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コッペリア:藤田雅子・貞松正一郎、貞松浜田バレエ   (2010.12.01)
当時、貞松浜田バレエ団の団員だった藤田雅子と貞松正一郎による「コッペリア」第2幕の結婚式のパ・ド・ドゥの映像がります。 この映像は、1994年頃、テレビ東京の「バレエ誕生」で放送されたものですが、この二人の踊りを見ていると、自然に心がなごみます。 それほど、この映像の二人は、息が合っていて、微笑ましさがあふれているのです。 「パ・ド・ドゥのパートナーシップとはこういうもの」という感じがします。
 
本当に、このパ・ド・ドゥは、藤田雅子と貞松正一郎の息はピッタリで、二人の助け合いの気持ちが一杯の微笑ましい踊りです。 クラシック・チュチュ姿の藤田雅子は本当に美しい。まろやかなカーブを描く甲、スッキリ伸びた細く長い脚、 真横に張り出した純白で上品なスカート。こんなにクラシック・チュチュが良く似合う人も珍しい。 アダージョの出だし、貞松正一郎にエスコートされて出てきた藤田雅子は、かなり緊張していたようで、「失敗したらどうしよう!!」と不安に満ちた強張った表情を見せていました。 でも、貞松正一郎は藤田雅子をデリケートに、かつ、ガッチリとサポート、藤田雅子は貞松に身をゆだねているという感じで次第に安心してきたようでした。 最初の見せ場、ひとり立ちのアラベスクのバランス。パートナーの支えの腕から、なかなか手を離せない。 意を決して手を離し、アンオーまで腕を上げてグッと堪えたバランス。これを3回、無事に終えて笑みが浮かびました。 これで落ち着いたのか、終盤のリフトの時には、藤田雅子は、フワッと浮かぶように飛び上がって、貞松正一郎に負担をかけまいとしている気持ちが感じられました。 アダージョのフィニッシュ。足を高く蹴り上げた倒立の女性を男性が支えるポーズ。女性と男性の呼吸が命。足を高く上げ思い切り大きく背中を反らした藤田雅子を、貞松正一郎はしっかりホールド。 バッチリ決めたのは見事でした。無事終わって、「上手なサポートありがとう」と言っているように貞松正一郎を見つめた藤田雅子の眼差しが美しい。 こんな光景を見ると、パ・ド・ドゥは、信頼し合った男女の共同作業とつくづく感じます。
ヴァリエーションでは、藤田雅子、難しい箇所に差し掛かると、素に戻って険しい表情をみせますが、これが何とも可愛らしい。 ベテランでも失敗しがちなイタリアンフェッテでは、やや不安定になりながらも、険しい表情で必死に持ちこたえて踊る姿がいじらしく、 また、ヴァリエーションの最後、高速回転のシェネを終えた停止で、トゥの先のわずかなブレをグッと堪えてフィニッシュ。 何とも可愛らしい。 終わった直後のホッとした笑みが美しい。首筋や胸元は汗できらきらと輝いていました。 コーダでのグランフェッテでは、軸足のずれが出てきてかなり辛そうでしたが、 歯を食いしばって懸命に回る姿には、「頑張れ!!」と応援したくなりました。 力を振り絞って踊り終えて、大きく波打つ胸からは、再び汗が噴出していました。 藤田雅子の踊り、クラシックバレエのお手本という位に正確でとても丁寧なのですが、あまりにおとなしすぎる感じもするくらいで、 上品さを失わない程度に、もう少し自己主張もあって良かったかなと思いました。
貞松浜田バレエ団のHPに、貞松正一郎は載っていますが、藤田雅子の名前はありません。藤田雅子は、白百合のように清らかな容姿、静かな物腰、スッと伸びた美しいポアント、それにバランス、回転の確かな技術・・・といった、クラシックバレエのプリンセスの資質を全て身に着けたバレリーナだけに、 もしバレエを辞めてしまっていたとしたら・・・、本当に惜しい気がします。 是非もう一度、藤田雅子の素敵な舞台姿を見たいものです。
バレエ誕生」は、ライブではなく劇場を借り切っての録画なので、カメラがよくダンサーを追っていて、踊りだけでなく表情も良くわかり、とても興味深い番組でした。 でもスポンサーが倒産してしまったとかで、約1年で終わってしまいました。復活してくれると有り難いです。

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