合戦が自軍の勝利に終わると捕らえた武将の処理を決定する事になります(敵が勝利した場合はCPUが全て処理します)。処理とは「首を斬る」「逃がす」「召し抱える」の三つ。相手が敵方の独立勢力の主君クラスの場合は「斬首」しか選べません。「逃がす」は殺すには惜しいと思った武将を野に放つもので、この時逃がされた武将はそのまま敵陣営に走ることはなく浪人となり、その後ひょっこり「人材発掘」で登用できたりします。
「召し抱える」はもちろん投降を勧めて自分の家臣にしちゃうものですが、これは武将個人の性格に左右されます。どうせなら手持ちの武将は多いほうがいいので全員召し抱えたいものですが、多くの武将は「お前になど仕える気はない」と拒絶します。2度、3度と勧めるとコロッと仕えてくれるのもいますが(笑)、「降伏などするぐらいなら潔く…!」と自害しちゃう武将もわりといるので注意が必要です。まぁ2度勧めてダメだったらひとまず逃がすことでしょう。頭を冷やしてから家臣になってくれる場合もありますので。
◎なんだそりゃ!?な突発イベント
歴史シミュレーションゲームにはたいてい予測不可能な突発イベントが仕掛けられているものですが、この「太平記」も例外ではありません。
しかしよくある「天災」のたぐいは全くありません。いずれも妙なものばかりで…(笑)。
<高時の怨霊>
オープニングビジュアルで出てきた北条高時、ゲーム中に出番はないかと思ったらさにあらず、時々全国あちこちで怨霊となって出現します(汗)。高時の怨霊が出現するとパニックになった兵士たちが数千人程度逃亡してしちゃいます(笑)。
<ましらの岩>
おいおい、とツッコミたくなるネーミング。大河ドラマオリジナルキャラで柳葉敏郎さんが演じていた庶民キャラ「ましらの石」のパロディです。設定によるとこの「岩」は旧幕府の御家人で、盗賊になったんだとか。ランダムに出現してどこかの国の金を盗んでいきます。
<藤夜叉&勾当内侍>
尊氏なら藤夜叉、義貞なら勾当内侍が突然登場し(声付き)、「少しはお休み下さい」とか言って、尊氏OR義貞の行動力を減らしちゃいます(笑)。
<挑戦状>
まったく意味のないイベント。敵陣営の武将から「戦場にて見参!」とか手紙が送られてくるんですね。ただそれだけで、特に効果などはないようです。
<逐電>
忠誠心の低い家臣が、唐突に逃げ出し、他家に移籍してしまうことがあります。
<献金>
天下統一が進んでいる終盤になると起こる現象。味方となっている大名から政治献金が相次ぎます。なにやら気分は与党政治家です(笑)。
◎総評
…とまぁ、こんなふうに合戦を繰り返し、あるいは外交交渉で味方を増やし、最終的に全国を北朝か南朝の色で統一してしまえばゲームクリアです。クリアすると尊氏・義貞それぞれのエンディングビジュアルシーンが出て、映画みたいになかなか凝ったスタッフロール画面へと進んでゲーム終了です。
評価ですが、異様に気合の入りまくったオープニング&ゲーム中のアニメシーン、全国40カ国、登場武将235名というスケール、単純なようで妙に凝っているシステムなど、見るべき点は多いです。とくに南北朝時代のシミュレーションという点では、南北朝マニアをうならせるリアリティが各所に見られ、もっとも本格的・最高峰の南北朝シミュレーションゲームという地位は動かないでしょう。今後もっと凄いのが出ない限りは…ってもう15年も経ってるわけですがこれに続く企画じたいがありませんね(涙)。
ただし合戦の甘さなどから難度はかなり低く、歴史SLGとしては物足りなさも感じる作品といわざるをえないでしょう。お手軽に遊べるという点は評価していいのでしょうが。それと史実に沿うことでもあるんですが、義貞を選択して南朝方で戦うと北朝方選択時に比べてかなり厳しいです。まずは尊氏でプレイして慣れ、それから義貞でプレイして歴史の「イフ」を実現してみるというのが正統な遊び方かと思います。
入手関係についてもちょこっと。
すでに15年前のゲームですから、よほどそろえのいい中古ゲーム店でもないと入手は難しいでしょう。そもそもPCエンジンCD-ROMシステム専用なので、ハードのほうも持っていないとプレイできません。ハードはPCエンジンCD-ROMソフトを全て遊べる「DUO」シリーズを入手するのがお奨めです。これも現在稼動しているやつを探すのはなかなか大変なのですが…まぁネットオークションでも結構探せるかもしれません。ゲーム自体はそこそこ品数も出たうえに人気はあまりないので(笑)、数百円程度で売られていると思います。この辺も南北朝ゲームの物悲しさだなぁ。