第40回日本SF大会 SF2001レポートその4

 昨夜(というよりすでに朝方)4:30就寝にもかかわらず、朝7:30起床。いやあでもコンベンションで3時間寝ればワタクシ的には上等(笑)。ホテルの最上階(かな?)でバイキングの朝食。青い海が見えて気持ちいい。

 さっそく9:00からコンベンションホールで行われた、「SFクイズ大会」に参加。舞台の上には種類別に賞品がずら〜り。会場のお客は1〜4までの紙をたたんだ番号札を上げて答え、外れた人から座っていき、残った数人(=賞品の数)が当選という方式。つっても私のような、SF力のない者に、こんな超カルトクイズ、わかるはずはないのだ(笑)。ほとんどオール勘で答える。見事に当たらない(笑)。ダイジマンとπRさんは、1回ずつ当たって、賞品ゲット。さすがだねえ〜。πRさんはゲッターロボのフィギュアを。ダイジマンはすっごくイヤそうに「でじこの人生ゲーム」(>でかい)をゲット(爆笑)。しかも、この時のクイズはけっこうマジな質問が多かったので、水鏡子さんとかも一緒に当たってたらしい(笑)。でもけっこううれしそうに、でじこをもらっていってたとか(笑)。

 人数が多いときに出る、必殺の「星新一クイズ」はすごかったね。「「○○」はどの本に収録されているでしょう。1、ボッコちゃん、2、宇宙のあいさつ」てなクイズ。わかるかいな!!(笑)あとで判明したことだが、あれを作ったのは林哲矢氏だとか。

 さすがにSF力のある人はきちんと知ってて、何度も当選してる方が。谷田貝さんとか。ひとり、小学生の子が何度も当選してて、ブレーンは父か母か?で同僚と盛り上がる。私は彼の名刺が欲しかったなあ〜。10:00、終了。いやな予感はしていたが、やはり予想通り、ダイジマンから「でじこの人生ゲーム」を押しつけられる(笑)。せめてあの半分の大きさなら喜んでいただいたのですが。この後、会場でもこれを持ってる方をたくさん見かけ、そっと涙を流す(笑)。


 10:30、1コマ目開始。「21世紀のSF翻訳」。向かって左から高橋良平(司会)、嶋田洋一、大野万紀、中原尚哉、山岸真、大森望(授乳のため、来たのはほとんど終る頃)、柳下毅一郎、内田昌之、幹遥子(敬称略)。

 ここで高橋氏から出された質問に、パネラーが順に答えていくという方式。

 質問としては、
1「初めて訳したものは何ですか?ファンジンですか?」
2「どういう経歴で翻訳家に?」
3「翻訳家になったとき、親の反応は?」
4「翻訳家として食っていけるという自信がもてるようになった作品は?」
5「嫌だった、苦労した、もう2度と訳したくない作品や作家は?」
6「これはやってみたい!という作品や作家は?」
7「どんな環境(使ってる機種)で翻訳を?」
8「IT化の影響はありましたか?」などが出ました。

 ホントは全部記録しておけばよかったんですけど、ちょっと力尽きてて断念。それぞれに思い入れのある作家がいらっしゃるのが興味深かったです。あとは、翻訳にはやっぱりネットの影響は大きいということ。わからない言葉は全部Googleに突っ込んで、その前後の文脈で意味を判断するとか。逆を言えば、そうやって調べることができてしまうので、今まで曖昧にしてたものを全部調べなきゃならないのはけっこう大変なようでした。内田さんは接続したついでにSF系日記を読んでしまうとか(笑)。あと、作者ご本人にメールで聞いたりとかはあまりなさらないようです。ソウヤー氏などはけっこう日本での反響を気になさってらっしゃるそう。(今回の星雲賞受賞、おめでとうございます!)

 これからの刊行予定を少し。

嶋田氏:『地を継ぐ者』の続編を翻訳中。
中原氏:『スノウ・クラッシュ』のニール・スティーブンスンの本を翻訳中。文庫だと2000ページくらいになりそう(!)。3部作の1作目だとか。
山岸氏:もうすぐ『20世紀SF 6』が河出文庫から出ます。これが売れれば河出からSFが他にも続いて出るかもしれないので、応援ぜひよろしく、とのこと。
内田氏:ホーガンが来年訳されるかもしれないです。ソウヤー氏のエイリアンの話が、来春あたりに出ます。1月に、去年の世界幻想文学大賞を受賞したユーモア・ファンタジーが出ます。あと、角川から前に出てた「天才アームストロング〜」の2作目が来春に出ます。「アフサン」続編も、次が出るか出ないかの売行きが微妙なところなので、ぜひまだ買ってない方はよろしく!とのこと。
幹氏:『シャドウファイル』の3巻目が9月に出ます。

 会場からの質問。「タイトルは編集者が決めるのですか、それとも訳者が?」答え・「最終的には編集。訳者に相談がある場合も」

「訳がわからないときはどうするのですか?」答え・「作者に相談とかはあまりしない。逆に言えば、そこが一番面白いところだったりする」

最後に大森さん登場。今後の予定は、FFのノベライズと、ルーディ・ラッカー『フリー・ウェア』が来年の秋くらいに出る予定。あとはコニー・ウィリスが来年秋ごろ。これは『ドゥームズデイ・ブック』の続編とのこと。

 会場からもうひとつ質問。「『オルガスマシン』はどうしてコアマガジン社から出たのですか?」答え・(大森氏)「コアマガジンの編集に、イワン・ワトスンを好きな人がいたらしい。要するに、やりたい編集者がいれば本は出る。版元とそのカラーはあまり関係ない」

 12:00終了。


 12:30、2コマ目「神林ワールドへようこそ!」。の前にここでu-ki総統を発見したのでちょっとおしゃべり。この部屋のひとコマ目の「渡辺宙明・ヒーローサウンド進化論」がめちゃめちゃよかったそうな。部屋の外ではサイン会(?)の長蛇の列が。

 さて、「神林ワールド」は神林さんと高柳カヨ子さんの対談といった形式。あとで知ったのですが、彼女は神林ファンクラブ第一号で、しかも神林さんの奥様だそうで!!柴野拓実賞受賞、おめでとうございます!

 まずは例の『戦闘妖精・雪風』アニメ化の話。今までも映像化の話があったけれど全部断っていたが、やっと『グッド・ラック』を書き上げてそろそろ手離してもいいかなと思ったそうな。そこへ今回の映像化の話があり、その制作者側の熱意に打たれて、映像化を許可なさったそう。神林さんの制作に当たっての条件は、「軍事賛美にしないでくれ」と、「実機による体験をスタッフ皆にぜひ」と、「音に力を入れて欲しい」だったそう。今のところの出来上がりには、かなり満足なさってるようでした。

 あとはSFマガジンで連載中の『膚の下』について。これは『あなたの魂に安らぎあれ』、『帝王の殻』に続く火星3部作の最後だとか(でも話としては一番最初だそう)。

 今後の新刊予定は、『永久機関装置』が10月に朝日ソノラマから。

 このあたりで一度休憩。ちょっと疲れたので私はここで退散。


 13:30、エンディング第1部。インディーズ映像大賞、コスチュームショウ、暗黒星雲賞の発表。コスチュームでは、ちびっこが可愛かった〜。〈暗黒星雲賞〉は、

■企画部門
上映されなかったオープニングアニメ (ネット配信、お待ちしてます〜)

■ゲスト部門
本人はどこへ行った?小林めぐみ(ビールをよく飲む、という理由だったらしい)

■コスチューム部門
ルリルリ & さくら 姉妹

■自由部門
モノリス

でした。ルリルリのコメント「バカ?」は会場大ウケ。奉られ、名刺を刺されまくり、お賽銭を投げられるという変わり果てたモノリスもすごかったねえ。武田さんは「皆さんを甘く見てました(笑)。まさかやるとは、いや、そういうひとたちとはわかっていたんですが」というコメント。

 14:30、エンディング第2部。ファンジン大賞、星雲賞授賞式。

〈SFファンジン大賞〉

 大賞 松岡秀治 「BJ PRESS」(海外ドラマの紹介・資料)

 創作部門・評論部門・アート部門 ともに該当作なし

 研究部門 「コナン・ザ・コナン」ロバート・E・ハワードの世界

 翻訳紹介部門 野田令子 「日本旅行記 1,2」 ロバート・J・ソウヤー

 エディトリアルワーク部門 中谷育子 「七十七」(矢野徹出版目録)

 柴野拓実賞 嶋田洋一夫妻・古田尚子・高柳カヨ子

〈星雲賞〉

 コミック部門 『カードキャプターさくら』 CLAMP 講談社

 メディア部門 「高機動幻想ガンパレード・マーチ」 SCEI・アルファシステム (プレイステーション用ソフト)

 アート部門 鶴田謙二

 ノンフィクション部門 『もっとすごい科学で守ります!』 長谷川裕一(風疹で欠席^^) NHK出版

 海外短篇部門 「祈りの海」グレッグ・イーガン 山岸真 訳 SFマガジン1月号/早川書房

 国内短篇部門 「あしびきデイドリーム」 梶尾真治 SFJapan/徳間書店 

 海外長篇部門 『フレームシフト』 ロバート・J・ソウヤー 内田昌之訳 早川書房

 国内長篇部門 『永遠の森 博物館惑星』 菅浩江 早川書房

 皆様、おめでとうございました!授賞式のご本人のコメントは、どれも感動ものでしたよ。特に菅さんのは思わずもらい泣き(涙)。

 このあと、武田氏が長年やっていたSFファングループ連合を降りると発表。次に小松氏の挨拶で、また武田氏が呼ばれ、「キミ来年名誉実行委員長やらんか」ということに(笑)。そのあと、小松さんからの熱いキスに会場大ウケ。さらには小松さん、首からぶら下げてたカードを結婚式のブーケさながら会場に投げるというサービスぶり(笑)。ノリがいいなあ。

 16:30、終了。が、会場を出てからも、その場で名刺交換の嵐。私は20枚くらい残っちゃったなあ。ここで、大森パパに抱かれるトキオくんに遭遇。ぷくぷく〜かわいい〜おりこう〜(これだけの人間にもまれても全然ぐずらない、いい子。すでに大物の予感…)。

 というわけで、よろよろと大荷物を抱えて帰宅。途中、バスと電車でタニグチリウイチさんとご一緒。「ねえねえ〜、でじこあげるってばあ〜」とさんざん言うも、「いらないっ」と冷たい返事(泣)。しかも「あとで自分で買うから」ええ〜〜っ!!?(笑)

 はあはあ、やっとこの長いレポも終わりです。お読みいただき、ありがとうございました。いつもながら、スタッフの皆様、本当にお疲れさまでした。会場でお会いした皆様、ありがとうございました。来年は島根。いかれるかどうかまだわからないですが、もし参加できたらまたお会いしましょう!

(何か間違いやツッコミなどありましたら、メールか掲示板でご連絡くださいませ)01.8.29 安田ママ

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