ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

 究極のおままごと:夏の冷房をどうするか

1999年4月22日
 家庭で省エネの取り組みをするにあたって、どうしても家族の協力が大切になってきます。比較的小さい子供は、いっしょに楽しみながらやっていけるようですが、高校生くらいの子供と、男の人がなかなか言うことを聞かずに大変のようですね。
 4月1日にも書いていますが、オフィスで冷暖房完備された場所から、エアコンを控えた家に帰ってくると確かに居心地が悪いのかもしれません。さて、このような場合、どのような言い方をしたら帰ってきた夫を説得できるのでしょうか。

 今日はひのでやエコライフ研究所で研究会があり、研究員が何人か参加してきましたので、家庭でどのようなやりとりがあるのかシミュレーションを行ってみました。夫と妻のやりとりのシミュレーション、すなわち「おままごと」です。ちなみに女性がひとりしかいませんでしたので、男同士の組み合わせもあり、なかなか変な雰囲気でした。

 シチュエーションは、夏。涼しいオフィスから帰ってきたところ、28度に設定された我が家が暑いために、夫がエアコンの設定を下げたところから始まります。

妻:あなたなんでそんなに温度を下げるのよ(怒る)
夫:(・・またいつもと同じことを言っているな) よくこんな暑いところに居られるな。いつもいつも。
妻:着ているものを脱いだらいいじゃないの。
夫:(・・うるさいなあ) Tシャツだけになってこれ以上何を脱げと言うんだ
妻:扇風機を回せばいいのよ ★1
夫:扇風機はどこにあるんだ
妻:隣の部屋の押入にあるわよ
夫:そんなものすぐ出してこい
妻:なんでよ、あなたが暑いんだから、自分で出してきなさいよ(と言って設定温度を上げる)
夫:勘弁してくれよ
妻:(・・しかたないか)じゃあ、出してきてあげるわ。じょうがないわね。
夫:(・・おっと、勝ったかな) ありがとう(と言ってひそかに設定温度を下げる)
妻:なんで下げるのよ。扇風機でいいんでしょ?
夫:扇風機よりエアコンのほうが涼しいんだ。会社だってエアコンなんだぞ。 ★2
妻:会社は会社、家では家のルールに従ってもらいます。
夫:そんなルールは聞いていないぞ
妻:家にずっといるのは私なんだから。ずっとエアコンをつけていたら身体が悪くなっちゃう。★3
夫:そんなに寒いのなら長袖をきたらいいだろう。
妻:そんな電気代がもったいない ★4
夫:大した額じゃないだろう
妻:大した額よ、あんなみたいな平社員にしては。もっと給料をとってきなさいよ。
夫:どれくらいかかっているんだ
妻:月に1万5000円くらいもかかっているのよ。 ★5
夫:そのくらいいいじゃないか
妻:暑くて身体を壊す人はいないわよ ★6
夫:暑くて寝ていられないんだ。明日の仕事に差し支えるよ。 ★7
妻:じゃあ涼しい浴衣を買ってきてあげるから
夫:そんなもんじゃ、寝られないだろう。
妻:わかったわ。寝る前にタイマーをしてよ。

 まあ、二人とも男で、家庭を持っていないために、まあこんなものかなといった感じなのですが。なかなか面白い発言が出てきています。以下ちょっと解析をしてみましょう。

★1: エアコンに代替するのは、扇風機くらいでしょう。こちらなら暑いと思った人に向けて風をあてていれば、他の人に迷惑がかかるわけではありません。またエネルギー消費量も1/10程度ですみます。なかなかいいアプローチでしょう。

★2: 一般的にオフィスでは24度程度に設定されているようです。その世界からしてみれば、たとえ扇風機がついていたとしても28度の世界は暑いと感じるのは当然ではないでしょうか。ここで妻は、会社の設定温度を尋ねてみて、もし知っているようだったら28度が基準であることを示し、会社のほうが異常であることを伝えられたらGoodでしょう。世の中のためにもなります。

★3: 女性の方が冷房に弱いのは、その通りのようです。ちなみに私が夫役をやっていたのですが、この言葉はやはりちょっと効きました。相手にとって不快であるのならば、こちらが譲るということも考えなくてはならないでしょう。なぜ冷房温度を下げたかというと、単に自分にとって不快であるというだけのことですから。
 ほかのグループでは、娘を引っぱり出してきて、「娘も寒すぎると言っているんだから」と夫を攻めるところがあったようです。これは非常に効果的だったと言っていました。

★4: 家庭を切り盛りする立場にとってはやはりお金は重要な要素です。ここに夫も家事に参加してくれていたら、どれだけ大きな物か認識できるんでしょうけれど。

★5: この額が大きいか小さいかは、夫には判断しかねるような気もします。給料としか比較できないでしょうから。ここはやはり「あなたの小遣いから差し引くわよ」といった一言がほしかったところです。

★6: 冬の暖房でも同じような場面があるそうですが、暖房は少ないと風邪を引く可能性があるということで、あまり強行には言えないようですが、夏は我慢しても風邪をひくわけではないので、いいかもしれません。ただ★7のいいわけは許してしまいます。

★7: 夫役をやっていて、これはなかなかいい言い訳だなと、ほれぼれしました。本当に差し支えるのか、そんなことは分からないのですが、言い訳としては最高です。逆にこれに対する反論はなかなか難しいかもしれませんね。これに対して変な反論をすると、話がこじれる可能性があります。
 本当にそうなの、一度試してみたら、といった感じのアプローチはどうでしょうか。本人だって本当に差し支えるかわからないわけですからね。

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 夫にもそれなりの「言い訳」常套手段があるようで、なかなか説得するのは難しいかもしれませんね。理詰めでも時間がかかるでしょうが、長期的に慣れさせたり、納得してもらったりすることが重要でしょう。実際に環境家計簿をつけていた家庭でも、何年も言い続けてようやく少しだけ協力するようになったというところもありました。

 まあ、省エネを夫に呼びかけるのは大変かもしれません。関係を悪くしてしまってもいけないですし(そこのあたりはよくわかりませんが)。電気使用に厳しく言ったのなら、そのほかのところで優しくするといった、「あなたを嫌っているわけではない」といった様子を示しておいたほうがいいかもしれません。

 いやあ、久しぶりのままごとで楽しかったです。
 

この内容に関してのお問い合わせは鈴木まで。お気軽にどうぞ。

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