金子老(きんしろう)
福建の海商。「金紙老」とも表記される。前歴は全く不明だが、嘉靖18年(1539)に浙江の密貿易基地・双嶼港に拠点を構えてポルトガル人と交易を行っていることから、そのかなり以前から南海貿易に従事していたと想像される。
嘉靖19年(1540)年四月に福州から脱獄してきたばかりの李光頭を傘下に招き、これを副将とした。しかし間もなく嘉靖21年に突如「福建に帰った。21年より後は再び現れなかった」と記録されている。実際に何があったかは全く不明であるが、この年から嘉靖23年にかけて双嶼港をめぐる動きが急なため、何らかの権力闘争があり、それに敗れたことが予想される。金子老が去った後、その船団は李光頭が引き継ぎ、やがて許棟とともに双嶼港の主となる。
主な資料
鄭若曽「籌海図編」
謝杰「虔台倭纂」
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