〜ボウリングの理論〜

第二号

(1998年10月26日)


2.ストライクを取るために(その1) 

 さて、今回はストライクを取るためにどうしたら良いのかを考えてみたいと思います。
みなさんご存じの通り、ボウリングのピンはレーンの一番奥に三角形に並んでいます。アプローチから見ると結構ピン同士が近くに並んでるように見えますが、ピンとピンの間はピンの中心から中心までで、30.48cmも離れています。1番ピンと10番ピンの間は、

30.48×3=91.44[cm]

も離れています。ですから、これを1度に10本も倒すストライクは、結構むずかしいことなのです。確かにポケット(1番ピンと3番ピンの間)やブルックリン(1番ピンと2番ピンの間)に入れればストライクになる可能性はありますが、たまたまストライクになるだけでは良いスコアを出すことは難しいのです。

ピン配置 では、ターゲットとなるピンの配置を見てみましょう。ピンの配置を図1に示します。ピンはレーンの一番奥におかれています。ファールラインから60フィート(18.28m)先に1番ピンがあります。この距離はちょうど人が目で見て目標を定めるには、心理的に不安を生じる距離であると言われています。60フィート先にある1番ピンを三角形の頂点にして、二列目に2番ピンと3番ピンの2本、三列目4番ピン、5番ピン、6番ピンの3本、そして4列目に7番ピン、8番ピン、9番ピン、10番ピンの4本で合計10本のピンが正三角形に配置されています。
このように配置されている10本のピンをすべて倒すには、まず1番ピンに当たらなければ不可能です。ごくまれに、1番ピンにボールが当たらなくても、跳ね返ったピンが前方向(ファールライン側)に倒れ、ストライクになる場合がありますが、狙ってできる物ではありません。

ピンの倒れ方 では、どのようにしてストライクにすることができるのでしょうか。ストライクになる場合のピンの倒れ方を図2で示します。図の黒い矢印がピンの倒れる方向を示しています。赤い矢印はボールの進む方向を示しています。図のように、はじめにボールが接触する1番ピンが2番ピン方向に倒れ、2番ピンを倒します。そして、2番ピンは4番ピンを倒し、4番ピンが7番ピンを倒すといった、将棋倒しの要領でピンを倒します。次にボールは、3番ピンに当たり、3番ピンは6番ピン方向に倒れて6番ピンを倒し、6番ピンは10番ピンを倒します。ボールはさらに、5番ピンに当たり、5番ピンは8番ピンを倒します。最後にボールは9番ピンを倒します。ボールは4本のピンを直接倒しますが、残りの6本は倒れたピンがほかのピンを倒すことで、10本のピンをすべて倒すのです。実際にはもっと複雑なピンの動きがあり、1番ピンと3番ピン以外はピンアクションによって倒れることもあります。

ピンの倒れる方向  では、図2のようにピンを倒すにはどの位置にボールを投げれば良いか考えてみましょう。
ボールがピンに当たった時、ピンはどの方向に倒れるでしょうか?
ボールがピンの真っ正面に当たれば、真後に倒れます。右側に当たれば、ピンは左方向に倒れます。逆に、左側に当たれば、ピンは右方向に倒れます。このことは感覚的にもすぐにわかります。力学的に考えると、ピンはボールと接触した点のちょうど反対側に倒れます。言い方を変えるピンとボールの接線の垂直方向にピンは倒れます。(図3)

角度
 図1で示したように、ピンは正三角形に配置されています。つまり1番ピンと2番ピンを結んだ直線と1番ピンと3番ピンを結んだ直線に挟まれた角は60°になります。ファールラインから垂直に1番ピン方向に結んだ線と1番ピンと2番ピン結んだ線の挟む角は、60°の半分の30°になります。つまり、1番ピンを2番ピンの方向に倒すには、ピンに真っ正面から右方向に30°ずれた位置に当てれば良いことになります。(図4)

板目  その位置は、図5のようにレーンの中央から”b”だけ右側にずれた位置にボールの中心が通る様に投げればいいことになります。
まず、”a”はピンの半径とボールの半径を足した距離になりますから

a=12.1÷2+21.5÷2
 =16.8[cm]

となります。
つまり

sin30°=b/a
b=a×sin30°
 =16.8×0.5
 =8.4[cm]

となり、これは、レーンの中央から板目で約3枚右にずれたところであり、右端から17枚目になります。

 何だかんだといろいろ書きましたが、結論はストライクを出すためには板目17枚目を狙えばいいことになります。


ワンポイント・マナー(その1)
・優先順位

 となりあったレーンでは、同時に投球する事はしないようにしましょう。
アプローチにあがるとき、となりレーンのアプローチに人が立っていたら、投げ終わるまで待ちます。もし、となりの人と同時にアプローチに立とうとしたときは、右側の人が優先されます。



第三号は11月中旬?掲載予定です。

[予告号 ・はじめに]
[第一号 ・レーンと用具]

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