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「海賊」〜パ・ド・ドゥ: シゾーワ、ヌレエフ    (2004.03.04)

珍しい映像があります。アラ・シゾーワとルドルフ・ヌレエフの「海賊」のパ・ド・ドゥです。 1958年の録画で、アラ・シゾーワとルドルフ・ヌレエフが、レニングラード・バレエ学校を卒業し、プロとして踊り始めるまでの間にバレエ学校のステージで撮影されたそうです。 モノクロ映像ですが、駆け出し時代の初々しい二人の踊りが見られます。特にアラ・シゾーワのヴァリエーションが素晴らしい。
 
アラ・シゾーワはこのままロシア(当時はソヴィエト)に残りますが、ヌレエフは西欧に亡命し、マーゴ・フォンティーンとペアを組み、ニジンシキーの再来と賞賛されて彼の全盛時代を築きました。 この「海賊」〜パ・ド・ドゥは、ヌレエフがフォンティーンと踊って西側に知られたと言われています。 この映像でのヌレエフは、若さで荒削りのところはあるものの、実にパワフル。アダージョでは、軽々とシゾーワをリフトしていますし、ヴァリエーションのピルエットの速さも凄い。将来のスターを彷彿させます。
 
アラ・シゾーワは、その後、キーロフバレエ団に入り、敏捷性と軽々とした跳躍で”空飛ぶシゾーワ”と言われて、ジュリエットやオーロラ姫で好評を博すのですが、この映像を見ると、それもなるほどと頷けます。何気なく跳んでるだけなのに、なんで、こんなにジュッテやグラン・パドシャが軽やかに高く跳べるんだろう?と、ヴァリエーションでの跳躍の高さと、回転の華やかさ、そしてポーズの美しさに驚かされます。終盤近くで、難しいイタリアンフェッテを軽々と決め、観客の大きな拍手を受けました。このフェッテ、ベテランのダンサーでも最後まで安定して踊りきるのは至難の業、終盤ふらつく人も多いのですが、このシゾーワ、途中ダブルも入れ、全く危なげなく一糸乱れず踊りきったのは、まさに驚異的。超人的な「強い脚」の持ち主なのでしょう。 この「海賊」〜パ・ド・ドゥの映像(コーダを除く)が、YouTubeに載っていました。 こちら⇒

彼女は、1960年代から1970年代後半までキーロフで踊っていたようで、1964年にユーリー・ソロビエフを相手役として出演した、映画「眠りの森の美女」では、最高のオーロラ姫が見られます。 1970年頃、日本に来て、東京バレエ団の「眠りの森の美女」に客演しました。この踊りは私も見ましたが、その後は踊った様子がありません。どうなったのでしょう。


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