ごみにまみれて '98/08

Last update: 98/08/27

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●気候変動枠組み条約のゆくえ (98/08/30)

 今日はCASAの気候変動研究会(一般向けのやつ)があり、大阪まででかけてきました。国立環境研究所から川島康子さんが来て、COP3までの国際交渉と、今後の議論点などについて説明してもらいました。(一応、その後に上園さんの話もあったんですけれどもね)

 京都議定書が意味を無くしてしまうほど大きな問題(解釈次第では削減しなくてもいいことになる)というのは、「森林吸収をどこまで認めるか」という3条4項の議論なのですが、国際交渉の場ではこの話は後回しになるようです。影響が大きすぎると言うのもあるのですが、まだ科学的な知見が集まっていないということで、2年ほどIPCCで議論をした後に、交渉が始まるということです。というわけで、COP4に向けて当面のテーマは「排出枠取り引き」「共同実施」「クリーン開発メカニズム」の3点となるようです。

 排出枠取り引きは、削減目標が定められた先進国間で、目標達成に余裕のある国が目標達成が難しい国に対して「これだけ出してもいいという余裕の分」をお金で取り引きできるようにする制度です。基本的にできるとしているのですが、(1)取り引きされた情報を明らかにしないとわけがわからなくなる、(2)もし取り引きして達成できなかった時に誰が責任をとるのか明確でない、(3)アメリカなどは企業が取り引きに参加する(これは認められている)場合に情報公開をしぶっている、(4)削減が明らかなロシアの排出枠を市場で取り引きすると二酸化炭素排出が増える可能性がある、などの問題があるようです。

 共同実施は先進国間で協力して行ったプロジェクトに対する議論。これはお互いの国で適当に割り振ったらいいということであまり問題はないようです。

 もうひとつ、クリーン開発メカニズムは、途上国との間の取り引きです。途上国に技術や資金を流して、温暖化防止に寄与するプロジェクトを実施するという点で、途上国にとっては大きな資金源となることから推進されていることです。先進国も、国内で削減をしなくてもいい抜け道となるために望まれているということで、ちょっと扱いがやっかいになってきます。もし際限なくこれが許されたら、平均5.2%の削減という目標値自体が意味のないものになりかねない危険なものです。ただ残念ながら、日本でも環境庁の研究会でしか議論されておらず、国際的な交渉もこれからのようです。

 京都議定書はできたものの、これから決められる詳細によっては、全く意味のない内容に成り下がってしまう可能性もあることが明らかのようです。今後のCOP4などは議定書を作るわけではないので、京都会議ほど盛り上がらないかもしれませんが、結構大事なものになりそうですね。


●研究 (98/08/26)

 久しぶりに研究室にいて、研究らしいことをしてきました。図書館をめぐって、論文をあさっていたのですが、こんなに研究らしいことをしたのは何ヶ月ぶりでしょうかね(^^;)。大学を放り出されると、こんなこともできなくなるのだな、と思うと、今の恵まれた時間を大事にしたい気分です。

 研究が、「環境配慮行動」「意識と行動の関係」「省エネ(技術や測定方法など)」「鉛とカドミウム」「家庭系ごみ」「有害物質」「社会的ジレンマ」「ゲーム理論」「環境評価」などと広がってしまったので、実は文献検索しても時間ばかりがすぎていくんですよね。ちょうど百科事典を眺めながら、これも面白い話だ、と読みふけっているような感じです。今回はそこを思い切って「環境配慮行動」と「家庭系ごみ」だけにしぼりました。久しぶりに図書館巡りをしたので、新しい発見がいっぱいでした(本当は毎月チェックしないといけないはずですが)。

 最近は、亜砒酸だとかクレゾールとか、有害薬品がニュースで叫ばれています。一方で環境庁(vs通産省)もPRTRなる制度(化学薬品の購入や使用、廃棄などを登録して、きちんと管理する制度)を作るなどとはりきっています。まあ薬品を使うメインは産業界でしょうが、最近のニュースでも家庭でこうした有害薬品がかなり使われているという話ですね。今年の卒論や修論の連中も、家庭系の有害廃棄物について検討するということなので、なかなかトレンディーなことになりそうです。ただ、種類もたくさんあり、量的把握がしにくく、調査は大変そうですね。


●後世に残る建物 (98/08/24)

 今日、明日と大学院の入学試験があり、本当は応援をしなくてはいけないのですが、建築学会ワーキンググループのお仕事で東京です。合宿で疲れてそのまま寝てしまったので、朝早く(2時頃)起きて研究室でレジュメをまとめました。非常に不健康です(^^)。

 9月末に報告書をまとめるという話だったのですが、なかなか話が進みませんね。建築学会として地球環境に関する提言をまとめるということで、最初は建物の長寿命化だけだと思っていたのですが、使用段階での省エネルギーや、交通を含めた都市全体の提案など話はどんどん広がっていき、人間のほとんどの活動をカバーするくらいになりそうです。今回も雑談先行でしたが、話を聞いていると面白いですね。建物を建てる時にはまず「建築家」に相談することになるが、この人たちが外見ばかりにとらわれていて、建物の風の通りや断熱性(省エネ性)についてはあまり関心がないのが問題だという話です。そりゃコンペするにあたっても、風通りなどは設計図を見てもわかりにくいですからね。設計を依頼する立場としても、そうした省エネ設計を評価基準にする必要があるのだ(=モラルが必要だ)という話にもなりました。建物は長期間にわたって使われるものであり、もし2030年に二酸化炭素の排出を半減させるとなると、今からそういった建物を建てていかないと2030年には切り替わらないというタイムスパンの問題があり、建築学会としても「今すぐ視点を変えよう」という緊急声明を出すべきだといった話も盛り上がりました。東京を見回してみても、長期間残して意味がありそうな建物は見あたりませんし、建築家も「古いものを壊して自分の建物を造る」のが役目だと考えていますから、このままでは長持ちする建物ができるのはいつになることやら、といった感じですね。

 こんな雑談を報告書にまとめたら、立派なのができそうなんですけれどもね(^^)。


●CASA合宿 (98/08/23)

 COP3の時の二酸化炭素削減戦略研究から、かなり話が分散してしまい、現在では一人一テーマで12個も研究が平行して進むという、収拾がつかない状態になってしまっています。とりあえずCOP4に向けて森林の吸収源の扱いや、JI(ジョイントンプリメンテーション:共同実施)、排出権取り引きについて、CASAとしての立場を整理しようと言うことで議論は進みました。話を聞いていて、それぞれの利害がからんで、科学的に意味ある数値を測定できるかという問題もあり、非常に複雑なことが明らかになりました。NGOとしても内容を理解している人が数人しかいないというのもうなずけます。IPCCの示したモノは比較的吸収などを十分見込まない基準で、二酸化炭素の流れを追うという点では問題があり、木製品の長期利用による削減などが扱えないという点もあるのですが、シンプルなだけあって一番数値的にはきちんとでてきそうです。逆にアメリカが提案した方法は、非常に複雑で、どうも議論を長引かせて混乱させるという視点もあるようです。たとえどのシナリオが望ましいと言えても、会議の中ではやっかいな提案が盛り込まれて骨抜きになったりしますから、国際政治はよくわかりません。

 私の担当している民生家庭部門ですが、例の省エネアドバイザー制度をどうも正式に動かしていく事で承認が得られたようです。会社を作っていこうという話もあったのですが、とりあえずはCASAとして仕事を下請けすることから始まりそうです。座長の水谷さんも静岡市との関係がいいらしく、省エネ家計簿などの仕事について相談を持ちかけられているらしく、早速来年から予算を組んでもらえることになりそうです。大阪市も取り組むということですから、これは面白い動きができそうですね。

 合宿ということで、琵琶湖の西岸にある近江高島に止まったのですが、湖水浴客でいっぱいでした。バーベキューでは肉を追加注文し、夜は会議と称して酒をのみ、次の日は竹生島見学をして、近江八幡の水郷巡りをして楽しみました。特に水郷巡りはめちゃくちゃよかったですね。船頭さんに櫓をこいでもらって、屋形船で1時間半くらいのんびりと葦の生える水郷をめぐりました。風も涼しくて、非常に快適でした。春の桜や、秋のシーズンなどもよさそうですね。


●エアコン (98/08/21)

 ようやく研究室で今年始めてエアコンをつけました。今までも暑かったのですが、だれもエアコンをつけようとはせず、扇風機だけで過ごしてきました。冷暖房の目安に使われると思われる簡易型の温度計が研究室にもあるのですが、最大目盛りの32度を遙かにこえて、使いモノにならない日々が続いていました。ここまできたのだから、エアコンをつけずに夏を終えてもいいかなと思ったのですが、「1年に1回くらいつけないと故障してしまうのでは」という意見から試しに付けてみました。

 いやあ、涼しいですね(^^)。部屋が広いので、温度を均一にすることは難しく、風の来るところではすぐに26度程度まで下がってしまいますが、おおむね快適です。ただ涼しくなって、多少気のゆるみも出てきてしまったようです。暑い研究室なら、眠たくても昼寝をしようモノなら汗だくだくになって、やっていられないのですが、エアコンをつけて涼しくなると、快適に昼寝ができてしまいそうです。

 今日は京大CO2の久しぶりの打ち合わせ(飲み会)がありました。みんな夏休みで忙しく、ピンポイントでこの日に設定されたのですが、5人が集まることができ、話が盛り上がりました。参加者がM1からD3までと非常に高年齢化が進んでおり、また新歓でも新しい人が入ってこなかったことから、CO2も解散かと思われていたのですが、COP3の1周年でほとんどの人が温暖化の問題を忘れかけているということから講演会でも企画したいという話が持ち上がりました。また去年も行った冷房調査を今年も実施することになり、9月1日に事務室や研究室を回って、設定温度と実際の室温を計って回ることにしました。去年はCOP3の追い風があったので、非常に盛り上がったのですが、今年はどこまで盛り上げることができるのかちょっと心配なところです。

 いっそのこと京大CO2の名前を変えて、今ちまたではやっているダイオキシンや環境ホルモンにならって、京大ダイオキシンとか、京大ホルモンとか名前にしたらどうかという話もありました。京大ダイオキシンだったらまだやることはありそうですが、京大ホルモンって何をやるんでしょうかね。学園祭でホルモン焼きでもやろうかなどという話もありました。


●太陽光発電 (98/08/18)

 帰ってきて早速ですが、楽しみにしていた太陽光発電を復活させました。東京で買ってきたインバーターをつなぎ直し、今度は変な家電をつないで壊してしまうまいと決心をし、テレビをまかなうこととしました。扇風機も動かしたかったのですが、どうも動きがぎこちないので止めておきました。夏は扇風機はとりあえず付けっぱなしになるんで、これができたらよかったんですけれどもね。

 まだもともと充電されていたものなのか、太陽光で充電した分なのかはよくわからないのですが、いずれ明らかになってくることでしょう。晴れたらテレビを2時間くらいは付けていられる計算になるようです。


●ユース・エコロジー・ギャザリング (98/08/17)

 エコ・リーグで毎年夏に、長野県美麻村の遊学舎で行っている、一大イベントです。全国から環境に関心のある青年が200人以上も集まってきて、5日間にわたって交流が行われます。去年は友達が急に亡くなったために参加できなかったので、2年ぶりの参加になります。

 途中参加であることもあり、かなり盛り上がっている中に飛び込むのはなかなか勇気がいることです。何も企画の準備もしておらず、参加するのが非常に怖かったのですが、たぶん昔の連中も参加していることだろうし、顔見せだけでも参加してきました。さすがに2年も経つと知らないメンバーばかりで、かなりとまどってしまいました。しかし不思議なモノで、みんな環境に関心があって集まっているとなると、ちょっと挨拶をしたところでいきなり深い話が始まったりして、なかなか面白いものです。エコ・リーグでは一度ギャザリングに会った人は、もう一回どこかで顔を合わせると、既に旧知の仲になっているものです。今回も初めての人がたくさんいたのですが、それなりにたくさんの人と話をしてきました。次回が楽しみです。

 この歳ですから、単に参加者としているだけではつまらないこともあり、その場で考えて自主企画を行いました。自転車発電など最近、新しいモノを作り出すことに楽しみを覚えていることもあり、「発明で儲けよう!」というタイトルで募集をしてみました。結局は、連想ゲームみたなものをして、なんか発明に結びつくモノはないかと考えたのですが、まあ当然といえばそうなのですが、くだらない発明品で盛り上がって、モノになりそうなのは全く出てきませんでした(^^)。本当はちゃんと環境活動のノウハウを伝えたり、相談に乗ったりするような自主企画をしたらよかったんでしょうけれどもね。

 ギャザリングは最後の電車の中まで、仲間といっしょです。京都にたどりつくまで、また友達を作ってきました。みんないいやつばっかりです。

 しかし、疲れました(^^;)。みんな異常にハイになっているんですね。旅行の最後にふさわしいイベントと言えばその通りなのですが・・・。いままで北海道で蓄えてきた体力を使い果たしてしまったような気もします。2週間ぶりに京都に戻ってきて、こんなに暑いところだったのだということも再認識しました。そして久しぶりに寝付かれない夜となりました。


●帰省 (98/08/14)

 6月末にも帰省しているので2ヶ月ぶりの帰省になります。例年なら夏休みと正月しか帰らないのですが、甥っ子がいるので今年は頻繁に帰っています。

 前回は、人見知りで泣かれてしまった姪っ子にも今回は受け入れられ、いっしょに遊んできました。やっぱり嫌われるよりは好かれるほうがいいものです。やはり昼間などは暑く、ウルトラマンごっこなどしていると汗だくになってしまうので、近所の川へと泳ぎに連れていったのですが、こどもは冷たい水も平気なもんですね。稲生沢川の家の近くの付近は「ながどり」という名前が付けられているのですが、小学校の頃には毎日かならず泳ぎに来ました。台風の時を除いて、昼の1時になると走っていき、決められた4時まで思いっきり遊んでいたものです。今も誰か泳いでいるのかな、と楽しみにしていたのですが、残念ながら今日でかけたときには、以前は石原だった川岸が草で埋め尽くされており、だれも泳いでいませんでした。しかし、世代を越えて同じところで遊んでいるというのも面白いものですね。私の父親もよく子供のころは泳いだそうです。かすかに記憶があるのですが、私が3歳の頃に父親に連れられてながどりに遊びにきたことを覚えています。それと同じ事を、甥っ子にしているんですね。

 CASAで作ったダイオキシンの小冊子を持ってきたので、市役所にでも持っていこうと思っていたのですが、結局子供のおもりで2日間が終わってしまいました。やはり自転車でもいいから自分で自由に使える交通機関がないと全くうごけないですね。


●北海道旅行 (98/08/11)

 今は苫小牧発、大洗(茨城県)着のフェリーの中で書いています。フェリーの中ほどやることのないものはないですね。エンジンのマッサージと、ゆりかごで、結構寝心地はよく、一度朝に起きた後もまた昼寝をしてしまいました。太平洋は日本海に比べて揺れは大きいですね。

 今回の旅行は、決して「北海道旅行」なのではなく、北海道で学会があるのであくまでも、「学会のついでに北海道の様子を見て回る」というものです。博士課程3年の私に、北海道旅行などのんきな旅をする暇などない(体面上あってはならない)ではないですか。というわけで、始めての北海道に胸をときめかせながら、新宿から夜行列車(ムーンライトえちご)に乗って新潟方面へと出発した次第です。

【新潟豪雨:2日目】比較的疲れていたこともあり、夜行列車の中ではゆっくり睡眠をとることができたのですが、朝方に車内放送がやかましく鳴り響いていました。どうも長岡に停車しているらしく、これから先の区間で豪雨があって列車の運行を見合わせている模様です。本来は朝方に新潟を通り越して、一日かけて日本海側を北上して函館まで達する予定を立てており、これは今日中にはたどり着かないかな、と一抹の不安を感じたのですが、どうすることもできず、また結構眠たかったのでそのまま寝ていました。3時間ほど待たされた後、「新幹線は動いているため、新潟まで新幹線で移動してほしい」との放送がありました。鈍行しか乗ってはいけない青春18切符で新幹線のグリーン車に乗って新潟まで優雅な旅を楽しめたものの、新潟に近づくにつれて、水浸しになった道路が続いているのを見て、最悪の事態に陥ったことを認識しました。(せっかくの豪雨だということで)新潟で降りて、しばらく膝までつかって思いっきり水遊びと交通見学をした後、当分電車が動きそうもないことから、電車の旅をあきらめ小樽行きのフェリーに切り替えることにし、一日新潟めぐりをして楽しみました。旅の出鼻をくじかれた形です。学会もこれで初日は参加することができなくなりました。ただ、生牡蠣とわっぱ(おひつに入っためし)はめちゃくちゃおいしかったです。

【小樽:3日目夕】フェリーの中は非常に退屈だったのでパス(あれが北海道だと見えていても上陸できないのが苦痛でした)。夜に新潟を出港して、次の日の午後に小樽に上陸しました。ただ学割を使って4200円というのはなかなかいいものではないでしょうか。北海道についたらとりあえずうまいモノを食おうと、ガイドブックに載せられていたお店へといそいだのですが、正直なところガイドブックに載せられていたほど良くはありませんでした。ウニといくらの2色丼で2000円。ウニはなかなかいい味をだしていましたが、いくらがウニに負けていましたね。レベルは低くはないのですが期待していただけにちょっと残念でした。さすが小樽は港町で、煉瓦作りの倉庫があちこちに並んでおり、趣のある町並みを演出しています。オルゴールやガラス工芸などの店も建ち並び、なかなかおしゃれな雰囲気で、観光客もたくさん歩き回っていました。時間がないので素通りしてしまいましたが、ここは一日ゆっくり歩き回ってもあきない街だと感じました(ただしカップルなら)。

【北大:3日目夜】札幌の駅を降りて歩いて5分で北海道大学です。こんな町中にあって、たぶん札幌の繁栄をかなり阻害しているのかもしれませんね(すみません)。しかし交通の便利なところにあるものだと、喜んで門をくぐったのですが、今回宿泊する恵迪寮はなんと北大の北のはずれ、北大の中を歩いて30分もかかる距離でした(^^;)。重い荷物を抱えながら友達と無言でひたすら歩いていきました。北大は広いと聞いていたのですが、ここまでとは思いもよりませんでした。横を通り抜けながら恨めしげに眺めていたのですが、途中に広い農場や原生林があるんですね。さすがです。今回おじゃまさせてもらった方々に連れられて、支笏湖へ温泉に入りにも行って来ました。帰り道ではキツネにも出会いました。北海道に来ていきなり大自然満喫といった感じです。

【一心太助:4日目夜】昼間はまじめに学会に参加したのですが、なかなか興味深い研究をしていました。やはり新築の家から出てくるホルムアルデヒドなどの室内汚染が大きなテーマとなっており、かなりの議論が行われていました。業界の人が多いのですが、決して商売丸だしではなく、話は高度で面白かったです。この日の晩は、前日に恵迪寮の人に教えてもらった居酒屋へでかけてきました。エコ・リーグにも関わっていて北大で廃棄物計画を研究している高橋君もさそって、また小樽まで行って来たのですが、行ったかいがありました。一人3000円で、海産物だけで腹一杯になるんですね。ウニの食い過ぎで気持ち悪いくらいになってしまいました。ガイドブックには全く載せられていないのですが、地元の人たちに評判のお店って、なかなかいいもんですね。

【花火大会:5日目夜】再びまじめに学会に参加したあと、夜を満喫してきました。ちょうど花火大会があるというので、街を散歩しながらでかけてきました。ラーメンを食い、北海道限定のビールを飲み、花火を見、(本当は見たくなかったのだけれど)偶然通りかかって時計台を見、すっかり札幌観光をしてしまいました。寮に帰ってきてから、ビールで飲み会が始まったのですが、「お祭り」ということで話が盛り上がりました。今度の寮祭が90回目の記念ということで、ど派手なことをやりたいということで、近くの山のスキー場を借りて大文字焼きをしようということになってしまいました。京都の大文字焼きに習って、北で行われる大文字焼きだから「北大」という文字にしようなど、大学の寮らしい発想です。それじゃ早速善は急げということで、裏庭でキャンプファイヤーをしたりと、なかなか行動力がある人たちです(^^)。本当にやっちゃいそうなんで面白いです。

【美瑛:6日目】学会も終わり、富良野の北に広がる丘陵地帯(美瑛)を自転車で走り回ってきました。ジャガイモ畑、小麦畑、牧場などがまさにパッチワークのように遙か彼方まで広がっており、本当に気持ちいいですね。登り坂はさすがに大変なのですが、急な下り坂をジェットコースターのように駆け下りたりして、遊園地のようなおもしろさがありました。写真を撮りたいと思ったのですが、このパノラマはとてもじゃないけれど写しきれないなとすぐにあきらめました。一応写真家の写真が展示してあるという拓真館に寄ったのですが、写真では撮りきれないと思っていた予想を裏切られてショックでした。確かに広大さは実物にかなわないのでしょうが、ずっと美瑛に暮らしているとめちゃくちゃきれいな風景が現れてくるものなんですね。これが目の前に広がっていたらと思うと、また来たくなってしまいます。この日は電車を乗り継いで釧路まででかけました。早起きをしたため、景色を見ずに寝てしまったのはちょっと残念なところです。釧路近くでうとうとしていると急に電車が止まり、「ただいまカモシカと接触しました。点検のためしばらく停車します・・・」というアナウンスがありました。さすが北海道です。

【釧路:7日目】本当は野宿する用意もしていたのですが、釧路はさすがに寒かった。最低気温は13度、最高気温でも19度らしいです。ビジネスホテルに泊まり、朝一番の列車で釧路湿原へと向かいました。なんでこんなに広大な土地が手つかずに残されているんだろうと不思議になるくらい見事な平原でした。塘路駅からしばらく歩いてサルボ展望台にも上ったのですが、湿原の間を申し訳なさそうに道路と鉄道を通してもらっているんですね。その展望台付近はアイヌの暮らしていた跡らしく、豊かな森があり、池がありと、これなら生活できそうだといった感じです(冬は大変なんでしょうけれどもね)。自然ばかり見て回ればいいものですが、一応市内に戻って釧路市博物館にも寄ってきました。湿原のことや北海道の文化などについて説明されていて、来て良かったと思える場所です。いわゆる日本の歴史と全然違う流れになっているんですね。アイヌ文化などもかなりの昔から続いているものと思っていたのですが、狩猟生活を中心とする社会が長く続いており、いわゆるアイヌ時代というのは室町後期以降のことだったんですね。知的好奇心を満たした後は、和商市場でまた海鮮丼を作って食べてきました。一番北海道らしい風景が見られるという根室行きの花咲線にも乗りたかったのですが、時間がなくあきらめました。

【帯広から苫小牧:8日目】今日は最後の日で、フェリーに乗るために苫小牧まで移動です。でもこんな日に限ってきれいに晴れるんですよね。車窓風景もきれいだったけれど、なんかうっぷんがたまります(^^)。電車待ちの富良野では大好きな「北の国から」のメロディがあちこちで流れていたのですが、メロディとは逆ににぎやかでした。北の国から資料館も見てきたのですが、この間放送した分のセットが展示してあり、見逃してしまった私にとっては辛いモノがありました。うっぷんをはらすように、メロンと揚げたじゃがいもを食べてきました。滝川という駅でも時間待ちがあり、あまり観光できるところは少なかったのですが、晴れていることもあり石狩川の河川敷を見てくることにしました。途中で八百屋があり、富良野すいかが380円で売られていたのでついつい買ってしまい、河川敷で一人で昼飯の代わりと豪快に食べました。河川敷ではグライダーなどもとばしており、空から見る景色も気持ちいいんでしょうね。値段が高いので乗りませんでしたけれども。結局のんびりしすぎて、予定していた電車にも乗り遅れてさらに1時間待ちとなってしまいました。

 ともかく、北海道がこんなにいいところだとは思ってもみませんでした。天候や季節などでも変わった風景を見せてくれるでしょうし、何度行ってもあきないんでしょうね(春はやめたほうがいいと恵迪寮の連中は言っていました。雪解けで冬の間凍っていた犬の糞などがまとめて路上に転がっているそうです)。夜も涼しいので快適に寝られたし、ついつい早起きをしてしまうという、非常に健康的な毎日でした。京都では研究もはかどらないだろうし、やっぱり夏は北海道に研究道具を持ってきてもいいかもしれませんね。

 北海道で気になったのは、窓やドアがちゃんと二重になっているところです。やはり冬場はこのくらいしないと熱が逃げてしまうんでしょうね。もう一点、雪の扱いも工夫がされていますね。倉庫などはやたらと雪が滑って落下しないように滑り止めをしてあるほか、屋根の縁だけを角度を急にしてみたり、逆に真っ平らにしてそもそも雪を落とさないようにしていたりと面白かったです。


●東京(省エネ&建築学会) (98/08/03)

 訳あって夜行列車で東京に来たもので、朝の5時前に到着してしまいました。新宿の事務所に出掛けてみると、案の定藤原君が仕事をしていました。夏は何かしらイベントが動いており、エコリーグ周辺もなかなか忙しいんですよね。自転車キャラバンの企画に関わっていて、今日環境庁長官に要望書を提出するそうです。そこで彼は困っていたことが「環境庁長官ってだれだっけ?」。まあ先週頃に組閣がされてまだなじみのない人なんですよね。ニュースステーションでも、記者からダイオキシン政策について尋ねられたときに、環境庁資料をぱらぱらとめぐりながらしどろもどろで、よくわからない回答をしており、ちょっと心配な人です。原発も「やむを得ない」と発言していますしね。私も忘れていました「真鍋賢二」さんです。

 東京へ出掛ける度に最近顔を出しているのが、茂木さん。省エネアドバイス関係の会社を作ろうということで前回に引き続いて2回目の打ち合わせです。以前に省エネルギーセンターの調査報告書や、集計結果などを送っていたので、どのような反応をするのか興味がありました。午前中ずっと4時間くらい話をしてきました。

 茂木さんの主張としては、今までの取り組みがどうも形式張っていて、一方的に情報を伝えるという立場に立っているのではないかという指摘です。もう少し生活者の立場を考えて取り組みが行えるはずだという話をしきりにしていました。また、現状でお金になるのは環境家計簿程度でかなり関心のある人しか関わってこないけれども、今後は環境関連グッズの販売なども含めて、関心の無い人にも広げていけることを考えていきたいという考えでした。まあ話としては妥当な線だと思います。ただ何でも「生活者の感覚で」となると非常にあいまいになってしまうことが多く、省エネという基準での今まで知られていなかった生活に密着した情報を提示することが今回の取り組みの柱になるのだと思います。何が正しい(省エネになる)ことなのかは、曖昧なところ抜きで情報整理をする必要はあります。ただ、それをアドバイスする段階では、使った感じがどうであるのか(蛍光灯の色合いなど)、使い勝手が変わるのか、などの感覚的な情報も併せて示す必要はあるようです。

 茂木さんにとっては、将来それで食っていくことを前提にしたものなので、将来性があるのかは重要な点だということはよくわかります。ただ、一番お金と結びつきやすいと考えられる省エネアドバイスでちゃんとお金が稼げるものかどうかすら明らかではない状態では、なかなか先のことはわからないでしょう。現実的な企画進行ができるかどうかが問われてくるところのようです。

 午後からは建築学会の環境対策評価ワーキンググループの会合があり、出席してきました。今回の旅行の中で一応メインとなるものです。

 締め切りが迫っているのですが、なんとも雑談が多く入ってしまい、結局仕事分担すらうまくいきませんでした。一応自分の担当の部分の資料も提示したのですが、資料検討する時間もなかったですね。ただ結構うちわ的な情報も飛び交って、面白い情報集はできあがりそうです。問題はそれをまとめていくだけの力量を持った調停ができるかどうかというところでしょう(^^)。

 今日から青春18切符を使って北海道へとでかけます。名目上は5日から7日にかけて行われる空気調和・衛生工学会へ参加するということですが、それにかこつけて10日頃まで北海道めぐりをしたいと考えています。今回夜行で東京まで来たのも、せっかく鈍行の旅行をするのだから最初から倹約旅行をしようという意図からです。早速今日の夜行からあまり眠れずに、ちょっと先が心配になってきました。


●ブックレット校了 (98/08/02)

 前回の校正の段階では、図表の大きさがばらばらだったり、イラストがかすんでいたりと非常に心配だったのですが、昨日届いたものではすっかり直っていました。本当はもう一度校正を送ってもらおうとしていたのですが、今日CASAで打ち合わせを行って、この分だったら校正は今回が最後でいいのではないか、という話になりました。

 もう修正がきかないとなると、また心配になってくるのですが、かといってこれ以上見直す気にもなれないという、後ろ向きなやるきなさが出てきてしまいました。まあ2月ころから書き始めているのですから、もうそろそろチェックを終えてもいい頃なんでしょうけれどもね。いやあ、本当に疲れました。うちの助教授の酒井先生も本を2冊くらい続けざまに出したのですが、普段の生活でも忙しそうにしているのに、よくそんな暇があったものだと感心してしまいます。私は研究そっちのけで(^^;)やっていたので、自由に時間がとれたんですけれどもね。

 やり残したことは多いのですが、今晩から京都を離れて東京−北海道とめぐります。結局7月中に仕上げるといった英語の論文も尻切れトンボで終わってしまったし、アンケート調査の計画もなかなか進んでいないし、困ったものです。これでは現実逃避旅行と言われても仕方がないですね。(実際そうなんですけれども)


お問い合わせ、感想などありましたら鈴木(ysuzuki@mti.biglobe.ne.jp)まで。お気軽にどうぞ。

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