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プリマバレリーナの芸術:ボニング&ロンドン響     (2013.9.28改)
古いレコードのアルバムがあります。「プリマバレリーナの芸術」と言うタイトルでLPレコード(アナログディスク)の2枚組みで、パ・ド・ドゥを中心としたバレエ曲が一杯詰まった楽しいアルバムです。 演奏はリチャード・ボニング指揮ロンドン交響楽団。発売は、1966年です。
LP盤の収録曲は、
 1. バヤデール(踊り子)(ミンクス)
 2. パ・ド・トロア(ドリゴ)*
 3. 歌劇「ウィリアム・テル」〜バレエ音楽(ロッシーニ)
 4. 「ジゼル」第1幕ぶどうの踊り/ジゼルのパ・スル/農民のパ・ド・ドゥ(アダン)*
 5. 「ジゼル」〜パドドゥ(第2幕) (アダン)
 6. 「ラ・シルフィード」(ローベンスヨルド)
 7. 「白鳥の湖」〜黒鳥のパ・ド・ドゥ(チャイコフスキー)
 8. 歌劇「ファボリータ」〜バレエ音楽(ドニゼッティ)*
 9. 「ドン・キホーテ」〜パ・ド・ドゥ(ミンクス)
 10.「ボレロ1830」(オ・ターナー)*
 11. 「パ・ド・カトル」(ドリゴ)
 12.「眠れる森の美女」〜青い鳥のパ・ド・ドゥ(チャイコフスキー)
 13. 「くるみ割り人形」〜パ・ド・ドゥ(第2幕) (チャイコフスキー)
  *が、復刻盤CDから除かれた。
 
LPレコード:「バレリーナの芸術」
この内容は、指揮者ボニングが、バレリーナ:アリシア・マルコーヴァと、「かつてのプリマバレリーナの栄誉を称えよう」と選曲したとのことで、このアルバムの魅力は、その着想、発端から最後の仕上がりまで、この二人に負うところが多いでしょう。 ステップのテンポの的確さなど、踊りに即したもので、普通ではなかなか手に入らない曲もあり、とても良い企画だと思います。

このアルバムは、CDにも復刻されて販売され、私も購入しましたが、我が家では、アナログのLPレコードプレーヤが健在で、今でも主にLPレコードで聴いています。 LPレコードのアルバムは、30センチ四方のカートンボックスに入っており、解説書も豪華ですし、レコード盤のずっしりとした重さは、軽いCDとは違った存在感を感じます。 LPレコード特有のスクラッチノイズはありますが、暖かみのある音質は、CDのクリアーな音とは違った良さがあります。 もっとも、LPレコードは片面30分程度しかありませんから、裏返したり盤を変えたりするのが忙しいし、その都度クリーナーでほこりをとらなくてはならず、また、持ち運びも不便。このあたりが、スピードを要求する現代にはそぐわず、廃れてしまったところかもしれません。 でも私はLPレコードが好き。末永く大事に使っていこうと思います。
CDの復刻盤は、タイトルは「グラン・パ・ド・ドゥ」となっていて「プリマバレリーナの芸術」はサブ・タイトルです。 収録曲は大部分は同じですが、一部別の曲に差し替えられています。 パ・ド・トロア、「ジゼル」第1幕ぶどうの踊り/ジゼルのパ・スル/農民のパ・ド・ドゥ、歌劇「ファボリータ」〜バレエ音楽、「ボレロ1830」が削除され、「ジェンツァーノの花祭」〜パ・ド・ドゥ、「エスメラルダ」〜パ・ド・ドゥに置き換えられたのです。 実は、「パキータ」よりパ・ド・ドゥ、「エスメラルダ」よりパ・ド・ドゥ、「海賊」よりパ・ド・ドゥ、「グラン・パ・クラシック」、「ジェンツァーノの花祭」よりパ・ド・ドゥ から成る「パ・ド・ドゥ」というLPレコードがあるのです。バレエコンサートで踊られることが多い最大の見せ場を収録した素敵なアルバムですが、復刻盤のCDはこのレコードから 「パキータ」と「海賊」以外をピックアップして挿入した形にになっています。 この結果、CDの復刻盤「グラン・パ・ド・ドゥ」は、ガラ公演でもよく踊られるパ・ド・ドゥ等を集めたものになってしまい、「ボレロ1830」や歌劇「ファボリータ」〜バレエ音楽のような演奏される機会の少ない珍しい曲がカットされ、ボニングとマルコーヴァが19世紀から歴代バレリーナによって踊り継がれてきた珍しい作品も積極的に選曲して 「かつてのプリマバレリーナの栄誉を称えよう」としたLP盤「プリマバレリーナの芸術」の意図から外れてしまった感じです。
 
LPレコード:「パ・ド・ドゥ
この中の大部分の曲が
「プリマバレリーナの芸術」の
CD復刻盤に加えられた
復刻CDの収録曲は、
 1. バヤデール(踊り子) (ミンクス)
 2. グラン・パ・クラシック (オーベール) *
 3. 歌劇「ウィリアム・テル」〜バレエ音楽 (ロッシーニ)
 4. 「ジェンツァーノの花祭」〜パ・ド・ドゥ (ヘレステッド) *
 5. 「ジゼル」〜パ・ド・ドゥ(第2幕) (アダン)
 6. 「ラ・シルフィード」 (ローベンスヨルド)
 7. 「白鳥の湖」〜黒鳥のパ・ド・ドゥ (チャイコフスキー)
 8. 「エスメラルダ」〜パ・ド・ドゥ (ドリゴ) *
 9. 「ドン・キホーテ」〜パ・ド・ドゥ (ミンクス)
 10. パ・ド・カトル(マルコヴァのために、ウィリアム・マクデルモット編)                         
 11. 「眠りの森の美女」〜青い鳥のパ・ド・ドゥ (チャイコフスキー)
 12. 「くるみ割り人形」〜パ・ド・ドゥ(第2幕) (チャイコフスキー)
  *が、復刻盤CDに付け加えられた。
 
CD:「グラン・パ・ド・ドゥ」
「バレリーナの芸術」のCD復刻盤      
 
ところで、リチャード・ボニングは、オーストラリアが生んだ最大のソプラノ、ジョーン・サザーランドの夫です。 ワーグナー・ソプラノ歌手を目指したジョーン・サザーランドにコロラトゥーラに転向するよう助言したのがボニングで、 彼女は、1990年シドニー・オペラハウスの「ユグノー教徒」で、プリマ・ドンナとして43年間歌い続け、64歳で引退したしたのですが、この時、彼女が登場するや舞台は一瞬にして引き締まり、歌い込んだ王妃役は貫禄十分。玉を転がすような歌唱はコロラトゥーラの女王の面目躍如。終演後の鳴り止まぬ拍手に加え、紙吹雪や風船が飛び地散ったそうです。 指揮は、もちろん夫リチャード・ボニングでした。 サザーランドは、引退後、スイス・モントルーの自宅で熱心に後進の指導に当り、2010年自宅で死去しました(83歳)。

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