過去の雑記 98年5月

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5月11日
会社のネットワークがすっげーくだんねぇ理由で回復。嬉しさのあまり遊んでいたら、仕事がベタ遅れになってしまった。今晩はちょっと仕事しなきゃいけないかも…。 < じゃあ、こんなもん書いてるんじゃない


5月12日
いつものようにメイル確認後にジグソーハウスによると大量のSFMが入荷していた。丸背で1000円前後(18冊なら18000円だな、10冊前後しか売ってないけど)という値段もさる事ながら、バラ売りというのが何より嬉しい。さっそく欠けとなっていた号をいくつか注文する。
これで、あと30数冊でコンプリートである。「ハヤカワHi!」さえなんとかできれば不可能とは言えない数字になってきた。残る問題は、いつ読むかだけだ(笑)。
絶対に役立てるという約束で小浜ご夫妻から頂いた号が数10冊あるので、最低限リスト化はしておきたいんだけど。
#「てれぽーと」パーフェクトインデックスとか。 < おい

注文する際に引っ張り出してきた丸背を眺めていると、「万華鏡」を発見。死刑を免れるためにも早速読んでみる。

…うーむ。

初めは翻訳のひどさのため苦笑いしながら読んでいたのだが、オチで感心してしまった。この作品、オチを活かすために随所に仕掛けがなされているのだ。
仕掛けといっても、そんな凝ったものではない。オチのイメージに重なる言葉を随所に置いているというだけだ。しかし、その単純な言葉が、見事に生きてくる。ブラッドベリは細かい構成力よりは、イメージを選び取る才に長けた作家だと思っていたのだが、意外に理性的計算もうまいのかもしれない。一度他の作品も再読してみよう。

やらねばならぬことが多すぎるので<異形コレクション>『侵略!』を読了。全体的レベルは相変わらず高い。焦燥感にあふれた「地獄の始まり」、やるせない雰囲気の「雨の町」、飄々とした「さりげなく大がかりな」がベスト3。


5月13日
仕事中に雑記を書こうと思って(思うなよ)ジグソーハウスに裏を取りに行くと、更新分に『影よ、影よ、影の国』を発見!!つい、その場で注文する。
公私混同は「できるだけ」避けようと思っていたのに。まあ、不可抗力なので仕方あるまい。

毒を食らえばそれまで((c)那須雪絵)という奴で、未読の魔法の本棚を読んでいると、5月2日がすごい事になっていた。いったい希少本ばかり何10冊手に入れてるんだ…。呆然。とりあえず羨ましいのは『ロシア・ソビエトSF傑作選下』(べリャーエフ編)、『暗黒大陸の怪異』(ブリッシュ)、『奇妙な触合い』(スタージョン)ってとこか?
見つける人ってのは際限無く本を見つけるものだなあ。

東洋大OB大熊君のページに日記ができているのを発見。ハヤカワ文庫SF年鑑の作業は順調に遅れているようだ。5月末にはパイロット版ができるはずなので楽しみにしていよう。


5月14日
横浜は、たかが巨人にやっと1勝でこのカード1勝2敗。この調子では、5月も5割キープがやっとだろう。五十嵐の復活、波留の出場解禁で選手層は多少厚くなるので、後半はもう少し頑張って欲しいのだが。
大熊君の日記に反論が載っていた。実は、年鑑は着々と進んでいるのだそうだ。なんだ、じゃあ、来週末くらいにはみせていただけるんすね。


5月15日
仕事中に偶然、京大SF研の裏ページを発見。あの伝説の96年京フェスオープニングソング、「ときめきビレニアム」が掲載されているので、あの時の感動を再び味わいたい方はぜひ訪ねてみて欲しい。ページ全体が「熱い」し。

「ばんがいち」の最新号を見ると、まっとうスポーツが落ちていた。そうすると読むとこが無いんだよな、この雑誌…、とおもったら、巻末に噂の宮村優子出演AVの画面写真が載っている。別にどうだっていいと思うんだけど、皆さん気になるんですかねえ?そりゃ、子役時代の長い笠原弘子とか富永みーなとかだったら多少は驚くけど、成人してからデビューした声優にどんな過去があっても別におかしかないと思うんだけど。

めずらしく気力が充実していたので文庫SF関係のデータベース整備を行う。しかし、桐でデータを整理するのは無理があるんじゃないかと思えてならない。やはり、LINUXを導入して、Perlで管理するのが正解なんだろうか。今のマシンは「98」なのでLINUXは確か動かないんだけど。
文庫FT、JA、創元のデータベースを構築したい欲求に再度駆られる。特に短編のリストは作っておけば便利に決まっているのだが、始めると情報の穴を埋めるための文庫収集をしてしまいそうで、やや怖い。それでなくても、絶対に読まないだろうマキャフリイとかを買ってるのに。創元は英樹さんの次のリストが出るのを待つかなあ。


5月16日
ユタの例会なるものに混ぜてもらうため、高田馬場へ。ついでに早稲田の古本屋を一通りまわることにする。が、どうも棚が痩せていてイマイチ。銀背の出物を期待していたのだが。
おかげで、文英堂で旧・奇天を見つけて思わず買ってしまう。付録欠けがほとんどで9000円という価格は、安くも無いのだが、バラで並んでいたのがつい嬉しくなってしまったのだ。また、中途半端に金を持ってたし。
しかし、せっかくバラで売っているのに、持ってる号を買う必要はないよな。反省。

芳林堂で時間を調整し、5時半頃ユタへ。誰もいないようなので今日届いたばかりの『影よ、影よ、影の国』を読みはじめる。表題作はなかなかの佳作。全体のレベルがこの前後なら、2500円という値段も諦めがつく。もちろん、新刊で800円で手に入るほうが嬉しいに決まっているが。
でも、ついでに買ったC・A・スミスは、2800円という価格に見合わない自信がある。

「までについているように」といわれた6時になっても誰も来ないので若干不安になっていると、ほどなく、大森望さんが来た。場所が間違っているわけではないことに安心。どうも、予定時刻には誰もいないものらしい。SFの集まりであることを痛感する。山本正之MLのオフなんて、集合30分前に7割は揃ってるぞ。
最終的には僕も含め8人の参加者があった。しかし、大森望、藤元直樹、小浜徹也、三村美衣、福井健太、高橋良平、添野知生(敬称略、到着順)って、面子が濃すぎると思いません?文章で金をもらったこと無いのって僕くらいじゃないのか?こんなマニアの人々に囲まれては市井の1ファンは固まるしかないよな。とりあえず、「新しいファン・グループに参加したときは数回発現せずに様子を見るもんだ」というファンダム評論家小浜氏の言葉にしたがってできるだけおとなしくしていることにする。30分毎につぎの話題が出てくる大森さんのバッグが印象に残った。
結局、茶店・夕食・茶店で5時間弱、さまざまな話を楽しく聞いた。しかし、わからない話題も多かったので反省することしきり。映画・ミステリの話が分からないのはともかく、アニメの話題で単語もわからないのはまずいよな。これからはちゃんと模型誌だけではなくアニメ誌も立ち読みしよう。
せっかくの機会なので『アーキペラゴ』の2・3章についてみなさんにうかがったが、今一つ明確なことは分からなかった。やはり、版元か、山形さん本人に伺うしかないかもしれない。努力したという「気分」を味わうためにも本人に聞くのは最後の手段にしたいのだが。
SF資料研究会が日本ファンジンインデックスとか出していてくれれば、取っ掛かりが楽なのに。
他力本願だ。

帰宅後、買ってきた奇想天外を眺める。面白い。R・マシスン、S・ジャクスン、J・コリアあたりの洒落た作家が並ぶ翻訳小説に、超能力関係の記事に、脱力の付録に、恥ずかしくなるような冗談記事。全体がすばらしく不調和でなんともいえない良い味が出ている。こんな不思議な本なら、名古屋で付録入り1冊水濡れ8000円を見つけたときに買っておけばよかった。しかし、それでも比較的理解の範囲内の値段で買えたのも高橋良平さんが、休刊となった際に断裁されるところを救ってくださったおかげだ。ありがとうございます。
いやあ、本当に変だわ、これ。


5月17日
山本正之プレゼンツの芝居、STRANGERの再演を見に行く。良かった。
芝居などほとんど見たことが無いので、平均点より上下という話はできないのだが、少なくとも、山本正之のアルバムの購買層にとっては必見の芝居だと思う。(以下ネタバレ含む)

嘉永6年(1858年)の江戸・隅田川、間宮陸太郎と吉田空之介の二人の青年が志を語っていると、そこに突然、飛行機が不時着する。乗っていたのは、1927年、スピリット・オブ・セントルイス号に乗り大西洋に向け飛び立ったチャールズ・A・リンドバーグ。3人はなぜか共感し、スピリット・オブ・セントルイスを再び空に舞い上がらせるため努力をするが…。

「游ぎつづけてビリジアン」や「そよ子のスタイルブック」のCD版などをお聞きの方はご存知のように、物語の整合性はあまりない。それよりも、過去の芝居とのモチーフの共通性、とくに「ビリジアン色の地図が入った壜」が例によって主役になっている。ストーリーよりもテーマに主体を置いた芝居だ。
多分、欠点は少なくないのだろう。芝居を見なれていないだけに演出・演技などには問題を感じなかったが、そこで語られるテーマの甘さには引っかかる人もいるかもしれない。リスクを無視したチャレンジ、無批判の自由信奉、一面的な平和の賛美、べったりとした友情…。貶そうと思えば幾らでも貶せるだろう。
しかし、こと山本正之に関しては、そのような冷笑的な視線を僕は持たない。何よりも強い親友同士の友情、異邦の友のためすべてを投げ打つ優しさ、永遠の未来への希望、明日を掴み取る意志…。これらはすべて、彼がさまざまな、そして実は一つの歌の中で歌ってきたことだ。ここにはそのすべてがある。
深みには欠けるかもしれない。安直なものかもしれない。しかし僕は、例えば「たったひとつの冴えたやりかた」を構成する計算され尽くした感動よりも、はるかに山本正之を尊いと思う。チープな、さまざまに欠点を抱えた熱き感動、それは何物にも代え難い「少年の夢」の結晶なのだ。

もちろん、小説で熱い感動は欲しかないけどね。
#小説に求めるのは怜悧な知性だよ。


5月18日
中野のガード下にアダムスキー関連の写真が大量に飾ってあることに気づく。ふだんはお祭りの写真だの、近所の小学生の絵だのがはってあるんだが。なぜにアダムスキー…。
中野区役所の2階食堂でA定食を食う。これで中野周辺の山本正之ゆかりの食いもんはだいたい食べおわった。次は池袋だ。


5月19日
SF資料研究会のSF雑誌リストがついに出てしまった。SFMはもとより、SFA、3期の奇想天外すべて、NW−SFなど主なSF雑誌がほとんど網羅されている。これで、うちのSFMリストのような雑誌リストの存在価値はかなり減ってしまった。
まあ、それはいい。使う立場としては、できるだけ網羅的なリストがある方がありがたいわけで、その点で文句はない。疑問なのは頒布用メディアがMOだということだ。容量ではPDにかなわない。保存性、取り扱いの簡便さ、リーダーの普及度はいずれもCDにかなわない。そんなメディアで出されても、僕は持ってない。いまさら、MOなんて買わされるのは苦痛だなあ。バックアップメディアとしてはPDの方が優れてるんだし。容量のでかいフロッピーなんて必要としてないし。
もちろん、「便利なアイテムを出していただく立場で、文句をつける権利は無い」ってのは正論なんだけど。

しかし、これでリスト作りが難しくなるのは確かだなあ。何らかの点でこの資料を上回らないと、無意味になってしまうし。データ的に劣るものだとたとえ自分で努力して入力したのだとしても、「ハード研のデータをコピーしただけじゃねえの?」と思われかねないし、(まあ、それは、だからどうだということもないけど)意味が無い。これからは、どんな付加価値をつけるかが勝負やね。
#全作品イントロ数行を書いておくという てんぷら 的なリストとかな。
#ハヤカワ文庫SF1000番突破記念、全作品イントロリストってどうなったんですか? > てんぷら☆さんらいず


5月20日
藤澤さん(名大(7))から、「MOよりもPDの方が遥かに終っている」という突っ込みが入る。なるほど、確認してみるとそのようだ。よく知らないことを書くときは注意せねば。

自分が使う事を考えると、大容量メディアはバックアップ用くらいしか使い道が無いので、500M以上は欲しいよな、と思っていたけど、10M前後のデータを頻繁にやり取りする人なら、MOの方がいいよね。

実際、98年2月時点で、もっとも一般的な大容量リムーバブルメディアは230MBのMOであるというアンケート結果もあるし、大容量データの配布にMOという選択はありうるものだという気がしてきたところであるよ。
#もちろん、CD-ROMの方が100倍便利だとは思うけど。

僕は、MOでは苦い体験が多いんで(研究室時代よく壊れたんだこれが)、いいイメージが無かったんだけど、今出回っているものは遥かに信用性が高いのかな。だったら、リストのついでにMOドライブも買うか?
でも、SF雑誌リストのために4万ってのはなあ。


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