やっぱ2ストでしょ!
SQASH(AB11)/ホンダスカッシュ



初稿:2006.11.19

 このスカッシュ、およそ10年前にカタナと交換したスカッシュそのものです。
 「バイク屋持っていったら、直すのにすーげーかかるって言うもんで、捨てる。」と、現オーナーが言うものですから、つい、「じゃあ俺がもらう。」ということで、手元にきてしまいました。
 フォーゲルやTZMの整備を通じて、「永いこと動かしていないバイクはどこがダメになっているか」がうっすらとわかりかけてきたものですから、直さなければならない箇所を聞くまでもなく、凡その見当だけはつけていました。それも直すのに手間くらいしかかからない。

 本題に入る前に例によっておさらいを。

 私はてっきり、スカッシュというバイクはモトコンポの発展系だと思っていたんですよ。世の中に出てくる順番を含めて。モトコンポの車体を利用して小さなスクーターを作ってみました、的に。
 で、このネタを書くにあたり、調べていたらどうやら私の勘違いだったことが判明。すいませんね、ホンダのバイクに興味がないものですから。

 ホンダのすごいところは、過去を大事にするところです。ただ大事にするだけでなく、情報として提供し、共有する。その最たる例がコレクションホールなのではないでしょうか。Web上でも過去のモデルが殆ど全て何らかの形で掲載されていますし。「過去のバイクなんか知らんもんねー。」的な他のメーカーとはえらい違いです。こういうところは認めざるを得ない。

 ここから先しばらくは、ホンダのWebページ上の情報を引用しながらすすめて行きます。自分の憶測だけで語るより、その方が有益だと判断したからなんですが。

 スカッシュもモトコンポも1981年に発表/発売となりました。スカッシュが10月21日発表/10月22日発売、モトコンポが同10月29日/11月11日。ちょうど25年前の出来事です。
 モトコンポは4輪車のシティと同時発表なので、そのコンセプト(シティのトランクに載せて6輪ライフをおくる)からして、開発はこちらがメインになったものと思われます。

 スペック等は次のとおり。

スカッシュモトコンポ
型式AB11AB12
全長×全幅×全高(m)1.280×0.610×0.9301.185×0.535×0.910
車両重量(kg)49〈51〉45
乾燥重量(kg)46〈48〉42
エンジン空冷2サイクル単気筒AB12E空冷2サイクル
排気量(cm3)4949
最高出力(ps/rpm)3.0/6,0002.5/5,000
最大トルク(kg-m/rpm)0.43/4,500-
最小回転半径(m)1.31.3
登坂能力(tanθ)0.150.19(約11度)
燃費(km/L)75(30km/h定地走行テスト値)70.0(30km/h定地走行テスト値)
変速形式一速自動遠心クラッチ
始動方式キック〈キック・セル併用〉キック
点火方式CDICDI
燃料タンク容量(L)2.42.2
タイヤサイズ(前・後)3.00-8-2PR2.50-B-4PR/2.50-8-4PR
標準現金価格 スタンダード            88,000円
スタンダード(ハンドル折りたたみ式)90,000円
デラックス(セル付)        98,000円
80,000円

※〈 〉はデラックスタイプ

諸元はプレスリリースより、画像はコレクションホールより。

 こうやって2台の数字を並べてみると、微妙に異なることがわかります。
 エンジンの出力やタイヤサイズ(モトコンポのタイヤサイズの「-B-」というのはたぶん「-8-」の誤植)がモトコンポの方が小さくなっているのに燃費が悪い。これはおそらくモトコンポの方が減速比が大きいからでしょう。それは登坂能力の数値が大きいことから伺えます(tanθ=1のとき45度)。もっとも、スカッシュの0.15という数値だって一般公道じゃ林道でも行かない限り、まずあり得ない数値なんですけどね。

 我が家のスカッシュは「デラックス」です。セル付きですから、12V。結果、ヘッドライトが明るい。6Vのフォーゲルとは比べ物にならないほど明るい。照射範囲はそれほど広くないんですが、スカッシュの常識的な巡航速度なら何の問題もありません。

 さて、これ以上車種を増やすためには嫁を説得させることができるだけの大義名分(言い訳とも言う)が必要です。で、考えついた言い訳は「自動車の免許しかない嫁でも乗れるバイク」でした。こんな見え透いた嘘に引っかかるほど単純な嫁ではないんですが、この小学生でも言わないような嘘をだまって見過ごすふりだけはしてくれました。
 このバイクの本当の使用目的は、「鈴鹿サーキットでの足グルマ(足バイク)」です。特に4時間耐久の時は、パドックとして「Nパドック」が割り当てられるんですが、その場所はダンロップコーナーと最終コーナーの間の一段高くなったところ。ここで3日間を過ごすにあたり、人力だけでは時間的なロスが非常に大きい。南海部品やF1マートへ買い物に出るにしても、いちいち車を出すのは面倒くさい。かといって、大きいサイズのバイクではトランポに乗りきらない。そんな用途にうってつけなんですね、スカッシュ。実際、フレンディの2列目までを普通に使って、荷室に縦に入る。軽いので、積み下ろしも人力だけでできる(実際はブリッジ使いますけど)。まさにホンダが提唱した6輪ライフを地で行ってるわけですよ、2輪と4輪の組み合わせは異なりますが。

 問題は、これを維持していくための消耗部品がホンダから出てくるか、それにつきます。






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