過去の雑記 99年12月

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12月21日
ふと、ぴあを読んでいると、とんでもない記事が。新作映画の満足度で、「ゴジラ2000」が82.8点だぁ?特に、ストーリーと演出が共に80点前後というのが全く納得行かんぞ。アンケート回答者には猛省を促したい。

今日も今日とて週刊ベースボールを買ってくる。「記録の手帳」以外に読むところが無いのは事実だが、「記録の手帳」が「年度回顧と来期展望」に入ってしまったので、買わざるをえないのだ。そうか、オリックスの選手名はわかんねえと思っていたが、ここまで猫の目打線が悪化していたか。
しかし、冒頭の来期展望の5段階評価はなんなんだか。今期中日の攻撃力が2で、ヤクルトが4というのは現実を見ていないとしか思えない。中日のチーム得点は、横浜、読売に次いで3位だ。打撃力ならともかく、攻撃力は選球眼、勝負強さなども加味した結果なのだから、得点ベースで評価するのが当然だろう。その立場なら、少なくとも今年のセントラルは、横浜5、読売・中日・ヤクルト・広島3、阪神1というのが自然な評価のはず。ペタジーニ一人の活躍に目を奪われて、ヤクルトを中日の上位に置いてしまうような原稿じゃ、とても来期展望の材料にはならないな。

12月22日
牧野修『忌まわしい匣』(集英社)を読み終える。
<異形コレクション>及び「SFマガジン」初出の作品が多いこともあり、収録13作品中、10編が既読。各短篇が優れた物だということはわかった上で読みはじめたので、勢い興味は作品集としての構成の方に注がれたわけだが、結果は今一つ。外枠、「忌まわしい匣」も文章のレベルでは良い作品だと思うのだが、中の作品群があまりにバラエティーに富み過ぎているので、残念ながら枠としては不十分に終わっている。都市の暗部、日常の破れ目を扱う作品だけを集めた前半はそれなりにまとまっているが、やや浮世離れした作品が多くなる後半はとっちらかったものになってしまっている。これは、「SFマガジン」掲載作、特に「翁戦記」と「我ハ一塊ノ肉塊ナリ」の責任だろう。それぞれ、個々には並以上の作品ではあるが、この形式では浮いていると言わざるをえない。もう半年待って、それらしい作品が集まってから出しても良かったのではないか。前述のとおり、個々の作品レベルは高いだけに、その点だけが惜しまれる。

"CHARIOT LORDS"のルールブックを読み進める。どうやら、"Britannia"とは似て非なるゲームになっているらしい。内陸部にユニットが忽然と沸くシステムや、ターン内のプレイ順をチット引きで決定するシステムなどの存在も大きいが、一番の差は生産/補給という概念が無いこと。これで、徹底した防衛ラインと次ターンのユニット数確保という相反する課題に悩む必要はなくなってしまった。
# VP獲得と防衛線の両天秤という課題は残っているが(笑)。
大枠は"Britania"のままのだが細部のルールをいじることで、かなり別のプレイ感が期待出来るものになっているようだ。結局失敗に終わるんじゃねえかという気もするが、とりあえずプレイの機会を楽しみにしてみよう。
って、その前にルールを最後まで読め。> おれ

12月23日
昼過ぎから、明日には返さねばならない「空飛ぶモンティ・パイソン」の4と5を見たり見なかったりする。そりゃあもう手放しで素晴らしいわけだが、本気で楽しもうとすると、「字幕で意味を追いつつ」「英語を全力で聞きとって語りを楽しみつつ」「映像を注視して細部のギャグを堪能する」必要があるので、えらく疲れる。30分みると、もうへとへとである。これで3時間分を一気に見るのは甘美な拷問という風情がある。
「奇蹟の物質フロードリンの入ったDr.クレルム歯磨き」でしつこい国際共産主義も一発だ!

疲れきった後、あまりにも恥ずかしいので買ったことも隠していた中島敦『山月記・李陵 他九篇』(岩波文庫)を読みはじめる。実に気持ちの良いリズムで語られる名文。
「漢の武帝の天漢二年秋九月、騎都尉・李陵は歩卒五千を率い、辺塞遮虜{章邑}を発して北へ向かった。」
冒頭の一文からして、三五七の日本語の調子に則った素晴らしいリズムを刻んでいる。読み流すのはもったいないという気にさせてくれる文章には久々に出会った。続きは大事に読もう。

夕方から、ロボットサーカス、<気まぐれな計算>を観るため原宿へ。大熊君と1時間以上も並んだ末に見たのだが、これが……。
そもそも3000人の観衆を舞台と同じレベルに立てて並べているというあたりから主催者の見識を疑う他ないわけだが(擂り鉢上の観客席とまでは言わないから、舞台を50cm高くするくらいの努力はあってもいいだろう)、内容の方も3000人の客を相手にするには余りにもお粗末な出来だった。個々のロボット、火炎放射器だとか、レーザー発生器だとか、重砲だとかはよく出来ていたようなのだが、人垣に隠れてほとんど見えなかったので評価の対象とはなり難い。では、5〜7列目でもなんとか見えた、全体の構成の方はというとこれも駄目。序盤、ロボットたちが動き出すまで10数分、音だけで持たしたというあたりでもう不許可なのだが、動き出してからも展開が単調で目を奪われるというシーンがほとんど無かった。クライマックスの大ロボットが出てきたあたりでは、少しは派手な展開になるかと期待したのだが、結局ロボット同士をがっつんがっつんぶつけるだけで、何の工夫も見られない。ガンヘッドの爪の垢でも煎じて飲めってんだこん畜生。
それでも、大ロボットが暴れる→生き残りのロボットが一致団結して攻撃→大ロボット停止→と見せかけて再起動→本気の集中砲火→本当に停止という終盤のストーリーはありがちとはいえ上手くやれば盛り上がるところだったのだが、壊すべき物を壊すのに手間取ってしまった結果、15分でやるべきところに30分近くかかってしまい、実に間延びしたものと相成った。火炎の熱、煙の臭い、低音の振動などを生で感じたことを除けばほとんど得るところの無い見世物。クズを楽しむ気分のときならともかく、昼からモンティ・パイソンに中島敦とタイプは違えど傑作ばかりに触れてきた身にはこの甘さは耐えられない。30点。
無料なんだから文句を言うなという声もあるかもしれないが、貴重な時間を使ってこんなものを見るくらいなら、5000円払ってでも、ちゃんとした興行を見たかった。誘ってしまった大熊君には大変申し訳ないことをしてしまった。

終了後、合流できるかもしれないグループに電話をかけてみたが繋がらず。まあ、いいやと高田馬場まで出たところで、(大熊君が)もう一度電話をかけてみると渋谷で食事をしているとのこと。いまさら、渋谷に戻るのも馬鹿らしいので、早稲田で飯を食って帰ることにする。
しかし、「渋谷まで行くか」と聞かれて「たるいから帰る」と言ったのは確かに僕だが、それをそのまま相手に伝えるのはどうかと思うぞ。> 大熊君
まあ、僕が電話をしていたとしても、「そんな面倒なことはしたくないから帰ります」と言ったに違いないがな。

体も心も冷えていたので、飯は当然、CoCo壱で10辛。慣れたせいか、あまりたいしたこととは感じられない。水を普段の3倍消費したのは事実だが、普段のカレーの辛さと質的に違う物とは思わなかったのだ。なんか、舌が悪い方に変わりつつある気がする。
でもまあ、にょろ(仮名)とは違い、旨いと思って食ってるわけじゃないから別に良いか。

12月24日
終日、達成感の無い作業をする。しかも夕方からは自分のケアレスミスによる惨事の後始末。気力が削がれること夥しい甚だしい。

疲れ果てて、帰りの電車に乗り、しばらくしてはたと気づく。ビデオテープを返すのを忘れていた。慌てて引き返す気力も無かったので、そのまま大手町まで行き、向かいのホームから中野行きに乗って高田馬場へ。新たな作品を借りる気力も無く家路につく。

家の近くでSFMを探してみるが見当たらず。諦めて帰宅。

クリスマス・イヴなので、鳥(ローソンのからあげくん)とケーキ(ローソンの100円シュークリーム)で夕食を取る。主食はもちろんおにぎりだ。

心ゆくまま気が滅入ったところで寝る。

12月25日
傷心の余り、ではなく法事があるので名古屋に帰り、ついでに名大SF研のクリスマス合宿に参加する。法事のため実家による時間は3時間、合宿に参加する時間は16時間程度であるが、あくまで帰省の理由は「法事のため」である。

名古屋に向かう新幹線の中で、SFマガジン2月号掲載のラファティ「ゴールデン・トラバント」と1月号掲載のイーガン「祈りの海」を読む。
「ゴールデン・トラバント」は未来の宇宙開発と経済の関係を扱った小品。オチにはさすがにラファティらしさも感じられるが、語るに足るほどの作品ではない。
「祈りの海」は信仰と科学の狭間で揺れる一人の研究者の成長物語。実に驚異的なことに、イーガンの作品であるにもかかわらず人物に厚味がある。それでいてSF的仮構も、思弁的テーマもちゃんと入れ込んでいて過不足無い。これが書けるんだったら、普段からそうしていれば要らぬ非難も浴びないだろうに。しかし、そこで敢えて「ワンの絨毯」を書いてしまうあたりがイーガンのイーガンたる所以なのだろう。というわけで、"Diaspora"の翻訳熱烈希望。

名古屋に着いたら何はさて置き、名大SF研の部室へ。ところがなんてこったい、部室には誰も居ない。卒業以来2年と9ヶ月、実に初めての体験である。さすがに鍵の番号までは把握していないので、諦めてヴィレッジ・ヴァンガード本山店に寄る。今のポップと商品層なら、1号店よりも面白いかも。

適当に時間を潰してから合宿会場の愛知県労働者研修センターへ向かう。合宿の参加者は最終的には、小松、細木、山田(博)、松野、浅井(良)、林、水牧、岡崎、堀口、森下、山川、稲川、竹橋、築山、野々辺、山内、野呂、安田、渡邊、平田(祐)、保母、水野の(多分)22名。多分、初対面ないし2回目の顔合わせなのが9名もいるので、忘れないうちに以下に印象をメモしておく。(興味の無い向きはこれで先に進むことが出来る)

稲川(16):第17代会長。ラガドーンタバーン(RPG系サークル)と掛け持ち。パッと見の真面目さは田中(克)(11)に似ている。クリスマスプレゼントとして、旅行先で取った写真入りのカレンダーを持ってくるあたりも田中風。ギャグの受け手としては問題無いが、発信者としては時に切れ味が足りないか。失敗するケースではネタの説明が冗長な場合が多いので、もう少し端折ることが出来るようになれば一皮剥けそう。
竹橋(16):多分、一度会ったことがあるはず。やたらテンションが高い芸風は、僕がいた頃の名大では見なかったもの。先輩方の評によれば鵜飼さん(7)に似ているとのこと。なるほど。
築山(16):ミステリの人でもあり、ラガドーンの人でもあるらしい。えんえんPCに向かっていたので顔くらいしか分からない。
野々辺(16):こちらも、えんえんPCに向かっていたが、野呂(17)や神崎(13)から芸風を聞かされていたので顔さえ分かればそれで良しだ。プレゼントがオリジナルのラブコメ小説というあたり、これも僕の在籍時には見なかった芸風だな。
山内(16):いたはずなのだが、どうにも思い出せない。消去法でしか特定でき無いかも。ただ、プレゼントは今回の最優秀作(鼻メガネを改造したヒゲガンダムメガネ)だったはず。
安田(17):今回の幹事。想像通りの気弱さを見せつけてくれたので嬉しかった。今回は、幹事としての仕事に追われていたようで、残念ながら芸風を確認するにはいたっていない。普段からあのままだとしたら、さぞや野呂にこき使われていることだろう。
渡邊(17):外見は朴訥そうな好青年といったところだが実際のところはよくわからない。しかし、「偉そうな雰囲気」では他の追随を許さない野呂を出し抜いて第18代会長に就任したところを見ると、本当に好人物なのだろう。
平田(祐)(18):外見は東洋大の齋藤くんに似ていたが、例によってあまり喋っていないので実体はよくわからない。変な奴であることを期待したい。
保母(18):水野(18)とコンビを組んでいるシーンが多かった。そう多くの会話を聞いたわけではないが、タイプとしてはツッコミ型のようだ。水野とのコンビは納得できるものがある。

合宿と言っても、しょせん文科系サークルなので、片眉を剃り落として特訓したりはしない。ボウリングをしたり、手作りプレゼントの交換会をしたり、酒を飲んだり、読書会をしたり、ボードゲームをしたり、ビデオゲームをしたりするだけだ。20数名もの男女がクリスマスの晩に過ごすにはあまりにも健全な一時である。もう少し何とかならんのか。> 君たち

ボウリングは、過去にも無いほどの散々な出来。2ゲームでアベレージが54というのは、いくらなんでも10歳以上の男子に許される数字ではない。12投中9投がガターなどという瞬間が合っては仕方が無いともいえるが、せめて100は狙えるようになりたい物である。

プレゼントは作って行かなかったので、ゆっくりと見物する。前述のように最高傑作はヒゲガンダム変身セットなわけだが、他にはあまり凄い物が出なかった。矢来さん(7)の「国土地理院に入って初めて埋めた三角点」とまでは言わないが、もっと人を愕然とさせるような品に出てきて欲しかった。

読書会の御題は何故かアシモフ『鋼鉄都市』。さすがに場が停滞していたが誰かが不用意にもやおい方面に話を振ってしまったので、一部が一気に暴走してしまった。とりあえずの結論はベイリとダニールと市長は三角関係で、やおいは胸がときめくけど、ホモは胸がときめかないということらしい。司会にはもう少し場の支配力を持つことを期待したい。
しかしまあ、本を一切読まず読書会に参加し、ぬけぬけと作品について語り続ける野呂と、それに全く気がつかない山川というコンビを拝めただけでも収穫ではあった。

読書会後は当然ゲームだ。「ニュークリア・ウォー」(Flying Buffalo)の参加者は松野、浅井、林、堀口、山川、水野。「湾岸戦争」(翔企画)の参加者は松野、浅井、林、堀口、安田。どのプレイも浅井と二人で場を支配はしたが、互いに(口先で)潰しあってしまい二人とも1勝も出来ずに(浅井は1勝したかも)終わる。駄目すぎである。僕が正々堂々と自分に有利な方向に世論を誑かそうとしているときに、冷静な状況の提示ではなく、僕への不信感を煽ることで世論を動かす戦略(「かれこれ15年近い付き合いになるが、林の言うことに従って勝利したプレイヤーはいない」など)はどうかと思うぞ。> 浅井
それにすぐさま納得する君たちも君たちだ。>他の参加者

今回の参加目的は、若者と交流し名前と顔と芸風を一致させることだったのだが、気がつくと先輩や同期と話をしているようでは顔はともかく芸風の把握まではおぼつかない。残念ながら数人は人物把握出来ずに終わった。次の機会にはぜひとも全員の芸風を把握したいものである。

12月26日
合宿を早めに切り上げて実家に戻り、法事が始まるまでの間に創刊から2年分の「ドラゴン・マガジン」を「眺める」。思ったより、時間と気力が無くて「眺めた」としか言えないのは実に残念だ。
というわけで確定情報ではない(年明けに再調査予定)のだが、「眺めた」範囲では、誌面にも、広告にも「ヤングアダルト」という文字はないようだ。確実とは言えないが、「ヤングアダルト」角川/富士見自称説は無理があるようだ。
と、なると大学入学前にヤングアダルトという言葉を知っていたはずという僕の記憶との整合性が問題になるが、これは大した事はないかもしれない。僕の大学入学は91年春なので、それ以前にヤングアダルトという言葉が十分に広まっていれば良いわけだ。真相はまたも薮の中である。
なんら確定情報が無い段階で、あれこれ言っても仕方が無いが角川路線をいつまでも追い続けても無駄になるかも。商業誌での記述を丹念に追い、誰がいつ使いはじめたかのリストを丹念に作っていく作業が必要かな。

12月27日
昨晩は東京に戻った瞬間に眠り込んだだけに、5時起床などという奇跡的なことが起きた。久しぶりに見る「タイムボカン」には木江田博士が登場している。ああ、ドタバッタンだよ。懐かしいなあ。

自分の予想と見比べつつ、SFマガジン読者賞をチェック。国内は当然当ったが、他は今一つだった。一応、アサロが4位、山下しゅんやが3位なので完敗とまでは言わないが、スターリング、藤原ヨウコウとも予測できてしかるべきものだったので、敗北感は深い。この雪辱は来年、必ず。

12月28日
昼食時に読むべき本が無かったので、『科学者の熱い心』(講談社ブルーバックス)、佐藤文隆『物理学の世紀』(集英社新書)を購入する。

風邪気味だったので、納会を途中で切り上げ、部の忘年会にも参加せず早めの帰宅。SFM1月号を読む。英米SF受賞作特集の残り(イーガンは既読)2篇、ラッシュ「エシュア」とスワンウィック「輝く扉」は共に女性の一人称の難民物。未来からの難民といういくらでも膨らみそうなテーマを扱いながらありがちな政府は信用ならねえ話に堕してしまう後者よりは、家族間の葛藤を描くふりをしてアイデンティティの問題にいってしまう前者の方が好みといえば、好み。全体レベルは低くはないのでさほどの不満はないが、出来ればもう少し派手な作品も欲しかったところ。掲載3作とも語りが落ち着いたものであるため、地味な印象が拭えない。あと一作、破天荒な作品が欲しかったと望むのは贅沢か。

12月29日
昼過ぎに起きて、池袋へ。リブロ、ジュンク堂、芳林堂とアーヴィング『ウォーター・メソッドマン』を探したのだが、見つからず。しかたがないので植芝理一『ディスコミュニケーション 精霊編』1巻(講談社アフタヌーンKC)と唐沢なをき『電脳炎 ウィン版』2巻(小学館ビッグコミックススペシャル)を購入。後者は買うまいと思っていたのだが勢いと慣習というのは恐ろしい物である。でもまあ、『マック版』を買ってないあたりは成長しているといえるのではなかろうか。

西葛西に戻ってから、巷で話題の高橋しんの新連載をチェック。……なるほど、これはすごい。多分、マンガの人も、その周辺の人もネタバレを我慢してくれるのは年内程度なので、万が一にもスピリッツをチェックしていない人は書店に急げ。

佐藤文隆『物理学の世紀』を読了。「物理帝国」の興亡を簡潔に描く好著。器の問題もあって、科学理論の詳細までは入り込まないが、その制限の中で20世紀の物理学史を見事にまとめている。一般人にとって、科学者とは物語の創作者だ、ってのは重要な視座だ。実利に直接結びつきにくい巨大科学が行き詰まった今、求められるのは科学の成果をわかりやすく物語にする語り部なのだろう。

パラパラと『電脳炎』をめくっているうちに恐ろしいことに気づいた。カバー、巻末の2000年問題解説だけではなく、カバー裏に隠されたマンガもウィン版とマック版で違うのか。ああ、しかしこんな事のためだけに500円払うのは悔しいなあ。

12月30日
ふと思い立って、ラファティのリストに「ゴールデン・トラバント」を追加する。ああ、SFMリストの更新が完了するのはいつの日か。

名古屋から持ってきた阿刀田高『恐怖コレクション』(新潮文庫)を眺めていて、ちょっと驚く。阿刀田も「ミステリィ」という表記を使っていたのか。うーむ、ミステリ及び周辺作家のミステリに対する表記を各人毎、時代順に一覧表にしたら面白いだろうか、って誰がやるんだそんな面倒な上に役に立たない作業を。

12月31日
突発的カラオケOFFのため、集合場所の池袋・芳林堂へ。が、集合予定時刻の19時には芳林堂は閉まってるんでやんの。閉店後の書店の前での待ち合わせはあまりにも空しいものがあったことである。こういった事実はちゃんと確認しておくように。 > 主催者(おれ)

参加者(ジョニイ@ただ、風のために。2、ちはら@いろつきおとつき、林、森@森太郎のサイト、谷田貝@ノストラダまス(あいうえお順、敬称略))が揃ったところで、パセラに行ってカラオケ。池袋駅周辺にも客がいなかったが、パセラ店内には輪をかけて人が居らず、パセラの客引きという世にも珍しいものを拝むことができた。
カラオケは回線の混雑で歌えない歌が出るなど若干の不満はあったものの、概ね満足。ただ、中島みゆき、筋少、戸川純、筋少、YAPOOSという流れにはどうなることかと思いはしたが。「なぜ、もっと健全かつ陽気な歌が歌えないか、君たち」、と「肉屋のように」を歌いながら思ったことは記録しておこう。

カラオケ屋で2時間半ほど過ごした後、今日の本当の目的であるところの森太郎さん主催の初詣&初日の出鑑賞会(初詣は鑑賞しないので注意)に参加するため、待ち合わせ場所の「いけふくろう」前に向かう。参加者は、ジョニイさん、ちはらさん、林、森さん、谷田貝さん。待ち合わせ場所についてみると参加者が全員揃っていたので、ほどなくその場を離れ、蕎麦屋を求めてさまようことにする。
さまようこと数十分、行けども行けども蕎麦屋は見当たらない。当初の目的地、鬼子母神も通り過ぎ、目白から山手線にでも乗るしかないかと覚悟した頃、やっと蕎麦屋を発見、無事年内に年越し蕎麦を食べ終えた。

食べ終えたところで、「いまさら、鬼子母神を参詣してジュンク堂に行ってというルートではつまらない」という主催者の意見があったので、2000年までJRに乗り続けるため目白駅に向かう。Y2K対策で駅に停車したままになる電車に乗ることで、2000年が来たという実感を味わおうという計画である。一見、稚気溢れる無邪気な計画のようであるが、提案者が提案者なだけに、JRの過剰な対策を鼻で笑ってやろうなどという邪悪な意図が込められているに違いない。

てなわけで山手線に乗って一路、神田へ。東京中の人が集まったのでは、と錯覚させるほどの人出で賑わう渋谷で電車は停まり、遠くから微かに聞こえてくるカウントダウンの大合唱とともに2000年の幕開けを迎えることになったのであった。

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