プリアンプの製作

現在のプリアンプに求められるものは、大きく分けて、音量調整と入力の切替が大きな役目です。もっと重要なことは、パワーアンプのドライブです。ここで音質劣化があっては、プリアンプ不要論も出てきます。アナログレコード再生用にはフォノイコライザーが必要でしたが、現在の環境では、必ずしも必要ではありません。必要な場合は外部に付加装置として設ければ良いと思われます。パッシブプリでは得られない音質と駆動能力を得るためにぜひとも緩衝増幅アンプを追加して本来の能動プリアンプとしてください。それには、様々な要因が絡みますのでパッシブプリについて一度、確認ください。
これらに採用のプリアンプ基板は、音質的に大変好評です。試聴機は作って貸出しすると、そのまま、または、新規製作(自作)ということになります。中には高級プリアンプを処分してこれに替える方がいる位ですから、オーディオは面白いです。ご使用の方のご感想をあえて掲載しないのは、試聴いただいたときにバイアスがかかるのを防ぐためです。貸しだす際も音質については何も言わないようにしています。ところがご感想は、共通しています。そこに評論家評価とは違った一面があります。感想が同じになることが、私自身の楽しみの部分でもあります。

最新オペアンプMUSES8820に差替えて音質評価したら、かなり良い結果だったので、応用プリアンプを製作しました。良い結果が得られています。アルプスのRK501ボリュームは本当に良いのですが、あまりにも高額でおいそれと手が出ません。現在はRK27で製作しますが、その音質は聴いてみないと判らないでしょう。詳しくはこのページの下の方に参考写真があります。このプリアンプの回路は入力出力をディスクリートで組んであります。


バランス(平衡)プリアンプの製作例(アンバランスも可)

バランス増幅のボリュームコントロール。 高級RK501ボリュームの採用
このプリアンプは、音質評価用として製作、多数の試聴結果良好な音質が確認できた。

試聴実機の構成
4連ボリュームで、バランス増幅対応とした。アンプ基板は写真では分かりにくいが2階建で構成。電源はハムが出なければどうでも良い。こんな汎用電源トランスでも実用になる。ただトランスの角度調整が必要。
ただしボリュームだけが音質を決めるものではない。
適切な増幅段が必要なのは言うまでもない。
本機に採用した回路は入力段にFETを使いOPアンプで増幅し出力段にトランジスタと言った構成にしている。これもバージョンアップしたものが試聴後、ご使用いただくことになる。

MUSES8820に差替える

ようやくMUSESシリーズから汎用品として使える価格のMUSES8820が市販されたので増幅段を交換した。(友人が秋葉で見つけて送ってくれた)
はっきり言って、音質の変化は感じられる。現状でも高級感のある音質だがさらにくっきり輪郭のしっかりした音になった。高域のきらめき感が増しチーンの響きが美しい。低域の量感が増すのも特筆すべきところだ。聴いてもらわないと、なんとも言えないが良い方向に変わるものと言える。

プリアンプ製作用基板ラインナップ フォノEQ基板、SBD電源基板、フラットアンプ基板、入力切替基板、ミューティング基板

市販品にない実用的な設計をしている。基板が揃えば比較的簡単に高性能なプリアンプが完成する。
フラットアンプは、好評で音質の劣化が少ない。パッシブプリの後ろに付けることもお薦めです。
パッシブプリを持っている人はFLATAMPを製作すれば良いだけなのでさらに簡単。
さらに発展するとコントロールセンター構想これが自作の醍醐味。

プリアンプ製作を複雑にするのは、配線の多さ。ロータリースイッチをやめてリレー式にすると簡単になる。露出型のロータリースイッチより密閉リレーの方がよっぽど長期安定動作する。              

基板を応用してプリアンプを作るとこうなります。

背面パネル加工
10ミリの丸穴15個、15ミリ丸穴1個3.5ミリ丸穴4個と簡単な加工で済む。小さい穴をあけてテーパーリーマーで広げても良い。タカチの汎用ケース背面高さ80mm幅320mmにピンジャックを付けます。入力5系統、録音出力1系統、ライン出力1系統で14個のRCAジャックが並ぶ。これで十分な入力が確保できる
背面パネル内側
ここでリレー基板が出番です。入った信号をすぐに交通整理します。リレーはオムロンG6A-274Pクロスバツイン接点で高接触信頼性。
リレー単価が高いものの、露出接点のロータリースイッチに高価なシールド線を使うより安上がりだ。
短い距離なのでシールド線は不要です。コネクタが気になる向きには、直接半田付けすればよい。
コネクタの入出力なので配線のしやすさと保守性が良い。ちなみにリレーは1個500円〜600円位で市販されています。
リレー制御の良さは表のロータリースイッチは、1回路で良くまた音質に影響しないので何でもよいので操作フィーリングの良い物を選べばよい。本機製作例では、入力切替ロータリースイッチは5回路、RECOUTはトグルスイッチでリレーをオンする。簡単な時定数回路が入っているので高級機のような遅延オフの切り替わりタイミングとなっている。このため切替スイッチは、手に入りやすいノンショーティングタイプのロータリースイッチでも良い。重い多段ロータリースイッチを使う必要もなく、太いシールドコードも不要で良いことずくめだ。
これが、頒布基板を応用した配置例。基板が出来ていると、基板間配線なので、大幅に工数が減っている。小さい箱に収めたので少し配線は厳しいが、このタイプの箱は組みやすい。電源トランスは、今ではオーディオ用の手頃な物が入手できないので、汎用品を使うため出来るだけ基板から離すことがポイントとなる。ミューティング回路は音質考慮の出力ショート方式としてある。
ボリュームはRK-501を使いたいところだが、抵抗切替のアッテネッター(機器取り外し品)を使用した。これまた表パネルも丸穴だけだ。
プリアンプの製作はある意味、配線が多く難しいものであるが、基板間配線が主なので、大したことはない。電源供給配線で煩雑に見えるが、それを除けばすっきりする。見栄えを良くするには中シャーシを設けて基板裏でくり抜き裏配線すればよい。(メーカー品的には)トランスがこんなものなので現在は側面に取付してある。
このようにシンプルで使い勝手の良いプリアンプが出来上がる。
本機はご試聴後、そのままご使用いただくことになりました。

試聴用機

小型プリアンプ試聴用(MMフォノEQ付き)薄型
ACアダプタ仕様。フォノとCD.AUXで通常は間に合うでしょう
オリジナルプリアンプ基板ボリュームはRK27だがこれでも、十分な音質が得られるので心配ない。電源部にDC/DCコンバータ採用
これもご試聴後そのままご使用となる。

新日本無線MUSES8820を使ってみました


高さ100mm幅260mm奥行き180mmの小さい箱に機能を凝縮した。フォノイコも内蔵で、レコード再生も可能。
入力はアナログディスク(MM)、チューナー、CD、AUX1、AUX2とした。他に録音用スルー出力スイッチを付けた。
フラットアンプはいつものデスクリート+OPAMPのハイブリット構成。自分では良いとこ取りだと思っている。
増幅部にMUSES8820を採用

かなり満足のゆく音となっている。
オペアンプ回路もアプリケーション次第。これを知らない人が多すぎる。ヘッドホンアンプ差替えオペアンプ評価は、トンデモさんだ。
ほぼパネルは入出力でいっぱい
この大きさにこれだけの基板が入るのは限界
入力切替はリレー制御方式
交通整理はリレーに任せないと大変なことになる。アナログ遅延のリレー制御は本機が最後となるだろう。次回からはPICマイコンでのリレー制御を計画
偏見をもたない人は、聴いてくれるが、高級アンプ至上主義の方には受け入れにくい事実がある。そして聴くと高級アンプが良いはずだと何度も自分に言い聞かせ、その葛藤に悩まされる。






本機もご試聴後そのまま、ご使用いただくことになりました。

新作PICマイコンセレクタプリアンプ


現在の試聴用セットです。
入力
フォノ(MM)
ラインレベル4系統
プリ出力1系統
外部出力1系統
照光式セレクタスイッチ
DC電源(外部電源)式
PICマイコンと言う便利なものがあるのでシンプルに構成できる。
20数年前ならロジックICで組んでとんでもない構成となったものが今では1チップで構成出来る。その分ソフトウェアーの部分が大変。
そもそも、これの製作は、ロータリースイッチの製造中止をどう乗り切るかから仲間内で話すうちに、PICマイコンが出てきた。
ソフトは、私ではなく友人グループによるもの。

応用製作例(プリアンプ用基板で製作された方から写真提供いただきました。)
音質的評価もいただいていますが、あえて掲載いたしません。個人による感想に疑問を持つからです。写真をお送りいただいただけでその辺は判断出来るものと思います。

静岡県Tさん
抵抗式アッテネッターで音量調整するように製作されました。
電源部は市販のものを用いたそうです。
スイッチ、アッテネッター共延長シャフトでシールド線を用いない配線とされています。
今までご使用のパッシブプリにアンプを付けてパッシブでは無いラインアンプに発展した例。パッシブからの変更なので電源は別に設けたそうです。
抵抗はオーディオ用に交換して製作。
ミューティング基板もご使用いただきました。
電源部 こちらの電源基板も採用いただきました。
東京都Aさん
車載用プリアンプがなくてお困りの時、ご使用いただきました。ボリュームと3入力セレクタのシンプルなものです。DC/DCコンバーターで電源は昇圧しています。ノイズ対策で御苦労されたとのことです。
何と他にもD/Aコンバータも搭載しているそうです。

実は私も30年前に車載アンプで苦労しています。
ノイズ対策は非常に難しいものです。
車載用に変更レイアウト例
このような車に搭載いただいて、大変ありがたいです。
ご自分で組み立てた世界で一つの音を車でも、楽しむなんてなんと素晴らしい。
カーオーディオにも理解を示す理由
関係ないですがこれは、私が31年前に製作した車載用プリ。上下の隙間を紙で塞いでいるあたりが若さの証拠。誰も自作とは思わなかった。昔の車は取付スペースが十分あった。そのような訳でカーオーディオの自作と聞くと、興味が今でもある訳です。ちなみにこのプリには、グライコの回路が搭載してありスライドボリュームが入手できずクラリオンのグライコ(ボリュームとコイルの受動素子)を流用、動作電圧は±17Vと高く、当時としてはとんでもないカーコンポの自作だった
熊本県Yさんの製作例
左上段セレクター(リレー式)下段プリアンプ、左電源部
特別仕様のプリアンプ基板の応用です。
ブロック構成に作ると配線組立てがしやすくなります。
プリアンプ部の内部です。今では入手困難となった。RK40型ボリュームを採用しています。抵抗も好みのものを使用されています。
シールド線を一切使用していません。
将来超高級ボリュームRK501に載せ換え可能なように配置、ケースの高さを考慮しているそうです。こういうところが自作の楽しみの一つです。

フラットアンプブロック図

これがフラットアンプのブロック図。音質的に試聴を繰り返し完成。この回路がある方が音質的には良いという人が多い。全ての人に当てはまるとは言い切れないが、なぜか今まで聞こえなかった音が聞こえて、楽しくなる。オペアンプの音とも異なる音質。


フラットアンプの電気的特性を示します。
出力2V時の歪率データー(ボリューム+専用アンプ通過のデータ) 

Ch/周波数 100Hz 1KHz 10KHz 備考
LEFT (%) 0.0001 0.0011 0.0011 (A)補正
RIGHT(%) 0.0001 0.0011 0.0011 (A)補正

S/N比(A) L 100dB R 99dB

周波数特性
10Hz〜90KHzフラット -3db 170KHz

方形波特性

1KHz
上段入力波形
下段出力波形
10KHz
上段入力波形
下段出力波形
20KHz
上段入力波形
下段出力波形