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バレエの「公演」と「発表会」     (2002.1.14)

私はバレエのステージを観ることが大好きです。バレエの舞台は、通常、「公演」と「発表会」に区分されます。それに加えて「コンクール」というものがあります。ごちゃごちゃして頭がおかしくなりそうです。そこで、これらの違いを考えてみたいと思います。
 
まず、「コンクール」。これは、ダンサーが自ら技を競う為に参加する場であり、観客に自分の踊りを披露する「公演」と「発表会」とは、大きく異なります。コンクールは日本でも数多く開かれていますが、有名なのは、何と言っても、「ローザンヌ国際バレエコンクール」。吉田都さんや熊川哲也さんも、このコンクールの受賞者です。
 
さて、「公演」と「発表会」の違いに入りましょう。解釈は色々あるようですが、一般的に、「公演」はプロのダンサーが踊りを観客に見せるもの、「発表会」はバレエを習っている人が、日ごろの成果を友人や家族や関係者に見てもらうものと言えるでしょう。
 
「公演」は、観客がお金を払って、プロのダンサーの舞台を観るもの、「発表会」は、出演者自身がお金を払って舞台に立たせてもらうというものです。
「公演」はプロの舞台ですから、出演者は観客を楽しませなければなりません。つまり、自己満足であってはならないのです。必然的に、舞台を観る観客の眼も厳しくなります。失敗は許されません。ダンサーは踊りに誇りを持って公演に参加しています。「公演」は「発表会」の延長ではありません。
一方「発表会」では、出演者は日ごろの練習の成果を晴れの舞台で一生懸命に披露するもの。出演者自身が楽しめれば良いということになります。失敗しても、それは成長の過程と大目ににてもらえます。舞台経験を積んで出演者は成長していくのです。
 
でも、観客サイドからすると、「発表会」の中に、キラッとした輝きを見つけることもあるし、大規模な「公演」でも、つまらないと思うこともあります。むしろ、発表会に近い、小規模な「公演」に、大規模な「公演」には無い、魅力を感じる場合が多いのです。
 
昨年は、とても素敵な「発表会」と「小公演」を観ました。
「発表会」は、「シルヴィア」の全幕、「小公演」は、「新人の会」です。
それぞれの感想は、ホームページにアップ済みですから、詳しくは言いませんが、いずれも、ダンサーのみなさんひとりひとりが、主役はもちろん脇役の方々も、力を合わせて良い公演にしようと一生懸命に踊っているのが肌で伝わってきました。 その結果、「シルヴィア」は、発表会と言っているものの、なかなか優れたもので、公演と呼んでもよいくらい立派なものになっていました。「新人の会」は、文字通り「初心に帰って」ステージを盛り上げようとしている気持ちが伝わってきました。自らの力をふりしぼって、必死に踊る姿は爽やかで、感動的でした。
いずれも、ダンサーの皆さんの中には、笑顔を見せる余裕のないくらい表情の硬い方もおられ、それだけ真剣だったのでしょう。これが、一層の感動を呼んだのだと思います。
発表会や小さな公演では、しばしば、このような素晴らしい感動を受けることがあり、これがまた、舞台の魅力でもあるのです。バレエを観る楽しみは尽きません。


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