SFセミナー2001(合宿編)
2001年5月3日(木)、SFセミナー本会、18:40終了。またしてもださこんな人たちと、ジョナサンにて夕食。セミナーのお客がどっと流れたので混んでいて、待ち時間が長かったせいか、合宿スタート時間ギリギリになってしまい、会場のふたき旅館にタクシーで駆けつける。なんとかセーフ。
20:30、大広間にてオープニング。あれ、なんか去年に比べて人が少ない?畳が見えるぞ?(笑)たしか去年は足の踏み場もないくらい、ぎっちりだったような気がしたんだけど。今回は、後進に譲るということで、企画紹介を小浜さん@東京創元社さんが行う。有名人紹介はセミナースタッフの鈴木力さんとみらい子さん。オープニングを始めてみてわかったのだが、出席予定者でまだいらしてない方も多かった模様。徳間から『ペロー・ザ・キャット全仕事』が近日発売予定の芳川良太郎さんもいらしてた。うわっ、写真よりさらにドハンサム!
以下、私の参加した企画のみコメント。
21:30、「ヨコジュンのハチャハチャ青春記」ライブ版。出演は横田順彌さん、司会は牧眞司さん。
先日出た『横田順彌のハチャハチャ青春記』(東京書籍)の裏話を聞かせていただく。いわゆる「一の会」(1日、11日、21日、31日、と1のつく日に某喫茶店で開かれていたSFファンのオフ会)のオフレコ話など。めちゃめちゃ面白く、会場は終始爆笑の渦。横田さんの話ぶりは、なんとも味があってよかったです。牧さんの突っ込みも絶妙。まさに青春記、といったお話でした。当時、SFファンなんてのはそりゃあもう奇人変人としか思われていなかったそうな。でも、そう言いながらも実に楽しそうなんだよなあ。当時のSF好きな人々の情熱ぶりが伝わってくるようなお話でした。サインもいただきました。ありがとうございました!
23:00、「こんなSF入門はイヤだ」。出演は巽孝之さん、小谷真理さん。
SF作家などが集まって作った「日本SF作家クラブ」。彼らの初めての単行本として、去年の12月に、SFアンソロジー『2001』(早川書房)が発行されました。が、もっとほかにも何か活動しようよ、という話になり、じゃあここんとこ「SF入門書」が全く出てないから、これを作ってみようか、という話になったそう。
で、福島正実が昔作った『SF入門』(早川書房)を参考に、いろんな意見が活発に出されました。この福島さんが作った本は、SFの書き方まで載っており、実に有益なよい本だそう。で、もし今作るなら、SFの歴史(日本、海外含め)はもちろん、映画やアニメ、ゲームについての章も必要だね、という意見が。また、「読者はどういった人間を想定しているのか?全くの初心者か、あるいはSFをよく知っている人間か?」という質問があり、「全くSFを知らない人は手にとらないだろう、ある程度はSFに興味があり、少々は読んでおり、もっと深く知りたいから手にとる人が多いのでは」という意見が出ました。あと、「早川書房から『新・SFハンドブック』が出てしまったので(これは寝耳に水だったらしい)、あれと重複しないように気を使っている」という話も巽さんたちから出ました。というわけで、発売を楽しみに待ちましょう!
24:30、「海外SFアンソロジーの部屋」。出演は大森望さん、中村融さん、山岸真さん、大野万紀さん、水鏡子さん、牧眞司さん。
昼企画の続編、といったカンジの企画。もっとくだけた内容で、「でもオレはこれはどうかと思う」「なんであれが入らんのだ!」みたいな喧喧諤諤の発言続々(笑)。
槍玉に上がったのは例の河出文庫の『20世紀SF』。これの目次が昼企画の資料として配られていたのですが、この紙を見ながら1冊1冊、40年代から水鏡子さんがチェーック!(笑)「これが入ってるのが気に食わないなあ〜。○○(著者名)でこれを選ぶってのはないでしょう。どうしてあれを入れなかったのか」と水鏡子さんが言うと、中村さんが「枚数が多すぎ」とぴしゃり(笑)。ほかにも「古すぎ」「あれはこないだのSFマガジンに再録されたからダメ」など、却下発言びしばし。ひ〜、そこまで考えて作ってらしたんですか!改めて、このラインナップを選んだご苦労をひしひしと感じましたよ。他の方々も、「あれはどうよ」「あれは?」と、ぽんぽんと短篇のタイトルが出るところがすごい!彼らの博学ぶりにはもはや言葉を失いましたよ。ここでも中村さんが光ってましたねえ。だからさ、どうしてタイトル聞いて即座に枚数が出るわけ?(笑)この企画のレポは湯川さんのがとても詳しいので、そちらをどうぞ。
2:00、「ほんとひみつ はりまぜスペシャル」。出演は小浜徹也さん、牧眞司さん、北原尚彦さん、天野護堂さん、日下三蔵さん、ダイジマン。
長丁場になりそうだったので、いったん部屋に帰ってコンタクトをはずしてから会場へ。うおっ、この黒山の人だかりはナニ!?あわてて覗き込むと、ああ納得!例の東京創元社の限定200部、30万円の『貼雑年譜』を、一心不乱に見ている人々だったのでした(笑)。私も急いで、といっても既に場所はなく、部屋の隅の棚の上によいしょと登り、人々の頭上から必死で見下ろす。なんとか見えるぞ。ちはらちゃんが、呆然と私の醜態を見ていたのが印象的(笑)。棚が壊れなくてよかったよかった>おい。
小浜さんがまるで講談師のように熱弁を奮う。1ページごとに三村美衣さんがめくっていったのだが、仕掛けのあるページに来ると「はいっ!ここです!この裏をめくるとですね、これが書いてあるわけなんですねえ〜」どよめく観客。いやあ、乱歩って面白い人だねえ。自分の家の見取り図やら(引越し魔だったらしい)、自分の本の広告やら(しかも煽り文句がすげえ!ここまで書くか、ってくらいのもんよ!^^)とにかくなんでもとってある。自分の年表もきっちり作ってて、ここからここの間であれを書いた、とかとにかく全部書いてある!人間、ここまでやったら面白いわ。新聞広告も面白いんだ、と小浜さん。なるほどー。確かにこれは貴重な戦前・戦後の大衆文化の資料ですね。最後に「触りたい方はどうぞ!」とおっしゃるので、私も志村さんの横で「すごいねー、すごいねー」と言いつつぺたぺた触ってくる(笑)。ちなみに創元の社長さんは、「ひと触り10円」とおっしゃっていたそうだ。安すぎ、と観客のコメント(笑)。ちなみにこれは「ほんパラ!関口堂書店」でなんとかいうタレントの子が触ったものだとか。
しかしここまで復元するか。すごいなあ。これを作るにあたって、いろんな紙業者などなど専門の方を集めたそうなのだが、彼らがそろって「この本だけは、完成品を見るのが楽しみ」とおっしゃっていたそう。「この紙がどこでどう使われたのか知りたい」とか。なお、この本の表紙は、現物は乱歩の奥さんの着物の古布を貼ってあったそう。でももうぼろぼろなので、その柄のうまく残ってるところをデジタルで取り込み、復元したそう。だから、やっぱり十年ほど前(だったかな?)にこの本を復刊する話があったが、あの当時はこういう技術はまだなかったので、今だからこそ復刊できてよかったということもある、と小浜さんがおっしゃっていました。
さて、おあとは恒例の「ほんとひみつ」。要するに古本な方々のお宝自慢(笑)。1番バッターの牧さんは、星新一関係の本。『生命のふしぎ』って確かすごく高値の古本じゃなかったっけ?他には、星新一のお父上でらっしゃる星一の「親切第一標語冊子」など。これは星製薬で配っていたもので、この一節を牧さんが朗読してくださいました。すごく面白かった。天野さんは、アジア関係の面白本を紹介。なにい、去年出た本?そんな本、書店員の私でも知らんぞ(笑)。どうも自費出版に近いらしい。天野さんは、文芸社などの、ほぼ自費出版みたいな刊行物の新刊までちゃーんとチェックしているそうな。す、すごい。神田の三省堂っておっしゃったかな?しかしここで私が感じたのは、同じ日本でもたとえば船橋と東京ってだけでも、こうして文化の違いがあるってことですわ。ううむ。
北原さんはよくわからないけど、三村美衣さんへのリベンジらしい(笑)。十五少年漂流記でまとめてました。詳細は忘れましたが、昔の雑誌の付録など。三村さん、「幾らで売る?じゃ2000円ね!」あの、勝手にオークションしてるみたいですが(笑)。これは状態もよく、絵もなかなか素敵でした。ひとつ、黒人の男の子の表紙のがあって、ちょっと表情がこわかったです〜(笑)。
ここで我らがダイジマン登場。まずはターザンのアメコミ。なぜか2種類あるとか。星さんや高橋良平さんなど、「ああ、見たことある」「懐かしいねえ〜」とコメント。そしてお次。「えと、実は僕、東京創元社という出版社に大変興味がありまして(笑)」の言葉の後にでてきたものが、文庫保存ケースにぎっしり入った創元文庫目録!!さらにハヤカワの目録まで!しかも3箱くらい、ガンガンガンと出てくるではありませんか!古本者の観客一同も、これには「おおお〜!」とどよめきの声が。ダイジマン、「え〜、60年代の目録はあまり集まってなくて。お持ちの方はぜひご一報を」のひとことも忘れない(笑)。そしてさらに!「えー、創元が《紙魚の手帖》というのを発行してたのはご存知の方も多いと思いますが」と前置きしつつ、そういった文庫挟み込みのチラシをコレクションしたファイルをどさっとちゃぶ台に広げるではないですか!これにはさらに一同、絶句。アタシなんか速攻捨てちゃうもんね、こんなの。u-ki総統すら、「いやあ、私は自分が普通の人間だったんだということがよくわかりましたよ、安心しました」とつぶやく始末。MZTさんも「彼こそホンモノの書痴」とかなんとか(笑)。
ラストは日下三蔵さん。彼の出品は香山滋コレクションから。『緑の館』のいろんなバージョンを4冊ほど。あと、面白かったのが、タイトル忘れましたが函入りの本。初版、2刷り、3刷り、そしてホントは4刷りのはずなのに印刷ミスで3刷りとなっている4刷り(笑)。しかし、これの初版はよく見かけるってセリフは…。「4刷りをお持ちの方はご連絡ください」という一言も忘れない(笑)。これの赤本(ちょっとうろ覚え)とかも2冊ほど紹介してて、これも大ウケ。
これが終った時点で午前4:00(!)。さあ、これからオークションだぜ!もう皆、ナチュラルハイ状態になってて、ささいなことで笑い転げるというむちゃくちゃなオークションでした。「100円から」って言ってるのに「200円!」って声が飛んだり(笑)。しかも1度や2度じゃない(笑)。三村さんの「寝るなー!」という怒号が飛ぶ。MZTさんと、ダイジマンと、πRさんが3人並んでガンガンスピーディに競ってて、誰が幾らと声を掛けたか、聞いてる方も全然区別がつかなくて、「三つ子だ!」と言われたり。しかし、最も笑えたのは、最後に出品した方でしょう。えーと、2003年のSF大会の開催地の方でしたか?いきなり「資金稼ぎのために持ってきたんですけどー」といいつつ、CD−ROMは破格値でたたき売っちゃって、皆「こんなとこで売るのは間違ってるぞ」とさとされるわ、やねこんエプロンは売るわ、でどうして「OUT」なんて持ってきたか自分でもわからないという消極的な売り方に観客爆笑。そのくせデビルマンの絵本は高く売れたり(笑)。ラストのミサイ○はすごかったね。私も文庫を6冊ほどゲット。ほくほく。
そしていつのまにか、窓の外は朝になっていたのでした。6:15、オークション終了。
もうここまできたら寝るのは不可能なので、大広間に行ってダベる。ちはらちゃん、森山さん、塩澤編集長などと業界話など。あ、企画の途中で大野さん@徳間デュアル文庫担当さんをつかまえて、名刺交換など。ぶたぶた情報、大魔人情報などを聞かせていただく。
8:30、エンディング。スタッフ挨拶。皆様、今年もお疲れさまでした。おかげさまで楽しませていただきましたよ!
そしてまた、いつものメンバーでルノアールに流れて朝食。なんだか朝っぱらからすごい話をしてました(笑)。そしてまた総統が語ってしまうというお決まりのパターン。でもいいの、面白いから。隣のテーブルに堺さんや冬樹さんがいらして、メガネっ娘などの黒いSF話に花を咲かせていた模様(笑)。
11:30ごろにやっと腰を上げ、帰宅。ふー、またしても徹夜してしまった!
(このレポに間違いなどありましたら、メールか星間宇宙船にてお教え下されば幸いです)by安田ママ 01.5.14