ニュースな史点2002年1月20日
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◆今週の記事
◆礼に始まり礼に終わる
今週は全体に小ネタ傾向。ま、それは比較的平和ってことで良いことなんですがね。
「礼に始まり礼に終わる」といえば柔道。すっかり世界的スポーツになっちゃった日本発祥の格闘技だが、現在のスタイルでの「柔道」なるスポーツは明治時代に嘉納治五郎により「講道館柔道」として大成されたもの。これが当時のヨーロッパの日本趣味とマッチしてしまったせいか、あのシャーロック=ホームズは宿敵モリアーティ教授をこの技で滝壷へ投げ落とし(ご存知の方も多いでしょうが、正確には「バリツ」なる謎の日本格闘技。まぁ柔道のことなんでしょう)、アルセーヌ=ルパンは宿敵ガニマール警部を「ウデヒシギ」なる柔道の技で撃退している(この時のルパンのセリフによると当時のパリ警察も柔道を導入していたことが分かる)。それにしても史点筆者はよくホームズとルパンの話を書いてるな〜とお思いの方も多いでしょうが(笑)、あれほどあの時代の英仏を知るのに最適なテキストを私は知りません。
さて、この柔道をめぐってアメリカでちょっと面白い裁判があった。柔道をやっているアメリカ人兄妹が「試合のたびに『礼』を強制され、宗教の自由を侵害された」としてアメリカ柔道協会など各種柔道団体を訴えるという裁判が起こされていたのだ。最初新聞サイトでこの記事を見かけたときは「クリスチャンが文句言ってんのかな」などと思ったのだが、意外にもこの兄妹は日系人。そして宗教的には特になにかの信徒というわけではないが母親から仏教的教育を受けているという。うーん、それじゃあ日本でも該当しそうな人がやたらにいそうだが…
。なお、この妹さんの方はオリンピック・アテネ大会の出場有望選手だとのことである。しかし彼女は日本と南米で開かれた国際大会の二度だけしか礼をしたことが無いという。
訴えを起こした当人たちの主張だが、「柔道は常に神道の影響下にあり、畳も道場も神聖視させられる。日本の柔道家の肖像や無人の畳に向かって礼を強制されるのは耐えがたい苦痛だ」とのこと(朝日新聞記事の翻訳より)。記事によるとこの兄妹が日本の柔道の歴史を調べた上での結論だとのことだが、そんなに柔道って神道と結びついていたっけか?道場に神棚なんかが置いてあることは確かにあるが、剣道場ほどではない印象がある。畳や道場を神聖視するのは確かだが、それは日本のスポーツ全体に言える事で(グラウンドに礼したりするもんな)神道とはつながらないと考えるのが自然だろう。だいたい神道そのものがかなりアバウトな宗教だしな。
訴えられた柔道団体側も黙ってはいない。「礼は敬意の表現。レスリングで選手が握手するのと同じだ」と反論しているというのだが、僕も至極まっとうな意見だと思いますね。
で、連邦地裁の判決が先日出た。「柔道の礼は宗教儀式ではなく、礼の強制は宗教差別にあたらない」との判決で、これまでこの兄妹に特別に認められていた「礼の拒否」の仮処分も破棄されることとなった。原告の兄妹は納得せず、控訴する方針だと言う。
◆300年目の和解?
2002年1月13日。イギリス東ノーフォークサンドリンガムのイギリス王室別荘にある王室用の教会で日曜のミサが行われた。一見大した事件ではないのだが、歴史的にみると実はこれ、300年ぶりの大事件だったりする。何があったのかというとイギリスのウェストミンスター寺院のオコナー枢機卿が王室関係者を前に説法を行ったのである。これがなんで大事件なのかというと(←
小ネタを長文化するテクニックである)このオコナーさんというのはイギリスにおけるカトリックの最高位の聖職者なのである。
世界史で必ず重要事項として教わる「宗教改革」というやつがある。16世紀、従来のローマ・カトリックに対しドイツのルターやスイスのカルバンなどが「プロテスタント」をという新たなキリスト教勢力を生み出したというアレだ。「天国の指定席切符」ともいうべき「免罪符」の販売で儲けるカトリック教会の腐敗ぶりをルターが批判したことから始まったってのは有名な話だが、一連の「宗教改革」において世界史の授業で必ずネタにされる「個人的な理由」に起因する宗教改革がある。それが「イギリス国教会」の成立だ。
イギリス国教会(Anglian Church)を作ったのはイギリス国王ヘンリー8世(在位1509〜1547)。この王様、当初ルターを激しく攻撃して教皇から「信仰擁護者」なんてありがたい称号までもらったお方なのだが、ちょいと女性関係に癖があった。彼は王妃カザリンを離婚して愛人アン=ブーリンと結婚しようと画策したが、国王の結婚を承認・祝福する立場である教皇がこの離婚に強硬に反対。そこでヘンリーは「じゃあ俺だけの教会をつくってやらぁ」と(いや、ホントに言ったかどうかは知りませんがね、映画「わが命つきるとも」でヘンリー8世を演じていたロバート=ショーだと言いそうで)、カトリックを離脱した新しい教会「イギリス国教会」をつくって自らその唯一最高の首長となった(1534)。かくしてめでたく(?)離婚が成立しアン=ブーリンは妃になれたのだが、ヘンリーはすぐにアンに飽きて彼女を殺害、別の女性を妃に迎える。結局ヘンリーは生涯に6回も結婚するんですが、ほんとひどい奴(笑)。
こんな動機でできちゃった国教会だが、当初はカトリック式の教義・儀式スタイルをとっていた。やがてヘンリー8世の息子のエドワード6世がこれにカルバン派的な教義を導入、次のメアリ1世のときはカトリックが復活したが、その次のエリザベス1世が国教会のスタイルを完成、定着させることとなる。なお、エリザベスは先述のアン=ブーリンとヘンリー8世の娘なわけで、なんとも皮肉なめぐり合わせとなっている。
その後、17世紀終盤にジェームズ2世という国王がカトリック信徒で、カトリック容認政策をとり議会と対立している。ジェームズ2世に男子が生まれたことをキッカケに議会はオランダのオラニエ公ウィレム夫妻(即位後ウイリアム3世とメアリ2世)を新国王として招き、ジェームズは亡命。これがいわゆる「名誉革命」だ(1688)。そしてこれで即位したウィリアム3世の晩年の1701年に「本人ないし配偶者がカトリックである者は国王になれない」という法律が定まる。かくしてそれ以後、カトリックとイギリス王室は断絶状態になっているわけ。だからこそ今度の一件は「300年ぶりの和解」などと言われるのである。
オコーナー枢機卿は「やがてキリスト教会の統一が実現することを望む」とコメント。イギリスのマスコミでは「女王が少数派のカトリック教徒に対して友好の手を差し伸べた歴史的な出来事だ」と好意的に伝えているらしい(共同通信の記事を見る限りでは)。北アイルランド問題の解決に影響を与えようという意図なのかな、ともちょいと思うところ。前回書いた天皇の「ゆかり発言」もそうだが、案外効き目あったりするんだよね、こういうのって。
◆こちらでも世界最古の文明?
近頃パキスタンとの緊張関係で注目を集めているインドだが、今度は妙な話で注目を集めている。
1月16日、インドのジョシ科学技術相が記者会見で、「クジャラート州(インド西部)スーラト沖カンベイ湾で9500年前のものとみられる古代都市が見つかった」と発表した。なんでも木片やつぼの破片、骨の化石など発見され、放射性炭素年代測定で「9500年前」との判断が下されたというのだ。そしてさらに水中音波探知機で調べたところ海底に「建造物」らしきものがあることが分かったという。「紀元前3500年ごろに出現したイラクのシュメール文化をさかのぼる世界最古の都市の可能性がある。人類文明史やインド史に光をあてるものかもしれない」とインド政府は興奮気味だ。インド政府はさっそく専門家らによる特別調査チームを編成し、詳細な調査に乗り出す予定だと言う。
…
なんというか、グラハム=ハンコック氏あたりが大喜びしそうな話である(笑)。ちょうどこの人、世界各地の「海底遺跡」をネタに新著書くって話だったもんね。沖縄・与那国島にも「海底遺跡」とか言われているものがあって琉球大学の教授が本気にしてらっしゃるようなんだが、あれを連想させる話ではある(あの教授の本読んだけど、僕はかえって「遺跡じゃないな」という印象深めちゃいましたね。チャーチワードのムー大陸ばなし持ち出すようじゃダメでですよ)。
9500年前に都市レベルの遺跡があったとなると確かに大発見であるが、「常識的には信じがたい」というのが専門家の一般的な見解。「そうやって『常識』にとらわれているから…
」などと学者を揶揄したがる人も多いが、学問の歴史上そんなに劇的に『常識』がひっくり返ったことって実はほとんど無いんですよね。特に「常識を覆す大発見!新説!」と騒がれるものの大半は「ガセ」であったというのが常識(笑)だ。新聞サイトに出ていた南アジア考古学の小磯学さんのコメントでも「一般常識では考えられない話だ」とされており、「海底から出た資料を陸上と同じに扱うのはどうかと思う」ともおっしゃっている。ま、今後の続報(あるのかな?)に注目ですかね。
日本でも「世界最古の縄文文明」などと持ち上げる人がいるのでも分かるように、ナショナリズムとか民族主義ってのは行過ぎるとこういう「うちこそ世界最古の文明」と主張することになってしまうようだ。日本ではそうした主張をする数々のトンデモ歴史本が出回っているし(トンデモレベルまでいかない真面目な本でも近い主張はみられる)、お隣韓国にも同様のものが多くある(このあたり、やっぱり「似たもの同士」という感想を持ってしまう)。北朝鮮でもやはり「壇君神話」と結びつけた世界最古文明の主張があるし、昨年ネタにした「長江文明」の発掘にもどこか似たような匂いを感じる。今度のインドの一件だって、現在のパジパイ政権ってのがもともとヒンドゥー至上主義政党によって作られていることを念頭に置くと、かなり怪しく見えてくる話だ。かなり前に書いたことだが、数年前からインド政府がドーラヴィーラの遺跡調査・整備に力を注いでいるのも、モヘンジョ=ダロやハラッパといった有名なインダス文明遺跡を抱えるパキスタンに対抗するという意図が見え隠れする。
パキスタンとの対立が深まる(危機的状況は去ったようだが)この時期にこの発表。先日の「タージ・マハル迷彩」の一件ともあわせてかなり政治的なパフォーマンスに見えてしまうところがあるのだが…
。
◆ものはよく噛んで食べましょう
ここでは独立記事にならない程度の話題をかき集めてみた。やはり「一気読み」は体に毒ですので細かくしておきましょう(笑)。
この一週間における世界最大の話題は情けないことにブッシュ大統領の「のど詰まり失神事件」。大統領候補時代以来、数々の逸話を披露してくれたこのお方(「外交オンチ事件」「アスホール事件」…
懐かしいですねぇ)、前代未聞の大統領選をやらかして当選し、僕も「多くのネタを提供してくれそう」とか書いているのだが、期待にたがわず昨年の「史点」登場回数二位の栄誉に輝いた。それに発奮したのか(笑)、新年さっそく大変な話題を「史点」に提供してくれたのである。いやホント、冗談抜きで後世いろいろと話題にのぼる大統領になるんじゃないかという気がする。
報道によれば1月13日夜、ホワイトハウス二階の居間でアメフトの「ドルフィンズvsレーベンズ」戦を観ていた大統領、食べていたプレッツェル(塩味クラッカー?とか紹介されている。一気に有名になったな)をのどに詰まらせ、数秒間失神したという。失神した際にソファから転げ落ち、顔に軽い怪我をしたという。大事には至らなかったが(至っていたらそれこそ「神罰」とか一部からは言われただろう)、ここ数日体調不良だったのも原因かと医師が言っていた。
伝言板のほうにも書いたことだが、僕は事件後のホワイトハウスの対応を見ていて、なんとなく「のどにつまって失神したんじゃなくて、失神してのどにつまらせたんじゃなかろうか?」という深読みをしてしまうようになった。聞くところによればアメリカでも「あんなもんのどに詰まらせるか?」「のどにつまって失神するか?」「失神したとしたら数秒の気絶ではすまないはず」といった疑問の声があがっているというし、ホワイトハウス側はこの話をなんとか「ギャグ」で済まそうとして必死に工作しているように感じられる。事件の翌日、ブッシュ大統領が同行記者団に「ゆっくりと良く噛んで食べるように」との自筆入りのプレッツェルの袋を配り、遊説先で「『よく噛んで食べなさい』という母の忠告を守るべきだった」などとジョークを飛ばしていたのなんかも、そう思ってみれば必死のパフォーマンスと見えてくる。どうもアメリカの政権ってこの手の見え透いた演出を大真面目にやるところがあるので…
(お父さんが来日中の晩餐会で倒れた時の故事もあるしね)。
ブッシュ政権も先日倒産したエンロン社にからんだ疑惑が持ち上がっているし、オマル師もビン=ラディン氏の行方はわからないしで、ブッシュさん自身やや神経衰弱気味なのかもしれない。見るからに精神的に弱そうな気がするしねぇ。
こういう政権の威厳を汚しかねないことが起こったとき、アメリカ政権はしばしば見え透いた演出作戦に走ることがある。そう、かなり懸念されるのが「イラク空爆」だ。クリントン前大統領の不倫騒動の直後にもやっぱりミサイル攻撃してるだけに、この国の政権に関しては冗談ではすまないかも。
一方のオサマ=ビン=ラディン氏の方は情報なし。パキスタンのムシャラフ大統領が「病死説」を繰り返す一方で、アメリカ政府の要人からは「アフガニスタンにいる」との発言が出る。ま、パキスタンにしてみれば死んでいて欲しいところだろう。一部報道によるとアメリカ軍がCIAのもたらす情報の錯綜ぶりに業を煮やし、「もう振り回されたくない」と喧嘩を売っているとか。だってあんな大規模テロを事前に察知できなかったような連中だぜ(笑)。そういえば中国がボーイング社に発注した首席専用機に盗聴機が大量に仕掛けられていたとか。良いお得意様の信用を裏切るような真似をしちゃいけませんね。
「ビン=ラディン」の名前が今週は意外なところから出た。オサマ氏の異母兄弟のイエサマ=ビン=ラディン氏(名前も似てるよな)が「ビンラディン」というファッションブランドを立ち上げようとしているとイギリスの新聞が報じたのだ。なんでもこの人、ブランド自体の商標登録はテロ事件発生前に済ませたというのだが、ファッション業界では「悪趣味な」という声が広がっているという。「『ヒトラー』というブランドを作るようなものだ」とか「露骨な金儲け主義だ」といった批判の声が紹介されていたが、「だってそういう名前なんだからしょーがねーじゃん」と思わず関東風ツッコミを入れてしまうところ。だいたいビン=ラディン家ってサウジの大金持ちで各種の事業を手がけており、アメリカの大学に「ビン=ラディン基金」があるという話題も聞いている。名前に罪があるわけでもなかろーに(だがインパクトがあるのは確かですな)。ふと思ったのだが、ドイツにもヒトラーさんって確実にいるはずだよね。やっぱり名前で迫害を受けていたりするのだろうか。
アフガニスタンの戦争で捕虜となった「アル・カーイダ」の構成員たち数十名がキューバにあるグアンタナモ米海軍基地に送り込まれた。キューバと言えば「キューバ革命」以来アメリカと対立関係にあるが、このところは両者共に和解ムードで、この基地にテロリストたちを収容することについてキューバ政府も協力的だ。これを機会によりアメリカと接近しようと言う姿勢なのかもしれない。
そんな外交的思惑はともかく、この「捕虜」たちの扱いについて人権団体などが批判を強めている。いま「捕虜」とカッコつきで書いたが、アメリカ政府はこれを「捕虜」とみなしておらず、あくまで「テロリスト抑留」であるとしている。「抑留者」たちは目隠しをされて基地に送り込まれ、縦1・8m、横2・4m程度の雨ざらしの臨時独房に収容されているという。「シャワーや運動の機会も与えている」と国防総省は批判に反論しているそうだが、その程度ということでもある。
アメリカ政府が彼らを「捕虜として扱わない」と執拗に表明している理由として、彼らを「戦争捕虜」として扱うとあのジュネーブ条約の規定上、彼らに尋問も出来ず戦争中の行為については刑事責任を免責されてしまうからではないか、といった指摘がされている。「対テロ戦争」と声高に言う割に公式の「戦争」としては扱いたくないと言うのがブッシュ政権の本音らしい。
前回話題にした天皇の「ゆかり発言」について、やはり韓国の反応は大きかった。金大中韓国大統領が14日の年頭会見(旧暦にあわせてるってことなんだろう)でこの「ゆかり発言」に言及し、「歴史に対する正しい認識を表明されたのではないか」とわざわざ述べている。ああ、まんまと意中にはまってるな、韓国人(笑)。ま、その程度のことで日韓関係が好調になるならそれに越したことはない。もちろんこの年頭会見でも金大中大統領は日韓関係の最優先事項として「歴史教科書問題の解決」を挙げている。まだしばらく頭の痛い問題になりそうだ。
ところで前回「韓国では『天皇』を避けて『日王』と呼ぶ」って話を書いたが、その後調べると正確には金大中政権が出来て以後は国際慣行に従って政府では正式に「天皇」と呼ぶことにしており、一部マスコミはそれに倣っているそうだ。しかし「朝鮮日報」などの大手マスコミは依然として「日王」表記にこだわりつづけているとのこと。14日付産経新聞のソウル支局発の記事によると、その「朝鮮日報」でこの呼称問題について次期大統領候補たちの意見を求めたところ、6人中5人が「日王」の呼称を使うべきと回答したそうで。理由には「国民感情」が挙げられていたそうだが、こういうのを「感情」だけで処理しないように(まぁいざ大統領になったら「天皇」にしちゃうんだろうな、こういう人は)。この「天皇」「王」の問題はつい先日当サイトで放映開始した「室町太平記」でもいずれ触れる大問題になるので乞うご期待、…
ってこんなところに紛れ込んで宣伝やってすいません(笑)。
しばらくお名前を聞かないな、と思っていたオーストリア自由党の極右政治家ハイダー氏の名前がひょっこり新聞の国際面に載っていた。なんでも隣国チェコがオーストリアとの国境近くに原子力発電所を建設、これに対し「脱原発」を憲法で宣言しているオーストリアでは反発が起こり、これをハイダー氏がけしかける形で「チェコが原発を永久閉鎖しない限り、オーストリア政府はチェコのEU加盟を承認するな」という請願署名運動を起こしたのだ。この署名は法的拘束力はもたないが、10万人以上が賛成署名すると議会で議論することが義務付けられており、80万人以上に達すると国民投票にかけなければならないという。ハイダー氏は「50万も集まれば成功」と言っておるそうな。
チェコのこの原発についてはすでに国際原子力機関の「安全」承認を受けており、オーストリア政府も「この原発の件はEU加盟の障害とはしない」と約束している。しかし連立政権に参画している自由党に事前に何の断りもなかったのでハイダー氏がキレたものらしい。今度の署名運動も政権内での地位低下を恐れたハイダー氏が仕掛けた大衆扇動だとの見方がもっぱら。うっかり賛成署名がいっぱい集まるとまたEU内で孤立してしまうと恐れる政府は反撃に躍起。チェコ政府も頭に来て「早く総選挙やってハイダーを追い出せ」とゼマン首相が発言、これにオーストリア側が「内政干渉だ!」と騒ぐなど大騒ぎになっているそうで。ホント人騒がせな人である。
2002/1/20の記事
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