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#8100 
電羊斎  2008/04/13 23:32
補足

補足ですが、先ほどの『南方週末』の記事は4月3日号の時局論説です。内容を要約するとチベット人の中の穏健派、ダラムサラの亡命政権の中の穏健派とは話し合ってみていいのではないかということですね。中国政府の立場からは外れてはいないものの、示唆に富む内容です。これが今の中国でのギリギリの報道と言った感じでしょうか。
http://www.infzm.com/news/xwgz/200804/t20080402_41829.shtml

中国政府は少数民族の不満分子(過激派から穏健派、「高度な自治」派から現行制度の枠内での権利拡張派まで様々)をすべて「テロリスト」、「分裂主義者」として一緒くたに取り締まっていて、余計な敵を増やしている気もしますね。

くどくどと長いコメントを書いてしまい、申し訳ありません。



#8099 
電羊斎 2008/04/13 18:50
陸克文、チベットまたは少数民族について

こちら中国では最近、オーストラリアのラッド(中国名:陸克文)首相の訪中をかなり熱心に報道しています。ラサの騒乱事件以来はじめての西側首相の訪中、しかも中国語ペラペラとあって、「中国の友人」としてかなり持ち上げています。TVで北京大学での講演の様子を見ましたが、中国語で「君たちなんでこんなとこいるの?授業あるんでしょ?宿題はちゃんとやったの?」と冗談を飛ばして学生を大爆笑させたりしてましたし、発音自体も(アクセントにやや英語圏のなまりはありますが)地方出身の中国人に比べればかなり標準的でした。

そしてご存知のようにラッド首相は講演会や会談の席で、「チベットは中国の不可分の領土であることは認めるが、重大な人権問題がある」として中国に注文をつけていましたが、中国国内の新聞報道等では後半部分がばっさり抜け落ちており、ラッド首相が「チベットは中国の不可分の領土であることを認め」中国政府のやり方を承認したかのように報道されています。

以上のような報道からは、西側首脳の訪中を利用して「中国は孤立していないんだ」と宣伝したい当局の意図が透けて見えますね。
5月に福田首相も会談するようですが、結局のところは今回のラッド首相のように発言内容の都合の良いところだけを切り取って利用されるだけでしょう。

それから、皆様のご指摘の通り、漢族と少数民族の関係には日本本土と沖縄の関係に類似した点が目立ちます。
この間のコメントにも書きましたが、厳しい現代生活に疲れ果てた中国人(主に漢族)が癒しを求めて少数民族文化や仏教のような宗教にはまっており、最近は中国でも少数民族系の歌手や少数民族音楽を取り入れた歌謡曲が大流行しています。これらはちょうど日本における沖縄出身アーティスト、沖縄音楽に似た位置にあるのかもしれません。
さらには最近の健康ブームに乗って少数民族地域の「秘薬」、「モンゴル薬」、「チベット薬」も流行の兆しを見せています。
ですが、一方では漢族側には少数民族、特にウイグル人やチベット人を見下したり、異分子として見なす風潮が根深いのも事実です。
ここ大連ではウイグル人が「犯罪者」、「泥棒」として、相当嫌われていまして、ある漢族の友人いわく「文化的には日本人のほうがよっぽど近いし、親しみを感じる」とのことでした。

ところで、興味深いことに、最近の少数民族の間では漢族側のこうしたいわば「商品化」された少数民族文化をむしろ積極的に逆用することにより、漢族に対して自らの権利やアイデンティティを主張していく動きもあります。彼ら少数民族は政府によって承認され、マスコミによって中国全土に広められつつある少数民族史、音楽、芸術などを利用して、内に対しては自分の拠って立つところを確認し、外に向かっては自民族の「偉大な歴史」と「美しい文化」を主張することで、漢族の差別意識へカウンターパンチを与えようとしているように見えます。

なんだか、すべてにおいてヤマトと琉球・沖縄の関係に似通っていますね。私も父方のルーツは琉球文化圏(奄美諸島)なので、心中複雑です。

>尾鳩様 ミッキー様
ご指摘のとおり、少数民族といっても色々でまさしく「十人十色」です。
私が普段接しているのは主に満洲族、シベ族やモンゴル族、朝鮮族等の北方民族ですが、実際のところ彼らの考え方も人それぞれで、固定した特徴的アイデンティティを見出すのはなかなか困難です。漢族・少数民族という対立軸も確かに存在しますが、その一方で多様なベクトルが働いていることも見逃してはいけないと思います。

>十一郎様
中国には確かに厳格な言論統制がしかれてはいますが、これも地域によって濃淡があり、一般に地方は北京に比べて締め付けがゆるいところがあります。
大連(東北地方)や上海、広東の新聞雑誌には、遠まわしながらも政府を批判する記事が載ったりもします。先週の『南方週末』(広東)という週刊新聞には慎重な言い回しながら、チベット独立派との対話の可能性をさぐるべきという論説が載っていました。

http://honin.spaces.live.com/


#8098 
十一郎 2008/04/12 06:06
ボクラはみんな知っている

書こう書こうと思って忘れていたのですが、川内康範氏が亡くなられました。
自民党政権のブレーンではありましたが、遺骨収集から政財会との繋がりが出来たわけで、左翼の自分から見ても「古き良き保守」を体現するような人だったな、と。法華経信者だったところも、いかにも民族主義らしい。
もちろんタイトルにも使った『月光仮面』に代表される戦後ヒーローの礎を築き、文化史から見ても重要な人でした。お悔やみ申し上げます。

>映画『靖国』

史点をお待ちしています。ニュース番組のインタビュー等を見ても快活な若手監督という様子で、こんなところでくじけずバネにしてほしいです。続編として今回の騒動を映画化するとか(笑)。
それにしても、正論の稲田議員釈明がひどい。笑えないくらいひどい。本当に弁護士だったのか、この人(実際に戦争報道をめぐる無理な訴訟で負けたりしましたが)。

>聖火リレー

左翼からすると「しょせんナチの遺産じゃねーか」とか思ったり。手塚治虫『アドルフに告ぐ』でも描写されてましたっけ。



#8097 
尾鳩 2008/04/12 01:03
いろんなチベットに出会う

ミッキーさんの書き込みを見て、チベットを初めて訪れたときのことを懐かしく思い出してしまいました。1992年。もう15年以上になるんですね。

チベットだけでなく、青海省に位置する黄河源への訪問を皮切りに、今青蔵鉄道が通っている青蔵高原をヒッチハイクで乗り越え、ラサ入り。ヒマラヤを越えネパールに入ったときは、旅行開始からすでに三ヶ月が過ぎていました。

私が訪れたそのときには、すでに漢族と蔵族との対立構造は存在しましたが、そのときに最も気になったのは、実は自分自身のそのような現状に対する態度でした。改革開放政策の真っ只中、経済的に豊かになりたいという人々の想いは、当然ですが、大陸奥深くのチベットの地にまで及んでいました。そのような風潮に対して、チベット人たちの対応には、やはり大きく二つの反応があったわけです。

一つは、そのような風潮を卑しみ、その想いをチベット文化へと帰属させていく人達、もう一つは、むしろ経済的な富裕を追求し、文化的コミュニティから離脱していく人達。

私は、このとき、気がつくと前者を擁護し、後者を否定しがちだったことに気付いたわけです。で、そのような自分に気付くと、妙な事実に気付いたわけです。後者の人間に最も影響を与えているのは、中国人ではなく、まさしく自分を中心とした観光客であることに。

どちらかといえば、チベット人の方達のおかれた立場に同情は禁じえませんが、かといって、チベット人を支援する会等を結成されている方達とどうしても距離を置きがちになってしまうのは、上に書いたような経験があるせいなのかもしれません。

今回の騒乱の背景には、当然ですが、一言で片付けられないほどの複雑な背景があるはずです。文化や政治や経済、それぞれの事情が複雑に絡み合っている結果であり、単純に描ききれるようなものではありません。

漢族とチベット人が心底憎みあっているという事実も存在すれば、NHKが報道したような側面も確かに存在します。歴史上、衝突が顕現化するまでは、極めて普通に、対立要因も含めて、両者が共存していたということはよくあることだと思います。対立が伏流水のように極めて明確に存在し、それが何らかのきっかけで噴出したいう説明は、確かに一般受けはします。

しかし、実際は、複雑で確実に存在する、しかし極めて漠然とした対立要因が、あることをきっかけに明確な方向性を持った衝突に発展する、というほうが多いのではないでしょうか。小さい例で言うと、あることをきっかけに関東人と関西人同士が喧嘩し始めるように。両者は確かに対立する要因を持っていますし、お互いを嫌っている要因を持っていますし、どこかで必ずそのような喧嘩が起こってはいるとしても、当初から明確な全体意思を持った運動として、両者が対立構造を作っているわけではないわけです。

ダライラマは、当初から自治に近いことを要求していたはずであり、むしろ明確な政治的な言及は避けてきた立場であったはずです。政治的や経済的な理由から、「チベット独立は良くない、チベット人による自治が『現実的判断』である」としたわけではないはずですよ。

敢えて言えば、チベットはインドや中国の保護国的立場にいないと生きていけないような宿命的な立場にあるわけではないですし、そのような歴史状況にあったこともない。いまさら、保護国化と経済的自立という政治的命題と経済的命題を並べて論じる必要性など無いように思います。

メディアの報道は、わかりやすさが大切ですから、一番一般受けがしやすいものを選ぶ、この事実に気付くだけではなく、そのような報道を直接的に受け入れない体質を、そろそろ持つべきなんではないでしょうか。とにかく、チベットの件について、まず言いたいのは、むしろこのことです。チベット問題にどう対処すべきか、その方策と戦略は、ということを語りたいのであれば、メディアの報道に惑わされないことがまずは先決なのではないでしょうか。



#8096 
ミッキー 2008/04/11 07:15
チベットについて

こんにちは、以前に「激流中国」のチベット編を見ました。今話題のNHK!ですが。たしか中国のホテルで働くチベット人を中心にラサに進出するホテルや企業、観光客ラッシュなどの現在を描いたドキュでした。まぁ、一部の方は捏造、ヤラセと言うかも。ただ、気になるのは山奥の村から働きに来たチベット人のオジさんです。名前はわすれましたが。現金収入を求め、また、家族に仕送するため、ホテルで民族芸能を客の前で演じるワケナンなんですが。私が感じたのは大衆消費文化がチベットにも浸透しつつあるのかな、大衆消費社会に必要なのは現金です。それがなければ何も手に入りませんね。中国に支配される前は半鎖国状態で自給自足が普通だったと、表現は悪いけど「清く、貧しく、美しい」生活、かな。今一番チベットの人達のジレンマはそこにあるかなと思ってます。今更、電気のない生活には戻れんし、とすれば反中国感情をあろうと中国人に雇われしかないし。番組の中でも社長の方針で、給料が定額から能力給に変更され、本人は能力不足の判定され給料減額されて反発するシーンがありました。チベット人の社員の若者たちが約束が違う騙されたと怒る場面でした。社長に言わせれば企業は利益が出なければやっていけない。社員も能力で評価するのは当然、チベット人は資本主義社会を理解してないと発言し結局は決裂してオジさんも辞めて他のホテルに再就職するところで終わったんですけど。記憶ではこんな感じですかね。私が気になるのは今度のデモ、いや暴動ですかね、このオジさんは参加したのかな?もし、就職してたら解雇されるから多分参加してないか、気になるんで。今度のデモに参加した人より参加しなかった、いや、出来なかった人たちが。その心情が察するに余りあるから。
ダライラマ氏は中国に高度な自治を要求、独立ではなく。ここに大きな理由があるのかなと思ってます。つまり中国から離れてチベットの経済が成り立つのか、地図を見るとチベットはインドと中国にはさまれた内陸ですね、どちらにしても両大国の保護下に入る道しかないか。物資も中国かインドルートからしか入れられないし。昔のように国民が自給自足でささやかに暮らすなら鎖国でもなんとかなるが、今の時代はムリと思うわけです。あのネパールも王制が崩壊しましたし!ダライラマ氏も後先考えず独立宣言はだせない、チベット人達の複雑なヤルセナイ部分が出てるのかな今度の事件は。マァ、皆さんの書き込みを見て私もトリトメナク書いてしまいました。



#8095 
小覇王 2008/04/11 00:55
聖火

 いやあ、世界中で聖火リレーの妨害が起きてますね。オリンピックと政治はさすがに切り離せないんですかねえ。
 ダライ・ラマ14世は北京オリンピックの開催には賛成のようだし、あくまで「高度な自治」をもとめて独立を図る気はないようだけど、どうも実際のチベットの若い僧侶たちはそう、考えてはいないみたいです。
 ここで、ひとつ疑問が。もしもダライ・ラマの言う中華人民共和国内での「高度な自治」が実現するとして、チベットは活仏ダライ・ラマを元首とする祭政一致体制なのだから共産主義国家が宗教国家を内包するといういびつな体制になってしまうのではないでしょうか。もしも実現させるとしたらやはりチベット側が政教分離の体制を作らなければいけないのかなあ、などと考えてしまうのです。
 ただしこれだけ言っておきたい。キリスト教徒だろうが、ムスリムだろうがチベット仏教徒だろうと共産主義者だろうとこれだけは言いたい。聖火リレーに関わった人たち、
「もう少し、オリンポスの神々に敬意を払え!」
と。

 実はブログをはじめました。まだ一週間もやってませんが、主に映画などについて書く予定です。歴史ネタや、時事ネタはこちらに投稿するものと内容がかぶることがあると思いますが、よろしければ、見に来てください。

http://burebure.blog.ocn.ne.jp/burebureblog/

http://burebure.blog.ocn.ne.jp/burebureblog/


#8094 
徹夜城(訃報を見たんでちょこっと書きこむ管理人) 2008/04/11 00:16
鉄道史の大家・死去

 4月7日に亡くなっていたとは…日本近代史・鉄道史の原田勝正さんが77歳でお亡くなりになっていたことをつい先ほど知りました。密葬を済ませてからの発表だったようですね。

 子供のころに歴史と鉄道の両方に興味をもち、それを合体させたところにこの方がいました。鉄道紀行文学のパイオニアである宮脇俊三さんと共同編集した小学館の「国鉄全線全駅各駅停車」全10巻は今なお我が家の宝物です(今は亡き廃線が多すぎますけど…)。月並みですが歴史・鉄道の両方の1ファンとしてご冥福をお祈りいたします。



#8093 
徹夜城(久しぶりに新宿まで出かけた管理人) 2008/04/10 23:45
「実録・連合赤軍」見てきました。

 若松孝二監督の「実録・連合赤軍〜あさま山荘への道程」を見てきました。僕のいける範囲では新宿の一館しかやってなくって。
 60年安保・70年安保の敗北から学生運動の行き詰まりと内ゲバ・過激化、武装闘争を掲げる「連合赤軍」の結成とその凄惨な山岳ベース「総括」事件、そしてあさま山荘へといたる歴史を3時間10分で描く大作。
 あさま山荘事件については「突入せよ!あさま山荘事件」がありましたが、あれは鎮圧する佐々さん側の視点のみだし長野県警との組織対立が主軸で(しかも警察・報道関係者に言わせると佐々さんの自己英雄化の傾向もあるみたいで)立てこもる「連合赤軍」というのが何なのか、時代背景も含めてまったくわからないという大難点がありましたが、今度の映画でようやくその点を解消できた感じです。
 監督は当時赤軍派シンパで主人公的に登場する女性とその親友の重信房子もよく知ってる立場ですから、彼らの行動をハナから全否定はしません。人のためになろう、世の中をよくしようと思っていたマジメ(ある意味マジメすぎたのがイカンかったんだろうなぁ…)な若者たちが、異常な破滅へ突っ走ってしまった過程を、激しくも淡々とシーンを積み重ねて描いていきます。当時の状況を詳しくは知らない僕には前半登場人物や組織・事件が多すぎて混乱するところもありましたが、映画を見るうえではそう障害にならないと思います。

 見ていて思ったのが、やっぱり幕末の尊攘派志士達のことですねぇ。結構気分的には似てるところがあったと思います。あと2.26事件のことも最近ちょっと調べててあれにも似てるかなぁ、と。
 映画は当時の海外も含めた時代背景・歴史状況をおりこみつつ、その中での日本の左翼学生運動の行き着く先を語るという形式をとっていて、これもこの時代を「歴史的に総括」(…うーん、やっぱ「総括」って語はこの話に関しては使いずらい)しています。最後にあさま山荘の中で最年少の参加者が仲間たちに叫ぶセリフ(あえて伏せます)は映画作者のコメントというべきものなのですが、これをめぐっては賛否両論だろうなぁ、と思うのでした(僕も「よくぞ突いた」と思うところと「そんなに簡単にまとめんでも」と思うところがあります)。

 実録を謳う映画のせいか、「仁義なき戦い」がチラついてしょうがない(笑)。登場人物の紹介の仕方、ストップモーションに「○年△月×日 ***死亡」とテロップが出るやり方もそっくりだし。いや、実際この事件の直後に「仁義」シリーズは製作されており、深作欣二もバイオレンスやくざ映画模索のときにあさま山荘の攻防戦を見て強烈なインスピレーションを受けたことを書いています。時代的空気や監督のとりくみ姿勢は似ていて当然なのかも。
 また「仁義なき戦い」と同じ笠原和夫脚本・深作欣二監督で制作される予定だった「実録・日本共産党」が完成していたらこんな感じだったかな、と思うのです。あれは戦前・戦中の日本共産党の歴史を青春群像劇としてまとめたもので、シナリオのみが残されているのですが、時期的に近いせいかよく似ています。なお製作されなかったのは共産党系の東映労組が一部の描写に「党の公史」上問題のあり最終的に難色を示したためのようです。


>尾鳩さん
 その節はどうも(笑)。こちらも久々に「尾鳩節」を聞かせていただき、楽しみました。お互い、ああいう場面では学生時代そのまんまになりますな。ちと寒い上野の屋外での飲み会でありましたが(笑)。

>民本主義者さん
 で、やはりその上野で尾鳩さんともどもお会いしている民本主義者さん、お久しぶりでございます。
 レーニンのその文章はなおさら面白いですね。1917年4月というと、まさに「四月テーゼ」のころですか。

>十一郎さん
 映画「靖国」関連は他の映画の話題と絡めて「史点」で書くことになるので簡単に。
 今日監督が記者会見し、いくつかの報道機関がくだんの刀匠に取材しましていて意見の食い違いが出ておりますが、刀匠さんのほうは正直なところ「そっとしておいてくれ」というのが率直な気分なんじゃないかと。それにしても稲田議員がおとなしくなったからひっこめたかな、と思ったらなんとしても中止させようという動きがあるようですね。
 この映画の監督、80年代に中国でチベットの伝統芸能の復興の模様のドキュメントを撮ったりしていたそうですが、中国での報道・表現の自由に限界を感じて出国、もう20年も日本に在住してる方なんですよね。そして日本でこういう目にあって幻滅されるとしたらこれほど残念なことはありません。



#8092 
十一郎 2008/04/10 17:34
ゆきゆきて、靖国

一部で話題沸騰の『靖国』ですが、神社内の風景をナレーションなしで写し、何とも面白い“素”の靖国が楽しめるそうです。ちょっと編集のテンポに甘いところもあるそうですが、モンド映画としてよく出来ているとか(笑)。同時に、ナレーターがついていないおかげで靖国批判が強烈でないという効果もあるようで、上手い逃げでもあるようです。意外と日本のドキュメンタリー作家も「この手があったか」とくやしがっているんじゃないかと。
・・・とか思っている内に、出演する刀鍛冶が出演に不同意の意向を示しだしたとか。監督がきちんと説明せずに撮影したなら問題でしょうが事前にフィルムも見せており、さらに登場場面削除希望を伝えたのが映画に反発していた有村治子参院議員というから、ちょっと素直に取れませんね。

>3/27史点
>そしてなんといっても自由と人権のためなら戦争も辞さないはずのアメリカ政府(もちろん皮肉だ)がえらくおとなしい。

もう一つ、3月18日にイラク反戦デモが行われたのですが、その時に全米で160人以上の逮捕者が出ました。もちろんさすがに死者は出していないらしいものの、拳を振り上げると完全に自分に返ってくるという・・・最も多い100名以上の逮捕者が出たのが、聖火リレーが行われたサンフランシスコというのも因縁めいたものがあります。
「横暴な大国政権同士気が合うところもあるんだろう」というのも、実際にあるのかもしれません。

>去る3月24日、ブータンでは史上はじめての国会下院総選挙が行われ、立憲君主制への第一歩を踏み出したのだ。

民主主義が何かを理解するまで時間がかかりそうだなあ、という感じですが、考えてみると日本が憲法を発布した時のお祭り騒ぎみたいなもんですね(笑)。NFさんがいうように、無理に移行して問題が噴出するより、ゆるやかに平穏に移行するのは何であれ良い事だと思います。・・・とか思っている間に一党独裁とは。
それと、国王が名君でいられたのは、良い表現ではないですが「小国」であったためかと。国全体に個人の能力で目が行き届くのは、やはり大国だと無理でしょう。そういう名君、狭い国ですら民族問題があるわけですし。

>4/1史点
エイプリルフールは騙される快感を味わうものです! ちょっと詳しく書けばそのまま時代小説になるくらい、むしろ望むところです、はい。
手間隙かかった嘘も素晴らしい。BBCとか本当にヒドイですね。C. W. ニコル氏に協力を請うた自然番組も、エゾジカを特撮で空に飛ばせば良かったのに(笑)。

>小覇王さん
>ちょっとTBSの報道やバラエティに不信感を持っていたもので。

番組改変期の二時間くらいかけた自然番組や戦争特集、深夜報道番組はどこの局も悪くないと思います。特に深夜は視聴率を気にせず本気でじっくりやっているのがイイ(もちろん、ちょうどC. W. ニコル氏らの経験が話題になっているように、硬派であればいいというわけでもありません。たとえば自分はNHKのドキュメンタリーをそこそこ好んで見ていますが、「奥ヒマラヤ禁断の王国・ムスタン」のやらせや「奇跡の詩人」事件もありました)。
もう一つ、少し前に原爆投下パイロットへ原爆の是非をたずねた番組もTBSでした。史点でも墓を作らないことについて取り上げられたパイロットです。その時の尋ね方、原爆投下というより犯罪的なものを肯定したパイロットすら全否定しなかった番組構成を思い出し、末端の個人批判を意図していないだろうという観測を持っていました。単独番組としては確かに、もう少し色々と注意しても良かったな、と思います。

>電羊斎さん
>「一方的な癒しを求めてチベットに出かけるのは、現地のチベット人にとってはかえって迷惑だ。彼らには彼らの生活があるんだ」といった内容のコラム

民主主義の無い国の新聞と考えると、かなり思い切った論調ですね。
ちなみに、チベット亡命政府がチベットへの観光について声明を出しています。
http://www.tibethouse.jp/travel/travel_to_Tibet.html
>私達は、中国政府に対して圧力をかけ続けることが大切だと思います。最も有効な方法は、チベットでの「本当の状況」の目撃報告です。チベットにおける観光事業が、中国政府に利益をもたらしているのは事実です。しかし、もし、その地域に旅行者が居なければ、1998年5月にダプチ刑務所でおきたデモのような事件について、中国側の報告のみが発表され、国際社会が真実を知ることはますます困難になるでしょう。チベットの状況について、自主性のある情報を得ることは大変難しいですから、旅行前にチベットについての知識を有する人は、チベットの人々とその他にとっても大きなプラスとなります。それゆえ、あなた方のチベット訪問は大変大きな効果をもたらすことが出来るのです。

つまり問題はあるものの、興味本位であっても目撃者となり、チベットを知る第一歩となる方がいい、という考えがあるようです。実際に観光客の撮影した映像で中国政府の欺瞞が明らかにされましたし、この辺りは難しい問題ですね。その大連の新聞記事が、チベット観光を規制しようとする中国政府の意思が入っているなどとまで考えると陰謀論でしょうが(思惑があるならチベット観光を否定するにも別の理由を出すはず)。

あと、ページ中頃からの【チベット旅行に提案の一言】という章で、具体的な宗教的慣習への尊重、骨董品は盗品だから買わないよう等の注意があるので、旅行前には一通り見るといいでしょう。
こういった事を知っておき、物見遊山以上の態度で行けば(現在は無理ですが)観光であっても現地の人々に受け入れられるのではないか、と思います。



#8091 
尾鳩 2008/04/10 01:38
要は、プロアクティブに情報を接すること

>管理人様
先日はどうもです。友遠方より来る・・・やっぱりこれに勝る幸せはないですね。
久々に本当に楽しい時間を過ごせました。

さて、チベットですが、思った以上に報道が続いていますね。しかし、報道先行の枠をはずれてはいないなあと実感している次第。過剰反応の後の無反応が目に見えます・・・。中国としては、この世界の反応は、予想外でしょうが、やはり余裕を感じてしまいます。

チベットを心の底から愛し、彼らの立場になって行動している方もいることを十分に理解しての言葉として聞いていただきたいのですが、日本の報道は、いや、もはや一般の人達の反応はと言ったほうがいいかもしれませんが、やはり面白半分、憎さ半分という感じがしますね。チベット人への同情よりも、中国人憎し、という感じが目立つ。

ただし、私個人的には、今の中国には危うさを感じざるを得ません。「自信」が「傲慢」へと変わる瞬間をまざまざと見せ付けられている感じさえします。

前にも書きましたが、日本の外交には、いまだ良識を感じます。しかし、姑息さがそこに無いのが、いかにも戦後外交らしい。育ちがいい外交は、いつでも「きれる」可能性を孕んでいるんです。姑息さを期待できない分、私は忍耐力を期待します。

姑息さは、民間が担えばいいんですよ。いつまでも、視聴者でいる必要はないんですよ。視聴者である限り、苛立ちだけが募るだけですからね・・・。

で、あなたはそれに対して、どうするんですか・・と真っ向から質問された場合に、結局は何も出来ない自分に気付くことが多いんじゃないですか。いいわけ程度にしか抗議出来ない自身に。まずは、そこに気付くこと、それが大切なんじゃないですかねぇ。



#8090 
民本主義者 2008/04/10 00:40
おひさしぶりでございます。

文献2つ
「ただ、とくに注意していただかなければならないところが一箇所ある。それは一一九〜一二〇ページ(本書三九六ページ)である。そこでは、資本家たちと、彼らの側に移った社会排外主義者たち〔カウツキーの彼らとの闘い方は、はなはだ不徹底なものでしかない〕とが、領土併合の問題でどんなに恥知らずな嘘をついているか、社会排外主義者たちが自国の資本家たちの領土併合をどんなに恥知らずに援護しているかを、検閲をパスするような形で読者に説明するために、わたしは……日本を例にとらなければならなかったのだ!注意ぶかい読者なら、たやすく日本の代わりにロシアを、朝鮮の代わりにフィンランド、ポーランド、クルリャンジャ、ウクライナ、ヒヴァ、エストリャンジャ、その他の、大ロシアでない人々の住む地方を、置き換えてみてくれることだろう。」
(中央公論社『世界の名著 52 レーニン』280ページより
「資本主義の最高の段階としての帝国主義」1917年4月26日付の著者「序文」を引用。

「ドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』(李纓監督)の最も生々しいシーンは、作品の中盤に登場する。05年に靖国神社で開催された「終戦60周年 国民の集い」の模様を追うくだりだ。
 1人の女性が壇上に立ち、群集に向かってこう語る。「私たちは誇りある日本、首相が堂々と靖国に参拝できる国を再建するため力を尽くします」。彼女がステージを降りると、「君が代」のメロディーが流れだす。そのとき、2人の若者が「靖国参拝に反対しろ!」と抗議の叫びを上げる――。
壇上にいた女性は、弁護士時代の稲田朋美衆議院議員(自民党)。『靖国』を問題視する動きの中心にいるとされる人物だ。」
「ニューズウィーク日本版」4月16日号34ページより「右翼が明かした『靖国』の本音」を引用。

いづれも傍点や振り仮名は省略しました。
それぞれに言いたいことはあるんですけど、
間違えないよう気を使いながら手打ちしていて脳が酸欠状態なんで、言いたいことはまた今度…。



#8089 
徹夜城(「太王四神記」にようやくノレてきた?管理人) 2008/04/09 13:32
光のゲンちゃん

>光のゲンちゃん
 先ほど「みんなのうた」をチェックしましたらやってました…(笑)。
 う〜ん、「期待」したほど電波ソングじゃなくて残念でした(笑)。いたってフツーの、良くも悪くも特徴のない歌という印象です。「いとおかし」「あはれなり」といった言葉が出てくるぐらいしか特に特徴がないといいますか。
 アニメは現代に出現した光ゲンジをみてオバサンたちがポッと頬を染めるといった場面があり、「ヨン様かよ!」と(笑)。


>mozawaさん
 それはまた、大変なことに。ご養生くださいませ。
 小学館「日本の歴史」もなんだかんだで20年以上のロングセラーなんですよね。今も刊行されてますが、最新学説の登場により一部が改変されてます(とくに第1巻は全面的に書き換えられました)。また戦後史が長くなってきたこともあり、最初のバージョンで昭和史が全1冊だったのが戦争期と戦後史で2巻に分割、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件までが入っていたのは確認してます。21世紀以降の歴史が入ったバージョンもそろそろかなぁ…という気もします。

 我が家にあるやつは最初に刊行されたバージョンですので、昭和天皇初登場シーンも「現在の天皇陛下です」となってます。
 源頼朝や足利尊氏、武田信玄の肖像画とされてきたものが現在ではほぼ否定されちゃってるので、この漫画のそれらの画像をもとにしたキャラクターデザインも変更を余儀なくされる可能性がありますが…それだと全面的に書き直さなきゃいけないので実質無理なんじゃないかと。

 日本の歴史の漫画といえば石ノ森章太郎の超大作もありますが、ここでの足利尊氏は尊氏像とされた別の騎馬武者像を元にデザインしていたはず。そのためやや釣り目の尊氏になっているんですが、この元の画像も「伝・尊氏像」なだけで実際には足利義尚像と考えられているようです。頼朝にしても尊氏にしても画像より彫刻のほうがアテになるようですね。


>和風餃子さん
 そろそろ警告しときましょうか。他の方の書き込みも全然お読みになってないようですし。単にNHKの悪口を書きたいだけならここに書き込む意味はまるでありません。
 まず当掲示板ではどんな意見があるにせよ冷静で丁寧な文章をこころがけていただきたい。また番組自体は見てないとご自分でお書きなのに罵倒セリフを書くのは先日ドキュメンタリー映画を見てもいないで騒いだおバカさんたち(おまけに結果的に上映館を増やした?)と変わりありません。今後も態度が変わらない書き込みをなさるようでしたら同様の書き込みは速攻で削除しますよ。



#8088 
mozawa 2008/04/09 12:46
まんが日本の歴史ほか

 4月1日にインフルエンザと診断されたmozawaです。まさに4月馬鹿。塾講は春期講習というのに1週間休んでしまいました。(受験シーズンに罹るよりはマシ、と自分に言い訳します)

 小学館版漫画日本の歴史のすり込み度。
 藤原4兄弟の顔とか菅原道真の怨霊に怯える宇多天皇とか、確かに覚えてますねえ。人物の表情まで史実(というか教科書に載る説、肖像画)通りに描かれているから、授業に生かせるんですよね。センター日本史はこの漫画からの知識でカバーしましたから。

 光のゲンちゃん。
 最初、広島原爆の話?と思ってしまった私って・・・・変ですよね。



#8087 
和風餃子 2008/04/09 12:30
中国の犬NHK

自分は見ないんだけど、NHKの衛星放送?だかで
やっている関口浩の息子の世界鉄道紀行の番組。
あれのチベット自治区編がすごいらしい。中国政府のおかげで
チベット人はいま経済発展の恵によって豊かに暮らしている〜みたいな
描写の連続で寒気が出っぱなしだったと見た人がいっていた。
(ロケ収録じたいは今度のチベット動乱より時間的に以前だろうが)
しまった、ロケと書いた、ルポか?いやロケでいいか、作り仕込みだらけ
のルポはロケだな(笑
こんなことをやっているようではNHKもTBSと同じレベルだ。
本気で国営放送から落として民放として再生さしてもらったほうがいいと
まじおもふ。



#8085 
徹夜城(最近訃報ネタをよく書いてる管理人) 2008/04/08 23:57
どこの誰かは知ってるけれど

 少々間が空いてしまいましたが、チャールトン=ヘストンが亡くなりました。晩年は全米ライフル協会の旗頭という困ったチャン的イメージもありましたが、歴史映画マニアとしてはやはり一時代の歴史スペクタクル映画の「顔」であったということで忘れ難い俳優でもあります。

 ざっと挙げてみても「十戒」のモーセ、「ベン・ハー」のベン・ハー、「ジュリアス・シーザー」「アントニーとクレオパトラ」のアントニウス(後者では監督も)、「カーツーム」のゴードン将軍、「エル・シド」のエル・シド、「華麗なる激情」のミケランジェロ、「北京の55日」、「偉大な生涯の物語」のヨハネ…とまぁ、60年代の歴史大作というとこの人が出てました、ってな感じでした。その容姿が彫刻みたい(ミケランジェロの彫刻のような、と言われましたがミケランジェロ本人も演じている)で、硬質で大げさな芝居(吹き替え担当の納谷悟朗さんに言わせると器用な役者ではないそうで)が歴史ものに向いていたんだろうな、と思います。
 歴史スペクタクル映画が下火になると「猿の惑星」やパニック映画によく出てました。もっとも僕自身の映画遍歴ではすでに過去の人でありまして、劇場公開時にその姿をスクリーンで拝んだのは日本出資のB級SF「クライシス2050」だけしかありません。「出演」じゃないんだけど「ボーリング・フォー・コロンバイン」でもその姿をスクリーンで拝んでしまいましたが(笑)。


>あがたしさん
 レスが遅れましたが、これはまた…と思うような企画ですねぇ。「みんなのうた」もなかなか油断ができません(笑)。それを歌うのはローラースケートを履いた…ってネタもそろそろわからん人が出てくるんだろうなぁ(笑)。

 「源氏物語」のことですが、未確認ながら戦前のある時期には皇室関係の不倫話ということで忌避されたこともあったみたいです。また明治のはじめの、確か津田梅子だったと思うのですが欧米人に「源氏物語を読みましたか」と話を向けられて「あんな下品な話は読みません」と答えたという話を耳にしたことがあります。

 それと微妙に関連するような、という話で、ただいま朧谷寿「藤原氏千年」(講談社現代新書)という本を図書館から借りてきて読んでます。大化の改新の藤原鎌足から現代までの「藤原史」をたどる本で、前半まで読みましたがライバルの氏族を蹴落としていく陰謀の連続で読んでいてちょっと精神的に疲れます(笑)。それにしても読んでいて頭に浮かぶイメージが小学館版「漫画・日本の歴史」のシーンばかりなのに自分で驚きます。あれって本当に細かい話まできっちり漫画化してましたからねぇ。あれって80年代以降に歴史に興味を持った人のイメージにかなり影響してるんじゃないでしょうか。

 それで思い出しましたが、先日テレビ東京系でみのもんた司会の教科書バラエティ番組をやってました。例によって「今の歴史教科書はこんなに変わった!」というコーナーがあり、縄文と弥生の区別の曖昧化、仁徳陵古墳は大仙古墳、聖徳太子は厩戸王、大化の改新…などなどよく取り上げられるネタが続出でした。再放送か?と思ったぐらいで。
 その中で「伝・源頼朝像」「伝・足利尊氏像」もとりあげられてました。「頼朝像」については「足利直義」とほぼ断定。「隣の尊氏と全然似てないじゃない!」とゲストタレントがツッコミを入れますと「尊氏像」は「尊氏の側近・高師直」の可能性が高いと紹介され、これまで「平重盛像」とされた肖像画を「尊氏像」として紹介、確かに並べてみるとなんとなく似てるんですよね。もっともこの件については直義が自らを頼朝になぞらえた?との大胆な説も最近提示されているようですが。
 有名な「武田信玄像」についても別人と紹介。「鎖国」についても完全にシャットアウトするものではない旨説明してましたが、フリップで「なかった」と断定しちゃうのもどうかと。「刀狩り」にも疑問符がついてることを紹介してましたが、「慶安のお触書」の話は出てこなかったなぁ。



#8084 
あがたし 2008/04/05 08:44
光のゲンちゃん 登場!

こ,これって・・・エイプリルフールネタでしょうか.
http://www.nhk.or.jp/minna/new_song/new_song.html

NHK「みんなのうた」2008年4〜5月
「光のゲンちゃん」

うた:SHOWTA. 作詞:サエキけんぞう 作曲:千住 明
アニメーション:西村 緋祿司

>2008年は「源氏物語」が世に出てちょうど1000年。「千年紀」を記念した
>この曲は、宮廷の乙女たちにモテモテの稀代の美少年「光のゲンちゃん」が、
>1000年の時空を超えて現代にやってきて巻き起こす、絢爛豪華な恋の物語が
>テーマ。夕霧、紫の上ら十二単(じゅうにひとえ)の宮廷バックダンサーを従え、
>牛車に乗って21世紀に舞い降りたゲンちゃんは、現代の街や人々の変わりように
>驚きつつも、華麗な唄と舞を披露する。
>作・編曲は大河ドラマ『風林火山』の千住明。美少年アーチストSHOWTA.(ショウタ)が
>伸びのある高音で歌う。美少年キャラクター「光のゲンちゃん」でお茶の間を
>魅了したい。

どうやら本当らしいです.うーむ,アンナコトやコンナコトはお子様向け歌番組では書けないだろうけど,歌詞やアニメはどんな内容なんでしょう.




#8083 
徹夜城(また一年嘘ネタを考える管理人) 2008/04/02 23:35
四月バカの翌日にして

 僕が住む市内では2日からガソリンの値段が下がりました。でも15円ぐらいかな。まだ課税分の在庫がある中でライバル店どうし様子をみつつ値段を切り下げているんでしょう。
 事前に騒いだほどの混乱は起こらなかったといっていいと思いますが、また課税して上げた時のほうが混乱するような気も…やるんですかねぇ、再可決。自民党内じゃ一般財源化だって激しい抵抗を抱えてるのに。


>四月バカ関連。
 やっぱイギリスが本場なんでしょうかね。「空飛ぶペンギン」の映像なんて、この日のためだけになんという手間とエネルギーの浪費を、と(笑)。サルコジさんが新妻に合わせて身長上乗せ手術ってのが最高傑作かな。
 「史点」では2006年から恒例にしたんですが、最初のを本気にする人が出ていたとすると、ホラはもっと盛大についたほうがいいんでしょうか(^^;)。「南大門」ネタあたりで気付いてくださいな(笑)。
 むしろ僕としては「本能寺」ネタを本気にする人がいる恐れを感じまして、温暖化がどうのというのを混ぜたんです。実際、関所関係の歴史を調べてたら案外一片の真実があるような気もしてきまして…(汗)。グーグルなど検索かけて調べる人だとなにげなく本文読んで信じちゃう可能性がありますからね。
 「源氏物語」ネタに「キャンディ・キャンディ」が紛れ込んでることにお気づきの方もいたようですね(笑)。これも当初は去年流行った「偽装」ネタを合成することを考えていたのですけど、結局あんな感じになりました。
 なお、「西南戦争の生き残り」の人のお名前はドイルの抗議を受けたルブランが「ハーロック・ショーメス」なる名探偵をルパンと対決させた故事にならったものです。あれも書いてるうちに泉重千代さんとさして変わらぬ年なんだよな…と思ったらそう無茶な話でもない気がしてきました。そういやフィリピンに日本兵の生き残りが、なんて話題も最近あったような(ガセってことになったらしいですが)。


>tomohiroさん
 映画「靖国」の件、映画館側の自粛対応にも批判が上がってますが、昨年週刊新潮がロクに中身もみずに騒ぎ、これを受けて稲田朋美議員(最近極右ネタではいつも名前がでるお方)を中心に文化庁から予算が出てるとしてイチャモンをつけ、結果的にこれが街宣右翼の脊髄反射的跳梁を招くという、事実上の威力業務妨害の状況になってるということもきちんと押さえておいてください(2ちゃんで「殺す」「爆破」だの冗談でも書くと逮捕されるんですが、こういうのはどうにかならんもんかと)。
 「表現の自由」問題なのでほぼ全マスコミがこの件を批判し、文科相から首相まで懸念を示す事態になったので火付け役の議員当人は弁解じみたことを言っておりますが…内心してやったりなんじゃないかと。



#8082 
船頭の孫 2008/04/02 08:40
恐竜の滅亡

>小覇王様

>>「シダ植物によって恐竜は絶滅した」という内容のテレビ

あれは確か、「鳥や哺乳類と共生関係を構築してきた被子植物が繁栄してきたので、植物と共生関係を築けなかった恐竜が滅びた」というストーリーでしたね。実は古生物学でも動物関係の人や古生態をやっている人は、「そりゃありえないよ」という立場だったんですが、一部の古植物系(花の形態進化が専門)の人が、海外で出されていたそのマイナーな仮説に「そういうのもありえるかもね」みたいに乗っかって解説側に回り、それでNHKのほうも勢いに乗って放送を強行してしまった感じなんですよね。なんか、植物系の古生物学者の恐竜や生態学に対する無知につけこんで、放送内容の権威付けに利用した毛が無きにしも非ずだと私は感じてます。

歴史系でいえば、たとえばモンゴル帝国の歴史を西欧史学者に解説させて、現在の中央ユーラシア史研究からはかけ離れたストーリーで歴史番組を作ってしまったという感覚に近いのではないでしょうか。あるいは徹夜城様に東シナ海の海上交易史ではなく、インド洋のスワヒリ交易圏の歴史のディープな最先端を解説させてしまうとか・・・・・



#8081 
小覇王 2008/04/02 01:57
嘘を意図的に流すのはさすがに・・・

 あわわ、前の史点の感想を書く前に新しいのが出てしまった。
 すいません。不覚にも最初の「国宝をオークションに」の記事に関しては本気にしてしまいました。さすがに二個目の記事を読んで四月一日だったことに気づいたわけですが。
 源氏物語ってちゃんと読んだことはないのですが、あらすじを読んだだけでも当時の貴族社会って割合表現の自由があったのだなあ、と思ってしまう内容ですよね。戦前なら発禁、現在でも物議をかもしそうな内容なのに古典と言うことでいろいろと免除されてるなあ、と言う感じです。

>NFさん
>徹夜城さん
 僕がTBSに不信感を持っていたのは、みの、アッコ、亀田、サンジャポのせいなのです(笑)。TBSの会津関連の話題はNFさんたちの書き込みで初めて知りましていろいろ調べたのですが、確かにひどいですね。「糞尿で不衛生だったため」に落城したと言うのはさすがに無理があると思いますし、もしそうだと言うなら小田原城や大坂城等全ての篭城戦には全て当てはまると思いますし、なぜ鶴ヶ城にしたのか分かりません。そもそも事前に確認を求めて、その段階で中止を求められたのに放送したら抗議がくると分かっりきっているのになぜ流したのか理解に苦しみます。そもそも意見されて直す気がないなら、なぜ確認を取ったのか。
 これはNHKですが恐竜番組で「シダ植物によって恐竜は絶滅した」という内容のテレビを作る際、取材に来たNHKのスタッフにそれはありえない、と言っても結局その結論で放送されてしまった、と言うのが科学ライターの金子隆一氏の「最新恐竜学レポート」という本に載っておりました。先に(テレビ的に面白い)結論があって、事実がそれと異なっても最初の結論を優先するのがテレビ局のやり方のようです。



#8080 
船頭の孫 2008/04/02 00:36


四月バカの「源氏物語」ネタ、これって、「キャンディ・キャンディ」の作者二人のいさかいのパロディですよね(^^;)。



#8079 
NF 2008/04/01 23:40
もう新年度(副題:ネタにマジレスカコワルイ)

車に乗らないのでガソリン価格の恩恵を受けられず、ちょっと残念。

>四月バカ
…「徳政令」とは言わないにしろ、「フェリペ二世は数回国家破産した」とか「調所広郷は薩摩の借金を二百数十年払いに」とかいった話を連想してそうでもせんと仕方がないのではないかなあ、とは思ってましたけど(苦笑)。
…光秀がいつの間にか「抵抗勢力」に(汗)。
六条御息所は「ヤンデレ」でしょうね。「ツンデレ」はむしろ取り付かれた正妻・葵上の方が当てはまりそうな。なお、「古事記」には「妹萌え」だけでなく「姉萌え」の元祖もあるといえそうな。そういや、「源氏物語」の二次創作といえば有名なのが本居宣長「手枕」(六条御息所との馴れ初めを描いた話)。口語訳をしてますので興味のある方は探してみてください。最後の記事、人名が…。ところで「蝦夷地の高度な自治」で思い出しましたが「道州制」の話題が数年前から出ては消えを繰り返していますがこれが実現すると良いのだろうか。とりあえず、オリンピックへの支持は受かってからにしてほしいような。しかし、こうしてみると同じ民族同士なので中国とチベットというより足利政権と後南朝残党のような趣ですな。



#8078 
tomohiro 2008/04/01 11:40
皆さんそれだけ右が怖いですか。

http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_yasukuni__20080401_3/story/31mainichiF0401m114/

此処にあるように、映画靖国が放映中止になったようですが、
是を持って、また日本の右傾化を憂うとか、軍靴の音が聞こえる
と言う人間が、必要以上に騒ぎ立てるのでしょうか。
この手の人間は以前にも有りましたように右も左も
右傾化を巨大に取りすぎる癖があると思うのですよね。




#8077 
徹夜城(大ボラ吹きの管理人) 2008/04/01 11:18
今年もやっちまいました

さて、4月1日であります。TBSはガソリンスタンドからのカウントダウン中継やってましたねぇ(笑)。なんだか行く年来る年みたいでした。
というわけで、こちらも毎年恒例行事をやっちまいました。もっともまだ3年目でありますが。
一般マスコミでは今年も中日・東京新聞がやってるようですねぇ。


>NFさん
「雪紅皇子」…不覚にも知りませんでした。上杉景虎が小説のネタになってるというのも最近になって知りましたが、こういう滅び去った悲劇のマイナー主人公、ってのは女性向けにはやっぱり人気があるんでしょうかね。
南北朝ネタの漫画では月刊マガジンの「山賊王」がありますが、まだ読んでない…実は最近南北朝マンガをネット上その他でコレクションしておりまして、そのうち「漫画で南北朝」コーナーとして公開する予定もございます。

>マルクスの恋人さん
ほほう、レーニンにそういう文章が…本筋からそれますが訳者の「副島種典」ってのはやっぱりあの「副島種臣」の?と思って今検索したら、以下のようなサイトを発見してしまいました。
「幕末維新子孫総覧」
http://www.bakusin.com/eiketu/kesi1.html


>船頭の孫さん
 C.W.二コルさんのその話は初めて知りましたが、日本のTV番組制作って下請、孫請けの重層搾取構造になっているのは事実で、これがいろんな弊害を招いているのは確かですね。「面白くなければTVじゃない」とはよく言ったもので、「あるある」もそうでしたがようやく下火になるらしいスピリチュアルものなど、面白さ優先で平気でウソつくのは民放の定番。そして問題が起こった時は下請け・孫請けがシッポ切りにあって局自体はダメージ小というケースが多い気がします。
 人権関係でのダブル・スタンダードの話で思うのが、日本では政治権力による直接的弾圧よりも街宣右翼による「自粛圧力」というもっとタチの悪い表現の自由侵害があるんだよな、とドキュメント映画「靖国」公開中止騒ぎで思うのでした(内容的にはちっとも「反日」じゃないって保守系国会議員も言ってるのにねぇ)。

>尾鳩さん
 外交官は「現実的」にならざるをえないんだと思いますよ。一応「前線」に出ている身ですから…まだ現実的にふるまえるなら日本の外交官も捨てたもんじゃないでしょう。困るのは戦中の日本にも見られるように無知と妄想を暴走させて現実を直視せず無茶な外交を強いる現場を知らない指導層が幅を利かせる場合ってことなんですよね。で、それに引っ張られる外交官が出てくるともう最悪で。
 現実の外交は確かにドライなものなんでしょう。アメリカの外交史なんて見てるとその無節操とも思えるドライっぷりにむしろ感心さえ覚えるぐらい。その辺は中国の外交にも似たものを感じてまして、案外気質が似た者同士なんじゃないかなぁ、と以前から思ってるんです。



#8076 
尾鳩 2008/04/01 01:02
現実外交の凄み・・・

やっぱりこんな時間しか、暖簾をくぐれない・・・。

管理人様
>かつてのアジアの三大帝国、清・ムガル・オスマンの多民族帝国のほうがよっぽど平和共存ができたんじゃないか…という気もしてきちゃうわけです。いまさらそうもいかないのが実情ですが、西欧流の近代国民国家・民族国家の世界的な広がりが結果的に多くの悲劇を生んでるような、という観点は必要なのではないかと。

その考え方、歴史を選考してきた人間の独特の味わいのある考え方ですね。まあ、私もそんな視点を持つことには賛成ですね。

歴史を相対的にみる視点は、当然大事だと思います。参考として、オスマン帝国やムガル帝国で、宗教や民族の共存がなされていた事実は確かに興味深いものがあります。しかし、現場に対峙している多くは、観念としてではなく、現実として存在している国民国家と対峙しています。欠点はあれど、すでに存在し、そして有効性も示している国民国家というシステムと付き合っているわけです。

先ほどまで現役の外交官の方、まさに日中関係の前線に立っている方とお話してきたところなんですが、そこにあるのはやはり「現実的視点」だとつくづく感じた次第。その方は、日中外交のベテラン中のベテランなんですが、いろんな感情論や憶測が蔓延する中、まさに当事者として言ったことは、「日本は中国無しでどのように生存していくのか、この命題から始めなくてはいけない」というわけです。

いろんな反論も可能なんですが、私はここに「現実外交」のきわみを見た思いがしました。私は彼の言葉に100%賛同する勇気はありませんが、現場に対峙している人間の生の言葉に接した気がしました。

オスマン等の多民族国家に思いをはせ、参考にするのは当然有効だと思います。しかし、ここから先が難しい。参考にとどめる方は少ないのかなあと思うくらい、極端な反応をする場合が多いようでね^^;。

一つは、結果として「国民国家」そのものを否定するか、毛嫌いする場合。もう一つは、逆に「国民国家」に思いを入れすぎてしまう場合、ナショナリストですね。ウヨとかサヨとか、そんなのばかり^^;。或いはいつまでも、そんな言葉に惑わされたり。

日本に思いを馳せ、そして同時に世界に思いを馳せる、そんな当然のことが何で出来ないんでしょうね^^;。世界政治を担う人材が出ないわけだ。



#8075 
船頭の孫 2008/03/31 16:45
自分を鏡で見てほしい

>徹夜城様

>>日本ではウヨ系のみなさんがチベットチベットと大騒ぎしてますが(もちろん人道・平和の観点からチベット支援をしてる人も多く、双方別々に集会・デモしてます)、いざ沖縄の話になると中国の立場とソックリなことを言い出す人がいるのは、どこもおんなじだなと思っちゃうわけです。

そういえば、同一人物で重なってくるのかどうかは判然としないのですが、ネットなどで声の大きな言説はダブルスタンダードが実に多いですね。

今例に挙がっている

中国に対しては漢民族のチベット人やウイグル人に対する意識や行為を糾弾する
↑↓
日本では沖縄のヤマトに対する反発や反米軍基地運動に対して「日本の経済力の傘下にあること」や「米軍基地に養ってもらっている」分際で何様かと批判する

の他に

中国に対しては死刑の多さなど人権侵害のひどさを糾弾する
↑↓
日本では「犯罪者には人権などない」とまで言い切る

などなど

そういえば、ほんの少し昔、「医者あまり」と盛んに言いふらされた時期には、医者という存在そのものをとことんこき下ろす言説が、ずいぶんと飛び交っていたものでした。そうしたら今の「医者足らず」の時代になってしまったわけで・・・



#8074 
船頭の孫 2008/03/31 16:25
テレビ番組の作り方

>徹夜城様

バラエティ番組の問題でいつも思い出すのは、C. W. ニコル氏のエッセイのとあるくだりなんですよ。

ある民放の自然番組に出演を頼まれて、収録に参加したら、北海道のある湖で、毎年エゾシカの雄が雌に会うために湖面を泳いでわたって湖の孤島まで通うという話を、ロマンチックに語ってくれとスタッフに要請された。ニコル氏はそういう話は事実ではないから、うそだと知っていてあたかも真実であるかのように語ることはできないと断った。ところが、番組スタッフ(おそらく下請けか孫請けでしょう)は、既に取材前に、そういうストーリーで企画書を上(おそらく放送局)に通してしまっているので、そうである以上、それが真実でなかったとわかってもストーリーを曲げるわけにはいかない、だから、あなたもそのストーリーを語ってくれないと困るんだと強要、結局物別れに終わったという話でした。

この構図、最近耳に新しい同様の事件がありましたよね。そう、「あるある大事典」のデータ捏造事件です。あれも、確か孫請け製作会社が上に通してしまった企画書の内容を変えるわけにはいかなくて(変えようものなら次から干されてしまう)、偽造に手を染めてしまった(というよりそうするのが常態になっていた)という話だったはずです。

つまり、日本のテレビ番組作成現場では、最初にろくに取材もせずに、まず「受けそうなストーリ」で企画書を書いて、それで上から仕事を取ってくる・・・というより予算が下りていない段階だから孫請けとしては企画書を通す前にはろくに取材もできないのでしょう。あるいは放送局がものすごくラフな取材で規格の大枠を作り、その枠組みに対して下請け、孫請けが仕事を取るための取材抜きの企画書を仕上げるのかもしれない。そして、それが通って仕事をもらったら、本格的な取材が始まる。ところが、企画書の内容と取材してみてわかった事実が異なることもある。でも、それを認めて企画書を曲げることは、局との力関係上、非常に困難である、ということが透けて見えてきます。

実は、こういう構図は軟派なバラエティだけの問題ではなく、硬派の教養番組にも厳然としてあるようなのです。

私の知人で、かつて人文系の研究者をしていたことのある主婦の方がいらっしゃるのですが、この方が日本経済新聞系のキー局から放送されている文化財系の硬派の教養番組(と言えば、どこか一発でわかってしまいますが・・・)のナレーション原稿を、アルバイトで作ったことがあるそうなんですね。ところが、提示されたストーリーが、自分が知っている歴史とぜんぜん違う。現在実証的に史学研究で明らかになってきているストーリーとはまったく違う、かなり古い説をロマンチックに解釈しなおしたストーリーが提示されていて、それに沿って原稿を作ってくれと強要されて、困ってしまったというのです。

実は、私はその番組のナレーションが、以前からときどきおかしなものが混じるな、なんか1960年代以前に支配的だった歴史観が濃厚ににじんでいて、今日的な視点からはちょっとおかしいんじゃないかという感じはしていたのですが、やはりそういう製作の構図があったわけです。



#8073 
マルクスの恋人 2008/03/31 15:01
隗より始めよ

たとえば、ある日本人がアメリカのフィリピン併合を非難すると仮定しよう。さてこのばあい、これが併合一般をにくむことからなされたのであって、自分でフィリピンを併合しようという願望からなされたものではないということを、多くの人々が信じるかどうか? この日本人の併合反対「闘争」は、彼が日本の朝鮮併合に反対して立ちあがり、日本からの朝鮮の分離の自由を要求するばあいにのみ、誠実で政治的に公明なものと考えることができる、ということをみとめるべきではなかろうか?
レーニン「帝国主義論」副島種典訳より

この箇所は、ドイツ帝国の帝国主義政策に正面から立ち向かわないドイツ社会民主党指導者を批判するための例示ですが、ここだけ取り出しても充分通用するでしょう。1916年にここまで見抜いていたレーニンの慧眼には敬服する他ありません。



#8072 
NF 2008/03/31 00:25
あ…。

会津に関する番組の件で、ちょっと言葉足らずでしたので。徹夜城様が補足して下さった通り、落城の原因についての紹介が一面的なものになってしまった。会津側としては、そんな理由じゃなくて根本的な理由が他にあった(兵糧の問題や援軍の望みが尽きたといったまっとうな理由)と説明・抗議をしているそうで。まあ、当然でしょうね。しかし、しばしば滑稽と悲惨とは背中合わせですから、安易に飛びつくと関連した人々の心を踏みにじる事になりかねません。歴史の面白話を紹介するときは無闇にそれに飛びつかないで全体像を見渡す事やそれぞれが必死に生きていた事を忘れてはいかんでしょうね。僕も歴史をネタにオタク話やエロ話をする事が多いので人のことは言えませんが。

ところで、今日に近くのブックオフへ行った際に木原敏江「雪紅皇子」を見つけたので購入。…南北朝ファンとしては押さえなくてはいけないでしょうから。一度立ち読みした覚えはあったのですが、細かい所は忘れていましたね、やはり。後南朝の自天王・忠義王を題材に敗者の意地・悲哀を美しく描いた佳作です。



#8071 
徹夜城(とことん石ノ森の録画をチェックして脳が疲れた管理人) 2008/03/30 23:32
今週また更新しなきゃいけないし(笑)

 ただいま春期講習中。それでいてNHK衛星の「とことん石ノ森」もチェックしなきゃならんので結構大変です。そして毎年恒例のアレのために今週もまた大変(笑)。


>電羊斎さん
 中国在住の方からのチベット関連のコメント、ひそかに待っておりました(^^)。その騒乱発生前のコラム、実に興味深いものであります。実は僕も昨今の中国の急激な資本主義化のなかで宗教への傾倒も起こるだろうとは思っておりまして(法輪功みたいのもあったし)、チベットに癒しを求める中国の若者、ってのも出てくるんじゃないかとは思っていたのです。またそれがあっちには迷惑な部分も少なからずあるだろうと。
 「元朝のときだったら…」というのは、僕もふと思うところでした。前にも書きましたが元や清は北方民族系政権ということもあってチベット仏教とは深い関係を持ってます。この時代は政治的意図からもチベットに影響力を持ちつつその文化は尊重・保護したのでチベットと「中国」(この定義がまた難しい)の関係は良好だった、との意見は今回参考にした本にも書かれてました。間にはさまる明もチベットを支配こそできませんでしたがそこそこ尊重してはいたようです(永楽帝がチベット高僧を招こうとしたりしてる)。
 最近目につく民族・宗教間の抗争・紛争を見ていると、かつてのアジアの三大帝国、清・ムガル・オスマンの多民族帝国のほうがよっぽど平和共存ができたんじゃないか…という気もしてきちゃうわけです。いまさらそうもいかないのが実情ですが、西欧流の近代国民国家・民族国家の世界的な広がりが結果的に多くの悲劇を生んでるような、という観点は必要なのではないかと。


>小覇王さん
 すでに下でNFさんが書いてますが、TBSのなんかのクイズ番組で「会津若松城落城は城内の糞尿に耐えかねたため」という回答が紹介され、会津から猛烈な抗議を受けているとのこと。取材も簡単で元ネタも不明、放送前に確認をとられた会津側が中止を求めましたが「収録済みなので」とそのまま放送しちゃった、という絵にかいたようなパターンになってます。この手のことはTBSに限らずバラエティ歴史ネタ番組ではよくみられることなのでありますが…
 尾籠な話で恐縮ですが、実は数年前、日テレ系のある番組の制作スタッフらしき人から倭寇関係で質問メールを受けたことがあります。「倭寇達が去ったあと、海岸に大量のウンコが残されていたため、沿岸の人は巨人がきたと勘違いしたという話があるのだが、確かでしょうか?」といった質問だったと記憶してます。「初耳です。常陸風土記の貝塚の話に似てますが」と返事したのですが、その後放送でどうだったのかは確認してません。この手のことはいっぱいあるんだろうなぁ、と思ったわけで。


>NFさん
 チベットの話が上がる時、日本における沖縄やアイヌの話を連想する人は少なくないですね。国家を一応もっていた、でも清から常駐大臣がいて干渉していた、ということでは琉球王国の立ち位置に近いといえるかもしれません。今回は中国批判ができるということで日本ではウヨ系のみなさんがチベットチベットと大騒ぎしてますが(もちろん人道・平和の観点からチベット支援をしてる人も多く、双方別々に集会・デモしてます)、いざ沖縄の話になると中国の立場とソックリなことを言い出す人がいるのは、どこもおんなじだなと思っちゃうわけです。あまり注目されませんでしたが、この間にアイヌの人たちが日本政府の先住民政策を批判して署名活動もしておりました。

 ブータンの話はその後続報がありまして…「選挙に不正がある」と批判して、野党・人民民主党の当選議員二人が辞職を表明(まだ議会開催前だってのに)、結局議会は「調和党」の完全独裁になっちゃうんだそうです。



#8070 
NF 2008/03/30 22:45


>「史点」更新
最近は結構ペースが早いですね。…タイトルがSF絡みなのはわかるんですが、SFを良く知らないのがこういう時はちょっと悔しいような。
>チベット
…で、やはり日本はアメリカ追従。二つの超大国にはさまれて(しかも片方の属国で、もう片方は近接して)実際問題他に選択肢がないのは分からんでもないですが…。コメント一つとっても、もうちょっと何とかならんものか、とはどうしても思ってしまいます。まあ、民間レベルで(反中感情も絡んでか)チベット支援の動きがなくもないのでバランスとしては一応取れているかな、と前向きに考えてます。しかし、電羊斎様のお話からすると、日本と沖縄の関係に似ていなくもないのですかね。「癒し」とかいって憧れる向きがあったりそれが「現地には迷惑」と戒める意見があったりする辺りも。

>越前大仏
そのタクシー王さんも、青森の「羽柴秀吉」みたいな事を。仏像なんてのは、信仰の対象であってなんぼだと思うんですがねえ。

>ブータン
国王支持で世論が一致している中で、調和党が圧勝。…これが本当の「予定調和」、っとつい言いたくなるような結果ですね。しかし、民主化とは何か、ブータンの人々は本当にはまだ分かってないんだろうなあ。やはり、物事には順序があるという事でしょうか。まあ、何にせよ平穏なのは良い事、ではありますが。

>小覇王様
…僕もTBSといえば偏見を持ってしまう方ですね。そういうあたり、自分もやはり「ネトウヨ」の一角なのかなと思ってしまうわけですが。しかし、TBSの歴史番組といえば、会津若松城落城に関連して問題を起こしていましたね。ひょっとして、それも関連してらっしゃるのでしょうか?まあ、面白おかしく歴史話を語ろうとする事は多いのですが、そうした時、当事者たちが「配られたカードで勝負」せざるを得なくて必死に生きていたという事を忘れてはいけないでしょうね。会津に関連して言えば、その観点をTBSは忘れてしまって落とし穴にはまったな、と思います。僕も歴史を題材に変な話をするのが好きなので、気をつけないと。…ところで、テレビ東京の番組で「ばかげた説でいちいち驚かなくちゃいけない出演者」の驚きの声ってやっぱり「な、なんだってー!」だったんでしょうか?



#8069 
小覇王 2008/03/29 01:14
だじゃれ日本史

>十一郎さん
>東京大空襲
 やはり、ちゃんと観ないで言うべきではありませんでしたね。反省です。TBSの番組だったので、最初から偏見が入っていたのかもしれません。ちょっとTBSの報道やバラエティに不信感を持っていたもので。
 話は変わりますがテレビ東京でやってた、みのもんたの番組はひどかったですね。特に虎の巻は古代日本に来たユダヤ人が天狗になって伝えた「トーラーの巻」だったと言う奴。虎の巻が「六韜」から来てるのは常識なのに。こんなばかげた説でいちいち驚かなくちゃいけない出演者の人たちも仕事とはいえ大変だなあと思ってしまいました。まさか本気にする人はいないと思いますがさすがにテレビを使ってやる内容じゃないですね。



#8068 
電羊斎  2008/03/29 01:10
チベット!チベット!

お久しぶりです。
今回の「史点」、大変面白く読ませていただきました。

>昔からチベットに対してに対して「神秘の国」「最後の秘境」「癒し系宗教」のイメージをもつ「チベット・オリエンタリズム」の伝統があったことも挙げられる。

同様に、こちら中国でのチベット(チベット仏教)観も「神秘」、「秘境」、「癒し系」といったイメージが一般的です。そして、ここ数年、現代生活に疲れ果てた中国人がこういったチベット像に魅了され、仏教にはまったり、癒しを求めてバックパックを背負ってラサまで出かけたりするようになり、ちょっとしたチベットブームが起きていたところでした。
(ある意味ヨーロッパにおける「チベット・オリエンタリズム」に似通った点もありますね)

一方でこうした安易なチベットブームに対し苦言を呈する人もおり、日付は忘れましたが3月初め(騒乱発生前)、大連の新聞に「一方的な癒しを求めてチベットに出かけるのは、現地のチベット人にとってはかえって迷惑だ。彼らには彼らの生活があるんだ」といった内容のコラムが載っていました。なかなか真っ当な意見でしたが……。

それから、ご存知のようにこちら中国では外国のチベット報道に立ち向かうべく必死で武力鎮圧正当化の報道を行っています。それらの報道の是非や真偽についてはすでにあちらこちらで論じられていますので触れませんが、私が気になったのは、中国政府の報道の行間に「チベット人をこれだけ養ってやっているのに何が不満なんだ」という怒りに満ち満ちているということです。

昨日、モンゴル族の友人とシシカバブ屋でビールを飲みながら、チベット情勢について論じ合いましたが、彼が問題点として挙げていたのも中国政府・漢族側の「養ってやっている」という優越意識と、チベット人側の「文化侵略」への危機感という意識のギャップでした。

この「意識のギャップ」は漢族とその他の少数民族間にも存在しており、漢族の間では、国家の少数民族への数々の優遇政策(一人っ子政策不適用、経済援助、経済開発、大学受験での点数プラスなど)からくる逆差別への不満が根強く、そこに漢族文化への誇りと少数民族文化への無理解、独立・自治要求への反発、さらには「民族大団結」という国の建前も加わった結果、漢族の心の中に少数民族に対する「養ってやっているんだ」という優越感が生まれています。

一方、少数民族側は、漢族流入、漢語教育、文化の流入による「文化侵略」(漢族から見れば「文明化」ですが)への不満が根強くあり、こういった不満は経済的な優遇措置だけでは到底解消できないものです。
それに、中国政府による少数民族地域の経済開発も、結局のところ政府の役人や役人と結託する大手企業(政商)をうるおすだけで終わってしまい、地元への利益還元はわずかなものです。もっともこれは中国本土でも同様ですが。

現在、中国マスコミがチベットの経済開発や生活向上の成果を強調し、ダライラマやチベット人たちがチベット文化の破壊や文化侵略を主張しているあたりに、こうした意識のギャップが如実に現われていると思います。

先ほどのモンゴル族の友人は「元の時代ならこんなことにはならないのにねえ」といって苦笑していましたが。

甘ちゃんな考えかもしれませんが、中国政府および少数民族は、どうにかして漢族と少数民族がWIN−WINの関係を作れるような仕組みを作り上げていかなければならないと思います。少数民族が独立するにせよ、しないにせよ、少数民族と漢族は永遠に共存していかなければならないのですから。

それには、とりあえず中国政府と漢族側が「少数民族を養ってやっている」という意識を改めることが必要でしょう。


うまくまとまりませんでしたが、中国国内で見たチベット騒乱の感想を書いてみました。

http://honin.spaces.live.com/


#8067 
巫俊(ふしゅん) 2008/03/25 14:23
↓は私です。





#8066 
2008/03/25 14:15
尾鳩さん

>自身のルーツと向き合いつつも、開放的に世界と付き合う

生命の進化(進化と仮称するとして)ってそれと同じことだったんだと思います。
自身のルーツってのは、自身の生物的反応とか遺伝的形質とかに集約される形の逆系統樹。
つまり万物からある種類の「起源」が選ばれて自分の身体とか自分の価値観を構成しているという、自分自身に限定されたルーツ観ですね。

酸素が嫌いでヘリウムガスが好きな単細胞生物とかは、幾ら万物は平等であると説かれても酸素に慣れることはできないと思うのですが、
そういう嫌酸素生物から私たち好酸素生物が進化した訳で、これが「開放的に世界と付き合う」、つまり外の世界と関係をつくっていくという模範例じゃないだろうかと。

既存の嫌酸素生物は酸素が充満した世界のなかで死滅するか、海底のメタン噴出坑に逼塞するか、という歴史的結果のオマケ付きですけれども。

http://uruseiyatsura.blog62.fc2.com/


#8065 
尾鳩 2008/03/25 01:07
マスメディア、あまり気にせずともよいのでは

久々に暖簾をくぐって以来、またなんか病みつきになりそうな感じ・・・。
時間があるなら、寝たほうがいいはずなのに^^;。

メディアの報道に対してクレームをつけたくなる気持ちはわかりますが、どのメディアにも報道の限界はありますし、メディアごとの色はある・・・そろそろ視聴者がそのように自覚してもいいんじゃないかなあ。メディアから、距離を置いて情報と接する、それが可能な時代になっていると思いますし。

「俺はそんなことはわかっているが、他の連中がメディアの報道にだまされないとも限らない・・・」誰もが抱きがちな思い。他人を見下したくなるようなこの一種の優越感が、実はわなだったりします。

錯綜した情報と賢く向き合う方法、それは、実は単純なんですが、なるだけたくさんの人やコミュニティに接することにより、現実感を忘れないようにすることですね。より遠くにある過去の情報と向き合う方法、それはなるべく価値観の違うような人達、例えば外国人たちと話し合う機会を持つこと。

自身のルーツと向き合いつつも、開放的に世界と付き合う、その秘訣は、やはり日常とまじめに向き合う姿勢を養う、これが一番だと思うんですよね。非日常ではなく、超日常、非常識ではなく、超常識に物事を捉える視点はそうやって養っていくのが一番だと、つくづく感じます。



#8064 
十一郎 2008/03/24 08:50
東京大空襲ドラマの方はまだ見ていませんが

>東京大空襲

去る3月10日に放映されたドキュメンタリーですが・・・ラストのインタビューを見ると不快感を持たれたかもしれませんが、全体を通すと、かなり深みがあるドキュメンタリーでした。

まず、空襲の歴史がきちんと押さえられている。
日本軍の重慶爆撃を米軍が参考にした点や、当初の米軍戦略は精密爆撃であって無差別爆撃に変わったのはルメイ以降という事。この時、民間人を標的とするという突然の指示にとまどったという、兵士の証言も紹介されていました。そして戦後にルメイが(国家元首等を除いて)外国人に贈られる最高の勲章を日本からもらっていたことまで言及されました。戦争犯罪に興味がある者には有名なエピソードで既知ではあったのですが、実際の勲章を映像で見たのは初めてでした。

さらに戦前は日本の意図で、戦後は米国の意図で東京大空襲の悲劇が矮小化されていた、という話もされていました。
戦時中は士気を下げないよう被害を過小評価し、戦後は占領に反発をもたれないよう虐殺を隠したということです。ここで、悲惨な写真を見せ、あの時に何があったのかを米兵に知らせる意味も出てくるわけです。元兵士はそもそも爆撃の実態について直視できなかったわけです。
自分は見ていなかったのですが、同じTBS系列夕方の番組で同じ元兵士に対し、同様に爆撃の意味を尋ねながら写真を見せたドキュメンタリーとは返答が違っていたそうです。
http://d.hatena.ne.jp/bluefox014/20080314/p1
少なくとも、米国が加害者で日本が被害者というような単純な視点ではありませんでしたし、末端の兵士をどこまで批判できるかという視点もなくはなかったです。

また、爆撃の悲惨さを写真に残した警察官のドキュメンタリードラマも良く出来ていたと思います。
戦前は憲兵に爆撃の写真撮影を拒否され、戦後は米軍から写真のネガを提出するよう求められる・・・そういった歴史に蓋をしようとする流れに抗した男の物語でした。
マルクスの恋人さんが指摘する、爆撃ではなく物資の欠乏に戦争の悲惨さがある、という視点も盛り込まれています。
(以下、ドラマの長いネタバレ)
まず主人公が知り合った別の警官は、菓子屋の生まれで、食糧難で娘達が苦しんでいる時に、残っていた砂糖を贈られたというエピソードがあります。そして警官が自分の子供達を疎開させてさびしさを覚えていた事、空襲で子供をかばって亡くなった事といったエピソードを経て、敗戦後に闇市で砂糖を買った老婆が警察を恐れて動けないでいたところに主人公が出会います。自身が戦時中に砂糖をもらえた喜びを思い出し、主人公は老婆を助けることにしました。
そうして充分にドラマとして完結したわけですが、さらにGHQに呼び出され、写真のネガ提出を求められた時、ケーキを提供されるわけです。懐柔策ではなく、あくまでおもてなしだと言って……そして主人公は敗北の必然を認識した、というわけです。ちょっと不意打ちな流れだったので、けっこう泣ける物がありました。
(ネタバレ終了)
セットも低予算なりに見られるものでしたし、中村トオルら出演者の演技も悪くなかったです。
・・・いかんせん、どこから実話でどこから創作なのか不明瞭だったのが、難ですが(苦笑)。

そして、個人的に最も興味深かったのが、撮影自体への警察官の葛藤です。
ドキュメンタリードラマで、黒焦げになった遺体を前に撮影を躊躇し、手を合わせてから写すという場面があります。さらに、実際の葛藤を記した日記も画面に登場しました。さらにドラマ後に遺族を訪ねた時も、死者を記録に残して公開する事に悩んでいた父の様子が証言されました。
つまり、報道という行為全体に対するメタ的な視点なわけですね。まだ遠い過去の歴史として片づけられない戦争犯罪について調べたり語ったりする時、常に念頭に置いておくべき事と考えさせられました。
善意の報道でも誰かを傷つけてしまう可能性への留意、それをくり返し語りつつの元兵士インタビューなので、これはこれでアリではないか、と思ったものです。やたら面倒なところに踏み込みつつ、時間的な制約もあってか語り口は浅いかな、とも思いましたが。

>クラーク死去

いつまでも長生きしそうな作家の代表格だったのですが・・・残念です。
クラークの技術描写の多さが苦手ならば『幼年期の終わり』はどうでせう。冒頭が米ソ冷戦(これだけは予測が難しかったとも、当時の現在を映す寓話として必要な設定だったとも考えられます)の宇宙競争で始まり、異星人との接触、そして人類の・・・と、リアルから一挙に超自然へ飛躍します。

>NHKへ苦情

「暴動」という表記ばかりでNHKに抗議するのではどうにも正当性がありません。
最近もNHKでは『激流中国』のような現代中国のあり方に批判的な番組をシリーズ制作していますし、「暴動」という表記も別にNHKだけが使用しているわけではありません。自分が見ている限りは日テレも「暴動」を使用しています。
http://d.hatena.ne.jp/pr3/20080317/1205750132
ネット記事を調べた方によると、朝日が相当に神経を使って「騒乱」に統一している一方、通信社から記事を買っている産経は表記に頓着していない様子。
また、「暴動」と表記さえしなければ良い、というわけではないという指摘もあります。
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20080316/p2
「蜂起」のように、何らかの指示が出されているという表現を用いると、扇動者が存在するという中国政府主張を擁護する事になりかねないわけです。



#8063 
尾鳩 2008/03/23 23:40
「踏絵」・・・かな・・・

徹夜城どの

>チベットの件は実のところ「西側」各国もやや腰が引けてる感じがするんですよ

さすがに、鋭いところを付いてきますね。私も同じことを感じていました。

餃子やら、いろいろな中国関連の報道が続きましたが、結局、中国ビジネスの退潮は起こりえないんですよ。今も、いろんな中国ビジネスセミナーに誘われるんですが、興味が無いテーマでも、とりあえず雰囲気だけでも感じておこうとなるべく出席するようにはしているんです。やはりというか、相変わらず盛況観は否めない。

今の中国の態度には、何と言うか余裕すら感じてしまいます。言い換えると、驕りにもなるかもしれません。結局、中国抜きでビジネスが出来るのならやってみろという驕り。中国内部にも、様々な意見が存在するという前提を踏まえて敢えてお話すれば、今回のチベット騒乱の背後にも、今この時期にやっても問題は無いという認識、もっと言えば、この時期に出したほうがいいという計算すら感じることさえあります。うちの味方かどうかを試す「踏絵」として。

何回も言いますが、今までも騒乱や虐待に近いことは、起き続けてきたんです。それが、この時期にこのように大きく報道された背景、そこには何か意図があるのではと書いてきたのは、つまりはそういうことです。

持てる国としての中国の余裕と自信。一世紀近く虐げられてきたとの認識が強い中華の誇り。中国に頼らざるを得ない側面は確かに存在しますが、反面、未だに根強い中国不信、国内の少数民族や貧困層に対する抑圧に対する不満や怒りが、世界には存在するのも事実です。そちらへの配慮がおろそかになり、自信や誇りに無知が加わり、本物の「驕り」にならないことを強く期待します。

私の周りにも、自分は持てるものだとの勘違いをしているばかりに、余計ないざこざを起こしてしまっている経営者をお見かけすることが時たまあるものですから、今の中国がどうしてもダブってしまうんですよね^^;。



#8062 
徹夜城(とことん石ノ森特集を見終えてから書き込む管理人) 2008/03/23 22:46
仮免ライダー

 先ほどNHK衛星でやってたもんで、こんなタイトルです(笑)。何も深い意味はありません。


>小覇王さん
 ベトナム戦争の映画群を見ておりますと、悲しいかな、「負け戦」を経験しないと名作映画はできないんじゃなかろうかと思っちゃうのであります。
 コッポラの「地獄の黙示録」はもともとの原作はアフリカの話だったこともあり、ストーリー的にはとくにベトナムでなくても成立する話です…と、思っていたのですが、「完全版」で復活したカットシーンの一つ「ジャングルの奥地で農場を経営するフランス人たち」と遭遇、交流するという場面では「ベトナム」近現代の歴史が濃厚に浮かび上がる仕掛けになってました。フランスが撤退したあとも自分たちの植民地農場を断固守ろうと自衛しているフランス人たちが出てくるのですが、彼らはアメリカ兵たちに「アメリカもフランスと同じ轍を踏もうとしている」という趣旨のことを言い聞かすくだりがあります。
 フランスが長く植民地としていたアルジェリアでの独立運動の模様は「アルジェの戦い」という映画で実によく再現されてますが、これなんか見てるとチベットと中国の話にもかぶってきます。思い返せば歴史上あっちゃこっちゃで同様のことをやってるんだよなぁ。

 鄭成功といえば、今度台湾(中華民国)総統に決まった馬英九氏が「(台湾出身の)アン・リー監督に鄭成功の映画を撮ってもらいたい」と発言してました。
 台湾における鄭成功の映画化企画は以前、侯孝賢監督による製作がブチあげられたことがあったはず。結局中国側との話でうまくいかず流れたらしいのですが。その後、香港・中国合作という形で日本では「国姓爺合戦」の邦題で公開されたアレが完成してますが、「台湾回復!」主張絶叫の露骨なプロパガンダ映画になっちゃってたのが残念。島田楊子が鄭成功の母役で出て、平戸ロケもちゃんとやってるんですが、出番があまりに少ない(カットされたんでしょう)のも残念です。

 鄭成功は大河ドラマにすると面白いだろうなぁ…と長年思っているのですが、中国・台湾の問題がモロに絡んでくるのでどこで作っても政治的な不自由さがつきまといそうです。多民族入り乱れる「倭寇世界」の観点に立つとこれほど面白い素材はないんですけどねぇ…日中ハーフの鄭成功はまさに自身が体現してる存在ですし。ま、僕個人としては父親の鄭芝龍のほうが話としてはずっと面白いと思ってますけど。


>tomohiroさん
 「トルコ系民族」ってのも歴史的にみるとその活動期間の長さと活動範囲の広さに驚かされる人たちですよね。唐の時代に出てくる「突厥」は発音からしてすでに「チュルク(トルコ)」ですし、現在のウイグル自治区も歴史的には「東トルキスタン」と呼ばれる地域なのです。西トルキスタンが現在のトルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタンというわけですね。
 トルコ系民族で西へ西へと移動して建国したのがセルジューク=トルコ、オスマン=トルコでありまして、現在「トルコ共和国」に世界のトルコ系民族の半分以上の人口が集まってます。オスマン帝国の崩壊過程で「トルコ民族主義」が強まってくると、中央アジアから西アジアにいたる「トルコ系民族」を統一しようという「汎トルコ主義」なんてものまで現れます。「青年トルコ革命」を起こしてトルコ近代化を模索、第一次大戦に敗れて亡命したエンヴェル=パシャもこの夢にかけ、結局中央アジアで戦死してしまってます。この辺の話は「しりとり人物」コーナーのケマル=アタチュルクの項でちょこっと触れてます。



#8061 
tomohiro 2008/03/23 19:49
トルコ共和国とウイグル

ウイグルの話題が出てきたので一つ。
ウイグルと、比較的種族が近いのが、小アジアの
トルコ共和国なんですよね。
積極的にウイグル独立を支援している国の一つのような。
或書籍でトルコと同じような言語を使う国に
ウイグルが表記されているのが解説されていました。




#8060 
小覇王 2008/03/23 01:02
実は「2001年」は観ていないです

 わずか二日ですごい間が空いた風になってしまいました。

>ミッキーさん
>フランスがベトナム戦争をアメリカに押し付けた事実はない
 返事が遅れてしまいました。歴史的事実としてそのようなことがなければ、こちらの勉強不足です。失礼しました。ただ、前後の文章でも分かるように各種戦争におけるフランスの立ち位置を揶揄することがあの文章の真意だったことをご理解ください。
 個人的にはやはりフランスがきちんと旧宗主国としてベトナムと決着をつけていればアメリカの介入は防げたのではないか、そしてその責任があったのではないか、と考えております。
 ただ、そうするとベトナム戦争を舞台にした様々な名作が作られなかったわけでそれは残念なことに・・・

>徹夜城さん
>国民党、政権奪還
 思えば台湾が中国の正式な領土だった期間って、中国の歴史全体から見ればほんのわずかなんですよね。それも鄭成功が抗清のためにオランダを追い出して占領したからであって、もし台湾に反清勢力がいなければ今でも領土としては認知されていなかったかもしれません。
 後は最近何かと騒がれている中国ですが(大陸の方ね)、分裂するとか、崩壊するとか言われる常連国ですが実はココ百年で最も安定している時期でもあるんですよね。

>船頭の孫さん
>共産党なんかが政権をとったら、ソ連の言いなり
 私は逆に赤旗が身近にあった環境で育ったので「日本共産党はソ連や中国とは違うんだ」と言われて育ったようなものです。ただ徹夜城さんも言ってらっしゃる通り、政権を取れないと思ったから独自路線を進もうと思ったのかもしれません。これが終戦直後だと話は変わってくると思います。




#8059 
徹夜城(仕事帰りに速報をみた管理人) 2008/03/22 22:49
国民党、政権奪還

 しちゃいましたね。ある程度事前予想はあったとはいえ、もう少し差が縮まるとか、下手すると逆転だとか盛り上がるようなことを報じていたマスコミもあったものですが…ふたを開けてみれば当初予想されてた通りの大差。チベットうんぬんはあんまり投票行動には影響を与えなかったみたいです。ま、別に国民党が政権とったからっていきなり「国共合作」するってもんでもないですがね。ただ米中ともにホッとしたのは確かかも。

 もしかして、と思うのが投票二日前になって突然李登輝前総統が民進党候補支持を表明したことが案外マイナス要素にはたらいたかも…ということ。この方、話の流れからいえば民進党候補にさっさと支持を出すと思えるのにいつまだたっても態度をはっきりさせず、業を煮やした李登輝支持団体が1月に勝手に民進党候補支持を打ち出すという妙な事態になっていたんですね。で、二日前になって突然「両候補を慎重に見極めたうえでこっちに決めた」と言い出した。これはチベット情勢を見て「こっちが有利」と見定めたんじゃないか…とも見えちゃうんですよね。一年前に「私は台湾独立なんて言ったことはない」と発言したとかしないとかで騒ぎになったこともありますし、なかなか食えない人だなぁ、と思ってまして。だいぶ前、ネット上でどなたかが「台湾の中曽根」と言ってるのを見かけてそんなもんかも、と思ったことがあります。

 ともあれ、韓国・台湾ともに似たようなパターンで保守系政党に政権交代になったわけです。



#8057 
和風餃子 2008/03/22 21:49
NHK苦情人3

NHK苦情人がいる限り、この世にNHKは栄えない
NHKは、あまり上等な苦情担当をおいてないみたい
苦情人が、NHKは中華電視台の九官鳥になっているというと
苦情係は民放が報じていることと我々の報道にはさほど変わりはない
などと苦し紛れをいったので苦情人いわくNHKは仮にも日本国民から
受信料をとっているところ、それが国民からはびた一文ももらっていない
民放と大差ない報道しているのはどうなのか?もうちょっとしっかり
しないと郵政民営化のつぎはNHK民放化の火が燃え上がることとなろうと




#8056 
巫俊(ふしゅん) 2008/03/22 19:44
山岳民族ですよん

というか谷底の民族で、他の渓谷のことは知らないという。



#8055 
ミッキー 2008/03/22 18:54
皆さん書き込みを見て

共産党が方針転換してたのは知りませんでした。失礼しました。
ところでチベットが話題になってますが。NHKの放送姿勢が批判の対象みたいですね。中国の公式発表を放送するのは別に偏向してるとは思いませんが。なぜなら他に情報がないわけです。今度の騒ぎも独立運動なのか民主化運動のか、どういう組織が行動したのか背景が判らない以上は放送できないわけだし。中国はダライ、ラマさんが指揮したと主張してますが本人は否定してます。外国のメディアが取材できないから現地の状況は不明です、だから、中国の公式発表を放送して視聴者に判断してもらうのがメディアとして妥当な判断と思ってます。仮にチベット人の地下ラジオ局なんかあって独自の声明でも流せばNHKでも放送したと思います。中東のアルジャジーラなんかはテロ組織のアルカイダの声明を放送してました。アメリカは反発してましが私の個人的な気持ちではメディアとして間違っていないと認識してます。対立する双方の主張を提示して視聴者に選択してもらうか。
それからウィグル問題で感じたこと。やはり、過去のアフガンが悪い影響を与えてるかなと。ソ連が侵攻したときイスラムゲリラに軍事援助したのはアメリカでしたね。オサマビンラデンにも。ソ連が撤退したあとはヨリ過激になり反西欧的に変わりテロをおこしたわけですよね、マァ複雑な背景はあるけど、ただ、アメリカにすれは゛表現は悪いけど「飼い犬に咬まれた」感じかな?だから、イスラムは信用出来ないというのが本音ですかね。ウィグルの悲劇はそこが要因だと感じます。



#8054 
tomohiro 2008/03/22 18:16
世界のポップス

私は欧米以外のポップスが好きなんだけれども、
最近はアジア系だけじゃなくて、トルコとかにも
興味があります。
最近・・・。というか十年近く前
読んだ漫画で、
「トルコで私も考えた」で
紹介されていたので、興味を持ちました。
最近は欧米の流行音楽の疲弊で、j-popばかり聴いているのですが、
最近は欧米の音楽が優位ではなくて世界各国でポップスなどが、
同じようなLevelに達しているのかなと考えています。
色々な物が色々なところで発信できるのはいい時代になったのか



#8053 
徹夜城(春風邪をひいたらしい管理人) 2008/03/22 09:41
ウイグルというと

 有名どころで「北斗の拳」のウイグル獄長、マニアックなところで横山光輝「ウイグル無頼」、日本人がウイグル人を演じてる姿が見られる映画「敦煌」…などが思い浮かびますが。

>尾鳩さん
 尾鳩さんから直接聞いてるせいもありますが、僕もチベット大騒ぎのなかでウイグルについてはほとんど騒がない欧米の風潮にいささか疑問を感じるところもあります。それってやっぱりイスラムだから?ってことになっちゃうわけで。
 チベットについては昔から欧米では良くも悪くも「最後の秘境」「神秘の国」イメージが広まっていて(ホームズもルパンもチベット行ってるのもそのせい)イメージの一人歩きの部分もあるような気がします。ベルトルッチの「リトル・ブッダ」にしてもチベット仏教で「仏教」すべてを語っちゃってる(しかもそれすらも歪みがあるような…)ように、思い入れが強すぎる気もいたしますね。この辺、僕はふと「クジラ」の話も連想しちゃうところがあるわけですよ。
 中国としては本音のところチベットよりウイグル方面が怖いんじゃないかなぁ、と。チベットの件がウイグルに飛び火するのが一番怖いんじゃないかと思えるんですね。もっとも日本中世史の今谷明さんが唐突に書いたウイグル史本によりますと歴史的にみると物騒なのはイスラム化した漢族のほうだ、という見解でしたが。

 ともあれ、尾鳩さんも思ったようなことになってるようで。
「状況はチベット同様に深刻」亡命ウイグル人組織が会見
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080322-OYT1T00077.htm?from=main2

 チベットの件は実のところ「西側」各国もやや腰が引けてる感じがするんですよ、僕には。とくにアメリカ政府(民主党の下院議長はさっそくダライ・ラマに会いましたけどね)。最近は財布のヒモを中国に握られてるようなところもあるみたいですし。先日僕が「ミャンマーのときとかぶる」と書いたのは僧侶主導ということもありますが、実は国際的な盛り上がりがそれほどなくいつしかシュシュシュと忘れられちゃうんじゃないかという懸念を感じたからなんですよね。
 本日は台湾総統選ですが、これもチベット騒乱がどこまで影響してるのかが注目です。


>船頭の孫さん
 「アエラ」「週刊朝日」は皇室ネタ、それも妙に保守寄りのネタがよく出るメディアだったりします(笑)。もっとも朝日で出してるからといってもピンからキリまでで、言われてるほど統一性はないんですよ、あそこは。もっとも秋篠宮結婚スクープやったのも朝日だったと思ったし、何か独自の情報ルートをもってる様子はありますね。

 日本共産党が「全千島返還」を主張するのは、ひとつにはアメリカなど西側諸国との講和であり「千島分断」を決定したサンフランシスコ平和条約を認めない、ということもあるんじゃないでしょうか。調べたいなと思いつつやってないんですが、サンフランシスコ平和条約でなんで北千島が放棄され南千島だけを日本領と定めたのか、経緯が気になるところです。
 全千島領有を主張するということは「樺太千島交換条約」は認めてるわけです。一方で南樺太の領有主張はしてないですから「ポーツマス条約」は認めないのかな?それとも「ポツダム宣言」受諾で南樺太は放棄したものとみなしてるんでしょうか。
 ところで日本で出ている地図帳では北千島と南樺太はいまだ白く塗られた「空白地域」なんですよね。これは日本政府の公式見解では「日本としては放棄したがロシアが領有を公式に表明したことがない」から空白にしてる、ということらしいです。

 「日本=山岳民族論」は大いに興味のあるところですねぇ。ぜひお願いいたします。


>和風餃子さん
 その「苦情」って和風餃子さんご本人なんでしょうか?どうもどっかの書き込みを紹介してるだけに見えるのですが。だとするとその報告をうのみにしてるだけでしょう?
 ざっと報道は見てますが、素材が同じである以上NHKも民放もやってることはほとんどおんなじだと思いますね。その「苦情」もそこまでくれば立派なクレーマー。その応対はクレーマーに対するマニュアル通りの対応というやつでしょう。



#8052 
和風餃子 2008/03/22 06:22
NHK苦情人2

NHK苦情人は、再度、苦情電話をかけました。
国民からお金をとっているNHKが中国寄り報道を続けるようなら
受信料ボイコット問題の火が再燃するよ、と。
苦情担当は、それは、お客様の偏見でNHKは中国に加担などしません
こちらは民放のように協賛側から支援を受けるシステムではないので
騒動の、どちらがわからの肩を持つような事態は有り得ませんといいました。
苦情人は苦情担当の高飛車な態度にむかついて
NHKが報じているのは中華国営新華社通信と大して変わらない
いっそのこと新華社通信・日本支局と改名してはどうか?というと
お客様の電話は、侮辱の領域に達しています、またかような電話をされますと
こちらも出るところに出させていただきます、と返事。



#8051 
尾鳩 2008/03/22 01:13
西蔵騒乱って大騒ぎしているようですがね・・・

>チベット騒乱
これは、とっくの前からその予兆が指摘されていたことですね。事実が事実として、ようやく一般メディアで流れた、ということかな。

まあ、オリンピックを前に控えた中国という背景、そしてそれに対抗してのチベタンオリンピックの開催。まあ、話題には事欠かない。すわ、大統領選にも影響が・・・。正直なところを言えば、チベットでの騒乱の予兆(というか騒乱そのもの)は、何回かメディアに流れたことはあったんですよね。チベット鉄道開通のお祭り騒ぎで、吹っ飛んだ観がありましたが。

視点をもっと広く持つなら、ウイグル人は常に割りを食っていますよね。漢族、チベット人、そしてウイグル人の友人を相当数持っている立場として、敢えて言わせて頂きますが、ハリウッドや世界のセレブに相当のファンを持っているチベットと比べると、ウイグル人は同情にも値するくらい注目が無い。

史劇的だから書きますが、今でもウイグル人に対する弾圧というのは相当なものがあるんですよ。正直、ここで書いても「嘘でしょう!?」って話がたくさんあるんですから。イスラム教徒だから、欧米じゃ同情が集まらないんですね。だから、「ニュース性が無い」。

チベット人は、日本人である私を「大和民族」として同じ少数民族待遇(優先待遇^^;)してくれます。一方、ウイグル人は、「黄色人種の横暴に対する白人の戦い」をスローガンとして、私の妻(英国人)に欧米との共闘を訴えます(これ、本当にあったんです)。しかし、やっぱりウイグル人のほうには、同情が集まらないんですよね。

はっきり言いますが、チベット人(チベット族?^^;)、そしてウイグル人は、漢族を嫌っていますし、漢族はチベット人、そしてウイグル人を見下す傾向が強い。歴史的和解など、不可能だと断言できるほどに仲が悪い。さらに、中国は、とにかく内政不干渉を盾にとってくるのでたちが悪い。

この構図、そして暴動は、前から続いてきたことです。今に始まったことじゃありません。

さあ、これからどうなるんでしょうか。一番想定できるのは、北京オリンピックの影に隠れて、ニュース価値が小さくなるか、万が一このニュースのせいで北京オリンピックが盛り上がりに欠けたとしても、話題が他に移りチベット関係のニュース価値が小さくなるか・・・結局は、話題性が萎んでいき、当事者以外は注目しなくなる・・・まあ、所詮は、そういうことなんじゃないでしょうかね。

http://globalgoodnews.way-nifty.com/blog/


#8050 
tomohiro 2008/03/21 12:41
山岳民族国家論

日本人が山岳民族国家。
面白いですね。信州や山梨によく行くのですが、谷ごとに文化を発展してきた
国なのが信州や山梨なんだかと考えてしまいます。
>アジア諸国の映画のShareに対して。
あの話題を執筆したのは私です。
私も韓國とは共通点があって、なぜだか日本の周辺にある国々では
朝鮮半島が一番興味があるのです。
台湾や中國大陸などの中華圏はいまいちというか・・・。
それと、台湾を必要以上に持ち上げたり、韓國を
必要以上にけなしたりする論調にも疑問を持っております。
台湾という場所自体親日の顔と中華圏の顔を使い分けて居るんですよね。



#8049 
船頭の孫 2008/03/21 11:59
久しぶりに書き込んでおります

大変ご無沙汰しております。

いろいろ身辺に変化があって、久しぶりに覗いております。

徹夜城様

>>平成の御代になってからも美智子皇后や皇太子夫妻、秋篠宮家について継続的に中傷めいた報道が出るのもなんとなくこの線から説明できる気もしてきます(最近とくに雅子さんを皇后にしたくない勢力が絶対いる、ってわかりますな)。

少し前の話ですが、朝日新聞社のAERAで、雅子さんが神道や宮中祭祀のことが感覚的になかなか理解できなくて、英語で書かれた文献で勉強した、だから今でも宮中祭祀に参加することに強く精神的抵抗があるのじゃないか、対して、カトリック教育を受けてきた美智子さんの場合には祈るという行為の意義を強く尊重していて、夫婦で先代以上に祭祀をまじめに熱心に行っている、というエピソードが報道されていたことがありました。意外に朝日的な「進歩的知識人」志向の層のかなりの割合で、西欧的王室を目指すのではなく、西欧中心主義に抵抗したいナショナリズム回帰的な要素が根強くあるんじゃないかな、とにらんでいます。

小覇王様

>>今じゃ考えられませんが、70年代に不破氏が(もし共産党が政権をとれば)自衛隊を解散して自国軍を持つ、と言っていたはずです。

確か、日本共産党は北方領土四島返還論ではなく、千島全島返還論でしたよね。このことは案外知られていないんじゃないかと思います。うちの両親(終戦時6歳)は、共産党なんかが政権をとったら、ソ連の言いなりで北方領土なんかはソ連の固有の領土ということにされちゃうなんて私の子供のころしょっちゅう言ってました・・・・・。

和風餃子様

>>餃子の皮の話は、たしかメソポタミアあたりで
かなり太古の小麦を使った餃子の皮状のものが出土したため、それをもって
小麦食品の一番ふるいものという説がある、と聞いたんです。

>>エジプトのパンはメソポタミアから伝わったものでエジプトで独自発生したものでは
ないってのが説です。

麦類の古い形の食品は、粗挽きにしたものを粥にしたもの、つまり古代ローマの主食であったプルスとか、今日のイタリアのポレンタ(今はトウモロコシで作りますが)みたいなもので、さらにそれをもんじゃ焼きみたいに焼いたものからクレープ状の薄焼きパンが発生したようです。餃子の皮というより、フランスのクレープやガレット、ユダヤ人の「種入れぬパン」、インドのチャパティがパンの原点といってよいかと。さらにそうした生地で何かを包むという方向に行って餃子タイプの食品が誕生したという形になるようです。

実は餃子タイプの食品は、内陸ユーラシアに広く分布してまして、ロシアのペルメニ、ネパールのモモなどが日本でも比較的有名だったりします。一番東の端にあった中国の餃子や、満州のちょっと名前が出てこないのですが、焼き餃子タイプの食品が混成して引揚者によって持ち込まれ、戦後日本の闇市に登場したのが、日本の餃子のルーツだったはずです。

あと、メソポタミアも本当は麦作文明のルーツじゃなくて、もともとは東地中海のレバント地方(シリアとかパレスチナ)、アナトリア半島、ザグロス山脈といったいわゆる「肥沃な三日月地帯」の山岳地方で成立したものです。あのあたりだと、もともと野生の大麦や小麦の原種が自生しているし、木材や鉱物資源も地元で入手できる。また高度な灌漑技術などがなくても天水農業が可能です。こうした山岳地帯で成熟していった農業文明が、それまでの蓄積を背景に、灌漑すればすさまじく生産性が高いけど、農作物と水と粘土、葦、魚以外はほとんど何もなく、木材や鉱物資源は交易で手に入れないといけないチグリス・ユーフラテス下流低地に進出したのが、メソポタミア文明ということのようです。

徹夜城様

>>ちょっとクルド人の話とも似てくるかもしれない。

山岳民族というのは谷ごとの小さな共同体で自給自足が非常に容易なことが多いという特性からだと私は考えているんですが、国民国家の原型になるような、かちっとした広域国家の形成が苦手な傾向があるように思えます。例外がスイスと、あと私の特殊な持論かもしれないのですが、日本。スイスの場合、周囲ぐるりで君主制の広域国家形成が進んでいく中で、中世的な小共同体連邦システムを守り続けたいという内的な要求が非常にうまくつぼにはまっていったような気がします。日本が実は山岳民族国家だという私の持論に関しては、いずれまた。



#8048 
和風餃子 2008/03/20 21:06
NHKに苦情

どなたかがNHKに苦情をいいました、いま世界中が注目しているチベット情勢で
NHKは、チベットの動乱の報道を「チベット人の暴動」とか
「チベット人の漢人への暴力、略奪」とか中国よりの表現が多いのは偏っているのでは
ないか?と。苦情窓口担当は、現時点では詳細な情報が入ってこないので
報道の内容は未確認情報です、といい、苦情人はNHKはふるくは
番組シルクロ−ド特集など、中国利権を独占する放送機関なので中国びいきは
当然なのかというと、がちゃんと耳が痛くなるほど電話を切られたそうです。
さすがNHK(笑



#8046 
徹夜城(クラーク死去を機にアシモフコーナーも再起動しようかと思い始めた管理人) 2008/03/20 20:59
2008年宇宙の旅

>小覇王さん
 このたび亡くなったミスターSF・アーサー=C=クラークですが、僕自身はあまり多くは読んでないんですよね。一見突拍子もないアイデアだけど現実的・論理的で小さくまとまる感じのアシモフワールドにハマりはしましたが、クラークのリアルな未来予測、イマジネーションの豊かさにあこがれるところはありました。この二人、「リアル」の方向性が違うといいましょうか、そこで好き嫌いが分かれるようです。
 知らん人向けに書いておきますと、アシモフは「銀河帝国興亡史(ファウンデーション・シリーズ)」と呼ばれる「銀英伝」の遠いルーツみたいな大長編を書いてますが、異星人は一切登場せず、やってることはほとんど現代人と変わらない(中には古代・中世を思わせる描写もある)、ミステリと権謀術数の世界を描いたわけです。ロボット三原則の発明も有名ですね。
 対してクラークは通信衛星、月面開発といった実際に生きてるうちに実現した未来予測を小説の形で発表する一方、「2001年」「宇宙のランデブー」に代表される「リアル」な異文明コンタクトものも書いてました。映画「2001年」はキューブリックとの合作といったほうがいい内容ですが、これにはこの二つの要素がうまいこと融合してるように思います。
 「2001」では巨大な国際宇宙ステーションが軌道上に浮かび、そこから月面基地へ移動する場面があります。さらに木星探査機が派遣されたりするわけですが…偶然にも現在スペースシャトルが国際宇宙ステーション(規模は全然違うけど)へ行って「日本領」(笑)が初めてできたりしてるわけで、1960年代当時の開発ペースがそのまま続いてたらああなったろうという極めてリアルな予測なのですね。今だって技術的には可能なものは多いはず。問題は金と手間ですか(笑)。
 ただ「2001」「2010」では米ソの対立が色濃く描かれており、「2010」では一触即発の状況になります。こうした人間社会の予測のほうがずっとつきにくいわけです。ソ連崩壊だって直前までほとんど誰も予測してませんでしたし、一方で崩壊するすると言われまくる国に限ってなかなか崩壊しないし(笑)。ああいうのも誰も言わなくなったとたんに崩壊したりするのかもしれません。


>和風餃子さん
 なるほど、中国ではなくメソポタミアの、ということなんですね。確かにそう言われれば「発酵パン」という形が発明される以前は小麦を薄く練ったあるいは焼いたもので肉類などをくるむということは自然に起こりえたかもしれません。ただそれを「餃子」と言っていいのかどうか(^^;)

 チベットについては来週あたりに「史点」で書けると思いますが、中国共産党の公式言い分としては宗教組織と貴族によって支配されていた農奴たちを「解放」した、ということになってます。もっとも人民共和国成立直後にチベットに踏み込んだ背景には中華民国以来領有主張していたこともさることながら、冷戦構造の中でインド、ひいてはイギリスの影響の浸透を恐れたことが大きかったんじゃないかな、と。またチベット人に言わせると中国とインドでチベット文化圏を「分割」されたという側面もあるんですね。ちょっとクルド人の話とも似てくるかもしれない。
 歴代中国王朝だと元と清の北方民族系帝国がチベット仏教にハマるんですね。で、財政難に陥って国をつぶしたりして(笑)。その間に挟まる明でもチベット仏教にハマった皇帝もいたような。ダライ・ラマにしても歴史的には北方系民族の政治的産物とみることもできまして、14世も言うように中国との関係はなかなか複雑なのが実情です。


>ミッキーさん
 日本共産党としては一応現在は「9条維持」を掲げてますので、武装中立の方針は90年代にこっそりと放棄したものとみなしていいんじゃないでしょうか(ソ連や中国とも喧嘩したミヤケンさんの引退も大きかったかもしれません)。まぁどのみち政権をとる可能性はないと当人たちも思ったからそうしたのかもしれませんが。


>tomohiroさん
 まず確認なんですが、8044は本当にtomohiroさんのご意見なんでしょうか?どこからかコピペしたというようなことはないでしょうか?その、お名前が…(^^;)
 ともあれ、8044の文章には僕は首をかしげるばかりです。台湾・韓国について「反日」「親日」「反中」「親中」とバッサリ分けて考えちゃってるからそれに反する事例が出てきて「あれ?」と思っちゃってるだけで。その前提をとっぱらえばなんら不思議な話じゃないでしょう?まず距離的に言って韓国は日本に、台湾は中国にと手近なところにものを売り込むのは自然な話ですし、それぞれ文化的にも近似性があるから共作や売り込みがやりやすい。台湾は文化的には中国とおんなじですからそりゃ中国向けにものを作りますよ。もちろん韓国も中国に、台湾も日本に売り込みしてますから、要は売れるものを売れるところ向けに作ってるだけでしょう。



#8045 
tomohiro 2008/03/20 19:55
失礼しました。

今し方之書き込みは、
私の書き込みです。
失礼しました。



#8044 
THE IDOLM@STER 2008/03/20 19:54
不可解な台湾な映画人諸氏

私は、台湾は中國大陸と一線を劃した國家だと
思っている人間です。
そして、親日國家だと。
しかし、私が理解不能なのは、台湾の映画人が
製作する映画やドラマは、おおかた中國大陸
に受けそうな物ばかり製作していることです。
親日國家であるならば、もう少し、日本を
意識しては如何だろうか?
反日的な韓國の映画人が、
久石譲や岩代太郎という日本の高名な音楽家を
起用して、少しでも日本を意識したような
映画やテレビドラマを製作している事を
見ていると、台湾で同じような事が
出来ないのかと考えてしまいます。
思慮の浅い台湾の映画人諸氏、
あなたは何を考えているのか。




#8043 
ミッキー 2008/03/20 12:56
少し疑問の点が、

久しぶりに拝見しましたが。皆さんの書き込みに対しての意見を少々。
日本共産党の防衛政策は今も変わってないと思いますが?
いわゆる武装中立論です。ただ旧社会党は非武装中立論ですがね。武装中立論はアメリカとの同盟を破棄して強力な軍事力を持って、スイスやスウェーデンのように永世中立国を実現するとか。ちなみに両国は民主国だが今でも徴兵です。
それからアメリカの民主党が左翼というのはびっくり!マァ、共和党よりは左かもね、でも社会主義じゃないと思いますが?これではマイケルームーアも左翼のレッテルを貼られますね。
それからフランスがベトナム戦争をアメリカに押し付けた事実はないですよ。マンデスフランス首相がベトナムでの植民地支配はムリとして撤退したわけで。仮に社会主義になったとしてもベトナム国民が望むなら尊重するべきと言ってましたが。ただ、アメリカはあくまで社会主義国になるのは認めないと。ホーチミンは毛沢東の手先とレッテルを貼ってました。このままだとインドシナも共産化するとばかりに軍事介入したはずですよ。面白いのはホーチミンが毛沢東主義者とアメリカは思ってたことかな。ソ連の手先じゃなくね。逆にフランスは忠告してたわけで。ベトナム国民は歴史的に反中だと。中国の手先にはならないとね。アメリカは理解できなかっただけ!



#8042 
和風餃子 2008/03/20 07:11
出自を一応記します

>餃子の皮の起源
レスをどうも管理人さん。餃子の皮の話は、たしかメソポタミアあたりで
かなり太古の小麦を使った餃子の皮状のものが出土したため、それをもって
小麦食品の一番ふるいものという説がある、と聞いたんです。
パンは酵母をつかうなど、かなり高度な技術が要るため餃子の皮のような
食物よりは後発のものという説がもっともらしいですね。
エジプトは何でも一番ふるい文化と思われがちですが、けっこうメソポタミアから
伝わったものを流用して発展してる場合もあるとか
エジプトのパンはメソポタミアから伝わったものでエジプトで独自発生したものでは
ないってのが説です。

ところでチベットは恐ろしいことになってますね。
わたしは戦後うまれでよく分からないのですが中国が最初にチベットを
軍事侵攻したときの主張って、すごいですね、聞いた話では
チベットの既成統治の圧政からチベット人民を解放するために
中華人民解放軍が進撃してチベットを保護した〜などと主張している
て話ですが、その当時のチベットの既成統治体制って一体なんなんですか
人民解放軍って全然、人民を解放してないように見えますね漢民族いがいには



#8041 
小覇王 2008/03/20 01:24
クラーク氏逝去

>徹夜城さん
>天皇がらみの事件ではこの手の「精神異常」で片づける傾向が強
 まともな日本国臣民は天皇に対して不敬を働くはずはない、ってことですかね。

>日本の共産党だって長らく自国軍の保持にこだわった過去
 今じゃ考えられませんが、70年代に不破氏が(もし共産党が政権をとれば)自衛隊を解散して自国軍を持つ、と言っていたはずです。支持者である、うちの親に言ったら信じませんでしたが(あんたらが買った本に載ってたのに!)。日本の共産党は全体としては清廉な党だと思いますが、いかんせん過去の失敗をなかったことにして何かあるとすぐ、一個人のせいにしてトカゲの尻尾切りをするのが、なんとも。

>景虎さん
>、第二次世界大戦の真の勝者は、アメリカ一国のみ
 フランスは対ドイツ戦では負けっぱなし(しかも圧倒的に)なのに、最終的には勝者の側にいる国、という印象があります。ベトナムでもアメリカに押し付けて早々に退却しましたしね。なんとなく「連年、失敗続きであるにも関わらず、そのつど階級が上昇する奇蹟の人ビッテンフェルト提督へ・・・」というセリフが浮かんできたりするのですが。

 アーサー・C・クラーク氏が亡くなられましたね。これで御三家が全て地上からいなくなってしまったわけですが。正直、アシモフとハインラインに比べると読んでいないのですが、それもまだ生きてる、と思っていたからかもしれません。ご冥福を祈ります。



#8040 
徹夜城(偉大なSF作家の死を悼む管理人) 2008/03/19 23:56
天皇家の一族

このところ雑多に本を読みまくっておりますが、本日はこの2作の話なぞ。

井上章一「狂気と王権」(講談社学術文庫)
原武史「昭和天皇」(岩波新書)

 前者は1995年とかなり前に出版されたものを改定してつい先頃文庫本サイズで刊行したもの。帯の文句が「天皇制と精神鑑定の危険な関係」という、なかなかスリリングなものであります(笑)。
 1936年(昭和11)に発生した「元女官長不敬事件」。島津久光の孫にあたる元女官長がこともあろうに「不敬罪」で逮捕されたというスキャンダルです。ことがことだけに公には報道されなかったのですが、この女官長、さるカルト団体に入信しており、なんとそのカルトでは「高松宮(昭和天皇弟)が新天皇になる」という予言があったというのです。結局精神鑑定の結果、「精神異常」とされ、無罪になっちゃうんですけどね。本書でも触れてますが、この件についてはすでに松本清張が「昭和史発掘」で触れており、この精神鑑定が非常に政治的なものだった可能性を示唆してるとのこと。
 本書ではほかにも皇太子時代の昭和天皇暗殺未遂「虎ノ門事件」(1923)についても実行犯を検察側がなんとかして精神鑑定で無罪にしようと躍起になっていたという、なんともアベコベな話も紹介し、天皇がらみの事件ではこの手の「精神異常」で片づける傾向が強かったことを暴いていきます。明治天皇に直訴した田中正造が「精神異常」として放免された、という逸話についても考察してました(結論から言うとそれは後年の「伝説」と推理してますが)。

 後者の原武史氏は近年近現代天皇制史で刺激的な著作を次々とものされてる方(ついでにいえば趣味で鉄道史マニアの本もずいぶん書かれてます)。「大正天皇」という労作がすでにあり、保阪正康氏との「対論 昭和天皇」も面白く読みましたが、ついに昭和天皇そのものにアタックした著作を出されたわけです。
 ただ昭和天皇についてはさすがに研究書が既に多く出ています。原氏の今度の著書は「対論〜」でも注目していた「宮中祭祀」にスポットをあて、これに昭和天皇がどう向き合っていたのかを中心に「天皇の昭和史」を描き出していくところがユニークです。

 いろいろと話題がつきない本なのですが、当サイト的に注目したいのは、昭和天皇とその周辺が「三種の神器」にこだわった理由が「南朝正閏論」にあったのではないか、という推理です。明治末の大逆事件の直後、に歴史教科書の「南北朝」という表現を問題視するキャンペーンが始まり、明治天皇の裁可で「南朝が正統」と確定される。すると血筋が北朝の現天皇家としては皇位の正統性を三種の神器によらねばならなくなった…という仮説です。1935年に侍従武官長・本庄繁に昭和天皇が「自分の如き北朝の血を引けるものにて」と発言していたという逸話には、「やっぱり気にしてたのか」と僕などはハッとさせられました。本書では触れてませんが、南朝子孫を称する「熊沢天皇」のことも結構気にしてたんじゃないかなぁ、と。
 あと本書で改めて痛感するのが昭和天皇と弟たち(秩父宮・高松宮・三笠宮)の、決して良好とは言い難かった関係です。2・26事件における秩父宮への警戒、戦時中と戦後に戦争責任をめぐって昭和天皇と高松宮が激論を戦わせていた事実、そしてその根底に兄弟の母親・貞明皇太后の想像以上の影響力と確執…など、読んでいて何やら横溝正史の世界になってきます(笑)。貞明皇太后は「神ながらの道」という神道にハマって自らを神功皇后に擬していた、そしてその周囲の女官も神がかっており、天皇の侍従から「魔女」呼ばわりされ追放された今城誼子の話など、「皇室の闇」がゾロゾロ出てくる。平成の御代になってからも美智子皇后や皇太子夫妻、秋篠宮家について継続的に中傷めいた報道が出るのもなんとなくこの線から説明できる気もしてきます(最近とくに雅子さんを皇后にしたくない勢力が絶対いる、ってわかりますな)。
 あと本書を読むと、一般に思われてる以上に昭和天皇は戦争にも政治にも積極的に関与しようとし、それは戦前も戦後もちゃんと継続性があったこと、そして戦争責任に関しては当人が非常に神経をとがらせ続けていたこと(高松宮との確執もそれが原因)、それが記憶に新しい「富田メモ」の件にもつながってくることがよくわかってきます。


>モーグリさん
 う〜ん…「信じられない」ってほどの話でもないと思うんですが?この伝言板にもいろんな人がいるわけで、「皆さん」とひとくくりにされましても。
 国民皆兵、徴兵制ってもの自体がフランス革命の平等思想と国民国家形成と不可分なのは歴史を学んでれば見当がつく話ですし(そういやフランスが徴兵制やめた話をむかし史点で書いたような)、いわゆる社会主義国がみんな徴兵制だったし、徴兵された軍隊で貧富や身分の差を超えた「平等」を体感して喜んだ、って話は各国に見られます。徴兵制は言わなかったと思いますが、日本の共産党だって長らく自国軍の保持にこだわった過去がありますから、左翼=徴兵制反対という構図にとらえられるもんでもありません(また、以前の書き込みにあったように「左翼」ってのの定義が…)。また、逆説的ではありますが、マイケル=ムーアの「華氏911」で貧困層が兵隊にとられる実態を描いて国会議員たちに「あなたの息子をぜひ戦場へ」と署名を求めてまわる一種のジョークシーンなんかにもそうした発想は見られます。



#8039 
モーグリ 2008/03/19 16:53
左翼の徴兵制支持者

最近はここに書き込む機会がなくて、ほとんどROMも取っていません。
徴兵制の話題が出たので、指摘しておきたいことがあったので書いておきます。


皆さんは信じられないかもしれませんが、左翼にも徴兵制導入論者がいます。
例えばアメリカでは民主党の反戦派の黒人議員が「アメリカに再度徴兵制を」と議会に何度も徴兵制復活法案を提案しています。数年前にフランスで徴兵制が廃止された時にもそれに最後まで抵抗していたのは左翼でした。
軍人の方が「現代戦は志願制の方がいい」といって徴兵制に批判的なんですが。

彼らの論理はこうです。「志願制になると生活に苦しくて軍隊しか行くところがない下流階級だけが軍隊に入ることになる。これは平等ではない。だから徴兵制を復活させて金持ちでも貧乏人でも平等に軍隊に入れよう」
信じられませんが、主張が突き抜けると反戦運動家でも論理が反転するんです。

実際に「日本で徴兵制が復活する」と主張する左翼にそんなことはありえないと説得したところ、主張を反転させて「左翼の徴兵制支持者」になってしまった実例があります。
詳しくは下のサイトを見て下さい。
http://plaza.rakuten.co.jp/obiekt/diary/200409100000



#8038 
徹夜城(最近自分の同姓が全国に20数軒しかないらしいと知った管理人) 2008/03/18 23:27
翼くんと翔くん

 「翼」「翔」ともに近年男の子の名前によくつけられる文字ベスト10入りしているように思うのですが(とくに「翔」がらみは多い…)、奈良時代にも「翼(つばさ)」くんと「翔(かける)」くんという兄弟がいたことを今読んでる本で知りました。
 先日、やや間違えてタイトルを書いてしまっていたので改めて紹介。

 王勇著『唐から見た遣唐使・混血児たちの大唐帝国』(講談社選書メチエ125)

 中国の古代日中交渉史研究者の著作ですが、全部日本語ですのでご安心を。
 この本、とにかくいろんな話を載せてるんですけど、僕はこの「翼」「翔」兄弟がとくに印象に残りましたねぇ。この二人の父親は羽栗吉麻呂という人。あの阿倍仲麻呂の従者として遣唐使に加わっていた人物です。この人が現地で唐の女性と結婚してもうけたのがこの「翼」「翔」だったわけですが、その名付け方自体に「翼をつけて翔んでいきたい」という望郷の念が込められていた、とも推測されてます。
 よく知られているように阿倍仲麻呂は唐朝廷につかえていたため帰国がなかなか許されませんでした。その従者資格である羽栗吉麻呂もつきあい上なかなか帰国できなかったのですが、結局仲麻呂より先に翼・翔の息子二人を連れて帰国してます。その後この日中ハーフの兄弟は当然バイリンガルということで重宝され、やがて遣唐使メンバーとなって今度は唐に「帰国」することになるわけです。

 阿倍仲麻呂は、藤原清河が大使を務め、吉備真備や鑑真も同行したので有名な遣唐使で帰国しようとして清河ともども失敗しちゃうわけですが、この二人を連れて帰るべく派遣された遣唐使(厳密には「遣唐使(朝貢使)」ではなく日本人を迎えにいく使節)に翔くんが参加しています。おりしも「安史の乱」の最中で彼らは渤海を経由し唐に行きますが目的は果たせず、翔だけが清河のもとに残ります。
 それから実に18年も経ってからようやく派遣された遣唐使に今度は兄の翼くんが参加(「くん」って年でもなくすでに老境に達してたはず)、長安にたどりついて兄弟の対面は実現したらしいですが(記録はないそうで)、連れて帰るはずの清河・仲麻呂はとうに故人。そこで、ということだったのか、清河と唐の女性との間に生まれた喜娘という日中ハーフ女性を伴って翼たちは帰国してます。なお、翔のほうは日本に帰国したかどうかは不明みたいです。

 帰国後の翼くんはあの桓武天皇にも重用され(最後まで引退を許されなかったほど)、長岡遷都、平安遷都ののち、798年に80歳の高齢で生涯を全うしたそうで。桓武天皇の側近で暗殺された藤原種継も母親が日中ハーフの子供(クォーター?)、桓武自身も(現天皇が「ゆかり」発言でひきあいにしたように)母親が百済王族系であったことを強く意識し百済系帰化人を重用した例もありまして、思った以上に国際色豊かな政権だったかも?僕などは読んでいて足利義満のブレーンたちを連想したりもしたものです。

 この本、ほかにも遣唐使がらみのあまり有名でない話をいろいろと挙げていて面白い。遣唐使メンバーには大柄でかっぷくのいい外見の人が選ばれたらしいとか、ほぼ毎回囲碁名人が載っていて、弁正という留学僧などは囲碁の腕で玄宗に気に入られ還俗してあちらに骨をうずめることになったとか、せっかく唐で名僧になったのに仏教弾圧で還俗を強制され、破戒僧の汚名を日本に伝えることになってしまった円載とか、興味の尽きない逸話が多いです。
 なんか映画「天平の甍」をまた見たくなってきましたが…DVDにはなってなかったかな?あれは。


>和風餃子さん
 いやぁ、仮に来日した胡錦濤さんに中国産餃子を出しても、ペロリと平らげて「安全宣言」されるのがオチですから(笑)。そういうの、日本の農水相とか厚労相の仕事の一つじゃありませんか(笑)。
 「餃子の皮」は紀元前までさかのぼることができるらしいですが…ただ、パンより古い、ってホントでしょうか?パンなら古代エジプトの紀元前3000年代ですでに発酵パンが存在していたと何かの本で読んだのですが。
 また「餃子」も定義が意外に難しいかと。現在の中国の主流である水餃子スタイルになったのがいつごろか、という問題もあるでしょうし。日本では焼き餃子が主流ですが、これは満州から日本に持ち帰られて戦後に広まったものだったりします。

>NFさん
 「1円玉を作るのに2円かかる」という話は僕も耳にしているんですが(やはりTV番組だったと思います)、出典が明らかでなかったので本文中に明記はしませんでした。
 それにしても史点アップ後、ドル安がビックリするほど進みましたねぇ…96円とか95円とか、えらく懐かしい数字です。



#8037 
NF 2008/03/18 02:27
尊氏と直義

昨日は少し語りすぎたようなので、今度は力を抜いて。
>尊氏と直義
お人よしでのんびり屋の兄貴とまじめで努力家の弟。結局は兄貴が美味しい所を持っていく形になったわけですが、そういえばもうすぐ高校野球の季節…。って別に足利兄弟は双子じゃないわけで。
 尊氏と直義がエロゲーやラブコメの主人公(なぜかモテモテなヘタレ男)と彼の面倒を見て支えるメインヒロイン(真面目な幼馴染など)みたい、などと友人と雑談で話していたりしました。してみると実際の歴史上では主人公は別のヒロインと三角関係になり修羅場に…ってところなんでしょうか。…ひょっとして僕は友人に変な南北朝イメージを吹き込んでしまったのかもしれません(汗)。



#8036 
和風餃子 2008/03/17 22:41
しってました?

小麦で作る主食、人類が食し始めたので一番ふるいのは
下の三つのうちでどれだと思いますか

パン(ピザやナンの生地も含めて)、麺類(めんるい)、餃子の皮

正解は意外なことに餃子の皮なんだそうです。

ところで中国産・農薬いり餃子もチベットの動乱で見事に迷宮入り
みたいですね、迷宮入りのお祝いに、今度、中国の国家主席さんが
来日されるそうですから、その晩餐には餃子を出されては
どうでしょう、食卓に餃子が並んでいるのをみて、たじろぐ中国主席に
福田総理は「ご心配なく、食材は、そちらが自信をもって農薬が入る
可能性は全くないと太鼓判を押された貴国・中華人民共和国産です。
安心してお召し上がりください」という





#8035 
tomohiro 2008/03/17 18:15
鹿男見ています。

鹿男みています。
なんともすっとぼけたキャラクターがイイですね。
児玉清氏の悪役嵌っていますよね。
所で、先日の右傾化の話題を論述していた、
某サイトのスレ主氏は、
「日本は幼稚だからすぐ右傾化に走る。」
で締めていました。



#8034 
NF 2008/03/17 00:40
史点感想

…最近、「史点」の時だけ冬眠から目覚める動物みたいになってきました(汗)。
>商標登録
「正成」は神戸の「小野楠」なる会社が登録していますね。「大楠公」「小楠公」「楠公」なんてのを入れだすと結構な数になるようです。「義貞」「武将義貞」が「菓子及びパン」で登録されていましたが、北畠父子はゼロ。南北朝以外でも、僕が勝手に心の師匠にしている「本居宣長」は「日本酒,洋酒,果実酒,薬味酒」で登録されていますが同じ大物国学者でも「平田篤胤」「賀茂真淵」は登録されていないようです。

>貨幣
「1円玉」制作費は2円、という話題を昔のクイズ番組本で見た覚えが。今はどうなんでしょうか。

>バルカン半島
「民族国家」独立を認めていくことが本当に事態解決につながるとはいえないみたいですけどねえ、これまでの経過を見ていると。現地の人間にハプスブルク帝国時代への郷愁を抱くものもいる、という話を時に聞きますがそれについての実感がそうさせたんでしょうね。幸い、わが国は今のところ他人事で済むようですが…。

>カストロ
山中でゲリラ戦、じわじわと味方をってあたりは正成というか護良親王を連想してしまうところですね。

>マルクスの恋人様
まあ、徴兵云々の議論それ自体は間違っていないと思うのですよ。人によっては左派だけじゃなくて徴兵したそうな右派の中のアホ議員さんを牽制する事も念頭に入れているらしいですから。その「大物政治家」が誰かは恥ずかしながら存じ上げないですが、ひょっとするとその発言に関しては迂闊だった可能性ありです。徴兵の有無が本質的な問題でないのなら尚更。僕自身は戦争は真っ平ごめんですが、他所がうかつに仕掛けられないなと思う程度には日本には防衛力・武力を持っていてほしいと思っています。武力を放棄して無抵抗で命を捨てられるほどの平和主義者には僕はどうもなれないようです。
 仰っている「戦争の不幸」とは戦時体制の事だと思いますが、日本は(幸いにして)一度しかそうした戦争を経験していませんからピンとこないのも無理ないのかも知れません。個人的には、戦時体制である意味物資欠乏より恐れているのが「ものが言えなくなる事」。ここにある程度出入りしている人間で一番右寄りなのは多分僕なんでしょうが、ネット上の発言がチェックされるとしょっ引かれる危険が高いのも僕な気がするので(苦笑)。あと、あの戦争における統制で一番問題だと思っているのが「女々しさ」の否定だと思っています。「源氏物語」なんかも否定的に見られたらしいですからね。本居宣長を愛国者として称揚したのに宣長の本質をまったく理解していない。物資欠乏は程度によっては我慢できなくもないですが、妄想し現実逃避しその内容を垂れ流す自由まで奪われ愚痴や泣き言も禁じられたんではどうもならんです。「健全」であり「模範的」であることを否定する気はないですが、どんな理想であれそれを他に強要するものは僕にとっては敵です。今の日本の強みは娯楽文化力だと思いますから、原因が戦時体制であれ他のものであれそうした自由が取り締まられるようになればそれは日本の自殺だと思います。…すみません、話がそれましたね。
 最近思うのですが徴兵を不幸と思えるのって、実は現状がかなり幸福だということを意味しているのではないかと。徴兵に関していえば、少なくとも昔においては兵隊時代の方が故郷よりマシ、なんて例があったそうで。東北の兵が強かった、というのも故郷にいても地主にいびられ絞られ貧乏暮らしだから、上官によるいびりも同じことだし(戦争末以外の)食事は故郷よりよかったというのもあったようで。逆に大阪の兵が弱かったのはもともと物質的に恵まれていたからだとか。第一次大戦後においても一般社会で反戦の風潮が強かったのに反して、元兵士たちは戦場生活の方が物質的に恵まれており刺激や戦友との絆があったといって戦争を懐かしみファシズムの温床になっていったそうです。…仰るように前線より銃後の方が不幸だったということですかね。しかし、兵士として戦争してた時代の方がよかったというのは決して戦争がすばらしいのでなくそれ以前の生活がそれだけ惨めだったという事だから忌むべき事なんですけどね。
>「空襲されたから負けた」という虚偽のイメージ
まあ、実際、ウチの場合は空襲されるようになった時点ですでに負けてましたからね。あと、自然災害で都市が崩壊する事が結構多いお国柄で何をいまさら、という気もします。ただ、これに関しては現実逃避というより外国勢力により直接攻撃を受けた経験がほとんどないためそれだけ衝撃が大きかったということかな、と単純に考えてます。九州あたりでは元寇のトラウマから「何やら恐ろしげなもの」を「ムクリコクリ(蒙古高句麗)」といっていたらしいですがそれと同じでないかと。
>反戦がテーマなら、スペクタクルは必要ありません。重苦しい不便な日常こそが、戦争なのですから。
これは仰る通りでしょうね。徴兵もそして戦闘すらも、人によってはそれ自体は不幸とは限らなかったようですし。エルンスト・ユンガーなどは過酷で悲惨な前線の戦闘描写を用いて、戦争賛美をしていたくらいですから。ちなみにユンガーはナチス時代には反ナチ傾向だったそうですが、これも全体主義による「重苦しい不便な日常」が理由だったのかもしれません。ただ、「重苦しい不便な日常」をもたらすのが戦争だけとは限らないのが頭の痛いところです。共産主義国家もその最たる例でした(これに関しては「マルクスは所謂『マルクス主義者』ではない」ということでよいのでしょうか?)し、時には「人権擁護」の名目で「ものが自由に言えなくなる」状況すら生まれうるという皮肉な可能性もあるようで。そういや、これらも「理想像の押し付け」ですな。
全体結論として、総力戦をするためには国内の価値観を無理やり一本化する必要が生じますが、戦争における最大の不幸はそれ、という事になりそうですね。
追伸。…書いてて気づきましたが、してみると前近代の戦争はそれほど不幸ではない、という可能性も。うーむ。



#8033 
徹夜城(最近なぜかアニメ「名探偵ホームズ」にハマってる管理人) 2008/03/16 23:52
予感?

 自分に予知能力があるとはまさか思いませんが、3月12日に市内の図書館に出かけて7冊借りてきた本の中に「チベットを知るための50章」(明石書店)がありました。そしたら直後にこれですから…ま、あとから思い返すと直前にインド国内でチベット人たちのデモ隊で逮捕者が出たというニュースもあったはずですから、それが無意識のうちに頭に入っていてその本をてにとったのかも。
 アメリカ政府としては間の悪いことに、「独裁政権下で人権侵害が行われている国」2007年版報告書から中国を外した直後でした(苦笑)。なお、ほかはミャンマー、イラン、シリア、ジンバブエ、キューバ、ベラルーシ、エリトリア、スーダン、ウズベキスタンだそうであります。そんなのアメリカ政府が勝手に決めてる、ってのを改めて見せつけられた格好になっちゃってたりして。
 チベットの今度の件は先日のミャンマーの事態にどうもかぶってしまうんですよねぇ。ともあれ、次回史点ネタは不幸にも確定してしまいました。


>小覇王さん
 そうですねぇ。フィデルとラウルは兄弟天下取りの一例なのかもしれません。確かに日本史なら秀吉に対する秀長の位置づけに近いでしょうか。秀長も兄より生きていれば豊臣政権の先行きももそっと違ったのでは、という声はありますね。
 尊氏と直義の場合は「八方美人のお人好しで決断力のない兄貴を、冷静沈着で冷徹で決断力のある弟が叱咤して天下をとらせた」とまとめられるでしょうか。でもこういうタイプの弟はやっぱりトップには立てないようですね。また、そこにこの兄弟の悲劇もあったということも言えるでしょう。


>マルクスの恋人さん
 日テレの東京大空襲ドラマは明日からでしたか。どのみちあまり見る気はしてないのですが(「家康と三人の女」なんかも結局スルーしたしなぁ)、戦争のハデな一面のみではありまるが「戦争の恐怖」を直接的に、それを知らない世代に興味を持たせるということでは意味はあるでしょうね。
 戦争をしている社会の本当の重苦しさ、というのはなかなかドラマとしては描きにくい…ということもあるでしょう。またアメリカみたいな国だと10年にいっぺんは戦争やってても自国内はほぼ無傷で物資欠乏もないわけで、日中〜太平洋戦争中の日本とは空気がかなり違うでしょうし。戦中の日本の雑誌で日本兵とアメリカ兵の食事の写真を並べて「こんな贅沢なものを食べているヤンキーどもが日本兵に勝てる道理がありますまい」とか書いてあったのをふと思い出しました。

 アニメ「火垂るの墓」ですが、ちょうどいま読んでいた辻真先氏の新著「ぼくたちのアニメ史」でこの作品に触れ、「空襲のリアルさ」を褒めてました(むろんそこだけでなく作品全体を高評価してますが)。辻さん、戦中に工場に動員されていたのでご経験が何度かおありだそうで。高畑勲監督に会う機会を得た時に「空襲の経験がおありなんですか」と聞いたら「ないです」との返答だったそうです。また、この本に出ている話ではありませんが、公開当時高畑監督は主人公の少年を戦中当時の少年としてよりも戦後の現代の少年に近い感覚で演出したという趣旨の話をされていた覚えがあります。

 ジャッキーのお父上、亡くなられていたんですが…ファンなのに不覚にも多忙のうちで気付かなかった。この方の波乱の人生はジャッキーも90年代になってから知らされたとかで、大陸に異母兄が二人いることもわかってドキュメンタリー映画にもなったはず(未見ですが)。


>景虎さん
 ご紹介の記事見ました。まぁネットアンケートってのがちとひっかりますが…どうしてもこの手のネットアンケートだと過激な意見が集まりやすいという傾向もありますので。ただ3年ぐらい前からですか、ネット上で中・韓の歴史・文化紛争が継続的にあったからそういう声が出てくること自体は予想できます。また、韓国人の文化意識にどうしても歪んだ大国意識(コンプレックスの裏返し)がしばしば発露されるのはよく言われるところです。
 僕も韓国歴史ドラマ見てますが、節々で対中描写に敵意が感じられましたからねぇ(「朱蒙」とか特に)。ただ同様の意識はベトナムやモンゴル、日本など「影響を受けるお隣」はひとしく持つのは無理もないわけで、韓国の場合、近代における歴史事情もあってそれを露骨に出しちゃうところがある、というところでしょうか。
 ただ…その記事でいくつかそのアンケートの投稿が引用されてましたが、そのうち一つに関してはどうも日本人が書いてる匂いが僕にはどうしてもしちゃったのですけどねぇ…また、よく最近マスコミがネット上で記事を書くのに都合がいい目立つネタを探してきて煽るのを見かけますが、正直あまり感心しません。
 ま、「歴史上隣国同士仲が良かったためしはない」と恩師も明言しておりましたし、人間関係でも似たようなことはありますね。結局は人間同士直接会って体をぶつけてつきあわんと…

 話が飛ぶようですが、図書館から借りてきて読んでる「唐から見た遣唐使・混血児たちの東アジア」って本がめっぽう面白い。つくづく自分はこういう国際ごちゃごちゃ歴史ネタが大好きなんだな、と再確認してるところです。



#8032 
景虎 2008/03/16 09:32
好き?嫌い?

ここ
http://diamond.jp/series/chinabiz/10009/
によると、中国の20の隣国の内、最も好きな国第三位は日本、嫌いな国第一位は韓国、第二位は日本だとか。

韓国が嫌いな理由が、日本の掲示板の書き込みと殆ど同じなので、途中から日本人が書いたかのような錯覚に陥りました。ネットが普及すると、考え方が似てくるのかもしれませんね。

>マルクスの恋人さん
>戦争状態というのは日常なのであって、重苦しい日々が延々続くのです
そう考えてみると、リストラされたり、引きこもりになったりして「もう死にたい」、「明日世界が滅びればいいのに」とか考えている人達にとっては、今が戦争状態のようなものなのかも?しれませんね。

>第一、主要都市を大規模に空襲されたって、イギリスやソ連や中国は巻き返して立
>派な戦勝国になっているじゃありませんか。
結局の所、第二次世界大戦の真の勝者は、アメリカ一国のみなのでは?という気がします。その他の戦勝国は、アメリカ側に付いていたから戦勝国になれたのであって、アメリカが参戦した時点で勝敗は決まったも同然だったのではないかと思います。

ただし、中国は数世紀に亘って、それも何度も異民族に支配されながら最後には国を取り戻しています。そういう事を考慮すると、アメリカ参戦がなくても、最終的には日本を叩き出す可能性が高そうですが。



#8031 
マルクスの恋人 2008/03/15 07:24
訂正

なお、「大空襲ドラマ」というのは日本テレビが来週放送するというスペシャル番組の話です。
微妙に話がずれましたね。すいません。



#8030 
マルクスの恋人 2008/03/15 06:39
風の輝く朝に(香港映画の題です)

しばらく家を空けておりまして、ジャッキー・チェンの父が香港で死去、孫のジェイシーと息子の嫁は間に合ったが
ジャッキーは新作撮影中で吉林省にいて死に目に会えず、という報を私は帰宅するまで知りませんでした。
このジャッキーパパ、かつて国民党の特務機関に所属し、国共内戦後香港に脱出して米国領事館のコックをしていたとか
それだけでアクション映画の題材にできそうな人物(セガール?)だそうで、俳優ではないので出演作の追悼放送も(少なくとも日本では)なく
自分の訪港時に見た香港歴史博物館の展示物を思い出しながら、一人で感慨にふけっておりました。

さて、大空襲ドラマの製作についてですが、私としては素直に喜べません。
徹夜城殿には以前直接お会いしたときに話しましたが、戦争というのは空襲されなくとも徴兵されなくとも充分不幸なのです。
戦争せい戦争せいとキーキー喚く平和ボケの重症患者は、徴兵制を大物政治家が口にするとそんなものハイテク時代にありえないとばかり
「自分は安全だ」という妄想の補強に勤しみますが、前の大戦中だって、最末期ですら国民の1割ちょいしか徴兵されていません。
なお、空襲ですが、被災者は多そうで、よく考えるとあの時代は農村部が過疎どころか人口過剰で困っていた時代ですから
やはり比率にしたら少なそう。少なくとも、私が面識のあった老齢者たちに被災経験者はいません。

戦争における最大の、そして誰にでも降り掛かった不幸とは、物資の欠乏でした。
昭和14年頃でさえ物不足は顕在化していたのです。当時の標語や雑誌記事、物価変動や国家予算の配分といった資料にあたると
「戦争」といったときに真っ先に空襲や徴兵や砲煙弾雨を想起する、というのがどれほどひどい平和ボケかを痛感します。
一昔前の連続ドラマ(特に朝ドラ)では、だんだん生活物資が欠乏して、警官や憲兵が横柄に日常に口をはさんでくるようになり、
男は一人また一人と出征し、忘れられたような頃に戦死が知らされ、町内会の面々が戦時国債を押し付け合うという展開が定番だったと記憶しています。
戦争状態というのは日常なのであって、重苦しい日々が延々続くのです。空襲など数時間で終わってしまうじゃありませんか。
第一、主要都市を大規模に空襲されたって、イギリスやソ連や中国は巻き返して立派な戦勝国になっているじゃありませんか。
「空襲されたから負けた」という虚偽のイメージは、中国に負けた(泥沼戦線の膨大な負担で経済が破綻した)ことをどうしても認めたくない現実逃避でしょう。
もちろん、実際の空襲犠牲者への哀悼の意はいささかも揺るがせてはなりません。

そういえば、「火垂るの墓」は空襲はメインではなく、その後の欠乏下の日常を焦点にした作品でした。
反戦がテーマなら、スペクタクルは必要ありません。重苦しい不便な日常こそが、戦争なのですから。



#8029 
小覇王 2008/03/14 17:13
兄弟仁義

>徹夜城さん
>当時の前線の兵士に写真を見せて反省を迫って詰め寄るような感じ
 詰め寄るというほどの感じではありませんでしたが(勿論、編集されているでしょうが)ほとんどの兵士が「犠牲者には申し訳ないがこっちも命令だったんだ」というようなことを言っていました。そりゃそういうしかないよな、と思います。

>史点
>カストロ兄弟
 ラウルさんの場合は、ずっと一緒にやってきたことや実績などから世襲だ、という批判はそれほど出てはいないようですね。問題はラウルさんの後どうするかということが重要なようです。
 正しいたとえかどうかは分かりませんが、秀吉と秀長の兄弟のような印象を受けます。尊氏と直義というとちょっと違うか。後は北宋の太祖と太宗とか。兄弟で天下を取った人は結構いますね。



#8028 
徹夜城(一か月ぶりで史点を更新した管理人) 2008/03/14 13:15
フランスの第一次大戦兵士も死去

 史点、更新しました。最近のリストを見るとほとんど一か月ごとの更新になっちゃってますね。本来「週刊」のはずなのに…(^^;)
 ところで次回の史点記事にしてもいいと思うんですが、とりあえずこちらにも史点ネタの続報として。

第一次世界大戦に従軍した最後の仏兵士が死去、110歳
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200803130029.html

 ドイツ軍の「全滅」にかろうじて間に合ってるあたりがフランスらしい(笑)。こちらは国葬にするそうですぜ。


>小覇王さん
 番組のほうは見てなかったんで、実際どんな調子でやったのかはわかりません。でも確かに当時の前線の兵士に写真を見せて反省を迫って詰め寄るような感じになっていたとしたら問題だと思います。昨年亡くなったエノラ・ゲイ機長についても広島では反省・謝罪を求める声が最後まであったようですし、被害者側の心理はそういうことになりがちなのかもしれませんが…
 わざわざ劇場まで見に行く気も起きないのですが、関連するテーマとしては現在公開中の映画「明日への遺言」もありますね。「無差別爆撃」をしたアメリカ人捕虜を処刑した軍人が戦犯として裁かれ、無差別攻撃の批判をしつつ自ら責任をとり刑死という話であるわけですが、僕としてもその捕虜本人に責任がどれほどあるのか、かなりひっかかりを感じます。映画ではどう処理したのか興味だけはあるんですけどね。でも昨日行ったシネコンでは「チーム・バチスタの栄光」を選んじゃったしなぁ(笑)。


>尾鳩さん
 そうですね、過去の歴史に学ぶことは多々あるけど、現代人の立場と価値観のみに基づいてそれを軽々しく批判する、責めることは僕も無益なことだと思ってます。
 一方で「責める」のの逆で、過去の歴史をひんまげてまでむやみに高評価し、その「栄光」を現代に反映させようとする動きも後を絶たないわけでして。


>mozawaさん
 TVドラマは歴史ものでもない限りほとんど見ないもんで…そうですか、児玉さんがあの時の名演を彷彿とさせる演技を。この方、日頃は冷静・温和な役どころが多いだけにそうした場面がひときわ印象に残るんですよね。「太平記」の鎌倉幕府首脳陣の配役・演技の重厚ぶりは大河ドラマの歴史を見渡してもなかなか見られないように思います。



#8027 
mozawa 2008/03/14 09:55
太平記以来の取り乱す児玉清

何のことかといいますと。。
放映中のドラマ「鹿男あをによし」のことでして。
この中の児玉清さんが、珍しく悪役で、悪事がばれて悪あがきするシーンがあったりします。
 その姿を見ると、「太平記」で強風に煽られる地図と格闘する貞顕@児玉氏を思い出すのです。
 すみません、それだけです。

 ちなみに「鹿男」は、邪馬台国機内説が中心の歴史ネタドラマであります。ごらんになってる方いらっしゃいますか?



#8026 
尾鳩 2008/03/13 00:39
歴史と現代の狭間にあって

>東京大空襲当事者へのインタビュー
あれは、確かに酷な部分はありますよね。命令に従って、やっただけですからね。
その命令を個々人の判断で応じないという勇気が必要、という人もいます。でも、それは現実を知らない言い方かもしれませんね。


当然ですが、僕は、歴史は学ぶべき対象がたくさんあるとおもっています。
過去の成功例、失敗例を活用して、現在を見つめ直し、未来へと続かせる作業はとても価値のあるものであると思います。

しかし、過去は責めるべき対象ではないと思っています。
過去より未来にある現代が、過去の事跡を責める権利を得たと勘違いするのは、いろんな意味で危険であると思いますし、また未来への可能性を閉ざしてしまう可能性が高いと思っています。

過去は学ぶべき対象ですが、責めるべき対象ではありません。往々にして、過去を責める対象にしている方たちというのは、現代の自身の不満を過去に投影していることが多いことを知るべきでしょう。過去の方たちの苦しみを、あたかも自身の苦しみと勘違いしている人間の何と多いことでしょう。

現代の課題に真正面から立ち向かっている人間、こういう人間こそが、歴史上の人間が向き合ってきた課題の厳しさの意味を理解できるのではないでしょうか。彼らにとって、歴史上の人間は学ぶ対象であっても、批判すべき対象ではありえないのです。

http://www.globalgoodnews.tv/



#8025 
小覇王 2008/03/11 03:28
東京大空襲

 昨日は東京大空襲のあった日だったそうで。夜の番組でやっていました。最初から観たわけでもなければ、最後まで見たわけでもないので偉そうなことはいえないのですが、まあ、東京大空襲そのものの是非を問われれば非としかいえないのですが。疑問に思ったのは空襲によって、亡くなった方々の遺体写真などを当時の爆撃機乗りたちに見せて、感想を聞くというやり方。彼らは当時20代半ばぐらいで、一兵卒に過ぎません。戦争中だったのですし、命令に従っただけです。それをいまさら反省を求めるかのように写真を突きつけ感想を求めるやり方は正直感心しません。どうせやるなら作戦を考えたルメイ将軍に聞くとか(物理的に無理ですが)もっと上層部の人たちに聞けばいいのに(まあ、だいぶ亡くなってはいるんでしょうが)ただ命令に従った兵士たちにいまさら感想を求めるのは酷というものです。
 はっきり言って後味が悪かったです。



#8024 
徹夜城(ヒマができると映画をみちゃう管理人) 2008/03/09 22:55
「長州ファイブ」

 去年公開され、見に行こうと思っているうちにすっかり忘れ、今頃レンタルしてきました。幕末の長州藩からひそかにイギリスに留学した五人の若者たちを描いた映画です。
 この五人のうち伊藤博文、井上馨はそれぞれ総理大臣・外務大臣にもなった大物ですからよく知られてますし、彼ら二人を中心にこの逸話が映像化された例は過去にも多いです。僕が見たものでは大河ドラマ「花神」と日テレ年末時代劇「奇兵隊」があります。
 しかしこの二人はロンドンについて半年もたたないうちに馬関戦争の情報を新聞で知り、大急ぎで帰国してます。伊藤博文は有名な講和交渉で高杉晋作の通訳をつとめ、井上馨は過激攘夷派に襲撃されて死にかけ、たまたま通りすがりの医術の心得のある志士の治療で九死に一生を得るというそれぞれドラマチックな展開になるわけですが、留学生のうち残り三人のその後というのは、僕もこれまで深く考えてなかった。この映画は後半になるとむしろ伊藤・井上以外の三人がドラマの中心になります。主役の松田龍平が演じているのはそのうちの一人・山尾庸三です。

 一見地味な素材ですが、それだけにうまくまとめちゃったなぁ、と思いつつ見てました。もっとも残留組三人についてはロンドン在留時の逸話がどれほどあったか怪しく、三人それぞれが後に大阪造幣局と桜並木の発案者、日本鉄道の父、東京工大と聾唖学校の設立者になることから、その伏線をドラマ中に張り巡らしています。主人公の庸三が聾唖者のスコットランド娘と恋に落ちる展開なんかはどーもそんな気配が強いわけで。
 映画の冒頭では生麦事件や、高杉らによる英国公使館焼打ち事件など「攘夷」が描かれますが、実際に当時のロンドンを目撃して「なんだかバカらしゅうなった」と井上が自嘲気味に爆笑するシーンは実感がこもってましたねぇ。いえね、僕だってロンドンに一週間ほどいたわけですが、ある程度、かる〜くシンクロする感情がありましたよ。ましてあの当時のことですから…

 ロンドンのパブで飲んでいるといきなり日本語が聞こえてきてビックリ、なんと薩摩藩の留学生がこっそり来ていたのに出くわす、というシーンがあるんです。いや〜これもちょっと覚えがある感覚ですよ。21世紀の今だってロンドン歩いてると「極東の少数民族」な気分になってきますから(笑)。東アジア系の顔見ただけで懐かしくなりましたし、日本語が聞こえてきた日にゃ。これが当時の彼らだったらなおさらビックリだったでしょう。

 映画は当時最強国にして最先端の「近代文明」を誇っていたイギリスが極東の留学生たちにいかにショックを与えたかをよく描いてますが、同時に凄まじい貧富の差がある社会であることも知っていく…という展開になってます。伊藤がロンドンの裏町でさっそく娼婦を買ってしまう場面もありましたが、その方面では有名だった人だけに、そういう史実もあるんじゃないかなぁ、と。
 当然ながらイギリスでのロケシーンが多く、おそらくあちらのヴィクトリア朝ものを撮影する市街セットを使ったものと思われます。あのグレナダTVの「ホームズ」だって町並みはセットだったそうですし。「オリバー・ツイスト」だとか、ヴィクトリア朝時代を撮る機会は事欠かないので常設セットがあるような気がします。僕の近所でいえば「ワープステーション江戸」かな(笑)。
 当時の鉄道と蒸気機関車もバシバシ出てきますが、これも先日関口知宏のヨーロッパ鉄道旅行でこれと思しき保存鉄道施設が出てきたので、あそこで撮ってるんじゃないかなぁ。
 鉄道といえば2005年日本公開の映画「ルパン」でも蒸気機関車を使ったアクションシーンが出てきまして、あれなどは保存車両とはいえ線路は通常運行の鉄道と兼用で、撮影はダイヤの合間を縫って行われたそうです。日本で言うと大井川鉄道が定番ですね。


>尾鳩さん
「空気」って言葉がそもそも実に日本的なんですよね〜。以心伝心といいますか。ムラ社会的共有意識といいますか。その調子で外国やそこの人々に向き合ってる感じを覚える時がなくもないです。僕だって人の事は言えんだろうけど。
ただ尾鳩さんの「右」云々の話は対外関係の話が中心だと思うんですが、僕の懸念するパターンはおもに国内的に「なんとなく〜の空気」が醸成される場合でして。

>ヨハネスさん
 ご指摘の通り、ドイツの話にしても日本の話にしても、当時と今とでは経済状況も政治状況も大きく違うので、仮に「右傾化」するとしても単純に同じパターンはとらないでしょうね。軍部の例ひとつとっても今対外的にどうこうするというのは現実的にはありえない。
 ただ上記のようにある状況が生まれると国内的に変なムードができる、ということはありえるんで用心はしたいな、とは思うんです。小泉フィーバーだって外から見りゃ多分にその空気がありましたから。婦人参政権のことをお書きでしたが、戦前の例でも市井の女性たちが率先してそういうムード作りを推進したことはありますし(ドイツでもあったはず)僕が見物してる例の極右団体でも実は狂信的に行動するのは女性のほう、ということもあるのです。



#8023 
ヨハネス 2008/03/09 15:23
過剰に考えすぎでは

>右傾化
強引に現代を戦前の日本やナチスドイツと結びつけるのは過剰反応ではないでしょうか。
戦前とは社会情勢や経済力などが違うので安易な結びつけは出来ないと思います。
それに現在の日本は戦前と違い婦人参政権もあります。

数年前に映画で「鋼の錬金術師・シャンバラを征く者」というアニメがあり、
それで第一次大戦後五年目に起きたミュンヘン一揆を扱っていました。
それを見ると分かりますが、当時のドイツ(ワイマール共和国)はハイパーインフレや
戦争の後遺症や失業やロマ(ジプシー)への差別などいろいろな面で貧しい歪んだ社会
なのだと分かります。
そういった社会の歪みからナチスが台頭するという内容でした。



#8022 
尾鳩 2008/03/09 03:04
訂正です^^;

>金現代史
近現代史の間違いです。ソフト変換のミスのせいで、僕のせいではありません。



#8021 
尾鳩 2008/03/09 03:01
空気だけ読んでてもしようがない

真夜中、企画書作成にふっと疲れたときに、ついついくぐってしまう暖簾、表には「史劇的」の文字。・・・相変わらず、訪れるタイミングは変わってないですね。

>右傾化
昭和初期か、確かに似てるかもね。
例のGGNブログにも書いたんですが、「KY」ということを異常に気にする最近、責任所在がはっきりとしなくなりだした世の中、似ていなくもないですね。

日本人って、空気読むのは得意ですけど、空気を作ったり、或いはもっと実態のある社会趨勢を作り出すのは、どうも苦手なような気がします。「あのときの国際情勢はこうだった」とか「国際常識はこうだった」とか、こういうことを言う論客の方、多いですよね。歴史の一員に入っているのか、入っていないのか、それすらもよく認識できないような物言い。最初から、傍観者を決め込んでいるような・・・。

「欧州は奇奇怪怪」「バスに乗り遅れるな」これは、官民ともに責任所在が不在であったことを示すような言葉。「空気」という曖昧な雰囲気を相手にするのと、自身も重要な一員である実態社会を相手にするのとは、そもそも異なることは、一目瞭然のはずにもかかわらず。

KYがどうのこうのというのは、一億総評論家になったことの証なんでしょうかね。起業家として、細々としのいでいる自分としては、行動に責任が伴ったコミュニティの創出、そして成功者ではなく、成功に挑戦し続ける態度が評価される社会の現出に、どうしても期待を寄せてしまいます。

>管理人様
ご無沙汰です。
お暇が出来たのですか。では、BBQは大丈夫?私的な連絡で申し訳ないのですが、お会いできる機会はそれくらいしかないもので、出来れば是非^^。

>消された日本国王
小島毅さんの「足利義満 消された日本国王」読破しました。
趣旨は面白いのですが、脱線が多すぎて、正直読みづらかったです。また、個人的な金現代史史観が入りすぎで、これはどうかなあと思うことしきり。少し、ご自身に酔いしれているのかと、時々いらっとくることも^^;。
折角の視点が、そのために台無しになった観が強いのが、残念です。
新書をなめちゃいけません。

ただ、視点は面白いので、読んでみて損はございません。まあとりあえずはフォロー。



#8020 
徹夜城(ようやくヒマになってきた管理人) 2008/03/07 13:05
市川崑「東京オリンピック」

管理人みずからしばしご無沙汰いたしました。一応受験産業のクライマックスもすぎまして、暇になりました。で、まずやったのはルパンコーナーの「虎の牙」だったりするわけですが(笑)。「史点」等はぼちぼちと書きますんで。

ところでヒマになってから市川崑監督追悼ということでリメイク版「犬神家の一族」と「東京オリンピック」をレンタルして鑑賞しました。とくに「東京オリンピック」は伝説の一作となっているだけになるほど名作だなと思った次第です。ドキュメンタリー映画自体あまり見る機会がないので面白く見ました。

1964年…40年以上前の話ですよ。今となってはこれ自体が「歴史映画」になっております。実際見終えて「歴史映像名画座」入りを決断しましたし(笑)。
冒頭、いきなり映るのは古いビルの破壊。オリンピックに向けて東京が変わっていくことをまず象徴的に見せるわけです。マラソンなど屋外競技で映る東京および郊外の風景の、今から見ればなんとものどかなこと。観客の様子を入念に写したのもこの映画の特徴ですが、服装がレトロで貧乏くさいなのは当たり前として、どうも日本人じたいの顔つきが変わってしまったのではないか、そんな気すらしたものです。よりアジア的…という表現が妥当なのかわかりませんが、僕には外国人を見ているような気すらしたものです。ああ、あと当時は外国人が日本にいること自体が珍しかった、という雰囲気も伝わってきますね。

 観客席に王と長嶋がいるシーンも一瞬あります。また有名な女子バレーボールの決勝では客席に現皇后が来てる。当然開会宣言は昭和天皇の口から発せられましたし(あの独特の抑揚を久々に聞いたなぁ)、男子マラソンの国立競技場には現天皇・皇后と一緒に幼い浩宮が来ていて双眼鏡を覗いてます。
 男子マラソンといえば優勝はエチオピアのアベベ。やはりこの映画でもかなり時間を割いて描かれます。まだ「皇帝」がいた時代のエチオピアだったはず。銅メダルをとった円谷幸吉も時間を割いて収録されてますが、この数年後に悲劇的な最期を遂げることを知っているとその懸命の走りにも哀しいものを覚えます。アベベもこのあと不幸でしたしねぇ…。

 中国・北朝鮮は出ておらず、台湾・韓国が出場。当時台湾は「中華民国」での参加を望んでIOCに突っぱねられて「TAIWAN」としか表記されなかった時期ですが、入場行進では「TAIWAN」の下に“日本語”で「中華民国」と表記されていたのは日本側の配慮なんでしょうな。民進党が政権をとる現在でとはアベコベな状況です。
 調べてみたら北朝鮮とインドネシアは当初参加予定で代表団は日本まで来ていたそうですが直前でキャンセルに。どうも中国不参加問題がからんでいたらしいです。なお、「ヴェトナム」も入場行進にラストの日本の前に姿を見せますがこれは「南ベトナム」です。

 東西ドイツはこのとき統一チームだったんですねぇ。入場行進も合同でドイツの三色旗に五輪を描いた統一旗が掲げられてました。金メダルをとると流れる「国歌」はベートーベン「第九」の「歓喜の歌」。そういやこれ、EUの「国歌」にするとの話もあったような。
 …とまぁ、なんだかんだで「歴史映画」になってました。調べてみたらこの期間中に世界はフルシチョフ解任とか中国初核実験とかで大騒ぎだったそうで。
 石森章太郎「サイボーグ009」冒頭で中国人006が誘拐される場面で「核実験大成功!」という見出しの新聞が舞う場面がありますが、その直後の連載開始だったということですね。009が開通間もない東海道新幹線と競争したうえ「一度あれに乗りたいな」とその屋根に「ただ乗り」するシーンもあったっけ。考えてみりゃこの漫画、そのあとベトナム戦争にも「参戦」しちゃうし、1960年代をリアルタイムで描いたSFだったのでありますね。


>右傾化
 一週間も間が空いてしまいましたが、小覇王さん、尾鳩さんがお書きになっているのと僕もさして変わらぬ感覚なのでとくに付け加えないでいました。
 用心はする、だけど心配するほど社会現象化はしてないよ、というあたりでしょうか。確かに近年目立つ動きもありましたが「つくる会」の凄まじい内ゲバを見物していた僕としてはかつての極左革命運動よりみみっちい終わり方をしたと思ってます。
 まぁ用心の仕方としてはナチス台頭期のドイツよりも昭和ヒトケタごろの日本を参考にしたほうがよいかと。日本の場合ハデな動きではなく「なんとなく」「空気」で流されるようにヘンな方向にいくことはありうるかもしれないなぁ、と。



#8019 
尾鳩 2008/02/29 00:18
こんな話になると出てきてしまうのもなあ・・・

>右傾化

ご無沙汰です。
この話題だと、すぐ出てくるという印象がつくのが少し怖かったりもしますが。ロムすることすら、最近少ない私ですが、たまたま今日久々にここを訪問したら、この話題だったので。いや本当に^^;。

右傾化という言葉、確かによく耳にしますが、やはりそんなことは無いのではと思いますよ。「右傾化」という言い方が、そもそもおかしい^^;。単純な言い方をすれば、これまで以上に、外国のこと、特に中国やら北朝鮮のことが気になりだした、ということではないでしょうか。

一回、ある新聞記者の方から、日本にとっての右左って、どこが基準なんでしょうか、って聞かれたことがあります。例えば彼にとっての右の基準は、米国であり、右ならばむしろ反米であるべきでは、というわけです。私にとっての基準は明快。米国ではなく、むしろ中国、そして北朝鮮。反中が右、親中が左。なんかそんな感じになってませんか?

右傾化とかいうことについては、私はあまり心配していません。むしろ、マスコミの報道傾向のほうに、憂いを感じています。まあ、情報と向き合う現代人ならば当然ですが、特にマスコミ報道は、まずニ三歩引いて向き合うべきでしょう。自ら情報と向き合いはじめて気付くことが多いはずですよ。多くの懸念は、実はマスコミにより構築された懸念であることに。恐れるべきは、むしろそれが実体化してしまう可能性があることでしょう。

何が真実かと問われるなら、一つだけ言えるのは、マスコミはでっちあげる、ということでしょうか。誤解を承知で物申しますが、マスコミはわかっていて、でっちあげていますから。

ところで、告知するのを忘れていました。
ずっと前から、ある人と一緒にサイトを運営しています。
興味がございましたら、訪問してみて下さい。

グローバルグッドニュース
http://www.globalgoodnews.tv/




#8018 
小覇王 2008/02/28 01:15
心配無用です。

>tomohiroさん
>1930年代の獨逸と同じ破滅の道を歩んでいる
 さすがにそれはないと思います。別に憲法改正や、教育基本法改正等について無条件に賛成するつもりはありませんが、このての人たちの、「いつか来た道」「軍靴の音が聞こえる」的な発想は荒唐無稽に思えます(右も左も)。少し冷静に考えれば、徴兵制などは不可能でであることが分かるでしょうし、何よりすぐに戦前のように戻る、などというのはそれこそ国民を馬鹿にしているように思います。戦後60年、曲がりなりにも築き上げてきた民主主義社会を信用していないのではと思ってしまいます。
 確かにナチス・ドイツは民主主義の中から誕生しました。人間は状況に流されやすい生き物です。ですが今の日本社会は過去から学んでいます。
 マスコミが右傾化しているのかどうかはいまいちピンときませんが、言論の自由が保障されているからいろんな意見が聞けるのです。
 心配する必要はありません。

 上記の分はかなり偏って書いています。勿論、我々がこの社会を時には批判し、見守っていかなければいけないでしょう。ただ無条件に安堵すればいいというわけではないです。




#8017 
tomohiro 2008/02/27 19:48
日本の右傾化について。

某所で見聞したのですが、こういう事が
カキコされていました。
"日本のマスコミの、最近の右傾化、保守化には驚かされます。

保守的もしくは国粋的な論客ばかりが、もてはやされています。印刷されない媒体であるメルマガでは、さらに論調が尖鋭で、眉をひそめることがあります。一部には排外主義的な論調も見えます。 "
というカキコにある人は、まるで今の日本は戦前と変わらず、
1930年代の獨逸と同じ破滅の道を歩んでいると言っておりました。
私は是を聞いて夜も眠れません。
恐ろしい方向に進んでいるのか。
少し心配です。




#8016 
徹夜城(多忙な日々もあと少しの管理人) 2008/02/25 21:51
エリザベス黄金時代

 受験シーズンもたけなわということで間が空いてしまいました。

>エリザベス・ゴールデンエイジ
 先週の木曜の話なんですが、映画館で見てまいりました。
 1998年公開の「エリザベス」の、まさに正統の続編。主演のケイト=ブランシェットとウォルシンガム役のジェフリー=ラッシュはそのままに、インド人監督シェカール=カプールも引き続きメガホンをとって10年目にして完成した、異例の続編です。
 前作ではエリザベスが権力を掌握するまでの展開を「ゴッドファーザー」風味に仕立てておりましたが、今回は「黄金時代」ということでスペイン無敵艦隊を撃破する絶頂期が描かれます。そこに「海の男」ウォルター=ローリー(アーサー王も演じたクライブ=オーウェン)と可愛がっている侍女ベスと織りなす「三角関係」をからめ、うまいことまとめたもんだと思います。 
 「偉大なる女王様」と「一女性」との間で揺れるエリザベスを、ケイト=ブランシェットがまさになりきりの演技をしております。先ごろ製作されたイギリスのTVドラマ版のヘレン=ミレンの「エリザベス1世」第1部と描く時代がほぼ重なるため、比較してみるとなかなか面白いところです。メアリー・スチュアートの処刑のくだりは映画もドラマもほとんどおんなじでした。

 クライマックスは当然アルマダの海戦であるわけですが、CG時代の恩恵も受けて盛大に再現しておりました。過去の映画では言うに及ばず、最新のヘレン=ミレン版でも戦場を遠くに眺める描写が精一杯でしたが、本作ではさすがに力が入ったものになってます。もっとも三国志の「赤壁の戦い」みたいになっちゃってましたが(笑)。
 無敵艦隊関連の映画は過去にも何度か作られているのですが、フェリペ2世が全編にわたって出てくるのは珍しいように思います。あと、セリフだけですがロシアのイワン雷帝の名前も出てきますね。ドレークは…?と気になっていたのですが、アルマダ海戦のあたりでちょこっと出てくるだけでやや残念ではありました。

 パンフレットやノベライズ本のあとがきで触れられているのですが、カプール監督はもう一作作って三部作にしたい希望のようです。ヘレン=ミレン版でもアルマダの海戦のあとだけで第2部2時間を作っちゃいましたからね。若い愛人を作ってそれに反逆され、やがて死を迎えるというエリザベスの晩年を映画化したい意向はあるそうです。
 …それもまた十年後だったりすると大変なことに(^^;)


>モーグリさん
 「石の花」、僕も愛読しました。文庫本で所有していたんですが、再確認したところ引越しのドサクサで一冊行方不明になっちゃってました…(涙)。
 僕が読んだのはまさにユーゴ連邦の崩壊過程のときだったかと。坂口尚さんはアニメーターとして手塚治虫の直系の人脈で、漫画家としても成功した方でしたが、手塚以上の早世が惜しまれる人でした。



#8015 
はりはり亭 2008/02/22 02:46
蛇足

すいません蛇足ですが。
鯨フェティシズムというのは捕鯨・反捕鯨両派に存在すると思います。
決して「捕鯨派は冷静だけど反捕鯨派は頭に来てやがる」という一方的な議論ではありません。
為念。



#8014 
はりはり亭 2008/02/22 01:53
十一郎様

えーと、ここは歴史について論ずる場なので、あまり場違いな論議はしたくないのですが、誤解だけは解かせてください。

>はりはり亭さんに対しての反論でもありますが、捕鯨以外に生活の手段がほとんどなく、漁法の面でも需要の面でも鯨を絶滅させる恐れがほとんどない場合、たとえばイヌイットの捕鯨は容認されています。
先住民捕鯨のことは私も知っています。私の言いたかったのはあくまで主流オーストラリア人の中に存在するダブルスタンダードへの皮肉です。言葉が足りなかったのはお詫びします。
以前IWCで日本が主張したのが、先住民捕鯨を容認するのに日本のそれを禁ずるのはダブルスタンダードだ、日本の捕鯨も認めよ、というものでした。これはいかにもまずいと思ったものですが、案の定猛反発を食らってしまいました。まさに、
>日本の現在の捕鯨は必ずしも古来からの漁法でなければ重要な食糧でもない
からです。
私は、捕鯨問題はあくまで正しいデータと冷静な論理で論議されて欲しいと思っています。ただ、捕鯨派だって鯨を絶滅させたくて捕鯨をしているわけでなし、本来ならともに手を取り合って進めると思うのですが。今日の環境危機において鯨は本来こんなに過剰に取り上げられるべきものなのかともお思います。私が嫌うのはあくまで鯨フェティシズム、いやファナティシズムというべきか、というものであって、それ以外のものではありません。

管理人様
長々と歴史と関係ないことを書いて申し訳ありません。できればご容赦を。




#8013 
モーグリ 2008/02/21 20:37
坂口尚「石の花」

先日、旧ユーゴのコソヴォが独立しましたが、ユーゴの話を聞くたびに私の中で坂口尚の「石の花」というマンガが思い出されます。

「石の花」は第二次大戦中のユーゴを舞台にした話です。ドイツを中心とする枢軸軍の侵攻と民族間憎悪が吹き荒れるユーゴを主人公のクリロ、イヴァン、フィーが駆け抜けてゆく話です。
ちなみに書かれたのは80年代前半で、ユーゴ紛争便乗物ではありません。
ユーゴの民族問題や歴史についても詳しく説明されているので、冷戦後の複雑なユーゴ情勢を知る上でもこのマンガは有効です。

「石の花」を読んだのは十年以上前ですが、この作品は一生私の心に残りつづけます。それくらい強いインパクトを持った作品です。ここまで人間や正義や平和や戦争を真正面から描ききったマンガはないと思います。
特に登場人物同士のイデオロギーのぶつかり合いがすごいです。まさに息詰まるほどで圧巻としか言いようがないです。特に後半でナチスの将校のマイスナー大佐が民主主義を信じるイヴァンと論争し、イヴァンを論破してしまいます。この展開は始めて読んだ時背筋がゾクゾクしました。

「石の花」はマイナーな作品だと思います。同時期に手塚治虫が同じ第二次大戦やナチスを舞台に「アドルフに告ぐ」を描き、世間では後者の方が格段に名作扱いされているからです。ただ、個人的には繰り返して読み返しているのはこちらの方です。



#8012 
孟きょう 2008/02/20 12:00
東アジアと太平記


 >徹夜城様
 うわ、出ちゃいましたか小島センセの本が?! いや〜うれしいですね。私もあの方の著作は大大大好きで、現段階では東洋史研究者の中では一番のお気に入りでして。「義経から一豊へ」、「義経の東アジア」もさる事ながら、講談社の中国史シリーズ第7巻「中国思想と宗教の奔流(宋代)」等はシリーズの中で一番愛着をもって読んでおります(笑)

 いやでもほんと著者の視点にかなり「東アジアの中の日本」というまなざしがあるからか、徹夜城様の研究世界にかなり近い雰囲気はありますよね。ほんと楽しめますし、興奮しますもん。シリーズ9巻の「海と帝国」の上田センセの件を思い出しますねえ。
こういう風に、中国史と朝鮮史と日本史を往復して研究される方々の世界というのは、ほんとに引き込まれるし、私なんかはいつも「中国史の謎は日本史の謎で、日本史の謎は、中国史の謎だ」と考えている部類の人間なのでストライクゾーンですね。あと小島センセ、日本の伝統文化に関する考察と、「貴族と武士」に関する考察もところどころに散りばめておられてかなりうなづくところがあるので要チェックかと・・。

 そうでしたか、氏も「太平記」を高く評価しておられましたか、うれしいな〜(そう言えば本の中でも「大河義経」にツッコミを入れており、見てるふしがありましたね)。たしかに「義経と東アジア」の最後の章も「義満」でしたし、つくづくツボにはいる嬉しい事を書いてくださる人ですね・・・。 徹夜城様が義満周辺の人脈の東アジア人脈を指摘されておりましたが、そう言えば「義経と東アジア」で小島氏が「平清盛の時代なのになんで宋人がたくさん出てこないんだ、義経記の焼き直しはやめろ」て書いていた事があった事を思いだしました。

 しかし本当にこのセンセの文章、見てて心配になっちゃうくらい読みやすいし(シャレにならん)、面白いんですよ。他の敷居の高い、気難かしい宋代研究の先生方と違い、自分を少しはっちゃけてネタにしつつ読者を安心させ、優しくわかりやすく読者を東アジア史や宋代史の世界に引き込もうとしている感があります。 「潮騒での山口百江のあのシーン」や「授業中、日宋貿易での珍宝で女子をからかう」「踊る大捜査、勧進張バージョン」とか、いやおもしろい(笑)

 そこでつくづく徹夜城様の「室町太平記」には感銘を受けたのですが、思うに、いや〜本当に義満の時代って面白いですね。個人的に日本史の中でも異色の14世紀という舞台は好みなんですが、「義満が永楽帝と同時代では無く(ほんとは同時代なんだけど)、洪武帝と同時代である」という観点で見ると益々1300年代後半の面白さは増すと思うんですよ。観応の擾乱を経て南北朝の抗争、多元的状態が続く日本列島。紅巾の乱を経て乞食坊主出身の朱元ショウが動乱を勝ち抜きモンゴル帝国と華北、内蒙古、マンジュリアで20年に及ぶ抗争を繰り広げる中国大陸。倭寇、紅巾族、ナハチュの侵入問題の中から女真族の李成桂が台頭し、国王の命を受け出撃し遼東の明軍に今まさに襲いかかろうとする!の予定の朝鮮半島。   ハイライトでスペクタクルでやみつきになっちゃう時代ですね。



#8011 
小覇王 2008/02/20 02:08
独裁者つながりで

『今上天皇とガッダーフィー大佐が慶事等で祝電・答電を送り合う場合、日本語では「リビア国革命指導者カダフィ閣下」と表記される。』
 
 何のことかといいますとウィキペディアのカダフィ大佐の項目に上記のように記されておりました。これは過去に実際にあったことなのか、それとももしもの話なのか、非常に気になります。だってこの二人は最も縁遠そうな気がしませんか。もし実際ににあったことならどういう状況でどんな内容を送りあったのかとても気になります。
 カストロさんも引退し、独裁者のかたがたが表舞台から消え去る中この人はげんきですね。大佐は。最近はだいぶ丸くなったようですが、一人派手な格好でアラブ会議で気を吐く姿は印象的です。別に独裁者を肯定する気は一切ないのですが、一代で独裁者になったひとには二代目に比べてやはりそれなりのカリスマ性があります。この人も今後どうするのやら。





#8010 
十一郎 2008/02/20 00:36
すみません

下の書き込みで名前を書き忘れていました。



#8009 
2008/02/20 00:34
とうとうカストロも退任ですか・・・

ただ、院政をひく可能性も残っているでしょうか。

>ニュースな史点
>東ティモールも独立後なかなか大変なようである。

現与党からして、連立でぎりぎり政権を維持している状態ですからね。
一応、犯人である反政府組織のリーダーは射殺されたそうです。もともと反政府組織と融和政策を行い、投降者を増やして組織を弱体化させたところの最後の反撃といった様子なので、実行組織は壊滅するでしょう。
ただ、射殺された反政府組織の葬儀では、信奉する若者達が2000人も集まったとか・・・

>やってるほうは半分親切心からだったりする

はりはり亭さんが指摘されている騒動が、こちらですね。
http://s02.megalodon.jp/2008-0215-2010-35/www.afpbb.com/article/politics/2350297/2635836
>一方、群集からは謝罪に対する野党党首の反応に怒る声もあがった。
>議会では、自由党のブレンダン・ネルソン(Brendan Nelson)党首がラッド首相による謝罪動議を支持するとしながらも、政府の過去の政策には善意に基づいたものもあると述べ、アボリジニ・コミュニティーの一部にみられた児童に対する性的虐待発生率の高さなどを根拠に挙げた。
>キャンベラの街頭ではネルソン党首が語る様子がスクリーンに映し出されると、群集は画面に背を向け「恥を知れ」などと罵声を浴びせた。

>この労働党政権は日本の調査捕鯨問題でもかなり感情的な強硬姿勢

この辺は人権問題・環境問題・資源問題が、それぞれリンクしているので、左翼な自分から見ると感覚的に不可思議ではないです。簡単にいうと、どんな問題に対しても理想主義で接しているということでしょう。
ちなみに、“捕鯨推進派が腹いせに白豪主義を批判しても労働党には何の痛痒も感じさせられないよ”“どちらかというと白豪主義を許容する政党は調査捕鯨への批判をあまりしないよ”という指摘を発端とする議論もネット一部界隈でありました。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080110/1199954666
こちらから始まった議論によると、調査捕鯨は日本近海での文化的な捕鯨とは異なること、野生動物を殺さない調査方法を選択しないこと、自国の領海でもないのに海洋資源をとっていること、需要を供給が上回っているのに捕鯨に公金が支出されていること・・・といった視点でも批判されているので、単純に捕鯨・反捕鯨では割り切れないようです。

はりはり亭さんに対しての反論でもありますが、捕鯨以外に生活の手段がほとんどなく、漁法の面でも需要の面でも鯨を絶滅させる恐れがほとんどない場合、たとえばイヌイットの捕鯨は容認されています。
イヌイット同様にアボリジニが捕鯨で生計をたてていた場合、おそらくオーストラリア政府は容認したでしょう。しかし日本の現在の捕鯨は必ずしも古来からの漁法でなければ重要な食糧でもない、それが非難される一因であることも確かなようです。

ただし念のため、自分は鯨食賞賛派で、少なくとも海岸漂着鯨は食べるべきと思っています。

>同様の歴史的建造物の焼失は日本ではなんといっても京都の金閣の例がある。

初期はホームレスの失火という可能性も指摘されていたので、個人的に『羅生門』を思い出しました。巨大な木造門の二階が舞台ですし(笑)。
行政ストーカーとなった孤独な老人の社会に対する復讐、と見ればわりあい現代的な物語にまとまりそうな気も・・・純文学でなく社会派小説ですが。



#8008 
徹夜城(疲れた上に少し風邪っぽい気もする管理人) 2008/02/19 21:49
歴史映画更新と足利義満

 まず、「歴史映像名画座」を更新しました。「茶々」「モーターサイクル・ダイアリーズ」「チェ・ゲバラ&カストロ」の3本のみ。「エリザベス・ゴールデンエイジ」は速攻で見に行かねば…
 タイミングとは恐ろしいもので、偶然にも本日カストロ議長が退任を発表。ちょうどいい具合に「退任記念」となってしまいました。


>足利義満本
南北朝や室町時代は本ですらとりあげられることがめったにないのですが…これはオススメできます、という新書が出ました。

小島毅
「足利義満 消された日本国王」(光文社新書)

 著者は東アジア史、特に中国思想史が専門の方なのですが、以前から大河ドラマ関連本も書くという不思議な方でして、大河「義経」のときに「義経と東アジア」という便乗本にしては妙に専門的な本を出していることに気づいたことがあります。今度は足利義満を東アジアスケールの大政治家として高く評価する本を書かれたわけですね。

 ざっと読みとおしましたが…とくに前半、「これは俺が書いたんじゃなかろうか」と思う記述続出で(笑)。そんなことを言ったら小島先生がお怒りかもしれませんが、やっぱ研究対象が似てると趣味嗜好も似てるのですな。
 そもそも「大河ドラマの最高傑作は『太平記』である!」と断定してらっしゃいます(笑)。本書のあとがきでも大河『太平記』が義満誕生を予感させて終わることに触れており、「太平記大全」を書いた僕としても実に共感する部分がありました。
 そして義満を東アジアスケールでとらえるべし、という視点はまさに仮想大河「室町太平記」のコンセプトそのまんま。元から明へ、高麗から朝鮮へという東アジアの王朝交代の中に義満を位置づけるというのはまさに僕も考えていたことで、「従来の義満研究には高麗→朝鮮革命と時期的に当たっていることに注目してない」という指摘は「そのとおり!」と頭の中でひざを打ったものです。日本の皇国史観が実は戦後にもかなり引き継がれ、東アジア史の中で日本史を位置づけるという観点の欠落の指摘もいちいちうなづかされたところです。

 そのほかにもいろいろとあるのですが、今谷明さんの『室町の王権』に対する違和感の指摘も、ほぼ僕も同感。中国史研究に身を置いて日本史を見るとやはり似たような感触を抱くのだな、と思ったものです。さすがに思想史専門の方なので、朱子学や孟子解釈の歴史の解説はほうほう、と読ませていただくだけでしたが。
 さすがに歴史家として断定は避け、小説的な解釈と断った上で「義満暗殺説」も述べられてます。僕はこれには賛同しない立場なのですけど、義満暗殺の主犯を義持周辺に求めているあたりは世阿弥説よりはずっと納得いくかな、と。

 あと、この本、一般向けなんですけど、小島さんの書きっぷりがすごくくだけた調子なんですよね(笑)。やたら脱線して雑学大会になるところも多いですし、さりげなく「元鉄っちゃん」であることを表明するあたりなども、「これ、俺が書いたんじゃないの?」という感覚に陥った原因です(笑)。歴史学者も小説を書くべし、としてもしかしたらペンネームでデビューするかも、なんて書いてるあたり、つくづく志向が似た人だなぁと(笑)。

 あえて不満点を申し上げれば、義満の外交ブレーンに実際に外国人・外国経験者が多かったことにいま一つ言及がないことでしょうか。元からの亡命者・陳外郎(ういろう)ですとか、「ムロタイ」で僕が大活躍させてしまった中国人にして日本・朝鮮を渡り歩き三か国語ペラペラだった魏天が義満のブレーンにいた、というのは注目されていいことだと思います。あと正体不明ですが「天竺聖人」なるインド人(?)もいたようですし。
 それと義満を高く評価しようとする意図のわりに外交面と思想面に話を絞り、かつ従来のイメージの払拭をまず優先する書きっぷりから、義満のどこがどうえらいのかイマイチ伝わってこないという感想も持ちます。

 冒頭の導入部に金閣炎上事件が使われているのもなかなかウマいところで(当時これを産経新聞の福田定一記者=司馬遼太郎が取材し記事を書いている話をネタに使ってます)、ちょうど先日のソウル南大門炎上事件と重なっていいタイミングになってました。
 とまぁ、いろんな意味で面白いので、興味を持たれた方、ぜひご一読を。



#8007 
NF 2008/02/18 23:22


>徹夜城様
>「フランス極右」としてその発言はアリなのか
第二次大戦が実際に行なわれていた際にでも、当初は反独だった「右翼」がドイツに占領されると対独協力に熱心だったりしたそうですからね。「アクション・フランセーズ」のモラスとか、「フランシスム団」ビュカールとか…。戦後に日本の右派が親米派である事を連想させますが、西欧各国のファシストはナチスと相性がよかったそうですもんね。民族主義ってなんだろう、と分らなくなる一瞬ではあります。



#8006 
徹夜城(時節柄疲労蓄積中の管理人) 2008/02/18 12:58
との、すこしはおやすみくださいませ

↑CD-ROM版「太平記」をプレイしてると、たまに藤夜叉や勾当内侍が出現してこのセリフを肉声でしゃべり「強制休養」させられることがあります。

>つねさん
ニコ動はまだ利用したことがないんですが…それだけ見たさに行っちゃうかも(笑)。YoutubeでPCエンジンやPC−FXの動画はずいぶん見てるんですが、さすがに「太平記」はなかったもんなぁ。すごく貴重なものだと思います。特にあのやたらに気合の入ったオープニングビジュアルは今また見直されていいと思うのですけどね。
「NHK大河ドラマ太平記」のほうはHuCARDソフトなのでそれほど面白みが…あえて言えば戦闘場面でのあの絵巻物を思わせる戦闘アニメが見ものといえば見ものですかね。動画作りが面倒でなければやってみてもいいんですが(笑)。


>史点関連。
 皆様、感想をお書きいただきありがとうございます。少々反応が遅れてしまいましたので、まとめて簡単に。

>小覇王さん
 イスラエルに120歳…まぁ我が国の泉重千代さんも少々疑わしいとの声もありましたからねぇ。それよりも凄いのは、以前確か中央アジアだったか西アジアだったかのどこかで150歳以上と主張する男性がいた記憶があります。

>NFさん
 捕鯨反対の話が科学的であるうちはいいんですけど、過激に反対なさる人々の声には「クジラは高等生物だから」という声が露骨に出る時があってヤなんですよね。そこまで来るとそれは宗教だろう、といいたくなるわけで。
 ヒットラー・ユーゲントといえば、現法王もその過去がありました。まぁ我が国の「少国民」とおんなじようなものでありまして、不可抗力なんですが…ただ、ヨーロッパの戦後の有力者の中には必ずしも「不可抗力」とはいいがたいナチスとの関わりを持ってた人がいるのも事実ですよね。そういえばフランス極右のルペン氏が最近「ナチスのフランス占領政策にはいいところもあった」的な発言をしたとかで騒ぎになってましたが、「フランス極右」としてその発言はアリなのか。というか、ヨーロッパにおいて各国の「極右」は実は仲良しだったりするようで。

>はりはり亭さん
 ああ、やはり「私たちは良いこともした」とのたまう人がいましたか。これはどこの国にもあるんですねぇ。ルパンコーナーでも触れたことですが、フランス大統領がアルジェリアに公式訪問して過去の植民地政策の謝罪を表明したら、やはりフランス国内で「植民地ではいいこともした」と教科書に記述させる動きがおこったりしたものです。



#8005 
つね 2008/02/17 01:08
とのー、きんがでました!

ニコニコ動画でこちらでも紹介されているPCエンジンの太平記発見。
まだ全ては見ていませんが、オープニングやところどころのアニメは抜かされている
ようで残念。でもエスパー捜索が見られて満足。
どこか癒しの声ですな。

誰かNHK大河太平記のゲームのほうも投稿してくれないかなー。
え、しろと言っているわけではありませんよ。



#8004 
はりはり亭 2008/02/16 02:12
史点読ませていただきました

>歴史的謝罪
私もアボリジニ問題には関心があるので、興味深く読みました。この同化政策や映画などは以前CBSニュース(ピーター・バラカンがキャストを勤めているアレです)でも取り上げられていたような気がします。場所は違えど教会も関与した同化政策のおぞましさを浮き彫りにした小説にバルガス=リョサの「緑の家」があって(まあこの巨大な小説の一面ですけど)、冒頭、いきなり教会のシスターたちの原住民の子供たちの拉致誘拐で始まります。でもそれが世界各地の現実だったわけで。
でも早くも野党の党首が「良い面もあった、私たちは良いこともしたのだ」と発言して顰蹙を買っているようですね。日本も人の事は言えませんが、この手の加害者のメンタリティは万国共通なんですかね。賠償についても、以前どこかで植民地の歴史認識に関する会議があって、そこでも具体的な補償を議題として取り上げようとすると、それまで和やかだった雰囲気が冷ややかに凍ったとか。

>NF様
私は名前からして捕鯨賛成派なわけですが、「文化」とか「人種」とかはなるべくからめないで議論をしたい、と思っています。が、それにしても今回の謝罪、アボリジニ(これとて白人がつけた名称ですが)が捕鯨文化をもってたらどうしたのよ、やはり「間違い」を指摘して「正しい」文化を指導したの、と皮肉の一つも言いたくなりますね。





#8003 
NF 2008/02/16 01:14
出てきたついでに

>徹夜城様
>カストロとゲバラの山岳ゲリラ活動描写
そういえば、あの倒幕戦も山岳ゲリラとしてみれば護良親王と正成の二人が首領でしたね。やっぱりカストロが護良でゲバラが正成なんでしょうか?

>「ヒットラー・ユーゲント」
日本にも来た事があるらしいですね。その際の北原白秋の「黒歴史」が一部で有名になっています。「アドルフに告ぐ」でカウフマン少年がカミルパパを射殺するシーンがあったりしましたね、そういえば。しかし実際あの場面に立たされると他の行動はできないんだろうなあ、とも思ってしまうのが悲しいところ。

>第一次世界大戦で多大な犠牲者を出して、それでもなおかつ第二次大戦をやってしまった
これも先ほどケストナーで触れた話題に関連するんですが、例の友人によれば第一次大戦の前線で過ごした兵士たちは物質的には寧ろ恵まれており戦友との友情やら命を張った生活でのスリルやらが忘れられず戦争の日々を懐かしんだ困った人たちも存在しファシズムの温床になったとか。必ずしも悲惨な戦争から反戦を学び取る人ばかりじゃないんですな、世の中は。

>小覇王様
…そういえば、会津の御出身でしたね。確かに、「負けは、即国家の滅亡」という点で同時期の南北戦争と戊辰戦争は共通しているような。もっとも、世界レベルでの軍事史的には南北戦争は変則的で評価が難しいとも聞いています。軍事技術が近代化しつつある一方で基本戦術は前近代的な性格が強いとか。軍事史だけを問題にする場合、市民革命である独立戦争の方が典型的な転機なのかも、と思います。ただ、産業革命やら思想やらも考慮に入れると、南北戦争はやはり転機なんでしょうね。結果如何では北米大陸の歴史は大きく変わったでしょうから。

>景虎様
仰る通り、フランス革命・ナポレオンが近代への転機なんでしょうね。そこから徐々に近代戦の形が出来上がっていった。
@ナポレオン時代
市民軍・徴兵制による大量動員や無茶な行軍が可能になる。しかし技術面ではまだ大きな変革はなく、また前線の将帥の個人的力量に依拠する全時代的な側面も強かった。兵力の巨大化にしたがい、ナポレオンの個人的力量だけでは全軍を掌握するのが難しくなり、没落への道をたどる。ナポレオンの栄光も没落も過渡期ゆえなんでしょうね。
Aドイツ参謀本部
ナポレオン戦争の後になると、火器など技術的な面でも革新があったそうですね。そして、鉄道の発達により大軍の効率的な運用が可能になり電信により効率的な大軍の制御も可能になった。動員兵力の大規模化に伴い、戦術レベルと戦略レベルの差が少なくなった。これを巧みに利用したのがモルトケ、と聞いています。
B世界大戦
軍の大規模化に伴い、戦術と戦略が一体化し「シュリーフェン計画」に代表されるように大規模な作戦計画が生まれるようになった。しかし、計画に伴った機動力がまだこの時点では存在しなかった。第二次大戦になると、機械化された機動部隊の誕生により「電撃戦」に代表される、こうした大規模な作戦も実行可能となった。これに伴い補給部隊なども機械化が目指されたが、第二次大戦時点で実行可能だったのは巨大な経済力を持つ米軍とその後援を受けた英軍だけだった。
…以上、友人からの受け売りなんですが、どの程度理解できてるか怪しいです。「国民国家は大量殺戮国家でもある訳で、ナポレオン以前の戦争の方が人間の身の丈に合っていたようにも思われます」という御意見には、基本的に同意です。ただまあ、兵器のハイテク化に伴い専門職志向が強まり徴兵から志望兵制に変わりつつある(ハイテクを使いこなせない素人を集めても足手纏い)のが潮流のようですから、多くの国民の命を消費して大戦争を行なう国家から専門家主力のナポレオン以前に大局的にはなりつつあるのかな、とある意味では楽観しているのですが。大金をかけて購入した兵器や育成した専門職が失われるのは大きな損害ですから、(少なくとも味方に関しては)かなり人命重視になっているようですしね。…ただ、途上国では未だに子供を巻き込んでのゲリラや自爆テロなどが多いのは何とかできないもんでしょうかねえ。



#8002 
NF 2008/02/16 00:31
「史点」拝見

「史点」に呼ばれて穴から這い出てまいりました。
>107歳のケストナー氏
とりあえず、彼には「お疲れ様、ゆっくりお休みください」というところでしょうね。どちらも徴兵されたものの後方だった点は幸運だったというべきなんでしょうな。20世紀もどんどん「歴史」になっていくと実感しますね、この手のニュースは。
>第一次大戦に召集されているが、軍隊の実態に反発
これが通常の反応なんですよね。しかし一方で、友人によれば同じ第一次大戦に参加したドイツ作家でもエルンスト・ユンガーは前線で何度も重傷を負い戦場の凄惨さや恐怖を熟知しているにもかかわらず、寧ろそれ故に戦争を賛美していたそうで(汗)。作品における戦場描写の凄惨さは「西部戦線異状なし」よりも上回っているという評価もあるとか。正直理解不能です。友人がユンガーを評して曰く、「リアル少佐」(「HELLSING」の戦争愛好者な少佐の事)。しかしそのユンガーもケストナーと同じく第二次大戦では反ナチスだったそうで不思議なものです。
 …とりあえず、「戦争」体験者がいなくなるのは無理でも「世界大戦」経験者が皆無な時代はせめて実現してほしいものです。

>スハルト
彼も今後長らく評価が分かれるんでしょうねえ。故・鴨志田さんによればインドネシアの政権交代騒ぎでも田舎の老人には「スハルト大統領は曲がりなりにも30年間国を守ってくれた。だからワシはスハルトが好きだ。」と言っていた人もいたそうですし(ちなみに西原理恵子さんによれば、そもそも政変自体を分ってない人も多かったようでスハルトやハビビの名を知らない漁師やどさくさに紛れてデパートの略奪に押しかける人々が活写されていました)。しかし、この手の独裁者には第二次大戦や独立戦争で軍人としてのし上がったというパターンが多いですねえ。

>仏舎利(ぶっしゃり)みたいにドンドン増殖
ガンジー自身、人々によって神々の列に入れられているようですから、そんな話があっても何となく納得してしまう気がしてしまうのですが…。

>アボリジニ謝罪
アボリジニ問題とクジラ問題に関連して、オーストラリアの価値観として「白人>クジラ>有色人種」なんて皮肉が方々で聞かれる訳で。せめて捕鯨に反対するならするで、論理的に納得のいくデータを示してしてほしいものです。宗教の改宗押し付けみたいで、今の流れは嫌ですね、個人的には。

>南大門
やはり、日本人はこの件で金閣を連想する人が多いようですね。しかし、「土地問題で不満」ってそんなロマンのかけらもない理由というのが余計に救いがないような。





#8001 
小覇王 2008/02/15 21:02
100年後なんて想像できません

 史点読ませていただきました。
>ドイツ、第一次大戦参加の兵士最後の一人が死亡。
 単純に107歳というと今時それほど大変な気はしないですが、単純に考えてもドイツ帝国、ワイマール共和国、ナチス・ドイツ、東西ドイツ、統一ドイツと変遷してるんですから歴史を感じますね。(ワイマール共和国とナチスドイツは厳密には同じ国家ですが)
 今さっき読んだのですが、イスラエルに120歳の女性が現れたとか。なんでも身分証明証の再発行の際に120歳(1888年生まれ)と申告したのだとか。生まれたときの戸籍はオスマン帝国だそうです。(ギネスは疑わしいとしているそうですが)



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