金沢で一番短い坂

金沢で一番短い坂、あるいは長い坂はなにか?
これは、坂とは何か? によっても変ってくる。たとえば卯辰山。ここは金沢の市街地に近い小山である。それほど高いとはいえないが、それでも標高は141mある。ふもとから登る坂道、距離にして1.5Kmを超える。しかし、これを坂道と呼ぶか、山道と呼ぶか、判断が分かれるところである。
金沢で一番長い坂、これは鶴間坂とも言われている。長さは400m弱である。また、この少し南にある牛坂。これは更に長く、約700mある。但し、牛坂になると旧城下町を外れそうなので除外しているのかも知れない。鶴間坂か牛坂、対象とする範囲にもよるが、どちらかを”金沢で一番長い坂”というのは、まあ妥当なところだろう。

では、一番短い坂は?
これこそなにを坂と呼ぶか、によるだろう。名前のついた坂では、暗がり坂が短い。実測はしてないが、20m程度だろうか?高さも比較的低い。でも、無名の坂を入れるなら、もっと短い坂はいくらでもある。とはいえ、段差があれば坂、というのでは面白くない。最低限、一般の道路にある坂でないといけないだろう。個人宅の入り口にある段や、庭にある坂、風情はあってもここには入れられない。やはり、普通に通行できる必要がある。

そんな中で見つけたのがこの坂である。長さは5m程度であるが、段差はその割には大きい。1mを少々超える程度は有りそうだ。そして、非常に勾配が急である。真横から写真を撮っておおよその勾配を見てみた。約33%もある。勾配、5%になると急な坂に感じ始める。少し長くなると自転車でそのまま登るのは苦しくなる。高速道路では、だいたいこのあたりを上限にしているようだ。
一般道路で、急坂に注意の標識で見かけるのは、10%程度からである。10%というのは、水平に100mの距離で10m登ることになる。と聞けば大したことなさそうに思えるかもしれない。身近な例を一つ。車の長さは小型車で4.5m程度である。端を45cm上げたら・・・。結構急だと理解してもらえることとおもう。タイヤ交換でジャッキアップしてもここまで傾けることはないだろう。10%の坂、鉄道は登れないし、車でもたとえばトラックになるとかなり厳しい。私が見たのでは12%程度が最大であるが、Webでは、20%の標識が紹介されていた。

しかし、この坂は短いとはいえ、33%である。おまけに、いきなり坂になる。気がつかずに突っ込んだ車の中には、下回りを坂にぶつける車もいるようで、坂の上と下には無数の傷跡があった。索引用のフックなどがぶつかるのか、ちょっと深い溝もあった。この坂の横には迂回路的に緩い坂があるのだが、気がつかずに進んでしまう車もいるようだ。

”金沢で一番短い坂”よりは、珍風景に入れた方がよさそうなこの坂(もちろん無名)、下菊橋から寺町に登る幹線道路の坂(実はほとんどは橋)の下にある。

近くでみると、急坂なのがよくわかる。
坂を上から見る。
坂が短いので目立たないが、あまりに急な坂。もしこの勾配で長かったなら・・・。崖を転げ落ちそうに感じるとおもう。
坂を真横から見る。
さすがに家の階段よりは緩いが、それでもかなりの勾配であることが分かると思う。1m弱の高低差を一気に登ることになる。

歩くならそれほど苦にはならないが・・・。
坂を離れてみると・・・。
左が”金沢で一番短い坂”である。
右に迂回路がちゃんと作られている。
道を知っている人なら迂回するはず・・・?

坂の降り口にあった道路の傷跡。
まだ新しそうな白い傷がいくつもある。

黒くなって目立たなくなっている古い傷跡は無数・・・。
この坂、近所の人でもないと通らない道。そんなに車は通らないと思うのだが・・・?

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