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横浜美術館「ドガ展」       (2010.12.06)

横浜美術館の「ドガ展」に行ってきました。オルセー美術館所蔵の45点に、国内外のコレクションからの作品を加えた約120点の「ドガ」の作品の展示会です。初期から晩年に至るまでの作品を「古典主義からの出発」「実験と革新の時代」「綜合とさらなる展開」の3つのテーマに分けて展示されていました。
ドガというと真っ先に思い浮かべるのは「踊り子」の絵 。 踊り子というと「エトワール」。日本初来日とのことです。この展覧会でもこの一点は独立したコーナーに展示されていました。油彩だと思っていましたが、パステル画とのこと。ちなみに、エトワールとはパリ・オペラ座バレエ団のトップダンサーのことで、他のバレエ団ではプリンシパルと呼ばれています。この展覧会、他に「バレエの授業」はありましたが、「舞台のバレエ稽古」などは今回は来日していないようです。ドガの代名詞の踊り子の絵がもう少しあればよかったと思いました。
ドガが唯一生前に発表した彫刻「14歳の小さな踊り子」。これ、好きです!!。「14歳の小さな踊り子」は、発表された途端に、世間の痛烈な批判を浴びてしまったとのこと。痩せた少女にバレエの衣装を着せ、本物の髪を張り付け・・・、幼くいたいけな少女という感じで、あまりに生々しいゆえに物議をかもし出したのでしょう。踊りの練習の一瞬の表情を造形にしたもので、少女の緊張感と動きの、外見と内面とが同時に見事に凝縮された作品で、ドガは、この彫刻を、二度と人目にふれることがないように、大切にケースに入れて自宅に保管していたということです。
 
ブロンズの小さな踊り子の彫刻も、多数展示されていました。これらは、死後彼のアトリエから発見された150体もの彫刻の一部だとか。晩年、ドガは目が闇に覆われても、最後まで自らのモチーフ「踊り子」を追い求めて銅像を作り続けたのです。ドガが、どれほどバレエやバレリーナを愛していたか、強く感じます。
 
なお、横浜美術館で写真撮影はできませんでした。予想どおりでがっかりしましたが、欧米の美術館では、作者の死後70年経って著作権の切れている作品のコレクションは、基本的に撮影を可能にしているようです。以前行ったパリのルーブル美術館でも、フラッシュさえ使わなければ、コレクションを自由に撮影できました。限られた時間に作品を充分に鑑賞することはとても難しく、気に入った作品は写真に撮っておいてじっくり思い出してみたいもの。欧米の美術館は、入館者の立場に立っているような気がします。

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