劇場☆新感線 

劇団☆新感線 1999年秋公演
LOST SEVEN

(作 = 中島かずき / 演出 = いのうえひでのり)

公演記録

LOST SEVEN 大阪公演
期間 : 1999年11月01日(月)〜07日(日)
会場 : シアタードラマシティ
福岡公演
期間 : 1999年11月20日(土)〜21(日)
会場 : 大野城まどかぴあ
東京公演 8th 東京オピニオンズフェスティバル
期間 : 1998年11月26日(金)〜12/08(水)
会場 : アートスフィア
CAST
レッドローズ : 羽野アキ

タンロウ : 京晋佑
コモン : 橋本じゅん
ホセイ : 明星真由美
モンゴク : こぐれ修
レンジョウ : インディ高橋
ハグン : 礒野慎吾

アラバック・テムラー公爵 : 小須田康人
アイゼン・ハインリッヒ伯爵 : 粟根まこと
皇帝ブラウバルト : 右近健一
女帝クイーンロゼ・ゴージャス : 村木よしこ
女帝クイーンロゼ・デラックス : 山本カナコ

ドギー・ブレーメン : 河野まさと
ローバー・ブレーメン : 吉田メタル
ニアーゴ・ブレーメン : 川原正嗣
コッコ・ブレーメン : 前田悟

デスグリム・スプラッタ : はだ一郎
デスグリム・スクラップ : このまんま林

ラゴウ : 逆木圭一郎

ラプンツェル : 杉本恵美
グレーテル : 中谷さとみ
アッカ・ズッキーン : 保坂エマ
兵士 : ヒロシ

観劇記録
[観劇公演]
1999年11月01日(月) 19:00公演 : シアタードラマシティ 2列 27番
1999年11月05日(金) 19:00公演 : シアタードラマシティ 補助中列 27番
1999年11月07日(日) 15:00公演 : シアタードラマシティ 6列 22番
1999年11月30日(火) 19:00公演 : アートスフィア 2F B列 33番
1999年12月08日(水) 14:00公演 : アートスフィア 1F 補助L列 24番
1999年12月08日(水) 19:00公演 : アートスフィア 1F D列 7番
[あらすじ]
永遠の美姫スノーホワイトを助け、ワルバラキス城の女帝クイーンロゼを倒した森の民の七人の勇者たち。
"ロストセブン"と呼ばれた彼らは、しかし、その勝利に報われることなく、傷つき、いつしか散り散りとなっていた。それから10年。
魔法の鏡"セフィロト・グラス"を擁してこの世を支配せんと、再び、ワルバラキス城の魔族たちが動き出した。
戦乱の中、"ロストセブン"の残党タンロウとコモンは、魔族に襲われる一人の女性を助ける。
彼女の名はレッドローズ。クイーンロゼの一人娘であり、"ロストセブン"を仇と狙う、魔女の末裔だった。
母を失い城を追われ悲惨な生活を送っていた彼女は、タンロウ達の素性を知ると今度は自分を守るように要求する。
「全部、あんた達"ロストセブン"のせいだよ。責任取ってよ」性悪なレッドローズに振り回される彼らだが、タンロウは、もう一度七人の仲間を集めることを決意する。
彼らを待ち受ける魔導士アラバック・テムラーの罠。
世界の全てを映し出す魔法の鏡が、レッドローズの、七人の勇者の、そして鏡の魔族達の運命を飲み込もうとしていた・・・。
(以上、チラシより)

[「直訴だ!目安箱」 過去公演中の直訴]
[感想]
今回ほど、観終わってから色々考え、また思い起こしては感動してたお芝居、なかったなぁ。
「劇団☆新感線」で今までに無かったパターンちゃうやろか。
今までで一番ハマッてしまいました。大阪、東京合わせて6回も通ったもん、こんなん初めて。
ストーリーに関する感想は、正直滅茶苦茶長くなってまいます。
んなもんで、まずは、ストーリー & 登場人物 以外のことから。

やっぱ、まず一番に触れたいのはやっぱり「音楽
「劇団☆新感線」 = 「HARD ROCK、HEAVY METAL」ガンガンかけまくってる、ってイメージがあるし(実際雑誌なんかでも総紹介されること多いし)、後おいら的には「女性二人のデュオ」(「髑髏城」の「風になって」とか「西遊記」の「禁断の千年人参王国」とか)のイメージも強い。
でも今回印象に残ったのはバラード、最後に流れる「魔鏡(かがみ)の鎮魂歌(こもりうた)」!
いつもなら、「今公演の中で一番好きな曲」って考えるとき悩むんやけど、今回はこの「魔鏡(かがみ)の鎮魂歌(こもりうた)」がいっちゃんお気に入り。
「お気に入り」っていうレベル越えてるかも。この歌聴くと、最後のシーンが思い出されるし。
それに、「ここまでお芝居と融合すんの?」って位、ほんとお芝居とマッチしてたし。あのラスト、この曲のお陰で何倍も感動的になってる!
この曲が今回、ハマッてしまった大きな要因の一つなのは間違いない。
音楽が芝居に与える影響! ってのをほんと、実感しました!
やっぱ、ここまで音楽を重要視して巧く使ってるのって、劇団☆新感線が一番! って思う、ホント。
いつもながら、「司さん、ありがとう!」です。
また、アキちゃんの歌が久しぶりに、一杯聞けたのはうれしかったし、カナコさん、よしこさん、ホント上手くなったね。
それから、明星さんの歌の上手なのにはビックリ。前の「魔性の剣」で歌なかったから。

あと、音楽の司さんだけでなく、衣装、、照明、大道具等々、改めて「劇団☆新感線」って凄いなぁ、と再確認しました。
司さんだけでなく、全てのスタッフの方々全員に対して、「いいお芝居をありがとうございました。」と言いたいです。

次に「ストーリー」。
劇団☆新感線 初の試み「ダークファンタジー」。
初回は正直、かなりとまどった。
いつもなら観終わった後、「あぁ、よかったぁ〜。大満足!」なんやけど、今回は、正直そうやなかった。
「う〜ん。」って、唸ってしまった。いつもの爽快感がなかった。もちろん、いつも通り、「あぁ、いいお芝居やったなぁ。」ってのはあったし、100点満点で採点するならもちろん100点。
なんやけど、いつもなら、初回観終わった時点で既に「200点」とかやってんよね。
直球勝負の多い(もちろん、かずき先生得意の「裏切り」はあるよ。)劇団☆新感線。せやから、いつも観終わった後、「爽快感」があった。
でも今回はそれが無かった。「なんで?」って考える出すと・・・凄く悲しいお話やったから、って後で気付いた。
羽野アキちゃん演ずるレッドローズに注目して観ると、なんか凄く辛い悲しく切ない淋しいお話やった、っておいらは思った。
「はのぴゃ」っていうより、全てレッドローズのお話。「はのぴゃの為に作られた、レッドローズの悲しいお話。
レッドローズを中心に据えて、他「LOST SEVEN」のメンバーですら脇役やった、て感じ。
同じ「白雪姫の後日談」を題材にしても、「リトルセブン」は「七人の小人」のお話、「LOST SEVEN」は「レッドローズ」のお話、って感じ。そこが「表」と「裏」なんかなぁ、って。
「お子さまむけ(リトルセブン)」から、「大人向けの(LOST SEVEN)」へ。
内容が結構濃い(後で考えれば考えるほど、辛く悲しく切ないお話)って気がする。
兎に角! 凄くレッドローズがかわいそうなんよ・・・とまぁ、これはあとで、レッドローズのこと考えて書こう。
でも、同じ素材を使って、ここまでほとんど、全くって言っていいほど違うお話を書けるかずき先生は凄いね、やっぱり。
お話は全体を通して、いつもより笑いがかなり抑えられてたように思った。
細かいギャグでごまかすんやのうて、そういう意味ではホント、今までの劇団☆新感線とは違うパターンでの「直球勝負」。
それと、今まで「ヒロイン」がばりばり主役、っておいらが見始めてからは「武流転生」と「紅天狗」位かなぁ。
なんで、今回の「ヒロイン」ばりばり主役、ってのでも最初に違和感を感じた? のかなぁ。

オープニングはいつもながらに格好良く、いきなり観客を引きずり込むように「LOST SEVEN」の歌とともに始まって。
まぁ、いつもの通り、オープニングから観客を惹き付けてしまう「劇団☆新感線」いのうえひでのり座長の演出、で、期待から、初っ端のアキちゃんの歌でもういきなりハイテンション! 観てるこっちの感情がグッと高まる。
歌詞 & 曲の良さ、3人の踊りと7人の殺陣、照明! 兎に角オープニングはカッコイイ!
この「LOST SEVEN」、歌の途中でアキちゃん = レッドローズが、スノーホワイトに早変わりするんやけど、これも最初「どういう意味なんやろ?」ってわからんかった。
後で歌詞読んで、「あぁ、あの歌は「スノーホワイトの乱」を語ってたんや。」って気付いた(っていうか、たぶんそうやと思うんやけど)。
この歌の中で語られてることが後々、意味をもってくるんやもんなぁ。
そして、テンポよく進んでいくし、1幕ラスト以降何てホント、一気に進んでいく、って感じ。
「Bremen's Four Goes On」、「ホセイの剣」、「QUEEN ROSEの呪い」と続けて一気に1幕ラストまで。
2幕は「ROSE SONG」、「赤き薔薇の姫君」と、テンポよく音楽もまた見事にかみ合って。
特に2幕では、かずき先生得意(?)の見事な裏切り、予想もせなんだ展開!
主役レッドローズが、悪役になってしまう! んよねぇ。
更に、「白雪姫」の後日談、という前触れのこのお話、やのに「スノーホワイトなんて姫君は実在しなかった!」なんて。
(もともと、「白雪姫」って話自体を「スノーホワイトの乱」って風にかなり変えてた、ってのはあるけど。)
このあたりで、最初の「LOST SEVEN」の歌詞の中味が生きてくるんやね。それとともにますますグングン引き込まれていくし、ここでのレッドローズの変身に泣かされたよなぁ。
もう、こっから後は、泣かされ所満載!
レッドローズ率いる「魔鏡の魔族」 vs 「ゲリラセブン」の闘い・・・ほんと、見事な展開。
それでもやっぱり、最後はレッドローズにまた泣かされる・・・ラストだけは、ほんま毎回泣かされた。
目覚めた魔鏡の中へレッドローズとタンロウが消えていき、暗転 & 鏡の割れる音!
冒頭に書いた、「魔鏡(かがみ)の鎮魂歌(こもりうた)」。
観る回数重ねれば重ねるほど泣かされる、っていうか、今(千秋楽終わってもう3週間以上もたつのに)これ書いてても、やっぱり思い出すだけで、ジーンとくるし。
「観れば観るほど、どんどん、引き込まれて、最初分からなかったこともどんどん分かってきて、泣かされて。」
今までの「一見で分かる」劇団☆新感線とは違って、かなり色々考えてしまって・・・登場人物それぞれの気持ちとかを。
これも今回、ハマッてしまった大きな要因の一つなのは間違いない。

ってわけで、その「登場人物」それぞれに対する想いを。
まず、タンロウ(京晋佑さん)
最初観たときは正直、印象が弱かった。
最後観たときはめちゃくちゃ印象強くなってた。
レッドローズに「タンロウあなたには何が見える?」と言われたときのあの怯え。ホントに怖かったんやと思わされた。凄く印象に残ってる。
でもその後、ラゴウにクリスタルを手渡されて、の
「あいつは俺を試したんだ。・・・俺は、あいつを見てやらなくちゃいけなかった。だのに、俺は、俺は、また飛んじまった。」
「ちくしょう、俺は大バカ野郎だ。なんで、なんでこんな事に気が付かなかったんだ。あの女も泣いてたんだ。泣きながら歌ってたんだ。」
「もう1度だけ、つきあってくれるか。この大馬鹿者に。」
って台詞が強く印象に残って、泣かされた。
で、俺がちゃんと見てやらなければならない、って決心したタンロウはホントかっこよかった。
最後に「言ってるだろ。俺はもう、お前の視線から逃げ出したりしねえって。」
「鏡の中で二人で暮らすんだ。二人じゃねえ。子供が欲しいんだろ。鏡の中を俺達の子供でいっぱいにするんだ。鏡の中に世界を作る・・・」
あたりはもう、レッドローズのこと、タンロウのこと、うーん、言葉にできへん。
それと、困ってる人を見るとホントに捨てておけない性格なんよね。
また、仲間想いやし。
「この腰抜け達よりは、ましでしょ。」
といったローズに「仲間のことを悪く言うな。」って言ってたし。

仲間想い、ってことではハグン(礒野慎吾さん)もそう。
ブラウバルトを狙う時も、仲間に迷惑かからないように「俺一人でやるから。俺の仕事だから。」っていうし、
ラスト、コモンが一人で的に乗り込んでいったとき、ほんまだだっ子のように「何とかしようよ。」って、一番心配してたし。
でも、彼、最後がおいら的には凄くかわいそうに感じた。魔鏡が割れて、レッドローズ & タンロウ が消えたときの「そんなぁ・・・」って台詞が。

自称「ゲリラセブン」のリーダーモンゴク(こぐれ修さん)
「リーダーは俺だ。」ってギャグみたいになってたけど、彼はホントに自分がリーダーって思ってたんやろなぁ。
常にハグン、レンジョウのこと心配してたし、最後の最後、タンロウが城に向かうってなったときに、
「どうする、タンロウ。あんまり時間はねえぞ。」
その後、「馬鹿はお互い様だ」って、ほんとなんか「リーダー」って感じがした。

そのモンゴクに怒られ励まされがんばって、スノーホワイトの乱の後遺症を見事吹き飛ばしたレンジョウ(インディ高橋さん)
タンロウに長老の呪いがかかってたなら、レンジョウにはスノーホワイトの乱の精神的な後遺症が強く残ってた。
タンロウ、レンジョウだけやない、みんなそれぞれ傷を受けてたんやね。
外見的にはそれが「スティグマ」なんやろうけど、精神的にはみんな、ひどく傷ついてて。
それでも、親方モンゴクに励まされ、勇気づけられ、最後は見事過去のかっこよかった頃の自分をとりもどせて、レンジョウ、よかったね。

ムゴクの忘れ形見、ホセイ(明星真由美さん)
彼女も、ゲリラセブンやなかったけど、ゲリラセブンやった父を失った、って心の傷があったし。
更にみんなでレッドローズから逃げ出した後のタンロウたちを見て、
「父はいいときに死んだのかもしれませんねぇ。」
って、ほんと絶望して、母の生まれ故郷ホウライ族の土地へ帰ろうとしてたもん。
それでも、タンロウたちがもう一度戦う、って決めたとき、
「どうやらわかりました。父が、あなた達を誇りにしていた理由です。デッダン、ガンバリマッショ。」
って・・・他の登場人物もそうやけど、このへん、ずっと泣きそうになってた。泣いてる時もあったけど。

コモン(橋本じゅんさん)、最後まで生きて欲しかったぁ〜。
タンロウとの約束(「サヨナラは。言わないぜ。」)守って欲しかった・・・
ホントは凄く優しい、コモン。「ポンポンポンポン」言うのも、ハグン、レンジョウを心配して。
魔女の三姉妹も、罪滅ぼしってのもあったかもしれへんけど、きっと放っておけなかったんやと思う、コモンは。
最後まで、最後まで生き残って、レッドローズとタンロウの前にもう一度現れて欲しかったぁ。
あの死に方、悲し過ぎるよ!

ゲリラセブン最後の一人、ロクゾン = アイゼン・ハインリッヒ伯爵(粟根まことさん)
彼だけは最後までわからんかった。彼自身もかなり最後まで迷ってたんとちゃうかな。
自分たちがしでかした過ちを精算する方法を。
魔鏡を壊すのか、とことん魔族として魔鏡の力を見極めるのか。
最後はやっぱり、レッドローズの圧倒的な力の前に、後者を選んだんやけど、今までの劇団☆新感線に無かったキャラクターっぽい。
同じ粟根さんが演じた「髑髏城の七人」無界屋蘭兵衛も近いけど、ちょっと違う気がする。
今回の「ダークファンタジー」、このロクゾンにぴったりの言葉のように思う。
こうして考えると、「LOST SEVEN」って一方ではレッドローズのお話、もう一方では過去に失った何かを取り戻すゲリラセブンの勇者たちのお話、とも取れるんかなぁ。

そして、魔鏡の貴公子アラバック・テムラー公爵(小須田康人さん)
かれもロクゾン同様、よくわからんかった。
ただ、魔鏡師として、魔鏡に心を開いてもらおうとして、実は彼も魔鏡に操られてたんかなぁ。
「そうだな、私は狂っているのかもしれない。って台詞が彼の全てやったのかも。

それから、登場人物ではないし、役者さんでもないんやけど、おいらがこのお話でどうしても「登場人物」として触れたいのがセフィロトグラス
セフィロトグラスとレッドローズって、全く同じとちゃうかなぁ。
セフィロトグラスはきっと最初から魔族を操ったり、世界を飲み喰らおうなんて鏡と違ったんちゃう?
最初は、自分に問いかけてくる者にきちんと応えて、きっと人を喜ばせてたと思う。
でもある時、みんな、「鏡」やのうて、「鏡に写っている自分」に話しかけてるんや、って気づいてしまって、
「誰も自分(鏡)を見てくれない。」って気持ちを持ってしまった。
その時から「鏡」やのうて「魔鏡」になってしまい、魔族を操り世界を自分のものにしよう、世界を飲み喰らおう、って考えた。
ただ、ホントは自分の姿を見て欲しい、ってずっと思ってた。
だからこそ、最後は、テムラーと共に世界を飲み喰らおうとしたけど、レッドローズの子守歌で、元の生まれたままの鏡に戻ったんでは?
レッドローズがタンロウを得たのと同様、セフィロトグラスはやっと自分を見てくれる人(レッドローズ)を得て、この世から消え去ったのでは? って思います。
で、最後の最後で鏡はやっぱり写してくれた。ローズが鏡を見れば、鏡は今度こそホントにローズ(観てくれた人に応えて)を写した、って思います。
ここで書いてるのはほんと、おいらの勝手な想像で、かずき先生やいのうえひでのり座長の考えてたこととは違うのかもしれない、おいらの考え過ぎかもしれんけど。
でもそうやって「考えすぎ」って思われるようなことまで考えさせた「LOST SEVEN」まさにハマッてしまった大きな要因。

そして最後に、レッドローズ(羽野アキちゃん)
最初に観終わった時からずっと感じてたのが、レッドローズって凄く寂しかったんや、ってこと。
それ考えるともう、「LOST SEVEN」でレッドローズがなぜあんなに悪い女(扱い)なのかもわかったような気がして。
レッドローズに常に有ったのは、「人に認められたかった悲しさ、ひとりぼっちの悲しさ。」
せやから人を信用できずに、利用もするし、試しもする。
レッドローズって善でも悪でもなく、自分に素直なだけやったんやと思う。
いつも誰かに自分を見てもらいたかった、それだけなんやと思う。
それがあの台詞「かあさんが死んで、・・・みんなあたしの事恨みながら死んでいったの。・・・あたし、その時、とっても嬉しかった。やっと、みんな、あたしのこと見てくれたから。」
ってのに表れてて、もう、涙なしではあの場面は観れなかった。
タンロウに「タンロウあなたには何が見える?」って試したのも、タンロウに自分を見て欲しかったから。
更にラストで、セフィロトグラスがテムラーと共に世界を飲み喰らおうとしたときも、もう、観てて悲しくて悲しくて。
「セフィロトグラスよ! お前まで、あたしを裏切るというの!?」
「お笑い草でしょ。どたんばで魔鏡にも裏切られた馬鹿な女って。」
でもね、そこでタンロウがしっかり自分を見てくれた。
自分を見てくれる人が現れたことで、レッドローズもまた魔鏡を見てやることができた。
そんな気がする。
であの最期でね、まだ「あんなにお腹をすかせて。今、子守歌を歌ってあげるわ」って・・・いえへんよ、
レッドローズも、セフィロトグラスも、タンロウも。きっと今頃幸せに暮らしてるんやろなぁ。

こうして考えると、曲、それと登場人物の「想い」を考えながらストーリーを追いかけたこと、
きっとこれが一番ハマッてしまった大きな要因
なんやろね。

今回の「LOST SEVEN」の感想は、ホント想いが強すぎて、とても長くなってしまいました。
でも、これでもまだ書ききれずに、書き漏れしてることもある、ってくらい、ホントに色々考えて、色々泣かされて、滅茶苦茶感動させられました!
改めて、脚本・演出・役者さん・音楽・照明・大道具 & 小道具・殺陣 & ダンス振り付け等々のスタッフの方々も含めて・・・ホントにありがとう!


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