築基参証 第二篇 健身静坐法の実践
第1章 静坐の前後で注意すべきこと

許進忠     撰述
虞陽子     査定
神坂雲太郎    訳

第二篇 健身静坐法の実践

 

 

第1章 静坐の前後で注意すべきこと

 

  1. 静かな部屋を一室用意するか、あるいは寝室を静坐用にする。静坐をするときは、窓と戸を閉めて、他人に邪魔されないようにする。天候 がとてもあつくなったら、様子を見て窓などを開けてもよいが、体に扇風機などの風が当たることは避けねばならない。
  2. 長い間坐るため、柔らかくて厚めに作られた座布団一枚を準備するか、あるいは掛け蒲団や毛布を折り畳んで二、三寸にしたものを代わり にしてもよい。
  3. 静坐の前後には、刺激の多いものごとをなるべく排除し影響を受けないようにして、心身を安らかにしなくてはならない。
  4. 静坐をしようと思った時、心身にいらだちを覚えたならば、すぐに坐ろうとするのはよくなく、この時まず一度散歩をしてこうした気持ち を発散させ、心が落ち着くのを待ってもう一度坐るのがよい。
  5. 坐る前は衣服を緩めて、体をゆったりさせる。
  6. 体は真っ直ぐにして、きちんと坐る。
  7. 静坐が完全に終わっても、ゆっくりと目を開け、腹をよく撫でてから、手足を伸ばさなくてはならず、決してすぐさま立ち上がってはなら ない。体が熱くなって汗をかいたら、熱がおさまって汗が乾くまで風にあたるべきではない。汗が多ければ、拭いて乾かすべきである。
  8. 初めて静坐を修養しだして、天候が寒くなったら、両膝の上に、衣服や掛け蒲団や毛布で覆い、冷やしてリューマチに罹らないようにしな くてはならない。十二時位に陽気を巡らせた後では、この項の体を保護する行為は、様子を見て省略しても構わない。
  9. 初めて静坐を修養しだして、陽気がまだ十二時位を巡っていない時には、絶対「房事」を避けなくてはならず、その後も様子を見てなるべ く避け、静坐の成果を妨げるようなことは止めなくてはならない。

 

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