ごみにまみれて '98/06

Last update: 98/06/29

[98/05][98/07]



●倒産 (98/06/29)

 電車は二酸化炭素の排出が少ないんだよな、などと考えながら、熱海から夜行電車で帰ってきました。実は普通列車も新幹線もそれほどエネルギー消費量的には変わりがないらしいのですが、でもなんとなく普通電車のほうがすくなそうな感じもします。大垣夜行(別名:人民列車)、人気のない熱海の駅で2時間ほど本を読んでいると、真夜中にいきなり到着するのが満員の電車です。日本の戦後を思い浮かべられる、数少ない残された場面でしょう。京大周辺の朝の自転車風景(通称:北京通り)と共に大好きです。

 久しぶりに夜行電車で眠ることができましたが、やはり疲れるもの。ゼミが始まるまで下宿で仮眠をとっていました。昨日の三五度という気温にはかなわないでしょうが、下宿は風通しが悪いことも重なって、なかなか苦しみながら横になっていました。

 静岡のおみやげを送ろうかと、大阪で働いている友達に電話したのですが、なんと二週間ほど前に会社が倒産したそうです。会社が借りているマンションに住んでいるので、七月の半ばには追い出されるため新しい下宿を探しているとのこと。一応、自分の部署は仕事が順調に進んでいるので、他の会社に合併されるだろうということで、まだ会社には通っているそうです。本当は深刻な話なんでしょうけれど、やはり冗談みたいで笑っちゃいますね(すみません不謹慎で)。友達に会社がつぶれたことを電話で話をすると必ず笑われるそうです。まだ若いのでどうにでもなるんでしょうが、これが一家の大黒柱だったらどうしようもないんでしょうね。就職を考えていない学生の身分では不況もあまり実感がわかないのですが、世の中はかなりシビアですね。こりゃ環境対策費が削られても文句は言えないかもしれないですね。


●4歳 (98/06/28)

 家に帰ると甥っ子が待っていて、遊ぶことになります。京都から帰ってくる時には「おじちゃんとウルトラマンごっこをするんだ」と待ちわびていたらしく、ようやく私を覚えてくれたかと涙が出てくるほどうれしかったもんです。かわいさからずっと怪獣として「やられ」ていたのですが、さすがに3日目にもなると疲れてきますね(^^;)。もう勘弁してくれって感じです。逆に姪っ子の方は、人見知りしてしまって全然近づいてくれなかったのですが、ようやく二晩目にして笑いながら「け飛ばして」くれました。人の子だからかもしれませんが、かわいいものです。

 昨日の晩は「おじちゃんと寝る」というわけで、始めて一緒に寝ました。しかし、夜中にけ飛ばされて起こされてしまいました。ちゃんと九〇度回転するもんなんですね。朝まで寝付けずにずっと観察していたのですが、朝になるとちょうど布団から落っこちて目が覚めるようです(^^)。夜になるとさすがに冷えるので、窓を閉めたり、布団をかけたりとなかなか気を使うものです。

 というわけで、さすがに朝起こされて「遊ぼう」と言われても、遊ぶ気にはなりませんでした(^^)。子供ができると大変でしょうね。試しに「おじちゃんはお仕事だから」と、子供の前で勉強を始めてみたのですが、甥っ子が膝の上に乗ってきて一緒に手を動かしたりしていると、気になってなかなか仕事がはかどらないですね。


●ごみの研究 (98/06/27)

 結婚式はなんとも田舎らしくなごやかな雰囲気でした。近所の方々や、親戚衆、昔の友達などが集まって、わいわいがやがやしていました。ホテル伊豆急もリゾートホテルとしては非常にいい場所なのですが、窓の外がプール付きの庭になっていて、もう水着で泳いでいる人が居る中での結婚式は、さすがに「厳かさ」はなかったですね。

 幼稚園から中学校までいっしょ(11年間一クラスです)だった友達6人ほどが呼ばれていました。ただ、一クラスといっても遊ぶグループが自然とできるもので、あまり遊ばずにご無沙汰していた連中と再会したって感じです。彼らではよく夏や正月に会っていたみたいですけれどもね。ただ昔話になると、話がはずみました。幼稚園の時に女の子の便所を覗いたとか、それでめちゃくちゃ怒られたとか、小学校の時に女の子が体育で着替えをしているところを覗いたり、笛をなめたり、近所の駄菓子屋でお菓子を盗んだり、中学校で隠れてたばこを吸っていたりと、思い出してみれば結構悪いことをやってきたんですね(^^)。

 坊さんになるために頭を剃っているやつもいるのですが、そいつが言うには、『おれには京大に行っている友達がいるんだぞ』って自慢しているらしいのですが、『ごみを研究している』って言うとかっこ悪いのでどうにかしてほしいということです。バイオテクノロジーとかコンピュータとかに比べたら、そりゃ言葉的にはありがたみが感じないかもしれませんが、大事な研究だと思うんですけれどもね。そんなに重要に思われていないというのはショックでした。まあそもそも、京大に行っている事自体がそんなにたいしたことではないことは、いずれ話をしていたらわかるんでしょうけれども・・・。下手すりゃ単なる世間知らずですからね。


●下田市のごみ行政 (98/06/26)

 小中学時代の同級生が結婚式を挙げるというので、呼ばれて地元に戻りました。同じ集落のやつで、昔はよく遊んだものですが、ここ数年来会っていなかったですね。親は内職をいっしょにやっていて、毎日行き来していたらしいのですが・・・。まあ呼んでもらえるのはいいもんです。

 せっかく地元に戻るということで、あちこち人に会ってくることにしました。大学ではごみ問題を中心に環境のことについて取り組んできたこともあり、地元がどうなっているのかはやはり気になるものです。今までも、学部生時代に一度だけ焼却炉に見学にでかけてきたのですが、親が自転車を捨ててしまってからは足回りが悪くなり、なかなか見て回ることも少なくなりました。(一応下田市なのですが、山の中のほうに住んでいるため、自転車で40分程度かけないと町に出られないところなんです。)将来的には地元に戻りたいと考えているので、その面でも何か役立つことがあれば生涯掛けてお手伝いしていきたいなとも思っています。

 役場などはあまり顔を出したことがないので、結構緊張していたのですが、出てきた人たちは、なかなかのんびりした雰囲気の方々で安心しました。話をしてくださったのが、鈴木さんという方で、長年ごみ処理関係をやってきたようです。

 下田市でも課の組み直しが行われており、今年の4月に新たに「環境対策課」なるものができたそうです。まさに私の求めていたもの、といったところで、とうとう下田市も本気になって対策に乗り出したのかと期待していたのですが、どういう事情で作られたのか尋ねてみると、単に予算制約による人員削減で課を統合しただけという話でした。ごみ処理のほか、保健所が行っていたペット関係なども仕事として含められているようです。やっている内容は今までの処理以上のものではなく、積極的に省エネなどに取り組んでいることはないそうです。大都市では積極的に取り組めても、はやり中小都市では難しいみたいですね

 ただ、鈴木さんという方は、非常に熱心な方で、ダイオキシンの問題や、リサイクルの位置づけの話などもしっかりとした考え方を持って、対処している様子がうかがえました。私が学生だということで、「学者の方々は理想的な状態で理論を主張するが、現場ではそれで必ずしもうまくいくとは限らない。もっと現場を見てほしい」としきりに語っていました。下田市では世の中でよく言われている、コンポストやリサイクルの取り組みなどはひととおり試行しているようで、ごみ袋も半透明の記名式指定袋にかえ、分別も10分別をめざして行っているようです。10年以上も前からコンポストの呼びかけは行っており、比較的熱心に取り組んでいるといってもいいのではないでしょうか。

 下田でも最終処分場については大きな問題が引き起こされたらしく、新たな用地確保もできず、結局最大限のリサイクルでまかなっているようです。昨年から埋め立てることが困難になり、埋め立てはガラスのみに限定し、焼却灰については長野県の業者まで運び、金属類を回収したあと、セメント化して管理型埋め立てを行っているそうです。なかなか処理はしっかりしているようですが、かなりお金がかかるんでしょうね。

 一番興味があったところとして、下田にも環境の問題については主張ができるNGOがあるのかどうかという点があるのですが、処分場問題を取り上げてきた市民がいたのかを尋ねてみたところ、「女性の会」という団体が結構熱心に啓発活動なども行ったり、市役所に相談に来たりしているという話でした。比較的政治色も少なく、熱心な方も多いということで、今後はこちらの方にも連絡を取って行けたら面白いことができそうです。その他にも、下田市議会での質問などでもいくつか取り上げられたということですが、こちらは共産党系であったり(現在は与党)、バックに産業廃棄物業者がついていて脅しをかけているなど、ややこしい関係がありそうです。

 しかし現場で仕事をしている人の話はやはり説得力がありますね。生ゴミの再生システムを作れなどという話をする専門家を引き合いに出していたのですが、農業での受け入れが少ないために機能しないことは明白であることを主張していました。神奈川県の三浦半島でも失敗しているみたいですね。ごみをどう減らすかだけを見ているから引き起こされる問題であって、ちゃんとサイクルを考えて仕組みを作って行かなくてはならない、とはやはり現場の人の話がいちばん説得力があります。専門家にも、一面だけを考えるのではなく、役場の人間が調整で困っていること、全体を考えてマネージしていくことなども含めて、研究してほしいと語っていました。

 自治体で環境の取り組みが進むかどうかは、担当の人がやる気を持っているかどうかによるところが大きいとされています。その点では、結構下田市はうまく進んでいく可能性を秘めているのではないでしょうか。市民のNGO的活動についても好意的に思ってくれているらしく、京都で行った買い物ガイドの調査や、京都市が行っている「めぐる君の店」の認証制度などは結構興味深く見てくれていました。

 女性の会にも顔を出せたら良かったのですが、担当の人が町にいなかったため連絡先だけ教えてもらってきました。環境の問題についてパネル展示やダイオキシンの講演会なども企画しているようです。いい土台があるといった感じですね。今後の発展が楽しみです。うまく自分もかかわっていきたいですね。

 夕方頃稲梓に帰ってきて、久しぶりに小学校に顔を出してきました。小中学校で同期だった大祐君が、地元の学校の先生をやっているということで、ちゃかしに出掛けてきました。ちょうど下校時間らしく、児童が帰っていくのですが、かならず「さようなら」と挨拶していくのには驚きました。確かに大祐といっしょに児童会をやっていたときに「あいさつ運動」なるものをやっていたので、あいさつができて当然なんでしょうが、地元を離れて恥ずかしながらすっかり忘れていました。全学年一クラスのこじんまりとした田舎のいい学校です。校門のところで、一人の子に「土屋大祐先生っている?」と聞くと、喜んで職員室まで案内してくれました。若い男の先生ということでなかなかの人気のようです。

 以前、別の友達の結婚式で、大祐といっしょに呼ばれており、そこで「やっちゃん、ぜひ小学校に環境のことを教えにきてよ」と頼まれたので、ちょっと打ち合わせといった感じです。職員室でゆっくり世間話なども含めて話をしてきました。稲梓の小・中学校は、まわりを山や田圃に囲まれており、地元のおじいさんからわら細工を教わったり、山がアスレチックコースになっていたりと、そのままが環境教育だと思います。それはいい面として、ただ地球環境の問題などはやはり実感を持って体験してもらうのは大変みたいですね。結局頭の中ではよくわかっていても、行動に結びついていないという現実があることをかなり心配していました。まあこれは大人でも同じような問題があるのでしょうけれどもね。比較的取り組んではいるのですが、缶ジュースのタブを集めていたのはちょっと心配でした。今となってはステイオンタブなので、別に回収しても全く意味がないのですが、それを「いいこと」と思って回収している小学生がいるとなると、後から罪悪感にさいなまれないものかと心配です。


●いも (98/06/22)

 以前研究室で、北海道から送られてきたじゃがいもをほったらかしにしていたため、芽が出てしまい、研究室から見下ろせる盛り土部分に植えてきたことを書いたと思います。梅雨にも負けず、日当たりが悪いのにも負けず、しっかり芽を伸ばし、花まで咲かせていたのですが、先日見にいったところ、ショッキングなことに草刈り機で容赦なく刈り取られていました。確かに雑草に埋もれる形で育てていたこちらが悪いのですが、草刈りをした人は気付かなかったんでしょうかね(・・・・気付かないでしょうね)。

 しばらくはショックでふさぎこんででいたのですが、今日、まだこれからでも間に合うかなと、見に行ってみたところ、なんと、ちゃんともう芋ができているじゃないですか。もともとの大きさから比べれば小さいものですが、それでもふかして食べられるくらいには太っています。いやあ、自然の力は偉大だ、とよくわからない感想を述べながら、ひとときの収穫を楽しんできました。

 うちの研究室ではダイオキシンの実験も行っているし、近くの焼却炉からは少ないながらも出ていることがわかっているため、あんまり食べようとは思いませんけれどもね。ダイオキシンが含まれているか調べて見ようという話もあったのですが、基本的に植物には吸収されないので大丈夫だろうという結論になりました。でもやっぱりだれも手をつけませんね。もう少したってからどう料理するのか考えてみます。


●クロアチア戦 (98/06/20)

 日本おしかったですね。かなり試合を押していたので、今回は勝てるなと思っていたんですけれども・・。前回のアルゼンチン戦に続いて、今回も四条河原町で自転車をこぎながら観戦をしてきました。

 さすが土曜日で、前回よりもはるかに多くの人に取り囲まれ、四条河原町の角は通路の半分以上を占領してしまいました。常時60人くらいの人が試合を見ていたでしょうか。今回も宣伝まったくなし、プレスリリースなしで、ストリートパフォーマー的に行ったのですが、日本コールが自然と起こったりと、なかなか盛り上がりました。特に京大のサイクリング部の連中が何人も手伝いに来てくれて、数分間ずつ安定した電力を供給してくれていました。

 客の雰囲気として女の子たちも多く、どうも「試合を観戦する」ことがメインになってしまい、自転車発電の交替をするときにテレビが消えることをうざったく思われているような気配も感じられました。自転車発電はやはり「自分もこがなくてはテレビを見れない」という緊張感があって始めて面白いものなんでしょうね。人数が多すぎて、自分はこがなくても大丈夫という安心感が広がってしまったのは、面白みを半減させてしまったかもしれません。特に、後半にクロアチアが点を入れたときには、ちょうど10秒ほどの交替の間に起こったことで、決定的瞬間を見損ねてしまったことでかなりブーイングが起こっていました(^^;)。

 しかし、こいでくれた人にはいい思いでになったようです。今回は、女の子でこいでくれたのが2人、高校生も1人(こんな時間にふらついていていいいんか)こいでくれました。

 終わった後の感想から・・・「こんなばかなことをやっているのは、日本広しといえどもここだけだろうな」「今度は4年後かな」「また4年後もこの四条河原町に集まって発電してたりして」「ワールドカップの度に、こんな馬鹿な観戦をしていたことを思い出すんだろうな」などなど、インパクトは大きかったようです。ちなみにサイクリング部の参加者がホームページを作ってくれたようです。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tab6433/escape/thisweek.htmで見られます。

 いやあ自転車発電は楽しいです。私の「ままちゃり」を使って発電をしているのですが、もしかしたら一番の幸せ者はこの「ままちゃり」かもしれませんね。11月の学園祭から始まって、COP3、子供のイベント、NGOグループ、ワールドカップといろいろなところで活躍し、たくさんの人を乗せてきました。すでに500人以上は乗っているんでしょうね。一つの自転車でこんなに多くの人に乗ってもらえるというのもめずらしいんじゃないでしょうか。あいつもこいつも、この自転車に乗ったんだな、と考えると、なかなか手放せない一品になりそうです。中古屋で仕入れてから7年目、あちこちにガタがきていますが、まだまだ健在です。


●群馬県立中央高校 (98/06/18)

 自転車発電を高校の文化祭で行いたいので教えてほしいという話が先週届きました。自分たちで作りたいという話で、まだまだチャレンジ精神をもった生徒がいるというのはなかなか期待がもてる話です。私も高校の時に自転車発電を夢見ていたのですが、こうして製作してみると、家電製品を動かす程度の電力を取り出す仕組みは、さすがに当時ではレベルが高くてできなかったでしょう。とにかく京大の図書館の資料をあたってようやく仕組みを理解したといった感じです(自動車修理屋に教えてもらったら早かったんでしょうけれど)。ともかく、ホームページには仕組みから、経験談から載せているので、技術さえあれば、高校でも十分製作可能な範囲ではないでしょうか。

 いろいろやりとりをしていたのですが、やはり単純には動かないようです。連絡をもらったのが文化祭の1週間前で、実は明日から始まるらしく、残念ながらまだ動いていないようです。ダイナモから無負荷状態では20V程度の電圧が発生するものの、オルタネータに接続した時点で数Vに落ちてしまい、オルタネータを起動させることが十分できないという話でした。一つはE端子の場所が間違っていたことは、電話で確認できましたが、それでも動かないようです。ダイナモが古くてうまく発電できていないのでしょうかね。さすがに遠距離ではサポートも難しいです(^^;)。

 工夫をして何かしら対策を見つけだしてもらえたらいいのですが・・・。失敗には必ず何かしらの理由があり、それを克服することによって新たな展開が見えてくる、というのが技術進歩の基本ですから、失敗はたくさんやって悩んでほしいのですけれども。限られた時間が問題なのでしょうね。文化祭とは関係なく、成功するまでぜひ続けてほしいと思います。


●出版最終打ち合わせ (98/06/17)

 東京のあとは、大阪です。京都に帰るのが面倒なので、東京のエコリーグ事務所に泊まって、朝の新幹線で大阪へ通ってきました。一応4時間くらいは寝ており、新幹線の中でも寝たつもりなのですが、しかししんどいですね。会合の時間を考えると、1日に4時間程度しか働いていないことになるのですが、あちこち飛び回るとそれだけでしんどいです。売れっ子のアイドルとか、さらにスケジュールがびっしりで大変なんでしょうね。宮本輝の「ここに地終わり 海始まる」を読んでいるのですが、そんな状況の話がちょっと書かれていました(最近宮本輝にはまっています)。

 原稿の最終打ち合わせで、簡単な内容の確認と、今後の手続きについて話をしてきました。しかしフロッピーや電子メールで原稿を提出できるので楽ですね。高校の時から生徒会誌を作るために出版にかかわってきましたが、そのころはまだ原稿用紙が中心でした。写植をしてもらうと非常にお金がかかるからと、ワープロで打ちだしたものをそのまま印刷してもらって安くあげたり工夫していました。DOSフォーマットでテキストを受け付けるようになりはじめたのですが、ワープロで打っていたためにだめだったこともありました。当時は高校生の身分で100万円くらいのお金を動かしていたことでも結構緊張していましたね。その後はエコリーグで編集担当になったり、買い物ガイドを出版したりと、出版関係とのおつきあいは長いです。

 尾形さんのイラストはまだできていなかったのですが、ゆっくりと打ち合わせをしました。文章を読んだだけだとちょっとイメージがわかないようですね、いっしょに話をしながら、どんなイラストにしようかと結構話が盛り上がりました。太郎君の家族を中心にもってきて、なかなかほのぼのとした雰囲気の中に、ブラックな皮肉を加えて面白いものができそうです。本当は図表などの資料をたくさん入れたほうがいいのでしょうが、面倒なのでスペースをたくさん残して置いたら、イラストが結局25枚も必要になってしまいました。これから1週間、尾形さんは大変かもしれませんね。

 だんだん出版が楽しみになってきました。いろいろな人にチェックしてもらったこともあるのでしょうが、あまり内容的に心配って感じではないですね。特にイラストは面白くなりそうです。尾形さんと話をしながら気が付いたのですが、どうもイラストのイメージとしては、私の指導教官である高月先生の描くマンガが深層心理としてあるみたいですね。


●建築学会地球環境行動WG (98/06/16)

 埼玉大学の外岡先生に呼ばれて、東京で行われた建築学会のワーキンググループの会合に参加してきました。9月までに報告書を作るんだという話なのですが、参加者からの報告が多様で、どうやってまとめるんだろうと心配になるような集まりでした。私も、様子がわからないまま、ブックレットの原稿を持ち込んで紹介してくれ、という話だったので話をしてきたのですが、他の人が「木材蓄積による二酸化炭素削減」や、「100年建築の可能性」、「北海道ですでに実績のある省エネ・地場産業密着型住宅メーカーの紹介」、「建築における環境倫理」などの話があるなかで、どう位置づけられるのか結局わからずしまいでした。企業の人もたくさん参加していて、総じて気楽で楽しい会合でしたが、「木材屋」さんと「鉄屋」さんで興味深い対立があるようですね。

 環境に関することとなると、建築の外装の話も重要になってくるのですが、その中で生活・労働する人が、どのような省エネ行動ができるかといった点も無視はできないということで、呼ばれたようです。これからどういう位置づけにするのかは相談するということで、今まで参加してきた会合とはちがって、行き当たりばったりで親しみがわきます(というか結論が見えていないので面白いですね)。


●省エネチャレンジ (98/06/15)

 本当は、今日までにおおさかパルコープさんにお願いするアンケートの原稿を作って出さなくてはいけないのですが、昨日のアルゼンチン戦の疲れから、ついついさぼってしまいました。大阪へ向かう京阪電車の中で、必死にアンケートの概要を考えて書いていました。直前になると、結構筆は進むものです。はじめて自分でも何のアンケートをしたいのか整理されてきました(^^)。

 今回集まってもらった人たちは、10人ちょっとでかなりにぎやかでした。はじめて参加してこうした集まりに出てくるのもはずかしいという人から、他人に協力をお願いした立場上自分の結果が悪いとかっこわるいので必死にやったという人、横着者で自分はあまりやらないけれど他人に薦めるのは得意という楽しいおばちゃんや、逆にきまじめに取り組んでいて心配性の人など、様々でした。話を聞いているだけでも面白いです。

 3回こうした集まりを企画してもらって、もう少し積極的に取り組んだら面白い点などが明らかになってきました。まず、自分が平均の値よりよいか悪いかといった成績表ですが、かなりどきどきするという意見もありましたが、やはりこうしたフィードバックがあったほうがやりがいがあるという話です。特に来ておられる主婦の方は意識が高いほうなので、むしろ旦那さんや子供を説得する材料として、客観的な資料があったほうが呼びかけやすいということもあるようです。あと、比較的子供に対しては教育しやすいものの、夫に対しては人間関係の問題もあり、必ずしも協力が得られるわけではなく、さらに舅小姑の関係になってくるとさらに悩みは多くなるということらしいです。省エネは家族全員で取り組んではじめて減らしていける項目が多いため、家族の中でどう協力を得ていくのかはかなり考える必要があるようです。

 企画者がわの松下さんは、こうした個人の取り組みで満足するのではなく、世の中(行政や企業)への働きかけの方向へ向かうべきだ、という話を毎回情熱的にしていました。しかしいつも、生協でももっと取り組めることがあるのではないか、という議論になってしまい、なかなか社会全体にむけて意見を出していくのは距離がありそうな雰囲気です。まあ、着実に省エネが可能なんだということが市民の立場から実績としてだせれば、企業や行政に対しても、発言力が増していくんでしょうけれどもね。

 今回は、結局4ヶ月間取り組んでもらっても、必ずしもエネルギー消費量が減っていないかもしれません(去年と比較しているわけではないのでわかりませんが)。もし改良されて、「この省エネチャレンジをしたら、省エネになって、家計が助かるよ」という実績を作って行くことができれば、消費者への働きかけのツールとしてかなり意味のあるものとなるんでしょうけれどもね。そのためにはもう少し分析が必要のようです。


●自転車発電とアルゼンチン戦 (98/06/14)

 ワールドカップが開幕しましたね。あまり興味はなかったのですが、最初のブラジルが出ていた試合をテレビで見ていたときに、結構レベルが高くて面白いものだなと感じました。もしこれを自転車発電でテレビをつけて観戦したらもっと面白いのではないか・・・・。そんなふとした思いつきをメールで流してみたところ、友達の間でいつの間にかに盛り上がってしまい、引くに引けなくなって、今日のアルゼンチン戦、やってきました。

 場所は京都四条河原町、阪急シースルー前という一番の繁華街なのですが、雨のせいなのか、みんな家でテレビを見てるせいなのか、異常なほど人通りがまばらでした。準備に9時前に到着したところ、閑散としている様子に「これは外す可能性もあるな」と心配していました。大都市の繁華街には巨大なテレビが設置して合って、みんなで観戦するようなのですが、幸いなのか京都にはそうった場所がなく、四条河原町でテレビをつけているのは私たちだけのようです。パフォーマンスといっても一人では恥ずかしいので、友達が到着してから自転車発電装置を広げ始めました。

 NHKでは九時から放送を開始するのですが、キックオフまでの30分間は解説などに費やされます。試しにテレビを写してみたところ、心配していた電波の入りも良いらしくきれいに映りました。「映った映った」と騒いでみたのですが、周りを通行する人たちの反応はほとんどなし。変な人たち、って感じでみられていたようです。

 ただ実際に試合が始まってみると、さすがに周りで無視する人は少なくなり、通行人も足を止めてテレビに見入っていました。自転車発電のために、2分程度自転車をこぎ続けるとしんどくなって次の人に交代する間に、テレビが映らない時間があるのですが、それでも多くの人が見入っていました。試合半分、自転車発電への興味半分といった感じでしょうか。「だれか自転車をこいで応援してくれる人はいませんか」と呼びかけると、喜んで自転車をこいでくれる人もいて結構盛り上がっていました。特に、大学生のグループがくるとにぎやかですね。自転車をこいでいる友達を応援しているのか、日本チームを応援しているのかよくわからなかったのですが、チャンスやピンチのたびに歓声を上げていました。「俺たちも汗を流しながら応援しているぞ」といった感じがよかったんでしょうね。

 結構チャンスやピンチを見逃してしまうとブーイングが起こってくるので、いい場面になってくると自転車をこいでいる人も疲れていても休むに休めないんですよね。みんなテレビを見たいがために、積極的に自転車こぎに協力してくれていました。

 前半45分が終わり、ハーフタイム中に休息を取ったのですがどうもみんなの足の疲れは回復しなかったようです。後半が始まるころにはまた人通りが少なくなり、スタッフも疲労がたまり、「もうやめようか」という話も持ち上がってきたのですが、それでも人が周りを囲むようになって、続けることができました。特に最後の10分とかすごかったですね。日本チームのパスがうまくつながって、ゴールかと思いきやわずかにはずれた時など、その瞬間に自転車をこいでいる人間がショックで足を止めてしまい、テレビが止まってしまいました。落胆の声と、ブーイングとが入り交じって、急いで次の人間に交代させたりしてね。

 しかし2時間近くもよく自転車発電を続けられたものです。「テレビをつけるのはこんなに大変なんですよ、だから省エネに気を付けましょう」という本筋の話は、まったくしませんでしたが、そんなことを言うのも野暮でしょう。楽しくて省エネになるんだからこれにこしたことはないでしょう。結構疲れましたが、めちゃくちゃ楽しませてもらいました。その場で集まった連中で、今度のクロアチア戦もここで九時に集合という約束ができてしまい、また土曜日にもやることになってしまいました。今度は土曜日なのでにぎやかになりそうです。

 マスコミも呼ぼうという話もあったんですけれどもね。「面白いパフォーマンス」以上には報道されないでしょうから、やめておきました。


●原稿の仕上げ (98/06/13)

 5月の連休で原稿をあげて、ほとんど手を離れたと思っていたのですが、やはり甘かったですね。おとといから再び下宿にこもりっきりで、図表の整理や、文章の訂正をすすめていました。いちおう原稿料は入ってくるので、アルバイトと考えてもいいのでしょうけれど、これだけ手間がかかると時給500円を割り込むことになりそうですね。文章を書いて稼いでいる人はすごいなと、つくづく感心します。今日は、本の締めくくりの3ページを書き上げ、どうにか文章全体を形の上でまとめることを達成しました。ただ、よくラブレターは次の日の朝に読み直してチェックすべきという話がありますが、その時の気分で書いてしまっているので明日あたりにでもゆっくり通して読み直してみようかという計画を立てていました。

 最終原稿の提出(打ち合わせ)が来週の水曜日なので、まだ訂正の時間はあるなと見込んでいたのですが、そういえば打ち合わせをするときに最後の意見をもらうために1週間前に郵送しておくという話があったことをふと思い出してしまいました。今日は土曜日、しかも午後5時すぎ。今から最後の訂正を入れて、研究室でプリントアウトして、コンビニでコピーをして、中京区の24時まで速達を受け付けている郵便局に出さなくてはならないというので、一気にせわしなくなりました。しかも外は雨。もっと早く気が付いていればという後悔は何の役にも立たないようです。

 しかしこういう時に限ってトラブルって起こるものなんですよね。研究室で打ち出しをしようとすると、いきなりプリンタが認識されず、電源を入れ直すと今度はプリンタマネージャがエラーを出して止まってしまいました。いきなり32ページも打ちだすというのはさすがに荷が重いのでしょうか。3回にわけて打ちだしていると、すでに時計は午後10時を回っていました。急いでいきつけの(両面コピーが許されている)コンビニに出掛けてコピーをとり、発送の宛名書きをして、郵便局にかけつけた時にはもう11時半でした。

 家に帰ってきてようやく落ち着き、「終わったんだな」という実感が沸いてきました。ようやく原稿も自分の手を離れたようです。フロッピーも送っていますので、もういつ死んでもちゃんと本は発行されるんだろうなと思うと、なんか役目は終わったような感じでした。飯を食っていなかったことを思い出して、近くのラーメン屋に出掛けようとしたのですが、安堵感からか宙を浮いているような気分になり、自転車を押しながら足もとがふらついているのがわかりました。事故を起こすんじゃないかとほんまに怖くてラーメン屋まで自転車に乗れませんでした(^^;)。


●資料たち (98/06/10)

 また月1回の廃油回収の日が回ってきました。以前は、朝から(といっても10時なんだけれど)起き出さなくてはならないので、大変に感じていたのですが、最近は廃油回収を言い訳にしっかり研究室を休めるというのが心地よく感じるようになってきました。後ろめたさがないといったらいいんでしょうかね。ノートパソコンもあるために、別に研究室に通わなくても仕事は進められるわけですから便利になったものです。6月前半の仕事は「ブックレット原稿書き」と「パルコープの省エネチャレンジ調査」でしょうか。どちらも期限が決まっており、よくよく考えてみると時間がないんですよね。いわゆる「追いつめられている」という状態でしょうか。

 追いつめられているのだから、必死になって仕事をすればいいものですが、数日先の締め切りというほど扱いにくい物はないですね。明日が締め切りというのであれば、徹夜覚悟で信じられないくらいの能力を発揮するのですが、まだ締め切りに時間があるとなると、つまらないことで考え込んでしまって、作業が止まってしまいます。悩み始めるときりがないため、気晴らしに何かしてしまうんですね。今日もまさにそんな状態で、気が付いたら部屋の大掃除をしていました(^^;)。

 下宿は座るスペースの回りは本や資料で囲まれており、去年のCOP3がらみの資料などが山積みとなっています。面白いもので、資料というのは新しい物ほど使われる確率が高く、山積みされている資料も上の方しか利用されないようですね。山積みというのは一面合理的な整理の仕方かもしれません。しかし、さすがに一時期のどたばたも終わり、山も崩れかけるに至って、整理をしないとどうしようもなくなってきたようです。特に、ブックレットを書いているのに、資料が見あたらないことが整理を思い立った一番の原因でしょうか。確かこんな図を見たことがある・・・・、では本はまとまらないでしょう。

 ごちゃごちゃしている私の下宿の中で、唯一整然としているスペースが私の右前にある大量の紙封筒です。「買い物ガイド作成」や「アンケート」など、ちゃんとラベルが張ってあり、テーマごとに資料が突っ込んであるという、見事なまでの情報整理がされたスペースなのですが、実は全然活用されていないんですね。すべて2年以上前の資料ばかりで、いつか使うだろうとそのままにしていたのですが、古い資料ほど使われる確率が少ないのは事実のようで、ここ1年はまったく手をつけていませんでした。こうした整理の方法を、実際に動いている仕事で活用できたら一番いいのでしょうね。

 整理が大切だということは実感できたのですが、結局昔の資料を箱に収めるだけで、現在の資料は依然山積み状態になっています。整理をしていたというよりは、現実逃避しながら昔を懐かしんでいたという感じでしょうか。また大切な1日がすぎてしまいました。(ブックレット原稿締切まであと6日・・・・)

 資料整理と同時に、手紙の整理もしました。3年分くらいたまっていたのでしょうか。懐かしさについつい・・・といった感じでした。結婚式やその二次会の案内などもずいぶんたまりましたが、同時に葬式の礼状などもいくつか挟まっています。特に最近は友達が亡くなることが多かったですね。そのたびに手が止まったりして。整理には時間がかかりそうです。


●CASA研究会 (98/06/07)

 COP3前は提言を出すという大きな目的があって、必死になって研究に取り組んだのですが、終わってしまうと散漫になった感じが否めません。今回は、ドイツのボンでSBSTAが行われており、2名ほど研究会から出掛けていることもあるのでしょうが、参加者が少なくて大変でした。

 テーマはちゃんと各個人に割り当てられており、当面は研究する内容に困らないのですが、逆に専門的になっていって一緒に議論するのが大変になってきています。今回は経済モデル作りについても議論があり、以前から講習を受けていたのですが、やはりわからないですね(^^;)。ともかく先は長そうです。それでも、なんとなく顔を合わせていると落ち着くといったいい雰囲気の研究会です。

 年末にはCASAでカニを食いに合宿をしたのですが、思い起こせばそのときに車から鞄を落としてしまったために、私のノートパソコンの液晶がおかしくなってしまったんですね。修理に出していたそのパソコンが修理完了したというので取りにでかけてきました。もうすでに新しいノートパソコンが活躍しているので、今更パソコンが届いても仕方がないのですが、やはりノートパソコンの場合にはバックアップ用に一台置いておいたほうがいいかもしれませんね。液晶画面が暗くなるということで、もしかしたら液晶交換の数十万円請求されるのではと危惧していたのですが、幸いに3万円以内で完了したようです。修理に出して良かったというのも一つですが、新品同様に戻ってきてしまって、単なるバックアップとして使うのは申しわけないような気がして仕方ないですね。


●ダイオキシンシンポジウム報告 (98/06/06)

 大阪環境アクションネットワーク主催のダイオキシンシンポジウムにでかけてきました。村元さんにもキャパが小さいのではないかと話をしたのですが、60人の定員ではやはり入りきれなかったようですね。予約制にして人数制限をしていたようですが、新聞に掲載されたその日に定員がいっぱいになってしまったそうです。当日の来客もあり、かなりぎゅうぎゅう詰めで、ダイオキシンにたいする関心の高さが伺えました。200人くらいの会場でやってもよかったんじゃないでしょうかね。

 COP3の時も言われていたのですが、なかなか大阪の環境グループでまとまっているところが少なく、中院さんの「大阪ごみを考える会」とCASA(西淀川公害訴訟関連含めて)くらいだったでしょうか。しかし、今回の環境アクションネットワークもかなり元気がいいようです。今回のシンポジウムのパネラーを見たらわかるのですが、専門家のほか、政治や行政に対するつながりも持っているようですし、「アクション」をしていく力は十分ありそうな感じでした。パネラーの人たちは全員知っていたのですが、主催関係者を恥ずかしながら一人も知りませんでした(というのもめずらしいですね)。参加者も研究室の鵜飼君を除いて知り合いはいませんでした。

 酒井先生(京大環境保全センター助教授)もダイオキシンのことについて話をするのは非常に気を使っている様子が以前から伺え、高月先生と話をする内容を確認したりしていたのをよく見かけました。研究室でゼミなどの話はよく聞いているのですが、私もようしゃべりません。その点でも楽しみでした。センセーショナルな問題というのは、尾ひれや背びれがついてしまうのが普通で、そいった誤解を解いていくことも重要な役割なんでしょうね。

 酒井先生の話からは、冷静にダイオキシンやそれを取りまく問題に対処していこうという呼びかけが伺えました。歴史的に19世紀ころからダイオキシンは発生しており、決して全く新しい物質ではないが、20世紀後半にはその数倍から10倍近い排出があって大きな問題となっているのだという点。塩ビだけが原因なのではなく、塩ビ原因説も確認されたものではないという前提の上で、ごみの処理(もしくはリサイクルも含めて)システム全体を考えて塩ビ製品は害が多く、ごみの量なりを減らす方向をめざすべきという点。局地的な汚染と同時に、世界中に汚染を広めているということを見落とさないようにすべきという点など、さすが専門家といった感じの提言でした。研究室でちょっと議論になっていた一般廃棄物焼却よりも産業廃棄物焼却のほうが排出量が多いのだといった点にはふれませんでした(宮田先生は話しているようですね)。今はまだ「自分たちが原因になっている問題」として扱ったほうが対策が進むのかもしれませんね。

 一方、中地さんは、豊島のダイオキシン問題などで地元の人たちの声を聞く機会が多かったこともあって、必死に「風評」の問題を指摘していました。その土地の名前のついた野菜や海産物は全く売れなくなって、経済的に被害を被るというものです。物質フローを考えたら、ほとんどダイオキシンの影響がないことは明らかなのですが、豊島全体、能勢全体が汚染されているような雰囲気が伝わってしまい、余計な問題が引き起こされているようです。特に、能勢の場合には、焼却炉はすでに停止しており、農産物や大気にたいする汚染は(焼却炉起因のものは)ほぼないと言えるのに、どんどん拒否が広がっているそうです。

 最後の質問の時に、この二人でちょっと発言内容が異なっていました。産業廃棄物の埋め立て地の上に土を盛って、ミカンを栽培しているが安全かという質問でした。酒井先生は「植物は大気から吸収することはあっても、根からダイオキシンを吸収するという報告はない」という情報をもとに、「実際の調査が必要なところだが、もし汚染されているとしたら土壌からダイオキシンが蒸発して再び吸収されるものだろう」とコメントしていました。これに対して中地さんは、風評を心配しての視点からでしょうが、「埋め立て地そのままならメタンや炭酸ガスが出てそもそもミカンなど生えないだろうから、厚い覆土に覆われていてほぼ大丈夫と思う」とコメントを追加しました。立場によるんでしょうが、回答は難しいでしょうね。

 とにかくこうした「汚染されているのではないかという不安」が広まってしまった以上、さらなる調査と情報公開が必要だというのは妥当な話でしょう。もっと簡単に安くダイオキシンをチェックする方法はないのか、と突っつかれてもいました(^^)。私も端から見ているだけですが、結構大変なんですよね。2週間くらいつきっきりになってやっても、「うまくいかなかった」こともよくあるようです。

 まだダイオキシン問題は、どう減らしていくのか、というフェーズには達していないみたいで、どこまで危険なのか明らかにしてほしいというあせりのほうが多いようだと、客席からの質問を聞いていて感じました。せっかく政治的に働きかけるルートとして民主党の中務さんや、これからどうしていこうという提案をする立場だと思うのですが市民運動を続けてきた中院さん(中の字がつくひとが多いですね)、もパネラーとして参加していたのですが、ちょっと出番が回ってこなかったようです。中院さんは、ダイオキシン以外にもより大きなリスクをもったものがあるかもしれず、ダイオキシンだけに目を奪われないようにしたいなど、次に続ける提案を行っていたのですが、議論はなかなか深まりませんでした。

 私自身もダイオキシン問題は怖いと感じているのですが、ダイオキシンが怖いというよりは、なぜこれだけ盛り上がってしまったのかが怖いです(^^)。ダイオキシンの恐ろしさは10年以上前から言われており、焼却炉から出される量についても学部生のころに試算した覚えがあります(一人が1年で出すごみを燃やすと、ちょうど1人を殺せるだけのダイオキシンが発生する、という試算はどうも妥当だったようです)。ただあのときは、そのことを話してもかなり無視されており、ダイオキシン問題は終わったものとも感じていました。それなのに基礎情報としてはほとんど変わっていないのに、いまのこの盛り上がりはなんなんでしょうかね。決して悪いことではないので、関心を持ってもらう分には結構なのですが、あとで反動がくるのではないかと心配です。

 まあ当時は「でもダイオキシンで死んだって人はいないよ」と言われればそれまでだったのですが、最近では「精子が減少している」とか「アトピー」とかで、原因のはっきりしない恐怖が身近に感じられるようになっており、原因の一つとされたダイオキシンにも恐怖の物質というイメージが重なってきたのでしょう。簡単に精子減少やアトピーが解決するとは思いませんから、もしかしたら今までのようなブーム的な意識向上ではなく、しっかりと根付いた環境意識向上に結びつくのではないかと、密かに期待もしています。もしそうならば、ダイオキシンを減らした後にも、他の危ないと考えられる物質へ対象が広がっていくことも考えられるでしょうね。環境ホルモンもあることですし、長続きはしそうな雰囲気です。ドイツが環境に熱心になったというのも、チェルノブイリが大きなきっかけになっているということですし、日本にとってそれがダイオキシンになるのかもしれません。

 心配は、ダイオキシンだけの話になってしまい、改善が長引いて疲れてしまうというエンディングがなきにしもあらずというところでしょうか。原発だって恐ろしさは今も変わらないはずなんですけれどもね。あと省エネはどこいったんでしょう?

 まあ、さっきも書きましたが、現状はまだ情報不足の不安を解消することが重要なのかもしれません。能勢町の焼却炉のすぐそばに住んでいる人からも質問がありました。汚染調査が行われた反対側に住んでいるらしいのですが、風向きなどから考えて、汚染されているのは明らかだと考えられるような所です。実際にアンケートをしてアトピーも多くでており、井戸水で顔を洗ったときだけにきびが出てくるという若者もいるそうです。話を聞いていると、他人事ではないですね。そんなところに住んでいたら、やはり井戸水は安全なのか、住んでいて大丈夫なのか、心配でしかたがないと思います。こうした汚染地域では、安全性や危険を避けるための方法などについて、至急検討する必要があるでしょう。

 ただそれと他の地域に住む人の対策とは違うでしょうね。タイトルが「ダイオキシンから身を守る」というものだったので、心配していました。母乳で育てないほうがいいのか、近海魚を食べないほうがいいのか、確かにそうすればダイオキシンの摂取量は減らすことができるでしょうが、そうした「身を守る」ことは単に逃げているだけで解決にはならないでしょう。排出を減らしていく、そのためにはごみをどうしたらいいのか、どのような政策が必要なのか。そしてダイオキシンに似たような問題が起こらないようにするにはどうしたらいいのか、ダイオキシン以外にも問題はないのか。・・・と広げていって「身を守る」べきなんでしょうね。

 主催者側はそういった趣旨の話を持ち出していましたが、まだまだ来場者側の視点とはずれがあるようです。どうもダイオキシン問題は長引きそうですね。あらためてダイオキシンの「恐ろしさ」を認識させられました。


●生協組合員さんとの話し合い (98/06/05)

 おおさかパルコープさんでこの冬に省エネチャレンジを行ったのですが、その取り組みを行った人が集まっての反省会が行われました。人数は5人だけだったのですが、詳しい話ができて楽しかったです。

 主婦の方が持ち帰って取り組みをしているようなのですが、どうも家庭の中で協力を求めるのが大変で、子供にはまだ言うことができても、ご主人にはちょっと強く言えないし、ましてや親にはなかなか協力を求めるのは難しいという話でした。省エネも家庭の全員で取り組んで始めて削減ができるわけですから、これはちょっと検討しないといけないところかもしれません。

 また、調査票が誤解を招くところが多かったため、やりにくかったという話もありました。今回は、ビンや缶を購入すること自体が問題であることから、リサイクルしているかどうかは問わなかったのですが、「せっかくリサイクルしているのに評価してもらえない」という不満が多かったようです。次回にやる予定の調査票を見てもらいましたが、リサイクルしているかどうかまで含めて、調査項目が増えているのですが、むしろ全部尋ねられたほうがすっきりするという話でした。

 あと、二酸化炭素が何キログラム削減されると言われてもやはりピンとこないらしいですね。省エネでは何円安くなったのかが一番大切のようです。家計全体に比べたら家計が安くなるのはそれほど苦労に見合う物ではないのでしょうが、たぶん言い訳が必要なんでしょうね。「環境のために」というだけではやはり恥ずかしいところもあるのでしょうか、「お金も助かるから」という言い訳にも使えたら、やりやすくなるのかもしれません。

 また夏にも調査を行うのですが、結構改善点を含めて面白い物になりそうです。一応、チャレンジを行う前と後で、アンケートをさせてもらえることになりましたので、面白い研究にもなりそうです。


●家庭部門のマテリアルフロー (98/06/03)

 なんかリサイクル研究会で担当が回ってくるのが早いですね。今回も「家庭部門のマテリアルフロー」で報告をすることになりました。いま論文にする予定の研究が2つたまっていて、その後にゆっくりと研究を始めようと考えていたテーマですが、いつのまにかに担当させられていました。仕方がないので、一夜漬けでまとめてしまいました。

 家庭から排出される物は、家庭ごみ(一人あたり1日600g)がメインになるのでしょうが、それ以外にも二酸化炭素(ほぼ同じオーダー)、建物関係の廃棄物(同じオーダー)なども無視できない話になるんですよね。もちろん水が入ったらこれが一番大きいんですけれどもね。日本での一般廃棄物の排出量が5000万トン、産業廃棄物が4億トンと言われていますが、産業廃棄物に含まれている物の中にも、建築廃棄物などかなり家庭関連で出されているものも多いと思います。そのあたりを整理できたら面白いのではないかと・・・・、でも大変そうだな。


●ダイオキシン (98/06/02)

 うちの酒井助教授がダイオキシンのシンポジウムのパネラーとして参加するらしいです。そういえば5年ほど研究室にいて、高月先生が話をするのはよく目にしますが、酒井先生が壇上に立つのは始めてのような気がします(学会の司会はよくやるんですけれどもね)。今日、シンポジウムの打ち合わせに来ていた村元さんというかたが、非常にいい人(ほんとうにほれぼれするような人です)で、本当は予定が入っていたのですが、今週末でかけることにしました。パネリストも豪快な人々が集まっており、かなり楽しみです。

 最近になって、「メス化する自然」を読み始めたのですが、記述されている年号が古いですね。わかっていたのに、今まで問題視されてこなかったというのは、構造的な問題があるのでしょうかね。科学者としては、明確になっていない現象(危険性)をいち早く察知して、社会に伝えるという役割があるのでしょうが、まだまだ時間がかかるんでしょうかね。

 同期の橋本は、ドイツのボンにでかけていきました。温暖化防止京都会議の事後会合ですが、ちょっとこちらのほうは取り上げられ方が薄くなってしまったのが心配ですね。新聞なども、すっかり「ダイオキシン」と「環境ホルモン」の話題ばかりです。まだ解決していないんですけれどもね(^^)。


●日本の鉄の循環 (98/06/01)

 今日も、せわしない時間にせわしなく作業をしていたら、結局落ち着いて資料を読む時間がなくなってしまいました。研究室に顔を出したけれど、研究しなかったってことなのかな。こんな調子だといつまでたっても論文なんかできそうにもありませんね。

 今日は私の直属の部下(?)である平井君のゼミがありました。本当は手取り足取り相談・指導していく必要があるのでしょうが、彼がしっかりしているのと、私が全然研究していないために、ほったらかしになっていました。ゼミになってはじめて彼が何を研究しているのか明らかになりましたが、どうも鉄のマテリアルフローについて研究しているようです。

 リサイクル品として質の悪いスチール缶でも7割以上リサイクルされているという話で、全般的にはリサイクルを前提にマテリアルフローが考えられる重要な金属なのですが、まだまだ日本の場合には鉄鉱石(バージン原料)に依存する割合は大きいようです。イギリスやアメリカなどでは、建物や橋などとして都市内にストックされる量が安定してきており、新たに鉄を投入する量と、壊してスクラップとして排出される量が等しくなってきているようです。ところが日本の場合には統計上、排出される量は蓄積される量の半分程度のようで、まだまだインフラが求められているということかもしれません(もしくは過剰にインフラ整備を進めすぎか)。

 今回の研究では、循環型社会にしたときに二酸化炭素の排出量がどう変化するのかを見ていたのですが、「リサイクルを進めること」「利用量を減らすこと」などは有効に効くようですね。博士課程の入試(中間発表)までに、どこまで面白い話に発展するかが楽しみです。(←楽しんでないで、手伝えって・・・)

 今日「リンクさせてください」というメールが届いたのですが、ごみの分別方法のガイドが紹介してありました。鳥取県で分別回収をはじめたらしく、製品別にどのごみとして捨てたらいいのか書いてあります。しかし、わかりやすいというより、項目数がすごいです。こちらに置いてあります。


お問い合わせ、感想などありましたら鈴木(ysuzuki@mti.biglobe.ne.jp)まで。お気軽にどうぞ。

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