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眠りの森の美女:オランダ国立バレエ  (2004.10.24)
  ソフィアン・シルベのローズ・アダージョのバランスに感激  

素敵なオランダ国立バレエ「眠りの森の美女」のDVDがでました。オランダ国立バレエには、マリンスキー出身のラリッサ・レジュニナ(Larissa Lezhnina)が居り、 彼女が19歳の時にオーロラ姫を踊ったキーロフの「眠り・・」の映像も初々しい踊りを楽しめたものですが、 2003年に撮影された、この新しいオランダ国立バレエの「眠り・・」も、魅力的なダンサーたちの踊りに加え、映像は鮮明で、音も良く、とても素晴らしいものです。 なんと言っても素晴らしいのは、オーロラ姫役のソフィアン・シルベ(Sofiane Sylve)。彼女は、イギリスの批評家に「ギエム、バッセルを超えるかもしれない超安定感」と 絶賛されたそうですが、この「安定感」をローズアダージョやグラン・パドドゥで遺憾なく発揮しています。
まず、プロローグ。妖精たちのコスチュームは、ロシアなどに比べると長めのクラッシック・チュチュ。上品さを感じさせました。
第一幕、シルベのオーロラ姫の登場。妖精たちと同様、長めのピンクのクラシック・チュチュ。通常の真横にピンと張り出したスカートではなく、ロマンチック・チュチュを短くしたような釣り鐘型のスカートで、シルベには、よく似合っています。背が高くスラッとして、笑顔がとても美しく、気品があります。
ひとしきり踊って、ローズ・アダージョ。お目当てのアチチュードのバランス。これは見物です。それまでの笑顔が消えて、真剣な表情になったものの、観客の方を真っ直ぐ向いて、高々とアンオーまでてをあげて、しっかりバランスをキープします。 「ギエム、バッセルを超る超安定感」という賛辞が、なるほどと思います。それもビシッと決まるというより、心なしか不安を感じさせながら、ゆっくりとした動き。16歳のオーロラ姫の初々しさを感じさせます。そして、圧巻は、プロムナード最後のバランス。手をアンオーまであげたとき、上体がグラグラしますが、懸命に揺れを堪えて、フィニッシュのアラベスクへと繋げますv。 倒れまいと歯を食いしばって必死にバランスをとる姿は、いじらしくて本当に素敵。観客は拍手喝采、口笛も聞こえます。ローズアダージョを無事踊り終えた彼女に笑顔が戻りました。続くオーロラ姫のバリエーションは、にこやかな笑顔をくずさず、上品ながらも軽快な踊りでした。そして、カラボスのしかけた針に倒れるシーンは力を振り絞っての熱演。横たわったとき、美しい胸は大きく波打っていました。思わずジーンときました。
第三幕、グラン・パ・ドドゥ。王子は、ゴール・ランビオットというダンサー。この人もどちらかというと地味で、女性のサポートに徹しているという感じです。シルベはにこやかな笑顔。アダージョ中盤の3度のフィッシュ・ダイブ。ビシッと見事に決めましたv

このDVDは、リージョンフリー(Region ALL)ですが、ヨーロッパ向けのPAL方式でなので、PAL仕様のDVDプレーヤーでなければ再生できません。是非日本向け(NTSC方式)のDVDの発売を望みたいところです。
 
Princess Aurora:Sofiae Sylive
Prince Florimund:Gael Lambiotte
Het Nationl Ballet
2003 Het Muziekhteater in Amsterdam

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