河発表

いまヤフーのニュースで知りましたが、2010年の大河ドラマが発表されたようです。タイトルは「龍馬伝」といい、、坂本龍馬を主人公とするらしいです。司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」とは違った龍馬像を見せるがどうかは知りませんが、現在の「篤姫」と同じ時代を一年置いてまたゆるのは少し意外でした。マイナーな時代にも挑戦してほしい僕としては戦国・幕末路線はいい加減転換してほしいです。脚本はいまやってるキムタクのドラマを手掛けてる方らしいです。



#8183 
mozawa 2008/06/05 07:22
可愛い

連続失礼します。

湯口聖子さんの漫画を探し出し、読んでる管理人様。かわいいかも。

湯口さんの漫画が入り口となって北条、南北朝に嵌った腐女子は、かなり多そうですね。(検索かけるとたくさん出てくる)





#8182 
mozawa 2008/06/05 06:56
貴サイトを引用では?

 常盤貴子、太平記以来の大河出演って、こちらのサイトが情報源の一つではないですか?ご丁寧に「2回出演して以来」って書いてありましたから。普通、チョイ役とか無名の役だったら「過去に出演」で済ますよなあ。

 薬師寺展
 そうですか、上野駅で決断、英断です(笑)。
 >ホトケになる人
 昨日は曇りなので良いのですが、大雨、快晴などではかなりきついでしょうね。
 一緒に行った夫は「ここで倒れたら日光・月光が導いてくれるからいいんじゃない?」などと不謹慎なことを言っておりました(焦)。




#8181 
NF 2008/06/04 23:34
お久しぶりです

>マンガで南北朝
ご無沙汰している間に、こんな企画が。懐かしいですね。読んだのは8つくらいでしょうか。個人的には、小学館版「日本の歴史」が一歩リードして石ノ森版、さいとう「太平記」、河内弁「楠木正成」の3つが後を追い覇を競っている感じです。あと、個人的には田中正雄さんの「まんが太平記」もなぜか印象深くて、小島法師にくっついている童子が南北朝全体を俯瞰している割に年取らないなあ、と突っ込んでみたりしていた記憶が。あと、ついでながら長慶天皇が主戦派で後亀山が和平派という話を始めて知ったのもあのマンガだったりします。4コマは呼んだ事がなかったので、古本屋で見つけたら何とかゲットしたいもの。
まだ掲載されていない南北朝マンガで思いつくものといえば(もう追加リストに入れてらっしゃるとは思いますが)、
・現在の集英社版「日本の歴史」8「南北朝の争い」(入間口宣夫、森藤よしひろ)
前に比べて絵が渋くなり、内容も詳しくなって(かなり「太平記」準拠に)僕の中では前版よりかなり点数アップです。最終章は倭寇と勘合貿易、琉球について述べており、彼等が「国家」より海・沿岸の民である事にアイデンティティーを持っている事にも触れていたような記憶があります。
・「太平記」(平田喜信監修、森藤よしひろ画 くもん出版)
上記の「日本の歴史」で絵を描かれている森藤さんが「太平記」も描かれています。人物の顔は上とほぼ同じ。全体的に渋く、正成は熟年のオッサン風で個人的イメージにかなり近い。
・集英社「学習まんが 日本の伝記 足利尊氏」(永原慶二監修、古城武司画)
旧版集英社「世界の歴史」で主に絵を描いておられた古城さんによる漫画化。全体的に見やすい絵だと思います。尊氏は例の「騎馬武者像」を基にしているようです。「この世は夢のごとくに候」という願文も登場しており、「悩める男」として描かれています。

>日本の「城」と「都市」
日本で「城」という言葉に「都市」というイメージがない理由をちょっと考えてみたのですが…。「かなり後の時代まで都市らしい都市が少なかったから」ではないかと。いわゆる「弥生時代」に環濠性集落・高地性集落(「都市国家」の原型といえなくもない)が存在している事からも密集居住地を防衛施設で囲むという発想自体は昔からあった事が分かりますし。ただ、長らく都市と言える都市が都を始め数少なかった。それ以外においては、領主の館を防衛施設として守れば事足りたわけで。で、その延長である防衛施設が千早・赤坂あたりから「城」として印象付けられ、「城」=「居住地を含まない防衛施設」となる。古代における都は、「都城」なんて言葉があったところからすると「城」=「都市」という観念がごく短期間の間はありえたようですね。ただ、早い段階で都が中央政府による都市計画からはなれてしまい、京都からして有力貴族・寺社によって権益が分割された場所になってしまい政治権力による統一支配ができなくなっていた。そのため、都の要塞化ができなかったのではないかと(こうした権益が取り除かれた秀吉時代に「御土居」が建設されている事もこれを裏付けると思います)。で、他に足利期までの日本で都市と呼んで問題なさそうな奈良・鎌倉についてですが、奈良は一つの都市というより複数の寺社(それぞれが防衛施設を持ち境内に密集居住地を持ち小都市の性格があった)の連合体としての性格が強かった。で、鎌倉は一応は「城」といえなくもないように思うのですが、自然地形に依存し権力者が人為的な構築物を作るだけの力はなかったのかも。
戦国期以降にようやく、堺や寺内町のような防衛施設に囲まれた「城」に近い都市ができつつあった訳で。で、戦国後期には「城」が文字通り都市をも囲い込んだものになった。
要約すると、長らく都市らしい都市が少なく、数少ない都市も権門によって分割されて統一性を欠き全体的な防衛設備を整える事は出来なかった。で、その間に防衛施設だけの「城砦」攻防戦が主であったため「城」といえば防衛施設だけを考えるようになった。そんなところではないかと思います。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8180 
徹夜城(また書き忘れた話題を追加する管理人) 2008/06/04 22:59
天地人キャスト

 そうそう、mozawaさんの投稿へのもう一つの話題、「天地人」キャストについて。

 会見でそういう資料が配布されたからだと思うんですが、常盤貴子さんの大河出演について「『太平記』以来18年ぶり」と記事で出てました。確かにそのとおりなんだけど、発見することすら難しい「出演」なんですよねぇ…セリフも一言だけあるのでキャストにはちゃんと出てるんですけど。
 高嶋政伸ももうそんな役か…「弟役」が板に付いちゃった人だったんですけどねぇ(笑)。
 北村一樹の上杉景勝も見ものですが、阿部寛の上杉謙信というキャストが凄い(笑)。序盤で出番はおしまいなんでしょうけど、強烈そうだなぁ。



#8179 
徹夜城(完全版DVD発売をことほぐ管理人) 2008/06/04 22:54
大河「太平記」ようやく完全版発売!

先ほど聞きつけました。
なぜか長らく出なかった大河ドラマ「太平記」完全版DVDが8月から発売されます!
http://www.amazon.co.jp/NHK%E5%A4%A7%E6%B2%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E-%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E8%A8%98-%E5%AE%8C%E5%85%A8%E7%89%88-%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%B7%BB-%E7%9C%9F%E7%94%B0%E5%BA%83%E4%B9%8B/dp/B001ANJZNY/ref=sr_1_8?ie=UTF8&s=dvd&qid=1212571239&sr=1-8
ビデオで全巻所有していて自作DVD化もしてる僕ですが、当時の電波状況もあって画質が劣悪のため、結局買っちゃうと思います。
「太平記大全」であきたりない皆様、ぜひ完全版を見ましょう!
…もっとも待ってればTUTAYAあたりでレンタル開始しそうな気もします(^^;)。
問題は「太平記のふるさと」が残ってるかどうかかな。どーもカットされそうな気がします。CSでの放送時もカットされてたそうですし、17年前当時の「現地」が出てくるわけですから。ドラマ素材とはまた違うのでNHK的にも扱いが異なる可能性があります。

 なお、「マンガで南北朝!」の新素材をまたいくつか仕入れてますので、そのうち追加更新いたします。
 そのうち一つをバラしておきますと、湯口聖子さんの「明日菜の恋歌」をようやく入手しまして。冒頭の足利直冬主役の短編がなかなか良かった。少女漫画的に王道な展開かなと思ったら「太平記」のあのエピソードに絡ませてくるとは…「そうきたか!」ってな驚きがありました。
 そのあとは湯口さんが愛してやまない北条一族の最後の人、北条時行を主人公にした三作の連作。これもなかなかいいですねぇ。北条時行ってのも主役にして小説の一本も書ける人だと思うんですけど、実行者はまだいませんな。森村誠一「太平記」ではかなり焦点をあててもらってはいましたけど…。

 「マンガで南北朝!」も究極の企画としては自作の南北朝漫画を載せることだったりしますが、なんとか短いものならできないかとシナリオ思案中だったりします。
 

>景虎さん
 なるほど、紹介していただいた江戸時代の城下町のいくつかを見れば「城郭都市」的なものは存在するわけですね。
 やはり戦国時代を経過したのが大きいのかな〜と見ていて思いました。南北朝時代の合戦で「城」といえば赤坂・千早・白旗といった山城ばかりで、都市そのものの要塞化は鎌倉ぐらいしか見られないですよね。京都は何度も争奪戦が行われましたが川を防衛ラインにするばかりでだいたい攻め込まれたほうが負けちゃう上に長期占領もほとんどできないという、世界史的にみるとかなりヘンな首都なのかも。ま、鎌倉も何度かとったり取られたりしてますからたいして変わらないのかもしれませんが。
 戦国時代になって「城下町」が形成された結果、それをまるごと防衛するような城郭構造が出てきた…ということになるのかな?


>mozawaさん
 おや、今日見てこられたんですか、薬師寺展。実は僕も今日東京に所用で出かけてまして、神保町で本漁りをしてから、どうしようかな〜と思いつつ1時半ごろ上野駅まで来てたんですよ。ただ相当に混んでることは先週確認しておりまして…上野駅のチケット売り場の様子をみて決めようと思ったら、そのときすでにお年寄りの行列が。こりゃ2時間まちぐらいになりそうだとあきらめた…という次第です。まぁ「夜のお仕事」もあるんで時間的体力的余裕がなかったってこともあるんですが(笑)。
 2時間40分待ちで給水所ありとは、まさにマラソンですね(^^;)。ホトケになっちゃう人が出ないか心配。




#8178 
mozawa 2008/06/04 22:17
薬師寺展行ってきました

 今週末で終了、NHKと読売新聞で宣伝しているためか、大混雑でした。
 10時前で30分待ち、12時過ぎには2時間40分待ち、という恐ろしいことになっていました。列の途中に「臨時給水所」まであるんですよ。。。年配の人が多いですからね。
 展示そのものは、話題の日光・月光菩薩より、東塔の水煙が来ていたことにびっくり。(奈良に行っても目の前で見られないものなので)


 話は変わりますが、来年の大河のキャスト出ましたね。高嶋弟が主人公父、常磐貴子がヒロイン、というのは太平記から隔世の感、ですね。



#8177 
景虎 2008/06/04 15:18
日本の城

日本の城は城郭都市ではないと言われていますが、江戸時代になってくると実は城郭都市になっているんですよね。まあ、日本は水が豊富なので、川や土塁を使用する場合も多いですが、これも広い意味では城郭の一種といってよいと思います。

例えば、岡山城。
http://www.city.okayama.okayama.jp/museum/okayamajou/now/castle-now.htm
http://www.city.okayama.okayama.jp/museum/okayamajou/jokaku/jokaku.htm

航空写真を観ると、東は旭川、西は城壁と堀で囲っていますね。
山陽道も城壁の内側を通しています。

郡山城も分かりやすいですね。
http://www4.kcn.ne.jp/~suizan21/page020.html#lcn001
ここでは武家の町について説明されていますが、武家地の多くが城壁のすぐ内側、又は外側にありますね。恐らく合戦に備えての事でしょう。

ここ
http://www4.kcn.ne.jp/~suizan21/page013.html#lcn007
に現代の地図と重ね合わせた図がありますが、郡山城全体がよく分かります。

小倉城のCG
http://www.3kids-cg.com/kokura.html
完全に水上要塞都市ですね。

こうして見るとあからさまに城郭都市ですが、日本で城と言えば天守とその周辺のイメージしかありません。その理由としては、日本には完全な城が残っていないというのが一番大きく影響しているのでしょう。
その他にも、日本では城の概念の中に、城郭都市部分を含まないという事もあるのでしょうね。



#8176 
阿祥 2008/06/04 01:23
平遥古城

>徹夜城さん、かどきちさん

僕は仕事が建築なもので、都市史も興味をもってみています。世界中の都市の成り立ちを見ると、どうも城壁で街を囲い込むというのは非常に普遍的な出来事で、ヨーロッパ、中東から中国にかけて、どこの国でもみられます。逆に日本の城のように、城下町を城壁が囲い込まないという方が、例外的なようです。
このことを説明するによく言われるのは、異民族による征服とそれに伴う大虐殺が日本では起こらなかったということです。常に同じ日本民族による戦いのため、仮に征服されても、城下町の人々が他民族に殺されるという心配はする必要がなく、そのため城壁は城下町を囲い込まなかったという理屈です。

ところで、中国の山西省に平遥という街があります。世界遺産に登録されている、古い都市の様子がそのまま残っている、興味深いところです。是非一度観光で行ってみたいと思っています。北京から国内線乗り継ぎで1時間程度、きっと日本からのツアーもあるでしょう。
ここの城壁は、明清の時代の様子をそのまま残していると言われています。中国は発展が遅れたために、逆に昔の風情を現代に伝える観光資源がたくさんあります。これは、中国にとってかけがいの無い文化遺産でしょう。僕も是非一度行ってみたいと思っています。
http://www.wahei.org/pingyao/index.html



#8175 
徹夜城(テスト採点作業で一日つぶれた管理人) 2008/06/03 23:39
城春にして草木深し

>かどきちさん
 もともとここは歴史雑談伝言板だと僕は思っております(笑)。まぁお気軽にお書き込みくださいな。
 ほんらい漢字の「城」とは「城壁」のことなんですよね。漢和辞典でひいてみますと、「城壁の内側」という説明があります。外側は「郭」でして、両方合わせて「城郭」となるわけです。
 中国に限らず、文明は「都市」を発生させるとそれをまるごと防衛する必要から周囲をぐるっと囲む城壁を作るというパターンが多いわけです。今も残るヨーロッパの中世都市なんかもそうですよね。詳しくは知りませんが朝鮮半島でも古代以来事情はおんなじだったみたいです。ソウルの城壁の場合は日本統治期にはすでに城壁の外まで市街地化しちゃってたという事情もあって取っ払っちゃったみたいですが。そういや先日燃えちゃった南大門についても城壁再建という話が以前からあるんですよね。
 日本における「城」はほんらい「き」であり、あくまで防衛拠点施設を指します。それに「城」って字をあてちゃったんですが、そもそも本来の意味からいえば間違ってるんです。日本は都の構造だけは真似してますが城壁を作らなかったことについては単に面倒だったからなのか、つくる必要性を感じなかったのかについてはいろいろと議論があるんじゃないでしょうか。

 今でも中国語では「城」といえば「まち」のことなんですね。たとえば漫画「シティハンター」の中国語訳は「城市猟人」だったはず。台湾の映画で「悲情城市」ってのもありましたがこれも英題は「A City of Sadness」です。
 かの杜甫の名詩「春望」も「国破れて山河あり、城春にして草木深し」で、この「城」も「国」に対応して都市を指してるわけです。



#8174 
かどきち 2008/06/03 15:37
城壁について

徹夜城様、いつも早いリプライをありがとうございます。
でも、こんな雑談のようなレスでもよろしいのでしょうか?
さて、「大王四神記」の台詞に出てきた「契丹」は、確かにあれ?と思いました。
当時の北方民族なら匈奴とチャウかったかな?と。
さてさて、学校の授業レベルでしかも真面目に受けてなかった僕としては、初めて読んだ「項羽と劉邦」で「城」という文字が出てくるごとに、何か違和感を感じていたんです。
城と言えば、大阪城や名古屋城、ドイツのロマンティック街道に出てくる、建物とその敷地としてのお城としか、想像できませんでした。
陳瞬臣の「小説十八誌略」やマンガ「蒼天航路」を読んでも、まだぴんと来ず・・・、「なんでお城の中に領民が逃げ込むんや?」と、不思議でなりませんでした。
横山光輝の「三国志」でやっと、「城壁で街を囲むんや!」と気が付き、びっくりしたのを覚えています。
僕の周りの人にもちょっと聞いてみたことはありますが、これは僕に限らず、歴史に余り興味のない人は、城壁で街を囲むと言うこと事態を知らない人が、多いようです。
話を元に戻して、その時の驚きは感動ものでした。
それ以来、城壁に物凄い魅力を感じるようになったんです、だって街を囲むんですよ!
徹夜城様の倭人襲来絵詞のページでも「もっと南京城をアップしてくれ〜」と思ったものです(^_^;)
どこかのサイトで、昔の北京城の白黒画像を小さくアップしているものがありましたが、それだけでも感動しました。
10年前、初めて北京を訪れたとき、バスの停留所で「門」のつく駅名がたくさんあったんですが、停留所の周りには当然ながら門もなく、「こどかに門があるのかな?」と不思議に思っていたんですが、昔の城門の趾だったと知るのは、数年後でしたから。
今でも、どこかに北京城の城壁が残ってるところがあるらしいので、次回北京に行くことがあれば、是非訪れてみたいと思っております。
いつもながら「交通の邪魔になるとはいえ、なんで壊した〜」と悔しい思いで、いっぱいです。
3年前に敦煌に行きましたが、日本映画「敦煌」のセットは健在で、映画そのものでした。
反対に、本物の敦煌城の城壁はほとんどなく、その一部が畑の中に立っていますが、周りにはゴミが捨てられ、おまけに何かのウンコまでいっぱい散らばっていて異臭が漂い、地元の子供が登って遊んでいました。(そういう僕も、土の塊の城壁に登りました)
それに興味を示したのは、日本人観光客だけで、中国人観光客はバスから降りようともしませんでした。
映画のセットは観光資源として大切にしているのに、本物がないがしろになっていて、さびしく感じたことを覚えています。
そういえば、韓国ソウルの城壁は、確か日本の大正時代に取り払われたとどこかで読んだことがありますが、韓国併合が1910年で、大正元年くらいと思いますが、もしかして日本側が「交通の邪魔だ」とかで、門を残して城壁を壊してしまったのでしょうか?



#8173 
徹夜城(ひとつ長編ドラマを見終えた管理人) 2008/06/02 00:31
「太王」見終えました。

>かどきちさん
 はい、「太王ヨン神記」はもちろん掛詞…なのでありますけど、もともとは僕が某所で変換間違いをしたのがきっかけです。「四神」って「ししん」「しじん」じゃ出なくって(笑)。「よん」は日本語なんですけど、一説に古代高句麗語の数の数え方は日本語とよく似ていた…との話もありますんで、と無理やりコジツケておきます。

 というわけで昨日「太王四神記」の最終回まで見終えました。
 地上波で見てる方も多いでしょうから、ネタばれを避けて感想を書きますと…やはり最後までファンタジーです。史実とのリンクは一応あるけど話は別モノ、ということですね。第一回で予想はしてましたけどラストシーンは「広開土王碑」になります。その内容とはまったく関係ねーじゃん!というツッコミをしたくはなりますけど。
 終盤には契丹のみならず後燕も出てきて、慕容氏の内紛が描かれるなどこのドラマにしては微妙に歴史に絡んだ気もしますが…百済王も出てきましたしねぇ。それにしてもラスト2回はばかにあわただしい展開で数年が一気に過ぎてしまい、無理やり話をたたんでしまっているのが残念です。これ、もっと長い話の予定を急きょ切り上げたんじゃないか、って気がするのですけど、どうなんでしょう。一時製作しても放映できないとか、ペ・ヨンジュンさんが重傷を負ったとか報じられましたから、シナリオも変更を余儀なくされる事態があったのではないかと推察してます。

 かどきちさんは西安まで行かれてるんですか〜いいですね〜。こちらは上海・南京から蘇州・杭州あたりまでしか行ったことがないんですよ。
 城壁といえば南京は結構あちこちに城壁が残ってましたね。一部は新たに造成しなおしたんじゃないかって気もしましたが。



#8172 
かどきち 2008/06/01 21:58
大王ヨン神記(^。^)

徹夜城さま
上手なタイトルの掛詞?ですね。
いつも遊び心が満載で、楽しく拝見させていただいております(^_^)
さて、やっぱり時代考証というより、RPGですか。。。少しは期待していたんですが、そういうものなんでしょうね。
話が派生しますが、実は僕はなぜか「城壁」にものすごい魅力を感じておりまして、歴史ドラマに出てくるセットの城壁でさえ、画面で見るとワクワクしてしまいます。
生まれて初めて見た城壁は、大学時代に旅行した韓国で見たものでしたが、その当時は全く興味がなく、ふーんと言う程度でした。
約10年前に登った万里の長城(八達嶺)も、「世界遺産だ」くらいしか思ってませんでした。
大分後で気がついたんですが、紫禁城も城壁がありますけどね^^;
中国史が好きになってから、どうしても街を囲む城壁が見たくなり、4年前には嫁と子供をほったらかして、西安へ行ってしまいました(^_^;)
でも、その時の感動は忘れられません!
城門に登って、城壁の上を走り回ったり、いろんな空想をめぐらしたり、よじ登ってみようと試みたり(絶対に無理!)、城壁をなでたり・・・。
そんなくらいですから、「三国演義」や「大王四神記」で垣間見える城壁でさえ、嬉しくなってしまいます。



#8171 
ヨハネス 2008/06/01 16:55
ヒトラーの階級

唐突に変な質問なのですが、ヒトラーの階級はいったい何なのですか?

ヒトラーの階級は普通は「伍長」です。本や小説や映画などではよくそういいます。
ネットで検索しても伍長が多いです。
ですが、中学時代に読んだ世界史学習マンガや水木しげるの「劇画ヒットラー」
では「上等兵」になっていました。
ウィキペディアで検索したところ、ヒトラーの階級は「伍長勤務上等兵」だと
聞いたことがない階級名になっていました。ウィキペディアでそれ以上調べても
よくわかりません。

ヒトラーの本当の階級はいったい何なんですか?どなたか詳しい人がいたら教えて下さい。



#8170 
小覇王 2008/05/30 21:29
南北朝マンガ

マンガで南北朝!!
 
 早速読ませてもらいました。自分が読んだことがあるヤツは三分の一ぐらいですかね。主に児童向けのものは大体読んでいたようです。
 新田義貞は美形に描かれる傾向が多いようですね。不運ないイメージが強いのはマンガでの扱われ方にも原因があるような。
 うちには学研の伝記漫画は幾つか置いてあったのですが、一番好きだったのが、「平将門」。「まんが太平記-乱世に生きた足利尊氏-」を描いた田中正雄氏の絵だったと思うのですが・・・この人の絵柄は当時でも子供心に古い絵柄だなあ、と思ったものですが妙に親しみの持てるのも確かですね。この人の描くサブキャラの鼻が台形を縦にしたような独特なものだったのが印象深いです(登場人物のキャラでいえば早川多門の鼻)。
 読んでいないものについても機会があればぜひ呼んでみたいです。とりあえず岡村賢二版「私本太平記」を楽しみにしますか。
 


http://burebure.blog.ocn.ne.jp/burebureblog/


#8169 
徹夜城(どうも奥歯が虫歯らしい管理人) 2008/05/30 13:06
太王ヨン神記、もうちょっとで見終えます

>かどきちさん
 はじめまして。そんなに前から覗いてくださっていたとは感激です(^^)。
 僕も「三国志」→「日本の南北朝」→「倭寇」と流れてきた経緯がありますので、かどきちさんの歴史興味の変遷はたいへん共感してしまったところです。

 さて、「太王四神記」の時代考証…ですが。
 僕も高句麗についてはまるっきり知らないも同然ですのでその時代考証についてコメントはしにくいのですけれど、率直にいえばもともと史実ドラマというわけでもないので、考証についてはアテにならないと思われます。ヨン様の鎧すがたが最初に公表された時も「RPGだな」とすぐ思ったものですし。
 ただ高句麗建国者を描いたドラマ「朱蒙」よりはずっと「リアル」にはなってると思いますよ。「朱蒙」の時代考証は同時期の中国ですらありえない、隋唐以降のイスとテーブルの世界になっちゃってますから。「太王四神記」のデザインがどこか古代中国っぽいのはそのほうが古代らしさが出るという判断なのではないかと。わざわざウズベキスタンでロケするとか、「太古の時代」のムードを出そうという努力は感じられます。もっとも鍛冶屋に16世紀以降のようなヨーロッパ甲冑が置いてあったのは…(汗)。
 もっとも時代考証ということでは中国史ドラマも用心しなきゃいけないんですよ。「三国演義」でも「それはないだろう」というような鎧デザインが多く見られましたし、中には日本映画「敦煌」の鎧デザインをそのまま持ってきたのも見られました。いま見てる「大漢風」なんかはちゃんとしてるような気もしますけど。

 そうそう、「太王四神記」といえばNHK・BS−hiではもう最終回が放映されたんです。僕は録画だけして現在その2話手前まで見たところなんですが、高句麗の隣国の遊牧民として「契丹」が出てきたのには驚きました。契丹といえば遼を建国した民族だから5世紀初頭のこの時代に出てくるのは不自然なはずなんですが…ただ、このドラマ、海外セールスを考慮してか高句麗が「外国」と戦う展開は完全に回避されてまして(問題の「倭」も伝聞情報でしか出てこない)、問題にならない民族として「契丹」を選んだ、という可能性はあります。
 そしてその契丹の族長が「アティラ」って名前なのには二度ビックリ。もしかしてあのフン族の「アッティラ」のつもりなんでしょうか…!調べてみたら確かに生きてた時間は広開土王とアッティラはかすかに重なっているようですが、広開土王の晩年とアッティラの幼少時が重なるという程度。まぁそのぐらいの時代差はハリウッド歴史劇では平気で乗り越えた例がいくらでもありますので、驚くことはないかもしれません(笑)。



#8168 
かどきち 2008/05/29 21:36
大王四神記の歴史考証は

はじめまして、数年前から毎日楽しく拝見させていただいております。
私は、歴史に興味を持ち出したのが30を超えてからで、ほんの趣味程度ですので、こちらにレスされる皆様のように深く論じることは到底出来ないのですが、NHKで放送されるぺ・ヨンジュンの大王四神記を見てから、どうしてもレスしたくなってしまった者です。
歴史が好きになったきっかけが、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」でして、そこから中国史に興味を持ち、中国と同じような歴史が日本にはないかと探していたら南北朝という、記憶のかなたに眠っていた時代を探し当て(高校の授業でもサラッと流された程度だったから?)、南北朝に関するサイトを探して見つけたのが、徹夜城様のこのサイトだったというのが数年前でした。
さて、僕はいろんな歴史ドラマや映画を見て気になるのは、ストーリーもさることながら、建物や衣服、鎧なのです。
話を元に戻して、大王四神記では中国のような鎧が出てきておりますが、実際あのような感じのものだったのでしょうか?
歴史ファンタジーということですが、かなり僕的にはあの鎧がかっこいいので、気になってしまいます。
服装も、チャングムの時代のように、現在のチマやパジ・チョゴリに似たものはなく、中国風に見えます。
それから驚いたのは、中国なら挨拶のとき、グーとパーを合わせますが(包拳というのでしょうか?)、あのドラマでは日本のように立礼をしますね。
なぜか親近感が沸いてきます(*^_^*)
レベルの低いレスとは思いますが、ご教授ください。
最後に、「鳳」の続きを数年待ち続けております。
一日も早い続編を、心より待っております。<(_ _)>



#8167 
徹夜城(読みなれない少女漫画まで読んで少々疲れた管理人) 2008/05/29 19:26
「マンガで南北朝!」公開。

 しばしの沈黙はこれにかかりっきりだったためです(笑)。ここ二週間を犠牲にしまして、「マンガで南北朝!」コーナー、先ほど公開いたしました。
 学習漫画から古典コミック化、はたまた大河便乗ものやゲーム紹介もの、少年漫画や少女漫画まで、幅広く取りそろえてみました。作成の途中で存在を知ってあわてて入手して読んだものもいくつかあります。
 学習漫画関連でまだ入手してないものもあるのですが、それはおいおい追加していくということで。

 少ない、少ないといいつつ、探してみると結構あるんですよね。そしてマイナーなジャンルゆえでしょうか、妙にバラエティに富んでいるということも分かります。
 こうした作品を機に南北朝ワールドにのめりこんでくださる方が多くなれば幸いであります。

 さてと、今度は倭寇のほうをなんとか仕上げなきゃ。



#8166 
阿祥 2008/05/22 00:20


また、記名を忘れました。阿祥です。



#8165 
2008/05/22 00:19
鄭氏政権とフィリピン

鄭氏政権とフィリピンとの関わりは僕も興味深く思っています。

鄭成功は台湾攻略の直後に、マニラの華僑がフィリピン政府の迫害を受けたことに憤り、マニラを攻略すると外交的な書面を送っています。この大義名分は台湾攻略の際にも使われており、実現に移す可能性は少なからずあったようです。当事のフィリピンのスペイン人は1000名そこそこで、台湾のオランダ人が700名程度しかいなかったのと同工異曲です。当事の技術的レベルでいってもオランダ人の方がスペイン側よりも優れていて、オランダ人を攻め落とせるならば、マニラを攻撃するのも現実性は高いと、「中西最初的遭遇与衝突」では述べていました。その直後に成功がなくなったために音沙汰がなくなってしまいますが。
また、施瑯が台湾の鄭氏政権を攻略した際も、鄭氏側のトップの何人かはフィリピンに行きスペイン政府を打倒し再起を図るという意見を出しています。これも、決断の時期が遅く、すでに多くの船舶を沈められてしまった後で、実現はしませんでした。

以前はそれほど注意していなくて、成功によるフィリピン攻略など、秀吉が脅しをかけたのが現実味を欠いていたのと同じように、夢想にしか過ぎないと思っていました。しかし、これらの史実を見ていると、福建人にとってフィリピンは心情的に非常に近い場所だったに違いないと思えます。そしてそのような動きは徹夜城さんのおっしゃるように、林鳳のマニラ攻略と歴史的な動きとしてはつながっている様に思います。

また、先の投稿に関連させて言えば、このときの林鳳は明朝に追われている海賊で、明朝は林鳳のすぐ後にフィリピンに乗り込んできて、スペイン人と協力して、林鳳の退治をすることになります。フィリピン側の方では、林鳳の動きは明朝正規軍の攻撃の先駆けであると心配していたようですが、事実はそうではなく、明朝のおたずねものだったわけです。この事も後の華僑が中国政府をあてにせず、自分達のネットワークを頼りに生きてゆく、その後の生き方を髣髴とさせて興味深いものがあります。

福建人にとって、フィリピンと台湾は、商売の拠点として、また植民都市として同じような意味を持っていたようにいます。それが、地政学的な位置の違いで、一方は中国人の勢力範囲となり、一方はそのまま19世紀いっぱいまでスペインの植民地となってしまったというのは、歴史の必然と偶然がどのように働いた結果なのか、考えてみると面白い問題ですね。




#8164 
徹夜城(倭寇と南北朝に二股かけて執筆する管理人) 2008/05/18 23:24
歴史的「暴君」

>孟きょうさん
 言われてみれば、他の漫画(学習漫画系含む)でも北条高時って、どれも典型的な悪役ヅラですね。ああ、小学館「日本の歴史」はそうでもなかったかな。
 原因としてはやはり古典「太平記」が大きいでしょうね。「史記」にならった見立てを用いたためにことさらに高時が「亡国の暴君」に描かれてますから。また孟きょうさんもお書きのようにあれほど派手に滅亡した例は日本史上珍しいので、中国史のような暗君による天命変更=革命という構図に見事にはまってしまったのも彼の不幸でありました。また闘犬・田楽にうつつをぬかしていたのは史実(「二条河原の落書」でも言及)ですし、金沢貞顕が「亡気」と手紙に記しているなど、およそ名君に程遠かったことは間違いないと言われてます。
 一方で「暴君」であったかについては疑問視されてますよね。吉川英治「私本太平記」では政治には疎いが芸術を解し平和を愛する君主として描かれ、大河ドラマもこれを踏襲して片岡鶴太郎の名演(怪演)によりそのイメージが強烈に広まった感もあります。


>阿祥さん
 お久しぶりです。海賊コーナーもぼちぼちと…というところです。改めて思い知りましたが、なまじ自分が専攻してる分野はかえって書きづらい。しかもあくまで一般向けを意識して書いてるだけに…三歩進んで二歩下がるみたいな執筆情勢になっております。まぁ気長にお待ちください。

 「中西最初的遭遇与衝突」ですか…知人に「中西」さんがいるもんで、一瞬変なイメージが脳裏に浮かんでしまいました(笑)。
 いやぁ、それも実に面白い論考ですね。以前にも書いたことですが、岸本美緒先生が鄭氏集団と清朝の対決を「商業的武装勢力による南北対決」という構図で描きだしたのを思い出します。鄭芝竜と鄭成功の父子の離別と対決もそういう観点からみるとまた面白い。
 中国の海上勢力と西洋勢力の対決という視点はそれこそ林鳳のマニラ攻略(これこそ「中西対決」ですね)にも見られるわけで、僕はここにのちの鄭成功につながる流れがあると注目してるんです。それを描くのが小説「鳳」なわけですが…ええ、相変わらず書く気だけはちゃんとあって構想は続けてるんですが、ものには勢いというものが(^^;)。いざ勢いがつくと僕は早いという自信があるんですけどねぇ。



#8163 
孟きょう 2008/05/18 13:01



 >「私本太平記」
 現在の日本で連載されている漫画雑誌で太平記を読めるというのも画期的な事だと思うのですが、数ヶ月読んでいる間にあっという間に鎌倉攻めですね。この辺りはホント面白いんですよね〜。
 高時サンも来月号で自刃という事になりますが、このお方もつくづく歴代の太平記媒体でビジュアル面でエラい目にあってる気の毒な方ですね(泣)。漫画での顔だけなら日本史上最大の悪役の風貌になっており、さいとを氏や現在連載中の岡村氏の作品中でも「マッチョで油ぎった悪党」の風貌で描かれているし(岡村氏、「真田十勇士」でも秀吉には目にキラキラ星を入れる割に家康は高時風に油ぎった悪党に描いておられ、実に分りやすい・・) 講談社の子供向け日本史漫画でもゴツイ体の男子に描かれ、伊東氏はスネ夫のようなクチバシ顔にする始末でありまして・・。絵の媒体ですから「わかりやすい」というのは大事だと思うんですが凄すぎる・・

 私の勝手なイメージの中では高時は病弱で頬がこけており、目の下にクマがあり唐服を着ており芸術家肌、という先入観がありまして。いつかはそういう雰囲気の北条高時がコミックの世界で描かれないかなぁなどとか細い期待を抱いています(笑)。

 でも冷静に考えてみると、極端な悪玉とその崩壊シーンが少ない、というイメージの日本史の中で高時って貴重なキャラクターなんですよね(実像はともかくとして)。そこに鎌倉炎上による一門の崩壊、その後の各地域での呵責ない抵抗など、日本史には欠かせないカタルシスかと。何やら中国風の悪玉皇帝のようなビジュアルも散りばめられているし。物語の流れからいくと、後世イメージの良かった鎌倉政権を裏切り、滅亡させ、建武政権を引き立たせる後ろめたさを解消するためには、いくら袋だたきにしても罪悪感を感じさせず、断末魔の最後を盛り上げてくれる「醜悪なやられ役、モンスターのイメージ」がキャラクターとして必要だったのでは。そこで造形されたのが高時だったのかなぁ・・などと根拠も無く考えてしまいました。



#8162 
阿祥 2008/05/17 12:28
「中西最初的遭遇与衝突」

「海上史事件簿」とうとう執筆再開するのですね、楽しみにしています。僕もあいかわらず、明末清初に関するいろいろな本を読んでいます。最近読んだ「中西最初的遭遇与衝突」(周寧著)という本の中に、面白い分析があったので、紹介してみます。

この“西”というのは“西班牙/スペイン”ではなく西欧の意で、明朝末期のポルトガルの来航から鄭氏王朝の崩壊までを述べています。
この本では、中国沿海での海上覇権の推移を“中国内陸王朝”、“西欧の勢力”、“中国民間海上勢力”の三者の角逐という視点をとっています。そうすると、大体において海禁策をとっている“中国内陸王朝”にとって“中国民間海上勢力”は征伐すべき海賊になってしまいます。海での覇権を争うのは基本的には“西欧の勢力”と“中国民間海上勢力”になるわけですが、“中国民間海上勢力”は前面に“西欧の勢力”と戦い、後方では常に“中国内陸王朝”に脅かされていることになります。そのため、“中国民間海上勢力”は常に厳しい戦いを強いられてきたという分析です。

ポルトガルと中国海商の協力関係は徹夜城さんの専門ですから、お任せしますが、時代が下るにつれて、“西欧の勢力”と“中国民間海上勢力”は海上での覇権を競うようになります。17世紀に入りオランダが加わってくると、この勢力争いはだんだん加熱していき、中国沿海の制海権をかける戦いになります。鄭芝龍が活躍するのは、まさにこの時代になります。
そこで、鄭芝龍がとった戦略は、前後から攻め立てられる状況を打破するために、“中国内陸王朝”と和解するということでした。そうすれば、対オランダとの戦いに集中できるし、王朝側からのサポートも受けられるわけです。そして、明朝の招撫をうけ、正規軍として臨んだ戦いに勝利し、海上覇権を確立するわけです。著者はこの1633年の料羅湾の戦いを、“中国民間海上勢力”と“中国内陸王朝”が協力して“西欧の勢力”と戦い勝利した、特筆すべき出来事だと述べています。

しかし、この“中国民間海上勢力”と“中国内陸王朝”の蜜月状態は、明朝が倒れ清朝が興ったために崩れ去ってしまいます。鄭芝龍は“中国内陸王朝”と結んでこそ、“西欧の勢力”と立ち向かうことができると考え、清朝に降るという選択をしますが、この考えは中国士大夫の伝統的教育を受けた鄭成功には受け入れられず、また清朝の側も海上勢力の何たるかをまったく理解しておらず、“中国民間海上勢力”と“中国内陸王朝”は、再度敵対関係に入ってしまいます。

明・清という中国の伝統王朝は、どちらも内陸型で海上における商業を発展させるような考え方を持っておらず、それがために“中国民間海上勢力”は常に圧迫を受けています。(宋や元は違うように思われるのですが)そんななかで、海賊となりまたは密貿易者となり非正規的に商売をするしかない“中国民間海上勢力”が、例外的に“中国内陸王朝”と協力することができたのが、この鄭芝龍の活躍した短い期間だけだというのです。これは、王朝の末期に表れた、あだ花的現象だったという見方です。
そして、仮に明清交代の時期に、“中国民間海上勢力”が“中国内陸王朝”と継続的に協力できていれば、歴史はまた違った形になっていたであろうと述べています。

鄭氏四代の歴史を総括して、なかなか面白い見方をしていると思い紹介してみました。倭寇の時代では、ポルトガルと中国の海賊達は商売仲間として仲良くしているような気がしますね。また、この海上勢力による国政への参加という点では、“中華民国”という広東生まれで、いま台湾に残っている国は、面白い事例なのではないかと思い始めているところです。



#8161 
徹夜城(倭寇コーナーの執筆はなかなか進まない管理人) 2008/05/15 23:50
いざ鎌倉

誰が言ったか知りませんが「いざキャバクラ」というギャグが昔からあります(笑)。

 コミック乱TWINS連載の「私本太平記」、いよいよ鎌倉攻めのクライマックスです。先月、「この漫画のペースからすると次回で鎌倉陥落」と予想したのですが、さすがに二回にわけてました。
 千寿王クン、なかなか凛々しく登場しております(笑)。マガジンGREATの「山賊王」の千寿王とキャラが微妙に似てたりして。この「足利の御曹司」のもとに大軍がはせ参じて義貞がチラと嫉妬する…というお約束の場面もありますね。このあたりが義貞の悲劇性であります。
 今回掲載分で分倍河原合戦、そして赤橋守時の戦死までが描かれてます。大河ドラマでは勝野洋がカッコよく演じてた守時、この漫画でもなかなかカッコいいです。

 前にも書いたことですが、「マンガで南北朝!」というコーナーを準備中。ほかの時代に比べて材料が少ないからこそ成立するコーナーです(涙)。その前に「ゲームで南北朝!」の未公開分をなんとかしなきゃいかんのかなぁ。
 「海上史事件簿」、ここ二週間ばかり執筆してるんですけど、やはり自分が専攻してる分野だけに筆が進まん…(^^;)




#8160 
小覇王 2008/05/11 23:31
「ソ連クーデター」の時は・・・

 中学2年か3年でした。当時福島では夕方に「銀河英雄伝説」のアニメ第一期を放映してまして、ちょうど自由惑星同盟でクーデターが起きるエピソードの時でした。その日、いざテレビを見ようと思ったら「ソ連でクーデター」ニュースで番組はつぶれるという事態に。まさに事実は小説より奇なり、を身をもって体験したのでした。

http://burebure.blog.ocn.ne.jp/burebureblog/


#8159 
mozawa 2008/05/11 13:05
「壁崩壊の年」は

高校一年でした。
平成元年に高校入学なので、履歴書を書く時に計算しやすいのがよかったです。

ソ連クーデター(ゴルバチョフ退任、エリツィン台頭)のとき、宿泊学習でニュースから遮断されていたので、「山から下りてきたらソ連が無くなってた」、と言ってた友人がいました。ネットや携帯の無い時代のお話です。





#8158 
つね 2008/05/10 23:42
岡田真澄の愛称はスターリンだと思ってました。

昔、大学で「岡田真澄研究会」への勧誘のビラを見たのですが、その写真がスターリンでした。

私も中学時代にベルリンの壁崩壊を見たので冷戦時代を感じた最後の世代に属すると思います。恥ずかしながら、あのころはまだノストラダムスを信じたりしていました。そういえば、私は読んでいませんが伝説のMMRも最近、読み切りで復活したようです。
平成も20年ですか。余談ですが、昭和だと25年の足し引きで元号と西暦の変換ができたので、「昭和天皇があと2年、頑張ってくれていれば」という声がありました。「いやあと3年、早(以下略)」という声もありましたが。

ベルリン空輸は、何かで「危険な賭け。戦車を先頭としたトラックの列で、ソ連は黙って通しただろう」という評価を見たことがあります。確かに短時日に数千機も飛ばして事故0というのは奇跡的だったのかもしれません。

「スターリングラード」はドイツ版を見たことがあります。最初は休暇でイタリアかどこかの避暑地で楽しんでいる部隊が、最後はスターリングラードで2人だけになり、ドイツ軍の捕虜の群れが歩いている傍らで抱き合って雪にうずもれていくラストシーンは八甲田山を見るようでした。ちなみに主役の隊長は、後年、「戦場のピアニスト」でも最後に主人公を助けるドイツ軍将校を演じたそうです。

映画のクレジット。出場順と言われれば、確かにそうですね。ありがとうございます。でもあまり使われないのでしょうか。オールスターだった「タワーリング・インフェルノ」というパニック映画では主役級2人のクレジット順は左右2段組にして、一人は左側、一人は右側の一段上で処理するようなことをしていましたが、出場順ならこんな苦労はしなかったのに。



#8157 
徹夜城(GWはほとんど自宅にいて書き物をしていた管理人) 2008/05/08 23:55
史点更新

 黄金週間、みなさまいかがお過ごしでしたでしょうか。書き込みがパタリと止まっておりましたが、こちらは連休中は録画溜めを処理したりGyaoでなぜか「ガンダム00」にハマってイッキ見したり読書したり書き物をしたりで、ヒマなような忙しいようなヘンな日々を送っておりました。

 「録画溜め処理」の中には一年ぐらい前に録画したと思われる「花咲ける騎士道」という映画がありました。そのむかしジェラール=フィリップに演じられ、主人公「ファンファン」が彼の代名詞に、そしてそれにちなんで岡田真澄のあだ名になったりしているわけですが、僕が今回見たのは2003年のリメイク版です。脚本・製作にリュック=ベッソンがクレジットされてるやつ。
 コメディチャンバラ時代劇とでもいうような内容ですが、「七年戦争」が舞台になっていることが歴史映画マニアとしては注目点。ルイ15世とその愛人ポンパドゥール夫人も登場しますし、七年戦争に参加した各国の軍隊が入り乱れる戦場場面もわりと大がかりです。
 しかし新兵募集の場面で「兵隊になったらどのくらいで戻れるかね?」と聞かれた軍人が「七年戦争だからあと3年だな」と答えるとか、随所にギャグが入っています(笑)。

 今回「史点」を更新しましたが、実はGW中に「海上史事件簿」の執筆にとりかかりました。実に3年もほったらかしてますが、僕の場合は書く熱意の起こる時と関心の対象がほんとに気まぐれですから(笑)。いーかげん、この自らの専門コーナーだけはちゃんと完成させなきゃと思ってるんですけどね。



#8156 
ごろんぴー 2008/05/01 22:38
差し上げます

失礼します。趣味でHPを作っているものです。
主に本ですが、捨てるのはもったいないので、
欲しい方は無料で差し上げます。

http://www.geocities.jp/onkenkyu/zoutei

をご覧下さい。
(管理人様、発言不適切な場合、削除していただいて結構です)


http://www.geocities.jp/onkenkyu/


#8155 
小覇王 2008/05/01 00:56
パンダの記憶

 上野動物園のパンダ、「リンリン」が30日に亡くなりました。体調不良で、展示を中止した矢先の出来事でした。がけっぷち犬やら、矢鴨やら、動物のニュースがトップニュースになるのを見てると日本は平和だなー、と思ってしまうのですが今回は例によって今何かと話題の中国に関連付けての報道が多かったですね。
 現在パンダの商取引は、ワシントン条約で制限されているので、「リンリン」が死んだ現在、日本にいるパンダは全て研究目的で中国から貸与された中国籍ということになります。
 面白かったのは、1997年に中国政府が香港返還の際に香港にパンダを贈ったこと。これは国内移送として条約にはひっからないのだそうです。そして、これを利用したのが、台湾にパンダを贈ろうとしたことがあったとのコト。2005年のことですが大陸→台湾間を国内移送ということにしてなし崩し的に「ひとつの中国」を決定事項としようとしたそうです。さすがに台湾の陳水扁総統(当時)が拒否したとのコトですが。
 僕にとって上野のパンダといえば、「トントン」。小学生の時にわざわざ福島から見に来たのに遠くにお尻しか見れなかった思い出があります。それでもグッズを大量に購入してご満悦だった記憶も。しかし、その「トントン」もいつの間にか死んでいたですが。
 上野動物園にパンダがいないのは寂しいので、中国籍で全然かまわないのでまた見たいですね。

>ソ連の戦争映画
「鬼戦車T-34」は原題が「雲雀」というのどかなものだったと記憶しております。でも邦題のほうが格好いいですね。
 

http://burebure.blog.ocn.ne.jp/burebureblog/


#8154 
徹夜城(昨日今日と復旧作業に追われた管理人) 2008/04/30 23:28
帰ってきたFMV

 「三週間ぐらい」と言われていたのですが、修理に出ること一週間、昨日早くもFMVは帰還してまいりました。元の環境に完全に戻して現在書き込んでおります。

>尊氏没後650年
 「史点」ネタにするには小ネタすぎるかな、と思い、こちらに。
 尊氏は1358年の4月30日(旧暦)没。ということで今日付けで「650周年」ということにして京都・東寺で尊氏の位牌が新たに作られ、開眼法要(位牌でも「開眼」なんですね)が行われたそうです。東寺としては生前に尊氏から領地や釣鐘を寄進されているのでその遺徳をしのんで、なのだそうであります。
 これ、昨年「時代祭」行列についに室町時代が加わったことと連動しているような気がします。今頃になってなんで、ってまず思うところですし。
 東寺は南北朝の京都争奪戦で尊氏が本陣にしたこともあるところですからね〜。むしろ「迷惑かけられた」と言いたいところかもしれませんが。

 尊氏といえば、珍しく「マガジンGREAT」誌連載の南北朝漫画「山賊王」をチェックしてみましたところ、こちらも新田義貞の鎌倉攻めになってました。正確には次回鎌倉攻撃になるんじゃないかと。新田軍にくわわった千寿王(足利義詮)、何やら神がかっております(笑)。
 「乱TWINS」連載の「私本太平記」も次回で鎌倉攻めですし、ちょうど鎌倉陥落の5月に合わせてるんでしょうか…大河ドラマも季節を合わせてたフシがありましたし。もっとも「マガジンGREAT」の次号は6月2日発売です。


>電羊斎さん

>「老仏爺」
 僕は「ラストエンペラー」はTV放映時の吹き替え版でなじみがありまして、このシーンで西太后が「年老いたブッダと呼ばれておる」というセリフを言ったんですね。長らく妙な表現だなぁと思っていたのですが、いまようやく疑問氷解。「老仏爺」の誤訳直訳だったのですね。僕も倭寇関係資料で覚えがありますが、中国語の「老」「爺」は要注意ですよねぇ。
>「漢武大帝」
 これ、まだ見てないんですけどね。司馬遷にアゴヒゲってだけでそんなにツッコミ抗議が来るとは、結構あちらの視聴者も厳しいなぁ(笑)。欧米人が書いた鄭和本の邦訳書で表紙イラストの鄭和の顔に見事に長い髭が書かれていたのを思い出します。
>劉暁慶の則天武后
 これはNHK衛星で放映したときに見ております(一部見落としましたが)。「三国演義」で曹操を演じた鮑国安が唐の太宗を演じていたのも目を引きました。日本から遣唐使が来て挨拶する場面なんかもありましたね。
>奄美大島
 おお、そのようなルーツをお持ちだったんですね。
 奄美も沖縄も行ったことはないんですが、奄美諸島は文化的には琉球、砂糖植民地として薩摩の直接支配を長く受けたためにその影響も濃厚、という両面があるでしょうね。そういえば西郷隆盛も一時流刑になって奄美の大島に滞在していたことがあるはず。


>Кискаさん
 なるほど、「イワン雷帝」第3部は一部は撮影されてたんですね。それにしてもエリザベス1世をどういう風に出すつもりだったんだろう…第2部冒頭で出てくるポーランド宮廷の衣装が妙にイギリスっぽいなぁ、と思ったことはあるんですが。
 「エリザベス・ゴールデンエイジ」では各地の王族から縁談が持ち込まれるなかに「ロシアのイワン4世」が混じってるんですね。「雷帝(the terrible)と呼ばれております」と説明を受けてエリザベスが「あらやだ」と言わんばかりにまゆをしかめる、という演出があり、歴史映画ファン向けのイタズラとも思える場面でした。

 ソ連の戦争映画、確かに日本の嗜好にあうものが輸入されやすい、という面はありましたね。手元にあった戦争映画マニア本ですと「モスクワ大攻防戦」なんかは「勝利のためには命もいらないというご立派な人たちばかりで感情移入しにくい」などと書かれてました。
 「鬼戦車T-34」はなんのはずみでかDVDを売り場で直観購入して初めて見たんですよ。ソ連版「大脱走」でもあるんですが、分捕った戦車で道路や街を大暴走するどこかシュールな映画でもありました。



#8153 
電羊斎  2008/04/29 15:53
女帝と奄美など

>手足を切って、壷に投げ込む刑
これは則天武后が皇后時代に、前皇后の王氏と蕭淑妃の手足を切断した上酒壷に投げ込んだというエピソードが元になっているようです。なんでも「骨まで酔わせてやる!」といったとか。ただ、これは則天武后の独創ではないらしく、彼女が呂后の故事を元ネタにこの処刑法を思いついた可能性は多分にあります。
あと、女帝つながりですが、映画『西太后』で西太后を演じた女優の劉暁慶さんは後には則天武后も演じています。そして、ライバルをつぎつぎと追い落とし、事業でも成功して、ついには中国芸能界の「女帝」に。ある意味、西太后そのまんまの人生です。脱税でつかまったりもしていましたが。

>逆に奄美が未だに沖縄と混同される
鹿児島県本土地方、あるいは沖縄の話題ばかり先行
そうですよねえ。「奄美系大阪人」の一人として私も常々感じております。奄美は鹿児島と沖縄という2大ブランドの谷間で埋没した格好になってまして、観光客もあまり来ません(泣)。

私の父も奄美諸島の徳之島出身でして、奄美は方言や文化では確かに琉球・沖縄に近い面がありますが、薩摩藩の直轄支配を受けたことにより、薩摩的な要素も多分にあります。
現地にルーツを持つものとしては、奄美が琉球文化圏とヤマト(薩摩)文化圏の交錯している独特な土地として、もう少し注目されてもいいのではないかと思っています。みなさんもっと旅行してあげてください。本当にいいところですってば(笑)。

蛇足ながら、以前「しりとり歴史人物館」で調所広郷が取り上げられていましたが、父の郷里にはやっぱり薩摩藩への複雑な感情があるみたいです。



#8152 
tomohiro 2008/04/29 11:29
tibet問題に紛れて・・・。

tibet問題に紛れて、琉球文化圏の話題が
出てきましたが、この琉球文化園の所属する
南日本ですが、
私の住む関東では、
南日本といえば
鹿児島県本土地方、あるいは沖縄の話題ばかり
先行していると思います。
私の母が鹿児島の本土地方出身なんですがね、
今勤務している会社の同僚も鹿児島県本土出身者
でした。意外に関東に鹿児島県本土出身者
は多いようです。
で、もう片方の沖縄ですが、
川崎や鶴見に沖縄タウンが有るように
沖縄出身者がおおいですね。
逆に奄美は関西ほど情報が伝わらず
未だに沖縄と混同されるばかりです。



#8151 
Киска 2008/04/29 07:30
行って、そして見よ

>ライバルの麗妃の手を切って、壷に入れて幽閉する残酷シーン。
元ネタは呂后が威夫人に行ったと言われているエピソードですね。

>「イワン雷帝」第3部
歴史映像名画座で「エリザベス・ゴールデンエイジ」にはイワン雷帝が声のみではあるが出てくると書かれていたので、「イワン雷帝」第3部では、エイゼンシュテインはエリザベス1世を登場させているということを思い出しました。演じるのはエドゥアルド・ティッセ。女優ではなく、俳優でもなく、撮影監督(男性)です。
第3部は一部撮影されたものの、フィルムは破棄されたらしく現存していません。が、ティッセがエリザベスの衣装を身につけてカメラテストを行っている映像などが辛うじて残っています。
そういえば、エイゼンシュテイン&ティッセによる「十月」も、<十月革命時の映像>のようにしてドキュメンタリーで使われてしまうことが時にありますね。

>ソ連の戦争映画
もちろん勇壮な映画も結構ありますけどね。日本で上映されてきた作品は配給元が日本人(日本人一般というわけでもなく、ソ連映画を観るようなある種の日本人ということだろうけれど)に好まれるだろうと判断したものであるということも考慮すべきでしょうし。
悲壮で、主人公が生き延びられることなく、というものが多いです。そういうものに傑作が多いとも思うし。
「誓いの休暇」「鶴は翔んでゆく」「僕の村は戦場だった」などは、<戦争映画>というより<反戦映画>として名を馳せていますね。
「鬼戦車T-34」「トルペド航空隊」(←DVDでは「北極圏対独海戦1941」というタイトル)「道中の点検」「海に出た夏の旅」「金色の雲は宿った」(もっと挙げたいけれど、自重します)とかが私の好みです。迫力の戦闘場面と冷徹なレアリスム描写の中に垣間見えるリリシズムが。
好きというわけではないけれど、観ておくべき作品だとは思う「炎628」です。



#8150 
はりはり亭 2008/04/29 04:30
いやお恥ずかしい

電羊斎さま
>「すべての人が物を書ける、ということは結局のところ精神を腐敗させる」
蘇軾が「秦始皇帝論」で同じようなことを言っていたのを思い出しました
これははじめて知りました。勉強になります。ありがとうございます。
ニーチェの言葉については、いまの私の理解では、そういうことです。もっとも、ニーチェは本格的にやろうとしても、私の手には負えませんが...引用した言葉は、正確には「万人が読むのを覚えることが許されているというのは、長い目で見れば書くことだけでなく考えることをも腐敗させる」(「ツァラトゥストラ」から「読むことと書くことについて」)でした。たぶんこれは西尾幹ニさんの訳で、この人が政治や教育に首突っ込む前の本からの引用ですが、この人のそれからの人生行路を考えると、感慨深い物があります。
徹夜城様
>はりはり亭さん
 音楽関係は全く知らないのですが、キューブリックは凄まじいまでの凝り性でしたから、「バリー・リンドン」での音楽もかなり徹底的に当時を追及してるんじゃないかと。
いやおっしゃる通りで、まったくもってお恥ずかしい。記憶の中で「何でこの時代にシューベルトのピアノ三重奏なんだろう」というのばかり印象に残っていて、全編ロマン派の音楽を使ったのだと思い込んでいました。考えてみたら見たの20年は前だものなあ。言い訳にはならないか。
サリエリがモーツァルト殺害犯に本格的に擬せられ始めたのはモーツァルト死後30年もたってからで、それには当時音楽の分野でも起こりつつあったドイツ・ナショナリズムが関係していた、ということです。それにしても私にはサリエリとマイアベーアが少々重なって感じられます。ワーグナーのほうが悪辣ですが。



#8149 
電羊斎 2008/04/29 02:05
西太后、そしてひげ

わあ、2,3日来ない間に映画の話題で盛り上がってますねえ。

>「すべての人が物を書ける、ということは結局のところ精神を腐敗させる」
蘇軾が「秦始皇帝論」で同じようなことを言っていたのを思い出しました。始皇帝が礼儀作法を簡略化したり、書体を統一して漢字を簡単にしたりしたこと、さらに後には紙が発明されたことにより、誰でも文章を書けるようになったことで、悪い文章や詐術・詭弁が氾濫しているといった内容でした。蘇軾の論旨としては、利便性というものが人間を幸せにするとは限らないということなのですが、ニーチェもそういう考えだったのでしょうか。

>寅さんの普遍性
そうですねえ。中国のコメディドラマでもけっこう寅さん的なキャラは多いですよ。
というか、中国の庶民階級の中年男性には寅さんか、さもなければ、「じゃりン子チエ」のテツのようなタイプが山ほどいますよ。大阪人の私としてはうれしい限り(笑)。

>間違い歴史映画
私が印象に残っているのは、
>ラストエンペラー
ご指摘の点以外では、西太后の尊称「老仏爺(ほとけさま)」が「オールド・ブッダ」に翻訳されているところですかね。確かに西洋の文献ではそうなっているものもあるようなんですが、ちょっと直訳すぎでは。

>『西太后』(1984年日本公開)
ライバルの麗妃の手を切って、壷に入れて幽閉する残酷シーン。ですが史実では麗妃は天寿を全うしています。あれは確か則天武后の話だったような気がするんですけどねえ。
まあ、この映画自体元々『火焼圓明園』と『垂簾聴政』という二本の映画の見所、特に残虐なシーンだけをカットして一本の映画にしたニコイチ映画だったのですが。

あとこれは中国で大騒ぎになった一件。
>中国歴史ドラマ『漢武大帝』
中国で3年ほど前に正月大河ドラマとして大々的に放送されましたが、宮刑後『史記』を完成させた司馬遷の顔に立派なあごひげが生えているシーンがあり、視聴者からのツッコミが殺到して大騒ぎに(どうも編集ミスか何かだったようですが)。ドラマ自体のできはよかっただけに惜しい気がします。





#8148 
徹夜城(ホームズじゃなくてルパン派の管理人) 2008/04/29 00:23
ソニンの署名

…すいません、深い意味はないです。galleryさんに対抗しまして(笑)。

>小覇王さん
 「300」、やっぱ劇画版のまんまなんですねー。情報どうもです。
 「イワン雷帝」ですが、これはもともとスターリンが自身と重ね合わせるべく製作させた、ある意味プロパガンダ映画だったといわれてます。ところがエイゼンシュテインは第二部から秘密警察を使って粛清の嵐を進めるイワンを描き、別の意味でスターリンと重ね合わせていっちゃうわけです。第2部は公開中止にされ、第3部が製作ストップのうちにエイゼンシュテインが死んでしまったので未完に終わってます。したがって息子を殴り殺した話はでてこないです。

>NFさん
 近松といえば彼の「国性爺合戦」も相当な史実捏造歴史ドラマでありました(笑)。 ああ、勝新太郎の「秦・始皇帝」も凄かったですよねぇ。「カスター将軍」も今となってはまったく省みられない玉砕ドラマになってしまいました。聞いた話ではカスターを無謀な軍人として徹底的にコキおろした映画も存在するそうです。

>はりはり亭さん
 音楽関係は全く知らないのですが、キューブリックは凄まじいまでの凝り性でしたから、「バリー・リンドン」での音楽もかなり徹底的に当時を追及してるんじゃないかと。この映画は室内シーンを当時の照明だけで撮影するために特殊なレンズを使用したという有名な逸話があります。

>galleryさん
 法律関係の詳しい話、ありがとうございます。
 断種法の話ですが、進化論の「適者生存」を現実社会にあてはめていって弱者を淘汰することこそ社会のためと考える優生思想はナチスの専売特許ではなくアメリカでもかなり盛んだったようですね。また最終的に戦っちゃったとはいえアメリカ国民もナチス台頭への警戒感は当初はあまり大きくはなくナチスへの共感の声もあったと聞きます。チャップリンが「独裁者」を製作した頃もそんなぐあいで、この映画の製作はかなり妨害もあり冒険だったといわれ、それが後年いっそうチャップリンの偉大さの証明ともなったわけです。もっともそのチャップリンは戦後の「赤狩り」でハリウッドを追われることになるわけですが。

>tomohiroさん
 昨今の中国のナショナリズム報道もそうですが、無視はしなくていいのですけど(それなりに警戒はしたほうがいいので)ことさらに大ごとのように騒ぐこともないと思ってます。
 「つくる会」といえば検定申請のシーズンということで扶桑社子会社と教科書の著作権闘争をおっぱじめてますな。なんか「本家」「元祖」の争いみたいになってきました(笑)。



#8147 
tomohiro 2008/04/28 19:24
右傾化まとめ

ここ十年ぐらい、取りざたされている
右傾化の問題ですが、
これの反対している人間も
必要以上に大きく取り上げすぎだと
思うときがあります。
先日の教科書の會
の内紛などを見ていると
それほど巨大でもない
運動でもないのに
大きく取り上げすぎだと思っております。
他にも問題があるのならば、
それ以外にもあると思うのですが・・。
反対論者もSensitive過ぎというか・・。
無視すればいいのに・・。



#8146 
gallery 2008/04/28 13:58
ヒーローの研究

ホームズ判事の名が出てきたので、久々にお邪魔します。

>「オリヴァー・ヴェンデル・ホームズJr」

「偉大な反対論者」「アメリカの良心」とまで謳われた、法学(特に憲法学)の世界では有名な人です。数々のリベラルな名判決、少数判決意見で知られています。法哲学の面でも、ある種ターニングポイントと呼ばれて然るべき方です。
ただ「リベラル」といっても、この当時のことですから法環境とか半端でないんです。彼の意見が後々法律になった例としては、「児童労働は議会によって規制できる」「他人を強制して一日12時間以上働かせる自由というものはない」「ストライキは普通の生存競争における合法的手段」などなど。今では当然とされてることなんですよね。
特に、言論や表現の自由における「表現の自由市場」論や「明白かつ現在の危険」などは、100年近く前の概念にも関わらず、現在の憲法学説においても大いに評価されております(異論がないわけではない)。
ちなみに、日本における「表現の自由」規制における違憲基準は、学説と判例のかなり極端に分かれる部分ではありまして、学説の立場としては彼の認定基準など含め厳格に判断すべきと解されてるのに対し、最高裁判例(下級審除く)では、この基準が非常に甘いというかかなりアバウトなんですよね。100年ほどのアメリカにまだ追いついていない、というか。

そういうことありますので、「断種法」の件は少々驚きまして。
C・D・ボーエン『判事ホームズ物語(法政大学出版局)』を確認したのですが、「断種法」判決(バック対ベル事件・1927年)のことは載ってませんでした。ちなみにこの時、ホームズ判事86歳。亡くなられたのは、その8年後のこと。
ただ、これは彼が老齢のためではなくて(この当時、「いつでも年寄りの奴等と話の合わない最高裁判所の若い判事」との評価あり)、やはり当時のアメリカにおいては権利はまだしも、形式的平等は認めつつも実質的平等はかなり後回しになっていたんですね。認められるようになるのは、第二次大戦後のことで。
彼の辞任後、合衆国最高裁は急速に保守化するわけで。変わって台頭してくるのが、フーヴァーさん。



#8145 
はりはり亭 2008/04/28 04:25
訂正

すいません気になって確認したら「バリー・リンドン」の音楽は時代的に正しいそうです。あのシューベルトが流れる場面ばかり覚えていました。恥...



#8144 
はりはり亭 2008/04/28 04:20
サリエリは

NF様
>はりはり亭様
>「何でこんなだらしない男の話が受けるんだ。」
寅さんとは意味合いが違う気もしますが、日本の物語における主人公はたいして取り柄の無いぼんやりしたキャラクターである事が多いそうで、
なるほど、納得する話です。ただこの記事が妙に頭に残っているのは、「寅さん」のような映画を嫌うのは、外国人でもなく、世代の違う者でもなく(むしろ徹夜城さんのおっしゃる通り、結構普遍的な話だと思うんですよ。ラテン・アメリカで「寅さん」が嫌われた、なんて話も聞きませんし)、むしろ生真面目な日本のエリート層ではないか、と感じたからなんです。んで、ブラジル人に名を借りた記者の創作ではないか...いや、下衆の勘繰りですかね。

>徹夜城様
「アマデウス」のせいでモーツァルトがホントにサリエリに殺されたと思ってる人、少なくないらしいですからね。もっともあの劇・映画のおかげでサリエリの名が現代において有名になったのも事実で、彼の曲のコンサートが開かれたなんてこともあったはず。
サリエリの名が忘れられたのは、たしかに才能の問題もありますが、そもそも数多くのバロック期から初期古典期のオペラが今までは問題とされてなかったのですね。いまは事情が変わって、ヘンデルなど今ではまず何よりオペラ作家として捉えられている、と言っても過言ではないです。サリエリは天才でこそなかった物の、鑑賞にたえる作品も数多いと言うことです(自分で聴いたことがないのがちょっと悔しいですが)。現に2004年12月のスカラ座修復工事後のこけら落しでリッカルド・ムーティはサリエリの「見知られたエウローパ」を取り上げてます(ヴェルディでもプッチーニでもなく!)。もっと取り上げられてしかるべき作曲家でしょう。
ロッシーニ以前の作品は歌手がネックで、「見知られたエウローパ」でも超絶技巧が要求されたそうです。「セビリヤの理髪師」のような有名作品でも最後の伯爵の大アリアが歌われるようになったのはやっと近年になってからです。発声法の違いからくるようですが、その上カストラートの問題もありますからね。サリエリが忘れられたのはそういう事情もあったようです。
実は個人的にはそれ以上にフランス・グランド・オペラに興味がありまして、このあたりもぼちぼち再び取り上げられはじめているようです。デュマなどはこのあたりの作品を聴いていたのかな、と思います。モンテ・クリスト伯なぞはもろサリエリを聴いていたかも知れず、こういうことを考えるのも楽しいです(だからキューブリックの「バリー・リンドン」の音楽は完全に時代を間違ってるんですね)。



#8143 
NF 2008/04/28 01:35
映画と国のイメージ

>小覇王様
娯楽としてみた場合、史実の正確さは二次的な問題ですよね、確かに。世阿弥や近松門左衛門も、「実際の正確さより観客から見てそれらしいか、イメージに合うかの方が大事」といった内容の事を書き残していますし。日本の「国辱映画」にしても、笑えるだけマシですよね。アメリカ映画におけるアラブなどは「千夜一夜」かテロリストかの両極端だと言いますし。それに日本も外国を好き勝手なイメージで描いているのでその辺りは「お互い様」ですものね。

>徹夜城様
>ジンギスカンがジャムカと一騎打ちして相打ち
以前、「始皇帝と燕太子丹が一騎打ちして相打ち」という映画を取り上げておられたような記憶がふと蘇りました。
>「三銃士」
三銃士の一人アラミスが女っていう改変は可愛い方なんですな、してみると。
>「ペルシャ帝国=神秘主義と専制国家」VS「ギリシャ=理性と自由の世界」
やっぱり一般のイメージはこれなんですね。西洋軍事史専門の友人と長年付き合っていると「ペルシア帝国=二つの古代文明の流れを汲む先進的文明国」VS「ギリシャ=都市国家から領域国家への脱皮もまだ果たしていない辺境の蛮族」というイメージになってしまいましたが。そもそもギリシャはペルシアにより内紛に付け込み争いを続けさせる外交政策やら金銭攻勢やらで実質属国化していたとかいいますし、政争で敗れた人間がしょっちゅうペルシアに亡命しているイメージがありますし、後期には余剰人口がペルシアに傭兵として出稼ぎに行っていたとか(ダレイオス三世の側近にもギリシア人傭兵隊長がいたそうで)で相当に交流は深く同一文化圏といってもそれ程の問題がない気がしてしまうのですがね…。少なくとも古代における中国と朝鮮・日本の関係に近いような。
>アメリカ人も「玉砕」がお好き
更にリトルビッグホーンでのカスター「将軍」の無謀な突撃(「壮烈第七騎兵隊」)も挙げてみる。
>将軍様
初代が「寅さん」、二代目が「プルガサリ」とくれば孫がああなのも何だか納得です。二代目には「エヴァを見て感銘を受けた」とか「重度の鉄オタ」とかいった噂も流れているようですがどこまで本当なのやら。

>はりはり亭様
>「何でこんなだらしない男の話が受けるんだ。」
寅さんとは意味合いが違う気もしますが、日本の物語における主人公はたいして取り柄の無いぼんやりしたキャラクターである事が多いそうで、澁澤龍彦も「王朝時代の名だたる色ごのみ、業平も、平中も、光源氏も、匂宮も、すべて女性を遇する道を心得た、最高のダンディズムでしたが、実生活では放蕩無頼、無能に近い人間でした。」(「快楽主義の哲学」)と述べているとか。…でも考えてみれば中国の物語もそんなのが多そうです。恋愛ものである「紅楼夢」の主人公は勿論、「三国志演義」の劉備や「水滸伝」の宋江も英雄豪傑の話なのにそんな感じだし。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8142 
小覇王 2008/04/28 00:20
映画の事実

>徹夜城さん、皆さん
>300
 ずばり、原作どおりです。それもストーリーや衣装というだけでなく、構図やカット割りに到るまで。違うところといえば、映画では赤パンはいてますが原作では真っ裸(あるいは貞操帯みたいな極小パンツを着用)ということぐらいでしょうか。まあ、「300」については原作者も映画製作者も歴史映画を作っているという意識は少ないと思いますよ。
 僕はまあ、面白ければ「いい映画」だと思っているので、つまらない史実に忠実な映画よりはおもしろい歴史考証めちゃくちゃ映画のほうを支持します(ドキュメンタリーは別)。ただ、そういう映画を観る時(あるいは見せる時)はこれが歴史的事実なのかどうかを認識したほうがよいでしょうね。その上で楽しむ分には全然かまわないと思います。
 特にプロパガンダ映画は最初に「これはプロパガンダなんだ」と認識しているかどうかで印象が変わります。まじめに観るか笑い飛ばすか、大分変わってくるので事前にある程度知っているとよいですね。
 日本を舞台にした映画でいえば、そのでたらめ振りを楽しむのも一つの手です。まあ、国辱とかいって本気で起こる人もいますが、それを笑い飛ばせるのも日本人の特権なのですから。
>「イワン雷帝」
 といえば、皇太子を殴り殺した人、モンゴル人に大公位をいきなり譲ってまたいきなり復位した人、というくらいしか知りませんが、映画ではそんなシーンはあるんですか(特に前者)?



 

http://burebure.blog.ocn.ne.jp/burebureblog/


#8141 
徹夜城(自称歴史映画伝道師の管理人) 2008/04/27 22:32
ウソツキ歴史映画

…まぁ、劇映画ってのがそもそも「事実の再現」ではなく分かりやすく短くまとめた物語を見せて観客を楽しませたり感動させたりするものなので、「歴史映画」の大半が「ウソツキ映画」になってしまうのが実情だったりします。逆に全くウソがない歴史映画を探す方が難しいでしょう。
 それでもあまりの歪曲ぶりに「ウソツキ映画」と言いたくなる作品がいくつもあるのですよねぇ。

 米Yahoo!のその記事は明らかに最近のもの、よく知られているものを中心に選出したと思われますが、僕の知る範囲で古今のウソツキ歴史映画をあげてみますと…

★「ジンギスカン」(オマー=シャリフ版)
ジンギスカンがアラブ人役者、ボルテが金髪の美女、ジャムカは白人という出演者のことはともかくとして(しっかり書いちゃったけど)、ボルテを奪うのがジャムカ、ジンギスカンが訪問する中国(金?)がモロに清朝ファッション、しかも満州族がそこに攻めてくる、ジンギスカンがジャムカと一騎打ちして相打ちになるラストなど卒倒しそうなシーン続出(笑)。

★「黒船」(ジョン=ウェイン主演)
ハリスの話なのに奈良でロケ、下田に奈良の大仏があり、江戸の入り口の門が東大寺南大門で金剛力士像は「江戸の守り神」と説明される。将軍家定がなぜか少年、ハリスが結ぶ条約は日米の同盟関係(?)を決めるらしい(安保条約結びに来たのか、お前は)などなど。以前ブッシュ大統領が日本の国会で「日米の同盟関係は150年以上」と言っちゃったことがありますが、もしかしてこれが元ネタだったりして(笑)。

★「ラストエンペラー」
溥儀を皇帝に指名した途端に息絶える西太后、実際よりやたらに大規模な即位式、美形の甘粕(笑)、しかも川島芳子とデキてる上に拳銃自殺(実際は服毒)…まぁ中国のTVドラマ版「末代皇帝」は時間がたっぷりあったからなぁ。それでもこちらも日本関係の考証はいい加減でした。

★「仮面の男」
デュマの原作の時点でかなり大胆なんですが、映画は輪をかけて凄い。ネタバレは書きませんが○○の父親は実は△△で…というのは東映時代劇が何度も繰り返したパターン(笑)。脚本・監督が「ブレイブハート」「パールハーバー」の脚本家だと聞くとウソツキ常習犯といえそうです。

★「三銃士」(チャーリー=シーンが出てたやつ)
これもデュマ原作ではありますが、もうムチャクチャに改変。歴史がらみではリシュリューがフランス王位を狙っており、ルイ13世抹殺をはかってます。最後はルイに川へ突き落とされて死亡というトンデモない展開に(笑)

 東映時代劇で歴史ネタ探すともう大変なことになるのでやめておきます(笑)。
 黒澤明だって「影武者」じゃけっこう遊んじゃってますもんね。

>つねさん
 「アマデウス」のせいでモーツァルトがホントにサリエリに殺されたと思ってる人、少なくないらしいですからね。もっともあの劇・映画のおかげでサリエリの名が現代において有名になったのも事実で、彼の曲のコンサートが開かれたなんてこともあったはず。
 「エリザベス」は前作でもすでに面白さ優先で史実を曲げちゃってましたからね。前作のラストでジョゼフ=ファインズ演じるダドリーがエリザベスから絶縁を宣告される改変がほどこされたので「ゴールデンエイジ」じゃ出ませんでしたし。でも前作に比べれば今度のは史実歪曲は少ない方だと思うんですけどね。
 最後のクレジットは「登場順表示」というやつだったんだと思います。

 高校生にお薦め歴史映画ってのも難しいですねぇ…と言いつつ、以前大学受験生相手に世界史教えていたとき参考に映画の話をよくしてた僕ですが(笑)。
 「マルコムX」は、なんせ監督がスパイク=リーですから、そう説教調でもないですよ(ラストは除く)。前半はほとんどギャング映画のノリになってて、あまり教育上よろしくない気もします(笑)。


>マルクスの恋人さん
 「アンタッチャブル」はTVドラマでさんざん歪曲した上に、それに基づいての映画化ですからねぇ…先日話題にした「OK牧場の決闘」関連もそうですが、映像化以前の段階で面白おかしく史実は歪曲されてるもんです。「忠臣蔵」だってほとんどそうと言っていいぐらいで。
 エイゼンシュテインといえば「イワン雷帝」。第二部でその姿がモロにスターリンその人と重なっていく展開は、別の意味でゾクゾクしてくる歴史歪曲ですね(笑)。製作はされなかったけど、第三部のシナリオ構想ではスターリンに粛清されたエイゼンシュテインの友人たちが実名でゾロゾロ読まれることになってたそうで。



#8140 
マルクスの恋人 2008/04/27 21:27
階段から落とすべき映画

私だったら「間違い歴史映画」に「アンタッチャブル」を挙げますね。
「実話を元にした話」というのを長い間すっかり信じ込んでいましたもん。捜査班の得意技は電話盗聴作業で、銃撃戦など一度もしていない(カナダ国境でのあのシーンはぜーんぶ作り話! もちろん駅の階段のやつも!!)ことや、捜査班メンバーに殉職者はおらず(ただし捜査員ではない運転手1人が殺された)従ってエレベーターの殺人もショーン・コネリー扮する老巡査の話もぜーんぶ架空、そもそも捜査班の人数はもっと多かったし、似ても似つかないやつらばっかり、ネスとカポネだけは実在したけど、最後まで顔を合わせる機会はなく、最後の裁判すら、こんなので人1人有罪にしたらそっちのほうが問題だと後世の指弾を受けているような代物だったとということを知って、どんなに衝撃を受けたか! 畜生! 純真な少年を騙しやがって! 
しかも、服装のデザインとか、音楽とか、ショーン・コネリーはじめ俳優の演技がなまじ1流なんだからもう! みんな大真面目な顔でやってるから、フィクションだとわからんじゃないか!!
アクションシーンのオマージュ対象として有名な「戦艦ポチョムキン」もフィクション入れまくりですが、こちらも映像技術の革新者として(ストーリー以外の点で)不滅の評価を受けてますな。

嫌ですねえ、プロパガンダ映画って。特に、史実をわからないように曲げる映画は。



#8139 
つね 2008/04/27 15:46
歴史映画

>哲人法官ホウムズ
ホームズについては「アメリカ哲学(鶴見俊輔)」を読んでいたときに、少し紹介されていたので「ニュールンベルク裁判で言及されていたのはこいつなんだろうな」と思っていました。本では「断種法肯定」には触れられていませんでしたが。

>間違い歴史映画10傑
ゴールデン・ラズベリー賞と同様に話題作で、かつ現代の高校生が見る、という観点もあるでしょうね。私としてはぜひ「パール・ハーバー」は挙げてほしかったところです。勘違いしてしまう人が多いというのでは「アマデウス」なんかもそうですかね。好きな映画の一つですが。

「エリザベス・ゴールデンエイジ」は私も見ましたが、女王の孤独と当時のイギリスの緊張感を映し出せていたと思っていました。しかし「本物の女王は当時、映画ほど若くなかった」というのは理由としてどうかと。私はあまりこの時代については詳しくないし、前作は見ていないので、ウォルシンガム卿とウィリアム・セシルを完全に混同していました。あとフェリペ2世のあの生意気そうな娘は誰ぞ? とか、フェリペ2世はよちよち歩きでおかしいなあ、とかなぜ最後のクレジットでフェリペ2世が1番目でエリザベスが3番目なんだ(2番目は忘れた)、とか思ってました。

高校の歴史の先生お勧めの歴史映画10傑っていうのは難しいでしょうね。主役を作り勧善懲悪的にしないと映画としては難しいので。「ガンジー」とか「マルコムX(未見)」あたりなら人種差別との戦いということで作りやすいのでしょうが。



#8138 
はりはり亭 2008/04/27 01:46
寅さん

徹夜城さんのおっしゃることを聞いて思い出したのが、もう大昔、朝日だか読売だか忘れましたが、たしかブラジル人が寅さん映画を見て「何でこんなだらしない男の話が受けるんだ。ブラジルにはこんなやつたくさんいる」と言った、という記事。そのときは「ふーん、あちらの人はそう感じるのか」くらいにしか思わなかったのですが、今思うと記事を書いた記者さんの悪意が相当入っていたような気がします。全文フィクションだとまでは思いたくないですが...



#8137 
徹夜城(GW中とくに予定もない管理人) 2008/04/26 22:29
このごろ日本に流行るもの

 …幼稚、花折り、硫化水素。
 最後のはシャレにならん状況であります。

>mozawaさん
 「寅さん」って、あれで案外世界のどこでも通用するんじゃないか、って気もするわけですよ。どこの国でも似たような位置づけの庶民喜劇映画って作ってるはずなんですよね(海外マーケットに売りに出されないだけで)。アニメ「じゃりン子チエ」を見たディズニーのスタッフが「テツのような男はアメリカにもいる!」と大絶賛したなんて話を大塚康生さんが書いてましたっけ。
 「寅さん」といえば身近な(?)ところで北朝鮮の金日成がファンだったと噂されてます。「日本に行くことがあるとしたら、葛飾柴又に行きたい」と言ったとかいう「噂」「伝説」がささやかれていますが、ホントかどうかは…。ただこの人、山口淑子が議員訪朝団でピョンヤンを訪問した際、「李香蘭さん!」と向こうから声をかけてきたという逸話はあるんでけっこう映画ファンだった可能性が。つーか、息子さんはもっと輪をかけた映画マニアといわれてますがね。自国製怪獣映画つくるためにわざわざ日本からゴジラのスタッフを呼んじゃうぐらいですから(笑)。「怪傑洪吉童」製作時は香港のワイヤーアクションチームも呼んじゃったらしいですし。


>300
 今日見ました。想像以上に大問題な映画ですな、こりゃ。原作のグラフィック・ノベル(劇画)の段階でこんな調子なんでしょうか。
 「ペルシャ帝国」の連中がクセルクセス王をはじめなぜか黒人ばっかり。イラン系だとよけいにややこしくなるから避けたのかもしれませんけど、「ペルシャ帝国=神秘主義と専制国家」VS「ギリシャ=理性と自由の世界」という単純な対立構図は「対テロ戦争」の論理そのまんまにしか見えてこない…奴隷にはなりたくない、自由のために戦うとほざいてますが、スパルタはじめギリシャ世界だって大量の奴隷の上に成り立ってたはずなんだがなぁ…
 もとの劇画がそうだったんでしょうか、やたらグロ趣味なのも見ていて辛い(ただ「絵に力がある」のは確か。やはり劇画原作だからかな?アニメ一歩手前って感じです)。
 それにしても「300」「アラモ」「グローリー」と思い起こすと、アメリカ人も「玉砕」がお好きのようで(笑)。



#8136 
mozawa 2008/04/25 15:40
ロシア人と日本人の情緒

  ソ連時代でしたが、「モスクワで「男はつらいよ」が人気」というレポートをNHK21時のニュース(木村太郎&宮崎緑時代かと)で流してたのを思い出しました。
  

 



#8135 
はりはり亭 2008/04/25 05:05
幼稚化とかチベットとか

「日本人の幼稚化」...などと言うと私はパソコンをはじめたころ一部の掲示板やサイトを見て愕然としていたころを思い出します。確かニーチェが「すべての人が物を書ける、ということは結局のところ精神を腐敗させる」とかいうことを言っていて、それまでは「なんて差別的なセリフだ」と思っていたのですが、つくづく真実だなあ、と思い知ったものです。しかし今では要するに昔は良く見えていなかったダメダメな部分が良く見えるようになった(ネットの発達とかマスコミの重箱の隅をほじくるような報道(しかもウソが多い)で)というだけの話ではないかと思っています。実体がそう変わっているとは思えません。いやむしろ簡単に戦争に走ったり内ゲバ(笑)したりしないだけ今のほうが賢いのでは。
チベット問題、まあ皆さんのお話で論点はほぼ出尽くしていると思いますが、ただ、中国の方が「長い目で見てくれ」と言われても、チベット人にしてみれば「もう待てない」というのが本音でしょう。ダライ・ラマも高齢だし、何よりチベット開発は、中国にその気がなくとも圧倒的な数の暴力と写っているはずで、まさにいま劇的な変化が必要なときではないでしょうか。何よりいまの中国はもうちょっとやそっとのことでは揺るがない基盤を持っていると思われます。むしろダライ・ラマの要求を逆手にとって丸呑みし、「中国はこれだけやった。日本や欧米もしかるべき態度を示せ」と迫る手もあるんじゃないでしょうか。
それにしてもたしかにあの聖火妨害は暴力的な上に戦術としても拙劣です。何より私にとってはあれは反捕鯨団体の狂気を思い起こさせられて不快です。中国のほうもそれに過剰反応してもうワヤになってますな。なお4月19日朝日新聞の莫邦富氏のコラムはとても参考になりました。
...あと、私にとって中国における「チベット」は日本における「沖縄」に半ば以上重なります。中国を批判する本土のマスコミをかの地の人々はどう見てるのだろう。



#8134 
徹夜城(そしてまた映画話をしている管理人) 2008/04/24 21:59
映画関係のレス&話題

 で、長くなるので映画関係の話は別に投稿します。

>つねさん
 「ニュールンベルグ裁判」、僕も見終えてからすぐに史実関係を調べたんですよ。で、やっぱりなんにも出てこないんですよね。被告の中心人物「ヤニング」だって検索かけるとこの映画か舞台の話しか出てこない。いくつかのサイトや英語版ウィキペディアで「史実に基づいたフィクション」と紹介されてます。
 劇中、マクシミリアン=シェルの弁護人が言う「アメリカのホームズ判事は断種法を肯定した」というのは史実のようですね。ウィキペディアでも項目がたってる有名人で、一説にドイルはこの人の名前から「ホームズ」の名をつけた、という話もあるようです。
 この映画で興味深かったのは1961年という段階のアメリカ映画でドイツ側の主張を節々で描き出していることです。「ヒトラーだっていいことをしたんです」という善良そうなドイツ人召使、連合軍の空襲で家族を失った人、あるいは「復讐裁判」で戦犯として死刑に処されたドイツ軍人の未亡人といった人物が登場し、ワイマール憲法にも関わった明らかに進歩的かつ人格的にも優れた法学者がナチス台頭を許した「被告」として裁かれるのがメインストーリー。これらの設定をアメリカで作るにはかなり冒険だったのでは、とも思うんです。「赤狩り」のひとまずの終息後だったからかな、とも思うのですが。
 リチャード=ウィドマーク演じる軍人検事がナチスの強制収容所の惨状を写した記録フィルムを裁判で上映、その場にいた全員が大ショックを受けるわけですが、「裁判に直接関係ないものを持ち込んで情緒的にあおるな」とシェル演じる弁護人が言うのももっともでもあります。この辺の双方の作戦・攻防が「裁判映画」として圧倒的に面白くしてるのは確かですね。


>ソ連戦争映画なぞ。
 ここんとこちょっとヒマなもんで、DVDを何本か借りて鑑賞してます。昨日見たのがソ連の戦争映画「スターリングラード大攻防戦」(1972)。邦題から想像されるような戦争超大作ではなく、スターリングラード戦に参加したある一部隊の兵士たちの「奮戦」模様を描いた小品といっていい作品です。小品といってもドイツ軍の戦車軍団が迫り来るのを迫撃砲で迎え撃つシーンなんかはかなり大掛かりです。
 ソ連の戦争映画は数本しか見てませんが、お国柄なんでしょうか、「勇壮」からは程遠いんですよね。確かに国策映画ではありますしそれなりに兵士たちの奮戦ぶりを描くんですけど、愛国心だなんだといったセリフも全くなく、ただただ地獄の戦場で苦労を強いられる兵士たち(英雄でもなんでもなくみ〜んな普通の一市民)一人ひとりを克明に描く展開で、悲壮感・疲労感がドッと…。死んだ兵士からちゃっかり酒を頂戴したり、メシが来ないと補給部隊にブーたれたり、こっそり看護婦といちゃついたり、うっかり味方を撃っちゃったり、上官の無茶な突撃命令に「馬のことを頼みます」と言い残してアッサリ無駄死にする兵士に、「なにやってんだ」と文句をたれる上官…などなど、西側戦争映画とは一味もふた味も違う妙なリアルさがあります。
 ようやく生き残った兵士たちに将軍が勲章を授け、兵士たちは勲章をウオッカに投げ込んで「俺たちが生き残ったことに乾杯」と「一味神水」よろしく回し飲みするラスト(こういう習慣が実際にあるらしいですね)も爽やかというよりは疲労感のほうが漂い…どなたか映画ライターの人も書いてた、ロシア人の「泣かせのツボ」は意外に日本人の感性に近いんじゃないか、という説を思い出したものです。日本の戦時中の「戦意高揚国策映画」も妙に悲壮感があって戦後に見た米軍人からは「反戦映画か?」と思われたという話もありましたっけ。


>高校の歴史の先生を泣かせる間違い歴史映画10傑
The 10 Most Historically Inaccurate Movies
Films that makes your high school history teacher cry.
 …ってのがアメリカのYAHOO!で発表されたんだそうですよ。順位はついてないようですが、以下のようになります。

「紀元前1万年」
…日本ではこれから公開。エメリッヒ監督という時点で(笑)。
「グラディエーター」
…これにツッコミを入れるなら元ネタの「ローマ帝国の滅亡」を挙げませんと。
「300」
…借りてきてるんで、これから見ます(笑)
「ラスト・サムライ」
…来たー!しっかり挙げてくれて嬉しい(笑)。
「アポカリプト」
…全編マヤ語でやるという時点で。
「さゆり(メモワール・オブ・ゲイシャ)」
…サムライと一緒にゲイシャも挙げられてしまいました(笑)。
「ブレイブハート」
…「これなら「柳生一族の陰謀」でもアカデミー作品賞とれる!」と僕も思った(笑)
「エリザベス・ゴールデンエイジ」
…最近作だから挙げられたような…「仮面の男」のほうがもっと凄いぞ。
「パトリオット」
…なにげに大人気のメル=ギブソン(笑)。10本中3本に関与してます。
「2001年宇宙の旅」
…はぁ?

↓選出の理由についてはこちらのサイトの英文をお読みください。

http://movies.yahoo.com/feature/10mosthistoricallyinaccurate.html


#8133 
徹夜城(長文化はなるべく抑えようと思ってはいる管理人) 2008/04/24 21:20
怒涛のレス

ちょっと油断してると凄い書き込み量であります。
まず映画が絡んでない話題についてレスを。

>小覇王さん
 韓国大統領ですが、先日TBSの番組に出演し市民と対話した際「私は大阪生まれですから」と日本語をちょこっと話したらしいですね。以前金大中元大統領は日本時代の教育を受けて日本語ぺらぺらでしたが、それと対比して「時代の流れ」を感じさせる話です。


>呉哥窟さん
 はじめまして!数年も前から「史点」をお読みいただいていたとは…恥ずかしいやら嬉しいやら。
 御投稿、実に興味深く何度も読ませていただきました。呉さんのような立場からこの話題についての考察を見られるとは、この伝言板はかなり貴重な存在になってるんじゃないかなぁと自画自賛しております(笑)。
 電羊斎さんもお書きでしたが、僕も中国国内あるいは留学生たちの今度の反応(一部に確かに行き過ぎ・過剰なものもあるようですが)について日本のマスコミなどが「愛国教育の結果」と槍玉に挙げるのはいささか実態を読みはずしてるのではないかと思ってます。そしてそれをやたらに批判的に口にする人たちが日本国内については「愛国教育」をやりたくてしょうがない人たちだというヘンな構図がありまして、もしかして「羨望」なのかな?とうがった見方もしたくなります(笑)。
 いま興味深く思ってるのがアメリカのブッシュ政権の中心人物たちの口から「中国たたきは逆効果」と警告する発言が相次いでることです。アメリカ中心主義的な発想を強く有するこの人たちに僕はちっとも共感しませんが、その判断・分析じたいは間違ってない気がします。もっとも大戦後のアメリカ・中国の関係史というのはなかなか複雑怪奇で、日本人などには読み取るのが難しい。それで過去に何度しっぺ返しをくったことか、と。


>電羊斎さん
 再び詳しいお話をありがとうございます。
 確かに中国国内においては「表現の自由」がないわけで、その中でイマイチ慣れてない浮ついた抗議行動というのは下手すると暴走する恐れがないとは言えないでしょうね。
 先日、映画「実録・連合赤軍」を見ていて改めて思ったことですけど、日本では60〜70年代にかけて凄まじい学生運動・デモの嵐があったわけですけど、その参加者のどれほどが「本気」だったのか、疑問を感じてもいるんですね。そして極端に「本気」だった連中は連合赤軍に突っ走っていってしまったわけです。
 劇中、あさま山荘に篭城した「赤軍兵士」たちが「ニクソン訪中」のニュース映像を見て愕然とし、「反米愛国はどうなるんだよ!」とわめくシーンがあります。このシーン自体はフィクションではないかと思ってるんですが、あさま山荘事件の最中にニクソン訪中が行われたのは史実で、彼らの家族もこの件を説得に使い「時代は変わったのよ」とよびかけた事実はあります。ただキッシンジャー訪中は前年のことなのでこの時点で彼らがビックリということがあるかなぁ…とも思うのですが、文革中国ベッタリで「反米」を掲げていた彼らが「米中握手」が現実となったとき愕然としたであろうことは予想できるんですね。彼らと180度違う政治的立場の人たちも同時愕然としたわけですが。
 連想でとりとめもなく書いちゃいましたが、どーも日本は中国相手に好きにせよ嫌いにせよ極端にのめりこむと、読み違えでしっぺ返しを食らう歴史を繰り返してる気もしちゃいまして。


>mozawaさん
 小泉さんにつきましては、自民党内でも「お前のときに決まったことなんだから前面に出ろ」と突き上げもあるみたいです。責任を取らせようというのと人気を利用しようというのと両面あるようですが。山口補選でも福田さんじゃなく小泉さんを応援に送れ、との声もあるようで。
 しかし「首相候補」に小泉さんをわざと混ぜてる時点でマスコミ側もそういう結果を期待してるということも忘れちゃいけません。



#8132 
NF 2008/04/24 00:56


>小覇王様、mozawa様
まあ、小泉氏がいまだに人気があるのは分かる気はしますよ、やっぱり。政治家にとって重要な資質の一つである「ハッタリをかます能力」「人々に夢(幻想)を見せる能力」に関しては日本の政治家としては図抜けていたのではないか、と思うわけで。というか、他の面々が不得手なだけな気もしますけど。あと、お二人が少し述べられているように鼻は利くのではないかと。…それをわが身のため以外にも使ってほしかったですが。安倍前首相や福田首相は尻拭いをさせられている上に国民に夢を見せる手腕には長じていない、だから風当たりが強いんでしょうね。ただまあ、小泉氏が一位とはいえかなり票が割れた結果だったように記憶していますし、支持している理由なんて分かりませんし「愚かな大衆」と絶望するのはまだ早いのでは?
日韓関係については、国民同士がしっくりいかんでしょうからあまり急いでも仕方ないのではないかな、と。あまりベタベタせず(距離を短兵急に縮めようとする事で逆に摩擦が増大しそうですから)様子を見ながら焦らずゆっくりと。近代だけじゃなく歴史を通じて関係に苦慮してきたわけですから、気長に気長に。民間レベルでの繋がりは深くなっていますし時間が解決するかと。まあ、考えてみれば小泉外交も日本と中国・韓国との間の潜伏していた摩擦を表面化させ直視せざるを得なくしたという点では悪いばかりではありません。単純に相手の言い分を信じ受け入れるだけが有効じゃありませんし、いずれは通過しなければならなかった段階だと思いますから。

>呉哥窟様
わ、中国の方も…。始めまして。電羊斎様のお話もそうですが、現地の方の御意見というのは視野を広げる助けになり大変参考になります。ちょっと思った事ですが、
>中国は多くの問題があるに違いないが、少しずつよくなってきました。
世界の意見が厳しくなったのは、だからこそなのではないかと。言い方は悪いですが、「普通の途上国」ではなくなりつつあるので、求められる基準がそれに伴って高くなった結果というのもあるのではないでしょうか?電羊斎様の内容とかぶりますが、日本もかつて通った道です。こうしたバッシングは成長に伴う痛み、という側面もあるのではないかと(脅威となって西側諸国にとって都合が悪くなっている点含め)。まあ、中国の今の国力を考えると周辺諸国に「余裕」がなくなってしまうのはある意味やむをえないとは思います。僕にしても隣の超大国(しかも相互の国民感情は良好とは言い難い)と言う事で中国に「脅威」を感じているのは否定できませんし。あと正直申し上げて、西側諸国から見てまだまだ中国では「人命が安い」と見えるのはやむを得ないかと存じます(チベット問題にしても政治的独立云々よりも寧ろそちらの方が反感を買う原因になっている可能性があります)。
ただ、中国の方々が憤慨されるのも理解は出来ます。たとえ自国に許しがたい問題があると思っていたとしても、他国人に言われると腹が立つものですから。ましてや、「お前ら嘗てウチに何をしたよ」という感情もあるでしょうし(苦笑)。これが逆に相互が意固地になってしまったとしたら、確かに残念ですね…。互いに、焦らず感情に流されず最善の道を探りながらやっていきたいものです。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8131 
NF 2008/04/24 00:04
「史点」が早くも

…PC、災難でしたね。僕も昔にメイン使用PCの調子がおかしくなって一ヶ月近く修理店に出していた事があったのでお察しします。
…何か、「google earth」が大活躍ですね。
>「サーク島」
時間が止まったような「ミニ国家」だったわけですね。ちょっともったいないような気もしますね。
>選ばれる議員さんは結局地主さんたちばかりになるのではないかなぁ。
まあ、日本の田舎でも地元の「名士」たちの対抗が看板を変えただけという性格が強いですものね。

>毛派
まあ、日本でも共産党といえば都市部で強い印象がありますからね。本来は都市労働者を支持基盤としているということなんでしょうか?日本人としては農村部といえば保守的なイメージがありますが、ネパールの場合は保守派(国王派)が総スカンを食って毛派以外の受け皿が農村にはなかったのかも、と勝手に推測してみる。

>「ネアンデルタール人」
「言語」の定義が確かに難しそう。ところで、「ネアンデルタール人」からの進化、と言うのを見て「オリバー君」という固有名詞が頭に浮かんだ人は僕以外にどれくらいいるやら(リアルタイムでは知らないのですが)。まあ、ブッシュさんだけじゃなくて日本の現職首相も「チンパンジー」呼ばわりされてますから大丈夫です(何が?)。日米の友邦としての絆は永遠なり?



#8130 
電羊斎 2008/04/23 21:58
素人の学生たち

>史点 チャンネル諸島
面白いですねえ。まだ「封建制」が残ってるとは。確かに「無形文化財」として残してもいいような気もしますけどねえ。いっそジュラシックパークみたいに「封建制パーク」として売り出すとか(これは失言!)
思い出しましたが、チャンネル諸島は確か第二次大戦でドイツ軍が占領した唯一の「英国本土」だったそうで。

>呉哥窟様
中国人としての見方、大変参考になります。本当にありがとうございます。
以下、まことにお粗末(班門弄斧)でお恥ずかしいのですが、私の考え方を書いて見ます。

>「江沢民時代から始まった愛国主義教育の強化」「情報の遮断及び一方的な宣伝による若者に対する洗脳」という図式
私も4年前に中国での生活を始めるまではこの図式を信じていましたが、最近は「ちょっと違うかも」という疑問を持ち始めています。少なくともこの図式だけで全てを説明するのは誤りだと思います。
現在の中国の若者で『人民日報』を隅から隅まで真面目に読み、夜7時の『新聞聯播』を欠かさず見ている人は皆無。西側からの情報の洪水は一政府の意図だけでは到底遮断しきれるものではありません。むしろ外国の情報に触れることにより、世界の中の中国=CHINAを意識しはじめたのがナショナリズム勃興の原因だと私は考えています。
これはここ10年、20年の期間だけで捉えるのは不十分で、清末以来ずっと続いている大きな潮流といえると思います。

>なぜ中国だけなのか
いいえ、中国だけではありません。日本だって70〜80年代までは今の中国のように欧米に批判されていました。韓国もです。ですから、今の中国人が憤る気持ちは大変よくわかります。
そして日本人も自分たちが「経済大国」になった過程をよく思い出して、中国に対しもう少し気長に構えてみてもいいのではないでしょうか。


>徹夜城様
>カルフール騒動
軽いノリで騒いでるそう多くは無い若者たちの行動が過大に報じられてる可能性も感じてるんです。
その可能性は大いにあると思います。
それに私が見たり聞いたりした範囲では、物を壊したり店員をぶん殴ったりといったようなこともなかったようです。

ただ、彼らが軽いノリの素人であるがゆえの危うさも感じるんですよ。

ご存知の通り中国では言論・集会の自由がなく、学生を含めた中国人には政治的な発言権が与えられていません。これはすなわち責任を持った市民として、民意を秩序正しく表明する訓練を受けていないということです。しかしその一方で、自分たちの政治的意見を表明したいという欲求は高まるばかり。
そして、訓練を経ていない素人であるがゆえに、デモや集会を秩序正しく運営できずトラブルが生じたり、あるいは自分の意見を通したい焦りからついつい行き過ぎた行動(役所を襲撃、役人をつるし上げ)に走ってしまったり、ひどい場合には犯罪行為(腐敗役人を「成敗」したり、暴動を起こしたりする)などに走ってしまうというケースも起きています。05年の反日デモもそういった傾向の現われと捉えることができると思います。

ただ、民意の表明、ひいては民主主義の「正しい方法」は共産党の「指導」、ましてや外国のイチャモンなどによって身につくものではありません。結局のところ中国の「老百姓」(庶民)が試行錯誤を経ながら少しずつ経験をつんでいくしかないのです。
これは、少数民族問題、人権問題、環境問題などその他全ての問題にも通じる気がします。

我々にできるのはやはり寛容な心を持って暖かく、そして注意深く中国を見守ることだけなのでしょう。


>なんでカルフールに当たる
ですよねえ。確かに中国ではフランス=カルフールなんですけど。
それにしても、私もよくカルフールに買い物に行きますが、安い中国製品しか置いてませんよ。フランス製品に抗議するなら隣の高級デパートに行かんかい。香水やルイヴィトンをたくさん置いとるぞ。

……大連現地資本ですけど(笑)


http://honin.spaces.live.com/


#8129 
tomohiro 2008/04/23 17:14
日本人の幼稚化に就ての私の発言

日本人の幼稚化についてですが、
先日引用した出入りのサイト管理人も
「日本人が幼稚だから右傾化する。」
などと言っておりました。
彼は、ドイツ在住の日本人作家らしいのです。
是を話したら毋曰く
「左傾化も気をつけなさいよ。右翼ばかり気にして
真実を見誤っている。」と。
幼稚化が右傾化につながるというのも短絡的な
考えというか。



#8128 
mozawa 2008/04/23 10:51
うまく逃げた小泉と真実を見抜けない大衆

 首相にふさわしい人アンケート一位は小泉、という記事に固まってしまいました。
 後期高齢者医療費の法案、いつ通ったと思ってんだよ!。厚労省や福田に文句行ってるじいさん、ばあさん達。あんた達が大好きな小泉がやり逃げしたことなんだよ。 
 と突っ込めば「報道しないマスコミが悪い」とあくまで他人のせいにする。こんなことの繰り返し。
 この国に、まだ民主主義は根付いていないなあ、と。
 「愚鈍な大衆」的な見方はしたくないのですが。

 



#8127 
呉哥窟 2008/04/23 03:11
場所をお借りして感想を

初めまして、すでに何年も「史点」を楽しく拝見させていただいてきたものです。中国人です。伝言板を読み始めるのはつい最近ですが、示唆に富んでいる発言がたくさんあり、それもまた楽しみの一つになっています。

話題にあがったチベット騒動や聖火リレー妨害のこと、またここ数日の中国で起きたフランス叩きのことですが、みなさんの冷静な議論を読んで、自分なりに(もちろん一中国人として)、やはりいろいろ考えています。この場をお借りして少し感想を述べさせていただきます。

「カルフール騒動」など、そもそも中国でフランスが標的にされる大きなきっかけは、ネットで一枚の写真(パリで、車いすの若い中国人女性ランナーがチベット独立派男性の一人に襲撃される瞬間を写っている)が広がったことにあるのではないかと思います。いまの時代では、どこの国もそうですがニュースというものはお茶の間では写真や映像だけで捉えられます。この写真をみると「何が非暴力だ」「フランスがわざと暴力を放任し中国を侮辱しようとしているんじゃ」「障害者まで暴力を振る舞うのは許せるか」と直感的に捉えるのは、中国の一般的な人の心情でしょう。

興味深いのは、この写真を撮るのは中国の記者ではなく、流布したのも中国のメディアではありません。現場にいる中国留学生の一人がこの写真を撮り、そしてネットにのせて、瞬く間にたくさんの中国のBBSにアップされました。中国政府の非難声明より早い時点で、ネットでのフランス叩きが始まっているように思われます。

日本の新聞の殆どは、いわゆる中国でのナショナリズムの高揚に関して、「江沢民時代から始まった愛国主義教育の強化」「情報の遮断及び一方的な宣伝による若者に対する洗脳」という図式で説明していますが、果たしてこれは正解なのかは、私にとっては疑問です。上記のように、ネットが日常生活に浸透している時代で、情報の発信も受信も基本的に官製メディアを経由しないことは多々あります。また、あの写真を撮った中国留学生はパリにいます。彼にとって日頃に接しているメディアは恐らく人民日報の類のものではなく、ほとんどは西側のメディアでしょう。彼も含めて今回の聖火リレー騒動に対して最も激しい反発を示している中国人は、実は欧米で生活或いは勉強をしている人たちです。彼らの今回の事件で示した立場は、殆どといえるほど中国政府側に立っています。日頃に欧米のメディアを見て、欧米で生活をして、欧米の価値観を一番わかっている人たちなのに、今回は「独裁政権」の見方となっています。二十年ほど前に起きた天安門事件の時に、在外中国人は一辺倒的に共産党政府を敵視したことを思い出して、隔世の感を禁じ得ません。なぜでしょうか。

私自身も天安門事件の時に大学生であって、その頃毎日VOA(ボイス オフ アメリカ)を聞いてそこだけが真実を伝えていると信じていました。管理人様が「史点」に書いてあるあの大学の先生のように、「共産党は5年も経たないうちに必ず崩壊し、中国は民主化を実現する」とも信じていました。その後、十数年間家庭や仕事の関係で日本と中国を行き来しています(たいてい半分は日本、半分は中国)が、いまはどうなっているかと言いますと、日本のメディア(私にとって「西側」の情報のメインは日本)に対する拒絶反応が、いつの間にか自分も戸惑うほど強くなりました。同じような心理的変化を経験した中国人が多いと思いますので、心情的に今回の騒動に関して多くの在外中国人また中国国内の人々の気持ちを理解できるような気がします。問題は、この不信感はどこから来たのか、ということです。「中華思想」「民度が低い」「共産党の洗脳」という半ば宿命的なことを言われてもそれはそれで仕方ないですが、ここ10年・20年単位で見れば、ほかにも何かあるのではないかといつも思っています。

一つ感じていることです。中国人から見れば、中国は多くの問題があるに違いないが、少しずつよくなってきました。またよくなっていく可能性が十分あります。宗教自由、言論自由、環境意識、人権意識、法律意識、などなど、かつてないほど庶民に浸透し始めました。しかしいっぽう、欧米・日本のメディア(一般民衆も含めるかもしれない)の中国を見る目は、どんどん厳しさを増してきました。中国の現実と西側メディアの見る目とのギャップが広がるばっかりです。言い換えれば、中国を普通の途上国としてその成長と変容を見守る「余裕」が西側になくなりつつあります。スケールの大きい中国なのでネガティブなネタがいくらでもあり、またそれの世界に与える影響が大きいに違いないが、中国人の立場からしますと西側の視角があまりにも「一点集中」に映っていて、また「寛容さ」を欠けています。環境問題なり少数民族問題なり人権問題なり、先進国の多くはその発展途上で苦労したことのある問題でまた現在の発展途上国は中国よりずっと深刻になっている場合も多くありますが、なぜ中国だけなのか、という思いはたくさんの人(特に日頃に西側のメディアに接している人)が抱いているのではないかと思います。

去年大阪で世界陸上が開催されて、その期間中に偶然に新聞の社会面で数行の記事を読みました。食中毒事件で大会関係者十数人(?)が手当を受けたとのことでした。夏の下痢や吐き気ぐらいの食中毒でだれもあまり関心を持たない記事でしたが、「もしこのようなことが北京オリンピック期間中に起きたらどのように報道されるのか」をしばらく想像して、背筋が寒くなりました。

よくよく考えると、「中国が悪くなっている」かどうかは、中国で生活している中国人である私たちが一番発言権をもっていますが、「日本にとって中国が悪くなっている」かどうか、「アメリカにとって中国が悪くなっている」かどうかは、日本人やアメリカ人が一番発言権を持っています。前者と後者の乖離をどう捉えるかは、現在の中国を理解する助けになるかもしれません。

付け加えますと、個人的には将来チベットの高度自治や独立は歓迎すべきだと思っていますが、今回のような騒ぎは、もしかするとこの「将来」をさらに遠いことにしたのではないかと思います。また中国のナショナリズムが助長される現状を見ると気持ちがやはり暗くなりますね。

長くて整ってもいない文面になってしまい申し訳ありませんが、自分にとって頭の中のものを文字にして、明確な結論を出せないものの少しすっきりしました。ありがとうございました。




#8126 
小覇王 2008/04/23 01:55
史点の感想

>史点
>サーク島民主化
 個人的にはこういう社会が残っててもいいと思いますけどね。別に島民が圧政に苦しんでるとか搾取されてるとか言うわけではないでしょうし。こう一種の無形文化財として残しておいても良いのでは。ところで自動車はダメでもトラクターはOKなんですね。不思議だ・・・

>ネパール
 地理的にここもチベット情勢の影響を受けそうな場所ですね。ギャネンドラは確か50年代に一度王位に就いたことがありましたよね。現代においてこの人の王政にかける情熱は逆に凄い気がします。日本の秋篠宮なんかは天皇になりたくなくて、はやく兄貴に男の子が生まれて欲しいと思っているに違いない、と踏んでいるのですが。まあ。ギャネンドラ王の場合、本人だけでなく跡継ぎの息子も国民に人気ないですからねえ。

>フランス、中国
 武力行使を伴わなければ、国家間の不仲も大いに結構なわけです。全部が全部仲良しなんて逆に気持ち悪いです。

 韓国の新大統領李明博氏が来日しましたね。はっきりいって前大統領の盧武鉉氏はダメダメだったので期待が大きいです。盧武鉉氏の時は日本もダメダメの小泉氏だったので日韓関係は最悪でしたが、今後はよくなれば良いですね(自分で書いてて前段と矛盾するようなこといってますが)。
 現在、話題になってる、後期高齢者医療制度(名前考えてる時点で批判されると思わなかったのだろうか)も小泉氏の時に作られたものですからね。今の福田首相や安倍前首相への批判とかを見てると、うまく逃げやがったなコイズミという感じです。

http://burebure.blog.ocn.ne.jp/burebureblog/


#8125 
つね 2008/04/23 01:33
ニュールンベルグ裁判

 10年以上前に、私もやはり大物達が裁かれた軍事裁判の映画と勘違いしてレンタルして見たことがありますが、おもしろかったですね。
 しかしフィクションとは初めて知りました。どうりで調べても分からなかったはずだ。やはりマクシミリアン=シェルの弁護は圧巻でした。まあ知的障害者を暴くのはまだ事実を明らかにするためであるにしても、やってもいない不倫を暴こうとしたのはいかがなものかと。これでヤニングに怒られてしまったんですよね。そこで、その場で「戦勝国だって罪があるだろ」と弁護方針を切り替える。ここは見事なものです。自信満々な表情で「みなさん、チャーチルが『ヒトラーに期待する』と言ったのは何年のことだか知ってますか? 1・9・3・8年ですよ(ここはうろ覚え)」と言ったシーンが今でも思い浮かびます。
 いかん、本当に語りだすときりがない。ちなみにアメリカで断種法を支持したのが「ホームズ」さんだったとかも出てきます。

 テーマとしては見る人それぞれで考えることが変わってきそうですが、私には戦争犯罪というよりはもっと普遍的な人権や平等を訴えたような気がします。
最後の「私は本当に知らなかったのです」「あなたが無実の人間を有罪にしたことが罪なのです」というセリフが象徴的でした。まあ被告人は何も宣戦布告をしたり、捕虜や敵国民間人を虐殺したわけではなかったので、そう見えるのかもしれませんが。



#8124 
徹夜城(PCを修理に出してきた管理人) 2008/04/23 00:37
HDD故障にもめげず

 本日(というかもう昨日か)メイン使用の富士通FMVを修理に出しました。帰ってくるのは黄金週間明けの恐れがあるとか(涙)。HDD交換して中身を入れなおすだけなんだから、HDDさえただでくれれば自分で一日でやりますよ、と言いたくもなりましたが、面倒なのでお任せしてきました。
 そんなわけで本日更新の「史点」はサブ使用のノートPCで執筆したものです。全体的に軽めのネタがそろったのはやっぱ書きにくいからなんだろうなぁ(笑)。


>電羊斎さん
 現地リポート、ありがとうございます。ブログのほうで写真も拝見しました。
 この「カルフール騒動」、どうも報道で騒いでいるほど深刻じゃないんじゃなかろうか…と感じてるんですけどね。「中国全土、十数都市で発生!」「武漢では2000人!」とか見出しが日本でも躍ってますが、武漢の場合もよく読むと見物・野次馬の市民も含めた人数の気配がありましたし、北京での抗議行動も16台の車で走っただけなんで、軽いノリで騒いでるそう多くは無い若者たちの行動が過大に報じられてる可能性も感じてるんです。で、電羊斎さんの現地リポート読んでますますその感を強くしちゃってまして…逆に言えば日本で起こってるごく一部の動きも外国では過大に報じられがち、ということでもあります。

 それにしてもフランスで聖火消されたからってカルフールに当たらなくてもねぇ(笑)。もしかして中国で身近に「フランス」を想起するのはそれぐらいしかないんでしょうか。もっともカルフールもしたたかで、5月1日のメーデーに大バーゲンやるとかいう報道もどっかで出てましたよ(笑)。カルフールって日本進出はコケた感があるのですけど、中国でそんなに展開してるとは知らなんだ。
 で、フランスの経済界は「影響が出ると困る」とアタフタしてるらしいんですな。思えば高速鉄道や飛行機を必死になって売り込んでたし、中国への武器輸出にもかなり乗り気になってた記憶があるのですが。中国愛国学生諸君はまずフランスに「わが国への武器輸出をあきらめろ!」と叫んでみてはどうかと(笑)。
 パリ市議会がダライ・ラマを名誉市民にすると「全会一致」で決議したそうですが、これもよく見ると右派系議員のみならず提案した社会党の一部も事実上の反対で欠席しており、もそっと冷静にみて火に油を注がないでほしいもんだと。
 まぁ「人権の国フランス」というキャッチフレーズも、映画「アルジェの戦い」あたりを見てると何なんだろ、と思ったりもするわけで。もっともこの国の左派の場合かつての自国の植民地支配と重なるものをチベットに見て批判してる側面もあるかな、とも思います。


>ENさん
 幼稚かどうかなんてのは所詮それぞれの人の感覚の問題ですからねぇ。子どものうちから大人びてるのもいるし、大人になっても幼稚な感覚のも少なくないですし。何をもって「幼稚」と見るのかもハッキリ決められるもんじゃないと思いますよ。
 「日本が幼稚」というとき比較対象になるのはたいてい欧米諸国ですが、そちらにもたぶんに「幼稚」なところが僕なんかは感じちゃったりするわけです。食品偽装問題で「日本はモラル崩壊」なんて声も聞きましたが、イタリアが現在その状況で(笑)。


>劇画「私本太平記」
 しばらくチェックを怠っていた「乱TWINS」連載の岡村賢二「私本太平記」、あれよあれよという速さで、今回の掲載分で尊氏が六波羅探題を攻め落としてしまいました。三河で倒幕の意思表明、不知哉丸との対面、近江の佐々木道誉との対決・通過、六波羅攻撃、新田挙兵までが一回分に入るアワタダシさ。このぐらいのテンポでやらないと終わらない、って判断があるかなぁ。次回一回で鎌倉陥落とみました。
 この劇画、吉川英治の原作に従ってますが、どこか大河ドラマも参考にしているフシがあるんですよね(第1回の背景カットなんてモロにそのまんまだった)。大河ドラマでは壮絶な傑作回となった「鎌倉炎上」を劇画ではどう見せてくれるか、楽しみにしたいと思います。
 そういや昨夜仕事帰りに乗った電車で、「私本太平記」の文庫本読みふけってるサラリーマンがいたなぁ(笑)。南北朝関連小説を読んでる人を目撃すること自体が珍しいもんで、かなり嬉しかったりして(笑)



#8123 
EN 2008/04/22 20:07
日本人の幼稚化

歴史と無関係な話ですみませんが、最近知人が「日本人は昔と比べて幼稚になってきている」と言っているのを目撃しました。日本人全体のモラルが低下して自己中心的になっている事、幼稚な物を好むなど言ってました。前者はその通りだと思うんですが、後者は少し極端だと思いました。大体日本人が幼稚な物を好むようなブームなんて起きてないとおもうんですが。「このままだと日本人はどんどん溶けて崩壊してしまう」とも言ってたんですが、どうでしょうか。



#8122 
NF 2008/04/22 01:41
ちょっと好き放題放言してみる

>徹夜城様
国境を越えた道義主義・理想主義は当時における民権運動家の共通した特徴だったのでしょうね。してみると、安重根と幸徳秋水が同時期に「日本帝国へのテロ」云々で命を落としたのは「民権家の時代」の終焉を意味するものとしてみるべきなのかもしれません。赤報隊の悲劇が「草莽の志士」の終焉を意味したように。
伊藤が併合に消極的だった、というのは統治責任を背負い込むのを避けるため名目上の主権は残すという方針だったのかな(満州国みたいな感じで)と理解していたので道義性を言われると辛いものはあります(苦笑)。ただ、それを貫ける余裕が日本にあったのかな、とは思いますが。因みに個人的には道義とは別の理由で保護国化には批判的です、要は日本の国力から言って大陸に直接首を突っ込むのは普通に考えて無理がある(事実、最終的に破綻しましたね)と言う点においてなんですが(苦笑)。

>tomohiro様
僕も徹夜城様と同じで「日本史」にはこだわってほしいと思ってます。ただ、歴史ははっきり言ってマイナー趣味ですから、あまり深くこだわったものはテレビ局としてもコストパフォーマンスが悪いのではないかと。あと、このご時世、歴史ドラマに限らず、スポーツにしてもアニメにしろ趣味として好んでいる人は地上波では満足できなくなっているのではないでしょうか?地上波は悪く言えば「バカでも受け付けられる」番組を作らなくてはならないわけで、それを物足りなく思う人も多くいる、ではないかと。

>尾鳩様
まあ、この手のは千人のうち一人が「ブーム」が去った後にも残れば上出来なんでしょうね。…僕はどうやら残りの大多数になりそうです。心の片隅には置いて忘れないようにだけはしたいと思ってますが、はてさて。
>「ガールフレンドを見つけるには、一番良かったからねぇ」
徹夜城様のお話とも重なるのですが、日本の学生運動でも単位が危ない講義を台無しにするため騒ぎを起こしてみたりという話があったとか。…最近の学級崩壊を非難する資格がないんじゃなかろうか、これじゃ。
>いずれチベットや新疆で事業を実施することを考えています
御成功をお祈りします。

>マルクスの恋人様
ある程度の根拠がおありで仰っているのかもしれません(だとしたら御容赦)が、「真の黒幕」という見方に拘りすぎると陰謀論に陥る危険があるかと憂慮します。余計な御世話でしょうが、一応は老婆心から。ただまあ、内紛の種があればその勢力を快く思わないところがそこを突いて煽動するのは謀略戦の常道ですから、それを怒っても仕方ないのでは。…それにしても、「ダライ・ラマを周囲が担ぎ出して」という言い方で(いわゆる「君側の奸」)本人を(穏健派との交渉の余地を残すため)指弾から外す事はできなかったのか、とか淡々と事態を収拾して非難をスルーしていれば案外今頃は騒ぎが沈静化していたんじゃないのか、とは疑問に思ってしまいます。いまさら言っても仕方ないんでしょうけど。
聖火(変換で出にくい…)妨害者には、「目立つ(訴えが届きやすい)アピール」という意図があるんでしょう。少なくとも本人たちは真面目(なつもり)なんじゃないかと(だから事態をややこしくする、とも言えるのですが)。はねっ返りは党派・時代を問わずいますからねえ。

正直言って、どっちかと言えばネトウヨ寄りなので感情的には対中非難騒ぎに関して「たまには良い薬」という気持ちがどこかにあるのは否定しません。ただ、「free Tibet」という叫びが本来の問題をかえってうやむやにし妥協の余地を見出しにくくしているのではないかという気はします(個人的には、文化的独自性や現地人の人命が尊重されれば独立の有無は二次的な問題と考えます)。…と言っていたら、親子連れで抗議行動して捕まった日本人がいたそうで、子供の安全くらい慮ってほしいものです。
>善光寺
といってたら、境内に落書きが見つかったそうで。辞退決定の前か後かは分かりませんが、陣営を問わずバカはいますから、どっちの仕業やら…。ただ言えるのは、落とし所も考えず文化財に敬意も払えない人間は掲げる思想や陣営に関係なくただのバカ、という事ではないかと思います。



#8121 
電羊斎 2008/04/21 23:48
カルフールでの抗議運動(大連にて)

昨日昼ごろ、大連マラソンに出場する友人を応援しに行ったら、コース沿いのカルフールで抗議活動に出くわしました。

抗議学生は数十名、あと数千人のやじ馬。
カルフールの正面入り口に陣取った学生たちはそろいの赤いTシャツを着用、国旗や横断幕、プラカードを持って「カルフールを断固ボイコット!」、「チベット独立反対!」などといったシュプレヒコールを連呼したり、中国の国歌や革命歌を歌ったりしていました。

印象に残ったのは、抗議集会を行う学生側の素人くささでした。
シュプレヒコールは最初のうちは声が小さく、恐る恐るやっているような感じでしたし、学生たちの表情もかなり照れくさそう。革命歌を歌うときも歌詞の自信のないところで声が小さくなったりしてました(歌詞を教えてあげたくなりましたよ!)。

集会全体の段取りも悪く、ただカルフールに集まって思いつきでスローガンを連呼し、やじ馬がそれを見てわいわい騒ぐといった感じで、日本や外国のデモ行進や抗議集会のような計画性、そして熟練した秩序正しさは見られませんでした。

このように学生たちは総じておっかなびっくり、見よう見まねでやっているように見受けられましたが、これは結局のところ、中国にデモや集会の自由がなく、学生たちにデモや集会を組織するノウハウがないからなのでしょう。

雰囲気としてはなんだか学園祭のようなノリで学生ややじ馬たちにも悲壮感はなく、ほほえましさすら感じましたが、同時に05年の反日デモのように、何かのきっかけで無秩序な暴動へと発展する危うさも感じました。

その後前日土曜日の抗議活動に参加した学生(友人の友人)に話を聞く機会がありましたが、「まあ、こんなことしてもあまり意味がないんだろうけど、みんな自由に騒ぎたいんだよ」と冗談めかしたことを言っていました。彼ら学生の話を聞いた限りでは、結局流行やファッション的なノリ、そして愛国デモという唯一の集会の自由を満喫しているようでした。

ちなみに、今朝の大連の新聞、ニュースでは案の定一言も触れていませんでした。
マラソンの取材にやってきた新聞社のカメラマンが目と鼻の先にいたにも関わらず(笑)

写真をブログにアップしておきました。
>Windows
私もVistaの不安定さに悩まされてます。
最近XPへの「アップグレード」を検討しています(笑)


http://honin.spaces.live.com/


#8120 
徹夜城(PCを修理に出すハメになった管理人) 2008/04/21 13:16
ハードディスク、早死に寸前

 去年の年末に買って以来、どうも挙動不審の傾向があったPCがとうとうイカれちまいました。はじめのうちは「Vistaってこんなもんかな?」とも思って使ってたのですけど、3月末についに作動停止したうえ再起動し、HDDに異常との警告が…。それでもだましだまし使ってたんですが、スリープ状態に入ってくれない寝つきの悪い子になり(笑)、ついにWindowsの起動自体がおぼつかなくなり、修理に出すことに。現在なんとかwindowsが起動したところでデータを救出作業中。それを横目ノートPCで書き込んでます。そんな事情により珍しくハイペースで書いていた次回「史点」は少々遅れます(^^;)


 で、昨日はPC起動&HDDチェックに時間がかかるので、その間に以前録画していた映画「ニュールンベルグ裁判」(スタンリー=クレイマー監督、1961)を鑑賞。3時間の映画と知っていたので半分まで見るかという気でいたら、あまりの面白さに最後まで見てしまいました。
 事前知識がまるでなかったので、NHKBSの番組表にタイトルがあるのを見たときは日本の小林正樹監督による「東京裁判」みたいなドキュメンタリー映画かな、とも思ったのです。しかしスペンサー=トレイシーとかバート=ランカスターとか出演してるので劇映画には違いないみたい。どんなもんだろ、ととりあえず録画したわけです。その放送の直後に原作者が亡くなるという偶然もありました。

 見終えてから調べたんですが、これはあくまでフィクションの裁判映画なんですね。もちろんナチス・ドイツの戦犯を裁くニュルンベルク裁判の一環で、モデルとなった史実はあるようですが(劇中最大の争点となるユダヤ人冤罪裁判は明らかにモデルあり)、基本的には「創作裁判映画」のようで。最初にTVドラマ、舞台化もされている経緯をみると「十二人の怒れる男」とも通じる、アメリカ人大好きの駆け引きと展開の面白さを追及する裁判映画という位置づけもできそうです。実際、被告・弁護人・検察官・判事それぞれ個性的なキャラが揃い、ビッグスターの名演が見せる息詰まる展開は、あえて言ってしまうと戦犯問題でなくても十分楽しめます。

 もちろんこのテーマを選んだからには「戦争犯罪とは何か」という大問題にも深く切り込んでいます。ここらへんはあえてフィクション仕立てにしてるから切り込めた観もありますね。
 この映画の裁判で裁かれる被告人たちはナチス政権下で障害者などに対する断種やユダヤ人迫害で司法の立場から手を貸したとされる法律家たち。特に最大の大物はワイマール憲法策定にも関わった世界的にも著名な進歩的法律家で、ナチス政権で法務大臣をつとめながらヒトラーにも反抗する一面も持っていたというエルンスト=ヤニングなる人物。バート=ランカスターがこの人物を実に見事に演じているのですけど、これは実在のモデルがいるんでしょうか?

 このヤニングの弁護人役を演じてるのが若き日のマクシミリアン=シェル。僕には「ピョートル大帝役者」でしかなかったのですが(笑)。「アメリカにも断種法があったではないか」「ヒトラー台頭のときに英米は何をしていたか」「アメリカは広島・長崎に原爆を落とした連中ですよ」とか、かな〜り刺激的なセリフを連発、もっともやりすぎちゃって弁護してるヤニングから批判される展開になるわけですが。シェルはこの熱演でこの年のアカデミー主演男優賞(今だったら助演にされそうですが)を獲得してるそうで。

 この映画、語りだすときりがなさそうですが、ドイツと同じく敗戦国として裁かれた日本でもよく出る「戦争犯罪を裁くことの難しさ」というテーマが重く打ち出されて見ごたえがあります。また、ドイツ側としても「ナチスの責任と片付けられるのか」「本当にユダヤ人虐殺を知らなかったのか」といった疑問が突きつけられます。おまけに冷戦の激化にともないベルリン封鎖の事態となってアメリカ本国から裁判の「政治的決着」の圧力も加わり、最終的には映画観客としてはやや消化不良な結末になるのですけど、それもまた現実というものでありましょう。
 それにしても1961年でこういう映画が作れるのか…と逆にアメリカ映画界の懐の広さも感じてしまうのですよね。時期的に見ると「赤狩り」の嵐が吹き荒れ終息した後、という背景もありそうです。

 調べてみたら舞台版は2003年に日本でも上演されてますね。ヤニングの役は鈴木瑞穂さんと知って、ハマってるなぁ、と思った次第。


>尾鳩さん
 その天安門の話で連想したんですけど、日本も60年代の学生運動でも「デモに参加しないとデートもできない」という事情が少なからずあったと言われています(笑)。もっともそればっかりでもないんでしょうけどねぇ…先日見た「実録連合赤軍」でもカップルでの参加が妙に多いことに、ちょっとそのことを思ったりもしたんです。



#8119 
船頭の孫 2008/04/21 10:48
見覚えのある構図

>尾鳩様

>>学生の自由に対する真剣な思いや圧力に対する怒りには、真剣なものがあることは否定できないと思いますが、その周りで騒いでいる人達の中には、面白い遊び道具を見つけたときのような想いをどうしても感じてしまう。死ぬか生きるかの一線を経験しているわけではないですから。

あぁ、諫早湾の干拓問題を思い出してしまいますね。私はちょうど地元の干拓推進派と干拓見直し派(現地で運動している地元民は自らを反対派ではないといっていたのですよ)の双方のリーダー層と親しい立場にいたのですが、実は双方の主張や考えていることは非常に似ていた。外野が考えているような対立の構図じゃなかったわけです。

地元で推進運動が盛んな地域というのは、明治から戦後初期にかけての近代干拓の部分が非常に中途半端なインフラ整備状況で放置されてしまっていた地域でして、予算規模からいってそういった整備事業は国や県じゃないと到底不可能。で、地元に対しては新たな湾全体の干拓事業に付帯する事業での整備か、そのままでの放置かの二者択一が突きつけられてしまっていたわけです。で、整備不良で水稲栽培がにっちもさっちもの状況に追い詰められていた地域が、背に腹は代えられずに「地元こそが望んでいる」ことをアピールするスポークスマンに、隣接する諫早市内の市民グループや漁民団体(漁民団体も工事の影響で漁場が崩壊すると切り崩されて推進運動に取り込まれてしまうのですが)が干拓をまったくするなとは言わないけれど、干潟の大部分が消失するようなやり方は見直せという運動に、という風に向かっていた(かなりややこしい実情をはしょってます)わけです。

ところが事業の問題点が全国に伝わりだすと、「無駄な事業V.S.自然保護」という正に対立の構図で受け止めている外野が全国規模で乗り入れてきて、地元見直し派もにっちもさっちも行かないところにせっかくの援軍だからと来るものは拒まず的に対応してしまい、結局のところ地元推進派がマスコミの報道姿勢に感情を逆撫でされて態度を硬化、どんどんと対立の構図に誘導されていったという経緯がありました。

どこでも似たような問題があるのだなぁと感じ入った次第であります。



#8118 
マルクスの恋人 2008/04/20 15:30
聖火襲撃者? テレビに映りたいだけだろ

海南島(香港じゃないのね)で聖火ランナーをつとめる予定のジャッキー・チェンのコメントが入ってきました。
曰く「私から聖火を奪おうとする者は、カンフーがいかなるものかを思い知ることになるでしょう」「聖火襲撃者は小癪な小悪党」「要するに、テレビに映りたいだけだろ」
海南島といえばもうれっきとした中華人民共和国領内だから、もう安全だと思いますがね。
しかしダライ・ラマが「五輪開催賛成。聖火妨害などすべきでない」とわざわざ声明してるのに、躍起になって聖火襲撃してるのはどこの手の者だ? チベット独立って誰が政府首班を組織するというのだ(一番ふさわしそうなダライ・ラマがはっきり否定してるんだぞ)? 香港の民主派も当日別の場所で民主化要求デモはしても、リレーのコースに物理的に何か仕掛けることはしないと明言してるんだぞ?

冗談めかした調子ではありますが、ジャッキーの見立ては当ってると思いますね。



#8117 
尾鳩 2008/04/19 22:19
あくまでも事業家として世界と向き合いたい

>徹夜城どの
>もっとも年季が入っているからしっかりしてるかというと…どうしても上から見下ろしたような、あるいはファッション的なチベットびいきの傾向があるような感覚もぬぐえないんですよ。

はい、私が思い出すのは、天安門事件の際のあるフランス人活動家の言葉ですね。メディアから、「何故そんなに学生に肩入れするのか」と問われ、「ロマンです」とずけずけと答えた彼。チベットに対する支援家の方達の中には、そんな方が結構多いのでは、なんて思ってしまいます。

学生の自由に対する真剣な思いや圧力に対する怒りには、真剣なものがあることは否定できないと思いますが、その周りで騒いでいる人達の中には、面白い遊び道具を見つけたときのような想いをどうしても感じてしまう。死ぬか生きるかの一線を経験しているわけではないですから。

天安門事件から二年後、参加した学生さん達にも何人かお会いしたのですが、「ガールフレンドを見つけるには、一番良かったからねぇ」という本音を聞くことも出来ましたし^^;。

>NFさん
>ただ、以前には関心が払われなかったであろうウイグルについても書店やネットで時に言及を見るようになった点からしても誰かが持続的に関心を持つきっかけにはなるだろうしチベット・ウイグルへの応援メッセージが出る事自体は悪い事ではあるまい、と前向きに考えてはいる次第で。

確かにそうですね。関心を持つきっかけにはなるのは、確かですね。で、そこから本質を探ろうと能動的に情報を接しようとする方たちが何人くらいいるのか、これは疑問を感じてしまいますね。

私は、今スリランカで事業をしていますが、いずれチベットや新疆で事業を実施することを考えています。それが、現地の友人達との約束なんです。



#8116 
徹夜城(また図書館からあれこれ借りて読んでる管理人) 2008/04/19 12:56
歴史ドラマもピンからキリまで

>tomohiroさん
 「天地人」は、あの「愛」をやたらに連呼する発表時点からもう黒歴史確定のような感があるわけですが、困ったことにここ数年の大河ドラマでは濃い目の時代劇・歴史劇ファンにツッコミを入れまくられ評判が悪い作品ほど視聴率がよい、という傾向が顕著でありまして(汗)。単に「若者受け」狙いが背景とは片づけられないものがあるように思います。「風林火山」は逆に濃い目の時代劇・歴史劇ファンにはウケたんですけど、視聴率的には…(汗)。で、今年は「篤姫」がしっかりヒット状態というわけです。これもどうみても「大奥」便乗企画なんですけどねぇ…まぁ「バガボンド」便乗の「武蔵」がちゃんとコケてくれた例もありましたが(笑)。

 それでも日本自国の歴史ドラマを作る枠というのはちゃんと維持していきたいと思うわけですよ。だから大河ドラマ廃止論には僕は全く組みしません。まぁ一年通してやらないとか枠組みを変える方法はあると思ってますが、枠そのものがなくなってしまうと、ホントに自国の歴史ドラマをまったく作らなくなる恐れがあると思ってます。ハリウッドが作る「ラスト・サムライ」あたりで喜んでる日本人を見てると心配になってきますし…そのうちマジメな話、韓国や中国で「日本史ドラマ」を作る可能性だって高いと思ってます。ハリウッドの往年の史劇大作はみんな「外国」の話ですし、日本だって過去には中国史ドラマ・映画をいくつも作った例がありますから…あ、過去っつっても「地果て海尽きるまで」という、つい去年の例がありましたっけ(笑)。

 現在、韓国歴史ドラマ三本を同時に見ているわけですが、現時点で僕の採点は
「海神」>「太王四神記」>「朱蒙」
 の順ですね。「朱蒙」はもうツッコミどころ満載のうえにドラマとして陳腐にしか見えん…ヒロインがやたら可愛い(上記3本中明らかにベスト1)のが救いというぐらいで(笑)。フジテレビが購入してやたらに宣伝してましたが、何が気に行ったんだろう、と僕なんかは思っちゃう。もっとも「歴史劇」という重厚さを求めなければこういうのがウケるということも予想はできるんだよなぁ…「チャングム」あたりにノリが似てますし。
 「太王四神記」は「歴史ファンタジー」という、新ジャンルを作っちゃった、というべきでしょうか(笑)。日本の「ヤマトタケル」みたいなもんだと思えばいんですね。そこまで開き直ってしまえば話は確かによく出来てるし次が気になる脚本は確かにうまい。そしてウズベク(?)でロケしたという「古代」イメージの壮大な戦闘シーンは見ものなのは確か。また「朱蒙」に比べると美術関係の「古さ」がにじみ出ていて、見た感じには400年以上も前の話のはずの「朱蒙」よりこっちのほうが古い時代に見える不思議(笑)。まぁ、これは「朱蒙」のほうが問題なんだと思いますけどね。しかし「太王四神記」でも14〜5世紀の西洋の鎧としか思えないものが鍛冶屋にひょっこり置いてありました(笑)。
 「海神」は見終えないと評価が下しにくいですが、3分の2まで見た限りでは「ドラマとしては」かなり楽しんでます。もちろん僕自身が「海の英雄史」好き、多国籍的な世界観の話好きであることも多分に評価の要因ですが(笑)。


>マルクスの恋人さん
 とか言ってるうちに善光寺が出発地を辞退。これ、会見見る限りでは日本国内の反中連中の電話抗議を恐れての対応としか見えないんだよなぁ…最初に「文化財の保護と信者の安全」をあげそのあとに「チベット問題に仏教徒として」がおまけのようについてましたよ(この後半を前面に押し出す報道もありますが、本気でそう思ったならもっと早く対応したはず)。「文化財」を最初に口にしたあたり、それこそ火をつけるだのなんだの言ったやつがいるような気がします。仏教徒、という話で思いましたが、熱烈仏教国のタイでのリレーではなんか動きがあるんでしょうかね。
 リレーする人たちにも何らかの、一部に嫌がらせに近いものは絶対あるでしょうね。この件ではランナーになってる有森さんのコメントが一番正論だと思うし、ここまで明確に言い切る姿勢には感心します。

 余談ながら善光寺の建物の幕にデカデカと「卍」マークが描かれてますが、あれ、欧米でTVに映ると一部で変な反応があったかもしれない(笑)。以前「史点」ネタにしましたが実際ドイツはじめ西欧では「ハーケンクロイツ」と卍マークの区別がつかず騒ぎになることもあるんですよね。
 PCエンジンの大作RPG「天外魔境II卍MARU」がリメイク時に「MANJIMARU」にされちゃったのもそれが原因のようで。



#8115 
tomohiro 2008/04/18 16:51
天地人を放映中止して代わりに太祖王建やカドフェルを

「朱蒙」「太王四神記」「海神」ですか。
なんという歴史ドラマ。
今はファン・ジニを見ている身分ですが、
韓國物に限らず、欧米の類似した
例えば「カドフェル」などを
日本製大河の代替として放映してはどうかとますます考えています。
来年の大河「天地人」は昨年の黒歴史確定の朝ドラの脚本家なので
それを放映するよりは「太祖王建」を放映した方がいいかなって
考えています。そういえば韓國製大河、渤海を題材にした
作品もあったな。




#8114 
マルクスの恋人 2008/04/18 14:03
下部構造は上部構造を規定する

中国政府が全てダライラマの仕業だと広報し続けているのは、本当はダライラマが煽動したんじゃないことは知っているのだが、真の黒幕が欧米系の連中(南米や東欧で資金を出してエージェント育てて政変だのなんだの仕掛けてるナントカ財団とか、あの系統)だと発表してしまうと、中国全土に反欧米の凄まじい熱狂が巻き起こり、ようやく先進国に近づきつつある現状がメチャクチャになってしまうため、それを避ける為の苦肉の策なんだ、という説を聞きました。
今でもジワジワと、欧米系資本の店での不買運動が口コミで広がりつつあるようで、外国資本を呼び込んで開発し、中国に資本を蓄積して貧困の解消にあてる資金をつくるというケ小平以来の長期政策の重大な脅威になりつつあるようです。

ところで、聖火リレーは武装警官を掻き集め、中国人警備員はお断り(外国人の入国を認める認めないは国家主権だから、日本政府の意思として空港で入国拒否すればそれで落着)するそうですが、個々のランナーへの脅迫電話なんかがかかってないのかが心配です。星野仙一氏を脅迫するほど度胸のある奴はそんな卑劣なこと最初からしないだろうが、他の人たちはどうか?

私が暴力団よりも憎み蔑む犯罪組織、テレビ局どもは今後どんな態度とるのでしょう。
いかがわしい自称評論家だコラムニストだに汚らしい罵言をさんざん喚かせて視聴率を騙しとって金儲けしていますが、五輪というはるかに視聴率が見込める超優良コンテンツを前にどんな態度を続けるのか。本気でボイコットしろというのなら、まずてめえの局が関連番組一切をボイコットしてみろよ。中継はもちろんスポーツニュースでも一切五輪に何も触れるなよ。そうすりゃ高額の放映権料も払わず済むだろうに。卑しいゴロツキどもに北京五輪をさんざん誹謗させて金儲けしながら、放映権料払って仕入れた北京五輪関連番組で金儲けしようなんて、醜悪なんてもんじゃない。覚醒剤追放を偉そうに叫びながら覚醒剤を公然と販売して資金源にするようなもんだ。暴力団だってそこまで悪辣な真似はしないぞ。



#8113 
徹夜城(こっそり歴史映像名画座を更新している管理人) 2008/04/18 11:01
「歴史映像」にさっさと追加

 「歴史映像名画座」に素早く「モンゴル」、および「実録・連合赤軍」を追加しました。「モンゴル」につきましては「モンゴル 映画」と検索すると「歴史映像名画座」のモンゴル史映画ページがひっかかってしまうらしく、ここ数週間アクセスが多かったので空振りも申し訳ないから、と急いだ次第です。しかしモンゴル史映画ページといっても8本中7本がチンギスハーン映画というのも(笑)。
 韓国・朝鮮史ページが更新できないのが歯がゆい。「朱蒙」「太王四神記」「海神」と録画溜めしてる大河ドラマ3本を同時並行でチビチビ見るという状態なので、見終えるまで追加ができないんです。最近高句麗建国者を描く「朱蒙」の時代の話が過去の伝説として「太王四神記」にチョコチョコ出てくるのにニヤリとしております。
 それにしても「太王〜」で出てくる「東百済・西百済」って何なんだろう。西百済は遼東半島あたりにあるとしか思えない地理状況なんですが…もっともこれ、明白に「ロード・オブ・ザ・リング」ばりに魔法満載のファンタジー状態でつくってるのでツッコムのもヤボというものか。あるいは以前ここで話題になったように「倭」との件を意図して避けたように中国にも配慮して「同民族内の戦い」ということに脚色してるのか。


>tomohiroさん
日本の巨匠として世界的にも名高い小津安二郎監督ですが、正直なところ「どこがいいんだ?」と思っちゃう人は少なくないです。それでも「東京物語」は世界映画ベスト3になったことがあるんですよね。どなたかがエッセイで書いてましたが、小津映画は若い時はバカにして見ていたのに年をとってから見ると号泣してしまうのだそうであります。
「カサブランカ」は、現地を知る人たちはものすごくバカにするという話を聞いたことが…(^^;)


>電羊斎さん
 報道の話で思うことですが、日本での中国報道のもう一つの傾向として「中国のネット上から都合のいい過激意見を拾ってきて記事に仕立てる」というのも目につきます。「その程度の書き込みなんざ、日本でもネット上でもいくらでもあるだろうに」と思う程度の話がさも中国のネット全体に広がっているように書きたてられちゃう。記者さんは楽な取材してるよな〜と思うこともあるのです。

 高級マンションに「203高地」なんて名前付けたら日本人向けに売れそうな…と思ったのですが、そもそもこの高地は旅順港を一望・攻撃できるから激戦地になったわけでこの高地そのものにマンション建てさせるとは思えませんし、だいいち日本人としては大量の戦死者の亡霊が出そうであまり買いたくないかも(笑)。


>NFさん
 僕が大学時代に出入りしてた東洋近代史ゼミ(といっても実質朝鮮近代史ゼミでしたが)の恩師が在日韓国人の方でして、その恩師が書いた安重根の短い伝記(当人は論文ではなく小説、と言ってたような)が僕の安重根観のベースになってます。一言で言っちゃうと英雄だのなんだのではなく「一人の悩める若者の悲劇」という内容でして、かなり突き放した見方もしてました。読んだ韓国人からは「これじゃ安重根があまりに可哀想だ」と批判されたとか聞きましたが、僕はこのあたりが「真相」なんじゃないかと思ったものです。
 伊藤博文を標的にした件については、ぶっちゃけてしまうと誰でもよかった可能性もあるかと思います。またこの暗殺計画は安重根以外の複数名で進められていて各駅で待ち伏せており、安重根が伊藤暗殺犯として「英雄」になっちゃったのは「単なる偶然」という見方もできるという意見も聞いてます。
 一方で併合に消極的だった伊藤を暗殺したことで併合を早めた?との意見をたまに見かけますが、韓国では併合そのものは最終的な手続きであって「保護国化」を進めた第2次・第3次の日韓協約を重視しその道義性を批判する意見が当時から強いのです。僕も林権助が書いた協約調印強制時の回想を読みましたが、そこにおける伊藤の言動というのは正直あまり感心できません。それこそ中国とチベットの話を連想しちゃう(笑)。


>尾鳩さん
 欧米でのチベット人気は一世紀以上の蓄積もありますからねぇ…もっともアルセーヌ=ルパンの戯曲の一つにはダライ=ラマ(もちろん当時の)とその宗派がほとんど邪教集団扱いで登場するものがあり、やや意外の感を受けたものです。
 もっとも年季が入っているからしっかりしてるかというと…どうしても上から見下ろしたような、あるいはファッション的なチベットびいきの傾向があるような感覚もぬぐえないんですよ。


>小覇王さん
 「荒野の決闘」という邦題で中身をみると拍子ぬけする向きも多いですよね。原題「愛しのクレメンタイン」が一番内容をあらわしてますが、それじゃ客が入らないとふんだんでしょう。そもそも「愛しのクレメンタイン」ってアメリカ民謡で、この決闘事件とは全く無関係なはず。そこを結びつけて「古き良き西部」を描きあげるところがジョン=フォード流なのでしょう。
 邦題に関して言えば「OK牧場の決斗」という訳も妥当ではないようです。決闘が行われた現場「O.K. Corral」は「牧場」ではなく「囲い」というべき狭い場所で、一連の映画もそこはちゃんと再現してます。以前NHKで「荒野の決闘」が放送された時、字幕では「OKコラルで待ってるぞ」と表現してました。翻訳不能、というか「OK囲い」じゃサマにならんのでしょうな(笑)。
 また参加した当人たちも「決闘」といった気分ではなく保安官であるアープがカウボーイズたちを武装解除しにいったら銃撃戦になっちゃった、というあたりが真相で、映画「ワイアット・アープ」ではそれを忠実に再現、なんともチンケな偶発的撃ち合いがアッサリと描かれてます。このためアープたちの行為が「殺人容疑」で訴えられ裁判にもなってるわけです。カウボーイズたちがいわゆる「無法者」だったのは事実みたいですが、アープ側のドク=ホリディだって強盗容疑で裁判になったことがありますし、どっちもどっちな部分が多かったと思われます。
 この事件が西部開拓史上の名事件となっちゃったのは、やはり当時の新聞が、江戸時代の瓦版よろしくあることないこと書きたてて盛り上げちゃったのが大きかったみたいで。



#8112 
小覇王 2008/04/18 02:32
西部劇といえばマカロニを思い出す

>徹夜城さん
>「荒野の決闘」もOK牧場の決闘を素材にしてまして
>クレメンタインなんて架空のヒロインは出てくるし
 まあ、原題からして「My Darling Clementine(愛しのクレメンタイン)」ですからね。OK牧場の決闘というと思い出すのが、「スタートレック/宇宙大作戦」。この中に「危機一髪!OK牧場の決闘」というエピソードがあって、カーク船長たちが幻想のトゥームストーンでクライトン一家としてアープ一家と戦う、というストーリーでした。印象深いのはアープたちが悪者として描かれていたことで、それまでのワイアット・アープ=善玉、カウボーイズ=悪玉という図式も必然ではないのだなあ、とおもったものです。実際は死人にくちなし、で生き残ったアープ自身による都合のいい脚色も多分にあったようですね。ワイアット・アープは「アンタッチャブル」のエリオット・ネスと通じるところがあると思います。

>「モンゴル」
 これからはこういう多国籍映画は増えてくるでしょうね(いや、だいぶ前からありますけどね「らすと・えんぺらー」とか「始皇帝暗殺」とか)。春樹版にはまったく食指が動きませんでしたがこれは是非みたいです。ジュチの扱いは日本人には昼ドラ的要素が強く、物語の起伏として受け入れやすいのかもしれませんが、ジュチがチンギス・ハーンに粗略に扱われたという事実はないですし、日本や欧米では嫡子相続が基本ですがモンゴルは末子相続が基本だから、後継者に選ばれなかっただけだと思います。まあ、実際チャガタイとは仲悪かったらしいですが。

>チベット
 聖火リレーを妨害する運動に対しては正直、関心しないの通り越して嫌悪感すら抱くのですが、一部マスコミで、長野で運動が起きないと日本の人権意識が問われる、とかいわれていますね。デモぐらいならチベット派も中国派もおおいにやるべきでしょうが、妨害行動は謹んで欲しいと思います。ダライ・ラマの発言を聞いている限りは大いに妥協点があると思うのですが、中国はまず、何でもかんでもダライ・ラマのせいにするのはやめて、一人間として話を聴くべきだと思います。

http://burebure.blog.ocn.ne.jp/burebureblog/


#8111 
NF 2008/04/18 01:53


>尾鳩様
仰るとおり、この点で日本と欧米を同一視するのは本来いかんのでしょうね。確かに、ネット世論を見ても「バスに乗り遅れるな」のような感があるのは否定できないところですし。ただ、以前には関心が払われなかったであろうウイグルについても書店やネットで時に言及を見るようになった点からしても誰かが持続的に関心を持つきっかけにはなるだろうしチベット・ウイグルへの応援メッセージが出る事自体は悪い事ではあるまい、と前向きに考えてはいる次第で。
僕自身はヘタレなもので少数民族弾圧を痛ましく思う気持ちはあるにしても、自身の安寧な生活や自国の平和を捨ててまで支援に踏み出すだけの覚悟はない訳で…。結局は「どう立ち回るのが自国にとっては良いか」が考える上で中心になってしまう。で、「どう転んでも破綻はしない程度」を念頭においてたりする。「他人の幸福」を願う気持ちは持とうと心がけているつもりですが、根は一国平和主義にどっぷり浸かったエゴイストなんでしょうね、僕は。で、その観点から日本の状況を見ると政府レベルでは中国に気を使っており民間では抗議の動きがあって「役割分担」になっており、まあ悪くはないかな、ウチとしては上出来かな、と前向きなんだか後ろ向きなんだか分からない感慨に浸っていたりします(苦笑)。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8110 
尾鳩 2008/04/18 00:30
同情と道楽は紙一重

隣人の苦しみは私の苦しみだ・・・同じ地球の住民としては当然持つべき考えでしょうが、それでチベットが語られているかと言えば、片腹痛いですね。「市民の成熟度を測る試金石」なんていう言い方をする人もいるようですが、なんだか欧米のNGOの片棒担いでいる感じが強すぎて。

まあ、あんまり欧米、欧米と持ち上げたくはないんですが、かの地域には、チベットファンクラブが相当根付いており、地道に活動を繰り返してきたわけです。ニュースになるならないは関係なく、長年ずっとチベット問題と向き合ってきた方たちが相当数存在するわけです。

にわか仕立てのチベットファンクラブとは、比較もしようがないくらい、相当な活動を続けているわけです。

かたや、わが国。全てがにわかな感じがしますね。にわかな連中ほど、チベット問題を踏絵に使おうとするわけですよ。「お前は漢族派?それともチベット派?」なんて。

電羊斎さんが書いていたように、「漢族・少数民族という対立軸も確かに存在しますが、その一方で多様なベクトルが働いていることも見逃してはいけない」、この視点が全く欠如していますね。

だから私は想像がついてしまうんですよ。あれだけ大騒ぎしていた食品関係の問題が、ある時期から急にチベットに変わってしまった、次はどの話題にとって変わられるのか、それは時間の問題だろうなあ」と。

ダライラマの主張は一貫していますし、その内容には注目すべき点が幾つもあります。ダライラマは言いました「私は北京オリンピックの成功を祈る」。この言葉を聴いて、動揺しなかった日本人がどれだけいたのでしょうか。

私個人は、チベット問題は日本人も大いに関係している問題であると思っています。しかし、それを実感させるメディア報道に出会ったことはありません。

正義か否か、その程度の報道で満足し、そして視聴者もTVの向こう側の事実としてしか認識していない現実。途上国支援を実施している立場の自分として、ずしりと重いものを感じてしまいます。

次はどのニュースがお茶の間の話題をさらうのでしょうか。



#8109 
NF 2008/04/18 00:25
史点感想

>マケドニア
「マケドニア人」としての「物語」が必要なのは理解できるんですけど、「他人」の物語を引っ張ってきたらそりゃ怒る人が出てくるでしょうね。
>キプロス
そういや、ここも「分断国家」でしたね。ドイツ統一の時でさえ、経済的に赤字になったという話がありましたね。圧倒的に西側が大きく、しかも東西ドイツとも各陣営においては経済が発展した地域だったにもかかわらず。それを考えると、時間の経過が統一を困難にする原因はここにもあるんだなあ、と痛感。

>安重根
そう聞くと、よく分からん人ではありますね。ただ、酷な言い方ではありますが「殺人機械」になってしまった点もそうですが、暗殺事件が併合を後押ししたという説もあったりする辺り結局は敗北者と言わざるを得ないのでしょうが。因みに、「その悪政」と言っても(少なくとも日本国内に関しては)伊藤はよく頑張っていた方だと思うのですがねえ。個人的にはどちらかと言えば伊藤より(老害化しつつあった)山県あたりを…、いや失言。「『国家』よりも『道義』を優先」っていうのは当時の民権家系統の人間全般に言えるようですね、現在から見て「右」か「左」かに関係なく(例えば頭山満も幸徳秋水も)。現在から見ると彼等が複雑に見える一因なんでしょうね。儒教的教養が背景にあるというのは、なるほどというところです。そういえば学生時代の先輩が兆民は「東洋のルソー」というより「明治の孟子」じゃないかと言っていたのが思い出されます。
>「それが解放されるには真の英雄の到来をまたなくてはならなかった」
…まあ、北朝鮮ですからね…。

>ネット上の公開という手段
おっしゃるように、こうしてみるとYou Tube辺りに投稿されたプロバガンダ動画と変わりませんね。プロとアマの差がネットにより縮まりつつある例としても注目できるかも。
>「ビヨンド・フィトナ」
そこで「ヘルシング」ですよ、と言ってみる。「いいですか?暴力を振るって良い相手は悪魔共と異教徒共だけです」「我々(カトリック)をなめるなよ邪教徒 キリスト教の歴史は闘いの歴史だ 異端審問と異教弾圧で屍山血河を築いてきた最強の世界宗教だ」といったなかなかの素敵台詞が出てきますから。…すぐに「少佐」がそれをも上回ってしまいますけど。
しかし、イスラームがテロと結び付けられるのは確かに嫌なんでしょうけど、イスラームの即物的極まりない天国描写やら性愛観やらの話をしてもそれはそれで嫌がるんだろうなあ、と現状では思ってしまうわけで。イスラームのイメージを変えるには排他性をなくしてそうした面での「あけっぴろげさ」がもっと要るんじゃないかと。
>「靖国」
ため息しか出ない、というところ。この映画の内容がどうであろうと反対する人はれっきとして存在するわけだし姑息なイチャモン付けても仕方ないんですがねえ。普通に上映させて、反論があれば正面からすればよいわけで。上記の話にもかかわってきますけど宗教上の発言での寛容さ・いい加減さが本来は日本の長所なはずなわけですから。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8108 
NF 2008/04/17 23:44
チベットをあまり知らないなりに徒然と

歴史ブログの更新をがんばってみたら、歴史記事なんだか猥談なんだか分からない代物が増えつつあって自分でもなんだかなあと言う気がする今日この頃。

>チベット
日本のネット世論では「大量虐殺」とか「民族浄化」とかを特に問題視しているような感じを受けますが…。考えてみれば中国当局はチベット人だからというより相手が漢族でも同じ対応をするんだろうなあと思ったり。結局、問題は民族がどうこうよりも(少なくとも西側から見て)人命の安さ・人間の尊厳への配慮のなさという点にあるんだろうなあ。中国がこの問題を抱えているのはそれこそかなり昔からなんでしょう(更に言うと前近代にはどこでもある程度存在した問題ですが)が、経済成長して西側との距離が近くなった事でこの問題が逆に浮かび上がったんでしょうね。
個人的には意外に長く騒ぎが続いてるなあ、という感じです。中国側が一々丁寧にムキになって反応しているのが逆効果になってるんじゃないか、という気はしています。…ちょっと冷静さを欠いてその意味では中国らしくない印象もあったり。ネット上ではチベットだけじゃなくてウイグルという言葉もちらほら見られるようになった気がしますし。
聖火リレー騒ぎに関しては、市民レベルで一応の抗議をする他ない状況を反映しているんでしょう。おそらく日本でも同様になるでしょうね。まあ、我が国の反応に関しては、政府レベルがやけに大人しくて(もう少し言い方を工夫するなどしてうまく立ち回ってほしい気はしますが)仏教団体は結構あちこちが抗議していて聖火リレー出発地の善光寺でも騒動の死者を哀悼する行事があったりして、全体としてはまあバランスがとれてるんでないかな、と。善光寺の行事でも民族・陣営を問わず追悼したらしく、正成の「寄手塚」「身方塚」をも連想させ良い意味で我が国らしいな、と思ったりしています。
…少なくとも死人を出さないで済むような状況になってほしいものですが、そうなるまでにはまだまだ時間がかかるんでしょうねえ…。電羊斎様のお話からすると日本人が見るよりは状況が変わりつつあるんでしょうけど。

 ところで、元や清にチベット仏教が受け入れられたのは教義の内容より寧ろ歓喜仏が興味を引いたためという話を聞いたことがあるのですが、どの程度本当なのやら。貴族社会に密教が現世利益の呪術として受け入れられたり南北朝に立川流が隆盛したりを考えると、日本仏教とも案外距離は近いのかもなあと思ったりします。…すぐにこういう話をするから18禁ぽい記事がふえるんだろうなあ。


http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8107 
電羊斎  2008/04/17 22:05
ガッツOK牧場

>OK牧場
まさかそんな泥沼の復讐合戦があったとは知りませんでした。
やっぱり現実は映画みたいにあっさりとケリがついたりしないんですねえ。

ジョン=フォードとインディアン(ネイティブアメリカン)についてですが、フォード監督は西部劇映画の中ではインディアンを悪役として描くことが多かったのですが、実は彼らのことをかなり気にかけていたようで、困窮するナヴァホ族の人々に映画の仕事を紹介してあげたりして結構慕われていたとか。以前NHK(だったと思いますが)の番組で、当時を知るインディアンの古老が「フォード監督は確かにインディアンを悪役として描いたが、我々には本当によくしてくれた」と感謝を込めて振り返っていたのが深く印象に残っています。

>中国のマスコミ等
確かに日本の報道に引用されるのはほとんどが新華社やら人民日報の記事ですね。徹夜城様のおっしゃる画一的論調という弊害は確かに存在しますね。

ご存知の通り中国は広いので、言葉にしても社会状況にしても人間の考え方にしても、北と南、東と西ではそれぞれ外国同然といっていいほどです(それこそ日本と中国ぐらい雰囲気が違う!)。
また、比較的締め付けのゆるい地方のマスコミでは当局の怒りに触れない形でいかに真実を報道していくかが腕の見せ所で、大連や広州の新聞、雑誌等を見ると、時々行間から記者の苦労の跡がうかがえる記事に出会えます。
それに世間話レベルではみんな結構いろいろな意見を述べてますし、ネットの書き込みでも時々日本のネットウヨの中国叩きが上品に思えてくるような激烈な政府批判を見かけることがあります(無論当局も目を光らせてはいますが、全てを削除しきれるものではありません)。

日本ではよく中国人はああだ、こうだと決め付けがちですが、実際のところはこんな感じで、まさに「十人十色」です。

ですが、日本のマスコミで引用されるのは北京発のワンパターンで硬直した公式見解ばかり。こういう公式見解を読んで中国を理解できるとは到底思えませんし、ましてや中国に好感を持つ日本人は皆無でしょう。
両国の相互理解への道はまだまだ遠いようです。

>モンゴル
うーん、『秘史』とはかなり異なる展開とは聞いていましたが。それとも『集史』の方に則ったんですかね?ジャムカファンの私としては「買い」かも(笑)
とりあえず機会があれば、私と「アンダ」の誓いを交わしたモンゴル族の友人に感想を聞いてみようかと思います。

>史点 安重根の遺骨
こちらでも報道されていました。ある意味非常に現代的なニュースですな。
最近は旅順や金州といった大連郊外地区の住宅開発がものすごい勢いで進み、まさに大連のベッドタウンと化しつつあります。ちょうど高度経済成長時代の多摩ニュータウンや千里ニュータウンといった感じでしょうか。うちの近所でも旅順の水師営や203高地付近の高級分譲マンションの入居者を募集していましたし、乃木希典の息子が戦死した金州の南山にも雨後のたけのこの如くマンションが建設され、ここ二年ほどで景観が全く変わってしまいました。


http://honin.spaces.live.com/


#8106 
tomohiro 2008/04/17 20:33
名作について

私は名作だとか言って、古い映画ばかり持ち上げる行動は苦手なんですよね。
そんな私としては、古い映画で名作だと思うのは、
「風と共に去りぬ」、
「カサブランカ」
「ガス灯」
でしょうか。
反面名作だと思えないのが、
小津安二郎作品、
木下恵介作品
溝口健二作品
といった所です。
あまり古い日本映画はピンと来ません。
比較的新しい映画やドラマはぴんと来るものが多いのに。
あと、名作の誉れが高いのは
昨年の大河
「風林火山」。
最近にはない骨太な大河・歴史ドラマという評価が
あるのですが、
私には現代的な表現のリメイク武田信玄にしか見えませんでした。
特にそう感じたのは、昔の武田信玄が登場する
映画・ドラマ・小説・漫画などでは
三条夫人が悪役として描かれるのに対して
風林火山のそれは現代的な悲劇のヒロインとして
描かれている事に、
「ああ。是は現代のドラマなんだ。」
と思いました。
元来戰國時代が大嫌いな時代だから
ますますそう考えたのかもしれないけれども。




#8105 
徹夜城(また一つチンギスハーン映画を見てしまった管理人) 2008/04/17 20:07
「モンゴル」見てきました。

 米アカデミー外国語映画賞ノミネート作品になったおかげで東映配給で日本公開になった「モンゴル」、見てまいりました。
 さんざ報じられたように、浅野忠信がチンギスハーンを演じてます。日本人でこの役を演じたのは加藤剛、反町隆史という前例がおります。戦中にも一本あったらしいのですが、未確認。それにしても浅野さん、全部モンゴルのセリフで、成りきって演技しおり、存在感はやはり抜群。それにしてもどういう経緯でこの人がキャスティングされたんだろ。
 盟友にして宿敵ジャムカを演じるは中国(モンゴル人なのかな?)のスン=ホンレイ。妻ボルテを演じたのはモンゴル人のクーラン=チュランという布陣。他の俳優さんの話がパンフレットに一切出てないんですが、中国・モンゴルあたりで集めたのかな?そして監督らメインスタッフはみんなロシア人、出資をメインとする「映画国籍」はドイツ/ロシア/カザフスタン/モンゴルという何とも不思議な組み合わせの映画であります(アカデミー賞にはカザフスタン作品として出品していたはず)。もっとも最近はこの手の多国籍な製作体制の映画が多くなる傾向があります。

 内容はチンギスハーンの幼少期から青年期まで。一番苦労が多いあたりですね。元朝秘史などで知られる苦労の前半生、父の毒殺、部族からの孤立と捕縛・逃亡、ジャムカとの盟友(アンダ)の誓い、妻ボルテを奪われてそれを奪回、しかしすでにボルテは敵の子を妊娠していて…というおなじみの展開がほぼそのまんま映像化されてます。「アカデミー賞ノミネートのロシア系映画」という先入観から、もっと「芸術映画」な内容を予想していたもので、意外に通俗的な大河ドラマやるんだなぁと驚いたりしたものです。
 ただし中盤から映画は大きく「史実」を離れていきます。まぁ元朝秘史に書かれていることが「史実」とは断定できないわけで、そこにこの映画の作者がいちばん描きたい部分があったようです。ネタばれになりますが、テムジンがジャムカと最初の対決をして敗れ、タングート(西夏)に奴隷として売り飛ばされ、そこで数年間幽閉生活を送るという全くオリジナルの展開があるんですね。パンフに出ていた話によるとロシアの歴史家に「元朝秘史」の空白部分を指摘して「幽閉説」を唱えてる人がいるらしんです。この映画はその説に全面的にのっかってます。
 だから日本でよく知られるチンギスハーンばなしを知ってる人には後半違和感アリアリという気もするんですが…他にも何点か「ええっ?」と思う部分がありましたが、それはネタばれなのでここには書きますまい。

 歴史話に絞りますと、トオリル=ハーン(ワン=ハーン)は出てきません。あくまでテムジンとジャムカの「幼馴染で相手を認め合う盟友同士の宿命の対決!」に絞られ、熱い戦いを繰り広げます。ジャムカ大好きの僕(屈折キャラ好き)にはかなり嬉しい展開でした。歴代のジャムカ役者中でもこれは気に入ったほうですね。
 で、いつも注目するのが「ジャムカの死に方」であるわけですが…えー、この映画では死にません(爆)。映画のクライマックスの対決で敗れ、テムジンに捕らわれますが、逃がされてしまいます。続編を作る予定だそうで、今後に期待しましょう。

 昨年公開された「蒼き狼・地果て海尽きるまで」もそうでしたが、日本や欧米で描かれるチンギス=ハーンはボルテが生んだ敵の息子ジュチ(ジョチ)についてえらく苦悩し屈折する描写が多いのですが、この映画ではケロッとしているのが印象的。もちろん多少の葛藤はあるのでしょうが、妊娠したボルテの姿を見て、すぐ「俺の子だ!」とジャムカに言っちゃって、その後屈託もなく優しき父親としてジュチに接するシーンが何度も描かれます。これに違和感を感じる人もいるかもしれませんが、モンゴル版なんてこの件にまるっきり触れないですし、元朝秘史みてもそれほど大問題とは当人は思ってなかったみたいなんですよね。これは僕はむしろリアルな描写と思いました。

 映画を見終えて思いついたこと。
 浅野さん、「五条霊戦記」では義経やってたんですよねぇ。ついに義経がジンギスカンになることができたというわけです(笑)。



#8104 
EN 2008/04/17 13:35
しばらくぶりです

ここ何か月かあまりにも忙しく書き込む時間がとれませんでした。申し訳ありません。聖火リレーついてですが、僕もその報道以来チべット問題がどこかにいってしまったと思います。ダライラマ14世が来日しましたが、それについての報道も少し少なかったような気がします。                              アンサイクロペディアの記事、僕も読みました。面白くユーモアにまとめてましたね。あそこのサイトってそういう売りなんですかね。ウィキペディアのバロディのつもりなんでしょうが。



#8103 
徹夜城(明日「モンゴル」を見てくる予定の管理人) 2008/04/16 23:22
OK牧場!

 …というと、最近では「ガッツ石松の口癖」になってしまうようですが(笑)。
 先日NHK衛星で放映していた西部劇映画「墓石と決闘」(原題『THe Hour of the Gun』)を見ました。西部劇史上に名高い「OK牧場の決闘」の後日談を扱った異色作で、バート=ランカスター&カーク=ダグラスの「OK牧場の決斗」を撮ったジョン=スタージェス監督が自ら作った正統続編。主演は二人とも変更になっちゃいましたけどね。
 この話題を栄耀映画板ではなくこちらで書いてしまうのは、長年この「西部劇版忠臣蔵」ともいうべき「OK牧場」ネタ映画群を「歴史映像名画座」に入れたもんかどうか悩んでるからなんですね。アメリカ史のコーナーでは南北戦争のあと20世紀初頭までスポッと抜けてるのがちょうど埋まるんだが…という思いもありまして。
 ジョン=フォード監督の代表作でもある「荒野の決闘」もOK牧場の決闘を素材にしてまして、ジョン=フォードは主役のワイアット=アープ当人(1929年没)から話を聞いてもいるようですが、映画自体はフィクションたっぷり。ドク=ホリディも決闘が終わると血を吐いて死んじゃうし(沖田総司か平手造酒か)、クレメンタインなんて架空のヒロインは出てくるし。そこいくとジョン=スタージェスの「OK牧場の決斗」のほうが「史実に忠実」に作ったことになってます…もっともこちらも実際の決闘の再現はかなり長い時間にするなど映画的工夫が凝らされますが。
 
 OK牧場の決闘は史実では後日談がありまして、実はあのあとが大変。ワイアット=アープたちは訴えられて裁判になったり、お礼参りで兄弟が射殺され、それをまた報復したりと泥沼化しちゃうわけです。映画的にはその辺は面白くないので「荒野の決闘」ではあっさりカットしてますが、裁判だ報復合戦だのドロドロの過程をジョン=スタージェスが真面目に撮っちゃったのがこの「墓石と決闘」。まぁクライマックスはいかにも西部劇な決闘場面になるんですが、全体としては「西部劇映画」としてみるとちっとも面白くない。アープとドクの友情物語として見られるのが救いというところですか。
 このテーマで一番史実に沿って作ったらしいのがケビン=コスナー主演の「ワイアット・アープ」でしたが、3時間ぐらいある大長編ながら、やっぱり「史実」は映画ほど面白くない。観点を変えると西部劇時代の一人の男の生涯をじっくり追ったということではなかなか面白いんですけどね。同時期に「トゥームストン」という同テーマの映画もつくられましたが、こちらはまだ見ていないです。

 絶対史実じゃないんだろうけど、ジョン=フォード監督の晩年の作品「シャイアン」にアープとドクがカメオ的にゲスト出演してるのが楽しい。この映画は全面的にインディアン側の立場で描かれた西部劇で、白人たちがシャイアン族の「残虐性」を勝手に想像し新聞であおりたてる様子が痛烈に描かれるのですが、それを冷めた目で見てツッコミを入れ、ケンカになるとお得意の早撃ちを披露して見せるのがアープ&ドク、というわけです。
 「西部劇版忠臣蔵」などと書きましたが、忠臣蔵ほど大規模ではなく「荒木又右衛門」あたりが妥当なのかな。


>十一郎さん
 レスが遅れまして…川内康範さんネタはここで書こうと思ってついつい書きそびれ…タイトルだけ「どこの誰かは知ってるけれど」ってやったんですけどね(笑)。
 「レインボーマン」の件で引き合いにされるようにどっちかといえば右寄りな、民族主義者的ポジションの方だったようですが、やたらに「愛」を説き、「敵も許す」という姿勢、そして絶対平和論を唱えて9条堅持を主張するなど、この世代に時々見られた平和論的保守といったまとめ方ができるのかな、と。


>電羊斎さん
 こちらもレスが遅れましたが、中国現地(とひとくくりにもできんのでしょうが)からの詳しいお話、実に興味深く読ませていただきました。中国の報道ともなると日本以上に地域差も大きいようですし、論調もそう単純にまとまってるわけではなさそうですね。日本にいるとどうしても新華社だ人民日報だというあたりしか報道で引用されないもんで、かえって論調が画一的に伝わるという弊害がある気がします。
 以前「王直の墓破壊事件」の折りにあちらの地方紙の特集記事などをネットに載っていたものを中心にいくつか見たんですが、これが意外に(?)多様な意見を載せ、冷静な判断を下してるように見えたのが興味深かったことを覚えてます。まぁこの事件自体が一部新聞が過剰に煽った結果でもあったわけですが。

 オーストラリアのラッド首相が中国留学経験ありの北京語ペラペラというのは聞いてましたが、「陸克文」という“中国名”まで持っていたのは初めて知りました。ウィキペディアでも中文版では最初からそう表記されてますね。それにしてもどういう基準でこの3字を選んだのやら。


>景虎さん
 ジョークとしては上出来ですね(笑)。ただ日本版の文章は後半に行くと悪乗りして素直に笑えなくなっていく気もしましたが。
 思うんですけど、仮に今年日本でオリンピックやってたら反捕鯨団体や環境団体あたりが直接的な妨害行為を絶対やったんじゃないかと。で、やられたほうはそれじゃムキになるだけなのでほとんど無意味じゃないのか、と思えてきちゃうんです。
 しかし聖火リレーの追っかけ状態になったあたりで日本の関連報道はチベット自体はどうでもよくなってきたように感じてます。結局騒ぎを求めて追っかけるのがマスコミ(とくにTV)の本能なのかなぁ、と。いよいよネタ切れなのか、昨日なんてどっかのニュースショー(ワイドショー)が「中国外務省の女性報道官の素顔とは?」なんて見出しをやってましたよ(笑)。


>ヨハネスさん
 作品の評価なんて人それぞれですから、「名作」と全員が一致してあがめたてまつる必要はないんですよ。僕だって世間的に「名作」とされたものにずいぶんケチつけてるくちですし(笑)。「タイタニック」なんて何がいいんだかいまだにワカランとか言っちゃいますし(笑)。先日も“名作”とされる「ビルマの竪琴」(旧版)を見て、「なんじゃこりゃ」と思ったりしたもんです。
 世間や多くの人が「名作」というから、それをよく見もしないで「名作」と決めつけちゃうほうがよっぽど危険なので、ヨハネスさんがそういった疑問をもつ、ってことはとても大事なことなんですよ。
 とまぁ、その上で一言言わせていただくと、「ああ、作者の手塚治虫や中沢啓治は全然人間を信じていないんだな」という感想にはかなり違和感を覚えます。そう簡単に言い切られちゃ当人が化けてでますよ(笑。あ、中沢さんの場合は生霊ですな)。僕がいろいろ読んだ限りでは、少なくとも彼らはそんなことは思っておりますまい、むしろ人間を信じたいという理想主義者の性格が強いが故に実際の人間のやること(これは事実としてそうですから)に幻滅し、それを強く作品中に描き出すことで批判もしているわけです。
 手塚治虫がその初期作品からペシミスティックで、なおかつ今日の観点からみると強引なまでに悲劇を好んで入れる傾向があるのも事実ですけど、その側面だけで「手塚」を理解するのも危険でしょう。また逆に手塚をやたらにヒューマニスト、理想主義者のように持ち上げる傾向にも僕は大疑問をもってます。



#8102 
ヨハネス 2008/04/16 16:50
私は評価出来なかったのですが

少し以前の話題になりますが。
少し前に「火垂るの墓」を名作だとこの掲示板で評価していましたが、私は全然評価できませんでした。

「火垂るの墓」は原作・映画版とも見ましたが、どちらも感動する名作だとは思えません。
見ていて作者の野坂氏の人間不信や厭世観やニヒリズムが伝わってきて、嫌悪感さえ感じました。
「人間や世界なんて信じられない。人間なんて何をやってもいくら努力しても結局ムダなんだ」と
いう作者のニヒリズムについていけません。
それにこういう反戦作品で安易に「最後に主人公を殺してオチをつける」やり方はイヤです。

他にも「アドルフに告ぐ」や「はだしのゲン」が世間では質が高いと評価されていますが、
私には名作だとは思えません。両作品とも作者の人間不信や人間に対する嫌悪感が露骨に感じられます。
「ああ、作者の手塚治虫や中沢啓治は全然人間を信じていないんだな」って。
両作品とも人間の醜悪な部分だけを提示して「人間なんてしょせんこんなものだ」という
ニヒリスティックな主張をするのについていけないのです。
それに作品全体から漂ってくる左翼臭も鼻につきます。

私はこの三作品は受け付けないのですが、これらは一般的に「名作」と呼ばれているので、
自分の感性の方が間違っているのでしょうか?



#8101 
景虎 2008/04/14 08:25
エクストリーム・聖火リレー

>聖火リレー
極めて正確なニュース速報でもあるという、アンサイクロペディアによると、
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%BB%E8%81%96%E7%81%AB%E3%83%AA%E3%83%AC%E3%83%BC
一連の聖火リレーに関する騒動は、エクストリーム・聖火リレーという画期的な新競技だったんですね(笑)。最近テレビをあまり観ないせいか、恥ずかしながら知りませんでした。

まあ、冗談はともかく、アンサイクロペディアの『なお参加者の防災・防火意識を競い高めるための競技であり、時事問題等とは一切関係ない。』というのが事実だったらよかったのに・・・と少しだけ考えてしまいました。



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