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CD180枚のモーツァルト全集     (2017.11.30)

私のレコードキャビネットの中に、70センチあまりの大きなスペースを締め、ひときわ目立つCDがあります。17巻のケースにからなる、フィリップス「モーツァルト全集」です。
 
1992年、モーツァルト没後200年記念として、多くのイベントが開かれました。レコード界も、限定盤や記念アルバムの発売など、いろいろな企画で賑わいました。 そんな中で、フィリップスの「モーツァルト全集」は、ひときわ注目を浴びたものでした。 モーツァルトの全作品のCD化という、未だかつて誰も実現できなかった偉業がなされたのです。 なにしろ、モーツァルトの作品は多い。死の直前のレクイエムのケッフェル番号は626ですが、さらに、追加番号がついた曲が多々あります。 これらすべての曲をレコーディングしCDに収めて売り出すといものです。収録曲数は789曲、CDの枚数は180枚にのぼってしまったのです。 一枚あたり60分として、全て聴くには、180時間が必要です。
 
初版が発売された時は、ジャンルごとに詳しい説明書をつけ、豪華なケースに入れて、毎月分売し、約2年間で完結するという形で売り出されました。 毎月の販売価格は2〜3万円で、合計で、45万円近くにもなろうと言うものでした。 日本での発売は、レコード会社ではなく、書籍の小学館からでした。 もっとも、CD一枚あたりにすると2500円で、決して高くはないのですが、一度に40万円を越えるとなると、とても私のような普通のサラリーマンには買えるものではありませんでした。 その後、オランダ・フィリップス社から豪華な解説書を省き、簡易ケースに入れて再発売されました。輸入版で解説書は英語です。 それでも、17巻の合計は10万円強になります。でも、これでしたら、私でも手が届く値段ですし、一枚あたり500円ですから、一般に廉価盤として売り出されているCDよりも安い値段です。 私は、最初、全巻セットで注文しましたが、すでに売り切れ。そこで分売盤を17巻別々に買いそろえました。これが私の手元にあるものです。 それにしても、CD180枚ものレコード全集が商売になるくらいですから、あらためてモーツァルトの人気に驚かされます。
    vol.1i464-770-2 12CD 交響曲全集(全55曲)/マリナー
    vol.2i464-780-2 13CD 管弦楽のためのセレナード、舞曲と行進曲全集/マリナー、ボスコフスキー
    vol.3i464-790-2 11CD ディヴェルティメント&管楽のためのセレナード全集/マリナー
    vol.4i464-800-2 12CD ピアノ協奏曲全集/ブレンデル、他
    vol.5i464-810-2 9CD ヴァイオリン協奏曲、管楽器のための協奏曲全集/ブラウン、今井、ニコレ、他
    Vol.6i464-820-2 8CD 室内楽曲全集-1/ボザール・トリオ、他
    Vol.7i464-830-2 11CD 室内楽曲全集-2/イタリアSQ、グリュミオー、他
    Vol.8i464-840-2 9CD 室内楽曲全集-3/グリュミオー・トリオ、他
    Vol.9i464-850-2 12CD ピアノ作品全集/内田、ヘブラー、デムス、他
    Vol.10i464-860-2 11CD ミサ&レクイエム/ケーゲル、ガーディナー、他
    Vol.11i464-870-2 13CD リタニア、ヴェスペレ、カンタータ/デイヴィス、マリナー、他
    Vol.12i464-880-2 10CD コンサート・アリア、&歌曲/グルベローヴァ、アメリンク、他
    Vol.13i464-890-2 13CD 初期イタリア語オペラ/ハーガー、シュライヤー、他
    Vol.14i464-910-2 9CD 中期イタリア語オペラ/マリナー、デイヴィス、他k
    Vol.15i464-920-2 11CD 後期イタリア語オペラ/デイヴィスk
    Vol.16i464-930-2 11CD ドイツ語オペラ/ハーガー、デイヴィス、クレー、他
    Vol.17i464-940-2 5CD 珍しい作品&劇音楽作品集/マリナー、クレー、他
 
演奏は、マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団、ブレンデル、シェリング・・・・等、フィリップスレーベルとしてかつて発売されていたものが大多数ですが、この全集のために録音されたものもあるそうです(世界初録音23曲、新録音89曲)。 また、この全集に含まれた曲は、小学館のモーツァルト音引き辞典「モーツァルト・アーカイブ」に載せられた曲と完全に同期しているため、「モーツァルト・アーカイブ」で、解説やスコアの先頭を検索でき、便利です。 ただ、CD180枚から目当ての曲を探し出して聴くのはやはり大変です。そこで、CDの内容をそっくりMP3の形に変換して、PCとネットワークで繋がったNASのHDDに収容してあります。 こうすることで、CDをプレーヤーに乗せ替えることなく、PCの画面からマウスでHDDにある該当の曲を選び出して聴けるようになります。180枚のCDをMP3化するには、休日を使って数ヶ月かかりましたが、全ての曲をHDDに入れ終えました。 この結果、PCの画面で聴きたいモーツァルトの曲を選択して、PCとUSBで接続したステレオセットで聴くことができるようになりました。
 
MP3は、MPEG 1 Layer-3 Audio 規格の略称です。Layer が大きいほど圧縮率が高くなりますが、逆に音質は悪くなります。 Layer-3(MP3)は、人間が聞き取ることが不可能な帯域の音をカットし、圧縮前のデータと比較して約10分の1という 信じられないような高圧縮率でありながら、CDに近い音質を保つという効率的な圧縮技術です。

ところで、MP3をめぐってデジタル著作権のあり方が昨今よく議論されます。 容易に使用できるため、CDに収録された曲をMP3化し、勝手にホームページにアップしているサイトも見受けられます。 こうなると著作権を侵害することにもなりかねません。他人の作った曲を無断で MP3化してウェブにアップするのは、他人の作ったグラフィックスを 無断でアップするのと同じで、不特定多数への無許諾コピー配布行為になるからです。

一方、MP3によって音楽データをPCに取り込むこと自体が著作権の侵害だと言う意見もあるようですが、これは少し行き過ぎのような気がします。 もしそうなら、私のようにモーツァルトの音楽全集のCDをHDDに取り込むことも違法ということになってしまいます。 もともと無許諾コピー配布行為が著作権侵害にあたるのであって、個人的使用は許されているのですから、好きな曲を個人で聴くためにCDからHDDに取り込むこと自体は問題ないと思います。 また、MP3化してHDDに入れたCDの音楽は、LANに繋がった家庭内のPCやネットワークメディアプレーヤーで聴くことができますし、一部は、SONYのWalkManに入れて持ち出しカーステレオでも聴いていますが、 これも一枚のCDを複数のステレオセットやPCで聴くのと同様、同一家庭の複数の再生装置で楽しむだけで配布には該当せず、問題はないと認識しています。

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