過去の雑記 05年 7月

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7月 1日
新城カズマ『サマー/タイム/トラベラー』読了。気恥ずかしい青春回顧ものとして、ひじょうに良くできている。過去のSFの名を大量にぶち込んで、SFファンの特権意識をくすぐるしかけもうまいし、地方都市の行き詰まる日常の描写も、感傷型時間SFに必要とされるリアリティ発生装置として見事に機能している。ただそれだけに、物理用語のなってなさが気になった。知ったかぶりの高校生の言葉だと思えば気にならないのだろうけど、なまじ「スペイン語でボルヘスを読む」なんて登場の仕方をされたもんで、「しょせん高校生だし」を発動させるのが一瞬遅れるのだな。全体に、スーパー高校生度を少し抑えてくれれば、もっと没入できただろうに。

『サマー/タイム/トラベラー』の超高校生達から連想したのは、『有閑倶楽部』や『パズルゲーム☆はいすくーる』といった、少女まんがの超人クラブ。少女まんがの超人クラブの面々は(そしてSTTの面々も)、恋愛から自由ではないので乙木さんの言う「スーパー高校生」とは違うのだけど、類縁にあるキャラクターの様にはみえる。乙木氏の論は少年向けフィクション側だけから構成されているので、この辺との共通点や違いも検討したら、論に深みが増すかもとちょっと思った。光画部と緑林寮の、鳥坂さんと光流&忍との役割の差とか、それが少年と少女に与えた影響の差とか。

『あ〜る』と『グリーンウッド』は読者層が著しく重なる気がする(どっちも山本正之がイメージソングを作ってるしな!)から、影響の差をみるのは難しいかな。

午後半休を取って、三省堂の『輝く断片』トークショーへ。話題は主に、スタージョンはどんな人か、スペシャルゲストなのに御題の本も読まずにサウナにいた人、歴史の捏造など。うそ。

2次会はつつがなく終わり、そのまま3次会に突入。諸般の事情でパセラとなったそれが、主賓がみな帰ったからと解散になったのが3時30分頃。残った人々も次々とタクシーで帰宅していき、行き場を失った自分に気づく。しかたがないので、上野まで歩いて始発で帰ってきましたさ。上野駅着が4:05で、始発が4:30だったので悪くないくらいのタイミング。途中で豚丼でもたべてくれば完璧だったか。しかし、秋葉原〜上野は午前4時前だというのに、なぜあんなに人がいるんだろう。

偶然見つけた2chガイドライン板のスレ。「サボテンとガイドライン」。あまりの語呂のよさに感動すら覚えた。そして、ほんとうに語呂の良さだけで立ったらしい。それでも、まったり進行で、二年近くもなにやらつづいているというのがすばらしいと思うことです。やはり筋少ファンに悪い人はいないな。役に立つ人もいない気がするけど

7月 2日
夕方、というか夜に到着して元ユタ。今回の参加者は、山本家、高橋良平、添野知生、添野想子、林、大森望(順不同、敬称略)。添野家とは残念ながら入れ違いでしたが、想子ちゃんに挨拶できたので満足です。僕の到着後の主な話題は、三省堂SFフォーラム、その2次会、宇宙戦争の舞台はどこか、いまさら宇宙戦争でネタバレと言われても、今月のSF、イギリス人は侵略されるのが好き、海外文芸棚には人がいない、書店客の男女比率、『どんがらがん』、一番分かっている人が翻訳すべきだ、正しさはどこまで必要か、柴田元幸の・すごい・『黒い時計の旅』翻訳、SF大会今年の目玉企画はなにか、イギリス大会のディーラーズはすばらしい、翻訳比べ、SFとミステリの分岐点、SFが急成長したのは60年代末から70年代頭、最近の名作は、純愛フランケンシュタイン、萌えR62、新本格以降の国内エンタメベスト**にSFは入るか、など。

SFが急成長したのは60年代末から70年代頭という話はたいそうおもしろかった。きっと、そのうち本の雑誌の連載で語られるに違いない。そのうちって、いつだろう。

「一番分かっている人が翻訳すべきだ」は直前の項に絡んで。高橋良平先生の言葉です。一般論としてはそうなんだけど、デイヴィッドスンだと、それはどうだろうと聞いていて思ったような。良平先生の殊能将之に対する信頼がうかがえる。(8/17 追記)

その後、なんだか大所帯で徹夜カラオケ。深夜アニメ系の新曲を一通りチェックできたので満足でした。えー、他には何も覚えてませんとも。

7月 3日
宇宙戦争を観た。いやー、ほんとに随所で言われている通り、怪獣映画だなあ。設定のうそ臭さも含めて、まったくもって怪獣映画。これはこれでかなり好きだ。
地下から三本脚が出現するシーンはまあまあくらいだったけど、その予兆のシーン、風を吸い込む黒雲が洗濯物をはためかすシーンはとてもよかった。あと、ハドソン川の渡河シーン。河畔に佇む三本脚の神々しいこと。このシーンだけでも、映画を見に来た甲斐があった。

原作の牧師パートと工兵パートをくっつけた、ティム・ロビンスパートはかなりぐだぐだ。「世界の終わり」を迎えてテンパっていること以外に共通点のない二つのキャラを無理矢理一つにまとめてるもんだから、いまいち言動に整合性がない。いちおう、吸血シーンを境に、工兵から牧師に切り替わったとみることもできるけどがさ。

赤い草の使い方ももったいない。その後の展開を示す重要なギミックなのだけど、登場が遅過ぎるから、結果、予兆としての役割を果たせなくなっている。象徴の役割は果たしたからいいのかね。

壊滅したニューヨークの十分な描写が無かったのも残念。「死の都と化したロンドン」の詩情は、原作最大の見せ場なのに。ルート設定上難しいのと、尺の不足はわかるけど、わかるけど。

でもまあ、細かな文句はあれど、三本脚があれだけなにもかも破壊してくれたのだから、十分に満足です。というわけで観るならできるだけ大きなスクリーンで。

あ、スタージョントーク後の打上げで話題になった、主人公の移動ルートはやはり謎だった。最初の出現地はパンフによると、ニュージャージー州ニューアーク(ニューヨークのとなりくらい)らしい。ロケ地にはヴァージニア州東部も含まれているから、ニューアーク(主人公の家)→ヴァージニア東部(妻の今の家)→ハドソン川→ボストン(妻の実家)か。ヴァージニアからハドソン川に向うルートの設定次第では、作中の時間経過にあわせることも不可能ではないかも。
むしろ問題は、ハドソン川→ボストンの移動。幼い娘を連れて200kmから、徒歩で移動というのはかなり無理筋ではないか。

さらに細部の余談。ラスト近く、トムパパが三本脚を破壊する方法は、『トリポッド』2巻のそれと同じですね。もとは『トリポッド』の映画化企画だったなごりとか?

で、その帰り。新宿ジュンク堂でSFと強弁できるものを探していたら、海外文芸棚付近にいたふたりづれの話が聞こえてきた。

「それで、あんまり大変になってくると、ユゴス送りにして記憶をリセットしたりするんですよ。あ、ユゴスってのは、異星種族の本拠地なんですけど」
「へー、なんだか大変だねえ」
「他に、カダス丼(?)ってのもあって」

いまひとつ理解してない先輩男子相手に、懸命にクトゥルフ話をするショートメガネ女子という、なかなかありえない構図に呆然としていると、追い討ちをかけるようにこんなセリフがつづく。
「とにかく、いまコミュではそういう話で盛り上がってるんですよ」
mixiか。mixiなのか。街中でナチュラルにmixiの話題を聞くようになったのだなあ。

7月 4日
Web Zapping。

ぬるヲタが斬る マリみて新刊のあとがきについて。物語にとって、整合性なんてのは些事どころか枷になることもあるという話。えー、でも楽しいし。

遠足新報: 検証・「のび太の町」を再現〜モデルとなった町はどこにあるのか〜。作中の描写から、「のび太の町」がどこにあるかを検証する。ほら、こんなに楽しいんだから、受け手の遊びとしては許されるべきだよ。うん。

で、Web Zappingをするうちに、虹ぽのmhtファイル群を読むためにわざわざIEを立ち上げるのが嫌になったので、mozilla用のMHT閲覧plugin、UnMHTを入れてみた。
この拡張は現在テスト段階です。お使いのコンピュータに深刻な問題が起こっても構わない、という方のみお使い下さい。
なんていわれたけど、いまのところ軽快。

エウレカセブンを2週分まとめて観る。おお、第一話の軍人さんがこんなにまともに!ゲッコー号のメンバーも、まじめな顔をしてるし。ああ、しかもちゃんと窮地に!そう、これが欲しかったんだよ。これだけちゃんとやってくれりゃ、レーザーが目視でかわせることに突っ込んだりはしないさ。というわけで、戦闘は概ね満足だ。冥界篇はせっかくの艦隊戦の勢いをぶっちぎってたんで恨み気味。諸星っぽい箱庭教室は面白かったけどな。ところで、ニルヴァーシュのコクピット配置がいまいちわからないのだけど、コクピット間の距離ってどうなってるんだろう。

というわけで検索。アニメージュ四月号の河森インタビューに
河森: コクピットは複座という指定がありました。そこで並列にして、かつミリタリーではなくスポーツ的なテイストを出すならばキャノピーだろうということで、今の形になりました。実はあのコクピットは、仕切の部分に穴があって、中の空間がつながっています。操縦するレントンとエウレカの微妙な距離感を演出する素材になるんじゃないかと思って描きました。
とあったらしい。それにしては、ふだんの距離が遠く見えるが、まあ納得。

7月 5日
Web Zapping。

森永卓郎「萌えるアキバが日本を変える」。メイド足ツボの紹介。そうか、足ツボという手があったか。必然的に身体が触れるサービスということで、風俗産業のほうに一歩だけ足を踏み出しているけど、まだぎりぎり留まっているかな。他に、どんな手があるだろう。んー、メイド神社というのはどうか。 < 力の限り間違っている

原始人に技術を教えるスレ まとめサイト @Wiki。タイトル通り、2ch未来技術板の原始人に技術を教えるスレ。素の状態から技術を教えることの難しさが出ていて面白いです。

7月 6日
“素人”が選ぶ新人賞次々(読売)。via MM/memo 最新URL。「最近は、作家・評論家よりも読者orマーケティングの視線で選ぶ新人賞が増えてるよ」という話。以前、朝日の似たような記事が話題になったけど、こちらは、プロが選ぶことによりシンプルな面白さがこぼれてしまう可能性は指摘しながらも、
 が、「市場原理」という顔ナシで気まぐれな選考委員は、その時々のベストセラーを決定はするが、その後の保証はしないし、責任も取らない。
と素人選考の限界も指摘気味なのがポイント、かな。「作品を探す」のが目的なら、素人選考も良いのだろうけど、「作家を探す」のが目的なら、プロが選ぶべきだという気はしまさぁね。なお、「プロが選ぶべきだという気はしまさぁね」の「プロ」は作家と編集者というイメージ。評論家もありかなあ。ジャンルSFの伝説に洗脳されているので、作家を産み・育てるのは編集者というイメージが強いのだ。

早川書房様より書評用の新刊が届きました。ご恵贈ありがとうございます。山本弘・編『火星ノンストップ』(ヴィンテージSFセレクション 胸躍る冒険篇)の表紙は増田幹生。ちょっとスチームボーイっぽい感じでなかなかよろしい。しかし、ウィリアムスン、ラインスター、ムーア、アンダースン、ヴァン・ヴォクト、ナース、キャップって、すごいラインナップだなあ。これが売れさえすれば、今後、  と続く予定もありだとか。なんたって、ハートフル篇は表題予定が「夜のオデッセイ」ですよ。人間がひとりも出てこない短篇を表題作に据えた「ハートフル篇」なんて、いかにもオールドスタイルのSFっぽくてすばらしいじゃないですか。ぜひとも、「ハートフル篇」が出るまでは、みなさん買い支えていただきたい。
 あの『タフの方舟』すら売れていないという噂が聞こえる昨今。1785円の古いSF(すべて既訳あり)というアンソロジーは苦しいだろう。しかし、ここで売れずして「夜のオデッセイ」への道は開かれないのだ。起てよ全国のイングリス・ファン!われらすべての力を結集し、《ヴィンテージSFセレクション》を広めよう!!
 いや、イングリス・ファンが何人いるかは知らないけどな。

 アニメ視聴。「フタコイオルタ」はラス前が盛り上がりすぎだったためどうしてもテンションが落ち気味。荒唐無稽展開をメタの狭間に落とし込もうとするセリフもちょっと、あれ。でもまあ、シリーズ全体として楽しんだので、文句は無いです。投下時間分は楽しんだ。
 「かみちゅ!」はすごいね。この神怪が町中にしろしめす描写には、ツボを押されまくり。ラブコメ展開は邪魔だから無くていいんで、この町の描写だけをじっくりと丁寧にしっかりとやっていただきたい。これは、第一話も観とくんだったなあ。

7月 7日
MM/Memo経由でサンケイスポーツの記事、「スター・ウォーズ」映画の次はアニメとドラマだ!
会見に出席したルーカス監督は、「エピソード7」の製作を改めて否定した上で、「テレビシリーズ化の企画は2本予定している」と話した。  具体的には「1つはアニメ版。『クローン戦争』というタイトルで、約1年後に完成する。今、脚本を書いている最中で、日本のアニメと米国のアニメーションを混ぜたようなものになる」
クローン戦争物のアニメシリーズをもう一本作るとなると、ゲンディ・タルタコフスキーの「クローン大戦」の位置付けはどうなるんだろう。作画・演出にタルタコフスキーを使って、大戦の内容も取り込むとか?

誰かの、たぶんはてな日記経由かなんかで肥後むかし話 やじゃあどん。まあ、吉四六さんとか、彦一どんとかの仲間ですね。メインの第2パートはありがちなとんち話なんだけど、第3パートがちょっと突き抜けてます。「あー、あれね。類話も多いよね」と思っていたら、こんなところにたどり着くとは。

7月 8日
オトナファミを買ってみた。30代向けファミ通の第2号。目立った記事はこんな感じ。 ここの記事が特別深いということはないんだけど、取合せの妙で結構楽しめた。

7月10日
作業の傍ら「奥さまは魔法少女」を流し見してたわけですが。OPをみながら(いや、もちろん仕事をしながら)「ああ、このピンクの髪はミンキー・モモなのかねえ」などと考えているうちに、先日の徹カラ明けに「古今東西緑髪」というのをやったことを思い出した。アニメ、漫画に出てくる緑の髪のキャラを思い出すというネタですね。緑髪はエロゲ系を除くと人外が多いという結論に達したことを思い出しつつOPをみていると、いきなり緑の髪のキャラが複数登場。ちゃんと人外だったんで驚きましたさ。

で、緑髪でgoogleってみる。

緑髪キャラ同盟って。世の中、なんでもあるんだなあ。

7月12日
WebZap。

+Fantasia Lab.+【ファンタジーと伝承文学・神話の図書館】。ファンタジー系の書評サイト。世界幻想文学大賞をはじめとしたファンタジー系の賞のノミネート/受賞作リストが充実してます。
フランスに登場! マンガ頭整髪剤「マンガ・ルック」。髪を、まんが風のありえない形に無理やり固める整髪剤。なに考えてんだフランス人。記事中の写真が、マサルさんにみえるのは気のせいだよね。
MouRa|ライトノベル、村上春樹|Net現代。大泉実成によるライトノベル入門記。はまる作品の偏りかたが、わかりやすくていい感じだ。

アニメ視聴。「ガン×ソード」#2はふつうに面白かった。なんだ、そのヒゲ部。とにかく今週の敵役の市長が素敵過ぎ。ほとんどすべてを一回限りの敵キャラが持ってったんで、次週に少し不安はあるけど、ボンクラ向けアニメという自覚がちゃんとあるようだ(ナレーションによると「荒野に夢、街に暴力があふれる、ボンクラたちの理想郷、エンドレス・イリュージョンを舞台に、流浪の男と兄を探す少女の運命の旅を描く! 」そうだ)から、大外しはないかな。

「クローン大戦」#22,#23は、クローン・トルーパーの活躍に、ジェダイの圧倒的な力、それをも凌駕するグリーバス将軍の恐ろしさ、さらにそれを越えるドゥークー伯爵と必要な物をすべて描いていてたいそうすばらしいことです。オビ=ワンとアナキンの信頼関係に、アナキンの天才的技量、己の力を過信する傲慢さまで描いてるしな。ゲンディ偉い。あと、#24,#25で完結だけど、昨晩完徹でこの時間まで起きているとさすがに眠いんで、また明日。

7月13日
浅暮三文『実験小説 ぬ』(光文社文庫)を読む。《異形コレクション》を中心に発表された実験小説と、e-NOVELSに発表されたショートショートをまとめた作品集。題名は「ぬ」一字の方が良かったなあ。全体としては面白いです。前半で気にいったのは「喇叭」と「參」。「喇叭」は「ぬ←ここのところ」がとにかく秀逸。全体の哀感も良し。「參」はどんな意図なのか見えてくるまでが面白いし、そこからどこへ行くかも面白い。実験自体の面白さではダントツ。疑問が残ったのは「小さな三つの言葉」。本筋はともかくとして、「ウィスキーが標準料金で、ジン、焼酎、コルンなどの「きつい酒」は追加料金」という部分が気になった。この中で一番度数が高いのはウィスキーでは。

ショートショートはちょっと出来不出来が激しいかな。かなたにある隣町の噂がとんでもないことになっていく、ちょっと北野か佐藤哲かという香りもある「隣町」と、下落合の下宿でソクラテスとプラトンが会話する、なげっぱなし感の爽快な「箴言」が良かった。

しかし「カヴス・カヴス」の穴が揃ってないのは、どうなんだ。> 光文社の編集

7月14日
金城のサヨナラホームランで五割復帰という劇的な試合だったというのに、先週分のスピードグラファーとか見ていたダメ野郎です。あの秘書の姉ちゃんって前からいたっけ?

電車男のOPも見た。10分弱もぬるいコメディに耐えてから見るほどのものではないという結論。いや、それが確認したかっただけだからいいんだけどな。なすびはむちゃくちゃ久しぶりにみた気がする。

あとはタイドライン・ブルーとクローン大戦#24,#25を観れば(そしてバジリスクから目を背ければ)滞貨一掃かな。また、溜まるけど。え?「苺ましまろ」ももう始まるのか(AM2:05 TBS)。

……というわけで観ました、「苺ましまろ」。見ても見なくてもどっちでもよさげなものだったんで、次週以降は偶然起きていたらというスタンスで。伸恵が「16歳」と言い出したときには、「おお」と思ったんだが、やはり20歳になっていた。いくら深夜帯とはいえ、高校生が酒・煙草をやるのは無理なのだなあ。でも、そこで一度「16歳」と言わせてしまうスタッフの意思/意地には好感が持てる。絵も動きもがんばっていたけど、間がちょっと肌に合わない。あと、千佳の声が。いくら小学生設定とはいえ、舌ったらずにもほどってもんが。美羽のおばさんくささはキャラに似合いなんで良しとしよう。茉莉はまあ、茉莉だし。

小学6年生にもなって、午後8時に眠くなってるのはどうなんだ。伸恵の帰りをあまり遅くしたくなかったのだろうけど、ここは原作どおり23時〜の話にしないと、リアリティが。細部重要。で、次週早くもアナ登場、って能登かよ。

7月15日
上半期の海外SFって、すでにSFM年度的には第三四半期が終わろうとしているところなわけですが。先ほど、自分のレビューした作品を拾いなおしてみたんだけど、ことしのジャンルSFは、いまひとつ不調ではあるまいか。
  1. 『タフの方舟』
  2. 『高い城・文学エッセイ』
  3. 《トリポッド》
  4. 《ネアンデルタール・パララックス》
  5. 『アジアの岸辺』
※ジャンルのこだわりを捨てれば 2に『輝く断片』で以下、下にシフト。

と、それなりに見栄えのするベスト5が組めるのだから、贅沢を言っちゃいけないのだけど昨年の記憶が残っていてなあ。ベスト20の下位はどうなるかと思うとちょっとあれだ。でもまあ、ファンタジー方面で、『王狼たちの戦旗』『影のオンブリア』があるし、『エリアーデ幻想小説全集』もあるし、さらに残り3ヶ月もあるんだし、結果的にはそれなりのベスト20になるのかも。最終結果については、『SFベスト201』が入るかどうか注目する方向で。

7月16日
珍しく7時前に目が覚めたので、「シュガシュガルーン」に「ウルトラマン・マックス」に「絶対少年」を観る。「シュガシュガルーン」はオーソドックスな魔法少女もの。とはいえ、この画風と声はちょっと耐えられないものが。「ウルトラマン・マックス」は、おお帰マンだ。ウルトラマンがいまひとつかっこよくない(デザインではなく動き、特に決めポーズが)のは大いにマイナス。ただ、空戦シーンは良かった。「絶対少年」。間は完璧。画もすばらしい。これで話が人間関係のうじうじでなければ……。うまくできているだけに、辛い。次週も録るかな。

とここまでうだうだしたあたりでSF大会へ。会場についてみると、なにやら外側に長蛇の列が。一瞬、ひよって恐竜展でも見にいこうかと思ったが、よく見ると横から入場する人がいたのでそちらに行ってみる。
正解だった。長蛇はみな当日受付の人か。ご愁傷様と心で手を合わせつつ、参加賞他を受け取り、初心者の部屋を覗いたり、ディーラーズを冷やかしたり、魚くんに挨拶をしたりした後、オープニング会場へ。オープニングアニメはいかにも自主制作っぽいエフェクトのアニメ。ラピュタのHプログラム(コンテスト入選作枠)とかでよくみるよなあ、こういうの。とびぬけてすごいということは無いけど、きれいな絵で悪くない。で、オープニング。全体のぐだぐだ感、それを痛烈に切り捨てる福井晴敏、および絶妙のフォローで場を繋ぐが時に必要の無いところでフォローを入れて状況を混乱させる(全体としては圧倒的に貢献度のほうが高い)司会のおねーさんなどについては随所で語られているので省略。

オープニングアニメの講評会はひどかった。公募したのに二つしか集まらなかったというのはともかく、受賞作に対して「SF大会の主旨をわかってないんじゃないか」と切って捨てるコメントばかりなのはいかがなものか。オープニングアニメは笑えるものじゃなきゃというドグマに染まりすぎてるのではないか。野田大元帥はしかたないにしても、実行委員長が同調してちゃだめだろう。こんな調子じゃ次に同じことをやっても、応募するひとはいなくなるんじゃないのか。

しばし休憩の後、星雲賞と柴野賞。同じ時間に企画が行われることもあり、いきなり観客が半分以下になっていたのは寂しいが、受賞者コメントが多芸(特に前田建設)で楽しかったので良しとする。柴野賞の前あたりで抜けて、昼飯を食いに。

2コマ目は「押井守『立喰師列伝』を語る」へ。満席になるといやかなと思って早め早めに行動したのに、まだ前の企画が続いているという罠が。しかたないので、そこで出会った齋藤くんと話したり、通りがかる人を捕まえたり。でもって始まってみると意外と客が少ない罠。こんな豪華ゲストなのにどうして。内容は「アニメ!アニメ!」の記事参照。概ね、こんな感じでした。この記事は押井守中心でまとめているので、山田正紀の騙りっぷりや、大森望の親父くさい突っ込み、冲方丁の不在っぷり(やあ、話がぜんぜん回ってこない)などは、残念ながら消えるけど。この企画、出演者みな演技派で、今回観たパネルの中ではダントツの面白さでしたよ。
特に印象に残ったのは、ドロンジョさまがケツネコロッケのお銀を演じたのがルーツと言う話(※)。そんな昔からあるネタだったのか。そして、大元は月見の銀二じゃなかったのか。
※あとで調べたところ、ドロンジョではなく、逆転イッパツマンのムンムンのようだ。第14話「太平洋無着陸気球横断」が出典?(情報元

3コマ目は迷った末に、「ゲームデザイナーズパネル」へ。なんせプログラム(スーベニア?)ブックにも内容紹介が載ってないので、そもそも何の(電子?ボード?TRPG?)デザイナーなのかというレベルでわからないまま覗いてみる。正解はTRPGでした。出演は水野良、山本弘、日下部匡俊。ゲームデザインの話と小説の話を行き来する散漫な進行で、ちょい辛目。出演者みながんばっていることはわかるのだが、瞬間的に面白いことはあっても長続きしない。《妖魔夜行》がSF的発想で作られた妖怪譚生成装置だとか、《聖刻》はロボット物ありきで作られたとか、良い断片はあったのだけど。

4、50分聞いたところでさすがに飽きたので退席し、ディーラーズを中心にうろちょろする。ディーラーズで買ったのは、「Fly me to the Moon」と「アニメかるた 主題歌前口上編」。あとは、いつもの京大、東洋大関連。まだ時間が余ったのでロビーをうろついていると、浅暮三文さんを発見。さっそく、『実験小説 ぬ』が、中でも「參」が面白かった旨を伝えると、「福井の健ちゃんと同じやなあ」といわれてしまった。はい、そうですね。パズル好き(ロジック好き)は必ず絶賛すると思いますよ。

そうこうするうちに3コマ目の企画も終わり。その辺のひとびとと中華街に移動し、なんだかわからない集団による宴会に参加。いや、関係者みんな言ってるけど栗鰻はうまかったですよ。

宴会終了後は、別口のプロ系グループと遭遇したりしつつ、タカアキラ車で向井邸へ。向井邸の本をあさったり、土山しげる『喰いしん坊!』の面白さについてレクチャーを受けたり、昼に買ったかるたをやったりして3時過ぎに寝る。

7月17日
寝起きに皆でエウレカ、マジ、響鬼を観るという既視感ありまくりの構図を経て、SF大会の会場へ。

1コマ目は「SF書評を楽しもう」。SFMのレビュー欄担当者が自分のレビュースタイルについて語ったりするパネル。いやもう、このパネルは牧さんですね。「ネタバレして面白くなくなるような本なんて読む価値ない」とか、「形容詞ではなく、論理で面白さを表現する」とか、いい言葉がポンポン出てきてました。欄の性格から、そのまま真似するのは難しいことも多いんだけど、参考にしたいことが一杯でしたさ。「論理で書く」は座右に置かねばならない言葉だよなあ。

山岸さんたちと昼飯を食っていて、2コマ目のスタートには間に合わなかったのでおとなしくヘキサゴンの終盤などを見物。2回目にしてキャラ配置が完璧に決まっているというのは凄いことだなと。

3コマ目は翻訳家パネル。いろいろ赤裸々な発言があって楽しかったけど、なんか5年位前にも同じようなメンバーで同じような話を聞いた気が。違いは印税率がさらに下がって、初版部数がなおもさがったくらいか。

クロージングまでバカ正直にいたため、花火客のひとごみに飲まれそうになるが、なんとか切り抜け、いっしょにいた人たちと飲む。京大SF研の新人組が、齋藤、yama-gat、タカアキラあたりよりも9つだか10だか、向井淳と比べてすら6つだか7つだか下だという事実に驚愕。いや、別に新事実ではなく、理の当然なんだけど。一年戦争戦中派どころか、グリプス戦役戦後派なわけですよ。エヴァンゲリオンの記憶すらおぼろげな世代。そんな世代が、ラファティだのレムだのベイリーだのワトスンだのといっているのを聞くと、なんだか嬉しくなってきます。っつーか、『レムの宇宙カタログ』がいかに面白いかについて語る18歳というのは、どう考えてみてもありえない。

7月18日
スフィンクスの絵に惹かれて、Bunkamura ザ・ミュージアムまでレオノール・フィニ展を観にいく。若い頃の習作から、スフィンクスのような厚い絵、一見色を散らしただけのような中に形を浮かび上がらせる絵、晩年の(色彩的には)枯れた絵まで、さまざまな景色の絵があり、作風というのは変化するのだねえ、と当然のことに気づかされたり。

スフィンクスも好きだけど、鉱物の時代の諸作もなかなか。って、ああ、本当に美術を言語化する語彙が皆無だな。> おれ

しかし、いくらSF大会明けとはいえ、たかだか1時間ちょっと見て回る間に、二度も座って休憩してたのは、我ながらどうかと思った。本当に体力なくなったなあ。

7月20日
一ヶ月前に予約した歯医者に行ってきた。診断すること数十秒。「じょうぶな歯ですね。C1の虫歯がいくつかありますけど、あとは歯石がついてるくらいです。しみるのは知覚過敏かもしれません。今日は上の歯の歯石をとって、次回下の歯の歯石取りと虫歯の治療をしましょう」30分足らずでおわりました。待ち時間に比べてえらいあっさりしてるな、おい。次は3週間後の予定。それまでに歯石が付かないよう気をつけて磨かないと。

草上仁『ホーンテッド・ファミリー』の表紙がるりあ046でびっくりした、というか一瞬、立花晶だと思い込んだ件についてはまた後日として、まんが読み。

藤子・F・不二雄『ドラえもん+』2巻(小学館てんとう虫コミックス)。どれもこれも当然のようにすばらしいわけですが、ドラえもんの小悪党ぶりが輝く「光ファイバーつた」がマイベスト。
小坂俊史『サイダース ファンクラブ』(竹書房 BAMBOO COMICS)。ああ、単発で載ってた方じゃなくて、最近の連載版がメインなのか。売れないガールズ・バンド、サイダースを主人公とした四コマ。ライバルの色物コスプレバンド、バニーズが実にいい味出してます。

7月21日
幸村誠『ヴィンランド・サガ』1巻(講談社KCM)。ヴァイキングの戦士、双剣のトルフィンの物語。戦争のエピソードで主人公の有能さを示してから、回想モードに入り少年時代の話が語られるという展開は、『ヒストリエ』と同じだね。ゲルマン系のはずのフランク族が、ラテン語系のフランス語っぽい言葉を喋るのに一瞬引っ掛かったけど、紀元1000年前後の話なんだから言語がロマノ化している(というかフランス語の祖形になっている)のも当然なのだな。一部で話題になっていたグレティルのサガは昔読んだはずなのにかけらも覚えてませんでした。確認してみたらたしかにトルフィンという人物が出てくるね。しかも、けっこういい奴だ。そして、なにげなく翻訳者の名をみると、松谷健二が訳している罠。
 あ、まんが自体の話を書いてないや。血なまぐさく迫力があってとても面白いと思いました、まる。

施川ユウキ『サナギさん』1巻(秋田書店少年チャンピオンコミックス)ツボに入りかけるギャグもあるんだけどなあ。もうちょっと、あと2ミリ。しかし、こいつら本当に中学生女子か。
#男子はこの程度でもしかたないと思う。

7月23日
 昼過ぎからアンサンブルの例会に参加。ちょっと人数が多く西武は辛かったかも。かといって代替案も無いしなあ。人数的に盛況だったのは喜ばしいが、海外SFの話をしてる人が非常に少ないというのは会の性格的にどうなんだ。主に、SF大会とか、引っ越しとかの話をしていた気がする。

 途中、それなりの地震が発生。まあでもたいしたことはないだろうとたかを括っていたら、電車が全部止まるという巨大なトラップが。新宿駅ホームの荒波に打ち克って、埼京線が池袋にたどり着くまでの苦難の道のりについては、別売りの小冊子をごらんください。< ない

 定時には間に合わなかったものの、なんとか15分ほどの遅れで、池袋ジュンク堂の大森×稲葉トーク会場へ。稲葉振一郎というのは中村融に良く似ているのだなあ、というギャグはさんざん使われたので、ここでは省く。中村融のファンタジー&奇想コレクション話、山岸真の当時の思い出&イーガン(とチャン)以外の不在話で、ほぼ時間一杯。いい感じで狙いの鋭い質問も飛び出し、そろそろ終わりかというところで、稲葉振一郎到着。わずか10分で、そこまで90分話を聞いたほどの充実感を与えてくれた。SFファンダムにはほとんど接してないけどたっぷりSFを読んで来たひとの話は新鮮で面白いなあ。

 一瞬だけ『ヴィンランド』原画展を観た後、近くの豚料理屋で打上げ宴会。翌朝までだらだら話をしてました。あー、《ジェイムスン教授》のすばらしさを語り合ったことだけは覚えてるな。復旧した常磐線で翌早朝に帰宅し、ダウン。

7月24日
昼過ぎに起き出してつい出来心で録画したマイメロディを観たり。お母さん、クールでいいなあ。午後三時頃から、柏祭りの会場をふらふらまわるが、1、2時間ほどで、ひとごみに酔ったか再びダウン。体力の無さを痛感する日々。しかし、いまどき金魚すくいはともかく、かたぬきまである祭りというのは不自然ではなかろうか。> 柏祭り

7月25日
エキサイトニュース コネタ「夏に生まれる子どもは多い」説を検証した。75年から80年を境に、夏生まれが冬生まれより多くなるという話。最大の月のデータだけで、最小の月とその時の出生数が書いてないから確かな話ができない(元資料はすぐには見つからなかった)のだけど、統計的に有意な事実だとするとちょっと面白い。要は仕込みの時期が春先(3、4月)から秋口(9、10月)に変わったということだよなあ。どんな理由があるんだろう。冬の出稼ぎが無くなった?時代が合わないか。

7月27日
帰宅すると珍しく留守電のランプが点灯中。あー、先日の地震を心配した実家からの電話かなあ(< まったく連絡してない)と予想しつつ再生してみると、なんだか予想外の声が。近所のクリーニング屋が月末で閉店なので、会員証の入会費を返却するよという電話だった。

近所のコンビニが潰れた時も急だったが、これもまた急な話。徒歩1分のところにあって、ふとんクリーニングやボタン付けもやってくれる便利な店だったのに。残念無念。ああ、しかしこれでまた不便になるなあ。次に近いクリーニング屋って、徒歩5分くらいかかる気がする。コンビニも、徒歩1分が徒歩4分になっちゃったし。ぼくの文化的生活を返せ。

7月28日
MM/memo経由で、wikipediaの「卵かけご飯」の項。目次だけでも、 と妙に充実してます。そんなに玉子かけご飯が好きか、君ら。しかし、ここまで詳細に書いてあるのに、白身を捨て黄身だけをかける食べ方について記述がないのは不思議。

あの対戦型ゲームブック、ロストワールドが、 萌え対応で復活するらしい。嬉しいか?それ。
まあ、ロストワールドはやってなかったんで、どうでもいいというのが正直なところだけどな。萌えを乗せれば復刊できるってんなら、タンクハンター&バスター希望。

7月30日
突発ネタ。古今東西作家のスミス。 AMEQさんのリストには32人載っていたよ。イーヴリン・E・スミスが出てこないあたりがダメすぎ。> おれ

7月31日
黙々とデータ打ち作業。可能なら、海に行くとか、逆境ナインを見に行くとか、それ以外のこともしようと思っていたのに、結果的には何もできずに終わったよ。基礎打ち込みの一部を支援していただいた方に、感謝の言葉を。

この週末は、主に96年から00年あたりをやってたのだけど、そんな最近の話ですら、すっかり忘れていることに気づいた。
95年 エヴァ放映開始
96年 エヴァブーム(セミナーの企画、SFMの特集)
97年 クズSF論争(コップの中の)
98年 SF系Webページ急増(翌年、SFMの特集)
99年 ハリポタ邦訳/前後にジュヴナイルファンタジーが増える
改めてみると確かにこの順番だったと納得するのだけど、ふだんの意識としては、実に茫洋としているよ。在学中の出来事と、入社後の出来事に区別がつかないのはちょっとショック。エヴァ放映中に名古屋にいたのは(fj.rec.anime.evangelionのネタバレ対策とかの記憶からも)確かなんだけど、セミナーで企画をやったときにどうだったかとか、クズSFで楽しい議論が続いていたときにどうだったかとか、もうさっぱり。

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