築基参証 第二篇 健身静坐法の実践
第10章 静坐時、継続して陽気を巡らせること

許進忠     撰述
虞陽子     査定
神坂雲太郎    訳

 

第10章 静坐時、継続して陽気を巡らせること

 

  1. 陽気を臍下丹田から出発させ、十二時位を巡らせて、再び臍下丹田へと戻す。いったん温養した後は、陽気をもう一度継続して運行させ る。
  2. 陽気を続けて巡らせるのは、原則として一度目の運行と同じである。陽気の一度目の運行とは、十二時位を開発することに重点があり、二 回目以降の運行では、重点は陽気を煉って養うことと体質を改善すること(築基)にある。
  3. 陽気が通る十二の時位とは、子時位(臍下丹田)・丑時位・寅時位・卯時位(夾脊)・辰時位・巳時位・午時位(泥丸宮)・未時位・申時 位・酉時位(絳宮)・戌時位・亥時位である。
  4. 子・午・卯・酉の四つの時位で温養する時間は、陽気が滞りなく進む程度であるべきであり、様子を見て温養する停息の数(時間)を加減 しなくてはならない。
  5. 子時位の温養には、陽気が出発する前と戻ってきた後が含まれる。陽気が出発する前の温養の役割は火を起こして上昇させることであり、 戻ってきた後の温養では集中して封固(訳者注: もともとは外丹の用語で鼎の中に薬物を封じ込めること。ここでは、内丹的に陽気に意識を集中すること。柳華陽の上掲書「風火経第六」に封固は温養であると ある)することである。卯時位の温養には陽気が上っていく時に陽気が進み過ぎたり、またその逆だったりするのを防ぐ役割があり、それゆえ 停息しなくてはならないのである。午時位の温養の役割は陽気の性質を変化させることと、進んできた陽気を方向転換して下ろすことである。 酉時位の温養には陽気が下っていく時、陽気が降り過ぎたり、またその逆だったりするのを防ぐ役割があり、それゆえ停息しなくてはならない のである。
  6. 必ず陽気を続けて運行しなくてはならないのではない。一般に避けなくてはならないのは真意で陽気を導いても、真意が先行して陽気がつ いていかなかったり、真意が先行して陽気がその後をついていくことで、とんでもない間違いや、あるいは空転(訳者注: 小周天を行っていると錯覚すること。空車を回すこと)といった弊害に陥る。必ず陽気と真意は同行させるべきで、さもなければ正確な陽気の運行の方法ではな いのである。
     以上が陽気が関を通ることと、河車を巡らせることである。以下の章の小薬の採取の後は、まさに三百妙周、百日築基といった正しい修行を 行うのである。

 

 

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